プログレCDレビュー 
PROGRESSIVE ROCK CD REVIEW 2017 by 緑川 とうせい

★2017年に聴いたプログレ(フォーク/トラッド・その他含む)CDレビュー
*過去のレビューは■CDレビューTOPから各ジャンル別に見られます

*メタル最新レビュー *注目の新譜コーナー


6/3
「スタイリッシュなプログレ特集」ページ作りました!(135)


MASCHINE 「Naturalis」
イギリスのハードプログレバンド、マシーンの2016年作
The Tangentにも参加していたギタリスト、ルーク・マシン率いるバンドの2作目で、新たに加入した女性シンセ奏者による
モダンなシンセワークと巧みなツインギターを乗せた、適度にハードな硬質感と知的な構築性で聴かせるサウンド。
エモーショナルなヴォーカルに女性コーラスを重ねた浮遊感と、テクニカルなギタープレイの対比も含めて、
いわゆるDjent風味のカラフルな技巧性と優雅な叙情性が交差する。オールドなプログレ要素がない分、
メロディックな部分でもあくまでクールな感触で、良い意味で無駄をそぎ落としたスタイリッシュなセンスが光っている。
とてもモダンな作風だが男女声のキャッチーな歌メロが心地よいナンバーもあり、ProgMetal的というよりは、
フュージョン的でもあるアーバンなセンスと軽妙な優雅さが魅力だろう。これぞ新時代のテクニカルプログレだ。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・8 モダン&スタイリッシュ度・・9 総合・・8
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David Foster 「Dreamless」
イギリスのミュージシャン、デヴィッド・フォスターの2016年作
Mr. SO & SOSteve Rothery BandPanic Roomなどでも活躍するギタリストで、
女性ヴォーカルの歌声を乗せた、アンニュイでモダンな翳りに包まれたメロディックロック。
オルタナ寄りのハードな感触もあったりと、全体的にプログレ的な要素は薄いのだが、
女性声を乗せた薄暗く淡々とした浮遊感とともに、うるさすぎない耳心地で楽しめる。
Dinet Poortmanという女性シンガーをメインヴォーカルに、Mr. SO & SOのシャーロット・エヴァンス、
Panic Roomのアン・マリー・ヘルダーがゲスト参加。スティーブ・ロザリーもギターで参加している。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・6 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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I AM THE MANIC WHALE 「Everything Beautiful in Time」
イギリスのプログレバンド、アイ・アム・ザ・マニック・ホエールの2015年作
叙情的なギターの旋律にオルガンやピアノを含む、やわらかな鍵盤アレンジを乗せて、
A.C.TIT BITESあたりを思わせるキャッチーで爽快なサウンドを聴かせる。
16分、21分という大曲も、あくまでメロディ主導で、マイナー臭さのない抜けの良さと、
適度にテクニカルな展開力で、優雅に構築してゆく。新人ながらそのセンスの良さは見事。
コーラスハーモニーの美しさでは、Moon Safariなどのファンにもアピールするだろう。
メロディ派のプログレハード&トランスアトラン系大好きリスナーは必聴の出来ですな。
メロディック度・・9 プログレ度・・8 爽快度・・9 総合・・8
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Steve Rothery Band 「Live in Rome」
Marillionのギタリスト、スティーヴ・ロザリーのライブ作。2014年作
2013年のイタリア、ローマでのステージを収録した2CD+DVDで、Panic Roomのデヴッド・フォスター、ヤティム・ハリミが参加
Disc1は、2015年のソロ作「Ghosts of Pripyat」からのナンバーを演奏、Disc2ではかつてのMarillionのナンバーも披露している。
スティーヴ・ロザリーの奏でるメロウなギターを中心にした、じっくりと聴かせる味わい深いインストサウンドが楽しめる。
ほとんどが10分を超えるナンバーだが、グルーヴィーなリズムアンサンブルと、デイヴ・フォスターとのツインギターによる、
哀愁に包まれた大人の叙情が耳に優しく、メロウなギターのトーンは、Steve Hackettにも通じる、ウェットな翳りと深みをまとっていて、
キャリアのあるメンバーたちの表現力ある演奏で飽きさせない。同日に共演したイタリアのRanestraneのシンセ奏者がゲスト参加。
Disc2では、ゲストの男女ヴォーカルが参加したマリリオンのナンバーや、RanestraneのナンバーにS・ロザリーが参加しての演奏も収録。
ライブ演奏・・8 プログレ度・・7 大人の叙情度・・9 総合・・8
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RanestRane 「A Space Odyssey - Part Two H.A.L.」
イタリアのシンフォニックロック、ラネストラーネの2015年作
スタンリー・キューブリックの「2001年宇宙の旅」をコンセプトにした前作の続編となるアルバムで、
スペイシーなシンセに導かれつつ、イタリア語のマイルドなヴォーカルが加わるとぐっとキャッチーな聴き心地になり、
途中に交信のSEなどを挟みつつ、クラシカルなピアノなどのやわらかな優美さと、ムーグシンセのプログレ感触が交差する。
繊細な叙情性とSF的なミステリアスな空気感が同居したサウンドは、前作で感じられたPINK FLOYD風味に比べると
よりシンフォ感が強まった印象である。コンセプト的なトータルな流れと、楽曲ごとの細やかなアレンジが合わさった、
見事なシンフォニック・プログレ作品だ。前作に続きMarillionのスティーブ・ロザリーがゲスト参加している。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 スペイシー度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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VIII STRADA「Babylon」
イタリアのプログレバンド、オッターヴァ・ストラーダの2015年作
7年ぶりとなる2作目で、前作はいくぶんメタリックな感触も含んだハードプログレであったが、
本作は泣きのギターにクラシカルなピアノが重なり、イタリア語の歌声を乗せた叙情豊かなサウンドに変化した。
変則リズムを含んだ切り返しは、いくぶんアヴァンギャルドであるが、イタリアらしい美意識を感じさせる空気感に、
ツーバスを使用したドラムやときおりハードエッジなるギターなど、プログレメタル的に楽しめる部分もある。
タイトル曲である10分の大曲も、エキセントリックなセンスを含んだスリリングな展開力に、美しいピアノの旋律が合わさって、
古き良きイタリアンロックの混沌とモダンなシンフォニック性が交差する。新時代のイタリアン・ハードプログレというべき力作だ。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 イタリア度・・8 総合・・8
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HAWKWIND 「Blood of the Earth」
イギリスのサイケロック、ホークウインドの2010年作
1970年デビュー、活動40年を超えて現在も旺盛に活動を続ける大ベテラン。
本作はコンセプトストーリー的なSEから始まり、スペイシーなシンセアレンジに
グルーヴィなベースとハードなギターを重ねた厚みのあるサウンドで、
スケール感のあるサイケロックを展開する。アッパーなノリの一方では、
メロウなギターを奏でるシンフォニック寄りの叙情的な部分もあって、
往年の世界観を思わせる音の強度が味わえる。これぞホークスという快作です!
ドラマティック度・・7 スペイシー度・・8 壮大度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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BALTIK
スウェーデンのジャズロックユニット、バルティックの1973年作
ジャズ系のギタリスト、Jan Schafferを中心に、Bjorn Jason Lindh、LIFEのAnders Nordh、Paul Sundlin
さらには元QUATERMASSのJohn Gustafsonなど、多数のミュージシャンが参加、
ハード寄りのギターを乗せたインストナンバーから始まるが、その後は美しいピアノに女性ヴォーカルの
しっとりとしたナンバーや、男性ヴォーカルのフォーク風味のナンバーなど、ジャズタッチの優雅さや
アコースティックな牧歌性に包まれた味わいながら、ブルージーなギターが入ったノリのよいロックナンバーも現れて、
なかなか楽しめる。男女Voの歌唱力も含めて演奏陣のレベルも高く、一級品の作品に仕上がっている。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・6 ジャズ&ブルーズロック度・・8 総合・・8

Hidden Lands 「Halcyon」
スウェーデンのプログレバンド、ヒドゥン・ランズの2016年作
VIOLENT SILENCEから分派したバンドの3作目で、テクニカルなアンサンブルと、
やわらかなシンセアレンジにマイルドなヴォーカルを乗せた、軽妙なプログレサウンド。
古き良きヴィンテージ感とポストプログレ風味の繊細さが融合し、カンタベリー的でもある優雅な耳心地で、
10分を超える大曲なども、適度にスリリングでミステリアスな感触を含ませながらじっくりと構築される。
シンセ兼任のギター奏者も、随所に味のあるフレーズやハード寄りのプレイでインストパートを彩っていて、
決してシンフォすぎたり濃密にならないクールな部分が、ある意味ではとてもモダンで、
テクニカルなポストプログレとしても楽しめるところもある。センスの良さが魅力のバンドです。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・8 優雅度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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Airbag「Disconnected」
ノルウェーのプログレバンド、エアバッグの2016年作
前作はドイツのSylvanあたりに通じる薄暗系の好作であったが、4作目となる本作もメロウなギターワークに
うっすらとしたシンセアレンジで、Pink Floydルーツのモダンな翳りを含んだ空気感に包まれたサウンドだ。
ますます「Kscope化」したというか、Gazpachoなどにも接近したような、薄暗い叙情と耳触りの良さで、
ポストプログレ的な繊細な聴き心地にゆったりと浸れる。随所にギターの泣きのフレーズもよろしく、
シンセによる適度にシンフォニックな味付けが、プログレとしての魅力もしっかり残している。
もはや新鮮味はないものの、このバランス感覚とマイルドな心地よさで、じわじわと染み入るように味わえる。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 薄暗度・・8 総合・・8
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FATAL FUSION 「TOTAL ABSENCE」
ノルウェーのプログレバンド、フェイタル・フュージョンの2016年作
前作は古き良き英国テイストのハードプログレであったが、3作目となる本作もハード寄りのギターに
朗々としたヴォーカルの歌声とオルガンやムーグを含むシンセアレンジで、どっしりとしたサウンドを聴かせる。
ヴォーカルの枯れた味わいの声質は、MAGNUMなどの英国プログレハードを思わせるところもあり、
ハードロック、ヴィンテージロックのファンにも受けそうな感触だ。メロディックなインストナンバーや、
メロトロンが鳴り響き、メロウなギターとともに北欧らしい哀愁の叙情に包まれたナンバーなども味わいがある。
11分、15分というアルバム後半の大曲は、オルガン、メロトロンとともに適度なハードさを含んでじっくりと盛り上げる。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 哀愁の叙情度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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Seven Impale 「CONTRAPASSO」
ノルウェーのプログレバンド、セヴン・インペイルの2016年作
2014年にデビューして本作が2作目になる。ハードエッジなギターなオルガンを乗せて、
サイケロック的なアッパーな浮遊感と、ヴィンテージなアナログ感に包まれたサウンドを描く。
ロックとしてのノリの良さはMotorpsycho的でもあるが、バリトンのヴォーカルが独特の味わいで、
シアトリカルな濃密さに加えて、フリーキーなサックスが吹き鳴らされるなど、アヴァンギャルドな異色さも匂わせる。
不思議なスケール感とテンションの高さの一方で、メロトロンを含んだシンフォニックな音の厚みも魅力的だ。
ラストの大曲は、インストによるスペイシーなサイケロックで、この路線から次回作がどうなるのか気になるところ。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 サイケでアヴァンギャル度・・8 総合・・8
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Octopie 「The Adventure of Harry and Walrus Kane」
ノルウェーのプログレバンド、オクトパイの2015年作
ムーグやオルガンを含むヴィンテージなシンセアレンジに、キャッチーなメロディアス性で聴かせる、
MAGIC PIEあたりに通じる軽快なプログレサウンド。Moon Safariあたりにも通じるやわらかな歌もの寄りの部分と
わりと唐突な展開もあったりするB級的な未完成感がなかなか面白い。コンセプト作らしいシアトリカルな雰囲気も随所に感じさせつつ、
裏声を使ったヴォーカルを乗せて、QUEENなどを思わせる優雅なメロディや、ときに70年代オールドロックの感触も覗かせたりと、
気づけばアルバム後半に差し掛かっているという楽しい作風であるが、メロディや楽曲そのものにもう少し魅力が欲しい気もする。
GENESISの「魅惑のブロードウェイ」あたりがお気に入りの方には、きっとお薦めできるキャッチーなトータル作品だ。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 優雅でキャッチー度・・8 総合・・7.5
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5/27
力作多数プログレの春(122)


Il Tempio Delle Clessidre「Il Ludere」
イタリアのプログレバンド、イル・テンピオ・デッレ・クレシドレの2017年作
女性シンセ奏者、エリサ・モンタルドを中心に、古き良きイタリアンプログレの濃密な空気感を描き出すバンド。
1作目は、Museo Rosenbachのステファノ・ルポ・ガリフィが参加したことでも話題になったが、3作目となる本作には、
元ANGLAGARD、現在はWHITE WILLOW、NECROMONKEYでも活躍するマティアス・オルソンがドラムで参加している。
オルガンやムーグを含んだやわらかなシンセに、メロディックなギターとイタリア語によるヴォーカルを乗せ、
軽やかなアンサンブルで70年代ルーツの叙情性をかもしだすサウンドは、すでに円熟の域というべき聴き心地。
優雅で落ち着いたナンバーが主体ながら、厚みのあるシンセアレンジと泣きのギターでここぞと盛り上げるのはさすがで、
伸びやかなヴォーカルの表現力も含めて、中期のBANCOにも通じる堂々たる作風である。これぞイタリアのプログレ!
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 イタリア度・・9 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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Elisa Montaldo 「Fistful Of Planets Part I」
Il Tempio Delle Clessidreの女性シンセ奏者、エリサ・モンタルドのソロ。2015年作
古き良きイタリアンプログレの世界観を描く、イル・テンピオ~に比べて、こちらはジャケの雰囲気からも窺えるように
いくぶんゴシックテイストの雰囲気に包まれたアンビエントな作品。ネオフォーク的な優美な味わいに、
エリサ嬢の繊細なタッチのピアノにやわらかなシンセが、しっとりと幻想的な世界観を描いてゆく。
ロック色は薄いのでプログレとして聴くには退屈かもしれないが、彼女の美しい歌声を乗せたナンバーも含め、
ゆったりとした優美なサウンドが楽しめる。マティアス・オルソンがドラムやメロトロンでゲスト参加している。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・6 しっとり度・・8 総合・・7.5
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Biglietto Per L'Inferno 「Vivi.Lotta.Pensa」
イタリアのプログレバンド、ビリエット・ペル・リンフェルノの2015年作
2009年の復活作は、女性声入りのフォークロックという作風であったが、本作もやわらかなフルートの音色に
バグパイプ、アコーディオンなどを含むフォーク風味と、女性ヴォーカルのイタリア語の歌声を乗せた、
キャッチーなサウンドが広がってゆく。マンドリンやアコースティックギターなどの素朴な牧歌性に、
クラシカルなピアノ、ヴァイオリンも加わると、PFMにも通じる優雅な感触で、地中海的な繊細な叙情に包まれる。
一方で、10分を超えるナンバーでは、適度にエキセントリックな展開も含めて、随所にハードな部分も覗かせた
メリハリのある聴き心地で楽しめる。70年代の作風とはほぼ別物であるが、この方向性では着実に深化を遂げた力作だ。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 優雅な叙情度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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SPETTRI 「2973 La Nemica Dei Ricordi」
イタリアのプログレバンド、スペテッリの2015年作
結成は60年代というバンドで、本作は40数年ぶりとなる復活作。ハード寄りのギターにオルガンが重なる、
古き良きイタリアン・ヘヴィプログレを継承するスタイルで、イタリア語のヴォーカルを乗せて
シアトリカルで妖しい世界観を描くような濃密なサウンド。鳴り響くサックスをオルガンが包み込み、
ダーティなヴォーカルを乗せたハードロック寄りの荒々しさも覗かせつつ、イタリアらしい混沌とした感触と
幻想ホラー的な空気感をかもしだす。メロウなギターにフルート、ピアノによる叙情性も随所にあって、
メリハリのある展開力もさすがベテランの味わいだ。IL TEMPIO DELLE CLESSIDREのElisa Montaldoがゲスト参加した
女性声入りのしっとりとしたナンバーも良いアクセントになっている。これぞイタリアという濃密な力作である。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 イタリア度・・9 総合・・8
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SILVER KEY 「The Screams Empire」
イタリアのシンフォニックロック、シルヴァー・キーの2015年作
前作はARENAあたりを思わせる英国ポンプロックルーツのシンフォニックロックであったが、
今作はジャケからしてSFファンタジー的なコンセプト作なのだろうか。適度にハードな感触のギターに、
美しいシンセとマイルドなヴォーカルを乗せた、メロディックなプログレハード風味のサウンド。
随所にメロウなギターフレーズやプログレらしいシンセワークも覗かせて、やわらかな叙情とともに
シンフォニックロックとしての魅力もしっかりと感じさせる。ヴォーカルの声質も含めてIQあたりに通じる雰囲気もあり、
モダンでスタイリッシュなアレンジは、イタリアというよりはやはり英国のバンドに近いだろう。
全体的にはもう少し盛り上がりが欲しい気もするが、PENDRAGON、ARENA、IQなどが好きな方はぜひ。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 叙情度・・8 総合・・8
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Big Big Train 「A Stone's Throw from the Line」
イギリスのプログレバンド、ビッグ・ビッグ・トレインのライブ。2016年作
90年代初頭にデビューし、いまや英国を代表するメロディック系プログレバンドとなった。
本作は2015年の英国公演を収録した2CD。女性ヴァイオリン奏者にシンセ奏者2人を含む8人編成で、
近年のアルバムからのナンバーを中心に、キャッチーなメロディと繊細な叙情性が合わさった、
英国らしいメロディックロックを聴かせてくれる。ときにトランペット、ホルン、トロンボーンなどのブラスセクションも加え
音の厚みとベテランらしい確かなアンサンブル、味わいのあるヴォーカルも含めて、さすがというライブの表現力である。
ムーグやメロトロンなどプログレらしいシンセサウンドに、メロウなギター、そしてフルートのも色も加わった泣きの叙情と
湿り気のある哀愁も随所に覗かせつつ、10分前後の大曲を中心にドラマティックな展開力で描いてゆく。
ストリングスによるアレンジを含んだ16分の大曲の優雅な聴き心地にもうっとり。ファンは必聴のライブ作品である。
ドラマティック度・・8 ライブ演奏・・8 構築度・・9 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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Messenger 「Threnodies」
イギリスのプログレバンド、メッセンジャーの2016年作
二人のG&Voにシンセを含む5人編成で、やわらかなシンセにキャッチーなヴォーカルハーモニーで聴かせる、
Moon Safariあたりにも通じる繊細な聴き心地で、ときにポストプログレ的な浮遊感も含んだサウンド。
古き良きロックの優しいアナログ感に、どこか懐かしい匂いも感じさせ、適度に技巧的なアンサンブルを描き出しながら、
一方では、オルガン鳴り響く、Uriah Heepばりのヴィンテージなハードロック風味もあったりと、
70年代の英国ロック風味と繊細なアレンジで適度なモダンさを巧みに同居させるセンスも素晴らしい。
派手さはないが、なつかしくも新しい、新時代のヴィンテージプログレとしても楽しめる逸品です。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 ヴィンテージ度・・8 総合・・8
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GLACIER 「ASHES FOR THE MONARCH」
イギリスのシンフォニックロック、グレイシアの2015年作
結成は70年代というバンドで、美麗なシンセアレンジに枯れた味わいのマイルドなヴォーカルを乗せた
大人の叙情を漂わせる正統派のシンフォニックロック。メロウなギターにヴァイオリンが絡む、
優雅な美旋律と、Pallasあたりにも通じる英国らしいシンフォニックハードが合わさったという聴き心地。
技巧的な部分はないのだが、むしろ温かみのある幻想性で、やわらかな叙情美に浸ることができ、
ヴォーカルはときにジョン・ウェットンっぽくなって、結果としてASIA風味になったりと、80年代的なプログレハード感もある。
22分を超える組曲も、あくまで心地よいゆるやかさで、詰め込み過ぎていないところがかえって好感が持てる。叙情豊かな好作品。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・7 英国度・・8 総合・・8

Leafblade 「The Kiss of Spirit & Flesh」
イギリスのポストプログレ、リーフブレードの2013年作
AnathemaのDaniel Cavanaghを中心にしたユニットで、メロウなギターとマイルドなヴォーカルで聴かせる、
薄暗い叙情を聴かせるサウンド。アコースティックギターのつまびきに、ハードなギターも重なり、
ときにシンセによるオーケストレーションも加わったシンフォニックな感触もあって、なかなか楽しめる。
全体的にはやはり、Anathemaに通じる部分も多いので、取り立てて個性的というわけではないが、
曲によってはキャッチーなノリの良さや、アコースティカルな牧歌性なども含んでいて、わりとメリハリのある聴き心地。
ラストの10分を超えるナンバーも含めて、質の高さと安定のKscopeサウンドという点では、ポストプログレ好きはマストだろう。
ドラマティック度・・7 繊細度・・8 Anathema度・・8 総合・・8
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PROFUNA OCEAN「In Vacuum」
オランダのプログレバンド、プロフナ・オーシャンの2016年作
適度にハードなギターとオルガンを含むシンセアレンジに、マイルドなヴォーカルを乗せた、
キャッチーなプログレハードサウンド。ときにProgMetal的な重厚な感触も含みながら、
メロディックな叙情を前に出した作風は、アメリカのシンフォニックハード系にも通じるか。
ギターはときにハードロック寄りになったり、ときにメロウな旋律も奏でつつ、
うるさすぎないシンセアレンジとともに、ドラマティックにサウンドを彩っている。
一方では、HAKENなどを思わせるスタイリッシュなモダンさが前に出たナンバーなどもあり、
10分を超える大曲も濃密すぎない聴き心地で、バンドとしてのセンスの良さを感じさせる。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 スタイリッシュ度・・8 総合・・8
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BREEZE 「The King of The Forest」
ドイツのシンフォニックロック、ブリーズの2015年作
G&B&KeyとDr&Voという二人組のユニットで、フォーク風味の牧歌的なイントロ曲から始まり、
美しいシンセアレンジにマイルドなヴォーカルを乗せた、ゆったりとしたシンフォニックロックが広がってゆく。
物語的なコンセプト作なのだろう、ファンタジックな世界観に包まれた空気感が耳心地よい。
ドラムもヴォーカルもいくぶんアマチュア臭いのだが、演奏のつたなさを幻想の空気で補えるのが
シンフォニックロックの美点でもあり、ファンタジーを描き出す作り手の意気込みはしっかりと伝わってくる。
プログレ的な技巧や展開美は希薄だが、物語的な空気感で70分に及ぶシンフォニックロックの力作だ。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 叙情度・・8 総合・・7.5
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ILUVATAR 「From the Silence」
アメリカのプログレバンド、イルヴェイターの2014年作
1993年にデビュー、1999年の3作目を最後に解散したが、本作は20年ぶりとなる復活作。
ムーグやオルガンを含むきらびやかなシンセに、適度にハードなギターと枯れた味わいのヴォーカルを乗せ、
Yesなどにも通じるキャッチーでテクニカルな展開美を含んだ、古き良きスタイルのプログレサウンド。
Magellanあたりを思わせるハードプログレ的な質感や、Neal Morseのような大人の叙情をかもしだしつつ、
曲によっては、Echolynなどの玄人好みのプログレ性も感じさせたり、ときにアコースティックな牧歌性も覗かせる。
派手さはないが、確かな構築センスでじっくりと楽しめる大人のプログレを描く、意義ある復活作である。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 大人の叙情度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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CASTLE CANYON 「Criteria Obsession」
アメリカのプログレバンド、キャッスル・キャニオンの2015年作
結成は70年代というバンドで、シンセ奏者のエリク・イアン・ウォーカーを中心にしたトリオ編成。
本作は70年代の楽曲をリメイクしたアルバムのようで、ハモンドにアープ、コルグ、ヤマハDX-7といった
往年のシンセを鳴らし、ブルージーなギターを絡ませた、いかにも70年代英国オルガンロック的なサウンド。
初期のEL&PやTRACEにギターが加わったような感触というか、オルガンとギターを主体にしたインストメインながら、
ときにアメリカらしいキャッチーなメロディアス性も覗かせたり、ヴォーカルの入った叙情的なパートもあって飽きさせない。
13分、14分という大曲なども、適度にエキセントリックなセンスと偏屈な展開力も含めて、なかなかの力作である。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・8 オルガン度・・8 総合・・7.5
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Proto-Kaw 「Early Recordings from Kansas 1971-73」
アメリカのプログレバンド、プロト・カウの2002年作
のちにKANSASを結成する、ケリー・リヴグレンが率いるバンドの1971~73年に録音された未発音源のCD化。
オルガンが鳴り響き、マイルドなヴォーカルにサイケがかったギター、ピアノにサックスの音色が絡む、
70年代英国アートロックを手本にしたようなプログレサウンド。のちのKANSASのようなキャッチーな抜けの良さではなく、
どこかくぐもったような叙情性がマイナーな感触となっていて、アメリカンプログレ黎明期の混沌とした偏屈さも感じさせる。
ときにフリージャズ的でもあるアヴァンギャルドな緊張感や、やわらかなフルートの叙情ナンバーなど、10分を超える大曲も多く、
KANSASとは別に、このバンドがこのまま進化していったらどうなったろうかと思わせるだけの内容である。
なお、Proto-Kawは2004年に再結成し、2作のアルバムを発表している。どちらもプログレハード的な好作品である。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 KANSAS度・・7 総合・・8
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Sambara 「Asomandose」
アルゼンチンのプログレバンド、サンバーラの2013年作
きらびやかなムーグシンセにメロウなギター、しっとりとしたピアノによるインストナンバーで幕を開け、
続く2曲目からは、スペイン語の歌声を乗せたキャッチーなメロディックロックが広がってゆく。
アルゼンチンロック特有のおおらかな叙情性に、プログレらしいシンセアレンジを加えた、
牧歌的でやわらかなサウンドにのんびりと浸れる。曲によっては変拍子も含んだ軽快なアンサンブルに、
Moon Safariを素朴にしたようなコーラスハーモニーも現れて、メロディ派のリスナーならとても楽しめる。
南米らしい繊細な美しさと、キャッチーなメロディアス性に、ほどよいプログレ感触を加えた好作品。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 キャッチー度・・8 総合・・8
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William Gray 「Silentio」
アルゼンチンのハードプログレバンド、ウィリアム・グレイの2012年作
適度にハードなギターとシンセアレンジ、マイルドなヴォーカルを乗せ、
ときにProgMetal的なテクニカルな構築力も含んだコンセプトアルバム。
メタリックでモダンな感触と、シンフォニックなアレンジが合わさった重厚な聴き心地ながら、
一方では、ピアノやアコーディオンなどの入ったやわらかな叙情性もあって、
タンゴやフォルクローレ的な雰囲気も感じさせ、ヴァイオリンやチェロなどのストリングスが加わると、
クラシカルな優雅さに包まれる。ストーリー的なドラマティックな流れも楽しめる力作だ。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 重厚度・・8 総合・・8
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5/20
トラッド、フォーク、女性Vo♪(106)


Folque 「Kjempene Pa Dovrefjell」
ノルウェーのフォークロック、フォルケの1975年作
「北欧のSPRIGUNS」とも呼ばれるバンドで本作は2作目となる。母国語の女性ヴォーカルの歌声に、
マンドリンやダルシマーの素朴な音色と、ドラムとギターが入ったロック要素を合わせたサウンド。
確かにスプリガンズを思わせる部分もあるが、フィドルが鳴り響き、母国語の歌声を乗せた空気感には
やはり北欧らしい涼やかな土着性が強く感じられる。男性ヴォーカルによる素朴なフォークナンバーもありつつ、
全体的にはロック的なノリがわりとあるので、アコースティック系が苦手なリスナーにも楽しめるだろう。
ドラマティック度・・7 北欧度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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Folque 「Vardoger」
ノルウェーのフォークロック、フォルケの1977年作
3作目となる本作も、前作の延長上の作風で、母国語の女性ヴォーカルに男性声が絡み、
フィドルの音色にアコースティックギター、フルートなどによる土着的な叙情性が、
適度なロック要素と融合した聴き心地。英国のフォークバンドからの影響も感じさせつつ、
北欧らしい神秘的な空気感と素朴な味わいがこのバンドの魅力となっていて、
随所にKebnekajseあたりにも通じる親しみやすいトラッドメロディがよい感じだ。
北欧のスプリガンズ、というよりは、男女Voのトラッド風フォークロックの逸品ですな。
ドラマティック度・・7 北欧度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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Tone Hulbækmo & Hans Fredrik Jacobsen 「Langt Nord I Skogen」
ノルウェーのフォークロック、トネ・ハルバエクモ&ハンス・フレドリック・ヤコブセンの1988年作
母国語の美しい女性ヴォーカルの歌声に、やわらかなアコーディオンの音色に
パーカッションやシンセによるアレンジを加えた牧歌的なフォークサウンド。
ホイッスルやハープなどの繊細な音色に、伸びやかな女性声の表現力も魅力的で、
ときに物語を語るようなシアトリカルな歌声も楽しい。ジャケのイメージのような童話的な幻想性と、
北欧らしい土着的な旋律が合わさった聴き心地が味わえる好作品だ。
幻想フォーク度・・8 北欧度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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Sedmina 「Rojstvo Idola」
スロヴェニア(旧ユーゴ)のアシッド・フォーク、セドミナの1998年作
アコースティックギターのつまびきに、女性ヴォーカルの艶めいた歌声を乗せた、
幻想的なフォークサウンド。うっすらとしたシンセやチェロなども加わって、
クラシカルな優雅さと東欧らしい翳りに包まれた空気感にしっとりと浸れる。
男性ヴォーカルの低い歌声は、どことなくLacrimosaのティロ・ウルフを思わせる声質で、
ゴシック的な薄暗い耽美性も漂わせる。ダークめのネオフォークが好きな方はぜひ。
ドラマティック度・・8 幻想度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8

Loreena Mckennitt 「A Midwinter Night's Dream 」
カナダ出身のケルティックシンガー、ロリーナ・マッケニットの2008年作
1995年のミニアルバム「Winter Garden」に8曲を追加したクリスマスアルバム。
うっすらとしたシンセにピアノ、ヴァイオリンやチェロなどのストリングをバックに
伸びやかで表現豊かな歌声が響き渡る。しっとりとして優しく、それでいて厳かな、
キャリアを重ねた歌い手しか到達できないようなその歌声…これぞロリーナである。
アコーディオンやハーディ・ガーディといったフォーキーな素朴さに、繊細なハープの音色に
アコーステッィクギターのつまびきで、神秘的な空気感を描く、世界観の深みも素晴らしい。
アコースティック度・・9 ケルティック度・・8 女性Vo度・・9 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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Mood 「do om」
フランス、ナント出身の女性シンガー、ムードの2014年作
どこか呪術的なフランス語のヴォーカルに、アラビックな民族色とピアノやチェロ、ブラスが加わった
ジャズ的な感触も含んだサウンドで、息遣いまでも表現にする歌声は、妖しく魔女めいた魅力がある。
グロッンケスピール(鉄琴)、インディアン・ハーモニウムといった楽器も使用していて、
パーカッションのリズムに女性声が重なって、東洋と西洋、アラビックが融合したような、
スピリチュアルで神秘的な世界観を描いてゆく。曲によっては北欧のサーミの音楽にも通じるうな
土着的な感触もあり、ヴァイオリンが鳴り響くトラッド風に楽しめたりもする。個性的なアーティストです。
ドラマティック度・・7 神秘的度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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Maria Laura Baccarini 「Furrow」
フランスの女性シンガー、マリア・ローラ・バカリーニの2011年作
美しい女性ヴォーカルに、ヴァイオリン、クラリネットの音色が絡み、ジャズ的な優雅さと
ギターも入ったロック色が合わさって、適度にポップな感触もあるというサウンド。
ときに唐突なリズムチェンジを含んだエキセントリックなアレンジセンスも面白く、
キュートで伸びやかな歌声は表現力豊かでなかなか魅力的だ。SLAPP HAPPY
KATZEN KAPELLなどにも通じるような軽妙なチェンバー・ポップ的な味わいもあって、
7~8分という長めの楽曲を構築する知的なセンスは、プログレファンにも十分楽しめる。
プログレ度・・7 優雅度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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FAUN 「EDEN」
ドイツのゴシック古楽トラッド・フォーク、ファウンの2011年作
2001年にデビューし、本作はすでに6作目となる。ホイッスルやハープ、バグパイプの音色に、
ブズーキ、ニッケルハルパといった古楽器と、ドイツ語による女性ヴォーカルを乗せ、
うっすらとしたシンセアレンジとともに、しっとりと薄暗いゴシック的なトラッドサウンドを描いてゆく。
今作ではアンビエントな静謐感も強まっていて、これまで以上に幻想的な空気感が増しているのだが、
一方では、ホイッスル、アコースティックギターに男女Voを乗せた、フォークタッチの牧歌的なナンバーや
バグパイプとハープによるケルティックなインストナンバーなどもいい味を出している。
豪華なブックレットも中世の書物のような雰囲気でよいですね。
幻想度・・8 ゴシック・トラッ度・・8 女性Vo度・・7 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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Marina Cedro 「Cronicas」
アルゼンチン出身の女性シンガー、マリナ・セドロの2014年作
艶やかなヴァイオリンにピアノの音色、スペイン語による歌声を乗せたコンテンポラリーなスタイルで、
音数が少ない分、彼女のハスキーで伸びやかな歌唱の表現力がサウンドによく映えている。
曲によっては、アコーディオンの音色も入ったり、フォルクローレやタンゴ、ジャズなどの要素も感じさせつつ、
あくまで歌ものとしてのシンプルな聴き心地を崩さない。そういう点では、プログレリスナー寄りとは言えないのだが、
クラシカルなシリアスさにスパニッシュな香りを含んだ、優雅な女性ヴォーカルアルバムとして普通に楽しめる。
ドラマティック度・・7 優雅度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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iRidio 「Waves of Life」
イタリアのトラッドロック、イリディオの2004年作
美麗なシンセアレンジに女性ヴォーカルの美しい歌声を乗せた、コンテンポラリーなトラッドポップ。
アコースティックギターに、打ち込み風のパーカッションのリズムなど、モダンなアレンジを適度に融合させた作風で、
歌詞は英語なのでイタリアらしさというのはあまりないのだが、ときおりプログレ寄りのシンセなどを含んだ聴き心地。
なんとなくデリリウムをケルト寄りにしたというような感触もあって、わりと一般のリスナーにも楽しめそうな作品ですが、
反面、コアなトラッドリスナーには物足りなさも。ヴァイオリンやハープ、ホイッスルによるナンバーなどはよい感じです。
ドラマティック度・・7 ケルティック度・・7 女性Vo度・・7 総合・・7
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iRidio 「Endless Way」
イタリアのトラッドロック、イリディオの2007年作
女性Voとシンセ奏者によるユニットで、クラシカルなピアノと美しいシンセアレンジに、
やわらかなフルートに、マンドリン、ときにヴァイオリンも加わった優雅なサウンド。
英語による女性ヴォーカルの美しい歌声を乗せて、しっとりと優美に聴かせつつ、
ケルティックなメロディを乗せた素朴な味わいと、コンテンポラリーなコンパクト性が合わさって、
プログレ/シンフォニックロックのリスナーにも楽しめるような幻想性も覗かせる。
打ち込みリズムによるデリリウム風のナンバーは個人的にはなくてもいいかな。
ドラマティック度・・7 ケルティック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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INNA ZHELANNAYA & Sergey Kalachev「Танцы Теней」
ロシアの女性シンガー、インナ・ジェランナヤとセルゲイ・カラチェフのユニット。2002年作
アコースティックギターのつまびきに、フィドルの音色、うっすらとしたシンセアレンジに、
母国語の女性ヴォーカルの歌声に男性ヴォーカルが絡む、幻想的なトラッドサウンド。
インナさんの歌声は、中音域のハスキーな存在感があって、可憐さよりもどこか魔女めいた雰囲気。
2曲目以降はポップなモダンさも含んだ、キャッチーな女性声トラッドポップというナンバーもありつつ
ロシア的な土着性とコンテンポラリーを両立させた作風は、本作の時点ですでに確立している。
プログレ度・・7 トラッ度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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INNA ZHELANNAYA & Farlanders「Inozemets」
ロシア人女性シンガー、インナ・ジェランナヤとファーランダーズの2006年作
サックスやバグパイプなどの音色と母国語によるインナ女史の歌声が合わさり、
ジャズタッチの優雅さと土着的なトラッドが融合したような聴き心地のサウンドだ。
うねりのあるグルーブ感と表現力ある彼女のヴォーカルで描き出される深みのある味わいは、
プログレファンにもとても楽しめるだろう。ロシア版ラジカルトラッドというべき好作品です。
プログレ度・・7 トラッ度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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Inna Zhelannaya「Cocoon (КокоН)」
ロシア人女性シンガー、インナ・ジェランナヤの2009年作
元KING CRIMSONのTret Gunnがウォーギターで参加、プロデュースにも関わった作品で
うっすらとしたシンセを含むデジタルなアレンジと母国語による土着的な彼女の歌声を中心に、
モダンなシンフォニックロック風味とコンテンポラリーなトラッドが融合したというサウンド。
GarnarnaVarttinaなどの北欧系ラジカルトラッドにも通じるキャッチーな聴き心地と、
幻想的な浮遊感が合わさった雰囲気は、プログレリスナーにも十分アピールするだろう。
幻想度・・8 トラッ度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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INNA ZHELANNAYA 「IZVOROT (Изворот)」
ロシア人女性シンガー、インナ・ジェランナヤの2014年作
本作はCD2枚組で、ロシア、ベラルーシ、ウクライナのトラッドをモダンにアレンジした作品。
デジタルなシンセアレンジに、母国語による艶めいた歌声を乗せた、ラジカルトラッド・ポップという作風は
ますますスタイリッシュになり、重たいベースにサックスやトランペットを加えた感触は、ある意味プログレ…
つまりはクリムゾン的でもある。艶やかなヴァイオリンも加わったクラシカルな優雅さと、
Disc2ではサックスなどが加わったジャズロック風味も取り入れていて、伝統的なトラッドの旋律を、
現代的なロック&ポップ解釈で多彩に仕上げたという、とても個性的なサウンドが楽しめる。
盟友セルゲイ・カラチェフがハーマネントなメンバーして名を連ね、ゲストにはトレイ・ガンなども参加。
モダン度・・8 トラッ度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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LOUISA JOHN-KROL 「Alabaster」
オーストラリアの女性アーティスト、ルイサ・ジョン-クロルの2003年作
自身の奏でるマンドリンにうっすらとしたシンセアレンジ、女性ヴォーカルの歌声を乗せた
幻想的なネオフォークサウンドを聴かせる。どこか東洋的な雰囲気をかもしだす空気感に、
ケイト・ブッシュを思わせるキュートな歌声が魅力的で、アコースティックな素朴さと
コンテンポラリーなシンフォニック性のバランスもよい。8分、9分という大曲では、
妖しい神秘性に包まれたアンビエントな浮遊感に浸れる。Daemonia Nympheのメンバーなどがゲスト参加。
ドラマティック度・・7 幻想度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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4/29
GWはプログレで♪(90)


Duncan Mackcay 「Scor」
英国出身、南アフリカでも活動したキーボード奏者、ダンカン・マッケイの1977年作
Cockney Rebel10CCCAMELなどに参加したことでも知られ、1974年作「Chimera」に続く2作目のアルバム。
本作は英国に戻り、コックニー・レベルに参加していた時期の作品で、プロデューサーにはジョン・ウェットンを迎えての意欲作。
のっけからオーケストラアレンジを加えてのシンフォニックなナンバーで、優雅なクラシカル性に包まれたサウンドが広がる。
きらびやかなシンセワークによる鍵盤プログレとしての側面と、マニアックすぎないキャッチーなやわらかさが合わさって、
同時期の英国シンフォニックロックとしては、Mandalabandの2ndにも通じる感触がある。一方ではオルガン&ピアノを弾きならす、
EL&P的なナンバーもあり、ムーグシンセも使用したタイトル曲は、これぞキーボードプログレというスリリングな聴き心地だ。
ゲスト参加のメル・コリンズのフルートや、ジョン・ウェットンが歌うヴォーカル曲も味わいがある。この隠れた傑作が2016年ついにCD化!
クラシカル度・・8 プログレ度・・7 優雅度・・9 総合・・8
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John Lodge 「10,000 Light Years Ago」
The Moody Bluesのベーシストとして知られる、ジョン・ロッジのソロ。2015年作
ソロ作品としては1977年作「NATURAL AVENUE」以来、じつに38年ぶりとなる。
うっすらとしたシンセに、メロウなギターが鳴り響き、ジョン・ロッジの味わいのあるヴォーカルを乗せた、
大人のシンフォニックロックというような1曲目からして素晴らしい。元ムーディーズのレイ・トーマスのフルートに、
マイク・ピンダーの奏でるメロトロンも随所に入って、ブライアン・プライスのギターが叙情的な渋いフレーズを奏でる。
キャッチーな歌もの的ナンバーも、古き良き英国の味わいをかもしだしていて、ストリングスによるアレンジも美しい。
30分弱という短さが、少し物足りないが、ムーディーズのファンであれば、大いに楽しめる好作品だろう。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 英国度・・8 総合・・8
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MABEL GREER'S TOYSHOP 「New Way of Life」
イギリスのメロディックロックバンド、マーベル・グリールズ・トイショップの2014年作
YES最初期のメンバーである、クライブ・ベイリー、ボブ・ハガーを中心に60年代に結成され、Yesの母体ともなったバンドで、
本作には元YESのトニー・ケイ、ビリー・シャーウッドが参加している。70年代的な古き良きアンサンブルで、
オルガンが鳴り響きキャッチーな歌メロを乗せたブリティッシュロック・サウンド。60年代的なおおらかな牧歌性と
ときにサイケロック的な浮遊感もにじませつつ、大人の味わいのメロディックな聴き心地で楽しめる。
プログレというにはやや物足りないのだが、Yesの1stに収録されたナンバーのリメイクなどはファンには嬉しいだろう。
全体的には、STRAWBSあたりに通じるポップな英国ロックが好きな方にお薦めの好作品です。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 古き良き英国度・・8 総合・・7.5
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Steven Wilson 「TRANSIENCE」
PORCUPINE TREEのスティーヴン・ウィルソンの2016年作
ソロ活動のみならず大御所バンドのリミックスなども手掛ける、現在プログレシーンにおける重要ミュージシャンとなった彼の、
2008年からの自身のソロ作品を総括するベストアルバム。アコースティックな歌ものナンバーからゆるやかに始まり、
その後は、お得意の薄暗系ポストプログレをたっぷり聴かせてくれる。美しいシンセアレンジに、コーラスハーモニー、
適度にハードだがうるさすぎないギターワークなども絶妙で、繊細な叙情性に包まれたサウンドにゆったりと浸れる。
全14曲を収録で、楽曲は年代順に並んでいるのではなく、おそらくアルバムとしての流れも考えられているのだろう、
案外メリハリに富んだ曲調が楽しめるようになっている。これからSWの世界に入るというリスナーにも対応した1枚だ。
ポストプログレ度・・8 薄暗度・・8 繊細度・・9 総合・・8 *過去作のレビューはこちら
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Ozric Tentacles「Technicians Of The Sacred」
イギリスのサイケロック、オズリック・テンタクルズの2015年作
80年代から活動するベテランバンドで、本作が何作目なるのか分からないが、バンド史上初の2枚組の大作。
きらびやかでエレクトロなシンセの重ねと、軽やかなバンドアンサンブルが合わさった、モダンなスペース・サイケ。
随所にギュインギュインの派手なシンセやギターの流麗なフレージングで盛り上げながら、
ジャケのイメージのような桃源郷的なカラフルなイメージで、アッパーなサウンドが楽しめる。
またこのバンドの特徴であるオリエンタルなメロディを取り入れた、ナンバーもハマっていて、
神秘的な浮遊感とインストロックとしての演奏の強度を両立させているのもさすが。
10分前後の大曲も多数含んだ、現在形サイケロックがたっぷり詰まった2枚組の力作です。
モダンサイケ度・・9 プログレ度・・7 きらびやか度・・8 総合・・8 *過去作のレビューはこちら
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Tony Patterson 「Equations Of Meaning」
英国のミュージシャン、トニー・パターソンの2016年
自身でヴォーカル、ギター、シンセアレンジ、フルートをこなすマルチミュージシャンで、
メロトロンが鳴り響き、アコースティックギターのつまびきに、オーケストレーションがかぶさる、
シンフォニックな美しさと、マイルドなヴォーカルを乗せた叙情性で、かつてのGENESISを思わせる
幻想的で繊細な美意識を感じさせる。キャッチーなナンバーも優美なアレンジに包まれていて、
随所にフルートやサックスの音色も加わったり、メロウなギターフレーズも光っている。
スリリングな展開は薄いのだが、どこまでもやわらかな聴き心地でゆったりと楽しめる傑作です。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・7 優美度・・9 総合・・8
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Dave Bainbridge 「Celestial Fire」
スコットランドのケルティックロック、IONAのギタリスト、デイブ・ベインブリッジのソロ。2014年作
ソロとしては2004年作「VEIL OF GOSSAMER」以来で、前作も素晴らしい傑作であったが、
本作は10分を超える大曲を中心にした、シンフォニックプログレ寄りの大作。バグパイプが鳴り響くイントロから、
美麗なシンセアレンジとメロウなギターワーク、手数の多いドラムとともに構築されるサウンドは、
ケルトとロックのダイナミックな融合という点で、MIKE OLDFIELDなどにも通じる聴き心地である。
男女ヴォーカルの歌声を乗せた優美な感触と、ドラマティックなスケール感が合わさった雄大な作風で、
艶やかにヴァイオリンが鳴り響くところは、SAGRADOなどを思わせる。まさにプログレ・ケルティック・シンフォの傑作だ。
ジョアンヌ・ホッグ、トロイ・ドノックリーらIONA関連のメンバーに加え、THRESHOLDのダミアン・ウィルソン、
AJALON、Neal Morse BANDのランディ・ジョージなど、多数のゲストが参加。
シンフォニック度・・9 プログレ度・・8 雄大度・・9 総合・・8.5
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Anglagard 「23YEARS OF HYBRIS」
スウェーデンのプログレバンド、アングラガルドの1992年作「ヒブリス」23周年記念ボックスセット。2015年作
90年代北欧プログレを代表する名作の最新リマスター音源に、アルバム制作前後のデモ、ライヴ等の未発表音源、
さらにはリリース後のラジオインタビューを収録した、3CDボックスという豪華な商品である。500セット限定ナンバー入り。
アルバム自体の出来に関しては、薄暗い叙情性とセンスあふれる展開力で聴かせる問答無用の大傑作。別途レビューを参照。
Disc2には1993年のライブ音源4曲に、1991~92年録音のデモを4曲収録。番組用の音源なのか、宣伝ナレーションが入ってきて
少々わずらわしいのだが、「Buried Alive」以外での当時のライブ音源ということでファンはよしとしよう。その他、グレッグ・プットマンなる
人物の語りに曲ともいえない即興的な演奏のナンバーや、TRETTIOARIGA KRIGETのカヴァーなど、ある意味では貴重なテイクも収録。
デモ音源の方は、瑞々しい感性に彩られたアルバム収録曲のプロトタイプで、これだけでも本ボックスの価値があるかもしれない。
すでにアルバムを持っている方には高額なボックスだろうが、本作に幻想のロマンを描くような方ならば入手して損はない。
名作度・・9 アングラガル度・・9 お値段・・5 総合・・8.5 *過去作のレビューはこちら
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Dungen 「Allas Sak」
スウェーデンのサイケロック、ドゥンエンの2015年作
2005年にデビュー、ユル系サイケと北欧らしい叙情を合わせたサウンドで、じわじわと人気を上げている。
6作目となる本作も、アナログ感あるギターにやわらかなシンセが重なる、プログレ寄りのサイケが楽しめる。
母国語によるヴォーカルもマイルドな味わいで、オールドスタイルのロック感触とともに、
3~4分前後の小曲をのんびりと聴かせる作風だ。アコースティックギターにパーカッションが鳴り響く、
フォーキーな牧歌性は、モダンに敢然と背を向けた「これでいいのだ」とばかりのユルさである。
吹き鳴らされるフルートもどこかけだるげで、プログレ的な展開をしそうでしない楽曲もある意味で確信犯的だ。
北欧らしい叙情をしっかりと含ませながら、「やわらかで涼やか」という独自の空気感を描く好作品である。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 ユル度・・9 総合・・8 *過去作のレビューはこちら
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Motorpsycho 「Still Life With Eggplant」
ノルウェーのロックバンド、モーターサイコの2013年作
90年代初頭から活動するベテランバンド、オーケストラ入りの2枚組の大作であった前作から、
本作ではバンドアンサンブルに重点を置いた作風に立ち返り、重厚なギターリフを乗せた
どっしりとしたグルーヴィなヴィンテージロックの感触が楽しめる。ときにメロトロンが鳴り響き、
サイケロック的な浮遊感とプログレ的な知的な構築力も随所に覗かせつつ、
キャリアのあるバンドしか描くことのできない強力な音の説得力が素晴らしい。
バンドらしい躍動感の一方で、キャッチーな歌メロによる牧歌的な叙情性もあって、
17分という大曲も、適度なユルさとハードなノリを同居させて、ANEKDOTENばりの恰好良さ。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 オールドロック度・・8 総合・・8 *過去作のレビューはこちら
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ZINGALE 「The Bright Side」
イスラエルのプログレバンド、ツィンガーレの2009年作
1977年に唯一の作品を残して消えたバンドの、じつに32年ぶりとなる復活作。
ムーグやオルガンなどを含むきらびやかなシンセワークを中心に、軽やかなアンサンブルで聴かせる、
優雅なシンフォニックロックサウンド。美麗なシンセに重なるメロウなギターフレーズによる泣きの叙情は、
ロシアのLittle Tragediesあたりに通じる感触もあるが、こちらはいかにも自主制作らしい録音の弱さが、
マイナー臭さをかもしだしている。ジョン・アンダースもどきのようなナヨナヨとしたヴォーカルも好みを分けるだろうが、
10分を超えるナンバーでの軽やかでエキセントリックな展開などもなかなか楽しいし、全体的にも繊細な叙情性を描く
辺境系のシンフォニック・プログレとしては、マニアなリスナーには嬉しい復活作だろう。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 優雅度・・8 総合・・7.5
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Eris Pluvia 「Third Eye Light」
イタリアのシンフォニックロック、エリス・プルヴィアの2010年作
1991年に1枚のアルバムを残して消えたバンドの、19年ぶりとなる復活作。
美麗なシンセアレンジにメロウなギターを乗せて繊細な叙情を描くシンフォニックロックで、
マイルドな男性ヴォーカルをメインに、ときにゲストによる女性ヴォーカルの歌声も加わると、
その優美な聴き心地にうっとりとなる。イタリア的な濃密さやスリリングなプログレ性は薄いが、
ストリングスも加わったクラシカルなアレンジなども含め、しっとり優しい耳心地の好作品です。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・7 優美度・・9 総合・・7.5
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ESAGONO 「Vocolo」
イタリアのジャズロック、エサゴノの1976年作
ARTI E MESTIERIのベース、マルコ・ガレージらによバンドで、フルート、サックスが鳴り響き、
オルガンやピアノを含むやわらかな鍵盤を乗せたアンサンブルで、大人のジャズロックを聴かせる。
楽曲にはアルティほどの超絶な派手さはないのだが、ときにヴァイオリンも加わったり、
ムーグンセも鳴り響くプログレ的なアプローチも垣間見せる。ドラムはフリオ・キリコの弟子らしく、
手数も多くパワフルなプレイでバンドの屋台骨を支えている。全体的にも演奏のレベルは高く、
カンタベリー風の優雅さもあったり、玄人好みのジャズロックといえる。ARTI のジシ・ヴェネゴーニもゲスト参加。
ジャズロック度・・8 プログレ度・・7 イタリア度・・7 総合・・8
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ESAGONO 「Apocalypso」
エサゴノの2008年作
1作を残して消えた、アルティ関連のジャズロックバンドのじつに32年ぶりとなる2作目。
優雅に鳴り響くサックスにフルートの音色を乗せ、落ち着いた味わいの大人のジャズロックを聴かせる。
確かなテクニックのドラムをはじめ、軽妙なアンサンブルによる演奏は、派手さはないものの
洗練されたジャズテイストをロック寄りのダイナミクスで構築していて、とても耳心地がよい。
曲によっては、サックスからクラリネットに持ち替えて、優美なやわらかさで繊細な叙情も描いていて、
シンセの入った曲ではプログレ的な感触も含んで、オールインストながらなかなか楽しめる好作品だ。
ジャズロック度・・8 プログレ度・・7 大人の演奏度・・9 総合・・8
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Ice Dragon 「Dream Dragon」
アメリカのプログレ・ドゥームロック、アイス・ドラゴンの2014年作
やわらかなフルートの音色にメロトロンが鳴り響き、アコースティックギターのつまびきで、
フォーキーに聴かせる牧歌的な1曲目から、続く2曲目はブルージーな70年代ロックになり、
その後はサイケ的な浮遊感や神秘的な空気感を含んだ、とらえどころのないサウンドだ。
70年代マイナーロックのうらぶれた感触と、メロトロンやオルガンなどの入ったプログレ的な要素に、
ドゥーム的でもある物悲しい寂寥感なども入りつつ、全体的にはこれといった盛り上がりはないという、
なんとも微妙な作品であるのだが、ファンタジックなジャケやバンド名はよいですな。
ドラマティック度・・7 ドゥーム&ブルーズ度・・7 古き良き度・・8 総合・・7.5
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Spirits Burning 「Starhawk」
アメリカのサイケロック、スピリッツ・バーニングの2015年作
故デヴィッド・アレン&GONG一派やACID MOTHER TEMPLEなどとも関係が深いバンドで、
本作は、SF作家マック・マロニーの「STARHAWK」シリーズをテーマにした、スペースロックオペラ。
デヴィッド・アレンをはじめとするGONG関連のメンバーや、HIGH TIDEのメンバー、CLEARLIGHTのシリル・ヴェルドー、
YESのビリー・シャーウッドなど多数のゲストが参加していて、配役ごとにヴォーカルを割り当てるスタイルで、
HAWKWINDを思わせるサイケなスペースロックを展開する。ディレイのかかったギターフレーズに
エレクトロなシンセアレンジとともに、スペイシーな浮遊感に包まれた聴き心地であるが、ブルージーなギターも含んだ
古き良きロック感触も覗かせる。全17曲で77分という大作であるが、正直、長すぎて聴くのがつらいという。涙
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 スペースサイケ度・・8 総合・・7.5
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U I BLUE 「Songbird's Cry」
フランス出身のマルチ・ミュージシャンJon Paulと女性ヴォーカルによるユニット、ユー・アイ・ブルーの2004年作
女性Vo、Laura Lindstrom嬢はGLASS HAMMERのサポートメンバーとしてライブやアルバムに参加しており、
本作にはそのグラス・ハマーのメンバーもゲスト参加している。日本盤タイトルは「歌姫の嘆き」
サウンドの方は、打ち込みのリズムの上に、アコースティックギターやシンセによるアレンジに
やわらかな女性ヴォーカルの歌声を乗せた、シンフォニックな歌ものアンビエントポップという雰囲気。
デジタルなアレンジにメロウなギターを合わせた作曲センスはモダンでなかなか悪くないし、
楽曲によってはメロトロンが鳴り響き、ヴァイオリンなどのストリングス、ピアノによる美しいナンバーにはうっとりである。
ときおり、フランス語による男性ヴォーカルも加わるが、個人的にに女性声だけでよいですね。
メロディック度・・7 プログレ度・・7 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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3/25
花粉でヘックシン!(73)

Roger Waters 「Amused to Death」
PINK FLOYDのロジャー・ウォーターズのソロ。1992年作/邦題「死滅遊戯」
ジェフ・ベックが参加してることでも話題となった作品、2015年リマスター&SACD盤でリリースされた。
TVを見ている猿のジャケが幼児に変更されているのが、ぐっと現代的なイメージになっているが、
世界で起きる事件や戦争などを、テレビを通して娯楽的に眺める人類に警鐘を鳴らすというシリアスなテーマ性は、
20年以上をへても古臭さは感じない。枯れた味わいのロジャーのヴォーカルに女性コーラスが絡んで、
歌もの的な作風をメインにしながら、随所にブルージーなギターを聴かせるジェフ・ベックのプレイもさすが。
パトリック・レナードのシンセワークはさほど目立たないのだが、ヴォーカルを引き立てるようなピアノや、
ときにオルガンも鳴らしてサウンドを彩っている。新規リマスターとSACDによるくっきりとした音質もGood。
コンセプトアルバムという点では、PINK FLOYD「The Wall」あたりと比較して楽しんだりもできるだろう。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 壮大度・・8 総合・・8
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HAWKWIND 「ONWARD」
イギリスのサイケロック、ホークウインドの2012年作
1970年デビューの大ベテラン、アルバムを聴くのは1995年作以来。いくぶんハードでモダンにはなっているが、
40年以上のキャリアをへても、スペイシーな浮遊感を描く彼らのサウンドは健在だ。うねりのあるベースに、
スペイシーできらびやかなシンセアレンジ、適度にハードなギターを乗せた、躍動的なサイケロックが楽しめる。
彼ららしいアッパーなノリの良さはもちろんだが、随所にアコースティックを含む英国らしい牧歌的な叙情も覗かせ、
バンドとしての成熟した自信とスケールの大きさを感じさせる。コンセプト的なSEなども挿入しつつ、
決して壮大にはなり過ぎず、エレクトロなナンバーなども含んだ、適度に脱力した聴き心地にもニヤリ。
ボーナスに過去曲のリメイクも含んだ全17曲、CD2枚組の大作。ベテラン健在ですな。
ドラマティック度・・7 スペイシー度・・8 壮大度・・8 総合・・7.5
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The GIFT 「Why the Sea is Salt」
イギリスのプログレバンド、ギフトの2016年作
2006年のデビュー作は、Genesisルーツのシンフォニックロックの好作品であったが、
3作目となる本作も、やわらかなピアノとシンセによるイントロから、リズムが加わると
メロウなギターワークにマイルドなヴォーカルを乗せ、繊細な叙情を聴かせる
正統派のシンフォニックロック・サウンドが広がってゆく。10分前後の大曲に
20分を超える組曲などをゆるやかに構築してゆくセンスもなかなかのもので、
英国らしいウェットな空気感の中に、キャッチーなメロディアス性も覗かせる。
スリリングな展開はあまりないが、安心して楽しめる叙情的な好作品です。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 叙情度・・8 総合・・8
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RED JASPER 「The Great And Secret Show」
イギリスのシンフォニックロック、レッド・ジェスパーの2015年作
結成は80年代で、1997年にいったん解散したバンドの、じつに18年ぶりとなる復活作で、
ムーグシンセやメロトロンが鳴り響くきらびやかなシンセに、マイルドなヴォーカルを乗せて
英国らしいウェットな叙情を描く、かつてのSHADOWLANDあたりにも通じるシンフォニックロックサウンド。
フォークバンドをルーツにしているだけあって、アコースティックギターやホイッスルなどを含む牧歌的な味わいもあり、
メロウな泣きのギターフレーズや伸びやかなヴォーカルの歌声とともにキャッチーな爽快さを生み出している。
90年代の香りを残した英国的なシンフォニックロックの大穴的な力作です。PENDRAGONなどのファンもぜひ。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・7 英国度・・8 総合・・8
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The Tangent 「Going Off on Two」
イギリスのプログレユニット、タンジェントのライブ作品。2011年作
マルチミュージシャン、アンディ・ティリソンを中心に、いまや新時代の英国プログレを代表するバンドのひとつ。
本作は2010年のスタジオのライブセッションを収録したCD+DVD作品で、サックス&フルート奏者を含む6人編成で、
2009年作「Down and out in Paris and London」からのナンバーを中心に演奏。きらびやかなシンセアレンジに、
軽妙で優雅なアンサンブルが融合した、「カンタベリー系シンフォ」というべきサウンドを描いてゆく。
リラックスした雰囲気のスタジオライブなので、演奏面でのたたみかけるような迫力はないのだが、
バンドのファンであれば、DVDの映像も含めてとても楽しめる内容だろう。
ライブ演奏・・8 プログレ度・・8 音質・・7 総合・・8
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DEC BURKE 「Paradigms & Storylines」
イギリスのミュージシャン、デック・バークの2011年作
当時、FROST*で活躍していたギタリストで、ヴォーカル、シンセもこなすというマルチプレイヤー。
マイルドなヴォーカルとキャッチーなメロディをモダンなアレンジで包み込んだ、メロディックロックサウンドで、
美しいシンセアレンジに流麗なギターを乗せた、英国らしいウェットな叙情性のプログレハードとしても楽しめる。
随所にやはりフロストを思わせるモダン・シンフォニックの感触も含みつつ、プログレらしさにとらわれない
ポップ感を取り入れたセンスもさすが。ラストは15分を超える大曲で、叙情的なメロディとドラマティックな流れで
重厚なシンフォニックロックが楽しめる。元CANDLEMASSのCarl Westholmなどが参加。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 英国度・・8 総合・・8
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Engineers 「Always Returning」
イギリスのポストプログレ、エンジニアーズの2014年作
G&B、Key、Drのトリオ編成で、美しいシンセアレンジに、適度にロック色のあるギター、
やわらかなヴォーカルを乗せ、繊細な叙情を描くポストプログレ的なサウンド。
ゲストによる女性ヴォーカルも加わって、スペイシーなシンセアレンジとともに
しっとりと優美な聴き心地に浸れる。適度にエレクトロな感触やキャッチーなところもあって
モダンなポストプログレ、シューゲイザー要素とエモーショナルロックをバランスよく融合させている。
派手さやインパクトのある展開というものはないのだが、耳触りのよいサウンドが楽しめます。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 叙情度・・8 総合・・7.5
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Seven Steps to the Green Door 「Fetish」
ドイツのプログレバンド、セブン・ステップス・トゥ・ザ・グリーン・ドアの2015年作
男女ヴォーカルを含む5人編成で、過去2作は、IT BITESなどに通じるメロディアスな高品質な作品であったが、
本作もまた充実の内容だ。変拍子を含んだテクニカルな展開力と、優雅な叙情性が混ざり合った聴き心地で、
男女ヴォーカルの歌声を乗せた、オペラティックな空気感とシアトリカルなドラマ性を感じさせる。
キャッチーなメロディアス性をしっかりと残しながら、起伏に富んだ展開で7~9分という長めの楽曲を構築する、
その巧みな演奏力と軽妙なセンスは、ときに「シンフォ化したGENTLE GIANT」という感じもある。
ラストは16分の大曲で、適度なハードさと抜けの良いメロディをドラマティックな流れの中に詰め込んで、
モダンなスタイリッシュ性で昇華したという作風で、多くのプログレリスナーを楽しませるに足る。全78分という力作だ。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 構築度・・9 総合・・8
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LIGHT DAMAGE
ルクセンブルクのプログレバンド、ライト・ダメージの2015年作
美麗なシンセに適度にハードかつメロウなギターワーク、マイルドなヴォーカルで聴かせる、
ドイツのSylvanあたりにも通じる、しっとりとした薄暗い叙情性に包まれたシンフォニックロック。
繊細なギターのトーンは泣きのメロディを奏で、うっすらとしたシンセアレンジがサウンドを優しく包み込み、
翳りを含んだポストプログレ的な歌ものパートなど、ヴォーカルはときにシアトリカルな表現力を覗かせる。
愛想のないジャケに騙されず、モダンな叙情派シンフォニック好きはチェックです。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・7 叙情度・・9 総合・・8
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Yiannis Glezos 「The Roses of Pieria」
ギリシャのミュージシャン、イアニス・グレゾスの2013年作
古代ギリシャの詩吟をテーマにした作品で、わりとハードなギターにシンセ、ドラムを含んだ
比較的正統派のシンフォニックロックというスタイルで、ときにストリングスアレンジも加わった
優雅なインストサウンドを聴かせる。ヴァイオリンによる小曲などを挟みつつ、トラッドロック的な
土着的なフレーズを含んだ涼やかな叙情や、CAMELあたりを思わせるメロウなギターの旋律に
ピアノを含むシンセワークも優美な味わいだ。ヴォーカルが入ればさらに壮大華麗になったと思うのだが、
歌入りなのはラスト曲のみ。ともかく、全24曲、スケールの大きな74分の大作です。
ドラマティック度・・8 優美度・・8 叙情度・・8 総合・・7.5
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Progression By Failure
フランスのシンフォニックロック、プログレッション・バイ・ファイラーの2009年作
マルチミュージシャンNicolas Piveteauによる個人ユニットで、きらびやかなシンセアレンジと
ProgMetal的な感触もあるテクニカルな展開力で描かれる、ハード・シンフォニックロック。
オールインストで、10分、20分という大曲もあるので、どうしても長尺感はあるのだが、
オルガンやムーグなどを含む多彩なシンセアレンジを中心に、全体的にメロディックな質感で楽しめる。
ただ、ドラムのテクに関しては普通なので、ソロにこだわらず良いメンバーを入れてやって欲しい気も。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 美麗度・・8 総合・・7.5
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TOUCH
アメリカのプログレバンド、タッチの1969年作
マイク・マンゴールドのタッチとは別バンド。見開きによる大仰なジャケデザインもヒプノシスばりのセンスなのだが、
サウンドは、オルガン鳴り響くブリティッシュな雰囲気のサイケなアートロックという趣で、キャッチーなコーラスハーモニーに、
センスのあるギターフレーズにオルガンが絡み、確かな演奏力で起伏のある展開を描いてゆく。
ゆるやかなピアノの旋律に、メロウなギターがかぶさる叙情性はシンフォニックロック的でもあり、
ビートロックのポップ感も覗かせながら、サイケなプログレ要素を巧みに取り入れているのが見事。
8分、11分という大曲などは当時のアメリカでは異色だったことだろうが、楽曲のアレンジ能力と柔軟なセンスが
スリリングな展開力になっていて、現在聴いてもプログレとして十分に楽しめるレベルの高さである。
プログレという言葉もまだない時代に、このようなアーティスティックなバンドがアメリカにもいたのだ。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 構築度・・8 総合・・8
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Jack Foster III 「Apple Jack Magic」
アメリカのミュージシャン、ジャック・フォスターの2014年作
これまでもメロディックなプログレハード作発表してきたミュージシャンで、
本作も自身の奏でるメロウなギターにマイルドなヴォーカルを乗せた、大人の哀愁漂うゆったりとしたメロディックロック。
本作ではMAGELLANのトレント・ガードナーは不参加だが、盟友、ロバート・ベリーはベース&シンセで参加。
プログレ的な展開や派手なインパクトはないが、ゲストによる女性ヴォーカルが加わったナンバーなど、
じっくりと味わえる大人の叙情ロックが楽しめる。全体的にもアダルトな哀愁に包まれた好作である。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・6 大人の叙情度・・8 総合・・7
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Red Sand 「Cinéma du Vieux Cartier」
カナダのシンフォニックロック、レッド・サンドの2013年作
DAGMÄHRのメンバーを含むケベック出身のバンドで、本作はおそらく5作目となる。
相変わらずチープなジャケがいかにも自主制作のマイナー臭さをかもしだしているが、
本作もコンセプト作なのだろう、ミステリアスなイントロからして、すでに泣き系シンフォの香りがぷんぷん。
楽曲の方も期待通り、美しいシンセに叙情的なギターのフレーズを乗せ、マイルドなヴォーカルとともに繊細な聴き心地で、
PENDRAGONARENAなどに通じる、ヨーロピアンな感性のシンフォニックロックの王道というサウンドだ。
13分、22分という大曲もも、適度にメリハリのある展開力と翳りを含んだ泣きの叙情でゆるやかに盛り上げる。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 叙情度・・8 総合・・8

D Project 「The Sagarmatha Dilemma」
カナダのプログレユニット、D・プロジェクトの2008年作
SenseのギタリストでもあるStephane Desbiensによるプロジェクト/ユニットで、
美しいシンセアレンジにマイルドなヴォーカルを乗せたキャッチーなシンフォニックロック。
メロウなギターフレーズによる泣きの叙情と、哀愁を感じさせる繊細なメロディアス性に、
ProgMetal的でもある適度にテクニカルな展開力で、知的なハードプログレを描いてゆく。
たとえば、曲によってはDream Theaterのバラード曲のような雰囲気もあったりして、
ドラマティックなハードシンフォが楽しめる高品質作。Planet Xのデレク・シェリニアンなどがゲスト参加。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 叙情度・・8 総合・・8
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The Goblin Market 「Beneath Far Gondal's Foreign Sky」
アメリカのフォークロック、ゴブリン・マーケットの2012年作
The Green Pajamasにも参加するメンバーによるユニットで、やわらかなピアノやシンセによる美しいアレンジに
しっとりとした男女ヴォーカルの歌声を乗せた、シンフォニックで幻想的なフォークサウンド。
アコースティックギターのつまびきに乗る女性ヴォーカルの歌声は、アニー・ハズラムあたりを思わせ、
その伸びやかな美しさにうっとりとなる。オルガンやエレキギターも加わったフォークロックな感触は
プログレファンにも対応するだろう。男性ヴォーカルメインの曲もあるが、マイルドな歌声に女性声が絡む
繊細な叙情を描いていて、聴き心地が良い。これは掘り出し物的な好作品。
ドラマティック度・・8 幻想フォーク度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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3/5
ひな祭りはアヴァンプログレ&ジャズロック!(57)


BENT KNEE 「Say So」
アメリカのアヴァンロック、ベント・ニーの2016年作
やわらかな女性ヴォーカルの歌声を乗せた、エモーショナルロック的でもある聴き心地に、
Kate Bush的なシアトリカルな雰囲気と、エキセントリックなセンスを含ませたというサウンド。
ヴァイオリンなどのストリングスアレンジを含む優雅な感触に、チェンバーロック風味を感じさせるスリリングさと、
キュートなキャッチーさが合わさった作風で、結果、プログレとしても十分に楽しめる面白さがある。
シンセ奏者でもあるコートニー嬢の表現豊かで伸びやかな歌声が大きな魅力となっていて、
ときにアヴァンギャルドな展開も見せながら、この包み込む歌声ですべてをソフトにしているという。
レーベルがCUNEIFORMというのもうなずける、ポップ系・チェンバー・アヴァンロックの好作品。
メロディック度・・8 プログレ度・・8 女性Vo度・・9 総合・・8
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Nerve Institute「Fictions」
アメリカのアヴァン・プログレ、ナーヴ・インスティチュートの2015年作
マルチミュージシャン、マイケル・S・ジャッジによるソロユニットで、本作がすでに3作目となる。
ヴォーカルも含めてすべての楽器を一人で演奏、軽妙なアンサンブルに屈折感のある薄暗さと
フランク・ザッパなどを思わせるアヴァンギャルドなセンスを盛り込んだ、一筋縄ではいかない作風。
Deluge Granderあたりに通じるミステリアスな空気感に、適度にモダンなポップ感触が加わった聴き心地は
ディープなプログレ者の耳を大いに楽しませてくれる。とぼけた味わいと倦怠の翳りが合わさった異色の力作。
White Willowのヤコブ・ホルム・ルポが、ギターとシンセで1曲ずつゲスト参加している。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・8 屈折度・・8 総合・・8
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Loomings 「Everyday Mythology」
フランスのアヴァン・チェンバーロック、ルーミングスの2015年作
YUGEN、EMPTY DAYS、NOT A GOOD SIGN、FACTOR BURZACOなどにも参加するミュージシャン、
Jacopo Costaを中心にしたバンドで、ヴィブラフォンの優雅な音色に、エフェクトのかかった男ヴォーカルに
美しい女性ヴォーカルが絡み、フランスらしいエキセントリックな妖しさと軽妙なアンサンブルで聴かせる。
ミステリアスな静寂感と先の読めない展開も面白く、ときにシアトリカルな演劇性も匂わせながら、
軽やかなユーモアを含んだ聴き心地は、適度にダークながらも重すぎず、さほど難解な感じもしない。
女性ヴォーカルが前に出る部分が多いので、異色のアヴァンロックながらも、全体的には優雅な印象だ。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・8 アヴァンギャル度・・8 総合・・8
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RHUN 「Fanfare Du Chaos」
フランスのプログレ・ジャズロック、ルーンの2013年作/邦題「混沌のファンファーレ」
サックスが鳴り響き、コバイヤ語を思わせる男女コーラスの歌声を乗せた、まさにMAGMAタイプのサウンド。
サックス、クラリネット、バスーン、フルートなどがチェンバーロック的にときに優雅にときにシリアスに吹き鳴らされ、
変則リズムを含んだテクニカルなアンサンブルとともに、アヴァンギャルドな展開を大仰に描いてゆく。
特徴としてはノイジーなギターによる不協的な緊迫感が、スリリングな危うさをかもしだしていて、
フルートなどが美しいゆったりとしたパートとの強烈なコントラストとなっている。暴れん坊のマグマというか、
むしろシアトリカルな妖しさでは、本家マグマを凌駕するかもしれない。これは強力なアルバムだ。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 マグマ度・・9 総合・・8
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PEARLS OF SWINES
フランスのアヴァンプログレ、パールス・オブ・スウィネスの2013年作
エドガー・アラン・ポーの詩をコンセプトにした作品で、変則リズムを含むアンサンブルに、
女性ヴォーカルの歌声を乗せ、浮遊感のあるアヴァンギャルド性で聴かせるサウンド。
適度なテクニカル性とともに、チェンバーロック的でもあるミステリアスで不穏な空気感も描き出し、
手数の多いドラムやダークなフレージングを奏でるギタリストのセンスもなかなかのもの。
曲によってはHenly Cow的なキュートな毒気や、フランスらしい優雅な闇を感じさせつつ、
全体的にはまだ実力を出し切っていないような、得体の知れないセンスも匂わせる。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・8 アヴァンギャル度・・8 総合・・8
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Jean-Paul Prat 「MASAL」
フランスのミュージシャン、ジャンポール・プラットのソロ。1982年作
MAGMAに影響を受け70年代より活躍するマルチミュージシャンで、本作は42分の大曲を中心にした大胆な構成。
手数の多いドラムに、わりとハードなギター、サックス、トランペット、ホルン、フルートといった管楽器が絡んで、
いかにも怪しげで大仰なジャズロックを描いてゆく。まさにMAGMAを思わせるダークな世界観と重厚な演奏で、
プラット氏のドラムもクリスチャン・ヴァンデ並みに叩きまくっている。優雅なピアノが響くゆったりとしたパートから、
ときに3本のギターが重なり、ブラスセクションを加えたぶ厚いアンサンブルで、ダイナミックに構築されるサウンドは圧巻だ。
MAGMAファンならずとも圧倒されるスケール感に包まれた異色の力作である。CD化に際し、1985年に録音された15分、9分の大曲と、
1990年録音の2曲をボーナストラックとして追加されている。こちらは、もう少しソフトなプログレジャズロックである。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 重厚度・・9 総合・・8
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MASAL 「GALGAL」
フランスのプログレ・ジャズロック、マサルの2010年作
1984年にソロ作「MASAL」を発表したマルチミュージシャンJean-Paul Pratを中心とするユニットで、
サウンドの方はかつてのようなMAGMA直系のスタイルではなく、優雅なピアノの旋律にギターが絡み、
モダンなテクニカル性を軽妙に聴かせる、プログレッシブなジャズロック。軽やかにサックスが鳴り響き、
そこにギターのフレーズがメロディックにかぶさる、フュージョン的でもある爽快な感触に
プログレらしいエキセントリックな切り返しやリズムチェンジなどのアレンジもなかなか楽しい。
どことなく、PEKKAあたりを思わせるユーモアを感じさせる大人のアンサンブルも含めて、
成熟したミュージシャンのみが作れる知的なプログレ・ジャズロック作品である。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・8 軽妙度・・9 総合・・8
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Debora Seffer
フランスのヴァイオリニスト、デボラ・セファーの2004年作
ZAOなどに参加したYochk'o Sefferの娘で、自身のキュートなフランス語の歌声を乗せ、
艶やかなヴァイオリンを弾きならす、コケティッシュなジャズロックサウンドを聴かせる。
父親譲りの優雅で軽妙な楽曲センスも覗かせつつ、女性らしいきらびやかなポップ感も併せ持ち、
プログレ寄りの構築性というよりは、センシティブな軽やかさで、お洒落な香りを漂わせている。
楽曲は3~4分台で、わりとコンパクト。もう少し濃密な感じだとよりプログレリスナーに受けると思う。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 優雅で軽妙度・・8 総合・・7.5
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Kundalini Shakti Devi
イタリアのプログレバンド、カンダリニ・シャクティ・デヴィの1974年作
1974年に録音されながらも、未発のまま終わったバンドの音源が、2013年にCD化。
19分、14分、13分という大曲3曲という構成で、やわらかなフルートが鳴り響き、
イタリア語のヴォーカルを乗せた、湿り気のある叙情性を含んだサウンド。
ギターはわりと控えめながら、ときにブルージーなフレーズを聴かせ、
軽やかなアンサンブルを生み出すドラムにオルガンが重なり、ときにサックスも鳴り響く
ジャズロック的な軽妙さと、おおらかなメロディアス性が合わさったという感触だ。
これというインパクトはないのだが、当時のイタリアンロックの奥深さが窺える好作品。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 軽妙で繊細度・・8 総合・・7.5
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Dialeto 「The Last Tribe」
ブラジルのプログレ・ジャズロック、ディアレトの2013年作
トリオによるインストバンドで、メロウなギターフレーズを乗せた優雅なアンサンブルで、
随所にツインギターを乗せた適度なヘヴィさも含んだサウンドを聴かせる。
プログレ的な展開はあまりなく、ハードフュージョン寄りのギターインストといった趣で、
テクニカルな面白さもさほどなく、メロディのフックという点でも、やや中途半端な内容。
こういうインスト作品を飽きさせずに聴かせるには大変なセンスと技術が必要なので、
もう少し楽曲の魅力を上げるか、演奏のセンスを磨いていってもらいたい。
メロディック度・・7 プログレ度・・7 楽曲・・6 総合・・6
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Media Banda「Dinero Y Terminacion Nerviosa」
チリのチェンバー・ジャズロック、メディア・バンダの2008年作
FULANOのサックス奏者と女性Voを中心に結成されたバンドで、本作は2作目となる。
「金と神経質な完成」と題されたCD2枚組の大作で、軽妙なアンサンブルにサックスが鳴り響き、
オルガンやエレピを含むシンセにキュートな女性ヴォーカルの歌声を乗せたキャッチーな感触と、
テクニカルなジャズロック風味が合わさったスタイル。ザッパ的でもあるアヴンギャルドな感触を優雅に溶け込ませつつ、
あくまで軽やかな聴き心地は、カンタベリー系のジャズロック的でもある。エキセントリックなセンスを覗かせながら、
南米のバンドらしいやわらかな聴き心地が特徴的。優雅なアヴァンロックであり、女性声ジャズロックとしても楽しめる傑作だ。
メロディック度・・8 プログレ度・・8 優雅で軽妙度・・9 総合・・8
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Stripsearch
アメリカのアヴァン・ジャズロック、ストリプサーチの2003年作
ギター、ベース、ドラム、サックスという4人編成で、わりとハード寄りのギターにサックスが鳴り響き、
ドラムはドスンドスンと重ためのリズムを叩き出す。フリーキーでアヴァンギャルドな異色のジャズロック。
オールインストで7分前後の長めの曲も多いので、ときにフリーキーすぎてダレる感じもあるのだが、
ノイジーなギターに奔放なサックスの暴れっぷりが耳を引き、手数の多いドラムはテクニックもあるので、
崩壊しそうなところを緊張感あるアンサンブルで保っているという。楽曲というよりはほぼ即興的な演奏で
無理やり曲にしたというところが面白いと思えるかどうか。レーベルは何故かMagna Cartaなんですね。
ドラマティック度・・5 アヴァンギャル度・・8 フリーキー度・・9 総合・・7.5
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Michael Riessler「HONIG UND ASCHE -HONEY AND ASH」
ドイツ出身のサックス&クラリネット奏者、ミヒャエル・リースラーの1998年作
L'Orchestre National de Jazz Parisにも参加していたミュージシャンで、本作はエキセントリックな女性声を乗せた
チェンバーロック的な怪しさに包まれた作風で、変則リズムまくりの緊張感の中を、クラリネットやトロンボーン、
トランペットなどが吹き鳴らされる。恐ろしくアヴァンギャルドなジャズロックなのだが、先の読めないスリリングな空気感と
得体の知れないダークなチェンバーロックが交差して、結果としてこれは…とてもプログレだろうという聴き心地なので、
MAGMAなどが好きな方にも対応。ドラムが躍動する激しいジャズロック感触に、ときにアコーディオンやヴァイオリンも加わった
一種、土着的な感触も覗かせつつ、トランペットが盛大に鳴り響き、女性ヴォーカルがフランス語の声を妖しく乗せる、
じつにアヴァンギャルドかつダイナミックな演奏が繰り広げられる。ううむ…コレはもの凄い作品ですね。
プログレ度・・8 スリリング度・・9 アヴァンギャル度・・8 総合・・8.5
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YAHOWHA 13 「I'm Gonna Take You Home」
アメリカのカルト教団、ヤホワ13の音楽作品。1974年作
1960年代カルフォルニアで誕生した宗教団体で、教祖である、ファーザー・ヨッドを中心に菜食や動物愛護、
反戦および愛と平和を説き、音楽活動も熱心に行っていたという。70年代半ばに、ファーザーの事故死によって
教団は解散状態となるが、彼らの残した音楽作品はCD化され、密かに世に出回ることとなった。
そのサウンドは、ヨレ気味のギターにジェントルでヘタウマなヴォーカルを乗せた、まさしくカルトなサイケロックで、
妖しさぷんぷん。ドラムが入ってのダイナミクスと、詠唱めいた歌声とともに、恍惚として盛り上がるところは、
秘教系サイケの王道というべきか。しかし、これが案外に楽しめる。15分を超える大曲を含む力作なのです。
もっと気になる方は、13枚組のボックスセット(日本盤!)をどうぞ。
ドラマティック度・・7 サイケ度・・9 カルト度・・10 総合・・8
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2/11
プログレも忘れていませんよ(43)


Kaipa Da Capo 「Darskapens Monotoni」
スウェーデンのプログレバンド、カイパ・ダ・カーポの2016年作
復活KAIPAとは別に、ロイネ・ストルトが70年代の古き良きサウンドを再現するべく、オリジナルメンバーである、
トーマス・エリクソン、インジマー・ベルグマンとともに立ち上げたバンドで、ロイネの弟、マイケル・ストルトも参加。
サウンドは、ロイネのメロウなギターの旋律をたっぷりとまぶし、美しいシンセワークで包み込んだ、
かつてのKAIPAの素朴さに、初期のThe Flower Kingsを合わせたような、叙情豊かなシンフォニックロック。
大人の哀愁を感じさせる、マイケル・ストルトのどっしりとした歌声に、オルガンが鳴り響く70年代風味のやわらかさ、
そして繊細かつ優美なギターワークとともに、これぞ往年の北欧ロックという味わいが楽しめる。
10分を超える大曲も多数で、派手な展開や新鮮味は薄いもののじっくりと鑑賞できる。さすがの傑作です。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 北欧度・・8 総合・・8
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KAIPA 「Nattdjurstid」
スウェーデンのプログレバンド、カイパの1982年作
プログレ、シンフォニックロックとして楽しめるのはロイネ・ストルトが在籍した3作目までなのだが、
2015年になって初期3作のリマスター再発にともない、幻の4作目、5作目もCD化された。
5作目となる本作は、ハンス・ルンディンによるきらびやかなシンセワークを前に出し、
80年代的なビート感とキャッチーなポップ性に包まれたサウンドである。
ヴォーカルは基本母国語なので、辺境感を含んだ感触が面白い味わいになっていて、
さほどプログレらしさを求めなければ、モダンなプログレハード的にも楽しめる。
アルバムとしては人気が出なかったのか、本作を最後にバンドは解散となる。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・6 北欧度・・8 総合・・7.5 過去作のレビューはこちら
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VAN der GRAAF GENERATOR 「Merlin Atmos - Live Performances 2013」
イギリスのプログレバンド、ヴァン・ダー・グラフ・ジェネレーターのライブ作品。2015年作
60年代から活動する英国プログレの裏の帝王というべきバンド、2005年の復活以後は精力的にアルバムやライブ作品を発表、
本作は、2013年の欧州ツアーからのステージを収録。ピーター・ハミルの深みのある歌声に、ヒュー・バントンのオルガン、
ガイ・エヴァンスのドラムによって生み出される湿り気を帯びたサウンドは、まさにVdGGにしかなしえぬ世界観。
トリオ編成ながら、ときにツインシンセになったり、ハミルのギターや、ヒュー・バントンのベースペダルによって、
楽曲ごとに巧みに編成を変化させるメンバーシップもさすが。70年代の空気感を再現させながらスリリングな緊張感を描く、
ベテランらしい堂々たる表現力も素晴らしい。それぞれ20分を超える大曲“Flight”、“A Plague of Lighthouse Keepers”を
完全な形で再現しているのもファンには嬉しいだろう。2CDの限定盤は、Disc2に7曲を70分超を収録、まさに完全版ライブが楽しめる。
プログレ度・・8 ライブ演奏・・8 スリリング度・・9 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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KIAMA 「Sign of IV」
イギリスのプログレハードロック、キアマの2016年作
MAGENTAのロブ・リードを中心に、FROST*のアンディ・エドワーズをドラムに、ギターにはルーク・マシンが参加
THE REASONINGのディラン・トンプソンをリードヴォーカルに据えた編成で、70年代ルーツの古き良きロック感触と
シンフォニックなプログレ性をほどよくブレンドしたという作風。いうなれば、レッド・ツェッペリン的な英国ハードロックを
オルガンなどを含む美しいシンセとともに、プログレファン向けに構築したという聴き心地である
随所に聴かせるルーク・マシンのテクニカルなギタープレイや、ロブ・リードの美麗なシンセアレンジもさすがで、
しっとりとした叙情的なバラード曲などはシンフォニックロック的にも楽しめる。大人の味わいに包まれた力作。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 英国ロック度・・9 総合・・8
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Liam Davison 「Treasure of Well Set Jewels」
イギリスのミュージシャン、リアン・ダヴィソンの2011年作
Mostly Autumnのギタリストでもあるミュージシャンで、グラムロック調のナンバーから、素朴なシンフォニックロック、
アンビエントなナンバーまで、自身のヴォーカルを乗せ、メロウなギターワークとともに、じっくりと聴かせる作風だ。
イアイン・ジェニングス、アン・マリー・ヘルダー、ヘザー・フィンドレイといった、Mostly Autumn関連のメンバーが参加。
女性ヴォーカルを含むナンバーは、やはりモストリー・オータムに通じる雰囲気もあり、浮遊感ある叙情が味わえ、
翳りを含んだモダンなポストプログレ風のナンバーなど、Pink Floydルーツの薄暗系ロックとしても楽しめる。
ラストの8分を超えるナンバーでは、ギルモアばりの叙情豊かなギターの旋律が心地よく響き渡る。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 薄暗度・・8 総合・・7.5
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ARK 「Wild Untamed Imaginings」
イギリスのプログレバンド、アークの2011年作
80年代に結成、元IQのBを含むメンバー編成で、90年代まで活動していたバンドの復活作。
オルガンやムーグシンセが鳴り響き、ハード寄りのギターと枯れた味わいのヴォーカルで聴かせる、
シンフォニックなプログレハードというサウンド。楽曲自体はASIAや中期のYesIT BITESなどを思わせる
キャッチーなメロディアス性でとても聴きやすく、やわらかなフルートの音色が入った繊細な叙情性もよいですね。
ただ、いかんせんヴォーカルのウェットンを下手にしたようなオッサン臭い声が好みを分けるところかもしれない。
音作り的にも90年代の延長という感触で、いくぶんB級がかった英国のプログレハードがお好きならどうぞ。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 古き良きプログレハー度・・8 総合・・7.5
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CREDO 「This is What We Do」
イギリスのシンフォニックロック、クレドのライブ作品。2009年作
90年代に結成され、2005年に復活作を発表したバンドの2008年のポーランド公演を2CDに収録。
きらびやかなシンセワークにメロウなギターとマイルドなヴォーカルを乗せた
PENDRAGONARENAなどに通じる英国らしい正統派のシンフォニックロックサウンド。
10分を超えるナンバーも多く、ポンプロックルーツの湿り気のある叙情性とともにメロウに聴かせる作風は、
これという新鮮味はないものの、ポーランドのSatelliteなどにも通じる翳りを含んだ繊細な味わいが楽しめる。
演奏自体も安定していて、IQなどを思わせるシアトリカルなヴォーカルの表現力もなかなかのもの。
さすがに2CDで100分を超えるという長尺感もあるのだが、音質も良く安心して聴けるライブ作品ではある。
シンフォニック度・・8 ライブ演奏・・8 メロウな叙情度・・8 総合・・7.5
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21st Century Schizoid Band 「Live in Japan」
キング・クリムゾンのトリビュートバンド、21st・センチュリー・スキッツォイド・バンドのライブ音源。2003年作
マイケル・ジャイルズ、イアン・マクドナルド、メル・コリンズ、ピーター・ジャイルズ、ジャコ・ジャクジクというメンツによる
2002年の来日公演のステージを収録。叙情的なイントロに続き、ツインサックスが鳴り響く“A Man,A City”から、
いかにもファンが求めるクリムゾンらしさが炸裂。ジャコジクの歌声は、どことなくかつてのグレッグ・レイクを思わせ、
マイケル・ジャイルズのドラムは、とくにジャズ風味の強いナンバーは絶品で、軽やかなアンサンブルの核を担っている。
マイケル自身のソロからのナンバー“Progress”も披露。1stの定番曲、“クリムゾン・キングの宮殿”、“エピタフ”
さらには、マクドナルド&ジャイルズからのナンバー“BirdMan”なども聴きどころ。ラストはお約束の“21世紀の精神異常者”で、
往年のクリムゾンファンは大満足の内容だろう。日本盤にはDVDも付属していて、CDより2曲多い14曲のライブ映像が楽しめる。
ドラマティック度・・8 ライブ演奏・・8 往年のクリムゾン度・・9 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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Ellesmere 「Les Chateaux De La Loire」
イタリアのシンフォニックロック、エレスメーレの2015年作
TAPROBANのRoberto Vitelliによる プロジェクトバンドで、フランスのロワール渓谷周辺の古城をテーマにしたコンセプト作。
美しいシンセにアコースティックギター、やわらかなフルートの音色で、しっとりと聴かせる牧歌的なサウンド。
優美でシンフォニックなアレンジと、アコースティックで素朴な味わいが合わさったインストを中心にした楽曲は、
涼やかな風やあたたかな日差しを感じさせ、中世の空気感を描くような幻想的な味わいも楽しめる。
ドラムやエレキギターが入らないので、プログレ、ロック色は薄いものの、Anthony Phillipsなどに通じる、
繊細な美意識にうっとりと浸れる。ゲストにはそのアンソニー・フィリップスに、ジョン・ハケット、
Racomandata Ricevuta Ritornoのルシアノ・レゴーリ、RanestRaneのダニエレ・ポモが参加している。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 優美度・・9 総合・・7.5
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Daal 「Destruktive Actions Affect」
イタリアのプログレユニット、ダールの2011年作
TILION、COLOSSUS PROJECTのシンセ奏者と、NUOVA ERA、TAPROBANのドラマーの2人組。
SF映画を思わせるSEのイントロから、曲が始まると手数の多いドラムにメロトロンやムーグを含むシンセを乗せ、、
イタリアらしいホラーサントラ的でもあるダークでミステリアスなインストサウンドを展開する。
プログレ的な濃密さよりは、ストーリほにそって描かれるサントラ風味の作風なので、物足りなさはあるが、
16分の大曲では、ヴァイオリンが鳴り響きやわらかなピアノを含んだクラシカルな優雅さが前に出てくる。
ゴブリンやモルト・マカブルなど、ホラーサントラ系のプログレが好きな方なら、わりと楽しめるだろう。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 イタリア度・・8 総合・・7.5
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Klotet 「Det Har Aldrig Hant Och Kommer Aldring Handa Igen」
スウェーデンのプログレバンド、クロテットの2010年作
前作はなかなか強力な、サムラばりのおちゃらけ系アヴァン・ジャズロックであったが本作はさらにエスカレート。
女性シンセ奏者を含む4人編成で、いきなりメタルばりの激しい疾走が始まったかと思いきや、
ヘンタイ気味の唐突な展開と、とぼけたユーモアを散りばめた、無茶な楽曲に唖然とさせられる。
楽曲は2~3分前後が中心で、オルガン鳴り響くオールドなロック感触とテクニカルなアンサンブルによる
ジャズロック色も含んだインストサウンドで、理解不能なセンスはHoyry-Koneなどに通じるものがあるが、
一方ではわりとキャッチーなナンバーなどもあって、適度な脱力感とユルさも味わいとなっている。
捉えどころのなさが魅力ではあるが、個人的にはもっと徹底的にヘンタイ化してもらいたい気もする。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 アヴァンギャル度・・8 総合・・7.5
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Lunatic Soul 「Impressions」
ポーランドのポストプログレ、ルナティック・ソウルの2011年作
Rivesideのリーダーであるマリウス・デューダのソロプロジェクトで、3作目となる本作は
おそらくタイトルのように習作集で、過去2作を制作した間の未発音源かと思われる。
エレクトロなリズムプログラミングに、シンセやギターを重ねたアンビエントな作風はBrian Eno的で、
シンプルなフレーズをリフレインさせながら、じっくりと内的な叙情を描いてゆくというサウンドだ。
曲によってはわりとギターを中心にしたところもあって、静謐感の中にロック要素を程よく残している。
ほぼオールインストなので、どうしてもBGMになってしまいがちであるが、
マリアス氏のファンであれば彼の音楽センスの一端をしっかりと感じ取れる作品であると思う。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 繊細度・・7 総合・・7.5 過去作のレビューはこちら
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TELERGY 「The Legend of Goody Cole」
アメリカのシンフォニックロック、テレルジィの2013年作
ギター、ベース、シンセ、ヴァイオリン、フルートなどを一人でこなすマルチミュージシャン、Robert McClungによるプロジェクトで、
彼の出身地であるニューハンプシャーで16世紀に実在し、魔女裁判にかけられた女性「Goody Cole」の伝説を描いたコンセプト作。
ヴァイオリンが鳴り響き、美麗なシンセアレンジにハード寄りのギターを乗せて、重厚なインストパートを描きつつ、
曲間にセリフやSEを織り込んだ物語的な流れとともに、ドラマティックなハード・シンフォニックロックを聴かせてくれる。
TWISTED SISTERのディー・スナイダー、KING'S Xのタイ・テイバー、WHITE SNAKEのジョエル・ホークストラ
MAGELLANのトレント・ガードナー、PORCUPINE TREEのコリン・エドウィン、SPOCK'S BAERDのリョウ・オクモト、
元HAWKWINDのニック・ターナー、DELUSION SQUAREDのエマニュエル・デル・セイント・ミーンなどがゲスト参加。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 重厚度・・8 総合・・8
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1/28
1月もあっという間に過ぎ(30)


Universal Totem Orchestra 「Mathematical Mother」
イタリアのプログレバンド、ユニバーサル・トーテム・オーケストラの2017年作
Runaway Totemのメンバーを中心に1998年結成、本作はUTOとして2006年作以来となる3作目のアルバム。
女性Vo、サックス、シンセ奏者を含む6人編成で、変則リズムのテクニカル性を含んだ軽やかなアンサンブルに、
イタリア語の美声の女性ヴォーカルを乗せた、ジャズロック風味を含んだ優雅なプログレサウンド。
メロディックなギターの旋律にクラシカルなピアノとAna Torrs嬢のオペラティックな歌声でしっとりと聴かせるパートから、
リズムチェンジや唐突な展開でアヴァンギャルドな展開を垣間見せる、アーティスティックなアレンジも面白い。
ときにMAGMAを思わせるような部分もあり、ズール系と言われるように、シアトリカルな妖しさを含みながら、
スタイリッシュで軽妙な味わいが特徴的だ。ジャズやチェンバーロック、クラシックの要素を、現代的なセンスと
構築性で仕立て上げた力作。芸術的なジャケデザインは、Il Segno Del Comandoなども手掛けたダニーロ・カプーア氏によるもの。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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La Fabbrica Dell'Assoluto 「1984:L'Ultimo Uomo D'Europa」
イタリアのプログレバンド、ラ・ファブリカ・デル・アソルトの2015年作
ジョージ・オーウェルの小説「1984」をテーマにしたコンセプト作で、オルガンやムーグシンセが鳴り響き、
わりとハード寄りのギターとともに、70年代イタリアンプログレの混沌とした濃密さを蘇らせたようなサウンド。
かき鳴らされるハモンドのくぐもった音色にミニムーグ、メロトロンと、ヴィンテージなこだわりを感じさせる鍵盤に、
伸びやかなイタリア語の歌声が重なり、かつてのイルバレばりの聴き心地に思わずニヤニヤとしてしまう。
組曲のように小曲が次々に連なってゆく構成なので、一曲ごとの味わいはやや物足りないところもあるのだが、
後半には12分を超える大曲では、じっくりと聴かせる叙情パートも含んだ、ドラマティックな仕上がりとなっている。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 イタリア度・・9 総合・・8
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Wicked Minds 「Visioni, Deliri E Illusioni」
イタリアのヴィンテージ・ロック、ウィックド・マインズの2011年作
本作は70年代のイタリアンプログレのカヴァーアルバムで、THE TRIP、OSANNA、IL BALLETTO DI BRONZO、
DELIRIUM、NEW TROLLS、LE ORME、NUOVA IDEA、CIRCUS 2000、MUSEO ROSENBACH、QUELLA VECCHIA LOCANDA、
P.F.M.といったバンドの楽曲を全13曲収録。オルガンやメロトロンが鳴り響き、ややハード寄りのギターとともに、
往年のアナログな空気感まで再現したサウンドで、OSANNAのLino Vairetti、DELIRIUMのMartin Gurice、
LE ORMEのAldo Tagliapietra、MUSEO ROSENBACHのStefano Gualifiがそれぞれ自分のバンド曲でゲスト参加、
さらにはJACULAのAntonio Bartoccetti、PRESENCEのSophya Bacciniなども参加。女性ヴォーカル入りのイルバレやPFMは新鮮だし、
やはり本人が歌うオザンナやムゼオはじつに雰囲気がある。イタリアンロック好きは必聴の内容です。
プログレ度・・8 カヴァー度・・9 イタリア度・・10 総合・・8
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Alessandro Farinella 「Road to Damascus」
イタリアのシンセ奏者、アレッサンドロ・ファリネーラのソロ作。2012年作
かつてTale Cueなどで活躍したミュージシャンで、本作は十字軍遠征をテーマにしたコンセプトアルバム。
メロディックなギターワークにピアノなどを含んだ優雅なシンセとオーケストラルなアレンジで、
やわらかな叙情性と起伏に富んだ展開で、ドラマティックに描かれるシンフォニックロックサウンド。
自身によるヴォーカルはやや素人臭いのだが、インストパートのメロディセンスと展開力は、
ときにRick Wakemanあたりを思わせる。ムーグシンセが鳴り響く古き良きプログレらしさもよろしい。
ドラムにはPFMのツアーメンバーでもある、Roberto Gualdiが参加している。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・8 優美な叙情度・・8 総合・・7.5
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VENEGONI & CO.「RUMORE ROSSO VIVO」
イタリアのジャズロック、ヴェネゴーニ&カンパニーのライブ。2004年作
ARTI E MESTIERIのルイジ・ヴェネゴーニを中心にしたバンドで、本作は1978、79年の未発表ライヴ音源のCD化。
わりとハード寄りのギターを乗せて、手数の多いドラムとともに躍動感あるアンサンブルで聴かせる、
パワフルなジャズロックが展開される。ヴェネゴーニのギタープレイは、ときにブルージーでときにテクニカル、
ジャズロックでありながらも、むしろロック的な荒々しさを兼ねそろえたノリの良さを感じさせる。
アルティほどの華やかさはないが、ときにアレアのような即興的な演奏もまじえた演奏が楽しめる。
音質はややラフなのだが、その分当時の臨場感ある空気が伝わってくる、価値ある発掘ライブ音源だ。
ジャズロック度・・8 ライブ演奏・・8 音質・・7 総合・・7.5
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Runaway Totem 「Tep Zepi」
イタリアのハードプログレ、ランナウェイ・トーテムの2002年作
80年代から活動するキャリアのあるバンドで、うっすらとしたシンセに朗々としたヴォーカルを乗せ
秘術的な妖しい気配を漂わせたカルトな世界観。ハードめのギターにオルガンなどのシンセと
イタリア語によるオペラティックな男性ヴォーカルの歌声が重なるなかなか濃密な味わいで、
イタリアらしい大仰なサウンドが楽しめる。インストパートではプログレらしい展開力も覗かせ、
11分の大曲や3パートに分かれた17分の組曲など、本作はよりドラマティックな仕上がりである。
妖しく耽美な世界観に包まれた、いわば「ハードになったJACULA」という雰囲気の力作だ。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 カルトで大仰度・・9 総合・・7.5
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AMAROK 「Hayat Yolunda」
スペインのプログレ・トラッドロック、アマロックの2015年作
1994年にデビュー、優雅なトラッドロックとプログレを絶妙に融合させたサウンドで、
これまでに7枚のアルバムを発表、2009年のリミックス作、2011年のライブを最後に解散したかと思われていたが
本作はアルバムとしては2007年以来となる復活作。アコースティックギターのつまびきに、やわらかなフルートの音色、
スペイン語による美しい女性ヴォーカルの歌声を乗せたサウンドは繊細にして優美。うるさすぎないシンセにピアノ、
シンフォニックロックの美麗な感触と、ロックとしての躍動感が絶妙に合わさった、まさにこのバンドでしかなしえないサウンドだ。
オルガンの音色が加わるととたんにプログレ色が強くなるが、一方ではアコースティカルな素朴さもしっかりと残していて、
「カタルーニャの宝石」と謳われる優雅な美意識に包まれた空気感にはうっとりとなること請け合いだ。哀愁と情熱を兼ねそろえた
マルタ嬢の歌唱の表現力も素晴らしい。これぞトラッドプログレの大傑作。ボーナスDiscには未発音源を収録。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 繊細で優雅度・・10 総合・・8.5 過去作のレビューはこちら
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KORMORAN 「MAGYAR KETTOS」
ハンガリーのトラッドロック、コルモランの2010年作
1984年にデビュー、トラッドとロックを融合させたダイナミックなサウンドで、多数のアルバムを作り続けている。
本作は、のっけからいつになくメタリックなギターによるハードな感触に、ヴァイオリンやフルートの音色が重なり
男女ヴォーカルの母国語の歌声を乗せた、トラッド・ハードロックというべきサウンドが広がってゆく。
随所にフォーキー土着性を含んだメロディと、ロックとしての躍動感が絶妙に合わさり、言語を除けば、
むしろ堂々たるメジャー感すら漂わせる聴き心地である。雄大なまでの叙情性と奇跡的なキャッチーな感触で、
細やかなアレンジの質の高さで構築された楽曲は、ドラマティックな美意識とともにロックオペラのような華麗さである。
ドラマティック度・・8 壮大度・・9 トラッドロック度・・8 総合・・8.5 過去作のレビューはこちら
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Neo-Prophet 「Monsters」
ベルギーのプログレバンド、ネオ・プロフェットの2008年作
美しいシンセアレンジに抜けのいいヴォーカルを乗せて、キャッチーなメロディアス性で聴かせるサウンド。
Neal MorseTRANSATLANTICなど、アメリカ系のバンドにも近い爽快なシンフォニックハードで、
ピアノやオルガン、ムーグなどの古き良きプログレ感触も耳心地よく、メリハリのある展開もなかなかのもの。
ラストは20分を超える組曲で、メロディックな叙情を含ませながら適度なハードさとともに、ドラマティックに構築してゆく。
演奏、楽曲ともどもマイナー臭さはほとんどなく、無名の存在にしておくには惜しいレベルのクオリティだ。
2015年作「T.I.M.E.」はさらなる成長を遂げた傑作なので、そちらもチェックすべし!
メロディック度・・8 プログレ度・・8 キャッチー度・・8 総合・・8
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RJALZ 「U Rigiru」
フランス、コルシカ島出身のプログレバンド、リアルズの2008年作
「コルシカのマグマ」とも呼ばれ1978年に1000枚のみのプレスでLPが出回っていたレアな音源がCD化された。
オルガンやピアノの音色にヴァイオリンが鳴り響き、優雅で軽やかなアンサンブルを聴かせるサウンドで、
基本はジャズロックでありながらも、どこか辺境的な妖しさと湿り気を含んだ土着的な空気感が特徴的。
フランス語による男性ヴォーカルはときに詠唱のようで、女性声のスキャットとともに神秘的な雰囲気を描いている。
16分、11分という大曲を、ときに即興的な演奏を含んだセンスも面白く、MAGMAの妖しさにTerpandreの優雅さを合わせた、
濃密なサウンドが味わえる。このままバンドが活動を続けていたらものすごい作品を作ったのではないかという気もする。
CD化のボーナスとして、1977年に録音されたライブ音源と、76年の未発音源を追加収録。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 神秘的度・・8 総合・・8
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VA/Spaghetti Epic 「Six Modern Prog Band for Six '70 Prog Suites」
MUSEAレーベルによるオムニバス、イタリアの西部劇「続・夕日のガンマン」をテーマにした作品。2004年作
HAIKARA、RANDONE、TILION、La Voce Del Vento、TAPROBAN、TRIONという6バンドが参加、
ハイカラとトリオン以外はイタリアのバンドで、それぞれ20分を超える大曲を持ち寄り、全6曲を2CDに収録。
HAIKARAは、女性ヴォーカルの歌声に牧歌的なアコーディオンが鳴り響き、北欧らしい涼やかな叙情で
大人の哀愁を感じさせるサウンド。RANDONEはやわらかなオルガンにムーグシンセが鳴り響き、
メロウな叙情ギターを乗せ、ときに女性ヴォーカルの歌声も加わった、古き良きプログレの感触が楽しめる。
TILIONはイルバレを思わせるイタリアらしい混沌とした世界観とともに、スリリングな展開で濃密に聴かせる。
La Voce Del Ventoは、オルガンのも色にアコースティックな叙情も含んだ大人の味わいのプログレサウンド。
TAPROBANは、イタリアらしいキーボードプログレにやわらかな叙情の歌ものパートも含んだ構築センスが光る。
TRIONはオルガンにメロトロン、ムーグシンセを鳴り響かせる、インストの叙情シンフォニックロックサウンド。
どのバンドも持ち味を発揮したドラマティックな大曲で、マカロニウエスタンを知らずとも楽しめる濃密なオムニバスに仕上がっている。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 ほぼイタリア度・・8 総合・・8
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VA/ ILIAD 「Grand Piano Extravaganza」
MUSEAレーベル主催、ホメロスの叙事詩「イーリアス」をテーマに、各国の鍵盤奏者によるグランドピアノの独奏を集めた作品。
LA TORRE DELL'ALCHIMISTA、Marco Lo Muscio、Guy Le Blanc(NATHAN MAHL)、INNER DRIVE、
JINETES NEGROS、SIMON SAYS、SENOGUL、LADY LAKE、WICKED MINDS他、ソロプレイヤーを含む
シプログレバンドのシンセ奏者が集結。それぞれが3~6分前後のピアノ曲を披露してゆく。
なにせピアノだけなので、ロック色はほぼ皆無なのだが、そこはプログレ系のアーティストたち、
ピアノのみであっても変則リズムを含んだ展開力と優雅なメロディセンスで、これがなかなか楽しめる。
単なるクラシック的なものではない、表情豊かな楽曲が叙事詩的なドラマ性をともなって連なってゆく。
のんびりとお茶でもしながら、各奏者の奏でるピアノの音色を優雅に鑑賞したい作品です。
クラシカル度・・9 プログレ度・・7 ピアノ度・・10 総合・・7.5
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Sigur Ros 「valtari」
アイスランドのアンビエントロック、シガー・ロスの2012年作
4年ぶりとなる6作目で、うっすらとしたシンセに、やわらかな歌声を乗せたしっとりとした聴き心地。
まさに癒し系アンビエントロックというべきサウンドであるが、ノイズを取り入れた空間的なアレンジなど
プログレリスナーにも楽しめるようなセンスを随所に感じさせる。やわらかな繊細さに包まれた作風であるが、
しだいに盛り上がってゆくポストロックとしてのダイナミズムも残している。これはかなりの傑作でしょう。
プログレ度・・7 ロック度・・3 しっとり繊細度・・9 総合・・8
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Dream Aria 「Fallen Angel」
カナダのシンフォニックハード、ドリーム・アリアの2011年作
美しいシンセアレンジにキュートな女性ヴォーカルの歌声、わりとハードなギターが合わさったサウンド。
ゲストによるラウドなギターがメタル感触をかもしだしていて、ややミスマッチな感じながら、
厚みのあるシンフォニックなアレンジや美しい女性声を乗せた浮遊感はなかなか悪くない。
イギリスのThe Reasoningあたりにも通じる、ハードロック感触のある女性声シンフォというべきか。
ラストの8分近い大曲はプログレ的なインストが良い感じであるが、全体的には楽曲自体がややごちゃごちゃしていて
せっかくの女性ヴォーカルの美しさが活きていない。むしろシンプルにキャッチーなメロディのフックを磨いてほしい。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・7 女性Vo度・・8 総合・・7
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Apocalypse 「Refugio」
ブラジルのプログレバンド、アポカリプスの2003年作
80年代から活動する中堅バンドで、オルガンやムーグを含むプログレらしいシンセに
ポルトガル語のヴォーカルを乗せて軽妙なアンサンブルで描くシンフォニックロック。
テクニカルとまではいかない軽やかさな聴き心地で、楽曲におけるいくぶん唐突な展開は、
マイナーなB級バンドの雰囲気もかもしだしているのだが、随所に聴かせる泣きの叙情ギターや、
SAGRADOあたりにも通じる南米らしいやわらかな叙情性はなかなかのもの。
90年代を引きずった作風といえるが、むしろそのネオプログレ的なシンフォ臭さを好む方なら、
気に入るのではなかろうか。Tempus Fugitあたりをより濃密なシンフォに仕立てたというような力作。
シンフォニック度・・8 プログレ度・・8 南米度・・8 総合・・8
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1/8(土)
本年もプログレでよろしくお願いします!(15)


KAUKASUS 「I」
MOTORPSYCHOのケティル・ヴェストラム・エイナーソン、元ANGLAGARD~WHITE WILLOWのマティアス・オルソン、
そしてライス・マーシュという、ノルウェー、スウェーデン混合のユニット、コーカサスの2015年作
マティアス・オルソンといえば、NECROMONKEYを結成して話題を呼んだが、本ユニットの方はトリオ編成による、
アナログ感に包まれたシンプルなアンサンブルに、ライス・マーシュのマイルドな歌声を乗せた、
ダークな空気感に包まれたサウンド。メロトロンを含むスペイシーなシンセにフルートが妖しく鳴り響き、
モーターサイコのようなスケール感と、北欧らしい涼やかな聴き心地に、アヴァンギャルドなセンスも覗かせる。
クリムゾンやANEKDOTENなどを思わせる部分もありつつ、フルートとシンセをメインにしたアンビエントなナンバーや
モダンなポストプログレ風味も含んだ、古さと新しさを自然体で内包したような強力作です。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・8 北欧度・・8 総合・・8
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Mats/Morgan 「Schack Tati」
スウェーデンのアヴァンデュオ、マッツ・アンド・モルガンの2015年作
ここ数作はバンド名義での作品だったので、純粋なユニットとしてはずいぶん久しぶりのアルバムとなる。
2~3分前後の小曲を中心に、きらきらとしたシンセにデジタリィなアレンジを含んだドラムを中心に聴かせるサウンド。
モルガン・オーギュレンはドラムだけでなく、ギターにベースも担当、息子のアルヴィン・アグレン(10歳)もヴォーカルで参加、
可愛らしい歌声を披露している。いつものような軽快で、アヴァンギャルドなポップ性もありつつ、マッツのシンセとハーモニカで
しっとりと聴かせるアンビエントなナンバーなど、不思議にメロディアスな曲も多く、全体的にもメリハリのある曲構成と共に
成熟された大人の余裕が感じられる。Simon Steenslandが参加したナンバーでは、そのテクニックのあるギタープレイも楽しめる。
コロコロとしたポップなアヴァンロックの中に、北欧らしいゆったりとした空気感が感じ取れるような好作品だ。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 アヴァンギャル度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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MORGAN AGREN 「Batterie Deluxe」
スウェーデンのミュージシャン、モルガン・オーギュレンのソロ。2015年作
Mats/Morganのドラマーとして活躍する彼の初のソロアルバムで、本作ではドラムだけでなく、ギター、ベース、
ヴァイオリンなども演奏。デジタリィなシンセによるテクノロック的な感触に、エフェクトのかかったドラム、ヴァイオリン、
ときに怪しげな語りやヘヴィなギターも加わって、アヴァンギャルドなセンスに包まれた先鋭的なサウンド。
モルガンの超絶なドラムプレイを期待すると少々肩透かしなのだが、(もちろん曲によっては圧巻のプレイを披露)
あえてドラムにフォーカスするわけでなく、フランク・ザッパばりのアヴァンロックの極北を描くセンスというのは、
さすがマッツ/モルガンの片割れというべきか。その相棒であるマッツ・エーベリをはじめ、鬼才、サイモン・スティーンスランド、
デヴィン・タウンゼンド、フレドリック・トーデンダルなどがゲスト参加。鬼才は鬼才を呼ぶということか。Mats/Morgan好きはマスト。
ドラマティック度・・6 プログレ度・・7 アヴァンギャル度・・9 総合・・8
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Simon Steensland 「Fat Again」
スウェーデンのマルチミュージシャン、サイモン・スティーンズランドの2009年作
Kamikaze Unitedにも参加していたMATS/MORGANのモルガン・オーギュレンが本作にも全面参加、
のっけから16分の大曲で、テクニカルなアンサンブルとともエキセントリックなセンスが炸裂、
Gosta Belings Sagaのエイナー・バルダーソンのテクニカルなギターに、アコーディオンやクラリネットなどを含む
チェンバーロック的な感触が加わって、ミステリアスな空気感とともにヘヴィなギターとモルガンのドラムがたたみかける
なんとも強力なサウンドだ。中盤ではコーラスの美しい2分前後の小曲などをゆったりと聴かせつつ、
ラストは20分の大曲で、MATS/MORGANをチェンバー寄りにしたというダークなアヴァンロックが味わえる。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・8 アヴァンギャル度・・8 総合・・8
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Simon Steensland 「A Farewell to Brains」
スウェーデンのマルチミュージシャン、サイモン・スティーンズランドの2015年作
いまや北欧が誇る鬼才というべき存在だろう。本作にも盟友であるモルガン・オーギュレン(MATS/MORGAN)が参加、
さらには、サイモンが敬愛する元UNIVERS ZEROのベーシスト、ギ・セジュールがゲスト参加している。
17分におよぶ一曲目は、うっすらとしたシンセにクラリネットが妖しく鳴り響く、ダークなチェンバーロックで、
MATS/MORGANを思わせる軽妙でとぼけた味わいと、不穏な空気が合わさったスリリングな大曲。
ほぼインスト中心だが、今作ではUNIVERS ZEROのようなドラマティックなスケール感が加わって、
チェンバーロックとしてのシリアス性が強まったという印象だ。ラストの17分の大曲では、アヴァンロックの偏屈さと
女性コーラスなとを含んだ神秘的な雰囲気を含んだ、得体の知れない世界観が見事に表現されている。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 アヴァンギャル度・・8 総合・・8
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Alamaailman Vasarat 「Valta」
フィンランドのチェンバー・プログレ、アラマーイルマン・ヴァサラットの2012年作
Hoyry-Koneを前身に2000年にデビュー、本作は5作目となる。トロンボーン奏者は脱退してしまったようだが、
サックス、トランペット、ホルン、チューバックスなどのブラスサウンドを、大胆にロックに融合させた作風は本作も不変。
歪んだチェロがヘヴィに鳴り響き、ロックなドラムの上に管楽器を乗せた独特の聴き心地に加えて、
ときに哀愁を含んだアコーディオンやメロディカの音色が、ユーモラスな響きで楽曲を彩ってゆく。
ヘヴィなタンゴ調のナンバーなども、ギャグではなく本気のそれで、ある意味では、チェロでメタルをやっている
Apocalypticaなどにも通じるセンスかもしれない。ギターもベースもおらずとも、どっしりと重厚なのがすごい。
ドラマティック度・・ 7 プログレ度・・8 ブラスロック度・・9 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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Steve HackettGenesis Revisited: Live At Hammersmith
イギリスのギタリスト、スティーヴ・ハケットのライブ作品。2013年作
ジェネシスをセルフカヴァーした2012年作にともなうツアーから、イギリス、ハマースミスでの公演を3CD+2DVDに収録。
ヴォーカルには、ナッド・シルヴァン(Agents of Marcy)、ベースにリー・ポメロイ、シンセにはロジャー・キング
ドラムはゲイリー・オトゥール、フルート&サックス、ロブ・タウンゼンドというメンバーで、1曲目から名曲“Watcher of the Skies”で
艶のあるハケットのギターワークに、美しいシンセワーク、そしてピーター・ガブリエルを思わせるナッドのヴォーカルで、
まさに往年のGENESISの世界観を見事に蘇らせている。ゲイリー・オトゥールのタメの効いたドラムも見事でアンサンブルの核を担う。
ゲストヴォーカルにニック・カーショウ、ジョン・ウェットン、ジャッコ・ジャクジクが参加、さらにはスティーブ・ロザリー(ずいぶん太ったな)、
女性ギター奏者のアマンダ・レーマンがステージに華を添える。“月影の騎士”や“The Musical Box”といった往年の名曲にはやはりぐっとくる。
そしてこれぞ英国というべきディープなウィットと幻想に包まれたの大曲“Supper's Ready”でステージはクライマックスを迎える。
アンコールでは“Firth of Fifth”、“Los Endos”を披露、2時間40分におよぶステージが幕を閉じる。まさにGENESISファンは必見のライブである。
ライブ演奏・・9 ライブ映像・・9 GENESIS度・・9 総合・・8.5 過去作のレビューはこちら
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Steve Hackett「Genesis Revisited: Live At The Royal Albert Hall
スティーヴ・ハケットのライブ作品。2014年作
2013年イギリス、ロンドンのロイヤル・アルバート・ホールでのステージを2CD+DVDに収録。
前回のハマースミスは5枚組というボリュームだったが、今作は3枚組とコンパクトにまとめられている。
メンバーは同じく、ナッド・シルヴァン、リー・ポメロイ、ロジャー・キング、ゲイリー・オトゥール、ロブ・タウンゼンドというメンツで
今回は1曲目から7拍子の名曲“Dance on a Volcano”でアグレッシブにスタート。円形状のアルバートホールの厳かな雰囲気のなか、
メンバーの巧みな演奏が繰り広げられる。続いて“Dancing with the Moonlit Knight”で早くもステージは最高潮、
The Flower Kingsのロイネ・ストルトがギターで参加、ハケットとの夢のツインギターが実現した“The Return of the Giant Hogweed”、
続く“The Musical Box”が前半のハイライト。後半は、“Firth of Fifth”、“サルマシスの泉”、そして大曲“Supper's Ready”という、
往年の名曲による濃密な流れがじつに圧巻だ。アンコールはお待ちかね“Watcher of the Skies”~“Los Endos”で締めくくる。
ゲストヴォーカルにレイ・ウィルソン、アマンダ・レーマン、ジョン・ウェットンが参加。ハマースミスに続きGENESISファンはマスト。
ライブ演奏・・9 ライブ映像・・9 GENESIS度・・9 総合・・8.5
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Citizen Cain's Stewart Bell 「The Antechamber of Being(Part 1)」
イギリスのプログレバンド、CITIZEN CAINのシンセ奏者、ステュアート・ベルによるソロ。2014年作
10分を超える大曲を中心にした組曲形式のコンセプトアルバムで、自身でシンセの他、ドラム、ヴォーカルをこなし
美しいシンセとマイルドなヴォーカルを乗せて、ドラマティックに展開する英国らしいシンフォニックロックを構築する。
CITIZEN CAINのヴォーカル、ギター、THE WATCHのヴォーカル、さらにはAYREONのアンソニー・ルカッセンがゲスト参加、
初期のGENESISに通じるシアトリカルな幻想性と、ときににアヴァンギャルドなセンスが交差して、じつに濃密な味わいである。
ときに女性ヴォーカルも加わって、男女ヴォーカルによるロックオペラ的な雰囲気もかもしだす。トータル74分におよぶ力作だ。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 濃密度・・8 総合・・8
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Contemporary Dead Finnish Music Ensemble 「Land of Hope」
フィンランドのハードプログレバンド、コンテンポラリー・デッド・フィニッシュ・アンサンブルの2009年作
ギター&シンセのアンティ・ぺソネン、元HÖYRY-KONEのシンセ奏者マティ・ヤラヴァを中心に、
KATAJAINEN KANSAのエーロ・ウーティモ、元STRATOVARIUSのトゥオモ・ラシラをドラムに迎えた編成で、
女性ヴォーカルのやわらかな歌声に、メロウなギターとオルガンが重なり、適度なハードさを含んだサウンドで
北欧らしい涼やかな叙情を描き出す。いくぶん屈折したアヴァンギャルド性も垣間見せつつ、
メタリックなハードさと女性声を乗せた浮遊感が交差する、なかなか個性的な聴き心地である。
ストリングスが艶やかに鳴り響くナンバーや、ラストの10分を超える大曲では、ドラマティックなな展開力が楽しめる。
一方では、プログレなのかシンフォなのかハードロックなのか、方向性的な曖昧さをもう少し突き詰めて欲しい。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・7 北欧度・・8 総合・・7.5
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Raoul Bjorkenheim, Bill Laswell, Morgan Agren 「Blixt」
ノルウェーのアヴァン・ジャズロック、SCORCH TRIOのギタリスト、ラウル・ビョーケンハイムと
Mats/Morganのモルガン・オーギュレン、そしてアメリカの大御所ベーシスト、ビル・ラズウェルによるユニットの2011年作
それぞれが鬼才というべき強烈な個性を持ったプレイヤーによるトリオであるから、当然のように超絶なバトルと、
テクニカルなアンサンブルでたたみかける。フリーなジャズロックといえばそれまでだが、型にはまらない奔放なギターに、
軽やかにして攻撃的なモルガンのドラム、そしてどっしりとしたベースを響かせるビルによるインタープレイは、
息もつかせぬ緊張感で、もはやジャンル分け不能。アヴァンギャルドでフリーキーでありながら、不思議とアンサンブルの一体感が
楽曲に方向性を与えていて、決してごちゃごちゃな感じにはならないところは、各メンバーのセンスと素養の豊かさだろう。
演奏度・・9 テクニカル度・・9 アヴァンギャル度・・8 総合・・8
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PETER FERNANDES 「Q.E.D.」
アメリカのシンセ奏者、ピーター・フェルナンデスのソロ。2014年作
ギターにリチャード・ハレビーク、ブレット・ガースド、ベースにリック・フィエラブラッチ、ジミ・ジョンソン
ドラムにはヴァージル・ドナティ、シェーン・ガラース、ジョエル・ローゼンブラット、ゲイリー・ハズバンド
そしてシンセにデレク・シェリニアンといった名うてのメンバー参加した、軽妙なフュージョンロックサウンド。
オールインストながら、ソロパートでは各メンバーがそれぞれにテクニカルなプレイを披露していて、
メロディックな優雅さとテクニカル性のバランスがとれた聴き心地。PLANET Xなどに比べると
ジャズロック的なやわらかな感触で、カンタベリー好きのプログレリスナーなどにも楽しめる好作品だ。
メロディアス度・・8 テクニカル度・・8 フュージョンロック度・・9 総合・・8
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Magnesis 「L'immortel Opera」
フランスのプログレバンド、マグネシスの2006年作
結成は80年代というベテラン、本作は5部構成のストーリー的なコンセプト作で、美しいシンセにメロウなギターで聴かせる
いわゆるGENESISタイプの王道のシンフォニックロック。フランス語の語りを含んだシアトリカルな雰囲気は、
やはりANGEを思わせる世界観で、クラシカルなピアノや泣きのギターフレーズなど、メリハリのある構成も楽しめる。
15分、9分、11分、9分という大曲揃いなので、どうしても長尺感があるのだが、完成度というよりはこのフランスらしい
空気感を味わうバンドなのだと思う。叙情的ではあるがメロディックな抜けは良くないというのもいかにもフランス的である。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 フレンチ度・・9 総合・・7.5
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Va/ DANTE'S PURGATORIO: THE DIVINE COMEDY PART II
MUSEAレーベル主催のオムニバス。ダンテの「神曲」をテーマにした壮大なプロジェクトの2作目。2009年作
SIMONS SAYS、GROOVECTOR、Mist Seasonといった北欧勢から、NUOVA ERA、MAD CRAYONなどのイタリア勢、
NEMO、FLAMBOROUGH HEAD、LITTLE TRAGEDIES、Yesterdaysといったヨーロピアンシンフォの中堅どころに加え、
NEXUS、Entlance、EQUILIBRO VITAL、JINETES NEGROSも、Raimundo Rodulfoなどの南米のバンドまで多数が参加。
CD4枚組で、それぞれのバンドがドラマにそった流れで楽曲を綴ってゆく。オルガンやムーグシンセにメロトロンと、
どのバンドも王道のシンフォニックロックスタイルでよい感じだなのだが、さすがに4CDで4時間超は聴くのが大変。
1作目に比べても、全体的にやや魅力的なナンバーが少ないような気もするが、ロシアのLITTLE TRAGEDIESや
チリのENTLANCE、オランダのFLAMBOROUGH HEADあたりはさすがのコテコテシンフォまくりでよいですな。
それと、アメリカのMaxwell's Demonがこの中では異色のアヴァン・プログレで面白かった。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 濃密度・・9 総合・・7.5
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VA/PARADISO: THE DIVINE COMEDY PART III
MUSEAレーベル主催のオムニバス。ダンテの「神曲」をテーマにした壮大なプロジェクトの3作目。2010年作
本作は、イタリアのピアニストMarco Lo Muscioの繊細なピアノによるイントロで幕を開け、続くLITTLE TRAGEDIESが
クラシカルなキーボードプログレでたたみかける。NUOVA ERA、GREENWALL、DAALといったイタリア勢をはじめ、
BRIGHTEYE BRISON、GROOVECTOR、SIMON SAYS、MIST SEASONなどの北欧勢、FLAMBOROUGH HEAD、
NEMO、YESTERDAYS、KOTEBELというヨーロッパ勢に、NEXUS、ECHOES、Jaime Rosas、JINETES NEGROS、
Raimundo Rodulfoという南米勢を加えた、ラスト作にふさわしい濃密なメンツが集結。CD4枚合計260分の内容だ。
個人的には、美しい女性ヴォーカルの叙情が素敵なGreenWall、メロウな泣きのギターで聴かせるNEXUS、
キャッチーな抜けの良さのSIMON SAYS、涼やかで繊細な叙情のMist Season、これぞシンフォニックというLady Lakeなど、
最終章にふさわしい充実の内容でした。1作目から合計してCD12枚、これを一気に聴いたら相当な満腹感でしょうな。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・8 濃密度・・9 総合・・8
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