メタルCDレビュー
~HEAVY METAL CD REVIEW 2017  by 緑川 とうせい

★2017年に聴いたメタルCDのレビュー(過去半年以内のものです)
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6/24
DiMは壮麗なる傑作!(214)


Diabulus in Musica 「DIRGE FOR THE ARCHONS」
スペインのシンフォニック・ゴシックメタル、ディアブラス・イン・ムジカの2016年作
2010年にデビューし、本作ですでに4作目となる。荘厳なイントロから、楽曲が始まると激しい疾走とともに、
モダンなヘヴィネスとオーケストラルな壮麗なシンフォニック性に、伸びやかな女性ヴォーカルの歌声を乗せて、
EPICAを思わせるような重厚なサウンドが広がってゆく。スベロア嬢の歌声も艶めいた表現力を増していて、
音の迫力と説得力という点でも、すでにDELAINNightwishなど一線級のバンドに匹敵するレベル。
激しさと叙情性を同居させたメリハリのある楽曲アレンジも見事で、全体的にも濃密な聴き心地に包まれた力作である。
シンフォニック度・・9 壮麗度・・9 女性Vo度・・9 総合・・8.5 過去作のレビューはこちら
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ETERNAL IDOL 「UNREVEALED SECRET」
イタリアのシンフォニックメタル、エターナル・アイドルの2016年作
元Rhapsody of Fireのファビオ・リオーネが参加し、ハスキーな女性ヴォーカルとのツインVo編成で、
適度にモダンなシンフォニックメタルを聴かせる。メロディアスハード風味のキャッチーな歌もの感触で、
最近のDARK MOORなどに通じる聴きやすさと、コンセプト的なドラマ性を含んだ世界観という点では、
KAMELOTあたりに通じる雰囲気もある。オーケストラルなアレンジも含んだ壮麗な重厚さは、
やはりファビオの歌声にはよくマッチしていて、楽曲によって女性声がリードをとるなど、
ツインヴォーカルによるオペラティックな空気感もよい感じだ。全体的にミドルテンポが主体で、
派手な展開やクサメロ感というものが薄い分、強いインパクトはないのだが、ファビオのファンならぜひ。
シンフォニック度・・8 壮麗度・・8 新鮮度・・7 総合・・7.5
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Eleanor 「Celestial Nocturne」
日本のゴシック・ハードロック、エレノアの2016年作
2008年にデビュー、関西出身の女性声ゴシック・ハードロックバンドとして人気を集め、本作は3作目となる。
メランコリックなギターフレーズを乗せたインストナンバーで幕を開け、日本語歌詞の女性ヴォーカルを乗せた、
湿り気のあるキャッチーな歌謡ロックと、重厚なメタル感触が自然に融合した独自のサウンドが楽しめる。
ツインギターに艶やかなヴァイオリンも加わった厚みのあるアレンジに加え、サウンドプロダクションの迫力が増したことで、
音質面での説得力が世界観の強度にもつながっている。Shiori嬢の歌声は、日本的な情感を艶やかに表現していて、
一貫したバンドの方向性をより高いレベルで描き出している。キャリア10年をへたバンドの自信がうかがえるアルバムだ。
ドラマティック度・・8 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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Running Wild 「The Final Jolly Roger」
ジャーマンメタルのベテラン、ランニング・ワイルドのライブ作品。2011年作
2009年のドイツWACKENのステージを2CDに収録。解散を宣言してのラストライブということで、
過去のナンバーも含めたバンドの集大成的なステージで、ケルティックなイントロから始まり、
枯れた味わいのロックン・ロルフのヴォーカルを乗せた、古き良き正統派のメタルサウンドが炸裂する。
名作「Death or Glory」からの疾走ナンバー“Riding the Storm”などはやはりぐっとくるし、
曲間に入るドイツ語によるロルフのMCや、観客の歓声からもステージの熱気が伝わってくる。
パイレーツメタルとしての勇壮な世界観と濃密さは、デビューから25年をへてもなお健在だ。
ライブ演奏・・8 枯れた味わい度・・8 ランニングワイル度・・9 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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FINNTROLL 「Natten Med De Levande Finntroll」
フィンランドのフォークメタル、フィントロールのライブ作品。2014年作
1999年にデビュー、KORPIKLAANIとともに北欧フォークメタルシーンを代表するバンド。
本作はオランダでの2008年のライブを収録した全19曲、78分という濃密な内容。
ヘヴィでメタリックなギターに愉快なポルカメロディを大胆に融合させたサウンドは、
ライブステージではラウドな音質も加わって、より激しく躍動的な勢いを感じさせる。
デスヴォイスも迫力たっぷりで、MOONSORROWのメンバーなどもいるだけあって、
ヴァイキングメタル的でもあるエピックで重厚な本格派の香りをまとわていてる。
ライブ演奏・・8 フォーキー度・・7 重厚度・・8 総合・・8  過去作のレビューはこちら
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Saltatio Mortis 「Manufactum III」
ドイツのフォークメタル、サルタティオ・モーティスのライブ作品。2013年作
2001年にデビュー、SUBWAY TO SALLYと並ぶ、ゲルマン・トラッドメタルを代表するバンドである。
バグパイプが鳴り響き、ドイツ語のヴォーカルを乗せた、メディーヴァルな世界観に包まれたサウンドで、
ときに疾走するナンバーもありつつ、ヘヴィすぎないサウンドながら、ベテランらしい音の説得力はさすが。
アコースティックな素朴さも覗かせながら、ゲルマンな中世トラッドをロックに融合させた自然体のノリで
力み過ぎない味わいで楽しめる。全15曲、64分という濃密なステージでMCも含めた臨場感もばっちり。
ライブ演奏・・8 トラッ度・・8 ゲルマン度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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SCHANDMAUL 「Sinnfonie」
ドイツのフォークメタル、シャンドマウルのライブ作品。2009年作
女性リコーダー、女性ヴァイオリン奏者を含む6人組で、2008年のミュンヘンでのステージを2CDに収録。
適度にメタリックなギターにヴァイオリンやバグパイプの音色が絡み、男性ヴォーカルのドイツ語の歌声を乗せた
いかにもゲルマンな空気感のフォークメタルで、やはりSUBWAY TO SALLYSALTATIO MORTISなどに通じる、
中世トラッド風味も感じさせるサウンドだ。アコーディオンやリコーダーの素朴な音色に武骨な男ヴォーカルと、
ときに女性コーラスも加わり、全体的にはメタル的なヘヴィさは控えめながら、キャッチーなノリの良さを含んだ
厚みのある演奏を繰り広げる。CD2枚組で120分を超える濃密なゲルマン・フォークメタルが楽しめるライブ作品である。
ライブ演奏・・8 フォーキー度・・8 ゲルマン度・・8 総合・・8
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Moonloop 「Deeply from the Earth」
スペインのプログレッシブ・デスメタル、ムーンループの2012年作
スパニッシュなテイストを含んだイントロで始まり、ヘヴィネスの中にも浮遊感を描くような聴き心地で、
テクニカルな切り返しを含んだモダンな硬質感と、知的な構築センスが光るサウンドだ。
ヴォーカルは迫力ある低音のデスヴォイスで、随所にブルータルな激しさも加わった楽曲に、
適度にオールドスタイルのデスメタル感触を乗せている。ツインギターはリフ主体ながら、
甘すぎない程度にメロディックなフレーズも織り込んで、ノーマル声を使った叙情パートなど、
かつてのOPETHあたりに通じるような雰囲気もある。全体的にはいくぶん荒削りながら、
ラストの11分の大曲など、デビュー作としては濃密で重厚なプログレ・デスの力作である。
ドラマティック度・・7 テクニカル度・・7 デスメタル度・・8 総合・・8
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Solstafir 「Otta」
アイスランドのアヴァン・ブラックメタル、ソルスタフィアの2014年作
サイケ、ペイガン、ポストロックを合わせてブラックメタル風味を加えたという独自の作風で、本作は5作目となる。
マイルドなヴォーカルとともにポストプログレ的にしっとりと始まりつつ、ギターとドラムが加わると、
Solefaldなどを思わせる知的なプログレッシブ・ブラックの感触になる。母国語によるペイガンな土着性に、
美しいシンセアレンジも加わって、寒々しい空気に包まれた雄大なスケール感で描かれてゆくサウンドは、
ときに繊細な叙情を含んでいて、ポストブラック系のリスナーにも楽しめるだろう。曲によっては古き良きHR色もかもしだし、
適度なアナログ感もあって、ストーナーブラック的な聴き方も可能。ラストの11分の大曲までじっくりと楽しめる力作だ。
ドラマティック度・・8 プログレッシブ度・・8 壮大度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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Dreamshade 「The Gift Of Life」
スイスのメロディック・デスメタル、ドリームシェイドの2013年作
前作はきらびやかなシンセを乗せたシンフォニックなメロデスの高品質作であったが、
2作目となる本作は、ぐっとモダンな感触が増して、いわばメタルコア的な作風に近づいている。
メロディックなギターフレーズに、デスヴォイスにエモーショナルなノーマルヴォイスを混ぜ込んで、
硬質感とキャッチーな感触を同居させたスタイルは、若いメタルリスナーには受けがよいだろう。
楽曲は3~4分前後とシンプルであるが、ときにメロデスらしい疾走パートも含んだり、
シンセによる美しいアレンジも入ってきて、緩急に富んだ構成力が光る、高品質なアルバムだ。
ドラマティック度・・7 疾走度・・7 モダンメロデス度・・8 総合・・8
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Suffocation 「Pinnacle of Bedlam」
アメリカのデスメタル、サフォケイションの2013年作
1991年にデビューし、一時期の解散から復活をへて、通作7作目のアルバム。
低音のグロウルヴォーカルとテクニカルなギターリフを乗せて突進するブルータルな感触と
適度にメロディックなフレーズも含んだ、知的な展開力で濃密なサウンドを描き出す。
オールドスタイルにこだわったおどろおどろしくグルーヴィな圧迫感、リズムチェンジによる
緩急ある構築力で、緊張感に包まれたデスメタルの強度を維持しているのはさすがベテランである。
クリアすぎないサウンドプロダクションも絶品だ。元祖テクニカルデスの面目躍如たる傑作。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・8 テクニカル度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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Mourning Beloveth 「Disease for the Ages」
アイルランドのゴシック・ドゥームメタル、モーニング・ベロヴェスの2008年作
重厚なギターリフに迫力あるデスヴォイスを乗せた、フューネラルなゴシック・ドゥームメタル。
楽曲はほとんどが10分以上で、ゆったりとしたスローテンポで展開はさほどないのだが、
随所ツインギターのメランコリックなフレーズを含んだ湿り気のある叙情も覗かせながら、
どっぷりと暗黒の世界観を描いてゆく。これという新鮮味はないものの、音の説得力含めて、
マイダイイングな本格派のゴシック・ドゥームメタルが楽しめる力作に仕上がっている。
ドラマティック度・・7 暗黒度・・8 重厚度・・8 総合・・8
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6/10
梅雨入りはメタルで(202)


Persefone 「Aathma」
アンドラ公国のシンフォニックメタル、ペルセフォネの2017年作
2004年にデビュー、シンフォニックな美しさとメロデス的な激しさにプログレッシブな知性を備えたサウンドで、
クオリティの高い力作を作り続けてきたこのバンド。5作目となる本作も美麗なイントロから期待させるが、
モダンなヘヴィネスを含んだテクニカルな硬質感と、クラシカルなシンセアレンジが合わさったシンフォニックメタルを展開。
Djent的でもある切り返しの多いリズムアレンジに、デス声を乗せたエクストリームな激しさを見事に融合させている。
テクニカルメタルとしての濃密さは前作以上で、インストパートが中心になった作風であるが、その演奏力の高さも含めて
単なるメタルコア系とも異なるスケールの大きさと美意識を感じさせる。ラストのタイトルの組曲では女性声も加わった
しっとりとした叙情パートなど、プログレ的な味わいも楽しめる。モダンなセンスに包まれたドラマティックな力作です。
ドラマティック度・・8 テクニカル度・・8 モダンセンス・・9 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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VEONITY 「Gladiator's Tale」
スウェーデンのメロディックメタル、ヴェオニティの2015年作
ジャケからしてエピックな雰囲気がぷんぷんであるが、サウンドの方はキャッチーなクサメロ感をたっぷりまぶした
正統派のメロディックメタル。男くさいヴォーカルの声質もなかなかよろしく、重すぎないギターリフを乗せた正統派の感触に、
メロディックなフックと疾走感で、FREEDOM CALLINSANIAなどにも通じるキーパー属性のクサさににんまりだ。
これといって新鮮味はないのだが、とにかくクサく生きよう!クサく戦おう!…という強いメッセージが伝わってくる。
力強さよりも微笑ましさに満ちたやわらかなエピックメタルというべきか。クサメロファンはとりあえず聴いとけ!
雰囲気としては、かつてのPhoenix Rizingあたりに一番近いかもしれない。知らない?まあ、そうですか…
メロディック度・・8 疾走度・・8 クサキャッチー度・・8 総合・・8
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ELITANIA 「Templos De Cristal」
メキシコのシンフォニックメタル、エリタニアの2015年作
バリトン、テノール、メゾソプラノ、ソプラノと男女4人のヴォーカルを含む編成で、
オペラティックな男性ヴォーカルに女性ヴォーカルを加えた厚みのあるハーモニーに、シンフォニックなアレンジを乗せ、
ミドルテンポを主体に聴かせる、Therionあたりにも通じるサウンド。「クリスタルの神殿」というタイトルのように、
ファンタジックで映画的な世界観で、適度にクサメロ感も覗かせるギターと、ときに激しい疾走パートも含んだ
ドラマティックな展開力もなかなかよろしい。アルバム後半の16分の大曲では、男女声を乗せた優雅な感触と
RHAPSODYなどにも通じるエピックな雰囲気に包まれた、壮麗なシンフォニックメタルが味わえる。
いくぶんのマイナー臭さがあるので、重厚な音の迫力が備われば、さらにサウンドに説得力が出てくるだろう。
ドラマティック度・・8 壮麗度・・8 重厚度・・7 総合・・7.5
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Winter in Eden 「Court Of Conscience」
イギリスのシンフォニックメタル、ウインター・イン・エデンの2014年作
女性Voにシンセを含む5人編成で、オーケストレーションを含む美麗なアレンジに、
女性ヴォーカルの歌声を乗せた、Nightwishなどにも通じる正統派のシンフォニックメタル。
Vicky嬢の歌声は伸びやかな中音域で、これという個性はないが実力もそこそこあって、
わりとモダンなアレンジのナンバーにもよく似合っている。反面、楽曲やメロディのフックには
新鮮なインパクトというのは薄く、既存のフィメールメタル系バンドの中で抜きに出るものはまだない。
曲によっては美しくキャッチーな展開が心地よい部分もあるので、今後の成長に期待したい。
シンフォニック度・・7 新鮮度・・7 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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Darkwell 「MOLOCH」
オーストリアのゴシックメタル、ダークウェルの2016年作
2000年から2004年までに、2作を残して消えたバンドのじつに12年ぶりとなる復活作。
浮遊感ある女性ヴォーカルに、適度にモダンなヘヴィネスとシンセアレンジを含んだ正統派のゴシックメタルで、
いくぶんの垢抜けないマイナー臭さとともに、シンフォニックで重厚な味わいがなかなかよろしい。
1stに参加していた女性シンガー、アレクサンドラ嬢の歌声は中音域からソプラノまで美しく歌いこなし、
いかにもゴシックらしい耽美な空気感を艶やかに彩っている。メロディックすぎず、ヘヴィすぎずという、
突き抜けきらない聴き心地が、むしろかつてのゴシックメタルとはこうであったと思い出させてくれる好作品だ。
ドラマティック度・・7 ゴシック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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In the Woods... 「Pure」
ノルウェーのゴシックメタル、イン・ザ・ウッズの2016年作
GREEN CARNATIONを母体にして1995年にデビュー、1999年までにアルバム3作を残し、
その後は再びGREEN CARNATIONとして活動していたが、本作はIN THE WOODS名義での復活作。
重厚なギターにノーマルヴォイスとデスヴォイスを乗せた、メランコリックな浮遊感のあるサウンドで、
PARADISE LOSTあたりに通じる聴き心地の、わりと正統派寄りのゴシックメタルとなっている。
随処にシンセによるアレンジも含んで、かつてのようなプログレッシブな味わいと妖しい空気感に、
ときにブラックメタル風味の激しさも覗かせる。全体的にはゆったりとしたゴシックメタルスタイルながら、
ギターのフレーズやリズムチェンジなどの展開力にはOPETHのようなセンスを感じさせる。どっしりと楽しめる一枚だ。
ドラマティック度・・7 ゴシック度・・8 重厚度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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PARADISE LOST 「TRAGIC ILLUSION 25」
イギリスのゴシックメタル、パラダイス・ロストの2013年作
結成25周年記念のアルバムで、過去曲のリメイクや別バージョン、カヴァーなどを収録。
シンプルなリフレインの淡々としたナンバーから、メランコリックなゴシックロック風味、
オーケストラアレンジを加えたシンフォニックなナンバーなど、なかなか多彩な聴き心地で、
どの曲もニック・ホルムズの深みのある歌声が加わると、しっかりとパラロスの色になる。
初期の名ナンバー“Gothic”のニューバージョンなども含めて、ゴシックメタルの元祖たるバンドの歴史と、
現在形の姿を再確認できる、ファンにはたまらない企画アルバムであるだろう。
ドラマティック度・・7 ゴシック度・・8 楽曲・・7 総合・・7.5
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MOURNING BELOVETH 「Rust & Bone」
アイルランドのゴシック・ドゥームメタル、モーニング・ベロヴェスの2015年作
90年代デビューというキャノリアのあるバンドで、のっけから16分という大曲。重厚なギターにデスヴォイスを乗せた
フューネラルなゴシックドゥームメタルで、沈み込むような闇をまとったそのサウンドは、10年前の作品に比べると
ぐっと深みと説得力が増していて、Shape of DespairAHABにも通じる、重さと暗黒性、迫力ある聴き心地は、
この手の好きなディープなリスナーにも対応。ゆったりとスローテンポでリフレインされるリフを主体にしつつ、
ときにデスメタル的に激しく疾走するパートも現れたりと、緩急をつけた展開も含めて聴き手を圧倒する
ブラッケンなパワーと禍々しさを感じさせる一方では、随所に朗々としたノーマルヴォイスや、適度に叙情的なフレーズで、
全体的に重々しすぎないところもさすがキャリアのあるバンドの余裕だろう。全37分というのが少し物足りないが見事な作品だ。
ドラマティック度・・8 暗黒度・・8 フューネラル度・・8 総合・・8
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MONOLITHE 「Zeta Reticuli」
フランスのブラック・ドゥームメタル、モノリスの2016年作
2008年にデビューしてから、本作ですでに5作目となる。15分ジャストの大曲3曲という構成も異質だが、
サウンドの方も、ブラックメタル的なダークさに、ドゥームメタルの重厚さを合わせたというような
ミステリアスなスケール感に包まれている。ツインギターの絡みつくようなリフにうっすらとしたシンセアレンジ、
低音のデスヴォイスを乗せたフューネラル・ドゥームの感触に、ブラッケンな禍々しさを加えた闇の気配と、
スペイシーで神秘的な空気感がじわじわと広がってゆく。随所に叙情的なギターフレーズも覗かせて、
わりと起伏のある展開で大曲を構築してゆく力量もなかなかのものだ。3曲目はノーマル声のヴォーカルを乗せた
ポストロック的な壮大さも感じさせつつ、シンセも含む厚みのあるアレンジで説得力ある音像を描いている。
ドラマティック度・・8 重厚度・・8 ミステリアス度・・9 総合・・8
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USNEA 「RANDOM COSMIC VIOLENCE」
アメリカのスラッジ・ブラック・ドゥームメタル、ウスニアの2014年作
スペイシーでサイケがかった妖しげなイントロから、ヘヴィなギターリフと絶叫ヴォーカルを乗せた、
暗黒のドゥームメタルが広がってゆく。スローテンポのフューネラルな感触と、スラッジのアナログ感覚、
ときにブラックメタル的でもある邪悪な世界観も覗かせる。10分以上の大曲が4曲という構成で、
気が短い方にはまったくもって向かないが、ゆったりと暗黒のサイケドゥームに浸ったり、
フューネラルでブラックな雰囲気を楽しめるような方には、どっぷりと入り込めるかもしれない。
アコースティックなパートでは、重いだけではないサイケ寄りの神秘性も含ませつつ、
ブラックメタルばりの疾走パートも現れて、ふり幅の大きさも特徴だろう。暗黒の強力作だ。
ドラマティック度・・7 暗黒ドゥーム度・・8 重厚度・・8 総合・・8
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LOTUS THIEF 「GRAMARYE」
アメリカのサイケ・ドゥームメタル、ロータス・シーフの2016年作
アナログ感あるギターリフのスラッジ的な感触と、うっすらとしたシンセアレンジに、マイルドなヴォーカルを乗せ、
わりとメロディックのあるサイケ・ドゥームメタルを聴かせる。適度に激しさもある緩急のついた展開で、
妖しい女性コーラスやプログレ的でもある変拍子を含んだ知的な構築性とともに、7~9分の大曲を描いてゆく。
古代エジプトの「死者の書」や、アレイスター・クロウリーによる魔術書「嘘の書」、「セイラムの魔女裁判」、「メルゼブルクの呪文」
といった文献をテーマにした神秘主義的なミステリアス性に包まれた空気感もぞくぞくする。ドゥーム/スラッジの重厚な迫力と、
女性声や美しいシンセによるスペイシーなスケール感、ときにブラックメタル的な暗黒美が合わさったアレンジセンスも素晴らしい。
ブラッケンなサイケドゥームとしても、神秘的なポストブラック、またはオカルティックなスラッジとしても楽しめる強力作!
ドラマティック度・・8 重厚度・・8 妖しげ度・・9 総合・・8
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Burning Saviours 「Unholy Tales from the North」
スウェーデンのヴィンテージロック、バーニング・セイヴィアーズの2015年作
サバスルーツのオールドなギターにオジー似のダーティなヴォーカルを乗せ、
アナログ感たっぷりのサウンドを聴かせる、いかにもヴィンテージなドゥームロック。
楽曲は3~4分前後とわりとシンプルであるが、70年代英国ロック的でもある
ブルージーな感触も随所に覗かせるツインギターが、なかなか恰好よいのである。
ただ全7曲、28分というミニアルバム並の短さがちょっと物足りないかも。
ドラマティック度・・7 古き良き度・・9 サバス度・・8 総合・・7.5
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HORSE LATITUDES 「Primal Gnosis」
フィンランドのドローン・ドゥームメタル、ホース・ラティテューデスの2016年作
ギター、ベース、ドラム、シンセという4人編成で、10分以上の大曲を中心に、ドローン的なアプローチのリフレインに、
詠唱か唸り声のようなヴォーカルを乗せ、プリミティブかつダーク、密教的な妖しい世界観を描いてゆく
唸るようなベースの低音と歪んだギター、アナログ感に包まれたドラムが鳴り響き、詠唱ヴォーカルとともに、
しだいに音圧が高まってゆく。絶叫するダミ声を加えた暗黒性という点では、スラッジ/ブラックメタル的な雰囲気もあり、
楽曲性というものは薄いのだが、この日常を逸脱するような妖しさというのは、ある意味ではものすごい。
オルガンなどのシンセが鳴り響くプログレ/サイケ的な感触と、北欧らしい物悲しい叙情も覗かせる曲もあったり、
雰囲気モノとしてのやりすぎ感は聴き手を選ぶに違いないが、寒々しい闇をディープに描く異端の力作だ。
ドラマティック度・・7 重厚度・・8 怪しげ度・・9 総合・・8
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Jess and the Ancient Ones 「Astral Sabbat」
フィンランドのヴィンテージロック、ジェス・アンド・ジ・エンシェント・ワンズの2013年作
デビュー作に続く3曲入りのEPで、アナログ感に包まれたヴィンテージなアンサンブルに、
オルガンが鳴り響くサイケな浮遊感と、JESS嬢の妖しい歌声を乗せた、まさに魔女系ロックの王道。
3曲入りながら、ラストは14分の大曲で、オールドロックのブルージーなギターワークに、
オルガン、ピアノを含んだアレンジと、プログレ的でもある構築的な展開力を覗かせる。
傑作となる2nd「SECOND PSYCHEDELIC COMING」へとつながるステキなEPです。
ドラマティック度・・8 ヴィンテージ度・・9 女性Vo度・・8 総合・・8
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5/13
ブラックにフォーク&ペイガンの五月(188)


FEN 「CARRION SKIES」
イギリスのポストブラックメタル、フェンの2014年作
うっすらとしたシンセアレンジに、歪んだギターリフにダミ声ヴォーカルを乗せ、
随所に叙情的なフレーズを含んで、メランコリックなダークさを描くようなサウンド。
癒し系のAlcestとは異なり、よりブラックメタル寄りの暗黒性をまとった雰囲気で、
ブラスト疾走する激しさも含めて、ミステリアスなメロディックブラックとしても楽しめる。、
10分前後の大曲を中心に、緩急ある流れで描かれる、神秘的で生々しいサウンドは、
Wolves in the Throne Roomあたりのネイチャー系ブラックにも通じるかもしれない。
ドラマティック度・・8 暗黒度・・8 叙情度・・7 総合・・8
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TwilightFall 「The Energy of Soul」
ウクライナのメロディックデスメタル、トワイライト・フォールの2014年作
NOKTURNAL MORTUMのギターが率いるバンドで、ツインギターにきらびやかなシンセ、
ダミ声ヴォーカルを乗せて疾走する、メロスピ風味のメロデスサウンド。シンフォニックなアレンジや
メロディックなギターフレーズのおかげで、暴虐性や暗黒性というものはあまり感じず、ヴォーカルを除けば、
ほとんど普通にメロディックメタルとして楽しめる。メロデスとしての激しさというのもあまりないので、
むしろこのままシンフォニックメタルになってしまえばいいような気も…。クオリティは高いのデスから。
メロディック度・・8 暴虐度・・4 疾走度・・7 総合・・7.5
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Darkness Ablaze
ドイツのメロディックデスメタル、ダークネス・アブレイズの2008年作
ツインギターにシンセ奏者を含む6人編成で、美麗なイントロ曲から耽美な雰囲気を漂わせるが、
2曲目はザクザクのギターリフを乗せて激しく疾走する、デスラッシュ風味のサウンドになる。
低音デスヴォイスとダミ声を掛け合うヴォーカルは迫力十分で、ギターはわりとリフ主体であるが、
調所にメロディックなフレーズも覗かせつつ、シンフォニックなシンセアレンジが楽曲を彩る。
突進する激しさの一方で、メロディックなインスト曲などは叙情的で、この路線でいってもいいような気もする。
ラストのナンバーなどは、重厚なミドルテンポからの激しい疾走という緩急のあるアレンジで楽しめ、
メロディの扇情力も上々だ。このレベルの楽曲を増やせば今後さらに期待できるバンドになるだろう。
メロディック度・・7 暴虐度・・7 重厚度・・8 総合・・7.5
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WARTHA 「Azure Lakes」
ベラルーシのペイガンメタル、ワルサの2015年作
前作はEluveitieなどにも通じる男女Voの重厚な力作であったが、本作はいくぶんモダンになったヘヴィネスに
シンフォニックなアレンジと、調所にフルートやパイプの音色が重なる、フォーキーなペイガンメタルを聴かせる。
本作では、女性Voはゲストのみで、メインはマイルドな男性ヴォーカルの歌声にデスヴォイスなので、
前作のような壮麗な雰囲気は薄れたのだが、その分、メランコリックなゴシック寄りの空気感を描いている。
随所にメロディックなフレーズを奏でるギターも含めて、9分、10分という大曲を重厚に構築するセンスは
むしろ、OPETHORPHANED LANDなどにも通じる、知的なゴシック・デスメタル的な感触であるが、
女性声の加わったナンバーは神秘的なペイガンルメタルとして楽しめる。やはりクオリティの高い力作だ。
ドラマティック度・・8 ペイガン度・・7 重厚度・・8 総合・・8
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RAKOTH 「Ars Compilata」
ロシアのアヴァン・ブラックメタル、ラコスの2015年作
90年代から活動するバンドで、本作は前作から11年ぶりとなる3作目となる。
どこかコミカルなイントロから、曲に入るとモダンなシンセアレンジにヘヴィなギター、フルートが鳴り響き、
ロシアなまりの英語のヴォーカルを乗せた、シアトリカルなアヴァンメタルが広がってゆく。
どこか風変わりで濃密な感触は、ドイツのDie Apokalyptischen Reiterあたりにも通じる雰囲気があり、
ときにダミ声ヴォーカルも加わるが、全体的にもかつてのようなブラックメタル的な激しさはさほどない
フォーキーな要素はフルートくらいなのだが、重厚なシアトリカルメタルとしてわりと普通に楽しめる。
ドラマティック度・・8 フォーキー度・・6 重厚度・・8 総合・・7.5 *過去作のレビューはこちら
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ANABIOZ 「There the Sun Falls」
ロシアのフォークメタルバンド、アナバイオスの2014年作
女性Vo&Vln奏者を含む5人組で、わりとハード寄りのギターリフにヴァイオリンの音色、
低音デスヴォイスにソプラノ女性ヴォーカルが加わった、勢いのあるフォークメタルサウンド。
ブラックメタルばりの激しいブラストパートなども含む緩急のある楽曲構築力と、
艶やかなヴァイオリンによるフォーキーなテイストが鮮やかなコントラスとなっていて、
激しくも軽快な聴き心地となっている。個人的には、もっと女性声パートが多いとよいのだが
ラストのAmorphisのカヴァーは男女声の美しいアレンジでなかなか恰好いいです。
ドラマティック度・・8 フォーキー度・・7 女性Vo度・・7 総合・・8
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VEDA 「Under the Shelter of Battle Flags」
ロシアのフォークメタル、ヴェーダの2014年作
女性Voにシンセを含む6人編成で、前作はブラックメタルばりの激しさも含んだ力作だったが、
本作も美しい女性ヴォーカルのロシア語の歌声にダミ声ヴォーカルが絡み、アコーディオンやフルートの音色、
シンフォニックなシンセアレンジを乗せ、ときに激しい疾走も含んだメリハリのあるフォークメタルが楽しめる。
クラシカルなピアノによる優雅な感触や、やわらかな女性声の美しさも前作以上に際立っていて、
ダミ声ヴォーカルを乗せた武骨な疾走パートとの程よいコントラストになっている。
女性声ペイガンメタル、激しめのフォークメタルが好きな方にもオススメできる強力作。
ドラマティック度・・8 フォーキー度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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SMUTA (Смута) 「Mor (Мор)」
ロシアのフォークメタル、スムタの2010年作
美しい女性ヴォーカルのロシア語の歌声にデスヴォイスが絡み、シンフォニックなアレンジで聴かせる、
壮麗なペイガン・フォークメタル。やわらかなフルートの音色など、フォーキーな土着性とエピックな勇壮さを含んだ
幻想的な世界観で、適度に辺境的なクサメロ感も含めて、この手のバンドとしてはクオリティの高い部類だろう。
楽曲は3~4分前後とわりとコンパクトなので聴き疲れしない。個人的には男性声メインの曲はなくてもいいような。
本作はすでに3作目とのこと。全体的な完成度は次作ほどではないが、フォークメタル初心者でも楽しめる好作品だ。
メロディック度・・8 フォーキー度・・7 女性Vo度・・8 総合・・7.5 *過去作のレビューはこちら
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Folkearth 「Rulers of the Sea」
フォーク/ペイガンメタルプロジェクト、フォークアースの2009年作
2004年に結成された多国籍のメンバーによるフォーク・メタルプロジェクトの7作目。
のっけから激しい疾走ナンバーで、牧歌的なホイッスルやフィドルの音色にダミ声ヴォーカルを乗せた
武骨なペイガン・フォークメタルが広がってゆく。辺境ぎみの幻想性と程よいクサメロ感も含んだ感触で、
中世のヴァイキングたちを描き出すような、荒削りのサウンドもまた魅力のひとつとなっている。
ギターのリフやフレーズなどがヨレ気味なところがいかにもマイナー臭いのだが、それもまあ辺境の味わいということで。
ときに女性ヴォーカルも加わった美しい叙情性も現れて、メリハリのあるドラマティックな聴き心地が楽しめる力作だ。
ドラマティック度・・8 フォーキー度・・8 辺境度・・9 総合・・7.5 *過去作のレビューはこちら
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Celtica Pipes Rock! 「Legends and Visions」
スコットランド、オーストリア、ブルガリア、アメリカ出身のメンバーによる、トラッドロックバンドの2014年作
男女のバグパイプ奏者に、女性ヴァイオリン奏者を含む編成で、ジャケの雰囲気のようにSF的なイントロから始まり、
シシンフォニックなシンセアレンジにハードなギター、そしてバグパイプが鳴り響く、モダンなケルトロックが広がってゆく。
基本はオールインストであるが、随所にコーラスや掛け声などが入って来て、わりとメタル寄りのギターのおかげで、
愉快でノリのよいバグパイプ・ロックとして楽しむことができる。曲によっては叙情的なギターフレーズも覗かせたり、
美麗なシンセアレンジとともに、パイプ入りのシンフォニックメタル的な味わいも。個人的には女性Voがいたらもっと嬉しいのだが。
ドラマティック度・・7 メタル度・・7 バグパイプ度・・8 総合・・7.5
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Tengger Cavalry 「Sunesu Cavalry」
モンゴルのペイガン・フォークメタル、テンガー・カヴァルリーの2011年作
モリンホールとも呼ばれる馬頭琴の音色を大胆に取り入れ、ヘヴィなギターとともに疾走する、
ペイガン・フォークメタルで、モンゴルの伝統的歌唱法である、ホーミーによる個性的な聴き心地。
ダミ声ヴォーカルとともにブラスト疾走するペイガン・ブラックメタル的な激しさもありつつ、
馬頭琴が牧歌的に鳴り響く楽曲のメリハリも含めて、単なる民族メタルとして以上に楽しめる。
曲によっては我々日本人にも親しみやすい、中華メロ的なアジアンなクサメロ感も覗かせる。
ボーナストラックには、同郷のEGO FALLと、何故かARCH ENEMYのカヴァーを収録。
なお、2枚組の限定盤「Cavalry Folk」には「The Mantra」と題されたアコースティック作品がカップリングされている。
ドラマティック度・・8 重厚度・・8 民族度・・8 総合・・8
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TENGGER CAVALRY 「The Expedition」
テンガー・カヴァルリーの2013年作
重厚なギターにダミ声ヴォーカルのヘヴィなメタルサウンドに、馬頭琴の牧歌的な音色が響き渡る、
ペイガン・フォークメタルというよりは、独自の民族色を取り込んだモンゴリアン・メタルというべきサウンドで、
激しい疾走感と適度なモダンさを含んだ、新時代のアジアン・メタルのひとつの形を描いている。
前作に比べて、アジアンなクサメロ感がやや後退した感はあるが、特徴的なホーミーの歌唱に、
伝統的な馬頭琴の音色とエクストリームなヘヴィネスの対比がより際立ったともいえるかもしれない。
メンバーはまだ若そうだが安定した演奏力と楽曲アレンジのセンスは、すでにマイナーレベルを超えている。
ドラマティック度・・7 重厚度・・8 民族度・・7 総合・・8
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TENGGER CAVALRY 「Ancient Call」
テンガー・カヴァルリーの2014年作
アコースティックなイントロから、続く2曲目はヘヴィなギターリフと馬頭琴の音色を乗せて激しく疾走、
アジアンなフォーキー感触と疾走感が合わさったスタイルは、前々作に戻ったような聴き心地だ。
エピックな哀愁を含んだ草原を疾走するような空気感は、モンゴリアン・メタルならではで、
勇壮なコーラスなども含めて、過去のアルバム以上にスケールの大きさを感じさせる。
一方ではどっしりとしたドラムとベースを中心にしたメタルとしてのアンサンブルもしっかりしていて、
ただの色モノにはなっていない音の説得力がある。随所にアコースティックパートを挿入したメリハリも見事な力作。
ドラマティック度・・8 重厚度・・8 民族度・・8 総合・・8
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Tengger Cavalry 「Blood Sacrifice Shaman」
テンガー・カヴァルリーの2015年作
バンド名義となっているが、本作はリーダーのNature氏による個人作品のようで、
ヘヴィなギターに馬頭琴の音色を乗せた、インストサウンドが中心になっている。
ときおりホーミーの歌声は入るものの、リズムが打ち込み風なのでグルーブ感がなく、
随所に疾走する激しさもあるのだが、どことなくサントラ風の聴き心地である。
本質的な方向性は変わっていないので、これはこれで悪くはないのだが、
やはり迫力の点では物足りない。メンバーみんないなくなってしまったのかな。
ドラマティック度・・7 重厚度・・7 民族度・・7 総合・・7.5
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5/5
こどもの日はメタルでお祝い!(174)


BABYMETAL 「Live at Wembley」
日本のアイドルメタル、ベビーメタルのライブ作品。2016年作
2nd「Metal Resistance」発売にともなうワールドツアーの皮切りとして行われた、イギリス公演を収録。
歴史あるウェンブリー・アリーナで単独公演を行ったのは日本人アーティストでは初の快挙であり、
1万人を超える大観衆を前にしたステージの模様は、DVDの映像でもぜひともチェックすべきだろう。
臨場感ある音質はいかにもライブらしい聴き心地で、ヘヴィなツインギターに巧みなベースと強力なドラムの
神バンドの演奏も迫力たっぷり。映像がない分、三人のダンスを外して純粋に音のみで聴くと、
SU-METALの絶品の歌唱を乗せた疾走曲「Amore」は、やはり本ライブのハイライトといっていいし、
英語で歌われる壮大な「The One」から、ラストの「Road of Resistance」という流れはじつに感動的だ。
スタジオアルバム以上にメタルらしい音なので、これからベビメタを聴こうという、メタラー諸氏にも入りやすいと思う。
ライブ演奏・・9 しっかりメタル度・・9 音質・・8 総合・・8.5 *過去作のレビューはこちら
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Phantom Excaliver「鋼鉄の誓い」
日本のメロディックメタル、ファントム・エクスカリバーの2015年作
バンド名やジャケからしていかにもマンガちっくな感じなのだが、サウンドは美麗なシンセアレンジに
メロディックなギターを乗せて疾走するメロスピ風味に、日本語歌詞によるデスヴォイスを乗せたスタイルで、
クサメロをたっぷりまぶした濃密な聴き心地。随所にノーマル声のハイトーンヴォーカルも交えつつ、
基本は疾走しまくりで、ときにメロデス的な激しさや、ネオクラ風のギターフレーズなども覗かせる。
愛と友情、正義…的な暑苦しいセリフを叫ぶ恥ずかしさに失笑しつつも、彼らの本気度が伝わってくるのが楽しいし、
演奏力もしっかりとしているので、マイナーなB級臭さというのも感じない、堂々たる迫力はなかなかのものだ。
クサメロ疾走にエクストリームな激しさと、恥ずかしげもなく愛と勇気を注入したという強力作である。
メロディック度・・8 疾走度・・9 濃密度・・8 総合・・8
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Secret Sphere 「One Night Tokyo」
イタリアのシンフォニックメタル、シークレット・スフィアのライブ作品。2016年作
2015年に東京で行われたライブステージを2CD+DVDに収録。何を隠そう私も足を運んだこのライブ、
新宿WILD SIDEというプロのバンドが使うには小さなハコなのだが、満員で大変な熱気だったのを覚えている。
希代のハイトーンシンガー、ミケーレ・ルッピをフロントに迎えたことで、バンドとしてのレベルはぐっと押し上げられた。
抜群のヴォーカルを乗せた、キャッチーなメロディアス性とシンフォニックなアレンジはまさに日本人好み。
カメラワークやライティングなども含めて映像的には物足りなさもあるのだが、バンドのパフォーマンスは見事で、
ツインギターにシンセを含んだ音の厚み、安定した演奏力もさすが。盛り上がる観客と楽しげなメンバーたちの姿からも、
ライブの臨場感が伝わってくる。なにより、素晴らしいヴォーカルのおかけで、足の疲れが吹っ飛んだことを思い出した。
ライブ演奏・・8 ライブ映像・・7 ミケーレの歌唱度・・9 総合・・8 *過去作のレビューはこちら
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SKALMOLD 「VOEGGUVISUR YGGDRASILS」
アイスランドのペインガンメタル、スカルモルドの2016年作
前作は武骨なペイガン・バトルメタルの力作であったが、4作目となる本作は北欧神話をテーマにした内容で、
ダミ声ヴォーカルを乗せた荒々しさとツインギターにシンセアレンジを加えた、重厚なペイガンメタルを聴かせる。
ときにシンフォニックなアレンジや勇壮なコーラスなども加わり、TURISUSあたりにも引けを取らない世界観であるが、
こちらはより硬派な感触で、甘すぎないメロディアス性という点では、AMON AMARTHにも通じるかもしれない。
随所にフォーキーなフレーズも含んだ土着性とバトルメタルの荒々しさが合わさったサウンドの説得力も十分である。
ボーナスDiscには、ALESTORM、SIGUR ROS、FINNTROLL、THORといったバンドのカヴァーにライブ音源を収録。
シガー・ロスは意外な選曲だが、同郷というつながりなのだろう、しっかりとペイガンメタルになっている。
ドラマティック度・・8 フォーキー度・・7 勇壮度・・8 総合・・8 *過去作のレビューはこちら
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TREES OF ETERNITY 「HOUR OF THE NIGHTINGAL」
スウェーデン/フィンランドのゴシックメタル、トゥリーズ・オプ・エターニティの2016年作
SWALLOW THE SUN、KATATONIA、OCTOBER TIDE、WINTERSUNなどに参加したメンバーによるバンドで、
ゆったりとしたメラコンリックな曲調に、美しい女性ヴォーカルを乗せた、初期THE 3RD AND THE MORTALにも通じる
ドゥーミーでメランコリックなサウンド。適度なヘヴィさと沈み込むようなアンニュイな空気感に包まれて、
北欧らしい寒々しさとメロウな叙情性も含んだ聴き心地に、しっとりとした女性声が耳に心地よく響く。
薄暗く物悲しいサウンドながら、メロディラインはわりとキャッチーで、随所にギターのメロウなフレーズなども入ってきて、
初心者にも聴きやすい。なお、ヴォーカルのAleah Liane Stanbridge嬢は、本作完成を待たずに2016年に死去している。
メランコリック度・・8 ゴシック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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Morning Dwell
スウェーデンのメロディックメタル、モーニング・ドウェルの2014年作
REINXEEDやGOLDEN RESURRECTIONで活躍するドラマー、Alfred Fridhagenが在籍しているバンドで、
キャッチーなクサメロで疾走する、初期HAMMERFALLを思わせるような古き良きメロディックメタル。
パワフル過ぎないハイトーンヴォーカルや、音質の軽さがマイナー感をかもしだしていて
HELLOWEEN的なジャーマンメタル風ツインギターのフレーズもなかなかよい感じだ。
Crtstal Eyesなどの陽性のB級クサメタルが好きな方なら、ニンマリすること請け合い。
Dragonforceばりのメロスピナンバーから、ラストは12分近い大曲で、「守護神伝」を意識しているような。
ありがちなクサメロスピ作品ながら嫌いには慣れない。アンドレアス・マーシャルによるジャケイラストもGoodです。
メロディック度・・8 疾走度・・8 クサメロ度・・8 総合・・7.5
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Almah 「Unfold」
ブラジルのメロディックメタル、アルマーの2013年作
ANGRAのエドゥ・ファラスキ率いるバンドの4作目。本作はアングラを脱退してから初めての作品となるが、
前作から感じられたモダンなヘヴィネスを散りばめながら、メロディックなフックとともに疾走するサウンドで、
随所にかつてのANGRAに通じる雰囲気も感じられる。ミドルテンポのナンバーでもキャッチーな感触があって、
ヘヴィネスが強すぎた前作に比べて魅力的なナンバーが増えてきたように思う。エドゥの歌声も自然体で、
随所にパワフルな歌い方もしながら、バラード曲などではエモーショナルな歌唱も聴かせてくれる。
ヘヴィなリフから流麗なフレーズまでこなす、マルセロ・バルボーサの巧みなギターワークも見事で、
全体的な派手な疾走曲は少ないのだが、モダンなメタル感触とメロディアス性のバランスのとれた好作に仕上がっている。
メロディック度・・8 疾走度・・6 モダン度・・8 総合・・8 *過去作のレビューはこちら
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HELIOSAGA 「Towers in the Distance」
アメリカのシンフォニックメタル、ヘリオサーガの2014年作
DESDEMONの女性ヴォーカリスト、Chelsea Knaack嬢を擁するバンドで、
壮麗なアレンジと美しいソプラノヴォーカルを乗せた、正統派のシンフォニックメタルサウンド。
適度な疾走感とオペラティックかつキャッチーな雰囲気は、Nightwishあたりに通じる部分もあるが、
こちらはやや垢抜けないマイナー感があって、曲によってはMAGICAEdenbridge的でもあったりする。
楽曲は4~5分前後が中心で比較的シンプルながら、ラストは10分近い大曲で、緩急ある展開で構築される。
メロディのフックもなかなか魅力的で、今後さらにレベルアップしてゆけば良いバンドになりそうだ。
シンフォニック度・・7 優美度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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Dragonhammer 「The X Experiment」
イタリアのメロディックメタル、ドラゴンハンマーの2013年作
2001年にデビュー、1stはヘナチョコなB級メロスピであったが、続く2nd「Time for Expiation」では飛躍的な成長を遂げ、
一躍期待のバンドとなるがその後沈黙、本作は前作から9年ぶりとなる3作目である。
コンセプトストーリー的なSEから、曲に入ると美麗なシンセにメロディックなギターを乗せて疾走、
ゲスト参加のロベルト・ティランティ(Labyrinth)の伸びやかなヴォーカルも含めて、クオリティ的にも申し分ない。
シンフォニックメタル的な壮麗なアレンジと、ラビリンスにも通じる正統派のメロパワ感触が合わさって、
一線級のバンドとそん色のない聴き心地である。新鮮味という点ではあまりないが、安定した好作品だ。
メロディック度・・8 疾走度・・7 正統派度・・8 総合・・8 *過去作のレビューはこちら
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THOR 「Metal Avenger」
カナダのヘヴィメタル、ソー(トール)の2015年作
1978年にデビュー、マッチョな風貌で話題となったJon Mikl Thor氏は現在60歳を超え、本作は18作目の作品らしい。
ファースト・エディ・クラーク、(元MOTORHEAD)、ジェイ・ジェイ・フレンチ(TWISTED SISTER)、ヘンリー・ロリンズ、
ベスティ・ビッチ(Bitch)などがゲスト参加。80年代のMANOWARSAXONなどを思わせる古き良きメタルサウンドで、
随所にジャケのようにエピックな世界観を感じさせる。ソー氏の歌声も60代とは思えぬパワフルさで、
ブルージーなロックナンバーから、Judus Priestばりのメタルナンバーまで、気合たっぷりに歌いこなす。
新鮮味やモダンさのかけらもないが、オールドなHR/HMが好きな方なら十分楽しめる内容だ。
ドラマティック度・・7 古き良きHM度・・8 これがソーMETAL!度・・9 総合・・7.5
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Place Vendome 「Thunder in the Distance」
PINK CREAM 69のデニス・ワードとマイケル・キスクによるユニット、プラス・ヴァンドームの2013年作
過去2作もクオリティの高いメロディアスハード作品だったが、3作目となる本作もマイケル・キスクのヴォーカルを
全面に押し出した、クオリティの高いサウンドが楽しめる。うっすらとしたシンセアレンジも含めて厚みのある音作りで、
随所にかつてのピンク・クリーム69に通じる叙情性を含んだ、メロディックなフックもじつに見事だ。
キスクのヴォーカルもこれまで以上に伸びやかでエモーショナル。全体的にハードさよりもキャッチーな感触で、
往年のAOR的なフィーリングにシンフォニックなアレンジと哀愁の叙情を加えたという作風もハマっている。
反面、新鮮なインパクトというのはないのだが、実力あるヴォーカルで安心して楽しめる高品質な作品である。
メロディック度・・8 キャッチー度・・8 キスク度・・8 総合・・8 *過去作のレビューはこちら
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White Widow 「Serenade」
オーストラリアのメロディアスハードロック、ホワイト・ウィドウの2011年作
シンセを含む5人編成で、80年代のアメリカン・プログレハード的でもある、とてもキャッチーな聴き心地。
伸びやかなヴォーカルにきらびやかなシンセアレンジ、適度にハードなギターによる厚みのあるサウンドは、
メジャー過ぎない感触とともに、ときにTOUCHGIUFFURIAといった、往年のバンドを彷彿とさせる。
随処に泣きのフレーズや流麗なテクニカル性も覗かせるギターにゴージャスなシンセが楽曲を彩り、
やわらかなコーラスハーモニーが重なってゆく。どのナンバーも爽快でメロディアスなフックがあって魅力十分。
これだという強烈なインパクトはないが、耳心地の良さはピカイチ。大変高品質なアルバムだ。
メロディック度・・8 キャッチー度・・8 80'sメロハー度・・8 総合・・8
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Spider Rockets
アメリカの女性Voハードロック、スパイダー・ロケッツの2009年作
ヘヴィなギターにハスキーな女性ヴォーカルの歌声を乗せたハードロックサウンドで、
適度にキャッチーな感触と、古き良きメタルの骨太さが合わさったという聴き心地。
楽曲は3~4分前後とシンプルで、ミドルテンポ中心のどっしりとした感触であるが、
曲によってはオルガンが入った魔女系ロック風味などもあって、わりと楽しめる。
個人的にはこのオールドなアナログロック路線をさらに伸ばしていって欲しい気がする。
全体的には、もう少しインパクトのあるナンバーがあればと思うが、Crucified Barbara
DIEMONDSなど、骨太の女性声ハードロックがお好きな方はいかが。
ドラマティック度・・7 古き良き度・・7 女性Vo度・・7 総合・・7
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Officium Triste 「Pathway」
オランダのゴシック・ドゥームメタル、オフィシウム・トリステの2001年作
ツインギターの5人編成で、うっすらとしたシンセアレンジに重厚なギターリフと、
ノーマル声と低音デスヴォイスを使い分けるヴォーカルを乗せた、ゴシック・ドゥームサウンド。
フューネラルな香りを漂わせつつも、随所にギターはメロディアスなフレーズを奏でていて
シンセによるシンフォニックな感触も含めてわりと聴きやすい。ドゥームとゴシックの中間という点では、
男性ヴォーカルだった頃の初期The Gatheringあたりにも近い雰囲気かもしれない。
90年代的でもあるどんよりとした垢抜けなさも、いまとなっては案外魅力的な空気感でもある。
ドラマティック度・・7 ゴシック度・・8 重厚度・・8 総合・・7.5
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Lahannya 「Welcome to the Underground」
イギリスのゴシック・ヘヴィロック、ラーニャの2008年作
デジタルなシンセアレンジにモダンなヘヴィネスで聴かせる、インダストリアルなゴシックメタル。
ラーニャ嬢の歌声は中音域で、聴き心地は悪くないが、これという魅力は感じられないし
シンセアレンジもシンフォニックなわけではなく、ギターもそこそこヘヴィだが、とくに面白さはない。
ゴシックメタルとして聴くにはつらいし、デジタルでインダストリアル寄りのヘヴィロックなのだが、
楽曲やメロディそのものにインパクトやフックは薄く、アマチュアレベルの作品と言わざるを得ない。
ドラマティック度・・6 ゴシック度・・6 女性Vo度・・7 総合・・6
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INDICA 「Pahinta Tanaan-Kokoelma」
フィンランドのガールズロック、インディカのベスト。2009年作
2004年にデビューした女性5人組で、フィンランド語によるキュートなヴォーカルを乗せた
キャッチーな感触と北欧らしい涼やかな土着性を合わせた、トラッド・ポップ的なサウンド。
未発曲にライブ音源を含む12曲入りのベストアルバムで、世界デビュー前の初期4作からセレクトされた楽曲は、
のちの作品に比べるとまだ素朴な雰囲気を残していて、フィンランド語独特の発音が耳心地よい。
随処にヴァイオリンも加わった優雅なアレンジセンスも含めて、単なるメロディックロックともハードロックとも異なる、
フィメール・フィニッシュ・ロックというべきサウンドが味わえる。インディカ初体験の方にもお薦めのコンピですね。
メロディック度・・8 フィンラン度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8 *過去作のレビューはこちら
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4/21
来週はもうGWですか(158)


DARE 「Sacred Ground」
アイルランドのメロディアスハードロック、デアーの2016年作
THIN LIZZYのダーレン・ワートンを中心に1988年にデビュー、前作は3rdのリメイクだったが、
オリジナル作品としては2009年以来。オリジナルギタリストで、元TENのヴィニー・バーンズが復帰している。
ダーレン・ワートンの深みのある歌声と、アイリッシュの風を感じさせるような哀愁のメロディを乗せた、
叙情的なハードロックが楽しめる。ヴィニー・バーンズのギターも随所に泣きのフレーズを奏で、
シンセを含んだ美しいバラードなど、曲によってはTENのような味わいもあったり、ときにケルティックなメロディも含みつつ、
大人の美学というべきどっしりと優しい聴き心地である。まさにアイリッシュ・ハードの傑作だ。
メロディック度・・8 叙情度・・9 哀愁度・・9 総合・・8 *過去作のレビューはこちら
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PSYCHEDELIC WITCHCRAFT「Vision」
イタリアのヴィンテージロック、サイケデリック・ウィッチクラフトの2016年作
アナログ感たっぷりのギターに、女性ヴォーカルの歌声で聴かせる魔女系サイケロック。
楽曲は3~4分前後で、PURSONBlood Ceremonyなどに比べると、よりシンプルな感触であるが、
紅一点、Virginia嬢のいくぶんけだるげな歌声はサウンドによくマッチしていて、
この手の女性声オールドロックが好きな方にはたまらないだろう。ときにブルージーなギターも
全体的にハードさは控えめで、あくまで歌を引き立てるバックという感じなので、
わりと歌ものサイケポップ的な感じにも楽しめる。魔女系ロックにまた期待の新鋭誕生です。
ドラマティック度・・7 アナログ度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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ELECTRIC CITIZEN 「Higher Time」
アメリカのヴィンテージロック、エレクトリック・シチズンの2016年作
女性Voを含む4人編成で、古き良きギターリフに艶めいた女性ヴォーカルの歌声を乗せた、
アナログ感に包まれた70年代的なサウンド。この手のバンドとしては、Blood CeremonyCastle
PURSONといったバンドがいるが、本作も随所にオルガンが鳴り響く妖しい空気感も含めて、
魔女系ロックとしての魅力は十分である。楽曲は3~4分前後とわりとシンプルなので、上記のバンドに比べると
やや歌もの的な感じが強いのだが、そこはローラ・ドラン嬢のハスキーな歌唱の魅力で聴きとおせる。
あとは、もう少し楽曲のアレンジや世界観に深みが加わればさらにいいバンドになりそうだ。
ドラマティック度・・7 古き良き度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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CRYPT SERMON 「Out of the Garden」
アメリカのエピック・ドゥームメタル、クリプト・セルモンの2015年作
バンド名や曲名などから、おそらくクリスチャンなドゥームメタルバンドなのだろう。
重厚なツインギターにパワフルなヴォーカルを乗せた、本格派のエピック・ドゥームサウンド。
ヨーロピアンな翳りと湿り気のある叙情を含んだ、どっしりとした聴き心地で、サウンドの説得力も含めて、
エピック・ドゥームの大御所、Candlemassを思わせる。ソロパートでは流麗なフレーズを奏でるギターもなかなかのもので、
5~7分前後とわりと長めの楽曲でも、リフの魅力や音の迫力で最後まで飽きずに鑑賞できる。
適度にダークで甘すぎないくらいにメロディアス、ドラマティックな正統派エピック・ドゥームの力作だ。
ドラマティック度・・8 重厚度・・8 正統派度・・8 総合・・8
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New Light Choir 「Volume II」
アメリカのヴィンテージメタル、ニュー・ライト・クワイアの2015年作
Vo&G&BとDrという二人組ユニットで、メロディックなギターフレーズを乗せて疾走するポストブラック風味に、
ラウドなアナログ感を感じさせるヴィンテージなハードロックを融合させたというスタイルで、
マイルドなヴォーカルの雰囲気は80年代のエピックメタルやNWOBHMの雰囲気も感じさせる。
けっしてパワフルでないヴォーカルと重すぎない適度なユルさがほどよいマイナー臭さをかもしだしていて、
不思議なカルトメタルの味わいで楽しめる。楽曲は2~4分前後とシンプルで、濃密さの点では少し物足りないのだが、
ともかく、少し怪しげでスカスカ、ほどよく疾走感もあるヴィンテージなオールドメタルが好きな方はぜひ。
ドラマティック度・・7 カルト度・・8 ヴィンテージ度・・8 総合・・7.5
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Kylesa 「Ultraviolet」
アメリカのスラッジメタル、カイリサの2013年作
2002年にデビューし、本作はすでに6作目となる。ラウドなヘヴィロック的な作風であった過去作から、
前作では古き良きドゥームロックの感触がいくぶん覗かせた感触だったが、本作ではそのラウドロックと
オールドなドゥーム感がちょうど融合したというようなサウンドを聴かせる。ヘヴィなギターリフに
男女ヴォーカルの歌声を乗せた、適度にサイケな浮遊感のあるスラッジ・ドゥームというべきか。
楽曲は3~4分とわりとシンプルであるが、グルーヴィなノリを含んだインストパートには絡みつくような妖しさがあり、
女性声をメインにした魔女系ドゥーム的なナンバーも含めて、案外メリハリに富んだ作風になっている。
ドラマティック度・・7 ヘヴィネス度・・8 古き良きドゥーム度・・7 総合・・7.5
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Kylesa 「Exhausting Fire」
アメリカのスラッジメタル、カイリサの2015年作
7作目となる本作では、ヘヴィなギターリフを乗せたうねりのあるアンサンブルに女性ヴォーカルの妖しい歌声が乗る、
Witch MountainWINDHANDなどにも通じる、いわゆる魔女系ドゥームメタルというサウンドにぐっと接近している。
曲によっては男性ヴォーカルが前に出てくるが、男女ヴォーカルを乗せたミステリアスな浮遊感と重厚な聴き心地は、
さすがキャリアのあるバンドの説得力である。前作でも垣間見せた、ドゥームな部分をより際立たせながら、
ヘヴィさはやや抑え目でどこかキャッチーでもあるという、個人的にもずいぶんと好みの作風になった。
楽曲は、3~4分前後と短めながらも、アナログ感に包まれたオールドな感触と妖しい空気感をたっぷりと振りまいていて、
Black Sabbath「Paranoid」のカヴァーもいかにも魔女系な仕上がりでハマっている。
ドラマティック度・・8 ヘヴィネス度・・7 古き良きドゥーム度・・8 総合・・8
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Lord Dying 「Summon the Faithless」
アメリカのスラッジ/ドゥームメタル、ロード・ダイングの2013年作
ヘヴィなギターリフを乗せたアナログ感に包まれたアンサンブルに、ダミ声ヴォーカルを乗せて
不穏な空気感を描き出すサウンド。この手のドゥーム・スラッジ系にしたはわりとアグレッシブな感触で、
がなり立てるヴォーカルとヘヴィネスは、スラッシュ/デスメタル的な雰囲気もいくぶん感じさせる。
ツインギターは古き良き感触のリフに加えて、随所にメロディックなフレーズを奏でたりと、
オールドな正統派メタルファンにもアピールする部分があるだろう。リズム的にも遅すぎないノリと
うねりのあるグルーブ感で、重厚なスラッジメタルとしてバランスのとれた聴き心地といえる。
ドラマティック度・・7 重厚度・・8 古き良き度・・8 総合・・8
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Brutus 「Behind the Mountains」
ノルウェーのヴィンテージロック、ブルータスの2013年作
ツインギターを含む5人編成で、ヘヴィなギターリフを乗せたグルーヴィなアンサンブルで、
いかにもアナログ感ただよう、ヴィンテージなハードロックサウンドを描く。
Graveyardあたりに比べると、絡みつくようなドゥーム感触がもう少しあって、
アンダーグラウンドな空気感が強い分、よりマニア受けする濃密な聴き心地である。
楽曲のフックなどに個性的な新鮮さは薄いものの、どっしりとしたアンサンブルと音の説得力は
デビュー作にしてすでに十分備わっている。ラスト曲ではオルガンも鳴り響く音の厚みが素晴らしい。
ドラマティック度・・7 アナログ度・・8 古き良き度・・9 総合・・8
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GODSPEED YOU! BLACK EMPEROR 「Asunder, Sweet & Other Distres」
カナダのポストロック、ゴッドスピード・ユー!・ブラックエンペラーの2015年作
1998年にデビュー、その壮大なスケール感とサウンドコラージュ的な先鋭的なセンスから、
多くのバンドに影響を与えるポストロックの旗手となった。2002年作を最後に解散するが2010年に復活し、
本作は通算5作目となる。ヘヴィなギターにブラスが絡む、どっしりとしたサウンドで、ダークでありながらも
やわらかな叙情も感じさせる。シンセをメインにしたエクスペリメンタルなサウンドスケープ風味なども含め、
ヴォーカルがないオールインストなので、この手のポストロックが苦手な方には退屈かもしれないが、
ミステリアスな空気と得体の知れないスケール感を描く音作りはさすが。全4曲という構成で、
メロウなギターに絡むストリングが美しいラストの13分の大曲は圧巻だ。まさに堂々たる力作。
ドラマティック度・・7 ロック度・・6 ミステリアス度・・8 総合・・8 *過去作のレビューはこちら
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Enochian Theory 「Evolution: Creatio Ex Nihilio」
イギリスのプログレメタル、エノチアン・セオリーの2009年作
コンセプチュアルな雰囲気の小曲からして、すでに知的なセンスを感じさせるが、
モダンなヘヴィさと硬質感に、適度にテクニカルな展開力で聴かせる、新世代のProgMetalサウンド。
基本はギター&ヴォーカルに、ベース、ドラムのトリオ編成ながら、随所にオーケストレーションによる
壮麗なアレンジでがシンフォニックな質感を生みだしている。マイルドなヴォーカルを乗せた繊細な叙情性などは、
モダンなハードプログレとしても楽しめる。Pain of Salvationあたりに通じるアーティスティックな構築性で、
ドラマティックなサウンドをセンスよく描いてゆく。英国の新鋭による高品質な作品である。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 モダンなセンス度・・8 総合・・8
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EtHERSENS 「Ordinary Days」
フランスのプログレメタル、エーテルセンスの2008年作
硬質なギターリフによるモダンなヘヴィネスとテクニカル性にマイルドなヴォーカルを乗せた
メランコリックな味わいを含んだスタイリッシュな作風。Pain of Salvationなどにも通じる知的なセンスに、
ヴォーカルはときにがなり立てるような激しく歌ったり、、シアトリカルな側面も垣間見せる。
派手な展開というのはあまりないが、ゴシックロック的な翳りのある叙情性に包まれた世界観で、
Wolverineなどが好きなリスナーにも楽しめるだろう。モダンでハイセンスな薄暗系メタルの好作品。
ドラマティック度・・8 テクニカル度・・7 メランコリック度・・8 総合・・7.5
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MECHANICAL BUTTERFLY 「The Irresistible Gravity」
イタリアのプログレメタル、メカニカル・バタフライの2015年作
女性Voにシンセを含む5人編成で、メロディックなギターにわりとモダンなシンセアレンジで、
適度にテクニカルでいくぶんエキセントリックな展開を含むインストパートを中心に、
しっとりとした女性ヴォーカルが加わると、妖しげな浮遊感をともなった感触になる。
メタリックなギターによるヘヴィさと軽妙なアンサンブルが同居した聴き心地は個性的であるが、
メロディのフックや盛り上がりの面では、ややとらえどころがない感じがして物足りないか。
個人的には女性Voをもっと活かしたシンフォ路線へいって欲しいような気もしますな。
ドラマティック度・・7 テクニカル度・・7 女性Vo度・・7 総合・・7
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Speaking to Stones
アメリカのプログレメタル、スピーキング・トゥ・ストーンズ2006年作
シンセを含む4人編成で、適度にモダンな硬質感とテクニカルな展開力で聴かせる、わりと正統派のProgMetal。
「AWAKE」期のDREAM THEATERに通じるいくぶん翳りを含んだ叙情性にエモーショナルなヴォーカルを乗せ、
うっすらとしたシンセアレンジに、随所に流麗なフレーズを奏でるギターも含めて、なかなかクオリティが高い。
キャッチーな歌メロの感触などは、かつてのWithout Warningなどを思わせる部分もある。
9分、10分という大曲では、インストパートでの力量という点でやはり本家DTに比べると物足りなさもあり、
イマイチなジャケやサウンドプロダクションの弱さもややマイナー臭さをかもしだしてはいるのだが、
90年代スタイルのプログレメタルが好きな方なら、なかなか楽しめる好作品だろう。
メロディック度・・8 テクニカル度・・7 薄暗度・・8 総合・・7.5
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ELFONIA 「This Sonic Landscape」
メキシコのプログレメタル、エルフォニアの2003年作
のちにSTREAM OF PASSIONに加入する、Marcela Bovio嬢の美しい歌声を乗せ、
適度にテクニカルな展開力と、アンニュイな叙情でゴシック的な薄暗さをもったサウンド。
ときにジャズ的でもある優雅なアンサンブルに、いくぶんエキセントリックなセンスと、スリリングな空気感、
やわらかな浮遊感を同居させたという聴き心地である。なによりもマルセラ嬢の伸びやかな歌声は素晴らしく、
ゴシック寄りのナンバーはThe Gatheringなども思わせる。ラストは3パートに分かれた16分を超える組曲で、
プログレ的な構築センスも光る。美しい女性声ハードシンフォとしても楽しめる好作である。
ドラマティック度・・8 アンニュイ度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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Teeth of Lions Rule the Divine 「Rampton」
ドゥーム/ドローンユニット、ティース・オブ・ライオンズ・ルール・ザ・ディヴァインの2002年作
Cathedralのリー・ドリアン、ギターがKhanateSunn O)))Electric Wizardのメンバーと組んだユニットで、
ノイジーなギターが鳴り響くなかを、即興的なドラムが叩き続けるという異色のサウンドで、
そこにリー・ドリアンの吐き捨てるようなヴォイスが乗る。ギターはときおりリフらしきものを奏でて
若干曲らしくなるものの、基本的にはノイジーでフリーキーなドローンが延々と繰り広げられる。
30分弱の1曲目がやって終わると、アンビエントな7分の小曲でのんびりできるかと思いきや、
リー・ドリアンの絶望的なヴォーカルが聴き手を谷底へと引きずり込む。そして、ラストはまた18分のドローン・ドゥーム地獄。
間違いなく聴き手を選ぶ作品だが、ここまでやってくれると暗黒の世界に心地よく浸れます。
ドラマティック度・・7 ドローン度・・8 暗黒度・・9 総合・・7.5
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4/15
メシュガーが凄すぎる!(142)


ANIMALS AS LEADERS 「THE MADNESS OF MANY」
アメリカのテクニカルメタルバンド、アニマルズ・アズ・リーダーズの2016年作
8弦ギターを駆使する黒人ギタリスト、トシン・アバシを中心としたバンドの4作目となる。
エスニックな旋律にヘヴィなギターリフを交えて、テクニカルなリズムに乗せたMeshuggahを思わせる感触に、
随所にメロディックなフレーズを聴かせる、いわばメタル・フュージョン風味も含んだサウンドだ。
オールインストでありながらミステリアスなスケール感を描く技量とセンスはさすがというべきで、
テクニックのみならず自在な表現力のフレージングで楽曲を彩るギタープレイも素晴らしい。
いまやDjent系の代表となった感があるが、その期待通りのテクニカル性と、変則リズムによる軽妙な遊び、
そこにモダンなヘヴィネスとメロディが高度に融合し、より深化を遂げた濃密な作品に仕上がっている。
ドラマティック度・・7 テクニカル度・・9 軽妙だがヘヴィ度・・8 総合・・8.5 *過去作のレビューはこちら
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Meshuggah 「The Violent Sleep of Reason」
スウェーデンのテクニカルメタル、メシュガーの2016年作
1991年にデビュー、メカニカルなリフと変則リズムを組み合わせた独自のスタイルで、Djent系の元祖ともされるバンド。
8作目となる本作も、のっけから重厚なギターリフを変拍子まくりのリズムに乗せた、濃密なメシュガーサウンドが炸裂。
ヘヴィで硬質でありながらも、うねりのあるベースの存在感とともに、どこか有機的でトリップ感を覚えるようなサウンドは、
さらに荘厳な説得力を増してきている。ダミ声ヴォーカルまでもが、ときにリズムの一部と化して溶け込んでゆくような感覚…
フレドリック・トーテンダルのかつてのソロ作品「SOL NIGER WITHIN」にも通じるプログレッシブかつアヴァンギャルドな芸術性が、
さらに高度な演奏力とグルーブをまとい、音の塊となって襲い掛かってくる。異端のテクニカルメタルの極北というべきか、
この路線では究極というべき円熟の域に到達した本作は、Djent云々を軽々と超越した孤高の傑作であろう。
ドラマティック度・・8 テクニカル度・・9 荘厳度・・9 総合・・9 *過去作のレビューはこちら
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Beyond Creation 「The Aura」
カナダのテクニカル・デスメタル、ビヨンド・クリエイションの2011年作
6弦フレットレスベース奏者に、7弦&8弦のツインギターというイカれた多弦ヲタク的な編成で、
絶叫系デスヴォイスを乗せ、ブラストビートでたたみかける激しさと、切り返しの多いリズムチェンジで聴かせる
強烈なテクニカルデスメタル。いわゆるピロピロ系のスウィープ奏法のギターフレーズに、
うねるような味のあるベースの技巧もかなりのもの。ギターはメロディックなソロ的な部分も多く、
激しいサウンドなのだが、重さがさほどでもないので凶悪さは薄めで、わりと聴きやすいという。
10分を超える大曲なども含めて、緩急ある構築力はプログレ的でもある。メロ多めの濃密テクデス!
ドラマティック度・・8 暴虐度・・8 テクニカル度・・9 総合・・8
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Beyond Creation 「Earthborn Evolution」
カナダのテクニカル・デスメタル、ビヨンド・クリエイションの2014年作
激しくたたみかけるサウンドは前作と同じだが、一聴してよりメロディアス志向が強まっている。
ツインギターの絡みによる有機的なリフとメロディックなフレーズはときにフュージョン的でもあり、
緩急ある構成と、キメの多いインストパートでのテクニカルな軽妙さはいっそう際立ってきて、
咆哮するデスヴォイスを覗けば、強烈なテクニカルメタルとして楽しめる部分もしばしば。
フレットレスベースの存在感も前作以上で、手数の多いドラムとのコンビネーションで、
ときにジャズ的な優雅なグルーブをまじえて、激しく濃密なリズムセクションを作り出している。
ここまで来ると、デスメタル的な魅力ではなく、インストによるテクニカルなアンサンブルを楽しむ作品というべきか。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・7 テクニカル度・・9 総合・・8
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DESTROYING THE DEVOID 「PARAMNESIA」
アメリカのプログレッシブ・デスメタル、デストロイング・ザ・デヴォイドの2016年作
DEEDS OF FLESHのCraig Petersによる個人プロジェクトで、自身でギター、ベース、ドラム、ヴォーカルをこなしている。
テクニカルなギターリフとメロディックなフレーズに、きらびやかなシンセに、オーケストレーションなどを加えた、
プログレッシブなシンフォニック・デスメタルというべきサウンド。ブルータルに疾走しながらも、バックにムーグシンセが鳴っていたりと
暴虐さよりも知的な構築力を感じさせる聴き心地で、テクニカルな変則リズムのDjent系の感触と、Fleshgod Apocalypseにも通じる、
荘厳でオーケストラルなデスメタルが融合した濃密な作風である。アルバム後半は3パートに分かれた20分を超える組曲で、
デスメタルというよりはむしろ、プログレッシブな構成と叙情性で展開してゆく見事なサウンドが楽しめる。、
ドラマティック度・・8 暴虐度・・7 テクニカル度・・8 総合・・8
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INANIMATE EXISTENCE 「CALLING FROM A DREAM」
アメリカのテクニカル・デスメタル、イナニメート・イグジステンスの2016年作
うっすらとしたシンセにメロウなギター、女性ヴォーカルの歌声を乗せた浮遊感ある空気感に、
テクニカルデスの硬質感を合わせたというサウンド。男性デスヴォイスとともに激しく疾走しつつ、
スウィープ奏法のピロピロ系ギターに美麗なシンセアレンジ、そして女性声が重なるという、
アヴァンギャルドかつプログレッシブなセンスで描かれる、濃密かつ個性的な聴き心地である。
暴虐すぎず、テクニカル過ぎないメロディアスな聴きやすさで、テクデス、プログレデス、両方のリスナーに対応。
全35分という短めのアルバムであるが、クオリティの高いプログレ・デスメタルにおなかいっぱい。
ドラマティック度・・7 テクニカル度・・8 アヴァンギャル度・・8 総合・・8
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Orphalis 「The Birth Of Infinity」
ドイツのデスメタル、オルファリスの2016年作
ツインギターのリフと低音デスヴォイスを乗せてブラスト疾走するブルータルな激しさに、
随所にリズムチェンジを含んだテクニカルな展開力も覗かせる強力なサウンド。
昨今のバンドにしてはオールドスタイルの感触が強く、ゲボ声ヴォーカルもひと昔前のデスメタルっぽい。
ギターはザクザクのリフだけでなく、ときにテクデス風のピロピロフレーズも奏でていて
ときにブラックメタル風味のダミ声も入ってきたりもするが、基本はやかましくて激しい。
少々一本調子な感じもするが、オールドなブルデス好きにはたまらないかもしれない。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・9 テクニカル度・・7 総合・・7.5
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REVOCATION
アメリカのテクニカル・(デス)スラッシュメタル、レヴォケーションの2013年作
4作目となる本作は、ツインギターの硬質なリフにダミ声ヴォーカルを乗せて疾走しつつ、
随所に激しいブラスト疾走を含んだモダンなデスコア風味が加わったサウンドになっている。
前作までのメロディックな部分が薄まって、デスメタル的でもあるブルータルな激しさが増していて、
リズムチェンジを含んだテクニカルな切り返しは、このバンドならではの知的な構築性を感じさせる。
もはやスラッシュというよりは、テクニカルなエクストリームメタルというべき感触であるが、
この路線を好むリスナーも多いのではなかろうか。個人的には前作までの路線が好みではあるが。
ドラマティック度・・7 テクニカル度・・8 ほぼテクデス度・・8 総合・・8
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REVOCATION 「Deathless」
アメリカのテクニカル(デス)スラッシュメタル、レヴォケーションの2014年作
5作目となる本作は、テクニカルデス寄りだった前作の延長上のサウンドで、
ツインギターのクールなリフを乗せた切れ味のよい、アグレッシブな聴き心地。
前作に比べるとメロディックなフレーズが増えていて、テクニカルな展開力をともなった
ドラマティックなスラッシュメタルという作風にやや立ち戻っている感もある。
一方では、モダンなヘヴィネスでたたみかける知的なデスコア風味も残していて、
プログレッシブ・テクニカルデスというナンバーもあるので、やはりこの路線でゆくのだろう。
ドラマティック度・・7 テクニカル度・・8 知的な構築度・・8 総合・・8
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FALAISE 「As Time Goes By」
イタリアのポストブラックメタル、ファライスの2015年作
うっすらとしたシンセをバックに、ノイジーなギターを乗せて激しく疾走しつつ、随所に繊細な叙情パートを盛り込んだ
Alcestを思わせるスタイルで、幻想的なポストブラックサウンドを描いてゆく。ヴォーカルは低音ダミ声なのだが、
遠くからうっすらと聴こえてくる感じで、暴虐な感じはさほどしない。むしろトレモロのギターフレーズなどの、
メロディアスな聴き心地が前に出ていて、激しく疾走するパートは多いのだが、耳に優しい感じがする。
Alcestの雰囲気を踏襲しすぎていて、現時点ではこのバンドならではの個性というものは薄いのだが、
逆に言うと、この手のサウンドが好きな方にはたまらないに違いない。今後に期待のバンドです。
ドラマティック度・・8 叙情度・・8 Alcest度・・9 総合・・8
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Homselvareg 「Catastrofe」
イタリアのブラックメタル、ホムセルヴァレグの2009年作
ツインギターのノイジーなリフを乗せて疾走する、オールドスタイルのブラックメタルで、
アナログ感あるサウンドも含めて、プリミティブなマイナー臭さに包まれた聴き心地。
イタリア語による邪悪なダミ声ヴォーカルもいい感じで、随所にメロディックなギターフレーズも覗かせながら、
スローパートから強烈なブラスト疾走まで、緩急のある展開は初期のABIGORなどにも通じるだろう。
ファストにたたみかける激しさの中にも、ダークな幻想性と湿り気ある空気感を描くところもよいですな。
甘すぎないメロディを含んだ古き良きスタイルの真性ブラックメタル強力作!
ドラマティック度・・7 暴虐度・・8 プリミティブ度・・8 総合・・8
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ASA NOIR 「Fall of The Idols」
フィンランドのシンフォニック・ブラックメタル、アサ・ノワールの2014年作
美麗なイントロから、シンフォニックなシンセアレンジにダミ声ヴォーカルを乗せたミドルテンポで始まり
随所に激しい疾走パートも含んだ、中期のDimmu Borgirあたりを思わせるシンフォブラック。
楽曲は4~5分前後と比較的コンパクトで、ギターはときにメロデス的なフレーズを覗かせつつ
ヘヴィなリフとシンセの美しさがコントラストとなって、スペイシーなスケール感を描いている。
暴虐に疾走する部分が少ないので、荘厳な迫力という点ではやや物足りないが、
シンフォニックな聴きやすさが前に出ていて、それなりにクオリティは高い作品ではある。
シンフォニック度・・7 暴虐度・・7 荘厳度・・7 総合・・7.5
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4/7
散りゆく桜とメタルの春(130)


Sonata Arctica 「Ninth Hour」
フィンランドのメロディックメタル、ソナタ・アークティカの2016年作
2000年にデビュー、初期のメロスピ路線から、2007年作以降はハードロック寄りにシフトしてきたこのバンド、
9作目となる本作も、美麗なシンセアレンジとマイルドなヴォーカルを乗せたキャッチーな作風で、
ウェットな叙情性と爽快なメロディアス性を兼ねそろえた、クオリティの高いサウンドを聴かせる。
曲によってはかつてのような疾走感もありつつ、トニー・カッコの歌声は繊細な表現力を増していて、
北欧のバンドらしい哀愁を含んだメロディとともに、透明感のある優雅なシンフォニック・ハードが楽しめる。
ゆったりとしたナンバーも多いが、力の抜けた自然体の柔らかみで構築された、大人のソナタを感じさせる好作品である。
シンフォニック度・・8 優雅度・・9 大人のソナタ度・・9 総合・・8 *過去作のレビューはこちら
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Symphony X 「Underworld」
アメリカのシンフォニックメタル、シンフォニー・エックスの2015年作
1994年デビューしてから、すでにキャリア20年のベテランで、本作は9作目となる。2枚組の大作であった前作は、
濃密すぎて聴いていて途中でげんなりとしてしまったものだが、今作もシンフォニックかつ大仰なイントロかららしさ全開。
マイケル・ロメオの奏でるキレのよいギターリフに、ラッセル・アレンのワイルドなヴォーカルを乗せて疾走、
きらびやかなアレンジとテクニカルな構築性で、メタルコア的でもあるモダンなエクストリームメタルを聴かせる。
ダンテの「神曲」地獄篇にインスパイアされたとのことだが、美麗なシンセに包まれたスケール感と、
テクニカルメタルとしての技巧要素が組み合わさった、悪く言うと耳やかましい作風はいつもと同じ。
そんな中、わりとゆったりと聴かせるメロディックなナンバーは少し嬉しい。メロのよい曲をもっと増やしてください。
メロディック度・・7 テクニカル度・・8 濃密度・・8 総合・・7.5 *過去作のレビューはこちら
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IMPELLITTERI 「VENOM」
アメリカのギタリスト、クリス・インペリテリ率いる、インペリテリの2015年作
前作から6年ぶりとなるアルバムで、やや小粒に思えた前作に比べて、のっけから勢いのあるナンバーでたたみかける。
ロブ・ロックのパワフルなハイトーンヴォーカルに、インペリテリのテクニカルなギターフレーズを乗せた、
ベテランらしいオールドスタイルの様式美メタルが楽しめる。楽曲はほとんどが3分台でシンプルなのだが、
キャッチーなメロディのフックとともに80~90年代的な味わいを残しつつ、随所に疾走する激しさもある。
爽快かつ濃密な聴き心地で、ここ数作では最も充実した内容だろう。アルバム全34分というのも潔い。
メロディック度・・8 様式美度・・8 シンプルだが濃密度・・8 総合・・8 *過去作のレビューはこちら
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ANGRA 「Angels Cry: 20th Anniversary Live」
ブラジルのメロディックメタル、アングラのライブ作品。2013年作
1993年のデビュー作から20周年を祝して行われた、ブラジル、サンパウロでのライブステージを2CDに収録。
新たにファビオ・リオーネ(Rhapsody of Fire)をシンガーに迎えての編成であるが、艶のあるファビオの歌声は、
シンフォニックなナンバーやアコースティックな曲にはマッチするが、とくに初期の疾走ナンバーでは違和感があって、
前任者の頃の突き抜けるような爽快感は薄い感じがする。また、録音がややラウドなこともあって、ライブ感はあるのだが
ドラムも含めて演奏面での一体感も物足りないような。Disc2では、元NIGHTWISHのターヤ・トゥルネンの歌う“Stand Away”、
ケイト・ブッシュのカヴァー“Wuthering Heights”では、元SCORPIONSのウリ・ジョン・ロートもゲスト参加している。
ファビオは高音部は少しつらそうながら、名曲“Evil Warning”~“Carry On”という流れは、なんだかんだでやはり盛り上がる。
ライブ演奏・・7 音質・・7 名曲度・・8 総合・・7.5 *過去作のレビューはこちら
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Meat Loaf 「Hang Cool Teddy Bear」
アメリカのヴォーカリスにして、ロックオペラの代名詞、ミート・ローフの2010年作
1977年の1作目から数えて何作目になるのか分からないが、本作は前作「地獄のロックライダー3」から4年ぶりとなるアルバムで、
やはりSFファンタジー的なストーリーがあるのだろう、壮大な雰囲気のイントロから、曲が始まるとオーケストラアレンジをバックに、
渋みのあるヴォーカルを乗せた古き良き感触のハードロックサウンドが広がってゆく。オルガンを含むシンセアレンジに、
ときにブギウギ調だったりと、70年代的なオールドロック味わいも感じさせつつ、ピアノをバックにじっくりと歌い上げるパートや、
曲によっては女性ヴォーカルも加わって、壮麗なロックオペラを描き出す。メジャー感のあるキャッチーなメロディアス性もさすがで、
多くのファンが楽しめるサウンドの普遍性を感じさせる。シンフォニックなスケール感と、古き良きロックが合わさったという力作である。
ドラマティック度・・8 ゴージャス度・・9 オールドロック度・・8 総合・・8
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SARAQUSTA 「Injusta Condena」
スペインのハードロック、サラクスタの2015年作
アンダルシア地方のバンドということで、偉大なる先輩であるMEDINA AZAHARAが思い浮かぶが
このバンドもスペイン語による濃密なヴォーカルに、美麗なシンセアレンジを含んだキャッチーなサウンドで、
スパニッシュな哀愁を漂わせたメロディラインが耳心地よい。叙情的な泣きのギターフレーズに、
ときにプログレ的なきらびやかなシンセワークも覗かせる。メディナ・アザーラに比べるともう少しライトで、
モダンな感触もあるのだが、やはりヴォーカルのスパニッシュな歌いまわしは独特の味わいがあり、
土着的なスパニッシュハードとしての魅力が勝っている。アンダルシアロックを受け継ぐ新鋭として期待したい。
メロディック度・・8 キャッチー度・・8 スパニッシュ度・・9 総合・・8
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Wardrum 「Messenger」
ギリシャのメロディックメタル、ウォードラムの2013年作
正統派のギターリフに伸びやかなヴォーカルの歌声を乗せたオールドなメロパワスタイル。
ギリシャのバンドというとB級というイメージが強いのだが、このバンドに関しては見事な歌唱力に
バックの演奏力も含めて、一線級のバンドにひけをとらない。手数も多く安定感のあるドラムに、
キレのいいリフと随所に巧みなフレーズを奏でるギターとともに、サウンドに確かな説得力を付加している。
クサメロ系のメロスピなどとは違い、メロディアスであってもあくまでオーセンティックな聴き心地で、
なにより力量あるヴォーカルの表現力は素晴らしい。楽曲はミドルテンポ主体であるが、
様式美な疾走ナンバーもあって、HIBRIAなど、正統派メタルが好きなオールドなリスナーには受けるだろう。
ドラマティック度・・7 パワフル度・・8 正統派度・・8 総合・・8
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BLOODBOUND 「Stormborn」
スウェーデンのメロディックメタル、ブラッドバウンドの2014年作
2005年にデビューしてから本作ですでに7作目となる。大仰なイントロに続き、ツインギターの叙情メロディとともに、
パワフルなハイトーンヴォーカルを乗せて疾走するメロパワサウンドが炸裂。Primal Fearばりのどっしりとした正統派メタルの感触に、
サビでのメロディックなフックと流麗なギターソロは、GAMMA RAYなど往年のジャーマンメタルをルーツにしたドラマティックな聴き心地である。
今作では、ケルティックなメロディを含んだキャッチーかつ勇壮なナンバーから、MANOWARばりのどっしりとしたミドルテンポ、
さらにはネオクラ風の疾走ナンバーまで、楽曲ごとの多彩なアレンジで、メロディックな魅力という点では過去最高の出来かもしれない。
第三世代のメロパワバンドとしては、Powerwolfらとともに、すでに欧州のシーンを牽引する存在といってよいだろう。
メロディック度・・8 疾走度・・8 正統派度・・8 総合・・8 *過去作のレビューはこちら
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IRON SAVIOR 「Rise Of The Hero」
ドイツのパワーメタル、アイアン・セイヴィアーの2014年作
ピート・シルク率いる正統派のジャーマンメタルバンド、1999年のデビューから7作目となる本作も、
重厚なギターリフにパワフルなヴォーカルを乗せた、どっしりとした正統派のメロパワサウンドを聴かせる。
サビでのキャッチーなコーラスや、HELLOWEENなどに通じるメロディックなギターソロはいかにもジャーマンメタル的で、
これという目新しさはないのだが、ベテランらしい堂々たる説得力である。トーマス・ナックの勢いあるドラムに、
ピート・シルクの歌声も伸びやかで、爽快に疾走するナンバーもじつに魅力的だ。本作ではメロディアスなフックが、
GAMMA RAYばりに際立っていて、楽曲ごとのクオリティがこれまでの作品以上に増している。年季を感じさせる見事なアルバムだ。
メロディック度・・8 重厚度・・8 正統派度・・8 総合・・8 *過去作のレビューはこちら
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PARADOX 「Pangea」
ドイツのスラッシュメタル、パラドックスの2016年作
80年代から活動するベテランで、2000年に復活してから5作目、通算では7作目となる。
本作では、リーダーのチャーリー・スタインハウアー以外のメンバーが一新し、ベースはVICIOUS RUMORSから、
ギターとドラムにはギリシャのSUNBURSTのメンバーが参加している。スラッシーなリフを乗せて疾走する、
硬質かつパワフルな激しさと、ツインギターによるメロディックな要素が合わさった、バラドックス節は健在。
ガス・ドラックスのキレのよいギターワークも案外サウンドにマッチしていて、随所にテクニカルなフレーズも覗かせる。
演奏陣が一新したこともあってか、オールドスタイルのスラッシュをやっていながら、どこかモダンな硬質感が強まった感もある。
楽曲は、6~7分前後の長めのものも多いのだが、個人的にはインパクトのあるナンバーがやや少ない気がした。
ドラマティック度・・7 疾走度・・8 新鮮度・・7 総合・・8 *過去作のレビューはこちら
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GRAND MAGUS 「TRIUMPH & POWER」
スウェーデンのヘヴィメタル、グランド・メイガスの2014年作
SPIRITUAL BEGGARSのJBをフロントにして2001年にデビューしてから、本作が7作目となる。
前作は正統派のエピックメタルに接近したような作風だったが、本作でもどっしりとした聴き心地の
古き良きメタルの感触に、ザラついたアナログ感覚を加えたような大人の味わいのサウンド。
ヘヴィさは控えめの音作りやレイドバックするようなアンサンブルは、オールドなハードロックリスナーにも対応。
ときにブルージーな感触も含んだギターに、朗々としたJBの歌声を乗せた渋みのあるHR/HMが楽しめる。
小曲2曲を含む全10曲42分というのも、アナログ時代のレコードを思わせる長さで良い感じです。
ドラマティック度・・7 古き良き度・・8 重厚度・・8 総合・・8 *過去作のレビューはこちら
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AMORPHIS 「Under the Red Cloud」
フィンランドのトラッドメタル、アモルフィスの2015年作
90年代にデビュー、北欧らしい土着性をメタルに融合させたサウンドで深化を続けるバンド。
12作目となる本作も、フィンランドの伝統的叙事詩「カレワラ」をテーマにしたアルバムで、
優雅なピアノの音色から始まり、土着的なギターフレーズとノーマルヴォイスの歌声を乗せ、
厚みのある叙情的なサウンドを描いてゆく。前作からの流れのメロディックな作風であるが、
随所にデスヴォイスも含んだ重厚さと、リズムチェンジを含む知的なアレンジセンス、
そしてドラマティックなスケール感などは、やはりベテランならではの説得力である。
ときにシンフォニックに、ときにペイガンメタルばりに勇壮に、壮大な叙事詩を物語るような力作だ。
ドラマティック度・・8 重厚度・・8 北欧度・・9 総合・・8 *過去作のレビューはこちら
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Insomnium 「Winter's Gate」
フィンランドのメロディック・デスメタル、インソムニウムの2016年作
2002年にデビューしてから本作ですでに7作目となる。本作は40分全1曲という異色の大曲を収録している。
のっけからブラックメタルばりに激しくブラスト疾走しつつ、美しいシンセとメロディックなギターフレーズに、
ダミ声ヴォーカルを乗せて、北欧らしい寒々しい叙情性を含んだメロデスサウンドが炸裂。
キャリアのあるバンドのみがかもしだせる荘厳な説得力が、凍てついた冬の世界観を描いていて、
たとえるなら、MOONSORROWをメロデスにしたような雰囲気とでもいおうか。勇壮かつドラマティックに、
ときにアコースティックパートなども含みつつ、緩急ある展開で重厚なサウンドを構築してゆく。まさに傑作デス!
ドラマティック度・・8 暴虐度・・7 北欧叙情度・・9 総合・・8.5 *過去作のレビューはこちら
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Omnium Gatherum 「Grey Heavens」
フィンランドのメロディック・デスメタル、オムニウム・ギャザルムの2016年作
2002年にデビュー、北欧メロデス第二世代のバンドとしては抜群のセンスを誇るバンド。
7作目となる本作は、ツインギターのメロディックのフレーズとデスヴォイスを乗せて疾走する、
オールドスタイルの正統派メロデスサウンドになっている。ヘヴな暴虐性は控えめで、
あくまでメロディアスな叙情を前に出した聴きやすさは、メロデス初心者にも対応するだろう。
初期に回帰したような疾走ナンバーは、メロデスバンドとしての自分たちのアイデンティティに立ち返った印象も受ける。
一方では、ピロピロ系ギターと美麗なシンセで聴かせるスタイリッシュでライトなナンバーは、
ヴォーカル以外はProgMetalのような聴き心地という。今後、どちらに深化してゆくのか興味深い所。
メロディック度・・8 暴虐度・・7 スタイリッシュ度・・8 総合・・8 *過去作のレビューはこちら
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Mors Principium Est 「Dawn of the 5th Era」
フィンランドのメロディック・デスメタル、モルス・プリンシピウム・エストの2014年作
2003年にデビュー、Omnium GatherumNORTHERらとともに北欧メロデス第二世代の高品質バンド。
本作は5作目で、ツインギターのクールなリフを乗せて激しく疾走する、王道のメロデスサウンド。
モダンなヘヴィネスを適度に含ませつつ、ブラストする激しさと叙情メロディを両立させた聴き心地は、
キャリアのあるバンドらしい迫力に包まれている。ダミ声ぎみのデスヴォイスも、勢いあるサウンドにマッチしていて、
ときにDark Tranquillityのミカエルを思わせるほどだ。楽曲は4~5分前後と長すぎず短すぎず、
前作同様のクオリティの高さで、新鮮味云々を議論させないレベルを維持している。さすがの強力作デス!
メロディック度・・8 暴虐度・・8 クオリティ度・・9 総合・・8 *過去作のレビューはこちら
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GHOST BRIGADE「Isolation Songs 」
フィンランドのゴシック・デスメタル、ゴースト・ブリゲードの2009年作
本作は2作目で、ツインギターのヘヴィなリフにデスヴォイスを乗せ、不穏な空気感を描き出す
モダンなゴシック・デスメタルサウンド。メランコリックな叙情が加わるとSENTENCEDなどに通じる雰囲気で、
ノーマルヴォイスによるゆったりとしたパートと、デス声の入りのアグレッシブなパートのとの対比は、
かつてのOPETHなどを思わせる構築力である。ギターの奏でる泣きのメロディも随所によい感じで、
シンセによる美しいアレンジも含んだ9分の大曲では、Swallow The Sunばりの物悲しい空気を描き出す。
本作の時点で、すでにバンドとしての方向性と楽曲のクオリティはしっかりと確立している、高品質な力作だ。
ドラマティック度・・8 メランコリック度・・8 北欧度・・8 総合・・8
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GHOST BRIGADE「IV」
フィンランドのゴシック・デスメタル、ゴースト・ブリゲードの2014年作
前作はOPETH+SENTENCEDというような好作品であったが、4作目となる本作もツインギターの重厚なリフと
メロディックなフレーズを乗せた、北欧らしいメランコリックな叙情のゴシック・メロデス的な聴き心地。
ヴォーカルは低音のデスヴォイスであるが、曲によってはノーマルヴォイスで歌っていて、
ギターによるメロディックなフレーズが前に出ていることもあって、デスというよりはゴシック寄りの感触だ。
5~6分のナンバーを中心に、10分を超える大曲もあり、4作目にして楽曲の構築センスにも磨きがかかっている。
ENTWINEあたりにも通じるフィンランド独特の倦怠の翳りに包まれたキャッチーなメロディアス性に、
ドゥームメタル的なザラついた雰囲気もいくぶん残していて、どっしりとした重厚な味わいで楽しめる力作です。
ドラマティック度・・8 メランコリック度・・8 北欧度・・8 総合・・8
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4/1
新年度のスタートです!(114)


MILLENNIUM (Милениум)「Съдба」
ブルガリアのメロディアスハード/プログレハード、ミレニウムの2017年作
敬虔なクリスチャンであるマルチプレイヤー、トニー・グレイプスを中心に、社会主義体制下の80年代に結成され、
本作は1995年作以来、じつに22年ぶりとなる5作目である。メロディックなギターのトーンと透明感のあるシンセアレンジが
80年代的なプログレハードの感触をかもしだし、母国語によるハスキーなヴォーカルを乗せたキャッチーなメロディアスハード。
随所にサックスの音色なども絡んだ大人の哀愁も感じさせるなど、キャッチーなポップ性とウェットな叙情性のバランスは、
アメリカンな爽快さとヨーロピアンなマイナーな空気が融合されたという感触だ。しっとりとした叙情性の讃美歌的なバラード曲から、
モダンな感触のナンバーなど色彩豊かな印象であるが、アルバム後半にはシンフォニックメタル風のドラマティックな大曲や、
KANSASなどにも通じるシンフォニックなプログレハードナンバーもあり、単なるメロハーという以上に聴きごたえがある。
マスタリングに数年も費やしたというだけあって音質も素晴らしい。キャッチーなクリスチャンHR好作品。ライナー解説は緑川です。
メロディック度・・8 キャッチー度・・8 音質・・9 総合・・8
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VICIOUS RUMORS 「CONCUSSION PROTOCOL」
アメリカのパワーメタル、ヴィシャス・ルマーズの2016年作
1985年にデビューのベテラン、本作では新ヴォーカルに若干21歳のオランダ人シンガー、ニック・ホールマンが加入している。
前作はバンド史上最高という激しさのアルバムであったが、今回はどっしりとした正統派メタルの聴き心地に、
パワフルなヴォーカルを乗せた、いくぶん80年代にレイドパックした作風で、古き良きパワーメタルが炸裂している。
ツインギターは硬質なリフを奏でつつも適度にメロディックな感触もあって、ヘヴィすぎない激しすぎないという
オールドなメタルファンが楽しめるバランス感覚もさすがである。一方スローテンポのナンバーなどは少々退屈な感じもあり、
疾走するナンバーの勢いを引き立てているにとどまっている。安定感のあるアルバムだが、それ以上を求める向きには物足りないか。
ドラマティック度・・7 パワフル度・・8 正統派度・・8 総合・・8 *過去作のレビューはこちら
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RHAPSODY OF FIRE 「Into The Legend」
イタリアのシンフォニックメタル、ラプソディー・オブ・ファイアの2016年作
前作は、明快なシンフォニックメタル路線の好作であったが、ルカ・トゥリッリ脱退後の2作目となる本作は、
新たな物語の幕開けを思わせるような壮麗なイントロからして、かつてのエメラルドサーガを思わせる。
クワイアを含んだシンフォニックなアレンジに、ファビオ・リオーネの伸びやかな歌声乗せた、
このバンドならではの大仰にしてファンタジックなサウンドは健在で、エピックかつ勇壮なメロディと
ドラマティックな展開力とスケール感は、むしろ初期の作風に回帰したような聴き心地である。
随所にクサメロ的なフレーズを奏でるギターワークや、フルートやパイプなどのケルティック/トラッド調の味わいも
叙情的なアクセントになっている。16分を超える大曲ではシネマティック・メタルの本領を発揮。
ときに女性ソプラノヴォーカルも加わって、緩急ある構成力で壮大な物語を描くように鑑賞できる。まさに強力作!
シンフォニック度・・9 ファンタジック度・・9 壮麗度・・9 総合・・8.5 *過去作のレビューはこちら
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DGM 「The Passage」
イタリアのメロディックメタル、DGMの2016年作
1997年デビューのベテランで本作は9作目。2パートに分かれた15分を超える大曲で幕を開け、
モダンなギターワークと美麗なシンセアレンジに、伸びやかなヴォーカルを乗せたサウンドで、
キャッチーなメロディックメタルを聴かせる。きらびやかなシンセとテクニカルなギターが絡む、
Symphony X風味の感触に、クールな硬質感とメロディックなフックを同居させたアレンジは、
若いメタルリスナーにもアピールするだろう。前々作から加入したマーク・バジルのヴォーカルの表現力も、
ミケーレ・ルッピばりのハイトーンとともに楽曲に説得力を付加していて、ミドルテンポの爽快なナンバーなども、
シンプルながらメロディックな明快さで楽しめる。テクニカルメタルとしての味わいも含んだ強力作だ。
メロディック度・・8 テクニカル度・・8 きらびやか度・・8 総合・・8 *過去作のレビューはこちら
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Trick or Treat 「Rabbits Hill Pt2」
イタリアのメロディックメタル、トリック・オア・トリートの2016年作
「ウォーターシップダウンのうさぎたち」をテーマにしたアルバムの続編で、のっけから激しく疾走しつつ、
ツインギターの流麗なメロディとルカのラプソディでも活躍するアレッサンドロ・コンティの伸びやかな歌声を乗せ
爽快なメロディック・スピードメタルを聴かせる。アコースティックな小曲などをまじえたストーリー的な流れも感じさせつつ、
HELLOWEENを思わせるキャッチーなミドルテンポのナンバーなども含めて、メロディックなフックの佳曲が続きつつ、
ここぞと疾走するキラーチューンが炸裂。このサウンドの説得力はやはりヴォーカリストの実力によるところが大きいだろう。
Ancient Bardsのサラ・スクワドラーニ、元ICED EARTH、元イングヴェイのティム“リッパー”オーウェンズ、
SONATA ARCTICAのトニー・カッコなどがゲスト参加、それぞれに素晴らしい歌声を披露している。今回は傑作です!
メロディック度・・8 疾走度・・8 ドラマティック度・・8 総合・・8.5 *過去作のレビューはこちら
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Iron Mask 「Diabolica」
ベルギーのメロディックメタル、アイアン・マスクの2016年作
イングヴェイ大好きなギタリスト、ダッシャン・ペトルッシ率いるバンドの6作目。「鉄仮面交響曲 第6番」という
大仰な日本語タイトルが付けられているが、のっけから疾走しまくる爽快なメロディック・スピードメタルが炸裂。
新たに加わった、ポルトガルのメタルバンドATTICK DEMONSのアルトゥール・アルメイダの伸びやかな歌声を乗せて、
クサメロまくりのキャッチーな聴き心地に思わずニンマリである。もちろんお得意のネオクラシカルなギタープレイも随所に覗かせ、
ときにシンフォニックで壮麗なアレンジも含んだサウンドは、すでにMAGIC KINGDOMと区別がつかない気もするが、
それもどうでもいいような濃密なクオリティの高さである。中盤にはミドルテンポのやや中庸なナンバーもあるが、
キャッチーなメロディアス性と王道の様式美メタルにメロスピ風味をまぶしたという、この手のファンにはたまらない力作である。
メロディック度・・8 疾走度・・7 濃密度・・8 総合・・8 *過去作のレビューはこちら
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Titanium 「ATOMIC NUMBER 22」
ポーランドのメロディックメタル、チタニウムの2016年作
PATHFINDERのキャロル・マニアを中心にしたバンドの2作目。前作同様にシンフォニックなシンセアレンジに、
ツインギターの叙情メロデイとハイトーンヴォーカルを乗せて疾走する、美麗なメロディック・スピードメタル。
サビの歌メロでキャッチーな爽快感はDRAGONFORCEばりで、クサメロ好きならばニンマリだろう。
北欧のバンドのようなきらびやかな感触と、繊細な叙情性が合わさって、AQUARIAの1stあたりにも通じる
メロスピの理想形ともいうべき聴き心地である。ミドルテンポのナンバーも、かつてのSTRATOVARIUS
SONATA ARCTICAを思わせる感触で、随所にピロピロなギターも奏でながら、あくまで美しい叙情に包まれている。
楽曲におけるシンフォニックな華麗さは前作以上で、メロディのフックの充実ぶりも含めて傑作と言う他にない。
メロディック度・・9 疾走度・・9 壮麗度・・9 総合・・8.5
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Lorraine Cross 「ARMY OF SHADOWS」
フランスのメロディックメタル、ロレーヌ・クロスの2016年作
ツインギターの5人編成で、抜けの良いハイトーンヴォーカルと正統派のギターリフを乗せた、
いかにも90年代を思わせるオールドスタイルなメロディック・パワーメタルをやっている。
ヴォーカルの声質はカイ・ハンセンあたりを思わせ、随所にツインリードによる叙情フレーズとともに、
少し前のジャーマンメタルというような感触で楽しめる。正統派メタルとしてのパワフルな部分と
エピックメタル的でもある勇壮な世界観、ヨーロピアンな湿り気を感じさせる聴き心地も日本人好みだろう。
リズムチェンジを含んだ展開力やアレンジセンスなどもしっかりとしていて、今後に期待の逸材だ。
ドラマティック度・・8 バワフル度・・8 正統派度・・8 総合・・8
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SUNBURST 「Fragments Of Creation」
ギリシャのメロディックメタル、サンバーストの2016年作
ヘヴィロック/メタルコア世代のモダンなヘヴィネスと、きらびやかなシンセアレンジに、
パワフルなハイトーンヴォーカルを乗せた、重厚かつスタイリッシュなメタルサウンド。
メロディックかつテクニカルなフレーズを乗せるガス・ドラックスのギターワークは、
本作におけるひとつの聴きどころになっていて、ネオクラシカルとモダンメタルの両方を通過した、
クールなヘヴィネスと、派手やかな技巧を併せ持った存在感のあるプレイを随所に覗かせている。
サウンドとしては、KAMELOTをさらにモダンに硬質にしてテクニカルギターを加えたというという感じで、
個人的にはさほど好みではないのだが、このクオリティの高さは、若いメタルリスナーには受けるだろう。
ドラマティック度・・7 テクニカル度・・8 モダンヘヴィネス度・・8 総合・・7.5
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Signum Regis 「Exodus」
スロバキアのメロディックメタル、シグナム・レジスの2013年
2008年のデビュー作は、B級のネオクラシカル・メタルという印象であったが、3作目となる本作は正統派のメロパワに接近し、
過去作に参加していたヨラン・エドマンをはじめ、ランス・キング、マイク・ヴェセーラ、さらにはVANDROYAのダイサ・ムニョス嬢など
多彩なヴォーカリストがゲスト参加して、楽曲ごとに魅力的な歌声を披露している。随所にネオクラシカル風味のギターを織り込みつつ、
STRATOVARIUS辺りに通じる北欧メロパワ的なキャッチーな爽快さで疾走するナンバーや、Darkest Roomのサムエル・ニーマンの
ロブ・ハルフォードばりの強力なハイトーンが印象的な疾走ナンバーも印象的だ。ラストはHELLOWEEN“Sole Survivor”のカヴァーで、
ヨラン・エドマンのハイトーンを乗せたパワフルな仕上がりだ。全体的にも辺境的なマイナー臭さは払拭された高品質な力作である。
メロディック度・・8 疾走度・・8 パワフル度・・8 総合・・8
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Lacrimosa 「Hoffnung」
スイスのゴシックメタル、ラクリモーサの2015年作
1990年にデビューしてから、翳りに包まれたロマンあふれるゴシックメタルを描き続けてきたこのバンド、
本作は12作目で、シンフォニックな美しさをまとったイントロで始まる15分の大曲で幕を開ける。
メロウなギターフレーズがメランコリックな泣きの叙情を描き出し、そこに乗るティロ・フルフの歌声には
年季をへたものだけがかもしだせる深みのある哀愁を感じさせる。楽曲によっては適度にモダンなノリも含みつつ、
長年の相方である、アン・ナルミによる美麗なシンセアレンジと、女性ヴォーカルとしての美しい歌声がサウンドを盛り上げる。
ラストもこれぞゴシックメタルという耽美な世界観で、シンフォニックな美意識と哀愁の翳りが合わさった力作に仕上がっている。
ドラマティック度・・8 ゴシック度・・8 壮麗&耽美度・・8 総合・・8 *過去作のレビューはこちら
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Schysma 「Idiosyncrasy」
イタリアのシンフォニック・ゴシックメタル、シズマの2015年作
女性シンセ奏者を含む5人編成で、きらびやかなシンセアレンジを乗せたモダンなサウンドで、
ハスキーな男性ヴォーカルの歌声を乗せた、シンフォニックなゴシックメタルという聴き心地もある。
適度にノリのあるテンポに乗る、ヘヴィすぎないギターは随所にメロディックなフレーズを奏でていて、
Lacrimosaをもう少しポップにしたという雰囲気などは、わりと初心者にもとっつきやすいだろう。
変拍子リズムを含んだProgMetal的な展開力なども、なかなか面白い方向性だとは思うのだが、
ゴシックなのか、シンフォニックなのか、プログレメタルなのか、いまひとつ定まらないという印象も。
個人的にはもっと大仰な盛り上がりや、妖しく濃密な空気感が欲しい。今後に期待です。
ドラマティック度・・8 ゴシック度・・7 重厚度・・7 総合・・7.5
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Elysion 「Someplace Better」
ギリシャのゴシックメタル、エリシオンの2014年作
2作目となる本作も、一聴してEVANESCENCEあたりを思わせる、適度にモダンかつヘヴィな感触と
シンフォニックなアレンジに、美しい女性ヴォーカルの歌声を乗せた、わりと正統派のゴシックメタルサウンド。
楽曲は3~4分前後と比較的シンプルで、妖艶なゴシック要素とキャッチーなメロディが合わさっていてとても聴きやすいのだが、
これだというインパクトや個性という点ではまだ物足りない。紅一点、クリスティアーナ嬢の伸びやかな歌声は
前作以上に表現力を増しているので、あとは楽曲におけるメロディの魅力と世界観を深めていってもらいたい。
シンフォニック度・・7 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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Madness of the Night 「Asgarda」
スウェーデンのゴシックメタル、マッドネス・オブ・ザ・ナイトの2013年作
女性シンガーとマルチミュージシャンの二人組ユニットで、打ち込みリズムの上に美麗なシンセアレンジと
ヘヴィすぎないギター、そして艶めいた女性ヴォーカルの歌声を乗せたサウンドで、
Lacrimosaなどに通じる耽美な雰囲気と、いくぶん辺境ぎみのマイナー臭さも感じさせる。
ヴォーカル嬢の妖艶な声の震え方や、盛り上がり切らないメロディのフックの弱さも含めて、
ポーランドのArtrosisあたりに通じる感触もあり、ようするにB級臭さぷんぷんのゴシックメタル。
声質はよいと思うのだが、歌い方がシアトリカルに力み過ぎな気がします。あと楽曲も練ってください。
シンフォニック度・・7 ゴシック度・・7 女性Vo度・・7 総合・・7
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Rosae Crucis 「Fede Potere Vendetta」
イタリアのエピックメタル、ロージィ・クルーシスの2010年作
ツインギターの5人編成で、ヴォーカルはムキムキでマッチョなお兄さんという、
見た目にもMANOWARちっくなバンドであるが、語りの入った大仰なイントロから始まり、
わりと軽めのドラムにツインギターを乗せた、適度にスカスカ感のある正統派のエピックメタル。
ハイトーンから中音域までこなすパワフルなヴォーカルはなかなかよい感じなのだが、
録音の迫力の足りなさや楽曲展開も含めたマイナーなB級臭さが、微笑ましい味わいとなっている。
これでツインギターのリフとフレーズがも少し噛み合ってくれば、勇壮な世界観の説得力も増すのだろうが、
「イタリアのマノウォー」…と呼ばれる日はまだ遠いかもしれない。決して嫌いではないのです。
ドラマティック度・・7 パワフル度・・7 エピック度・・8 総合・・7.5
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3/18
花粉キテます!(99)


Delain 「Moonbathers」
オランダのシンフォニックメタル、ディレインの2016年作
WITHIN TEMPTATION のKeyを中心に2006年にデビュー、美貌の女性シンガー、シャルロット嬢を擁し
人気を博すこのバンド。5作目となる本作は、シンフォニックなアレンジをバックにキャッチーな感触で、
メジャー後のウィズインにも通じるような聴き心地から、デスヴォイスが加わると、EPICA的な雰囲気にもなる。
モダンなヘヴィネスを含んだメリハリあるアレンジと展開力はさすがのセンスで、美しい歌声を中心に、
あくまでメロディックな雰囲気を保っているのも、ファンの期待通りのバランス感覚だろう。
全体的にはゴシックメタル的な雰囲気が薄まった分、これだという新たなインパクトは薄いのであるが、
Nightwish
などにも通じる壮麗さと完成度の高さで、多くのリスナーが楽しめるだけの力作に仕上がっている。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8 *過去作のレビューはこちら
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HEAVENWOOD 「Abyss Masterpiece」
ポルトガルのゴシックメタル、ヘヴンウッドの2011年作
1996年にデビュー、2作を残していったん消えたが、2008年に復活、本作は復活2作目となる。
壮麗なイントロから曲が始まると、重厚なギターとデスヴォイスを乗せ、シンフォニックなアレンジとともに
同郷のMOONSPELLあたりにも通じる、ゴシック・デスメタル的な雰囲気に包まれる。
途中、女性声が美しいオペラティックなパートやノーマル声によるパートなども含みつつ、
メランコリックな叙情と壮麗なアレンジで、ダークな雰囲気に包まれたスケール感を描き出す。
単なるゴシックメタルというよりは、THERIONのようなシンフォニックメタルの荘厳さを取り入れた
重厚な迫力が素晴らしい。ANATHEMAのダニエル・カルドーソがドラムで全面参加しているのも少々驚き。
ドラマティック度・・8 ゴシックデス度・・8 重厚度・・8 総合・・8
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HEAVENWOOD 「THE TAROT OF THE BOHEMIANS」
ポルトガルのゴシックメタル、ヘヴンウッドの2016年作
復活後3作目となる本作は、シンフォニックなアレンジとともに激しいドラムにヘヴィなギターを乗せた感触で、
一聴してゴシックというよりはむしろメロデス風なのだが、メランコリックな叙情も随所に覗かせ重厚なサウンドを描いてゆく。
アグレッシブなナンバーではデスヴォイスを乗せた迫力ある聴き心地で、ノーマルヴォイスも交えつつ
オーケストラルなアレンジとともに、シンフォニックなゴシック・デスメタルというべきダークな世界観が味わえる。
前作から引き続き、ANATHEMAのダニエル・カルドーソがドラムで全面参加、グルーブのあるリズムを作り出している。
過去の作品のイメージで聴くと激しすぎると思うだろうが、バンドとしてのポテンシャルを見せつける見事な力作である。
ドラマティック度・・8 ゴシックデス度・・8 重厚度・・8 総合・・8
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Sylvaine 「Wistful」
ノルウェーのポストブラックメタル、シルヴァインの2016年作
女性アーティストによる個人ユニットで、うっすらとしたシンセに美しい女性ヴォーカルを乗せた
しっとりとした幻想的な空気感に、ギターが加わるとAlcestを思わせる繊細なポストブラックを描いてゆく。
1曲目はブラックメタルとしての要素ほとんど感じられないが、夢見心地のはかなげな雰囲気に包まれつつ、
2曲目以降ではダミ声ヴォーカルも乗せて、ときにブラスト疾走する激しさも垣間見せる。
全体的には物悲しい静寂感に覆われた、女性らしい繊細な美意識を感じさせるサウンドだ。
当のAlcestのNeigeがドラムで参加しているのも話題性十分。今後の活躍に期待のアーティストです。
ドラマティック度・・8 幻想度・・8 繊細度・・8 総合・・8
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NEGURA BUNGET 「ZI」
ルーマニアのブラックメタル、ネグラ・バンゲットの2016年作
1996年デビューという、キャリアのあるバンドであるが、前作から1年でもう新作を出してきた。
フォーキーな土着性を感じさせるイントロ曲からして、本作は何やら異色な雰囲気であるが、
2曲目以降は激しいブラスト疾走も加わった、ペイガン寄りのブラックメタルでひと安心。
バンドの描く神秘的な世界観はさらに強まっていて、パンパイプが鳴り響くアコースティックなパートや
朗々としたノーマルヴォーカルを乗せた雄大なスケール感に、聴き手はじわじわと引き込まれる。
楽曲によっては唐突なテンポチェンジなどの知的な展開力も覗かせる。バンドとしてのキャリアが
堂々たる音の説得力となって、ダークな空気感と迫力を生み出している。さすがの力作だ。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・7 神秘的度・・9 総合・・8 *過去作のレビューはこちら
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VORNA 「Ei Valo Minua Seuraa」
フィンランドのシンフォニック・ブラックメタル。2016年作
ツインギターにシンセを含む6人編成で、美麗なシンセアレンジにダミ声ヴォーカルを乗せた
シンフォニック・ブラックメタルのスタイル。ツインギターは随所にメロディックなフレーズを奏で、
激しい疾走パートもあるものの、全体的にはミドルテンポを主体に暴虐性よりも叙情を前に出した
北欧メロデス的な聴きやすさがある。ダミ声ながらヴォーカルは母国語で歌っているようで、
フォークというほどではないがペイガン寄りの土着性もいくぶん感じさせる。泣きメロたっぷりで、
Eternal Tears of Soroowあたりが好きな方にも楽しめるだろう、シンフォニックな好作品だ。
メロディック度・・8 暴虐度・・7 北欧メロデス度・・8 総合・・8
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Domains 「Sinister Ceremonies」
スペインのブラックメタル、ドメインズの2014年作
ジャケからして妖しさがぷんぷんだが、ブラッケンなギターリフに低音デスヴォイスを乗せて激しく疾走する、
オールドスタイルのブラックメタルサウンド。不穏な空気感をまき散らし、デスメタル的な重厚さを含ませた感触は、
中期のBEHEMOTHあたりにも通じるかもしれない。ギターは随所にメロディックなフレーズも奏でるなど、
暴虐なだけではない緩急のついた楽曲アレンジもなかなか見事だ。古き良きブラックメタルとデスメタルを合わせ、
暗黒世界の中にも湿り気を含んだ叙情を匂わせる、なかなか高品質なブラックメタルデス!
ドラマティック度・・8 暴虐度・・8 ブラッケン度・・8 総合・・8
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AGALLOCH 「PALE FOLKLORE」
アメリカのフォーク・ブラックメタル、アガロクの1999年作
カスカディアンブラックの元祖のひとつともされるバンドで、本作はデビュー作であるが、
のっけから3部構成の18分を超える組曲で、メロウなギターの旋律を乗せた物悲しい世界感が広がってゆく。
ダミ声ヴォーカルに女性コーラスが絡むなど、本作の時点ではのちのアルバムに比べてより耽美な雰囲気で、
随所にブラックメタルらしい激しさもしっかり覗かせる。アコースティックギターを含んだフォーキーな土着性と
自然崇拝的な神秘的な世界観に、ツインギターによるクサめの叙情フレーズもじつによい味わいです。
全体的にも静と動の起伏のある構成で楽しめる。2016年の再発盤ではリマスターで音質も向上。
ドラマティック度・・8 ブラック度・・7 ミステリアス度・・8 総合・・8
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SALTATIO MORTIS 「Zirkus Zeitgeist」
ドイツのフォークメタル、サルタティオ・モーティスの2015年作
SUBWAY TO SALLYと並ぶ、ゲルマン・トラッドメタルを代表するこのバンド、2001年にデビューしてから、
おそらく本作で9作目。ドイツ語のヴォーカルにバグパイプの音色を乗せて軽快に聴かせるサウンドで、
本作では中世トラッド風味が減退した代わりに、キャッチーなハードロック風味が強まっていて、
一般のリスナーにもぐっと聴きやすくなっている。反面、楽曲は3~4分前後とシンプルなので、
濃密さの点では物足りなさもあるが、メロディアス性という点では気軽に楽しめる。ピエロのジャケのように、
随所に哀愁を感じさせる叙情性も含んでいて、フォーキーなゲルマン・ハードロックというべき好作品である。
メロディック度・・8 フォーキー度・・7 ゲルマン度・・8 総合・・8 *過去作のレビューはこちら
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Encorion 「Facing History and Ourselves」
オランダのフォークメタル、エンコリオンの2010年作
女性ヴァイオリン奏者を含む5人編成で、ヘヴィなギターに低音デスヴォイスを乗せた武骨な荒々しさに、
随所にヴァイオリンの音色が鳴り響く、どこかミステリアスなフォークメタルサウンド。
スカスカの音質がいかにも自主制作っぽいのだが、そこが辺境臭い味わいにもなっていて、
ときおりクサメロを奏でるギターもなかなかよろしい。適度に勇壮なヴァイキング風味もありつつ、
優雅なヴァイオリンの響きとともに、激しすぎない聴きやすさがポイントかもしれない。
ドラマティック度・・7 フォーキー度・・7 辺境度・・8 総合・・7.5
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Encorion 「Our Pagan Hearts Reborn」
オランダのフォークメタル、エンコリオンの2013年作
艶やかなヴァイオリンが鳴り響き、メタリックなギターとダミ声ヴォーカルを乗せたサウンドで、
随所に激しい疾走感もある。勇壮なコーラスがエピックな世界観を描き出し、
ヴァイオリンとホイッスルの音色が優雅に響き渡る。前作に比べて音質も向上したことで、
サウンドそのものに説得力が加わり、重厚でダイナミックな聴き心地となった。
アコースティックなパートも含めてフォーキーな部分の旋律も魅力的になったことで、
メタリックなヘヴィさとのコントラストがよりくっきりとして、幻想的フォークメタルの力作に仕上がっている。
ドラマティック度・・8 フォーキー度・・7 辺境度・・8 総合・・8
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Oskord 「Weapon of Hope」
ウクライナのフォークメタル、オスコードの2011年作
フルート&ホイッスル奏者を含む6人編成で、やわらかな笛の音色が鳴り響き、
重厚なギターリフに迫力ある低音のデスヴォイスを乗せた本格派のフォークメタル。
フルートやホイッスルが常に鳴り響いていて、土着的なクサメロ感を含んだ辺境性もいい感じだし、
ヴォーカルはデス声ながら、随所にキャッチーなコーラスなども加わって、けっこう聴きやすい。
牧歌的なフォーク要素とメタルとしての重厚さが合わさった、クオリティの高いサウンドだ。
本作は6曲入りのミニアルバムなので、フルアルバムが聴きたいですな。
ドラマティック度・・7 フォーキー度・・8 重厚度・・8 総合・・7.5
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VA / As We Die for Paradise Lost
ゴシックメタルの元祖、パラダイス・ロストのトリビュートアルバム。1999年作
Gloomy GrimOrphaned LandSeptic FleshLegendaNightFall、On Thorns I LayMisanthropeなど、
HOLY RECORDS所属のアーティストが参加したオムニバスで、1997年作「One Second」から初期のナンバーまでを
たどってゆくという構成になっている。アラビックな旋律を取り入れたオルファンド・ランドのカヴァーは面白く、
ギリシャのオン・ソーンズ・アイ・レイによる男女ヴォーカルのメランコリックなカヴァーもなかなかよろしい。
ノルウェーのGODSENDによる「Gothic」の忠実なカヴァーにはバンドへのリスペクトが感じられますな。
同じくノルウェーのSTILLE VOLKによるトラッド調のカヴァーも面白いし、フィンランドのYearningによる
アトモスフィリックな感じのカヴァーもハマっている。バンドによってそれぞれのカラーでカヴァーされた
多様なパラロスの世界観が楽しめる、ゴシックメタルマニア向けの逸品です。
参加バン度・・8 ゴシック度・・8 バラダイス・ロス度・・8 総合・・7.5
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3/10
ゴシック&ドゥームをたっぷりと!(86)


Lacrimas Profundere「HOPE IS HERE 」
ドイツのゴシックメタル、ラクリマス・プロファンデーレの2016年作
キャリア20年を超えるベテランで、本作はおそらく11作目となる。マイルドなヴォーカルを乗せた
倦怠のメランコリック・ゴシックロックという趣は前作から変わらず。適度にキャッチーなノリを含んで
ウェットな叙情を乗せて構築する耳心地の良さは、ベテランバンドならではの音の説得力である。
薄暗系のポストプログレなどにも通じる繊細なナンバーもあり、全体的にメタル的な重さが控えめな分、
より多くのリスナーにアピールできる内容だと思う。美しいシンセにメロウなギターフレーズを乗せて
ゴシックメタルとしての物悲しいドラマ性を描くナンバーもあって、今作は充実の出来というべき力作だ。
ドラマティック度・・8 ゴシック度・・7 薄暗度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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SILENTLIE 「Layers of Nothing」
イタリアのゴシックメタル、サイレントライの2015年作
ヘヴィなギターに女性ヴォーカルの乗せた、Lacuna Coilなどにも通じるゴシック風味のヘヴィロック。
ジョルジア嬢の歌声はハスキーな中音域で、フェミニンな雰囲気よりもむしろパワフルな声質なので、
サウンドとしてもゴシック的な耽美さよりは、モダン寄りのメタル感触が強いかもしれない。
専任のシンセ奏者がいないのでシンフォニックな要素も薄いのだが、曲によってはシンセによる味付けもあって、
Evanescence的に聴けたりもする。一方では、ダークなドゥーム感を含んだナンバーもあって、むしろこの路線の方が
ヴォーカル嬢の歌声には似合っている感じもする。今後は楽曲そのものの魅力を強めていってもらいたい。
ドラマティック度・・7 ゴシック度・・7 女性Vo度・・7 総合・・7
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Chalice of Doom「Into Hypnagogia」
ヨルダンのゴシック・ドゥームメタル、チャリス・オブ・ドゥームの2013年作
シンセを含む5人編成で、美しいシンセアレンジに重厚なギターと低音デスヴォイスを乗せた、
DraconianMy Dying Brideあたりに通じる本格派のゴシック・ドゥームメタル。
随所に叙情的なギターの旋律やマイルドなヴォーカルも加わった、メランコリックな世界観と、
シンフォニックな美しさに包まれていて、ヴォーカルはデス声だが全体的にもメロディックに聴きやすい。
イスラム特有のジハードやシャヒード(殉教者)などをテーマにした雰囲気には、さすがホンモノノ香りがする。
演奏や楽曲のクオリティも高いのだ、耽美なゴシックメタルとしても普通に楽しめる力作である。
ドラマティック度・・8 ゴシック度・・8 重厚度・・8 総合・・8
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Dust in Mind「Never look Back」
フランスのゴシック・ヘヴィロック、ダスト・イン・マインドの2015年作
デスメタルばりの激しさとヘヴィネスに、コケティッシュな女性ヴォーカルの歌声と、
男性デスヴォイスが絡む、初期のIn This Momentなどに通じるスタイルで、
インダストリアルな硬質感とゴシック的な耽美性が合わさったという聴き心地。
重厚なギターリフに迫力あるドラムでたたみかける攻撃的な重たさと浮遊感のある女性声という
そのギャップがなかなか面白いのだが、現時点ではこれというインパクトや個性はなく、
楽曲そのものにもっと意外性や、フックのある展開が欲しい気がする。
ドラマティック度・・7 モダンヘヴィ度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7
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Memoira
フィンランドのゴシックメタル、メモイラの2008年作
ツインギターにシンセを含む6人編成で、美しいシンセアレンジに適度にヘヴィなギター、
はかなげな女性ヴォーカルを乗せた、わりと正統派のフィメール・ゴシックメタル。
ときに男性ヴォーカルも加わってのモダンな感触は、Lacuna Coilなどにも通じる雰囲気がある。
紅一点、Jemina嬢の歌声は美しくてよいのだが、バックの音圧にいくぶん埋もれてしまっているのが残念。
楽曲の方も普通に聴き心地はよく、そこそこ高品質ながらも、これという個性やインパクトは薄いのだな。
ラストの3拍子曲などは、シンフォニックかつ優雅でよい感じなので、この路線でレベルアップしてもらいたい。
シンフォニック度・・7 ゴシック度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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Adversus 「Einer Nacht Gewesenes」
ドイツのアヴァン・ゴシックメタル、アドヴァーサスの2005年作
男女ヴォーカルに、女性ヴァイオリン、女性クラリネット奏者、コントラバス奏者を含む7人編成で、
艶やかなヴァイオリンにクラリネットの優美な音色を含む、オーケストラルなクラシカル性に
ドイツ語によるダミ声男性ヴォーカルに美しい女性ヴォーカルの歌声が絡んで、
オペラティックな優雅さと、ANGIZIAあたりを思わせるアヴァンギャルドなセンスで構築される
なかなか濃密なサウンドだ。インダストリアルなアレンジとクラシカルな壮麗さを合わせ、
いくぶんヘンタイ的に仕上げたという、じつに個性的なサウンドが楽しめる、
Die Apokalyptischen Reiterなどにも通じる、ゲルマンなアヴァンメタル強力作!
ドラマティック度・・8 クラシカル度・・8 アヴァンギャル度・・8 総合・・8
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Graveyard 「Innocence & Decadence」
スウェーデンのヴィンテージロック、グレイブヤードの2015年作
2008年にデビュー、4作目となる本作はのっけから70年代のブルーズロックが全快、
ノリノリで疾走するハードなロックンロールから、2曲目ではサイケなユルさも覗かせつつ、
軽すぎない重すぎない、オールドロックの心地よさがたっぷりと味わえる。
楽曲は3~4分前後が中心でシンプルなのだが、曲ごとに方向性とノリが少しずつ違っていて、
案外メリハリに富んだ聴き心地である。この路線でここまで飽きずに聴かせられるというのは、
バンドとしての世界観の強度があるからなのだろう。まずは最高傑作ですな。
ドラマティック度・・7 古き良き度・・10 アナログロック度・・9 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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Lord Vigo「Under Carpathian Sun」
ドイツのエピックドゥームメタル、ロード・ヴィゴの2015年作
メンバーは、ハンマーやチェーンソーを手にした完全にアホそうな3人組であるが、サウンドの方は
古き良きギターリフに朗々としたヴォーカルを乗せた、しごく正統派のエピック・ドゥームメタル。
バビロンやイシュタル、ウィッチクラフトといった、いかにも厨二病的な幻想ワードを含んだ曲名に、
カルトなこけおどし感に包まれたチープなエピック性が、サウンドを適当に彩っていて泣かせてくれる。
ヴォーカルのヘタウマさも含めてB級臭さもたっぷりであるが、ドゥーム過ぎないノリの良さと、
オールドなハードロック感触とともに、エピックメタルのマニアならそこそこ楽しめるだろう。
ドラマティック度・・7 ドゥーム度・・7 エピック度・・7 総合・・7
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Grand Magus「The Hunt」
スウェーデンのヘヴィメタル、グランド・メイガスの2012年作
SPIRITUAL BEGGARSのJBをフロントにして2001年にデビュー、本作が6作目となる。
4thあたりから正統派メタルに接近した作風になったが、本作も古き良きドゥームの質感を残しつつ、
適度にキャッチーなフックとともに、80年代的な伝統的なヘヴィメタルサウンドを感じさせる。
アナログ感に包まれた音作りは、重すぎず軽すぎずといった聴き心地で、
随所にメロディアスなギターソロなども含んだ、古き良き正統派メタルが楽しめる。
ワイルドかつ表現豊かなJBの歌声もサウンドによくマッチしていて、北欧神話をテーマにしたナンバーでは、
MANOWARのようなエピックメタルの雰囲気も匂わせる。円熟を感じさせる力作である。
ドラマティック度・・7 正統派度・・8 古き良き度・・8 総合・・8
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Lovijatar 「Pimean Tuoja 」
フィンランドのドゥームメタルバンド、ロヴィヤターの2013年作
ツインギターの5人編成で、オールドな感触のギターリフに母国語のヴォーカルを乗せた、
ドゥーム/スラッジ的なサウンド。フィンランド語による歌声が土着的な味わいとなっていて、
古き良きドゥームメタルの感触に、ミステリアスなペイガン要素を付加している。
曲によってはフォークメタル的にも楽しめるようなナンバーもあり、サイケな浮遊感や
ドゥーミィな妖しさを含んだ異色の世界観で、北欧的な土着性をメタルで表現している。
楽曲は3分前後とわりとコンパクトなので、今後はさらに妖しい大曲などにも期待したい。
ドラマティック度・・7 スラッジ&ドゥーム度・・7 妖しげ度・・8 総合・・7.5
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DEVIL TO PAY 「Fate Is Your Muse」
アメリカのストーナーロック、デヴィル・トゥ・ペイの2013年作
わりとヘヴィなツインギターにダーティなヴォーカルを乗せた、アナログ感漂うストーナーロック。
70年代ハードロックのブルージーな感触を、メタル寄りのヘヴィさで演奏するスタイルで、
ストーナーロックしつてのザラついたサウンドを、より重厚な味わいにしたという聴き心地だ。
スローなテンポのナンバーはドゥームメタル的でもあり、全体的にキャッチーなところの薄い、
硬派でハードな作風なのはよいのだが、楽曲そのものにもう少しメロディックなフックがあればと思う。
ドラマティック度・・7 古き良き度・・7 重厚度・・8 総合・・7
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Ephemeros 「All Hail Corrosion」
アメリカのスラッジ・ドゥーム、エフェメロスの2013年作
13分、10分、15分という大曲3曲の構成で、重厚なギターに低音デスヴォイスを乗せた
ドローン的でもあるスラッジ・ドゥームメタル。スローテンポの中に不穏な空気と、
濃密な暗黒性を感じさせる世界観は、なかなか強固に怪しげでよい感じである。
ゆったりとしたヘヴィなキダーリフとときおり絶叫するデイヴォイスをメインにしたサウンドで、
ドラマティックな展開というのはほとんどないので、気の短い方にはまったくもって向かないのだが、
じっくりと描かれる暗黒の世界に浸れる方なら、わりと楽しめるのではなかろうか。
ドラマティック度・・7 ドゥーム度・・8 暗黒度・・9 総合・・7.5
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Hidden Masters 「Of This & Other Worlds」
アメリカのサイケロック、ヒドゥン・マスターズの2013年作
ギター、ベース、ドラムというトリオ編成で、60~70年代を思わせる牧歌的なアートロックサウンド。
ハードな感触はほとんどなく、キャッチーなコーラスによるおおらかな叙情が前に出ていて、
アナログ感あふれるサウンドも含めて、70年代初頭の作品だと言われても信じてしまいそう。
ウエストコースト的な陽性のポップ感も匂わせつつ、ときにオルガンなどが加わっての
プログレ的な展開やサイケな浮遊感もあって、意外と一筋縄ではいかない面白さがある。
懐古主義にもほどがあるという、確信犯的なヴィンテージ・アートロックの好作品。
ドラマティック度・・7 ポップでサイケ度・・8 古き良き度・・9 総合・・7.5
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Admiral Sir Cloudesley Shovell 「Don't Hear it... Fear It!」
イギリスのハードロック、アドミラル・サー・クラウデスレイ・ショーベルの2012年作
GORILLAのJohhny Golliraを中心にしたバンドで、ブルージーなギターと
ダーティなヴォーカルを乗せた、いかにも70年代を思わせるガレージロックサウンド。
ノイジーなギターを乗せたアナログ感たっぷりのアンサンブルで聴かせる、
シンプルなスタイルであるが、6分、7分という長めの楽曲では、フリーキーな即興性も覗かせる。
荒々しいドライブ感とヘヴィでありながらも、サイケ的な浮遊感も内包した、懐古型ハードロック強力作。
ドラマティック度・・6 古き良き度・・9 荒々し度・・8 総合・・7.5
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Babils 「Joint Between」
ベルギーのアヴァン・サイケロック、バビルズの2007年作
トランペットなどのブラスが鳴り響き、アナログ感たっぷりのアンサンブルがフリーキーに合わさった、
異色のアヴァンギャルド・サイケロック。うねるようなベースとノイジーなギターにブラスが絡まり、
ガレージロック的な荒々しさと、混沌としたサイケ感が混ざり合った、一種、異様な世界観である。
ポストロック的でもある得体の知れないスケール感とミステリアスな暗黒性も覗かせつつ、
フルートが妖しく鳴り響く10分を超えるナンバーも、サウンドコラージュ的で大変アヴァンギャルド。
ロックとしての整合性を求める方には向かないが、混沌としたフリーキーなアヴァンミュージックが好きな方に。
ドラマティック度・・7 サイケ度・・8 アヴァンギャル度・・9 総合・・7.5
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Abysmal Grief 「Misfortune」
イタリアのドゥームメタル、アビスマル・グリーフの2009年作
90年代から活動するバンドで、ホラーやオカルト的な世界観を描くカルト好みのバンド。
オルガンが鳴り響き、ヘヴィなギターに低音のヴォーカルを乗せた妖しいサウンドで、
大仰でシアトリカルな雰囲気は、いかにもイタリアのバンドらしい聴き心地である。
これぞドゥームという、スローで単調な部分が多いのだが、逆に言えば楽曲というよりは
「雰囲気」で楽しむバンドなのだろう。オルガン鳴りまくりの、イタリアン・ホラー・ドゥームです。
ドラマティック度・・7 ドゥーム度・・8 オカルト度・・8 総合・・7.5
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Horns of Anguish 「Barriers」
スウェーデンのドゥームメタル、ホーンズ・オブ・アングイシュの2009年作
ヘヴィなギターリフにダミ声ヴォーカルを乗せた、重厚なフューネラルなドゥームメタル的に始まり、
スローテンポの沈み込むような曲調から、70年代ハードロック的なギターフレーズも覗かせて
Black Sabbath的な適度にノリのある味わいも見せる。ヴォーカルはときどきデスヴォイスになったりして、
曲によってはゴシックドゥーム的なメランコリックな叙情も漂わせる。ダークで不穏な空気感は、
フューネラルなドゥームメタルとしての説得力となっているが、反面、それ以上のインパクトはない。
ギターリフなり楽曲展開なりにもう一工夫欲しい気もするが、ドゥーム好きには安心して楽しめる好作だとは思う。
ドラマティック度・・7 ドゥーム度・・8 重厚度・・8 総合・・7.5
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2/26
そろそろ花粉の季節(69)


LOCRIAN 「Infinite Dissolution」
アメリカのエクスペリメンタル・メタル、ロクリアンの2015年作
ノイジーなギターリフが鳴り響くドローン的な感触から、ブラックメタル要素を含んだ激しい疾走感もあり、
モダンな硬質感の中に不穏な空気感を描き出す。いわば、サイバーなドローン・ブラックというべきか。
うっすらとしたシンセアレンジに包まれて、ポストロック的な薄暗さとスケール感も匂わせつつ、
一方ではノイジーなギターが無機質に鳴り響く、ミステリアスでアヴァンギャルドな雰囲気も面白い。
オールインストなので、BGMになってしまいそうなところもあるのだが、ブラックメタル風の疾走パートや
シンセを前に出したテクノメタル風味など、適度にメリハリのついた展開もあって、案外最後まで楽しめる。
ドラマティック度・・8 壮大度・・8 アヴァンギャル度・・8 総合・・8
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Crom Dubh 「Heimweh」
ドイツのブラックメタル、クロム・ダブの2015年作
アナログ感あるトレモロのギターリフに、ダミ声ヴォーカルを乗せて疾走する、
オールドスタイルのプリミテイブなブラックメタルサウンド。適度に叙情性を含んだギターリフが、
ポストブラック的でもある感触になっていて、ダークであるがどこかマイルドな聴き心地。
いわばAlcestが、本気でブラックメタルをやっているというような感触もあって、
激しさと不穏な空気感の中に優雅な叙情が混ざり合ったサウンドが楽しめる。
ミドルテンポや3拍子のナンバーなども、メロウなギターとトレモロのリフなどで
かなりメロディアスに味わいだ。これぞポストブラック風味のメロブラといべき力作です。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・7 叙情度・・8 総合・・8
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Woland 「Hyperion」
フィンランドのモダンブラックメタル、ウォランドの2014年作
適度にヘヴィなギターとダミ声ヴォーカル乗せて、インダストリアルな硬質感に包まれたサウンドで、
ミドルテンポを主体にシンフォニックな味付けも加わった、サイバーブラック的な聴き心地。
ARCTURUSなどに通じるスペイシーなダークさと、随所に知的な構築力も覗かせながら、
メロディックなギターフレーズや美しいシンセアレンジを含んだ、シンフォニックブラックの香りも残している。
激しいブラスト疾走はあまりないものの、どっしりとした重厚さとダークな空気感をモダンに描き出す、
とても高品質なサウンドが楽しめる。いわばサイバー&シンフォニックなモダンブラックメタルの力作だ。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・7 サイバーな叙情度・・8 総合・・8
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Wayfarer 「Children of the Iron Age」
アメリカのブラックメタル、ウェイファラーの2014年作
アナログ感に包まれたギターリフにダミ声を乗せて疾走する、ネイチャーブラック的な感触で、
WOLVES IN THE THRONE ROOMあたりに通じる、ミスティックで幻想的な世界観を描き出す。
ブラストする暴虐さというのはほとんどなく、スローパートも盛り込んでポストブラック的な叙情性に、
スラッジ/ドゥームメタル風味のナンバーもあったりと、10分を超える大曲をじっくりと構築してゆく。
神秘的な空気に包まれた、サイケ・ブラック、スラッジ・ブラックというような力作である。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・6 ミステリアス度・・8 総合・・8
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Wolvhammer 「Clawing Into Black Sun」
アメリカのブラックメタル、ウルヴハンマーの2014年作
元VEIL OF MAYAのヴォーカルやABIGAIL WILLIAMSのギターが参加するバンドで、
スラッジ寄りのオールドなギターリフとダミ声ヴォーカルを乗せたブラッケンなサウンド。
2ビートの暴虐すぎない疾走感とともに、オールドなブラックメタル臭を漂わせつつ
スローパートではドゥーミィな味わいもあって、音圧もうるさすぎずにわりと聴きやすい。
これというインパクトはないのだが、シンプルなノリでたたみかける、スラッジ系ブラックメタルの強力作。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・7 暗黒度・・8 総合・・7.5
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Eisregen 「Todestage」
ドイツのアヴァン・ブラックメタル、エイスレゲンの2013年作
1998年にデビュー、本作はすでに10作目となる。ホラーコミックのようなジャけからして怪しいが、サウンドの方も
ヴァイオリンが鳴り響き、ドイツ語のシアトリカルな語りから始まるコンセプトストーリー的な雰囲気を漂わせる。
インダストリアルでモダンアレンジも含みつつ、ヴァイオリンの音色を乗せてブラスト疾走するという、
クラシカルなブラックメタル要素もあって、全体的に激しさとドラマ性のメリハリに富んだ作風だ。
一方ではゴシックメタル的なメランコリックなスローナンバーもあって、ただのブラックメタルではない、
知的な構築センスを感じさせる。まさに濃密なるゲルマン・シアトリカル・メタルである。
ドラマティック度・・8 シアトリカル度・・8 ゲルマン度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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Camollis 「Prologo」
ブラジルのシューゲイザーメタル、カモリスの2013年作
シューゲイザー・ブラックバンド、THE LAST DAYSのメンバーによる作品で、
美しいシンセアレンジにメロウなギターフレーズを重ねた浮遊感あるサウンド。
アンビエントな空気感にポストロック的でもあるスケールを含んだ聴き心地で
ゆったりとした幻想的な叙情に浸れる。随所にトレモロのギターフレーズも心地よく、
アンビエントなシューゲイズながら、メタルの要素もしっかり残している。アルバム前半と後半を、
それぞれ組曲構成にしたセンスも素晴らしい。これは掘り出し物的な好作品だ。
ドラマティック度・・7 メタル度・・5 幻想の叙情度・・9 総合・・8

Xaosis 「Mara II - Umarle domy」
ポーランドのディプレッシブ・ブラックメタル、ザオシスの2013年作
Xaosis氏による一人ユニットで、スローテンポの打ち込みリズムに、ノイジーなギターリフと
母国語による唸り声のようなヴォーカルを乗せてダークな世界観を描くサウンド。
楽曲は6~11分と長めのものが主体で、激しい疾走感というものがない分、
むしろゴシック的なメランコリックな雰囲気に包まれている。ドラマ性やメロディの展開もあまりなく、
ありていにいって退屈きわまりない。鬱系ブラックにしても、もう少し曲を練ってもらいたい。
ドラマティック度・・6 暗黒度・・8 楽曲・・6 総合・・6.5

DRAGONHEART 「The Battle Sanctuary」
ブラジルのメロディック・バワーメタル、ドラゴンハートの2015年作
ファンタジックなジャケからして、なかなかそそるものがあるが、サウンドの方もクサめのツインギターに
ダミ声&ハイトーンをツインヴォーカル的に乗せて疾走する、正統派のメロパワスタイル。
勇壮なコーラスと適度なクサメロ感を含んだ、少し前のジャーマンメタルを思わせる聴き心地で、
ラウドな音質がB級臭さをかもしだす。パワフルでエピックな部分は初期のBlind Guardianを思わせるが、
どこかヘナチョコ気味の雰囲気は、Not Flagileあたりに近いかもしれない。個人的には耳障りなダミ声はやめて、
よりクサメロ疾走へとシフトした方がウケがよいのではないかと思うのだが。B級エピックメタルとしてはわりと楽しめます。
メロディック度・・7 疾走度・・7 正統派度・・8 総合・・7.5
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Thobbe Englund 「From the Wilderness」
スウェーデンのメタルバンド、SABATONのギタリスト、トーベ・エングランドのソロ。2015年作
サバトンといえば正統派の漢のメロパワなのだが、本作のサウンドはきらびやかなネオクラシカルメタル。
ドラムを除く、ギター、ベース、シンセを自身でプレイし、テクニカルなフレーズを随所に盛り込んで、
シンセによる美麗な味付けで聴かせる、イングヴェイばりの様式美インストサウンドだ。
一方では、ゆったりとしたシンフォニックな味付けと泣きの叙情のギターを聴かせるナンバーもあり、
オールインストながらも、北欧のミュージシャンらしい涼やかなメロディセンスで最後まで聴き通せる。
メロディック度・・8 ネオクラ度・・8 美麗度・・8 総合・・7.5
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Divino Disturbo 「OP I:Chose Your Side」
スペインのシンフォニックメタル、ディヴィノ・ディスターボの2013年作
美麗なイントロから、クラシカルなシンセアレンジと美しい女性ヴォーカルの歌声を乗せて疾走する、
優雅なシンフォニックメタルサウンド。壮麗なクワイヤを含むオペラティックな感触は
Dark Moorあたりに通じる雰囲気で、随所にネオクラ的なギターフレーズも含んだ、
クサメタル要素もよい感じだ。チェンバロの音色によるバロックなクラシカル性と
適度にB級のクサメロスピ感触が合わさった聴き心地には、マニアはにんまりだろう。
女性ヴォーカルの表現力などが上がれば、さらに素晴らしいクサシンフォニック作品を作ってくれそうだ。
シンフォニック度・・8 優雅度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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LORD VOLTURE「Will to Power」
オランダのメロディックメタル、ロード・ヴォルチャーの2014年作
ツインギターにハイトーンヴォーカルを乗せて、パワフルに聴かせる正統派のサウンドで、
キャッチーなメロディアス性は、GAMMA RAYなどのジャーマンメタルに通じる感触だ。
これという新鮮味はないのだが、古き良き正統派ヘヴィメタルのどっしりとした重厚さと
甘すぎないメロディアス性を含んだ楽曲はなかなか質が高く、安心して楽しめる。
ガンマ・レイやPrimal Fearあたりが好きな正統派メタルファンはチェックすべし。
メロディック度・・7 パワフル度・・8 正統派度・・8 総合・・7.5
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Infinity Overture 「Kingdom of Utopia」
デンマークのシンフォニックメタル、インフィニティ・オーバーチャーの2009年作
男女Voにシンセを含む6人編成で、その男性ヴォーカルはなんとELEGYで活躍したイアン・パリー。
シンフォニックなアレンジに、イアン・パリーのバワフルなヴォーカルを乗せた正統派のサウンドで、
ギターは随所にネオクラ風味のフレーズを奏で、ファンタジックで壮麗に物語的な世界観を描いてゆく。
女性Voメインの曲は1曲のみなので、本作ではほぼイアン・パリーの説得力ある歌声で支えていると言ってよいだろう。
シンフォニックメタルとしての雰囲気はよいので、あとはメロディのフックや楽曲そのものの質を上げていってもらいたい。
シンフォニック度・・8 疾走度・・6 重厚度・・7 総合・・7.5
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MARAUDER「1821」
ギリシャのメロディックメタル、マラウダーの1999年作
クサメロたっぷりのツインギターと野太いヴォーカルを乗せて疾走する、正統派のメロパワスタイル。
おそらくタイトルである年号から、ギリシャ独立戦争をテーマにしているのだろう、
エピックな勇壮さを感じさせる雰囲気もなかなかよろしい。ミドルテンポのナンバーは
Judas Priestなど古き良きヘヴィメタルの感触で楽しめたり、正統派メタル好きはにんまりだろう。
荒々しい野太いヴォーカルは好みをわけるところだろうが、叙情的な小曲を配置したりと、
アルバムとしてのドラマティックな流れもあって、パワフルなエピックメタルが楽しめる強力作だ。
ドラマティック度・・8 パワフル度・・8 正統派度・・8 総合・・7.5
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IDI BIHOTZ 「Amaigabe Berria」
スペインのメロディックメタル、イディ・ビオテズの2002年作
正統派のギターリフにマイルドなヴォーカルの歌声を乗せて疾走する、
初期Avalanchなどにも通じるスパニッシュなメロディック・スピードメタル。
スペイン語によるやわらかな歌メロのクサメロ感がなかなか心地よく、
サビでのキャッチーな爽快感には思わずニンマリなのである。
適度なB級感もよろしく、クサメロ&疾走が好きな方はチェックです!
メロディック度・・8 疾走度・・8 スパニッシュ度・・8 総合・・7.5
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2/19
ドゥーム、スラッジ、ストーナー三昧!(54)


Luciferian Light Orchestra
スウェーデンのヴィンテージハード、ルシフェリアン・ライト・オーケストラの2015年作
Therionのクリストフェル・ヨンソンによるプロジェクトで、アナログ感たっぷりのギターリフに、
浮遊感ある女性ヴォーカルの歌声を乗せた、古き良き空気感のヴィンテージロックサウンド。
楽曲は3~4分前後とシンプルであるが、オルガンを含むシンセやフルートの音色など、
曲によっては70'sプログレ的な味わいや、サイケロックやブルージーな感触とともに適度なノリの良さもある。
妖しくオカルティックな世界観に包まれた、PURSONBlood Ceremonyなどに通じる魔女系ロックの強力作。
セリオンのサウンドを期待すると肩透かしだろうが、サバスルーツのドゥームや女性声サイケなどが好きな方はぜひ。
ドラマティック度・・7 古き良き度・・8 魔女系ロック度・・9 総合・・8
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The Lion's Daughter 「Existence Is Horror」
アメリカのスラッジ・ブラックメタル、ライオンズ・ドウターの2016年作
ジャケからしてすでに妖しさぷんぷんだが、サウンドの方もなかなかすごい。
ドゥーミィな重厚さにブラックメタルの激しさを合わせた濃密な聴き心地で、
不穏なギターフレーズに咆哮するダ声ヴォーカルを乗せて、随所にブラスト疾走を含みつつ、
闇に包まれた空気とアヴァンギャルドなセンスで描かれる強力なサウンドが楽しめる。
楽曲自体は3~5分前後とわりと短いので、個人的にはもう少し壮大な大曲もあればと思うが、
スラッジ・系ブラックメタルとしては、Inter Armaをさらに激しくしたような力作である。
ドラマティック度・・8 暗黒度・・8 重厚度・・8 総合・・8
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MOTOROWL 「OM GENERATOR」
ドイツのドウームメタル、モトロウルの2016年作
シンセ奏者を含む5人編成で、アナログ感あるツインギターにジェントルなヴォーカルを乗せ、
オルガンが鳴り響く、70年代風味のドゥームと重厚なメタル感が合わさったスタイル。
全体的にレトロさよりもギターによるヘヴィネスを前に出した硬派な作風であるが、
オルガンの音色がほどよく硬質感を和らげ、随所にサイケ的な浮遊感も描いている。
アコースティックな小曲もはさみつつ、ザラついたストーナーロックの感触に、哀愁を含んだ
湿り気ある叙情性も感じさせる。うるさすぎないセンスの良さで今後も期待のバンドだ。
ドラマティック度・・7 ドゥーム度・・8 ストケでストーナー度・・8 総合・・8
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MONKEY3 「ASTRA SYMMETRY」
スイスのストーナー・サイケロック、モンキー3の2016年作
水、空気、土、火という四代元素をテーマに、それぞれ3曲ずつの楽曲で世界観を表現、
パーカッションが鳴り響き、詠唱のようなヴォーカルを乗せた浮遊感のある雰囲気は、
Third Ear Bandあたりに通じる、神秘的な妖しさに包まれている。一方ではヘヴィなベースと
うねるようなギターを乗せたストーナーロックとしての生々しいアンサンブルが現れて、
うっすらとしたシンセアレンジも含めた音の重ねで、スケール感あるサウンドを描いてゆく。
ミステリアスな空気感とエキセントリックなセンスが、インスト部分のスリリングな味わいになっていて、
プログレッシブな重厚さという点では、MINSKあたりにも通じるだろう。サイケなストーナーの強力作。
ドラマティック度・・8 重厚度・・8 ミステリアス度・・9 総合・・8
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MONKEY3「The 5th Sun」
スイスのストーナー・サイケロック、モンキー3の2013年作
本作はのっけから14分の大曲で、スペイシーなシンセアレンジに、わりと重厚なギターを乗せ、
サイケ的な浮遊感と古き良きメロディックなハードロックを合せたという聴き心地。
インスト中心であるが、ギターのメロウでブルージーな旋律はなかなか魅力的で、
重ためのアンサンブルとともにダイナミックなスケール感を描くセンスも見事。
アッパーな高揚感はHAWKWIND的でもあるが、一方ではメランコリックな叙情性も覗かせて
プログレ的でもあるメリハリのある構築力が味わえる。どっしりとした重さと知性と浮遊感が合わさった力作だ。
ドラマティック度・・8 重厚度・・8 ミステリアス度・・8 総合・・8
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Mortalicum 「Progress of Doom」
スウェーデンのドゥームメタル、モータリカムの2010年作
ヘヴィすぎないギターにマイルドなヴォーカルを乗せて聴かせる、古き良きスタイルのドゥームメタル。
Black Sabbathルーツの適度にロックなノリを含んだサウンドで、ツインギターのフレーズには
適度にヨーロピアンな湿り気を感じさせ、曲によってはキャッチーなメロディを乗せた疾走感もあって、
むしろ70年代的なハードロックとしても普通に楽しめたりする。3~4分台のシンプルなナンバーをメインに、
ラストは9分の大曲で、物悲しい叙情を含んだどっしりとしたドラマティックなドゥームナンバーで締めくくる。
ドゥームファンはもちろん、オールドなメタルが好きな方にもお薦めできる、サバス風味の強力作です。
ドラマティック度・・7 ドゥーム度・・7 古き良き度・・9 総合・・8
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Mortalicum 「Tears from the Grave」
スウェーデンのドゥームメタル、モータリカムの2014年作
今作ではG&Vo、B、Drのトリオ編成となったが、アナログ感あるギターリフとジェントルなヴォーカルを乗せ、
Black SabbathWitchfinder Generalなどをルーツにした古き良きドゥームメタルは前作同様。
70年代ロックのブルージーな感触に加え、ギターはときに叙情的なフレーズを奏でたりと、
北欧のバンドらしい適度に湿り気を含んだ空気感もよいですな。重すぎず、軽すぎず、
遅すぎず、速過ぎず、という程よいノリを含んだ楽曲は、ドゥーム初心者にも聴きやすいだろう。
6~11分という大曲を中心にした、本格派で正統派のドゥームメタルが味わえる力作だ。
ドラマティック度・・7 ドゥーム度・・8 古き良き度・・9 総合・・8
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Tombstoned
フィンランドのサイケ・ドゥーム、トゥームストーンドの2013年作
G&Vo、B、Drのトリオ編成で、アナログ感たっぷりのアンサンブルで聴かせるドゥームロック。
古き良きシンプルな味わいのギターリフにヨレ気味のヴォーカルを乗せたサイケな感触で
こもり気味の音質も含めて、いかにも70年代懐古主義的なひなびた味わいである。
やる気をいっさい感じないユルさが心地よいというか、この迫力のかけらもないダメっぷりに
勇気をもらうこと請け合いである。ヨレ系のサイケドゥームの模範のような脱力具合が見事。
ムダに重かったりするバンドよりはずっとよい。正直言うと、わりと好きです。
ドラマティック度・・6 トイケ・ドゥーム度・・8 ユル度・・9 総合・・7
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Moon Coven 「Amanita Kingdom」
スウェーデンのスラッジ/ドゥームメタル、ムーン・カヴンの2014年作
妖しげなジャケやバンド名がじつにいいのだが、サウンドの方もアナログ感あるギターリフに、
浮遊感あるヴォーカルを乗せた、正しくオールドスタイルなスラッジ/ドゥームメタル。
単調なリフの繰り返しが多く、楽曲自体にもこれというインパクトがないので、
個人的にはもう少し湿り気ある翳りや魔女めいた濃密な空気感が欲しいかな。
ギターのサウンドはいくぶん耳障りでノイジー。プリミティブでストレートなのはよいが、
音作りと楽曲の深みを描く表現力を磨いていって欲しい。単純なドゥームほど難しいのだ。
ドラマティック度・・7 ドゥーム度・・8 妖しさ度・・7 総合・・7
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New Keepers of the Water Towers 「Cosmic Child」
スウェーデンのサイケ・ドゥームメタル、ニュー・キーパーズ・オブ・ザ・ウォーター・タワーズの2013年作
基本は、ギター、ベース、ドラムのトリオ編成で、うねりのあるアンサンブルに重厚なギターを乗せて、
スペイシーなスケール感を描くサウンド。エフェクトのかかったヴォーカルが妖しい浮遊感をかもしだし、
ギターは随所にメロディックなフレーズを奏でたり、曲によってはアコースティックな牧歌性を含む
プログレッシブな雰囲気を感じさせる。10分前後の大曲も多く、気の短い方には向かないが、
適度なユルさにモダンな重厚さと知的な構築力を加えた、新世代のサイケ・ドゥームの力作だ。
ドラマティック度・・7 サイケ・ドゥーム度・・8 重厚度・・8 総合・・7.5
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RIPPER 「THIRD WITNESS」
アメリカのドゥームメタル、リッパーの2015年作
70年代から活動するバンドで、1986年に「...AND THE DEAD SHALL RISE」1作を残して消えたバンドが地味に復活。
本作は復活後2作目らしいが詳細は不明。サバスルーツのドゥーミィなギターリフと中音域のヴォーカルを乗せた
どんよりとした正統派のドゥームメタルサウンドで、カルトな怪しさも含んだいかにも80年代的な聴き心地。
レーベルがイタリアのBlack Widowということもあってか、ホラーな味わいの世界観がダークなドゥームメタルとマッチしている。
全体的にこれだというインパクトはないのだが、古き良きスタイルのカルトなメタル、ドゥームメタルがお好きな方はいかが。
ラストはBLACK SABBATH"Sabbath Bloody Sabbath"のカヴァーで、DEATH SSのSteve Sylvesterがゲスト参加している。
ドラマティック度・・7 ドゥーム度・・8 古き良き度・・8 総合・・7.5
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Horseback 「Invisible Mountain」
アメリカのスラッジ系サイケ・ポストメタル、ホースバックの2010年作
マルチプレイヤーJenks Millerによるソロプロジェクトで、サイケなうねりを感じさせるアンサンブルに
スラッジ系のヘヴィなギターとダミ声の唸り声を乗せた、怪しくミステリアスなサウンド。、
アナログ感に包まれたプリミティブな禍々しさと、モノトーンのような無機質な空気感が同居して
リフレインされる単調なフレーズによる殺伐としたトリップ感が、退屈ととるか心地よいととるかで
本作への評価が分かれるだろう。ときおりメロディらしきフレーズも出て来くるとずいぶん聴きやすくなる。
ラストは16分の大曲で、うっすらとしたシンセに包まれたアンビエントな叙情性が耳心地よい。
ドラマティック度・・7 ヘヴィ度・・8 リフレイン度・・8 総合・・7.5
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Sabbath Assembly 「Quaternity」
アメリカのゴシック・ドゥームメタル、サバス・アセンブリィの2014年作
HAMMER OF MISFORTUNEやWOLVES IN THE THRONE ROOMにも参加していた女性Voが在籍するユニット。
オルガンが鳴り響き、女性ヴォーカルの美しい歌声が妖しく包み込むインスト曲から弾きこまれるが、
続く2曲目は叙情的なギターの旋律にチェロやビオラの物悲しい響き、美しい女性声を乗せた
幻想的なネオフォーク風味の聴き心地にうっとり。サタンやルシファーなどをテーマにした、
カルトで秘術めいた世界観とゴシック的な耽美性が合わさった、神秘的なサウンドに浸れます。
ラストは黙示録の四人の御使いをテーマにした18分の大曲で、アコースティックな静謐感に
男性声の語りなどを含んだ厳かな空気感、女性ヴォーカルの妖しさが引き立つ異色のサウンドが楽しめます。
幻想度・・8 ミステリアス度・・9 女性Vo度・・8 総合・・8
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Silent Hill
イタリアのドゥームメタル、サイレント・ヒルの2008年作
重厚なギターリフにうっすらとしたシンセアレンジ、クセのあるハイトーンヴォーカルを乗せて聴かせる、
正統派のエピック・ドゥームメタル。スローテンポでもわりと手数の多いドラムがどっしりとアンサンブルを支え、
湿り気を含んだギターフレーズとともに、ダークな幻想性を描くような世界観がなかなか耳心地よい。
カイ・ハンセンみたいなヴォーカルがややミスマッチにも感じるが、むしろ正統派のメタラーには聴きやすいかも。
CANDLEMASSをルーツにした、ヨーロピアンな翳りと叙情性に包まれたエピック・ドゥームの力作です。
ドラマティック度・・8 正統派度・・8 重厚度・・8 総合・・8
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Floor「Oblation」
アメリカのドゥーム・ヘヴィロック、フロアーの2014年作
1992年に結成、ヘヴィロックにポップなキャッチーさを融合されたバンドとしてその後のバンドに大きな影響を与えた。
解散後、スティーヴ・ブルックスはトーチを結成するが、2010年にFloorとして再結成し、本作が10年ぶりの復活作となる。
サウンドは、ヘヴィでスローなギターリフが鳴り響く、どっしりとした本格派ドゥームメタルの質感に、
キャッチーなヴォーカルを乗せたモダンなヘヴィロック。ノイジーな轟音ギターとエフェクトのかかったヴォーカル、
随所にメロディックなフレーズを乗せた、アンバランスな味わいが面白く、恐ろしくヘヴィなのだがキャッチーという、
不思議な感覚が楽しめる。3分前後の小曲が中心なのだが、曲というよりリフと歌声の感触を味わうという感じなので、
長い曲だとかえって疲れてしまうかもしれない。重いのが好きな方には、普通に重量ドゥームとしても聴けます。
ドラマティック度・・7 ドゥーム度・・8 ヘヴィ度・・8 総合・・8
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2/5
2月になりました(39)


INTER ARMA 「Paradise Gallows」
アメリカのスラッジ系ブラックメタル、インター・アルマの2016年作
前作はサイケ、スラッジ、ブラックメタルを合わせたような濃密力作であったが、
本作もブラックメタルとしての暗黒性をスラッジ寄りのアプローチで表現したという重厚なサウンドを聴かせる。
ドローン気味に反復するギターリフに、低音のデスヴォイスが響き渡り、アナログ的な音質の絶妙なこもり具合も
ミステリアスで不穏な空気感をかもしだす。10分前後の大曲を多数含み、ドゥームメタル的なスローパートから
激しいブラックメタル要素まで、自然な緩急をつけながらスケール感ある構築力と知的なセンスを覗かせる。
曲によってはゆったりとした叙情性も含ませながら、じっくりと暗黒の美学を描くような力作である。
ドラマティック度・・8 重厚度・・8 ミステリアス度・・9 総合・・8
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TERRA TENEBROSA 「THE REVERSES」
スウェーデンのアヴァン・ブラックメタル、テラ・テネブロサの2016年作
ポストハードコアルーツの無機質な攻撃性と、闇の気配に包まれた神秘性で聴かせる、
エクスペリメンタルなサウンド。ブラックメタルらしいダミ声ヴォーカルにノイジーなギターリフ、
エフェクトがかったインダストリアルな感触で、不穏でアヴァンギャルドな世界を描きだす。
疾走する激しさというのはないので、むしろブラック風味のインダストリアルメタルというべきか。
ラストは16分の大曲で、延々と繰り返されるフレーズでトリップするような感覚を覚える。
ドラマティック度・・7 インダストリアル度・・8 暗黒度・・8 総合・・7.5
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Negura Bunget 「Tau」
ルーマニアのブラックメタル、ネグラ・バンゲットの2015年作
1996年デビューという、キャリアのあるバンドで、フルートを含んだ妖しげなイントロに続き、曲が始まると、
重厚なギターリフを乗せたブラックメタル的な激しさと、緩急ある展開とともに、土着的な神秘性を描くような
ミステリアスな空気感に包まれる。ヴォーカルは低音のデスヴォイスであるが、随所にノーマル声のコーラスが勇壮に絡み、
北欧ブラックメタル風でもある涼やかな空気をまとわせる。ときにシンフォニックなシンセアレンジが加わると、
いわば「Dimmu Borgirの辺境版」という味わいにもなったりする。暴虐さはさほどないので、激しいブラックが苦手な方や、
プログレッシブなブラックが好きな方にも対応。知的な構築力とペイガンブラックの辺境性を融合させた強力作である。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・7 ミステリアス度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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DARK FOREST 「Beyond the Veil」
ドイツのエピックメタル、ダーク・フォレストの2016年作
2009年にデビューしてから本作は4作目となる。ファンタジックなジャケから目を引くが、
サウンドはツインギターの叙情フレーズと、マイルドなヴォーカルを乗せて聴かせる正統派。
イタリアのMARTIRIAADRAMELCHなどにも通じる適度なマイナー臭さを漂わせつつ、
ヘヴィすぎない耳心地の良さとメロディアス性で、ヨーロピアンなエピックメタルが味わえる。
わりとキャッチーであっても、爽快になりきらない湿り気を含んだ叙情性がよいですな。
曲によっては、Wuthering Heightsにも通じるようなケルティック寄りの土着性も感じさせる。
ラストは13分の大曲で、壮大な叙情性とともにドラマティックな世界観を描き出す。
メロディック度・・8 古き良き度・・8 エピック度・・8 総合・・8
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SCARBLADE 「The Cosmic Wrath」
スウェーデンのメタルバンド、スカーブレードの2016年作
ギリシャ人女性シンガーを擁するバンドで、元々はRUTHLESS STEELという名前で活動していたらしいが、
バンド名を変更しての1作目。ハスキーな女性ヴォーカルと古き良きギターリフで聴かせる正統派のメタルサウンドで、
紅一点Aliki嬢の歌声は、美しい外見に似合わずなかなかパワフルで、DoroSister Sinあたりに通じる雰囲気もある。
ヘヴィすぎない適度なスカスカ感も、80~90年代的でオールドなメタルファンなら耳心地よく楽しめるだろう。
4~5分前後の楽曲はわりとシンプルで、もう少しメロディのフックなり、妖しい空気感があればよいのだが。
メロディック度・・7 正統派度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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Huntress 「Static」
アメリカのメタルバンド、ハントレスの2015年作
妖しき美女Vo、ジル・ジェイナス嬢擁するこのバンド、3作目となる本作は、正統派メタルに接近した前作の流れを受けつつ
古き良き感触のギターリフに、ハスキーな彼女のヴォーカルを乗せた、適度にスラッシーでカルトなメタルサウンド。
ヘヴィ過ぎない音作りも含めて80~90年代のローカルな感触も漂わせる、シアトリカルなハイトーンという点では
いわば「女性版King Diamond」というような雰囲気もあって、8分を超える大曲などはなかなかドラマティック。
全体的にはインパクトのあるナンバーがもう少し欲しい気もするが、この古き良きメタル路線を守りつつ、
もっと魔女めいたダークな妖しさを前面に出していって欲しい。おっぱい美女を従えたブックレットはある意味必見。
ドラマティック度・・7 正統派度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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Lord Fist 「Green Eyleen」
フィンランドのメタルバンド、ロード・フィストの2015年作
ジャケの雰囲気やイカれたバンド名通り、サウンドの方も80年代を思わせる古き良きB級メタルで、
ツインギターのリフと力強くないヴォーカルを乗せて疾走する、正統派のNWOBHM的な聴き心地。
ヘヴィ過ぎない適度なスカスカ感も良い感じでなのだが、湿り気を含んだギターフレーズとともに
エピックな世界観も匂わせるあたりで、この手のマイナー正統派好きにはたまらないかもしれない。
楽曲は3~4分前後が中心で、いたってシンプルであるが、むしろ今の時代にこの潔いまでの
オールドメタル愛にはニヤニヤニとしてしまう。EnforcerあたりよりさらにB級寄りなのだが、
古き良きダサ恰好いいメタルが好きならば、このバンドのサウンドを嫌いになれるはずはない。
ドラマティック度・・7 古き良き度・・8 このB級メタル度・・9 総合・・7.5
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Corsair
アメリカのハードロック、コルサイアーの2013年作
女性ギタリストを含むツインギター編成で、80年代ルーツのオールドスタイルのHR/HMサウンド。
ヘヴィすぎないギターリフにときにブルージーな旋律や、ツインリードのフレーズを織り込んだ
哀愁を感じさせる古き良き叙情性に、ストーナーロック的なアナログ感あるアンサンブル。
ジェントルなヴォーカルの歌声を乗せた感触は、THIN LIZZYを思わせる雰囲気もあり、
適度な音の薄さも含めて、確信犯的なヴィンテージなハードロックサウンドである。
シンプルながら枯れた味わいと、耳心地の良いツインギターが楽しめる好作品だ。
ラスト曲ではギタリストの女性が歌っていて、この女性声のしっとり路線も拡大するといいかも。
ドラマテイック度・・7 ツインギター度・・8 古き良きHR度・・9 総合・・7.5
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DEVIN TOWNSEND PROJECT 「ZILTOID - DARK MATTERS」
鬼才、デヴィン・タウンゼンドによるプロジェクトの2014年作
2枚組でリリースされた「Z2」のDisc2にあたる作品の単品リリースで、2007年作の続編ともいうべき、
SFコメディタッチのストーリーで描かれるメタルオペラ的な作品。随所に映画的なナレーションを含んで、
メタリックな重厚さとシンセアレンジと壮麗なコーラスによるシンフォニック性、スペイシーな神秘性に
知的な展開力で構築される楽曲は、プログレッシブでアーティスティックなセンスを感じさせる。
激しい疾走パートも織り込みつつ、アネク・ヴァン・ガースバーゲンが参加し、女性ヴォーカルを乗せた
美麗なシンフォニックメタルパートもあったりと、起伏に富んだドラマ性で濃密な味わいが楽しめる。
ドラマティック度・・8 SF度・・8 壮大度・・9 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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MENACE 「Impact Velocity」
イギリスのエクスペリメンタル系メタル、メナスの2014年作
NAPALM DEATHのミック・ハリスを中心にしたプロジェクトバンドで、わりと正統派のモダンメタルに
知的な構築センスとスペイシーな世界観を加えた、Devin Townsendなどを思わせるサウンド。
楽曲自体は3~4分前後とコンパクトであるが、キャッチーなコーラスなどを含むメロディックな感触に、
シンフォニックなシンセアレンジなども加わって、近未来的でスケール感のある聴き心地である。
スペイシーなメタルという点では近年のARCTURUSあたりにも通じるが、よりクールでスタイリッシュ、
そしてインダストリアルな味わいだ。アルバム後半には激しいブラスト疾走するナンバーもあり、
むしろ、デスメタル色を取り入れたこの路線にした方が、より濃密な仕上がりなる気もする。
ドラマティック度・・8 スペイシー度・・8 モダンメタル度・・8 総合・・7.5
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Votum 「Harvest Moon」
ポーランドのプログレメタル、ヴォータムの2013年作
2008年にデビュー、Riversideを思わせる翳りある世界観のサウンドで、過去2作も高品質な出来だったが、
3作目となる本作も、メロウなギターにマイルドなヴォーカルを乗せて、繊細な叙情を描くサウンド。
適度にモダンな重厚さと激しさを含みながら、メリハリのある展開力と知的な構築センスで、
ドラマティックに聴かせるクオリティの高さはさすがで、アコースティックな叙情パートや、
ポストプログレ的な繊細なヴォーカルパートなども織り込み、緩急のあるアレンジも見事である。
Porcupine Treee系のリスナーなどにも対応した、モダン・プログレメタルの力作である。
ドラマティック度・・8 薄暗度・・8 構築センス・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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CRISALIDA 「Terra Ancestral」
チリのプログレメタル、クリサリダの2015年作
2006年にデビューしてから、本作は4作目となる。ツインギターのメタリックなリフと、
うっすらとしたシンセアレンジに、スペイン語の女性ヴォーカルを乗せた重厚なサウンド。
適度にテクニカルな展開力と南米らしい繊細な叙情性も含みつつ、過去のアルバムに比べると
ゴシックメタル的なメランコリックな空気感とモダンなヘヴィネスがずいぶん増している。
スローからミドルテンポのナンバーを主体にしたどっしりとしたアンサンブルで、
女性声による優雅な浮遊感と薄暗い叙情に包まれたサウンドが楽しめる。
ドラマティック度・・7 むしろゴシックメタル度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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El Cuervo De Poe 「Vox Corvus」
メキシコのゴシックメタル、エル・キュエルヴォ・デ・ポーの2008年作
女性Voにヴァイオリン奏者を含む編成で、ソプラノ女性ヴォーカルの美しい歌声に、
クラシカルなヴァイオリンの音色とヘヴィなギターが合わさり、優雅な世界観を描くサウンド。
シンセ奏者がいないので、シンフォニックな聴き心地は薄いのだが、その分武骨なギターリフと
ヴァイオリンの響きがコントラストになっていて、辺境的で不思議な味わいとなっている。
曲によってはヴォーカル嬢がエキセントリックに叫んだりして、アヴァンギャルドなセンスも垣間見せる。
音質のせいか重厚な迫力がさほどないので、Dreams of SanityあたりをややB級にしたという感じで
メタルが苦手な方にも楽しめるかもしれない。ヴァイオリン入りクラシカル・ゴシックの好作品。
クラシカル度・・8 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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Imperio 「Latidoamerica」
アルゼンチンのメタルバンド、インペリオの2010年作
2000年のアルバムを最後に、主要メンバーはRENACERに移行して、このバンドは解散したのだが、
本作は10年ぶりとなる復活作。ツインギターのリフにスペイン語のヴォーカルを乗せて、
パワフルに疾走する正統派のメロパワサウンド。かつてのようにシンフォニックなアレンジが薄まった分、
よりシンプルな力強さが前に出ているが、一方ではサビにおける爽快なメロディアス性は
クサメタルファンにも十分アピールするもので、南米らしい濃密さという点でも聴きごたえ十分だ。
間奏部での流麗なツインリードを聴かせるギターの力量もなかなかのもの。復活作にしてバンドの最高傑作。
メロディック度・・8 正統派度・・8 濃密度・・8 総合・・8




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冬のメタル三昧(25)


ALMANAC「TSAR」
元RAGEのヴィクター・スモールスキによるプロジェクト、アルマナックの2016年作
Lingua Mortis Orchestraを引き継いだというべき、オーケストラ入りのメタルオペラというスタイルで、
バルセロナ・フィルハーモニアオーケストラと、女性Vo、ジャネット・マルヒェフカもLMOから引き続き参加。
Pink Cream 69のデイヴィッド・リードマン、BRAINSTORMのアンディ・B・フランクなどがヴォーカルで参加し、
男女ヴォーカルとオーケストレーションをまじえて、スケール感のある正統派メタルサウンドを描いてゆく。
厚みのあるコーラスなどを含んだ壮大な雰囲気は、レイジというよりはむしろブラガー的な感触で、
随所にパワフルな疾走感やテクニカルなギタープレイも盛り込んだ濃密な聴き心地が楽しめる。
個人的にはもう少しクサメロ感があると嬉しいのだが、ヴィクターのファンであればとても楽しめる力作だろう。
ドラマティック度・・8 重厚度・・8 壮大度・・8 総合・・8
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Beyond the Black 「Lost in Forever」
ドイツのシンフォニックメタル、ビヨンド・ザ・ブラックの2016年作
ツインギターにシンセを含む6人編成で、壮麗なアレンジに女性ヴォーカルの歌声を乗せ、
キャッチーなメロディアス性と、いくぶんゴシック寄りの翳りを含んだ高品質なサウンドは前作同様。
ときにテクニカルなギターフレーズも覗かせつつ、ヘヴィ過ぎない音作りにはバンドとしてのセンスを感じさせ、
男性ヴォーカルの絡みもあくまでオマケ程度なので、フィメールヴォーカル好きも安心だ。
紅一点、ジェニファー嬢の歌声は、まっすぐな歌い方で、なかなかメジャーな雰囲気も漂わせていて、
しっとりとしたバラードからシンフォニックなナンバーまで、どれにもよくマッチしている。
楽曲にはわりと王道のハードロック要素も感じられ、モダンになり過ぎないバランス感覚も絶妙だ。
あとは決定打となるようなキラーチューンや、ドラマティックな壮大さが加わればさらに傑作を作り出しそう。
シンフォニック度・・8 高品質度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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VISIONS OF ATLANTIS 「Old Routes-new Waters」
オーストリアのシンフォニックメタル、ヴィジョンズ・オブ・アトランティスの2016年作
2002年にデビュー、これまでに5作のアルバムを出しているが、本作は過去曲を再録音したミニアルバム。
美しいソプラノヴォーカルに男性ヴォーカルが絡んで、キャッチーで美麗なシンフォニックメタルを聴かせる。
新たに加入したクレメンティーネ嬢の歌声は清楚な美しさで、オペラティックな優美さがよい感じですな。
ただセレクトされた過去曲が抜群に出来が良いわけでもなく、新録のわりにはさして音がゴージャスでもないという、
なんとなく煮え切らなさを感じてしまう。これなら新曲のEPを出してくれた方が良かったような気も…
だがともかく、新たに美声の歌姫を得てのバンドの次回作には大いに期待したい。
シンフォニック度・・8 楽曲度・・7 女性Vo度・・8 総合・・7.5 過去作のレビューはこちら
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Andem (Андем) 「Eternity (Вечность) 」
ロシアのメロディックメタル、アンデムの2015年作
女性Voに女性シンセ奏者を含む6人編成で、2013年作収録のタイトルトラックに、新曲2曲を加え、
さらには2011年のミニアルバム収録曲4曲、アコースティックバージョンなどを収録した企画アルバム。
きらびやかなシンセアレンジに、適度にヘヴィなギター、そしてロシア語の女性ヴォーカルで聴かせる、
わりとモダンでキャッチーなサウンド。楽曲はすべて3~4分台とわりとシンプルな聴き心地で、
もう少しシンフォニックな大仰さが欲しい気もするが、万人受けしそうなメロディアスハードな雰囲気である。
ヴァイオリン入りのアコースティックアレンジ曲や、EP収録曲のクサメロ感もなかなかよい。次のフルアルバムに期待。
メロディック度・・8 シンフォニック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・7
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WINTERHYMN 「Blood & Shadow」
アメリカのペイガンデスメタル、ウインターヒムの2016年作
女性シンセ奏者、女性ヴァイオリンを含む6人編成で、美麗なシンセアレンジにヴァイオリンが鳴り響き、
男性ダミ声ヴォーカルを乗せて聴かせる、壮麗な世界観のペイガン・メロデスサウンド。
楽曲は3~4分前後とわりとシンプルで、ミドルテンポを主体にしつつ、激しい疾走パートも織り込んで
いくぶんマイナー臭さを漂わせた煮え切らない雰囲気なども、わりと味わいになっている。
エピックなファンタジー性も感じられて、ここに女性声でも加わったら、より楽しめると思うのだが。
艶やかなヴァイオリンの音色は耳心地良く、個人的にはこのクラシカルな優雅さはとても好みである。
ドラマティック度・・8 ペイガン度・・7 ヴァイオリン度・・8 総合・・8
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DVALIN 「Aus Dem Schatten」
ドイツのフォークメタル、ドヴァリンの2016年作
ツインギターにシンセ、バグパイプ&ハーディ・ガーディ奏者を含む7人編成で、
ヘヴィなギターリフにバグパイプの音色が重なり、低音デスヴォーカルを乗せて疾走する、
激しめのフォーク・デスメタルというサウンド。ギターリフにはメロデス的な硬質感もあって、
ヘヴィでスラッシーな感触と牧歌的なフォーク要素のコントラストがなかなか面白い味わいだ。
ヴォーカルはドイツ語で歌っているようだが、デス声なのでよく分からないという。笑
アコーディオン的なシンセの音色に素朴なハーディ・ガーディの響きは、わりと本格派のフォーク風味で
曲によってはここまでデスメタル寄りにしなくてもいい気もするのだが、ともかく重厚な硬派のフォークメタルデス。
ドラマティック度・・7 激しく重厚度・・8 フォーキー度・・7 総合・・7.5
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OBSCURITY 「Vintar」
ドイツのペイガンデスメタル、オブスキュリティーの2014年作
90年代から活動するバンドで、本作がすでに7作目となる。ツインギターのリフとダミ声ヴォーカルを乗せ
激しい疾走感で聴かせるメロディックデスメタル的なスタイル。AMON AMARTHなどに通じるエピックな雰囲気と
ドイツ語による低音グロウル&ダミ声という、男性ツイン・デスヴォーカル的な迫力を含んだ重厚な聴き心地。
ときにトレモロのギターリフを乗せて疾走するブラックメタル的な感触に、リズムチェンジを含んだ展開力や
メロディックなフックもありつつ、全体的には甘すぎない硬派なペイガン・デスメタルサウンドを描いている。
個人的にはもう少しメロディックだったり、勇壮な雰囲気があると嬉しいのだが。クオリティは高いデス。
ドラマティック度・・7 重厚度・・8 ペイガン度・・7 総合・・7.5
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AEVERIUM 「Break Out」
ドイツのゴシックメタル、アヴェリウムの2015年作
男女Voにシンセを含む6人編成で、モダンなヘヴィネスとシンフォニックなアレンジに
男女ヴォーカルの歌声を乗せた、Lacuna Coil風でもあるゴシック・ヘヴィロックというサウンド。
スクリーモ的な男性ヴォーカルとキュートな女性声のコントラストはよいのだが、
サウンド的にはインダストリアルなモダンさが前に出ていて、ゴシック的な叙情性というよりは
モダンなシンフォニックメタルというべきか。紅一点、Aeva嬢の歌声はときにオペラティックで、
優美な表現力もなかなか素晴らしい。女性声メインのラスト曲などはとてもいい感じなので、
いっそスクリーモな要素を減らして、美麗系シンフォニックメタルになれば、もっと人気が出そう。
シンフォニック度・・8 モダンヘヴィ度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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DARKYRA BLACK 「Fool」
オーストラリアのゴシックメタル、ダーキラ・ブラックの2015年作
女性シンガーによるソロユニットで、演奏陣はすべてゲストのようだが、サウンドの方はシンフォニックなアレンジと
女性ヴォーカルで聴かせる正統派のゴシックメタル。ダーキラ嬢の歌声は、中音域からソプラノまでなかなか美しく、
適度にヘヴィなギターにモダンなアレジも含みつつ、わりとキャッチーな聴き心地で、艶めいた耽美さはあっても、
全体的にダークな感じはさほどない。その反面、ゴシックというには少しモダンだし、さりとてメロディのフックという点では
どうも煮え切らないという。アレンジの詰めの甘さを含めてマイナーな自主制作感が出てしまっている。
ストリングスなどが加わったクラシカルな美しさはなかなか魅力的なので、この辺りをさらに伸ばしていってもらいたい。
ドラマティック度・・7 ゴシック度・・7 女性Vo度・・7 総合・・7
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Gormathon 「Following the Beast」
フィンランドのメロディック・デスメタル、ゴルマソーンの2014年作
ツインギターの硬質なリフと低音のデスヴォイスを乗せた、どっしりとした聴き心地のサウンド。
ミドルテンポを主体に、随所に叙情的なギターフレーズやクリーンヴォーカルも含んだ
メランコリックな味わいはいかにもフィンランド的である。楽曲は3~4分台中心でわりとシンプルで、
激しい疾走というのもないので暴虐性が薄い分、メロデスというには物足りなさもあるかもしれないが、
むしろゴシックとデスの中間という重厚な味わいというべきか。アルバム中盤には疾走するパートもあり、
AMON AMARTHあたりに通じるエピックな雰囲気は悪くないので、その路線でいった方が受けは良いように思う。
ドラマティック度・・7 重厚度・・8 楽曲・・7 総合・・7
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METHOD 「Abstract」
韓国のメロディックデスメタル、メソッドの2015年作
スラッシーなギターリフとダミ声ヴォーカルを乗せて疾走するオールドスタイルのサウンドで、
かつてのAT THE GATESを思わせる、甘すぎないメロディアス性を乗せたスタイルだ。
サウンドプロダクションの軽さも含めて、90年代風味のアナログ感に包まれた聴き心地で、
ときに初期のIN FLAMESのようなツインギターの叙情フレーズも覗かせる。
全体的にはこれという新しさというはないのだが、重すぎない聴きやすさは好感が持てるし、
オールドなメロデス、デスラッシュが好きならとても楽しめると思う。
ドラマティック度・・7 疾走度・・8 デスラッシュ風度・・8 総合・・7.5
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Beggars & Thieves 「We Are the Brokenhearted」
アメリカのメロディアスハード、ベガーズ・アンジ・シーブスの2011年作
90年代に元オジー・オズボーン・バンドのフィル・スーザンを中心に結成されたバンドの12年ぶりの復活作。
現在は、ルイ・マリーノ、ロニー・マンキューソによる二人組ユニットとして活動していて、サウンドは
マイルドなヴォーカルとメロウなギターワークを乗せた、古き良き感触の正統派ハードロック。
楽曲にはこれといって新鮮味はないものの、じっくりと聴かせる耳心地の良さと、枯れた味わいは、
どこかなつかしい感じがする。うっすらとしたシンセアレンジに泣きのギターが重なる、
日本人好みのウェットな叙情性もよいですね。全体的にもクオリティの高い好作品です。
メロディック度・・8 古き良きHR度・・8 大人の叙情度・・9 総合・・8
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METHODICA 「Searching for Reflections」
イタリアのプログレメタル、メソディカの2008年作
シンセを含む5人編成で、モダンな硬質感とテクニカル性に、ハイトーンヴォーカルを乗せた、
キャッチーなメロディアスが合わさったProgMetalサウンド。オルガンなどを含んだ多彩なシンセワークは
ときにプログレ的でもあり、イタリアらしい濃密な感触とモダンなヘヴィネスも適度に感じさせる。
ほとんどの曲が10分以上で、随所にテクニカルなインストパートを盛り込みながら、起伏のある展開力で構築する。
サビでのキャッチーな抜けの良さや、女性ヴォーカルが加わったシンフォニックな小曲など、アルバムとしてのメリハリもあり
なかなかの力作と言えるだろう。あとは楽曲における細かなアレンジの質を向上させて欲しい。
ドラマティック度・・8 テクニカル度・・7 楽曲・・7 総合・・7
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今年もメタルでよろしくお願いします!(12)


TEMPERANCE 「The Earth Embrace Us All」
イタリアの女性Voシンフォニックメタル、テンペランスの2016年作
前作はAMARANTHEやNIGHTWISHなどにも通じる好作であったが、2作目となる本作も美麗なシンセアレンジに
適度にヘヴィなギターと伸びやかな女性ヴォーカルの歌声を乗せた、モダンなシンフォニックメタルを聴かせる。
スタイリッシュな硬質感とキャッチーなメロディアス性を同居させつつ、ヴァイオリンやピアノなどを含んだクラシカルな質感は
EPICAあたりを思わせるような部分もある。紅一点、Chiara嬢の歌声は、キュートな若々しさをサウンドにもたらしていて、
上記したバンドたちに比べると全体的に陽性の雰囲気が強いので、メタル初心者などにもとっつき安いと思われる。
反面、このバンドならではの突き抜けた個性というものはまだ薄いので、今後の方向性をどうしてゆくのかが気になる。
シンフォニック度・・8 モダンでスタイリッシュ度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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HAMMERS OF MISFORTUNE 「DEAD REVOLUTION」
アメリカのサイケメタル、ハマーズ・オブ・ミスフォーチュンの2016年作
2001年にデビュー、本作は5年ぶりとなる7作目。なにやら怪しげなジャケが目を引くが、
サウンドの方は、1曲目からドコドコのドラムにオールドメタルなギターリフを乗せた、
80年代風味のNWOBHM的でもある聴き心地に、サイケ的な浮遊感が合わさった感触。
オルガンが鳴り響き、パワフル過ぎない男性ヴォーカルに女性コーラスが絡み、
サイケでドゥーム感のあるエピックメタルというような、なかなか不思議な味わいだ。
前作までのプログレ的な要素は薄まったが、代わりに確信犯的なオールドスタイルのメタル色を強め、
このカルトなアナログ感に溢れた作風を楽しめる方には、とても魅力的なバンドとなるに違いない。
ドラマティック度・・7 古き良きメタル度・・9 サイケでエピック度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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Ayreon 「The Theater Equation」
アルイエン・ルカッセンによるロックオペラ・プロジェクト、エイリオンのライブ作品。2016年作
1996年の1作目から20年目で、AYREON名義としてちょうど10作目となる。本作は2004年作「Human Equation」を再現する
2CD+DVDのライブ作品で、大がかりなステージ上で演劇的なドラマ性を描きながら壮大なロックオペラが繰り広げられる。
主人公であるジェイムス・ラブリエ(Dream Theater)をはじめ、マルセラ・ボヴィオ(Stream of Passion)、アネン・ヴァン・ガースバーゲン、
イレーネ・ヤンセン、ヘザー・フィンドレイ(元Mostly Autumn)、マグナス・エクウォール(The Quill)、マイク・ミルズ(TOEHIDER)、
デヴォン・グレイヴス(Psychotic Waltz~Deadsoul Tribe)、Jermain van der Bogt(Wudstik)など、10人の男女ヴォーカル(アクター)が参加
配役ごとにそれぞれの歌声を響かせる。演奏陣はツインギター、ツインシンセに、ヴァイオリン、チェロ、フルート奏者も含んだ編成で、
ときにメタリックに、ときにシンフォニックに雄大なサウンドを構築する。CDで音だけを聴くよりも、やはりDVDで各キャストの演技や表情を見ながら、
華やかな映像とともに味わうべき作品だろう。これだけのメンバーを集めて、壮大なロックオペラのライブを完成させたその偉業に拍手を贈りたい。
ドラマティック度・・9 壮大度・・9 ライブ映像・・9 総合・・8.5 過去作のレビューはこちら
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ENTOMBED A.D. 「Dead Dawn」
スウェーデンのデスメタル、エントゥームドA.D.の2016年作
1990年にデビュー、スウェディッシュ・デスメタルを代表するバンドとして、2007年までに9作のアルバムを残したのちに
ギターのアレックス・ヘリッドとその他のメンバーが分裂する。アレックスを除くメンバーで新たにENTOMBED A.D.を立ち上げ、
本作はその2作目となる。ツインギターのリフと吐き捨てヴォーカルを乗せて疾走する、オールドスタイルのサウンドで
ヘヴィすぎないややこもり気味の音作りも含めて、いかにも80~90年代的な空気感である。楽曲は3~4分台中心で、
シンプルな突進力とともにスウェディッシュらしいウェットな感触が合わさった、古き良きデスメタルが楽しめる。
スラッシーな疾走ナンバーはもちろん、ミドルテンポのデスロール的なナンバーも、ベテランらしい音の説得力がさすがである。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・7 古き良きデス度・・9 総合・・8
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HIGHLORD 「Hic Sunt Leones」
イタリアのメロディックメタル、ハイロードの2016年作
1999年デビューで、イタリアンメタル勢の中ではすでにベテランの部類となるバンド。
8作目となる本作はシンフォニックなイントロで幕を開け、壮麗なアレンジにハイトーンヴォーカルを乗せ、
メロディックな感触と、ときにデス声も含んだモダンなアグレッシブ性で聴かせる重厚なサウンドだ。
随所に疾走するパートもありつつ、クサメロ感や魅力的なメロディのフックが薄いのでインパクトは弱く、
サウンドプロダクションの甘さもあって、相変わらず適度にB級感をかもしだしているのもご愛敬か。
このままでは永遠のマイナーバンドで終わりそう。そろそろ決定的な作品を作ってもらいたい。
ゲストヴォーカルにTherionのリネア・ヴィクストロム、Spiritual Beggarsのアポロが参加している。
ドラマティック度・・7 重厚度・・8 楽曲・・7 総合・・7.5 過去作のレビューはこちら
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MYSTIC PROPHECY 「WAR BRIGADE」
ドイツのメタルバンド、ミスティック・プロフェシーの2016年作
2001年にデビューしたから、頑固一徹正統派のメロパワ路線を突き進むこのバンド。
9作目となる本作もツインギターにパワフルなヴォーカルを乗せた、どっしりとしたメタルサウンドで、
キャリアのあるバンドらしい重厚な音作りが素晴らしい。楽曲は3~4分前後で、シンプルかつ明快ながら、
随所にメロディックな叙情性を含ませた聴き心地は、かつてのDREAM EVIL的でもあるだろう。
ミドルテンポを主体にした楽曲は、JUDAS PRIESTのようなオールドなメタル感触もありつつ、
目新しさはないのにちゃんと恰好いいという、ギターリフを含めた説得力あるサウンドが見事だ。
メロディック度・・8 パワフル度・・9 正統派度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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CRY OF DAWN
ヨラン・エドマン率いるメロディアスハードロック、クライ・オブ・ドーンの2016年作
きらびやかなシンセとヨラン・エドマンの伸びやかな歌声を乗せて聴かせる、爽快なメロディアスハードロック。
北欧らしい涼やかでキャッチーなメロディアス性に、表現力ある歌声が合わさった、まさに北欧メロハーの王道。
マイケル・パレス(PALACE)のギターも随所にテクニカルなプレイを覗かせる様式美感を出していてよい感じだし、
ドラムはMINDS EYEなどに参加したダニエル・フローレスで、安定した演奏と歌唱力とメロディのフックが一体となり、
これという新しさはないのだが、クオリティの高さで最後まで楽しめてしまう。どことなく90年代的な空気感にもにやり。
メロディック度・・8 キャッチー度・・8 北欧メロハー度・・9 総合・・8
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The Fractured Dimension 「Galaxy Mechanics」
アメリカのテクニカル・プログレメタル、フラクチャード・ディメンションの2015年作
シンセ、ベース、ドラムのトリオ編成を軸に、本作では多数のギタリストを迎えて作られたアルバム。
ドラムには、OBSCURA、BLOTTED SCIENCEなどに参加したハンス・グロースマンを新たに迎え、
ゲストギタリストにはOBSCURAの2人に、U-Z PROJECT、UKZのアレックス・マカチェクなどが参加。
前作の軽妙な作風を受け継いで、フログレ的なシンセアレンジとメタリックなギタープレイが融合した、
一種、シンフォニック感のあるテクニカルメタルが繰り広げられる。オールインストであるが、
美麗なシンセとメロディの流れがある分聴きやすく、PLANET X的なフュージョンメタルとしても楽しめる。
艶やかなヴァイオリンが鳴り響くナンバーなど、前作以上に優雅でメリハリのある力作に仕上がっている。
ドラマティック度・・7 テクニカル度・・8 軽妙で優雅度・・8 総合・・8
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Iced Earth 「Plagues of Babylon」
アメリカのパワーメタルバンド、アイスド・アースの2014年作
90年代初等から活動するベテランバンド、本作はおそらく11作目のアルバム。
硬質なギターリフとパワフルなヴォーカルを乗せた正統派メタルは、デビューから20年以上経ても健在。
ややスラッシーなリフの感触とともにダークな世界観と、コンセプト的なドラマ性に包まれた聴き心地で、
ベテランらしいどっしりとした音の説得力はさすが。今回はドラムはサポートメンバーのようだが、
安定感のあるプレイで重厚なサウンドを支えている。BLIND GUARDIANを思わせるエピックなコーラスなど、
物語的なスケール感を正統派のヘヴィメタルで描く力量というのは、このバンドならではだろう。
楽曲自体にはこれという新鮮味はないが、揺るがぬパワーが込められたこれぞヘヴィメタルという力作だ。
ドラマティック度・・8 正統派度・・8 重厚度・・9 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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The BARQUE OF DANTE 「Lasting Forever」
中国のシンフォニックメタル、バルケ・オブ・ダンテ(但丁之舟)の2013年作
前作はなかなかの本格派シンフォニックメタルであったが、4年ぶりの2作目となる本作では、
スイス人の男性ヴォーカルが加入し、ネオクラ風味のギターを乗せて疾走する正統派メロパワなサウンド。
前作にあったややイモ臭いアジアンなクサメロ感が薄れていて、楽曲そのものもまとまりが良くなった分、
悪く言うと普通の印象になったかもしれない。ヴォーカルの力量も可もなく不可もなくという程度なので、
欧米のB級メロパワ勢とあまり変わり映えしない。アジアンな旋律を覗かせたり、シンフォニックなアレンジに、
女性ヴォーカルが加わったバラード曲なども美しく、10分を超える大曲も含んだなかなかの力作ではある。
シンフォニック度・・7 疾走度・・7 クサメロ度・・7 総合・・7.5
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Burning Black 「Prisoners of Steel」
イタリアのメタルバンド、バーニング・ブラックの2008年作
ツインギターのリフとハイトーンヴォーカルを乗せた、80年代を思わせるメタルサウンド。
適度な疾走感もありつつヘヴィになりずきないところが、B級気味のオールドスタイルの感触で
NWOBTMのど真ん中という聴き心地。一方ではうっすらとしたシンセアレンジを含んだキャッチーな感触もあり、
ツインギターによるメロディックな味わいもあるところは、90年代のジャーマンメタル的というべきか。
これというような新鮮さはないのだが、古臭いだけでなく適度にウェットな聴き心地がイタリアのバンドらしい。
メロディック度・・7 正統派度・・8 古き良き・・8 総合・・7.5
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On Thorns I Lay 「Eternal Silence」
ギリシャのゴシックメタルバンド、オン・ソーンズ・アイ・レイの2015年
90年代から活動するバンドで、2003年作以来、なんと12年ぶりとなる復活作。
メンバーは若干替わっているいるようだが、翳りを含んだサウンドは初期の頃に戻った感触で、
重厚なギターに艶やかなヴァイオリンの音色が絡み、男性デス声と女性ヴォーカルを乗せて、
メランコリックな世界観を描いてゆく。これという目新しさはないが、むしろ90年代に戻ったような
これぞ王道のゴシックメタルというべき聴き心地である。ただ、インストの小曲を3曲含んで、
全36分というのがやや物足りないか。あとは楽曲そのものの魅力ををさらに高めてもらいたい。
メロディック度・・7 ゴシック度・・8 重厚度・・8 総合・・7.5 過去作のレビューはこちら
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