リコーダーよもやま話



はじめに オークション キンセカーG管アルト
ルネッサンスモデル キンセカーモデル ルネッサンスリコーダーの魅力
メック ステンズビー リコーダーの復活 Aura グレナディラ テナー
ステンベルゲン ソプラノ クライネソプラニーノ ロッテンブルグ・ブビンガ
パートリッジウッド・アルト 古い2本のソプラノ サテンウッド・アルト
シリアルナンバー プラ管リコーダー




はじめに


ここ数年、イワナ釣りや昆虫採集にのめり込み、リコーダーには少しご無沙汰ぎみだったのが、去年(2004年)、7月頃から、インターネットでヤマハのアマチュア音楽愛好家の投稿サイトを見たり、その後ホームページを開いたりで、リコーダー熱も少し上がってきたようです。
自分のホームページで、アマチュアならではの演奏や、そこで使用した楽器の紹介、演奏曲のことなどを書き綴っていきます。
同好の人なら、少しは読んでもいいかな、という程度のものです。



オークション


近頃少しはまっている、ヤフーのオークションについて。
私のように積極的に楽器の情報を集めていない者にとっては、とても良い情報収集の場になります。
近頃の製作者のことや、古くからあるメーカーの知らなかったモデルなど目にすると、それを調べてみたり、とても役に立ちます。
始めてから二ヶ月弱ですが、買えたものはモーレンハウエル社のキンセーカーモデルG管アルトと、ホッフのクライネソプラニーノの2本だけ。
G管アルトはお情けで譲ってもらったようなものですし、クライネは使うというより、マスコットのようなものですが、どうしても欲しかったので、新品の値段を付けていたので買えました。
もっともクライネは誰が持っていても吹かないから、いつまでも新品でしょうが。
どうも落札するにはテクニックがいるようですが、それほどの品物が出るわけでもないし、面倒くさいから本気では買いに出る気は無くなりましたが、ひやかすのも面白いしということで、しばらく首を突っ込むでしょう。
これからは使わない笛を売る方にまわろうと思っています。



キンセーカーG管アルト


モーレンハウエル社のキンセーカーG管アルトを吹いてみて感じたのは、G管アルトはアルトリコーダーのラインナップではなく、ソプラノリコーダーの仲間だということです。
同じキンセーカーモデルのF管アルトと比べて一音高いだけなのに、その音色や吹きごこちはソプラノのものです。
G管をどのように使おうかと考えて手に入れましたが、これではっきりしました。
つまり、F管やC管と一緒に吹くのではなく、無伴奏あるいはG管2本でデュオ、という使い方です。
手に入れたものは材質がプラムと言って売られていましたが、実際はメイプルでした、持ち主も悪意が無かったようなので、買い取りましたが、そのうちに新品の楽器を買ってみたいと思っています。
フェアブリュッヘンが「笛の楽園」で使っているものが、G管アルトだったようです。



ルネッサンスモデル


このところ大手のメーカーや、個人工房から出されている、ルネッサンスモデルのリコーダーに興味が出てきました。
よく知られたところでは、キンセーカーモデル、プレトリウスモデル、ファンエイクモデル、ガナッシモデル、ただ単にルネッサンスタイプと各社一様ではないようです。
よく言われている、ルネッサンスとバロックの違いは、外見だけではなく、内径の形状の違いです。
バロックタイプは頭部管から足部管へ向かって内形が細くなっています。
ルネッサンスタイプは内形が太く、円筒形か、足部管へ向かって太くなっていますが、設計によって様々です。
音の特徴はルネッサンスタイプは特に低い音が太くて大きな音が出ます。
しかし、高い音が出なかったり、出にくい音があることです、またそれを出すためにバロックとは違った指使いだったりします。
同じキンセーカーモデルといっても、メーカーによって違った楽器になっているのではないでしょうか。
そんなのを比べながら吹いてみるのも面白いだろうな、と思っています。



キンセーカーモデル


キンセーカーのリコーダーは、エドガー・ハント著「リコーダーとその音楽」に写真が載っています。
ニュールンベルクのドイツ国立博物館所蔵、ヒエローニムス・フランチスクス・キンスカー作、D管デスカント2本、G管トレブル2本、D管テナー2本、燕尾型キーとフォンタネーラの付いたG管ベース1本です。
材質は黒っぽい着色のツゲ製だということです。
DとGのセットですが、基音が違っていただけで、現在のCとFと同じことでしょうが、オリジナルの音がそうだったということで、コンソートでの響きを知ることのヒントになります。
このリコーダーセットを見ると、単品で残っているルネッサンス、あるいはそれ以前のリコーダーと比べると、とても垢抜けている、あるいはハイセンスです。
オリジナルの音色はどんなものかとても興味がありますが、おそらくがっかりするのでは、なんて思っています。
ともあれ、現在はそれをモデルにして各社で造られていますが、みんな吹いてみたいですね。
キンセーカーは指使いが、バロックタイプと大きく変わらないことや、内形が太くて朗々とした音が出るので私は好きなリコーダーです。
今現在、クライネ、ソプラニーノ、ソプラノ、Gアルト、Fアルト、テナーと持っていますが、慣れないと指がきついのですが、やっと馴染んできたようです。



ルネッサンスリコーダーの魅力


博物館に残っている、本当のオリジナル楽器で演奏した、フランス・ブリュッヘンの録音でも、ファン・エイクの「笛の楽園」は、ルネッサンスタイプのリコーダーは使われていません。
それ以降の録音ではルネッサンス・リコーダーでの録音も数多く出ています。
私の知っているところでは、マリオン・フェアブリュッヘンのフレデリック・モーガン製作のガナッシタイプのソプラノ、G管アルトでの演奏、平尾工房製作の同タイプでのレ・サンク・サンスの演奏など。
フランス・ブリュッヘンがなぜオリジナルのルネッサンスリコーダーを使わなかったのか。
私が思うに、おそらく使える水準の楽器がなかったのではないでしょうか。
とすると現在出ているルネッサンスリコーダーは、モデルになる名器はなく、外見はともかく設計はそれぞれの製作所のものではないでしょうか。
したがって同一モデルを名乗っていても、ひじょうに個性が違っているだろうと予想されますし、まして違うモデルならなおさらです。
その個性の違いはとても興味深く、魅力があります。



メック ステンズビー


近頃、練習のはじめにオークションで買ったメックのステンズビーモデル(A=440)を吹いています。
滑らかな音ではなく、ちょっと癖のある、少しハスキーな音です。
吹いていて心地よい音で、吹きたくなる楽器です、私にとって良い楽器です。
最高音の f が少しわがままですが、理由は分かりません。
いろいろ考えてみました。
ブロックの調整が悪いのなら、いつも鳴らないはず、吹き始めてブロックが湿ってきて鳴らないのなら、それ以降は良くはならないはず、手入れの良かった楽器なので、ブロックにボアオイルが染みてしまったのかな、なんて今は思っています。
いずれにしろ、わがままとしか言いようがありませんが、ずっと高音域をガンガン吹いていますので、少し良い子になって来たようです。
ある製作家のブレッサンモデルが f のオクターブホールの開け具合が微妙、と聞いていますのでそんなタイプかも知れません。



リコーダーの復活


10年ほど前に買ったアルトリコーダー・ブレッサンモデルA=415、製作者は Johan Willmann というあまり知られていない人です。
新品の時から何処と言って悪いところはないのに何故か長く吹かない楽器でした。
それを引っ張り出して、リヴォイスしてもらいました。
注文は音が細いので、もっと太い音にだけでした。
それが帰ってきて吹いてみたらビックリ、とても良い楽器に変わっていました。
これなら何時間でも吹いていられます。
現在、日本にも腕の良い製作家が増えて、いろんな注文に応じてくれるようになりました、しかもそんなに高くない値段で。
新しい楽器を求めるのも魅力的ですが、手持ちの物を復活させることも大事なことでしょう。
家には復活させなければならないリコーダーが目白押しです。



Aura グレナディラ テナー

 
10年前に私を通して買った、アウラのグレナディラのテナーリコーダーが4本、奇しくも今私の手元に集まりました。
3本はリヴォイスのために、もう1本は私が譲り受けたものです。
10年間それぞれの人の手元にあり、使われ続けてきた楽器を見ると感慨もひとしお、というところです。
3本のリヴォイスしなければならない楽器は同じ症状です。
音の抜けが悪くなり、高音域は出なくなっています。
何でこんなになるまで使っていたの、と聞くと一様に良くないなと思いながらも、他に比べるものが無いから、と言う答えです。
そしてずっと吹き続けているから、少しずつ変わっていっても分からないのでしょう。
これはテナーに限らず他の楽器でもそうであって、ちなみに二人に私のテナーの他に、ソプラノやアルトも吹いてもらいました。
何でこんなによく鳴るの、とか私は苦労しているのに高音が簡単に出る、とか言っていました。
自分の楽器しか知らないと、とかくこんな事になるようです。
吹かせてもらえる仲間がいたら、お願いして沢山の楽器を試してみる事が、楽器を判断する目を養うための大きなプラスになることでしょう。



ステンベルゲン ソプラノ


メックのステンベルゲン(Steenbergen)・ソプラノ、ペアーウッド(228D)を中古で買いました。
日本で売られている定価の半値ほどでした。
ソプラノはアルトと違って、あまり製品のバラツキがないので、中古でもそんなに心配はありません。
しかし、この楽器はかなり息の抜けが悪く、とてもこのままでは使えなくてブロック調整に出しました。
古い楽器だったので、この楽器だけのことなのか、あるいは設計そのものによるのかは、同タイプの他の物と比べてみなければ分かりません。
ドイツのリコーダー製作家、G.M.クレミッシュが設計したこのステンベルゲンは、ウインドウエイが入り口からかなり狭く作られています。
したがって吹いたときの抵抗感が大きく、かわりに少ない息で吹けます。
ブロック修理をお願いした製作家から聞いたところによると、オリジナルの楽器もウインドウエイが狭い、ということです。
ともかくもう少し息が入るようにとお願いし、ついでにアイボリーのリングを付けてもらいました。
二度の調整をしてもらい、かなり良くなりました。
私としてはもう少しと思いましたが、設計者の考えもあることですし、入り口はそのままにしてあります。
この楽器を手に入れてとても良いことがありました。
それは、エイクの「笛の楽園」で、どうしても息が続かなくて吹けなかったフレーズが楽に吹ける、ということです。
その1曲のためにも、これは私にとって大切な一本になりました。



クライネソプラニーノ


うちにはクライネソプラニーノが4本あります。
キュングのローズウッド、ホッフのプレトリウスモデル、モーレンハウエルのキンセーカーモデル、そしてアウロスのプラ管です。
いずれも私には指が重なって、とても吹けません。
かろうじて吹けるのがアウロスです。
木製の3本を比べてみると、キュングは第1穴から第7穴までの間の巾が、他の2本よりわずかに狭く、一番吹きにくい。
しかし、どのクライネも指穴が真っ直ぐではなく、カーブして作られています、
これはテナーのように、指穴を真っ直ぐに開けたのでは届きにくくなる場合はありがたいのですが、反対に少しでも間隔が欲しいクライネにそれをやられたのでは、よけいに吹きにくくさせているだけです。
おまけにその穴も斜めに開けてある、という念の入れようです。
プレトリウスモデルもキンセーカーモデルも、ソプラニーノは指穴は真っ直ぐに開いているのに、クライネを曲げてある、というのは設計がよくないのではないかと思います。
吹くことよりも見た目を優先させた結果でしょうか。
プレトリウスモデルは基になる絵があるので少しは理解できますが、他は何とかならないものでしょうか。
普通の体格の男にとって、クライネはマスコットにしかなりません。
でも、値段はけっこう高いのですが。



ロッテンブルグ・ブビンガ


とても懐かしい茶色の紙箱に入ったリコーダーが届きました。
フラウト・ドルチェと横文字で書かれています。
正にこれと同じ箱に入ったリコーダーを買ったときから、私のリコーダーの楽しみが始まりました。
メックのロッテンブルグ・アルト、ブビンガです。
実はこの材質がブビンガという名前の木だ、ということはつい最近になってやっと知ったことです。
メックのカタログでbR39は、今はツゲですが1980年頃はこのブビンガでした。
同じ楽器が2本手元に揃いました。
しかしその2本はまったく違って見えます。
どちらも今から30年ほど前に作られたはずです。
私のものは、それから今に至るまでずっと吹き続け、内管にオイルを塗り外を磨かれ、こげ茶色の木肌にほとんど黒に近い縞模様、もう1本はおそらく20年以上箱に入ったまま眠り続け、明るい茶色の木肌に焦げ茶色の縞模様です。
重さも私のが少し重いようですし、音もしっとりしています。
同じ物がその歩んできた道程の違いで、違うものに変わっていく。
人生もそうなんだろうな、なんて思わせられるようです。



パートリッジウッド・アルト


修理に出していた、ドルメッチのパートリッジウッドのアルトが戻ってきました。
パートリッジウッドを邦訳すると、「ヤマウズラの木」です。
実物を見るまではどんな木か見当もつきませんでした。
茶色い木地に、渦巻き模様の黒い木目があるのだろうか、なんて想像したりしました。
実際は黒檀系の重い木で、木目は見えません。
ほとんど黒に近い濃い茶色の木で、私にはそれが濃い紫のように見えます。
それが本象牙でデコレーションされていて、とてもきれいなリコーダーです。
ブロックの調整をお願いしたら、スリットの入った珍しい作りのブロックだから、いじらずにオリジナルを取っておきましょう、と言われ新しいものを作ってもらいました。
また、ウインドウエイの設計も珍しいジャーマン式だ、ということでした。
新しいブロックを入れた楽器をくわえると、プンプンと木の香りがします。
封を開けてすぐに吹いたときは、ちょっと音がバラバラな感じでしたが、翌日にはもうなじんできていました。
これから少しずつ吹き込んで、良い楽器に変化していくのがとても楽しみです。



古い2本のソプラノ

最近、古いというか、大変使い込まれたソプラノリコーダーが2本、相次いで手に入りました。
1本はキュングのオリジナルモデルのクラッシカ、ペアーウッドにニス塗りですが、その塗装も傷だらけです。
ところが吹いてみて、あまりの音の良さにびっくりしました。
キュングには、こういう楽器が時々あるのを知っていましたが、それにしてもしっかりした鳴りと、音のツヤです。
他の1本は、ドルメッッチのスタンダードモデルのローズウッド、こちらも強いニス塗りで歌口のニスが剥げています。
それにも増して驚くことは、指穴の塗装が剥げていることはもちろんですが、指穴の木すら磨り減っていて少し窪んでいます。
オクターブホールはアイボリーリングでブッシュされていますので大丈夫です。
いったいどのくらい使ったんだろうと思います。
ドルメッチは製造番号が打ってあるので、楽器の製作年がわかります。
シリアルナンバー7756は、1958年頃のものです。
この2本のリコーダーは、それぞれの持ち主のその後を決定付けた、ルーツとも言える笛だったように思われます。
キュングは小学校の先生の手に渡りましたが、音の良さにびっくりしたようでした。
ドルメッチは私の山歩きのリュックに入り、人のいない時を見計らっての、一人コンサート用になります。



サテンウッド・アルト

中古で買った、ドルメッチのスタンダードモデル、サテンウッド・アルト、とても良い楽器です。
古いので、歌口の塗装が少し傷んでいることと、指穴もニスが剥げています。
一番上と四番目の穴は指の基に向かって斜めに、木地が出ています。
そして右手親指の指掛けの下も同様です。
サムホールはブッシュされたアイボリーリングも角が立っていません。
ところが他にもう一ヶ所擦れて剥げている所があります。
左手の小指で触れることができる所です。
初心者は左手小指が高く上がり、それに連れて他の指も上がりパタパタと動きます。
そうならないようにする練習として、左手小指を折り曲げたまま運指をする練習を私もやりました。
ミカラ・ペトリが、演奏中にも小指を楽器の裏へ廻していたのを見たことがあったような気がします。
塗装が磨り減るくらい、常時小指を楽器に付けている演奏家、アマだとしてもとても凄いレベルの人が使っていた楽器ではないかと思います。
もしかしたらこのリコーダーは、プロの演奏家、フェルディナント・コンラートなどが使っていたのかも。



シリアルナンバー

リコーダーの個人製作家には、製作した楽器に製造番号を付けている人が多いようです。
プレスコット、コールスマ、タケヤマ、私の持っているウイルマンなど。
大手のメーカー、メック、アウラ、ヤマハなどには、それはありません。
レスラーには付いているものと、そうでないものがありました。
大手メーカーの中で、ドルメッチはbPから製造番号が付いていることがよく知られています。
ドルメッチでも普及品には付いてなく、ハンドメイドクラスのものにつけてあります。
しかもその番号で、およその製造年が判るという優れものです。
そのドルメッチで製造番号が打たれてない楽器がありました。
ブレッサンタイプのソプラノです。
中古市場で手に入れたものですが、吹かれた形跡がなく、おそらく新品状態でした。
不思議に思って楽器をよく見たら、解りました。
頭部管の凸線模様が少し欠けていました。
この楽器はメーカーから直接出た、新古品ではないかと思います。



プラ管リコーダー

「あれっ、先生のリコーダーは木だ、、、。」
リコーダーは本当は木で出来ています、出来ていました。
今はプラスチック(ABS樹脂)で作られています。
とても味気ない。
ヴァイオリンもギターも、プラで造ればうんと安くなるはずなのに。
果たしてそうでしょうか、経済はそんなに単純ではない、ということを知っている人は数多いはずです。
プラ管リコーダーに対して、私のようにリコーダー大好き人間は、目くじらを立てているかもしれませんが。
リコーダーのオークションからプラ管を除いたら、3本か5本しか残りません。
何が言いたいかって、、、プラ管リコーダーの功罪です。
結論は功、好、効、です。
もし学校教育の中で、木管リコーダーを使ったら、さぞ良い音がして子供達は大好きになるでしょう。
まさか
メンテナンスが出来ないから、音の出ない楽器のオンパレードになるでしょう。
プラ管リコーダーは名器の再現です。
それに負けない木管を作れば、現代の名器です。




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