




クラシカルなプログレ/シンフォニックロック




鍵盤楽器の登場はロックの進化に新たな光を差し込んだ。
もともとメロトロンはオーケストラの代役として使われ、オルガンとともにプログレ初期の鍵盤楽器として活躍、
その後、ムーグシンセの登場により、EL&Pを率いるキース・エマーソンが新たなスタイルのキーボードプレイを作り上げた。
クラシックをロックと融合させようという試みは、その後もずっとプレイヤーの芸術的な感性を刺激し続け、
ELPのように3ピースという最小限の編成でそれを再現しようというバンドもいれば、
RenaissanceやRICK WAKEMANのようにオーケストラそのものをサウンドに取り入れるアーティストもいた。
また、ENIDのように奇跡的なまでにロックをクラシックに接近させたバンドや、
イタリアでは、NEW TROLLSをはじめ、バロック的な華麗さを貪欲に取り込んだバンドも出現、
クラシックとプログレッシブロックの融合は、ヨーロッパのバンドを中心にして多くの傑作を生み出してきた。
90年代に入るとAFTER CRYINGを筆頭に、東欧からも素晴らしいバンドたちが続々と登場、
シンフォニックロックファンにとっては、クラシカルなプログレとはまさに現在形なのである。
ここでは、そうしたクラシックの美意識を巧みに取り込んだ傑作アルバムを紹介してゆきたい。
2009.8.1
緑川 とうせい
◆クラシカルロックの黎明〜ELPの登場、そしてENID!
EMERSON,LAKE & PALMER
イギリスのプログレバンド、エマーソン・レイク・アンド・パーマーのデビュー作。1970作
THE NICEというバンドでの下地があったからだろう、ギターレスのキーボードトリオという特異な編成ながら、
1stにしてすでに完成度は高い。Atomic Roosterからカール・パーマー、KING CRIMSONからグレッグ・レイクを迎え
それぞれの名前をバンド名に冠したことからも、彼らのスーパーバンド的な自負が窺える。
歪んだベースにハモンドが鳴る、いかにも初期ブリティッシュロック的な“未開人”から始まり、
たおやかなピアノにレイクの歌声が乗る大曲“石をとれ”、軽快に聴かせる“ナイフエッジ”
そしてチャーチオルガンの音色から始まり、エマーソンの卓越したピアノさばきが見事な
“運命の三人の女神”と、鍵盤ロックとしての可能性を見せつけるかのようなアルバムだ。
クラシカル度・・9 プログレ度・・7 キーボー度・・8 総合・・8.5
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Emerson Lake & Palmer 「Pictures at an Exhibition」
エマーソン・レイク・アンド・パーマーのアルバム。1971作
ムソグルスキーの「展覧会の絵」を独自の解釈でロック化したELPの名作。
パイプオルガン鳴り響くイントロから、テクニカルなリズムとともに緊張感のある演奏が始まり、
ハモンドやムーグを中心としたエマーソンの変幻自在の鍵盤使いが炸裂する。
クラシック曲をプログレとしてここまで上手くアレンジした作品というのはそうはあるまい。
なお、70年の別音源を収録したデラックスエディションでは、デビュー直後の勢いある演奏が聴ける。
クラシカル度・・9 プログレ度・・8 キーボー度・・9 総合・・8.5
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Beggar's Opera 「Act One」
ブリティッシュロックバンド、ベガーズ・オペラの1st。1970作
宇宙飛行士ジャケで有名な3rdはヴァーティゴの裏名盤として一般的にも
代表作とされるようだが、クラシカルでごった煮的な面白さからいえば本作だろう。
キーフの手によるこの怪しげなジャケからしてすでにキワモノだが、
サウンドの方はクラシックのメロディを取り入れたオルガン入りロックで、
NICEやTRACEなどに通じる印象がある。ヴォーカルの微妙な力の抜け具合が
コミカルな雰囲気をかもしだしているが、トルコ行進曲のメロディに乗せた11分の大曲では
ハモンドにサイケ的なギターが重なり、濃密かつマニアックなブリティッシュロックが楽しめる。
クラシカル度・・8 ハモン度・・8 濃密度・・9 総合・・8
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Gracious!
ブリティッシュロックバンド、グレイシャスの1st。1970作
ジャケからしてインパクト大だが、内容的にもVERTIGOレーベルのマニアックな側面を代表するようなバンド。
ややハードなギターとエフェクトのかかったドラムで粗野にたたみかけながらも、
クラシカルなチェンバロやメロトロンの響きには、ブリテイッシュプログレ好きなら引き寄せられる。
2曲目の美しさはこのバンドの繊細な側面を表しているし、ギターとチェンバロによる4曲目もなかなか
味わいがある。そして、ラストは16分という大曲で、ベートーベンの“月光”のフレーズを取り入れつつ、
サイケロック的なごった煮感で展開してゆく。昔聴いたときには音の粗さが気に入らなかったのだが
今聴き直すと、むしろこの売れ筋から顔をそむけた、ある種の潔さに好感を抱くのだ(笑)
クラシカル度・・8 プログレ度・・7 英国度・・9 総合・・8
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EGG 「THE POLITE FORCE」
イギリスのプログレバンド、エッグの2nd。1971作。邦題は「優雅な軍隊」
いわゆるカンタベリーシーンのバンドとされているようだが、
要はELPスタイルのキーボードトリオで、メロディにはクラシカルな要素がたっぷり。
後にスチュワート&ガスキンで名を馳せるデイブ・スチュワートのオルガン/ピアノプレイは
クラシカルでたおやかなメロディから、ジャジーで前衛的なタッチまで多彩で素晴らしい。
タイトル通りの優雅な雰囲気でありながら、変拍子リズムやアヴァンギャルドな要素も混ざり
1970年という年代を考えるとかなり先鋭的で、今聴いても曲にさほど古くささがないのが凄い。
とくにB面全てを使った組曲が白眉。またブラス入りの曲もアルバムの中でいいアクセントになっている。
クラシカル度・・8 プログレ度・・8 アヴァンギャル度・・8 総合・・8
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ESPERANTO 「DANCE MACABRE」
イギリスのプログレバンド、エスペラントの2nd。邦題は「死の舞踏」1974作
2人のヴァイオリンにチェロを含む10人編成という大がかりなスタイルで
イギリス、ベルギーなど多国籍のメンバーが織りなす名盤中の名盤。
不穏なヴァイオリンの音色から始まり、ブレイクを多様した複雑な楽曲構成で
テクニカルにたたみかける。ピート・シンフィールドのプロデュースも相まって、
1stに比べてメンバーの力量と奔放なセンスが遺憾なく発揮されている印象だ。
クラシカルな硬質さがプログレッシブロックとの融合を奇跡的に果たしており、
絶妙の緊張感と均衡を生み出している。この優雅なアヴァンギャルドさは必聴級。
クラシカル度・・9 プログレ度・・8 アヴァンギャル度・・8 総合・・8.5
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Renaissance 「Ashes Are Burning」
英国のクラシカルロックバンド、ルネッサンスのアルバム。1973作
「燃ゆる灰」のタイトルで知られるバンドを代表する傑作。美しいピアノが鳴り響く1曲目の
“Can You Understand”のイントロからして、このバンドのクラシカルな叙情美がすべて味わえる。
そこに瑞々しいアニー・ハズラムの歌声が加わると、世界はしっとりとした優しさに包まれる。
どこかまだフォーク的な牧歌性を残したメロディに、艶やかなストリングスが重なって
雄大でありながらも、英国の優雅な土臭さともいうべき感触がとても耳に優しい。
ライブでの定番曲“Carpet of the Sun”の爽やかさにはうっとりと聞き入ってしまうし、
11分に及ぶラストのタイトル曲も感動的な名曲。どれか一枚聴くならまず本作から。
クラシカル度・・9 叙情度・・9 女性Vo度・・9 総合・・9
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RICK WAKEMAN 「Myths & Legends Of King Arthur & The Knights Of The Round Table」
元YESのキーボード奏者、リック・ウェイクマンのアルバム。1975作
「ヘンリー八世と六人の妻」、「地底探検」と、クラシカルで幻想的な作品を作り出してきた
ウェイクマンの極めつけのアルバム。タイトル通りアーサー王伝説をモチーフにした
ファンタジックなシンフォニックロック作品である。壮麗なオーケストラとともに、
雄大でエピックな世界を描き出す手法はついに今作で完成されたといっていい。
中世を思わせる優美なチャンバロの音色や、リックの奏でるたおやかなピアノも美しい。
ヴォーカルパートのバランスもよく、いわゆる初期の文芸三部作の中では一番の完成度だろう。
クラシカル度・・8 プログレ度・・7 幻想度・・9 総合・・8.5
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ROBERT JOHN GODFREY 「FALL OF HYPERION」
ENIDのリーダー、ロバート・ジョン・ゴドフリーの1973年のソロ作。
サウンドは、ゴドフリーの求めるクラシカルなロックをそのまま体現したような音で、
優雅なピアノタッチに、やわらかなヴォーカル、壮大なシンセ群とめくるめくオーケストレイション、
本物のオケを使わずともここまで壮麗なサウンドを作れるのだという、
クラシックを愛するゴドフリーの理想の追求ともいうべき瑞々しさが音の端々に感じられる。
ヒプノシスによる印象的なアートワークもこの音楽の世界観を見事に表現している。
クラシカル度・・10 シンフォニック度・・9 壮麗度・・10 総合・・8.5
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THE ENID 「AERIE FAERIE NONSENSE」
英国のシンフォニックロックバンド、エニドの2nd。1977/1984作
このうえなく優雅でクラシカル、そしてオーケストラのごとき雄大さをもった楽曲は
初めてこのバンドの音を聴く方にはかなりの衝撃となるだろう。彼らのサウンドを
簡単に表現するなら、バンド編成でオーケストラのシンフォニーを再現したといっていい。
とくにこの2ndは彼らのディスコグラフィー中でも最もそれが顕著に出ている作品で、
30分近くにも及ぶ長大な組曲“FAND”での高揚感はただごとではない。
エニドをまだ知らないシンフォニックファンは急いで手に入れてほしい。
クラシカル度・・9 シンフォニック度・・10 雄大かつ優雅度・・10 総合・・9
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THE ENID 「TOUCH ME」
英国のシンフォニックロックバンド、エニドの3rd。1978作
70年代のエニドの作品はどれも素晴らしいのだが、2ndと並んで好きなのが本作。
オーケストラではなくバンド編成でやっているというのが信じがたいほどに
じつに優雅なクラシカル・シンフォニーである。ピアノも含めて厚みのあるシンセの重なりに
メロウなギターが合わさり、ロックとしてのダイナミズムを決して無骨にならないくらいに
絶妙に盛り込んでいるのが奇跡的といえる。このバンドの前ではクラシカルロックと言われる
ほとんどのバンドがかすんでしまうだろう。格調高き英国の音にうっとりとなる。
クラシカル度・・9 シンフォニック度・・9 優雅度・・10 総合・・9
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◆イタリアは情熱のクラシカルロック〜プー、トロルス!
I Pooh 「Opera Prima」
イタリアンロックバンド、イ・プーの4th。1971作
プログレというよりはポップロックとして人気を得ている彼らだが、
本作は壮大なオーケストラでクラシカルに聴かせる異色のアルバム。
イタリア語のヴォーカルによる叙情的でキャッチーなメロディに、
ストリングスやチェンバロなどによるバロック的な荘厳さが加わって、
これぞイタリアンロックという濃密な雰囲気が楽しめる。
次作「ミラノの映像」とともに、初期のI Poohを代表する傑作である。
クラシカル度・・8 メロディアス度・・8 イタリア度・・9 総合・・8
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I POOH 「Alessandra」
イ・プーの5th。1972作
「ミラノの映像」の邦題で知られる本作は、間違いなく初期の最高傑作
艶やかなストリングスに導かれて、ゆるやかな叙情が舞い降りる。
繊細でありながらも情熱的なイタリア語の歌声が響きわたり、
壮麗かつ雄大なオーケストレーションが一体となって、
哀愁のロマンが波のように押し寄せて、涙腺を刺激する。
イタリアからしか出て来ない泣きの叙情美に胸震わせろ。
オーケストラ度・・9 叙情度・・10 イタリア度・・10 総合・・9
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NEW TROLLS 「CONCERTO GROSSO PER T」
イタリアンロックバンド、ニュー トロルスの3rd。1971作。
クラシックとロックが華麗に融合した奇跡の一枚。この美しすぎるストリングの音色!
この泣きの旋律の前には言葉を失うほどだ。
映画用のサントラとして作られたとはいえ、この作品がバンドの名を
イタリアンロックを語る上で一段引き上げたことは確かだろう。
バロックとロックの合体。これを聴かずしてクラシカルロックを語るなかれ。
昔は、旧B面にあたるヘヴィなインプロ曲がどうも好きになれなかったが、
今聴き返すと、これはこれでしっかりプログレしているので案外悪くない。
クラシカル度・・9 美麗ストリングス度・・10 後半ヘヴィ度・・8 総合・・8
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NEW TROLLS 「Concerto GrossoThe Seven Seasons」
イタリアのプログレバンド、ニュートロルスのアルバム。2007作
イタリアンロックのクラシカルなサイドにおける頂点を極めた「コンチェルトグロッソ」の続編。
聴いてみての印象は、オーケストラとパンドとの融合が見事に自然になされている点。
かつてのパート1では、バンドサウンドの部分ではやや粗さがあったのだが、
今作においてはすべての音が完璧に楽曲にそった調和の中に存在していて、
実にスムーズに音に浸れるのだ。また、思いの他ギターが活躍しているのもポイントで、
ロックとしての躍動感がしっかりとあるのが素晴らしい。過去のグロッソ1、2を知らない方でも、
この素晴らしきクラシカルロックには感銘を受けずにはおかないだろう。
クラシカル度・・10 シンフォニック度・・9 プログレ度・・7 総合・・9
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BANCO DEL MUTUO SOCCORSO 「io sono nato libero」
イタリアのプログレバンド、バンコ・デル・ムトゥオ・ソッコルソの3rd。1973作
クラシカルで情熱的なサウンドを聴かせる、PFMとともにイタリアンロックを代表するバンド。
本作「自由の扉」は、アコースティカルで叙情的なメロディと、激しめの展開を含んだ、
15分の大曲で幕を開ける。全体的には、1st、2ndよりはやや落ち着いたサウンドで、
演奏にはバンドとしての余裕のようなものが感じられる。もちろんクラシカルなピアノに、
美しいシンセワーク、そしてジャコモ氏の見事なヴォーカルが映えるナンバーもあり、
バンドの代表作の1つというに足る内容だ。イタリア臭く濃密な2nd「DARWIN!」もぜひ。
クラシカル度・・8 プログレ度・・8 イタリア度・・8 総合・・8
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BANCO 「BANCO」
イタリアのプログレバンド、バンコのアルバム。1975作。邦題「イタリアの輝き〜バンコ登場」
このバンドの場合、イタリアのバンド特有の濃密さと癖の強さが魅力でもあると思うのだが、
本作は世界進出を狙った英語版アルバムで、いい意味でとても聴きやすい音になっている。
時期的には3rd「自由への扉」の後のアルバムで、メロディアスさとプログレ性のバランスも良く
また従来よりもギターが活躍しており、ロックとしてのダイナミズムも増しているように感じられる。
過去のリメイク曲もよりシンフォニックになっていて、音のきらめきが心地よく伝わってくる、
プログレ初心者にも勧められるとても素晴らしい作品だと思う。
クラシカル度・・8 シンフォニック度・・8 イタリア度・・7 総合・・8.5
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IL ROVESCIO DELLA MEDAGILA 「Contaminazione」
イタリアのプログレバンド、RDMことロベッショ・デッラ・メダーリャのアルバム。1973作
「汚染された世界」と題された本作は、このバンドのキャリアの中でも異色ともいうべき
壮麗なクラシカル作品となっている。ルイス・エンリケス・バカロフをプロデューサーに迎え
バッハの曲をモチーフに、オーケストラを大胆に取り入れたサウンドは華麗にして濃密。
きらびやかなシンセに典雅に鳴り響くチェンバロ、躍動するリズムと泣きのストリングス、
そこにイタリア語の歌唱が合わさり感動的に盛り上げてゆく。
まさにイタリアからしか出て来ないバロックな傑作である。
クラシカル度・・9 プログレ度・・8 イタリア度・・9 総合・・9
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PAOLO RUSTICHELLI-CARLO BORDINI 「OPERA PRIMA」
イタリアのクラシカルロックユニット、ルスティッキエリ & ボルディーニのアルバム。1973作
当時16歳の鍵盤奏者パウロ・ルスティッキエリと、ドラマーのカルロ・ボルディーニによるデュオで
のっけから壮大なメロトロンが鳴り、アープシンセによる分厚いキーボードサウンドが度肝を抜く。
美しいメロトロンをバックに端正なピアノが美しいスローパートにうっとりする、この1曲目は
イタリアンロックにおいて最高のメロトロン曲といってもいいだろう。2曲目以降は歌入りで、
パウロの歌う無骨な声質が残念。もしいいVoが歌っていたら比類なき名作として語られたであろう。
まあ欠点のヴォーカルを差し引いても、必聴クラスのアルバムであるには違いない。
とにかく、クラシカルなピアノに重なるメロトロンの叙情美は素晴らしいのひと言である。
クラシカル度・・8 シンフォニック度・・9 イタリア度・・9 総合・・8.5
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QUELLA VECCHIA LOCANDA 「Il Tempo Della Gio」
イタリアンロックの名作、クエラ・ヴェッキア・ロカンダの2nd。1974作。邦題「歓喜の時」
昔から「泣きのストリングスを聴くにはこの作品ね」、と言われてきたほどの名作だ。
イントロのクラシカルなピアノも美しいが、続いて入って来るアコースティックギターと
泣きのヴァイオリンの絡みはまさに絶品。そして盛り上がりでの大叙情にはただうっとり。
ここまで泣きの叙情を聴かせてくれるヴァイオリン入りロックはそうあるものではない。
やや粗削りだった1stに比べ、音自体が洗練されたこのアルバムは、
バンドとしてのアンサンブルも見事で、ラストのヘヴィな大曲2曲も聴きどころだ。
クラシカル度・・9 イタリア度・・8 泣きのヴァイオリン度・・10 総合・・8.5
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OPUS AVANTRA 「Introspezione」
イタリアンロックの輝ける芸術、オパス・アヴァントラの1st。1974作
アヴァンギャルドな感性と気高さ、繊細かつ張りつめたような美意識、
ピアノの一音さえもが空気を描きだすような意志をもっている。
そして、歌姫ドネラ・デル・モナコの崇高な歌声が胸を打つ。
クラシックを基盤にしつつ、ここまで革新的な音楽をいったい誰が創造できるだろう。
この時代、この国からでしか決して生まれえなかった音楽である。
プログレッシブロックを芸術とするのなら、本作こそまさにそれを体現した作品だ。
続く2nd「Lord Cromwell」とともに、イタリアの奇跡ともいうべき名作である。
クラシカル度・・9 アヴァンギャル度・・9 芸術度・・10 総合・・9
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METAMORFOSI 「PARADISO」
70年代に2枚のアルバムを残したイタリアンプログレバンド、メタモルフォシの復活作。2004作
キーボードプログレの傑作とされた「INFERNO」から30年余、本作はその続編ともいうべき内容で
イタリアらしい熱情をともなった歌声は瑞々しく、かつての作品よりもオペラティックでさえある。
他のメンバーは変わっても、キーボードのこのクラシカルなセンスは、やはりメタモルフォシ。
音色が現代的になった分、クラシカルシンフォとしてのサウンドがよりくっきりとなった。
押しだけでなく、たおやかなピアノパートやアコギなどの音色も美しく、
名バンドへの贔屓目を抜きにしてもクラシカル系イタリアンシンフォの傑作である。
クラシカル度・・8 シンフォニック度・・9 イタリア度・・9 総合・・8
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TONY CARNEVALE 「LIVEROCK SYMPHONIC CONCERT」
元RDMのKEY奏者、トニー・カルネヴァーレのライブアルバム。2003作
ソロ活動後のクラシカルな音楽性は、イタリアのロバート・ジョン・ゴドフレイ(ENID)かというほど。
このライブ作では1995年作のソロ2作目「LA VITA CHE GRIDA」からの曲を中心にしつつ、
のっけから「展覧会の絵」で攻めてくるあたりが、いかにもプログレリスナーを意識した憎い構成。
優雅でクラシカルなスタジオ版に比べ、ライブ演奏ではギターやドラムもかなりロックしており、
イタリア然とした躍動感に満ちた熱い演奏が繰り広げられている。
また、BANCOのジャコモ氏も歌入り曲で参加している。
クラシカル度・・9 シンフォニック度・・8 熱情度・・9 総合・・8
◆ドイツ、オランダ、フランス、スペイン、北欧、さらにイスラエル!
TRIUMVIRAT 「OLD LOVES DIE HARD」
ドイツのプログレバンド、トリアンヴィラートの4th。1976作
キーボードプログレとしてよく比較されるELPよりはずっとポップでキャッチーなサウンドで、
本作は3rd「SPARTACUS」とともに彼らの代表作といえるアルバムだ。
初期にあったELP色はほとんどなくなり、弾きまくりを抑えた、じつに美しくメロディアスなシンフォ作品。
個人的にはむしろこちらのほうがこのバンドにとっては自然な感じでよろしいのではとも思う。
ギターがないのに音の薄さを感じさせないのは、キーボードの重ね方のセンスと、
無駄のない楽曲構造によるものだろう。キャッチーな曲、繊細なピアノ曲、壮大なシンフォニック曲と
それぞれに焦点が絞り込めているのが見事だ。繊細でポップ、しかもシンフォニックな傑作。
クラシカル度・・8 シンフォニック度・・9 繊細かつキャッチー度・・9 総合・・8.5
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TRACE
オランダのプログレバンド、トレースの1st。1974作
EKSEPTIONで活躍したリック・ヴァン・ダー・リンデン率いるクラシカル・キーボードロックバンド。
これでもかとばかりにクラシカルに弾き鳴らされるオルガンにメロトロンがかぶさり、
素朴でありつつもコテコテという、聴いていて思わずにやにやしてしまうサウンド。
オランダらしいメロディへのこだわりと、良い意味での分かりやすい大衆感覚があり、
ELPのストイックさに比べて肩肘張らすに楽しめます。ドイツのTRIUMVIRATと並ぶ鍵盤プログレの代表。
2nd「鳥人王国」はよりスタイリッシュに構築される傑作ですが、まずは熱きクラシカルロックの本作から。
クラシカル度・・9 ハモン度・・9 コテコテ度・・9 総合・・8.5
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Canarios 「Ciclos」
スペインのロックバンド、カナリオスのアルバム。1974作
もともとこのLos Canariosは、60年代にBeat Pop/Rockバンドとして結成されたのであるが、
いったいどういう経緯があったのか、突如ヴィヴァルディの「四季」をロック化した驚異の名作を生み出した。
なにやらたたごとではないイントロから、オペラティックな女性声が歌いだし、まるで生まれ落ちるかのように
“春”のテーマが始まると、壮麗にしてクラシカルなサウンドがすべてを支配する。
きらびやかなシンセにオーケストラルなストリングスが合わさり、ギターが叙情メロディを重ねる。
この躍動感、ダイナミズムといったら、冬眠していた動物たちもいっせいに目を覚ますに違いない。
クラシックのロック化という点でも歴史的な作品であり、完成度という点でも奇跡的なアルバムだ。
クラシカル度・・10 シンフォニック度・・9 大仰度・・9 総合・・9
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Jean-Pierre ALARCEN 「TABLEAU N 1 + Same」
フランスのSANDROSEのギタリスト、ジャン・ピエール・アラルサンの初期ソロ作。1978/1979作
3つの楽章からなるTABLEAU 1は本格的なロックシンフォニーで、
自身のギターをモチーフにしながらオーケストラ風にアレンジされた壮大な組曲。
クラシカルでシリアスな緊張感は英国のTHE ENIDなどに通じるものを感じさせる。
3曲目以降は1stソロ作の曲で、こちらはギターを中心としたジャジーなロックアンサンブル。
どちらもクラシックに裏打ちされたジャンのギターワークが堪能できる逸品。
クラシカル度・・9 シンフォニック度・・8 プログレ度・・7 総合・・8
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CLEARLIGHT 「Infinite Symphony」
フランスのシンフォニックロックバンド、クリアライトのアルバム。2003作
事実上Cyrille Verdeauxのソロバンドといってよいだろうが、今作は1975年作の
「Clearight Symphony」の続編ともいうべき内容で6楽章からなる長大な作品。
たおやかなピアノの上をヴァイオリンとサックスが交わる第一楽章は、クラシカルなジャズロックともいうべき
軽やかなサウンド。変わってしっとりとした第二楽章では繊細なフルートの音色が美しく、
楽曲は徐々にシリアスに盛り上がってゆく。第三楽章ではヴォーカルも入って、シンフォニックさを増してゆき、
THE ENIDを思わせる第五楽章では、まさにクラシカルシンフォニーという優雅さが包み込む。
昨今のシンフォバンドのようなキャッチーさはないが、構築されたシンフォニックロックが楽しめる。
クラシカル度・・8 シンフォニック度・・8 構築美度・・9 総合・・8
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ISILDURS BANE 「Cheval-Volonte de rocher」
スウェーデンのシンフォニックロックバンド、イシルドゥルス・バーネの5th。1989作
初期はいかにも北欧らしい繊細なシンフォニックロックをやっていたが、
3rdあたりから管楽器を取り入れるなど、クラシカルなアプローチを加え、
本作においては、そうしたチェンバーロック的なシリアスさが前に出した傑作を作り上げた。
昨今のバンドのようにシンセに頼ることなく、オーケストラパートのように管弦楽を巧みに使い、
シンフォニックに構築してゆくサウンドは、静と動のメリハリとともにクラシカルな優雅さを漂わせる。
フェルディナンド・シェヴァルという一人の郵便配達員が長い年月をかけて独力で建設したという、
実在する芸術的建築物をテーマにしたコンセプト作。次作「The Voyage」も同様に壮大な傑作である。
クラシカル度・・9 シンフォニック度・・8 優雅度・・9 総合・・8.5
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PAR LINDH PROJECT 「VENI,VIDI,VICI」
スウェーデンのシンフォニックロックバンド、パル・リンダー・プロジェクトの3rd。2001作
荘厳なイントロに続くのはかつてのELPもかくやというキーボードサウンド。
クラシックの基盤に裏打ちされたシンセワークは、フレーズの一つ一つに説得力があり、
手数の多いドラムもなにやらメタル的なツーバスなどを使ったりと面白い。
毎回オーケストラやストリングスなどのゲストで分厚い音を作り出す彼らだが、
今回は基本的にはバンドでの演奏というものにこだわっているようで、音数は意外にシンプル。
ヴァイオリンも弾きこなすマグダレーナ嬢のVoが曲にアクセントをつけている。
全体としてクラシカル、シンフォニックでありながら北欧らしさを失っていないのが素晴らしい。
クラシカル度・・9 シンフォニック度・・8 北欧度・・8 総合・・8
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KOTEBEL 「Omphalos」
スペインのシンフォニックロックバンド、コテベルの4th。2006作
過去3作ともクラシカルなシンフォニックロックの好作であったが、今作もじつ格調高い
クラシカルシンフォの傑作となった。美しいピアノにオペラティックな女性ヴォーカル、
たおやかなフルートにかぶさるメロトロン、気品すらあるクラシカルな雰囲気と、
シリアスな静謐感が一体となり、かつてのイタリアンロックにあったような懐の深さも感じさせる。
フルートが舞う躍動的でメロディアスな部分は、CAMALやFOCUSをも思わせ、
ときに嫌味でない程度に弾き鳴らされるキーボード、そしてメロウなギターワークも聴きもので、
ゲストによるチェロも加わってゆるやかに盛り上がってゆく30分の組曲は圧巻だ。
クラシカル度・・9 シンフォニック度・・8 プログレ度・・8 総合・・8.5
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TRESPASS 「Morning Lights」
イスラエルのプログレバンド、トレスパスの2nd。2006作
驚愕のクオリティの傑作であった前作「IN HAZE OF TIME」に続く期待の2作目。
NICEかTRACEかという、素晴らしいキーボードロックサウンドはそのままで、
国名を知らずに聴けば、あるいは英国あたりのバンドかと思われそうなほど。
メロディには古典的なバロックの香りが感じられ、リズム面を含めての確かな演奏力に加え、
西洋的センスのアレンジ力も見事で、総じて音には気品と優雅さとが漂っている
フルートの音色も美しく、クラシカルなエッセンスが満喫できるキーボードプログレの傑作だ。
シンフォニック度・・8 クラシカル度・・9 キーボー度・・9 総合・・8.5
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◆東欧の本格派クラシカルロック〜リトトラ、アフタークライング!
STERN MEISSEN 「Weisses gold」
旧東ドイツのシンフォニックロックバンド、シュテルン・マイセンの2nd。1978作
東西ドイツの統合前、東側では独自に進化したクラシカルなロックバンドが多数存在した。
“錬金術”と題された本作の37分の大曲は、東欧的な硬質感とクラシカルなメロディを有した
キーボードメインのシンフォニック曲で、シリアスに進行してゆく構成力が見事である。
ヴィヴァルディの“四季”をアレンジしたボーナス曲もなかなかのもので、
4th「内的宇宙の旅」と並んでバンドの最高傑作とされるアルバムだ。
クラシカル度・・8 シンフォニック度・・8 キーボー度・・9 総合・・8
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AFTER CRYING 「6」
ハンガリーのシンフォニックバンド、アフター・クライングの6作目。1998作
ELPの東欧版という過去作のイメージから進化を遂げ、本作では重量感、密度を増したという印象で、
ELPと共に、彼らがKING CRIMSONをもルーツにしていることをはっきりと感じさせる。
従来のクラシック要素は、よりロック的ダイナミズムとの深い融合を果たし、「シンフォニー」とさえ
いってよい優雅なクラシカルパートから一転、ドラム、ギターが入るヘヴィパートでの躍動感は
よりくっきりとしたコントラストとなって、長大な組曲2つを含む楽曲にメリハリを加えている。
5人のメンバーに加え、管楽器隊など10人以上のゲストによる大がかりなシンフォニックサウンドは
室内楽的イメージも加わり、「CHEVAL」以降のISRDURS BANEに通じるものを感じる。重厚な傑作。
クラシカル度・・8 シンフォニック度・・8 重厚度・・9 総合・・8.5
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After Crying 「Struggle for Life」
ハンガリーのシンフォニックロックバンド、アフター・クライングのライブアルバム。1999作
KING CRIMSON、ELPなどから影響を受けたシリアスなプログレ感覚と
アカデミックなクラシカル要素を融合させ、スケールの大きなサウンドを聴かせる彼らだが
本作の前半は、ピアノをはじめ、サックス、フルート、オーボエ、トランペット、チェロなどによる、
ほとんどクラシックのコンサートのような曲が多く、プログレとして聴くとやや拍子抜けする。
しかしながら、この本物のクラシックの素養こそがこのバンドの持ち味であり、
優雅さと硬質感の狭間にあるバランスが見事なのだともいえる。
Disc1のラストには、ジョン・ウェットンをゲストに迎えての“Starless”も収録。
クラシカル度・・9 プログレ度・・7 ライブ演奏・・8 総合・・8
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TOWNSCREAM 「MAGYVAROSI IKONOK」
AFTER CRYNGのKey、VEDRES CSABAのバンド、タウンスクリームのアルバム。1997作
のっけからクラシカルなピアノと変拍子による東欧らしい硬質感のあるシンフォニック曲が炸裂。
全体的にはAFTER CRYINGのシリアスな静謐感を強めた作風で、
そういう点ではやはりISILDURS BANEあたりを彷彿とさせる所も大きい。
そんな中、Fで顔を出すELP風のメロディには彼のプログレ魂を感じる。
また、艶やかなピアノの音色には、本物のクラシックの香りもあり、
アカデミックなシリアス調シンフォニックとして聴けば素晴らしい作品だ。
クラシカル度・・8 シンフォニック度・・8 硬質度・・8 総合・・8
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RUMBLIN' ORCHESTRA 「THE KING'S NEW GARMENT」
ハンガリーのシンフォニックロックバンド、ランブリン・オーケストラの2nd。2000作
1st「SPARTACUS」において現代版TRIUMVIRATかRICK WAKEMANかELPかという、
素晴らしいキーボード・シンフォニックロック作品で颯爽と登場したこのバンド。
今回は「裸の王様」をテーマに、より壮大さを増したド級のクラシカルシンフォとなっている。
キーボードのみならず、ヴァイオリン、オーボエ、トロンボーンなどの管弦楽隊を導入し、
音の厚みに加え、クラシックな説得力も増している。このバンドの素晴らしいところは、
クラシックに裏打ちされた素養を持ちながらもシンフォニックロックとしてのキャッチーさがあり、
つまり大衆向けである点だ。たとえばAFTER CRYINGの方向性とは逆に、シリアスさよりも、
爽快さを追求した作風は、あらゆるクラシカルロック好きリスナーの胸を打つだろう。
クラシカル度・・8 シンフォニック度・・9 壮大華麗度・・10 総合・・9
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FUGATO 「Neander variations/variaciok」
ハンガリーのシンフォニックロックバンド、フガートのアルバム。2004作
バンドといっても、メンバーはヴァイオリン×2、チェロ、フルート、オーボエ、トランペット等含む
総勢17名という大編成で、ジャケのバンド名の下にある通り、まさに“オーケストラ”だ。
こうしたことから、どうしても思い出すのは、同郷のRUMBLIN' ORCHESTRAだが、
彼らに比べてもこちらの方がシンフォニー度が高く、サウンドは優雅にしてクラシカル。
ある意味、THE ENIDのように、オーケストラ曲をロック化とたものを聴いているような印象だ。
たたみかける大仰さやメロディの愉快さはRUMBLIN' ほどにはないが、
しっとりとした美しいフルート、オーボエなどの音色には聴いていてうっとりとなる。
クラシカル度・・9 シンフォニック度・・8 ロック度・・7 総合・・8
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LITTLE TRAGEDIES 「NEW FAUST」
ロシアのシンフォニックバンド、リトル・トラジェディーズの4作目。2006作
毎回、「超」がつくほどのド級のシンフォニック作を聴かせてくれるこのバンド、
この新作はタイトル通り、ゲーテの「ファウスト」を新解釈したコンセプト作で、
クラシックのメロディや古典の文献からの引用など、気合の入った大がかりなCD2枚組となった。
弾きまくりのキーボード、クラシカルかつ優雅なメロディ、むせび泣くギターに怒濤の盛り上がり。
どこを切っても、手抜きなしの濃密シンフォニックサウンドで大変気合入ってます。
そして、物語的に進んでゆく楽曲構成は、2枚組み作品としての流れも見事にかみ合っていて
まるで壮麗な古典絵巻を聴いているかのよう。血湧き肉躍るメロディの大洪水に顔がにやけっぱなし。
クラシカル度・・8 シンフォニック度・・9 ドラマティック度・・10 総合・・9
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Little Tragedies 「Cross」
ロシアのシンフォニックロックバンド、リトル・トラジェディーズのアルバム。2008作
8作目となる今作は無駄に紙ジャケの上、デザインもメンバー写真もダサイのだが、内容は最高。
ムーグにハモンドで弾きまくり鳴りまくりのシンセと、クサメロたっぷりのギターを中心に、
きらびやかに盛り上げまくりのシンフォニックロックがこれでもかと炸裂してます。
それでいて古くさいわけではなく、しっかりと楽曲としてよくできているというのは、
基本に作曲センスの良さがあるからなのでしょうな。濃厚な1曲目のあとは、
しっとりとした叙情を聴かせる曲もあり、クラシカルで優雅な趣もなかなか心憎い。
巻き舌ヴォーカルもいい感じです。19分の大曲含む72分のロマン大作。マイスペはこちら
クラシカル度・・8 シンフォニック度・・9 キーボー度・・8 総合・・8.5
LOST WORLD 「AWAKENING OF THE ELEMENTS」
ロシアのシンフォニックロックバンド、ロスト・ワールドの2nd。2006作
LITTLE TRAGEDIESに続きハイクオリティなバンドが登場。三人編成でDrは打ち込み、
オールインストながらヴァイオリン、フルート入りでクラシカルなメロディを奏でるサウンドは説得力充分。
一方、押すだけではなくアコースティカルな格調高さも有り、リトトラに比べて優雅さも備えている。
シリアスな雰囲気はAFTER CRYINGに通じる重厚さをかもしだしていて、
硬質感のあるピアノとエレクトリックヴァイオリンがハードシンフォな質感でたたみかける。
また、尖ったギターとフルートで聴かせる、ハードなSOLARISという感じの曲もあり、
案外幅広い音楽性を聴かせてくれる。今後の進化にも要注目のバンドである。
クラシカル度・・9 シンフォニック度・・8 楽曲・・8 総合・・8
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◆美しき南米のクラシカルシンフォ
MARCO ANTONIO ARAUJO 「LUCAS」
ブラジルのプログレ系アーティスト、マルコ・アントニオ・アラウージョの4th。1984作
前3作もいずれ劣らぬ素晴らしい出来だったが、ラスト作となる本アルバムもまさに絶品。
冒頭のピアノとフルートからしてもう絶品の美しさ。この繊細な音色ときたら…もう。
今作は16分の大曲を冒頭に、これまでのキャリアの集大成的な内容で、
クラシカルかつたおやかに聴かせる演奏は本当に素晴らしい。
アカデミックな細やかなアレンジと、メロディアスな聴きやすさのバランスも見事で、
CAMELの最良部を取り出してもかなわないほどの叙情美にはうっとりとなる。
後半の小曲もピアノやアコギなどが実に味わい深い。彼はこの作品を残して夭逝するが、
南米シンフォニックの名作として、もっと多くの人々に語られるべき内容だろう。
クラシカル度・・9 メロディアス度・・10 繊細度・・10 総合・・8.5
MARCUS VIANA 「TRILHAS & TEMAS」
ブラジル最高のシンフォニックロックバンド、SAGRADOのマルクス・ヴィアナのソロ。1992作
こちらはサントラではなく音楽として純粋な彼のソロアルバムで、
サグラドの静かな叙情美をそのまま取り出したようなサウンド。
クラシカルで格調高いが、どこか優しさを感じるヴィアナのヴァイオリンがたっぷり堪能できる。
クラシカルで室内楽的でありながら、自然体でシンフォニック。サグラドファンも満足の一枚。
ヴァイオリンはもちろんのこと、ヴィアナ自らが弾くピアノも実に美しい。
クラシカル度・・9 シンフォニック度・・9 たおやか度・・10 総合・・9
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ANACRUSA 「FUERZA」
アルゼンチンのクラシカル・フォルクローレバンド、アナクルーザの6th。1982作
ロック、プログレ、というよりはクラシカルな叙情派南米音楽といった方がいいのかも知れない。
オーケストラ、ストリングスによる盛り上がりや、熱情的な女性ヴォーカルが特徴的。
クラシカルでシリアスな部分はイタリアのOPUS AVANTAを思わせるが、
ゆったりとした壮大さと叙情はやはり南米特有のもの。たおやかなストリングスが良いかと思えば、
時にサックスやフルートが前に出たり、ゆるやかなピアノが心地よかったりと、うるさい音ではないのに
なかなかに密度が濃い。楽曲にはプログレ、シンフォファンにも届く躍動感があり、
今で言えばAFTER CRYINGのようなクラシカルなダイナミズムが堪能できる作品である。
クラシカル度・・8シンフォニック度・・7 シリアス度・・8 総合・・8
Jinetes Negros 「Omniem」
アルゼンチンのシンフォニックロックバンド、ジネテス・ネグロスの3rd。2007作
1曲めからRICK WAKEMANのようなクラシカルなシンセメロディが鳴り響き、
スペイン語の歌が入ってくると、とたんに南米テイストの音に早変わり。
ベースがブイブイのフュージョンロック的なテイストも入ってきたり、
王道シンフォニックのキーボードに、曲によってはフルート、ストリングスなども加わって、
なかなか派手やかなのだが、曲は長すぎず4、5分にまとめられているのもポイント。
濃密でありながらもさらりと聴けるあたりはRUMBLIN' ORCHESTRAにも通じるか。
そして、南米らしい繊細な叙情もしっかりとある。これはなかなか質の高い作品だ。
クラシカル度・・8 シンフォニック度・・8 南米度・・8 総合・・8
◆DVDも凄いのあります
NEW TROLLS 「Concerto Grosso Live」
イタリアのプログレバンド、ニュー・トロルスのライブDVD。2007作
30年ぶりとなる「Concerto Grosso」の続編を完成させ、奇跡の来日も果たしたこのバンド、
これはその、コンチェルトグロッソ1〜3を完全再現したイタリアでの凱旋ライブのDVDである。
美しいミラノの町並みの中の野外ステージで、オーケストラをともなったバンドが演奏をはじめ、
あのかつての名曲が、本物のストリングスの音色とともに再現されてゆく様はとても感動的だ。
薄暗い叙情のグロッソ1、明るくキャッチーな2、そしてグロッソ3はクラシカルなエッセンスと
プログレ/ロックとしてのダイナミズムが見事に融合された楽曲が素晴らしい。
壮麗なオーケストラに泣きのギターが絡み、盛り上がってゆくサウンドはゆるやかな感涙を呼ぶ。
かつての「Concerto Grosso」ファンはもちろん、全てのクラシカルロック/プログレファンに
勧めたいライブ作品だ。なお、DVDに加えCD2枚がついた限定版もあるので、ぜひそちらを買うべし。
クラシカル度・・9 ライブ映像・・8 ライブ演奏・・9 総合・・9
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ISILDURS BANE 「MIND vol.5」
スウェーデンのプログレッシブロックバンド、イシルドゥルス・バーネのライブDVD。2005作
彼らの一大コンセブトとなった「MIND」シリーズ。その映像作品がついに見られるときがきた。
まずイントロから音楽と映像とが一体化した、まるで映画のような演出で引き込まれる。
メンバーは女性チェリスト、男女Voを含む8人組(女性Voはギターも弾く)。キーボードはテレミンも使い、
ドラムの他にパーカッションもいて音が厚い。重厚な演奏には北欧らしいクールさと硬質感をただよわせつつ
男Voと女性2人(チェロとギター)が歌を重ねる部分ではしっとりとした温かみもある。
曲間に挿入される映像はツアードキュメンタリーにもなっているのだが、緻密な映像のコラージュが
非常にプログレッシブで、場面場面に何かの意味を想像させるような、ただならぬアートなセンスを感じる。
こうしてみると、彼らはバンドというよりも、ビジョンを映し出す音楽集団という趣があり、
非常に知的で緊張感のあるサウンドを構築しながら、これからも前進を続けてゆくに違いない。
最後のクレジットにいたるまで、作品としての作り込みが感じられる必見のDVD作品。
シンフォニック度・・8 ライブ演奏・・8 作品映像・・9 総合・・8.5
AFTER CRYING 「Live」
ハンガリーのシンフォニックロックバンド、アフター・クライングのライブDVD。2007作
2004年ブダペストでのステージを収録。アルバム「SHOW」からの楽曲を中心にしながら、
過去作からもたっぷりと演奏。すでに15年以上のキャリアがあるだけあって、メンバーは皆ほぼおっさん。
面白いのはシンセ奏者が三人もおり、一人は鍵盤専任だが、一人はトランペットを片手にシンセも弾き、
一人は普段はギターも弾いていて、ギターを下げたままでシンセも弾く。ベーシストがいきなりチェロに持ち替えたり、
いつのまにかフルート奏者がちゃっかりいたりと、曲によってバンドスタイルが変わるのが面白い。
クラシックの素養を感じさせる硬質でシリアスなアカデミックさと、ELPやKING CRIMSONなどからの
影響が垣間見得るプログレバンドとしてのマニアックさが絶妙に融合されているのが彼らの個性だろう。
東欧のバンドのライブ映像はそれだけでも貴重なので、内容の濃さも含めて見る価値あり。
クラシカル度・・8 ライブ演奏・・8 いろいろ濃いです度・・9 総合・・8
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