メタルCDレビュー
~HEAVY METAL CD REVIEW 2016  by 緑川 とうせい

★2016年に聴いたメタルCDのレビュー(過去6カ月以内のものです)
*過去のレビューはCDレビューTOPから各ジャンル別に見られます

*プログレ最新レビュー *注目の新譜コーナー


6/11
梅雨入り前の蒸し暑さ(225)


Hounds of Hasselvander 「Ancient Rocks」
アメリカのドゥームメタル、ハウンズ・オブ・ハッセルヴァンダーの2016年作
PENTAGRAM、RAVENのドラマーJoe Hasselvanderと、ベースのMartin Swaneyを中心にしたバンドで、
なにやらホラー映画まがいのイントロから、古き良き感触のギターと枯れた味わいのヴォーカルを乗せた
80年代スタイルの正統派のドゥームメタルが炸裂する。サウンド自体には目新しさはなにもないのだが、
ザリザリとしたギターの感触や渋みのある歌声というのは、若手バンドでは決してかもしだせない迫力をともなっていて、
ギター、ドラム、ヴォーカルをこなすハッセルヴァンダー氏の志す、古き良きドゥームメタル像が完璧に描かれてゆく。
随所にオルガンも鳴り響き、全体的にはダークさよりもノリ重視で、オールドなロック好きにはたまらない出来だろう。
ドラマティック度・・7 ドゥーム度・・8 古き良き度・・9 総合・・8
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KINGCROW 「Eidos」
イタリアのプログレメタル、キングクロウの2015年作
結成は90年代で、本作はすでに6作目という中堅バンド。前作はモダンな感触の好作であったが、
本作もスタイリッシュな硬質感と、プログレッシブな知的さを融合させた、いわばオルタナ系ProgMetalを聴かせる。
適度にヘヴィなギターリフにサイケ気味の浮遊感も加えたミクスチャー感触は、Pain of SalvationやRiversideなど、
第三世代バンドらしいボーダーレス感をかもしだしていて、ときにメランコリックな薄暗さも含んだ世界観も現代的だ。
歌もの的な雰囲気でありながらも、随所にメロウなギターフレーズや美しいシンセアレンジも覗かせて、
しっかりと楽曲を構築する技量とセンスもさすがである。新時代のプログレメタルのひとつの形を提示した作品だ。
ドラマティック度・・8 テクニカル度・・7 モダン度・・8 総合・・8
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SPEEDTRAP 「Straight Shooter」
フィンランドのスピードメタル、スピードトラップの2015年作
80年代の古き良き香りを漂わせながら、勢いよく疾走するスラッシーなスピードメタルサウンド。
ギターリフは硬質すぎず、スラッシーなヘヴィさよりもむしろパンキッシュな粗さを覗かせながら、
オールドなロック感触を取り込んだ聴き心地で、いわばこれもNWOTHMのひとつというべきか。
ハイトーンのヴォーカルにしても、どことなくローカルなマイナー臭さを漂わせていて、
メロディックというほどではないがフックを感じさせる楽曲はけっこう聴きやすい。
スラッシュとしての激しさではなく、あくまでオールドスタイルのメタルというべき強力作だ。
ドラマティック度・・7 疾走度・・8 古き良き度・・9 総合・・8
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LORDIAN GUARD 「ANTHOLOGY」
アメリカのエピックメタルバンド、ローディアン・ガードの2013年作
WARLORDのデストロイヤーことWilliam j.Tsamisによるクリスチャン・エピックメタルバンドで、
1995年と96年に発表した2作をカップリングし、シングルや未発曲を加えたCD2枚組の再発盤。
クサメロ感たっぷりのツインギターの旋律に妖しい女性ヴォーカルの歌声で聴かせる、
幻想的な叙情美がたまらない。随所にシンセアレンジも含んだシンフォニックな感触もよろしく、
あくまでメロディアス性を重視した作風は、WARLORD以上に優雅な作風である。
打ち込み風のドラムが残念だが、ギターの泣きメロ満載のエピックメタルが味わえる。
限定1000枚プレス。リマスターで音質も向上。WARLORDファンはマストです!
ドラマティック度・・8 エピック度・・8 叙情度・・9 総合・・8
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DOMOVOYD
フィンランドのサイケ・ドゥームロック、ドモヴォイドの2015年作
前作もドラッギーな浮遊感に包まれた妖しげなアルバムであったが、続く本作はのっけから17分の大曲で幕を開ける。
しばらくはゆったりと聴かせつつ、楽曲中盤からはドゥームメタル的なノリが現れて、適度な激しさに包まれながら、
妖しく混沌としたサイケロック感触が聴き手をトリップさせるようだ。楽曲にはメロディやフックなどの媚びはなく、
あやふやな倦怠感と内的なスケール感のようなものに包まれていて、ある種、ずぶずぶと沼にはまるような聴き心地である。
サイケやドゥームが苦手な方にはなんの意味も感じられないサウンドだろうが、逆を返せばこれは究極的なサイケドゥームである。
ラストは再び17分の大曲でしめくくる。圧巻の力作というべきである。ジャケやブックレットのサイケすぎるイラストもよいですね。
ドラマティック度・・7 サイケドゥーム度・・9 妖しげ度・・9 総合・・8
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EYE OF SOLITUDE 「CANTO III」
イギリスのフューネラル・ドゥームメタル、アイ・オブ・ソリチュードの2013年作
美しいシンセによるイントロから、重厚なギターリフと低音のデスヴォイスが加わって、
本格派のフューネラル・ドゥームメタルが広がってゆく。10分を超える大曲を中心にして、
随所に語りなどを含んだメランコリックなドラマ性と、ときにブラストビートも入った激しさと重さで
強烈なサウンドを描き出す。AHABあたりに通じる重さと庫さ、ゴシックメタル的でもある叙情性に、
デスメタル的な迫力が合わさったという作風で、前作以上に濃密でディプレッシブな世界観が味わえる。
限定盤のボーナスCDには2013年のEP「THE DECEIT」を収録。
ドラマティック度・・8 暗黒度・・9 重厚度・・9 総合・・8
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The PURITAN 「Lithium Gates」
フィンランドのドゥームメタル、ピューリタンの2008年作
REVEREND BIZZARREのメンバーを含むバンドで、2006年のEP「THE PURITAN」、2008年EP「THE BLACK LAW」を収録。
重厚なギターリフと朗々としたヴォーカルをスローなテンポに乗せた、本格派のダーク・ドゥームサウンド。
ドローン的な轟音ギターがおどろおどろしい残響をかもしだし、どんよりとした怪しげな世界観を描いている。
この愛想の悪さこそが本格派ドゥームの証なのだが、メロディや楽曲のフックを求める方にはつらいかも。
ヴォーカルパートが少ないので、ダークな雰囲気や空気感に浸れるような方だけにオススメしたい。
REVEREND BIZZARREが好きな方ならもちろんOK。殺伐とした暗黒ドゥームが楽しめる。後半には女の喘ぎ声入りナンバーも。
ドラマティック度・・7 重厚度・・8 ダーク度・・8 総合・・7.5
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WHEEL
ドイツのエピック・ドゥームメタル、ホイールの2010年作
アルフォンス・ミュシャの優美なジャケが目を引くが、サウンドの方はゆったりとしたリズムにそこそヘヴィなギターと
朗々としたヴォーカル乗せた、SOLITUDE AETURNUSあたりを思わせる正統派のエピックドゥームメタル。
メランコリックな雰囲気はよい感じなのだが、楽曲そのものにフックが乏しく、ギターリフなども凡庸なので、
聴いていて飽きがきてしまうというのがいかんともしがたい。スローで展開の少ないなドゥームだからこそ、
重厚な世界観や音の説得力がより必要なのだなと再確認できる。もう少し大仰さやこけおどし感が欲しい。
ドラマティック度・・7 重厚度・・7 楽曲・・7 総合・・7
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Witchburner 「Bloodthirthty Eyes」
ドイツのスラッシュメタル、ウィッチバーナーの2013年作
結成は90年代というベテランで、本作がすでに7作目になるらしい。
ダミ声ヴォーカルと古き良きギターリフを乗せて疾走する、しごく普通のスラッシュメタル。
勢いはあるのに迫力はあまり感じないというのは、やはりKREATORなどに比べると、
演奏面でのキレが聴き劣りする、要するに完全なるB級スラッシュなのだな。
ヴォーカルの低音なダミ声も一本調子で、聴いていてメリハリがないんですよ。
キャリアはあるんだから、もう少し向上心をもってスラッシュに取り組んでいこう。
ドラマティック度・・7 疾走度・・7 楽曲・・7 総合・・7
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Altar Of Plagues 「Teeth Glory And Injury」
アイルランドのブラックメタル、アルター・オブ・プレイグズの2013年作
近年のCeltic FrostやSatyriconあたりに通じる、モノトーンの暗黒臭に包まれたサウンドで、
硬質なギターリフにダミ声ヴォーカルを乗せ、随所に激しいブラストパートも含んだサウンド。
ノイジーなシューゲイザー感覚を取り込んだようなミステリアスな空気感と不穏な闇の気配、
ミドルテンポやスローパートでは、アトモスフェリックな浮遊感をかもしだしつつ、
ディプレッシブな絶叫を乗せた無慈悲なまでの激しさも垣間見せる。いわばBURZUMから受け継がれた
地下臭ただよう空気感を、よりディープな闇に溶け込ませたという感触もあるる
ドラマティック度・・7 暴虐度・・7 暗黒度・・9 総合・・8
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PRIMORDIAL 「A Journey's End」
アイルランドのペイガンブラックメタル、プリモディアルの1998年作
ツインギターのリフを中心に重厚な迫力と、ミステリアスなダークさに包まれたサウンドで、
ダミ声ヴォーカルと適度にメロディックなフレーズを乗せたメロブラ風味に、土着的な感触を加えたという雰囲気。
マンドリンやホイッスルなどを使ったケルティックな要素も織り込みつつ、8分、10分という大曲をメインに、
媚びのない涼やかな冷気を感じさせる暗黒の世界を描き出す。2作目にして見事な傑作である。
2009年の再発盤には、1999年のライブを収録したボーナスCDが付属。音質は粗いがバンドの初期のライブが聴ける。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・7 ミステリアス度・・8 総合・・8 *過去作のレビューはこちら
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PRIMORDIAL 「The Gathering Wilderness」
アイルランドのペイガンブラックメタル、プリモディアルの2005年作
5作目となる本作も、ツインギターによるダークで叙情的なリフとダミ声ヴォーカルを乗せた
独自のミステリアスなペイガン・ブラックが炸裂している。本作ではディプレッシブな暗黒性も感じさせ、
疾走する激しさはほとんどないのだが、ミドルテンポによるどっしりとした聴き心地で、
まさに重厚なペイガニズムを表現している。全曲が7~9分台という大曲志向なので、
気が短い方には向かないが、音の向こうのダークな世界に浸れる方にはオススメだ。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・6 ミステリアス度・・8 総合・・8
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PRIMORDIAL 「Where Greater Men Have Fallen」
アイルランドのペイガンブラックメタル、プリモディアルの2014年作
デビューから20年、本作で8作目となる。ヴァイキングメタル的でもある土着的なギターリフに
荒々しいダミ声ヴォーカルを乗せた重厚な作風には、大人の味わいというべき説得力が付加されている。
ミドルやスローテンポでじっくりと聴かせるナンバーが多いので、メロディックな愛想の良さがない分、
一聴したインパクトというのはさほどないのだが、逆に言うとこの硬派な渋さを楽しめる方にはたまらない。
ドゥームメタル的な曲からブラスト入りの激しい曲まで、ベテランらしい音の迫力が素晴らしい。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・6 ミステリアス度・・8 総合・・8
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Moonreich 「Pillars of Detest」
フランスのブラックメタル、ムーンレイクの2015年作
THE NEGATIONのWeddiによるバンドで、媚びのないギターリフに咆哮するヴォーカルを乗せて暴虐に疾走する、
ダークで不穏な気配に包まれたブラックメタル。激しさだけでなく、リズムチェンジを含む知的な構築力も感じさせ、
ブラッケン・ロール的なアナログ感覚とともに、いわば硬派な暗黒美を描くような聴き心地である。
メロディックな感触というのはほぼ皆無なので、ブラック初心者にはとっつきづらいかもしれないが、
Deathspell Omegaあたりがイケる方ならば、普通に楽しめるのではないかと思う。
本格派の暗黒臭に覆われた甘さなしのブラックメタルがお好きな方はいかが。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・8 暗黒度・・9 総合・・7.5
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6/5
ベビメタはヨーロッパツアー真っ最中!(211)


BABYMEYAL 「LIVE AT BUDOKAN~RED NIGHT~」
日本のアイドルメタル、ベビーメタルのライブ作品。2015年作
キュートなアイドルと激しいメタルのカウンターカルチャー的な融合を奇跡的になしえたこのユニット、
本作は2014年3月の武道館ライブのステージを収録。スタジオアルバムでの整然としたモダンなヘヴィネスよりも
より躍動感のある演奏が楽しめて、生粋のメタラーにはむしろこちらの方がより受け入れられるかもしれない。
フロントを務めるSU-METALの素晴らしい歌唱力はもちろんのこと、バックの神バンドの卓越した演奏を含めて
1stアルバムの全曲を完璧に再現している。“メギツネ”から始まって、“ド・キ・ド・キ☆モーニング”、“ギミチョコ!”、
“いいね”など、前半には可愛い系の曲を、後半は“紅月”、“ヘドバンギャー!!”、そして“イジメ、ダメ、ゼッタイ”という
怒涛の流れで盛り上げる。彼女たちの大きな魅力であるダンスと振り付けはDVDの映像で楽しむとして、
本作は音のみで楽曲と演奏のクオリティの高さを改めて感じられる、ファンは必聴のライブ音源だろう。
ライブ演奏・・9 カワイイ度・・8 しっかりメタル度・・9 総合・・8.5 *過去作のレビューはこちら
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SERENITY IN MURDER 「The Highest of Dystopia」
日本のメロディック・デスメタル、セレニティ・イン・マーダーの2015年作
世界基準のメロデス作品として驚かされた衝撃のデビュー作から続く2作目。
シンフォニックなイントロから始まり、90年代北欧メロデスの感触を残したギターリフに
美麗なシンセアレンジと強烈なグロウルヴォイスを乗せて重厚にたたみかける。
楽曲は3~4分前後とシンプルなのだが、ギターは随所にメロディックでテクニカルなフレーズを織り込み
激しいブラスト疾走も含む緩急のついたリズムチェンジで構築されるサウンドは非常にレベルが高い。
前作に比べると全体のインパクトではやや薄いのだが、クオリティはやはり世界クラスである。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・8 重厚度・・8 総合・・8
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MANIPULATED SLAVES 「HIDDEN IN THE SANDSTORM」
日本のドラマティック・スラッシュメタル、マニピュレイテッド・スレイヴスのライブ作品。2014年作
2000年のデビュー作から、骨太のスラッシュメタルにメロディックな叙情を盛り込んだスタイルで、
地道に活動を続けるこのバンド。本作は2014年に四日市で行われたライブステージを収録。
ツインギターのメロディックなフレーズにダミ声ヴォーカルを乗せて疾走する勢いあるサウンドで、
いわばメロデスとパワーメタルの中間というべき、ドラマティックなスラッシュメタルが楽しめる。
随所に女性Bによるコーラスも入って、ただ激しいだけではないやわらかな叙情性と日本的な味わいも
またかれらの持ち味である。録音の弱さが惜しいが、このバンドの魅力の一端を感じられるライブ作品だ。
ドラマティック度・・8 ライブ演奏・・7 音質・・7 総合・・8 *過去作のレビューはこちら
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TRANS-SIBERIAN ORCHESTRA 「Letters From the Labyrinth」
アメリカのロックオペラプロジェクト、トランス-シベリアン・オーケストラの2015年作
SAVATAGEのポール・オニール、ジョン・オリヴァを中心にしたロックオペラ・プロジェクトで、
クリスマスシーズンになるとチャートインするという、アメリカではけっこうな人気を誇っている。
本作に関しては、とくにクリスマスとは関係ないようだが、ファンタジックなストーリに基づいた作品で、
オーケストラルなアレンジに壮麗な男女コーラスを乗せたイントロ曲は、RHAPSODYあたりを思わせる。
その後は、SAVATAGEのような正統派メタルに、はげ山の一夜などのクラシックのフレーズを融合した感触で、
シンフォニックなインスト曲も挟みながら、配役ごとに当てられたヴォーカル曲ではジェフ・スコット・ソート、ラッセル・アレンなどが参加。
全体的にはメタルとして聴くにはやや弱いのだが、女性ヴォーカルによるバラード曲なども含めて、じっくり鑑賞できる。
ドラマティック度・・8 メタル度・・7 優雅度・・8 総合・・7.5
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Leaves' Eyes 「King of Kings」
ドイツのゴシックメタル、リーヴズ・アイズの2015年作
2004年のデビュー本作で6作目となる。今作はノルウェーの最初の王と言われる、ハーラル一世をテーマにした作品で、
リヴ・クリスティンの美しい歌声を乗せた北欧トラッド的な雰囲気から始まり、シンフォニックなアレンジでしっとりと聴かせる。
いつものようにデス声を含んだ重厚な部分もあるが、基本的にはNightwishにも通じる優美な女性声シンフォメタルの感触で、
とても聴きやすいのだが、反面もはや新鮮味はないという。イーリアンパイプス、フルート、ホイッスル、ヴァイオリン、
さらにはニッケルハルパやハーディガーディといった古楽器も使用していて、フォーキーな感触が随所にあるのはよいが、
楽曲自体にもっと北欧トラッド的な神秘性を感じさせてもらいたい気がする。全体的なクオリティは高いものの、
ややインパクト不足の好作品というべきか。EPICAのシモーネ・シモンズなどがゲスト参加。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8 *過去作のレビューはこちら
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SHAPE OF DESPAIR 「Monotomy Fields」
フィンランドのドゥーム・ゴシックメタル、シェイプ・オブ・デスペアーの2015年作
デビューは2001年、本作はじつに11年ぶりとなる4作目である。うっすらと美しいシンセに包まれて、
重厚なギターリフを乗せ、ゆったりとしたスローテンポのリズムで描く、そのフューネラルな世界観は不変。
低音のデスヴォイスをメインにしつつ、ときに女性によるスキャットヴォイスも絡んだり、
今作では、さらには男性ノーマル声も加わって、ダークで耽美なサウンドを彩りながらも、
以前の作品よりも聴きやすい、いわばメロディアス性が強まったという印象である。
シンセパートによるアンビエントな浮遊感も魅力的で、まるで暗黒の空気に癒されるような聴き心地。
長いブランクを感じさせないばかりか、My Dying Brideに匹敵する説得力のある世界を作り出した傑作である。
ゴシック度・・8 重厚度・・8 耽美度・・9 総合・・8 *過去作のレビューはこちら
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MYSTERYA 「SIMBIONT」
ウクライナのシンフォニックメタル、ミステリアの2013年作
女性Voに女性Key奏者を含む5人編成で、美しいシンセアレンジに母国語の女性ヴォーカルを乗せた
優美なシンフォニックメタル。メロディのフックには東欧らしい翳りを覗かせる叙情性と
クラシカルな優雅さが感じられて、しっとりとした聴き心地で楽しめる。ギターのリフがやや凡庸なのと、
重厚さの点ではやや物足りなさもあるのだが、キャッチーな歌ものとして鑑賞すれば、これはこれでよいのかもしれない。
曲によって情感を表現するヴォーカル嬢の歌唱力も含めて、今後が楽しみなフィメール・シンフォメタルの新鋭です。
シンフォニック度・・8 優雅度・・8 女性Vo度・・9 総合・・7.5

BLOODHUNTER
スペインのデスメタル、ブラッドハンターの2014年作
女性Voをフロントにしたバンドで、強烈なグロウルヴォーカルを乗せて、ブラストを含んだブルータルな激しさと
緩急のあるリズムチェンジで聴かせるデスメタルサウンド。ディーヴァ・サタニカ嬢の歌声はそうと知らなければ
女性とは思えぬほど強烈で、元ARCH ENEMYのアンジェラばり。ギターはとき叙情フレーズも覗かせるが、
全体的にはメロディックなフックに関しては物足りず、かといってブルータルな激烈さもさほどでもないので、
やや中途半端な感触か。むしろスラッシユメタル的な疾走ナンバーの方が恰好いいような気もする。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・7 楽曲・・7 総合・・7
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The HAUNTED 「Exit Wounds」
スウェーデンのデスラッシュメタル、ホーンテッドの2014年作
AT THE GATESのビョラー兄弟を中心に結成し、1998年にデビュー、その後、メンバーチェンジを重ねつつ、前作を最後に
ビョラー兄弟の片割れ、アンダースとヴォーカルのピーター・ドルヴィングが脱退、本作では二代目ヴォーカルのマルコ・アロと
初代ドラマーのエイドリアン・アーランドソンが復帰している。サウンドは、近年のデスコア的なモダンな硬質感も含みつつ、
エッジの効いたギターリフと咆哮するヴォーカルを乗せて疾走する、かつての激しさを取り戻しているので、ファンは一安心だろう。
ときおり初期のような、ドラマティックなツインギターの絡みも覗かせつつ、全体的にはモダンなデスラッシュ路線を貫いている。
個人的にはもう少しオールドな感触を取り戻してくれる方が嬉しいのだが、ともあれ強力なサウンドには違いない。
ドラマティック度・・7 疾走度・・8 新鮮度・・7 総合・・7.5 *過去作のレビューはこちら
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Pandaemonium 「Last Prayer」
イタリアのメロディックメタル、パンデモニウムの2012年作
1999年にデビューしてから、本作が3作目。毎回ジャケはファンタジックでいいのだが内容はヘナチョコという、
どう考えてもマニア向けというこのバンド。本作もじつにヘナ軟弱のヴォーカルを乗せて、
そこそこシンフォニックなアレンジとともにときどき疾走したりする。クサメロになりそうでならないというもどかしさ。
ギターはピロピロしたりしようとしたり、無駄なリズムチェンジも含めてエピックな雰囲気を描こうとしているのは分かるが、
どうにも空回りという、残念なところは12年たっても変わらないのですね。メロスピとしてはSKYLARK以下と言わざるを得ない。
まずはいいヴォーカルを見つけてください。あとはもっとクサメロ感覚を勉強してください。お願いします。
メロディック度・・7 疾走度・・7 楽曲・・6 総合・・7
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AXEVYPER 「Metal Crossfire」
イタリアのメタルバンド、アックスヴァイパーの2012年作
チープなジャケやダサすぎるメンバー写真からして、すでに開き直ったようなB級感を漂わせているが、
サウンドの方も古き良き感触のツインギターにヘタレ気味のハイトーンヴォーカルを乗せて疾走する、
オールドな正統派メタル。ドラムの弱さも含めて演奏力は並以下であるが、古臭さわまき散らす
80年代スタイルのNWOTHMという点では、そのB級臭さも含めてそこそこ楽しめるものがある。
随所にクサめのギターフレーズも出てきたりして、パワフルすぎない正統派メタルの味わいと、
8分を超える大曲など、本格派のドラマテイックメタルを志す熱さも感じられる。憎めないヘナチョコである。
メロディック度・・7 疾走度・・8 古き良き度・・8 総合・・7
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Steel Horse 「In The Storm」
スペインのメタルバンド、スティール・ホースの2011年作
2009年のデビュー作は、IRON MAIDENを思わせる80年代スタイルの好作であったが、
2作目となる本作もいかにも正統派のギターリフにハイトーンヴォーカルを乗せた
王道のヘヴィメタルを聴かせる。基本的にギターが一本なので、サウンドはしごくシンプルで、
楽曲自体にもこれという新鮮味は皆無。そこそこメロディアスでそこそこパワフルという。
古き良きメタルが好きなリスナーにはそれなりに楽しめるとは思うが、これ以上のインパクトを求めるには
この編成での限界を感じさせる。今後はせめてツインギターにしてはいかがでしょう。
メロディック度・・7 疾走度・・8 古き良き度・・9 総合・・7.5
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Acropolis 「The Aftermath」
イスラエルのメロディックメタル、アクロポリスのミニアルバム。2008年作
シンセを含む5人編成で、シンフォニックかつモダンなアレンジとキャッチーなメロディアス性で聴かせるサウンド。
ピロピロ系のギターとシンセのユニゾンはときにDRAGONFORCE的でもあり、メロスピ的な勢いのある疾走ナンバーから
どっしりとしたミドルテンポまで、パワフルなヴォーカルと演奏力も含めて、辺境的なマイナー臭さはほとんど感じない。
逆にいうと、このバンドならではの明確な個性というものは希薄なのだが、若いリスナーにアピールするような、
きらびやかな雰囲気とそれなりのクオリティは有しているので、今後の活動とフルアルバムに期待したい。
メロディック度・・8 疾走度・・8 楽曲・・7 総合・・7.5
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Jezabel 「Mas Alla Del Tiempo」
アルゼンチンのメロディックメタル、ジェザベルの2009年作
前作2003年作は、メロディックに疾走する正統派メロパワの好作品であったが、
6年ぶりとなる本作も、古き良き様式美メタルの感触を残した期待通りのサウンド。
スペイン語の歌声を乗せ、きらびやかなシンセワークとネオクラシカル風味も含んだギターとともに
濃密でありながらもキャッチーな爽快さで楽しめる。南米らしい哀愁の叙情も随所に感じさせるクサメロ感もGood♪
ややB級な感じのジャケがちょっと惜しいが、内容はRATA BLANCAに勝るとも劣らない力作ですぜ。
メロディック度・・8 疾走度・・8 スパニッシユ度・・8 総合・・8

Skiltron 「Beheading the Liars」
アルゼンチンのフォークメタル、スキルトロンの2nd。2008年作
ケルティックなバグパイプの音色と、正統派寄りのギターリフを乗せて疾走する、
メロパワ風のフォークメタル。パワフルなヴォーカルに男臭いコーラスなども含めて、
RUNNING WILDあたりをフォーキーにしたというような聴き心地であるが、
ホイッスルやブズーキといった楽器を使ったトラッド要素もけっこう本格派で嘘くさくない。
メタルとしてのエピックな勇壮さと、フォーキーな叙情が合わさった好作品です。
再発盤のボーナストラックには、未発曲、デモ、ライブ音源など7曲を追加収録。
ドラマティック度・・7 フォーキー度・・8 正統派度・・8 総合・・8
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Skiltron 「Into the Battleground」
アルゼンチンのフォークメタル、スキルトロンの2013年作
エピックな雰囲気のイントロから、曲が始まるとバグパイプが高らかに鳴り響き、
ダーティなヴォーカルとギターを乗せて疾走する、メロパワ系フォークメタルが広がってゆく。
4作目である本作は、RUNNING WILD色を感じさせる正統メタルとケルティック要素の融合も含めて
演奏面の力強さもいくぶん上がってきているのだが、楽曲自体にはややバラつきがあって、
ミドルテンポのナンバーがやや煮え切らなかったりと、メロメディのフックがいま一歩な感じが惜しい。
ドラマティック度・・7 フォーキー度・・8 正統派度・・8 総合・・7.5
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MANEGARM 「Nordstjarnans Tidsalder」
スウェーデンのヴァイキング・ブラックメタル、マネガルムの1998年作
いまや北欧ヴァイキングメタルの筆頭級のバンドであるが、デビュー作である本作の時点では、
ダミ声ヴォーカルとツインギターのメロデス風のフレーズを乗せて激しく疾走するスタイルで、
現在のような重厚なヴァイキングメタル風味はさほどでもない。うっすらとしたシンセアレンジを含んで
北欧らしい叙情性をともなったメロディは感じられるので、むしろ荒削りのペイガン・デスメタル的に楽しめる。
やや唐突な緩急のついたリズムチェンジも含めて、バンドの初期の勢いとパワーが伝わってくる。
ブラスト疾走たっぷりのブラックメタル的なナンバーもあって、北欧ブラック好きにも対応した力作デス。
ドラマティック度・・8 ヴァイキング度・・7 北欧度・・9 総合・・8 *過去作のレビューはこちら
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5/28
アナとカタに癒される(194)


Anathema 「A Sort of Homecoming」
イギリスのゴシック/ポストプログレ/ロック、アナシマのライブ作品。2015年作
イギリスのリヴァプール大聖堂で行われた、アコースティックライブのステージを2CD+DVDに収録。
2014年作「Distant Satellites」は素晴らしい傑作であったが、本作ではその世界観を再現するべく、
アコースティックギターのつまびきに、美しい女性ヴォーカルの歌声でしっとりと聴かせつつ、
うっすらとしたシンセアレンジにマイルドな男性ヴォーカルとともに、やわらかなサウンドを描き出す。
大聖堂の音響効果もあってか、雄大で厳かな空気感もよろしく、随所にヴァイオリン、チェロも加わった
優雅な耳心地にはうっとりとなる。曲によっては、つい眠くなりそうなほど耳心地がよいのだが、
DVDで見ると、大聖堂の威厳あるたたずまいとともに、いっそう幻想的なステージが視覚的にも楽しめる。
ライブ演奏・・8 薄暗度・・8 しっとり繊細度・・9 総合・・8 *過去作のレビューはこちら
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KATATONIASanctitude
スウェーデンのゴシックメタル、カタトニアのライブ作品。2015年作
2014年ロンドンのユニオンチャペルで行われたアコースティックライブを収録。
2009年作あたりからメタル要素を薄め、しっとりとしたプログレ的な感触を強めていたが、
このライブでは、そうしたバンドの繊細な叙情性が前面に出ていて、アコースティックギターの重なりに
うっすらとしたシンセ、メランコリックなヴォーカルの歌声で、物悲しく涼やかなサウンドを描いてゆく。
アコースティック主体でも音の薄さを感じさせないのは、チャペルホールの音響の良さもあるのだろうが、
各メンバーの演奏の表現力も見事。The Gatheringの女性シンガー、シリェ・ヴェルヘラントを加えての
美しいナンバーで締めくくる。ANATHEMAのファンなどにも楽しめる、メロウで繊細なライブです。
ライブ演奏・・8 メタル度・・1メランコリック度・・9 総合・・8 *過去作のレビューはこちら
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MELTED SPACE 「The Great Lie」
フランス人ミュージシャンによるメタルオペラプロジェクト、メルテッド・スペースの2015年作
プラハ交響楽団が参加したオーケストラルなアレンジをバックに、コンセプト的なストーリーに基づいたシンフォニックメタル作品で、
デヴィッド・ビンセント(Morbid Angel)、アッティラ (Mayhem)、ミカエル・スタンネ(Dark Tranquillity)、ニクラス・クヴァルフォルス(Shining)
コビ・ファーリ(Orphaned Land)、アイリン・ジメネズ(Sirenia)、クレメンティーヌ・デラウニイ(Visions Of Atlantis)、
マリアンジェラ・デマルタス(Tristania)、といった豪華なヴォーカリストが、それぞれの配役をこなすという。
その壮大さはAYREONのようだが、そのアルイエン・ルカッセンもミュージシャンとして参加しているという。
各男女ヴォーカリストの歌唱を重ねて、シンフォニックな壮麗さに包まれたサウンドで、ときに激しい疾走感も含みつつ、
全体的にはやはり歌ものという聴き心地である。メロディのフックや明快な盛り上がりがもう少しあればよかった。
ドラマティック度・・8 シンフォニック度・・8 豪華メンバー度・・9 総合・・7.5
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Fenix Tales 「The Abyss Eye」
イタリアのシンフォニックメタル、フェニックス・テイルズの2015年作
女性Voにシンセを含む6人編成で、美麗でオーケストラルなアレンジと、オペラティックなソプラノヴォーカルの歌声で、
イタリアらしいクラシカルな優雅さに包まれた、シンフォニックメタルを聴かせる。ギターはヘヴィすぎないので、
激しいメタルが苦手な方にも楽しめるだろう。艶やかなヴォイオリンなどか入って、ケルティックなメロディを奏でたりと
優美なクサメロ寄りの作風もよい感じだ。少し軽めのドラムの音などが、いくぶんB級臭さをかもしだしているのだが、
女性ヴォーカルの美しさは、今後に期待させるだけのポテンシャルを感じさせる。期待の新鋭バンドです。
シンフォニック度・・8 重厚度・・7 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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TRIAL 「VESSEL」
スウェーデンのメタルバンド、トライアルの2015年作
ツインギターを含む5人編成で、古き良き80年代の正統派メタルの雰囲気を基本に、
IN SOLITUDEのようなミステリアスな世界観を感じさせる、湿り気を帯びたサウンドを聴かせる。
ゆったりとした部分はCANDLEMASSなどのエピックドゥーム風味もあり、ハイトーンヴォーカルを乗せた疾走感に、、
かつてのKING DIAMONDのようなシアトリカルな感触も含ませた、なかなか濃密な聴き心地である。
ツインギターによる重厚なリフとメロディックなフレーズのバランスもよろしく、緩急のある楽曲展開もドラマティック。
往年の雰囲気を感じさせるトラディショナルメタルが好きな方なら、非常に楽しめる傑作といえるだろう。
ドラマティック度・・8 重厚度・・8 古き良き度・・9 総合・・8
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WHILE HEAVEN WEPT 「Suspended at Aphelion」
アメリカのプログレッシブ・ドゥームメタル、ワイル・ヘヴン・ウェプトの2014年作
結成は90年代で、本作は5作目となる。なにやらシンフォニックで美しいイントロ曲から始まり、、
重厚なギターとシンセが重なったスペイシーなスケール感と、朗々としたヴォーカルを乗せた
エピックドゥームの感触が合わさった、独自のサウンドが広がってゆく。ときにダミ声ヴォーカルが入ったり
ブラックメタルばりの疾走感もありつつ、プログレメタル風味の知的でモダンな構築力も感じさせるという。
前作に比べて、壮大な世界観を描く音の説得力がぐっと増していて、随所に聴き手を惹きつけるような、
スリリングな展開力も備わっている。重厚なProgMetalとしても楽しめる力作に仕上がっている。
ドラマティック度・・8 重厚度・・8 壮大度・・8 総合・・8
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To-Mera 「Exile」
イギリスのプログレメタル、トゥー・メラの2012年作
女性VoフロントのProgMetalバンド。4年ぶりとなる3作目で、今作はジャケのイメージのように
エジプトをテーマにした世界観なのだろう。オリエンタルなメロディを乗せた軽やかなアンサンブルから、
モダンなヘヴィネスを含んだ激しさと、シンセによるシンフォニックなアレンジに女性ヴォーカルの歌声を乗せた
独自のサウンドを描いてゆく。いくぶんダークな叙情性には、ゴシックメタル的な感触もあり、
テクニカルで知的な展開力とともに起伏のある楽曲を構築する。伸びやかなジュリィ嬢の歌声もいですね。
6~7分の楽曲をメインに、10分を超える大曲が3曲と、バンドの意気込みが伝わってくる濃密な味わいの力作になっている。
ドラマティック度・・8 テクニカル度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8 *過去作のレビューはこちら
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GAMMA RAY 「Heading For Tomorrow : Anniversary Edition」
ジャーマンメタルゴッド、ガンマ・レイの1stの25周年記念エディション。2015年作
1990年のデビューアルバムのリマスター盤に加え、Disc2にはEP音源、デモや未発音源などを収録した2枚組。
ドラマティックなイントロから続く“Lust For Life”の格好良さ、キャッチーな“Heaven Can Wait”、コミカルな疾走曲“Monney”、
感動的な叙情パラード“The Silence”、そして大曲“Heading For Tomorrow”まで、メロディックな佳曲が多数。
リマスターによりサウンドの迫力も増していて、これからガンマ・レイを聴き始める若いリスナーも必聴であろう。
Disc2の聴きどころは、なんといってもカイ・ハンセンがヴォーカルをとる初期の貴重なデモ音源だろう。
ラルフ・シーパーズのパワフルなハイトーンもいいですが、少し苦しげなカイの歌声がいい感じです。
デモの音質はそれなりだが、コアなファンならばぜひともチェックすべきですな。ジャケのセンスに関しては何も言うまい。
メロディック度・・8 ガマレー度・・9 デモ音源度・・8 総合・・8.5 *過去作のレビューはこちら
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IRON SAVIOR 「The Landing」
ドイツのパワーメタル、アイアン・セイヴィアーの2011年作
ピート・シルク率いる正統派のジャーマンメタルバンド、1999年のデビューから6作目となる本作も
パワフルなヴォーカルとツインギターを乗せた、王道のメロパワスタイルは健在だ。
重厚な三連リズムのナンバーから、HELLOWEENを思わせるメロディックな疾走ナンバーまで、
力強さとキャッチーなフックが合わさったクオリティの高さは、さすがキャリアのあるバンドである。
一方では、新鮮な驚きというのはないので、定型内のスタイルに慣れてくると、いくぶん物足りなさも
感じてしまうのだが、正統派のメロパワ、ジャーマンメタルが好きな方なら、十分楽しめる出来である。
メロディック度・・8 疾走度・・8 パワフル度・・8 総合・・8 *過去作のレビューはこちら
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DREAMTALE 「World Changed Forever」
フィンランドのメロディックメタル、ドリームテイルの2013年作
2002年にデビューしてから、本作で6作目となる。ツインギターにシンセを含む編成で、厚みのあるアレンジとともに
コンセプトアルバムとしてのドラマ性を描くような聴き心地で、近年のSONATA ARCTICAにも通じるメロディアス性と、
ときにフォークメタル風味やメロスピ的な疾走ナンバーもあって、良い意味でマイナー臭い作風に好感が持てる。
全体的には、相変わらずこれだという決定打に欠けるのだが、随所ににやりとするようなクサメロ感を失わず
作品を作り続ける姿勢は、ある意味、Derdianなどと同様にあっぱれではある。シンフォニックな北欧メロパワの好作だ。
メロディック度・・8 疾走度・・7 クサメロ度・・8 総合・・7.5 *過去作のレビューはこちら
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HELHEIM 「Raunijar」
ノルウェーのペイガン・ブラックメタル、ヘルヘイムの2015年作
1995年デビューという古株で、母国語のダミ声ヴォーカルによる土着的な感触と
ミステリアスな空気感に包まれたサウンドで、ブラックメタル的な激しさよりも、
同郷のSolefaldにも通じるような、プログレッシブ・ブラック的でもある知的な聴き心地である。
10分を超える大曲を構築するセンスも見事で、ノルウェイジャンらしい寒々しい空気感と
荘厳なスケール感がよいですな。朗々としたノーマルヴォーカルを乗せたナンバーなど、
随所に甘すぎない叙情性も織り込みつつ、あくまで涼やかな硬派さで描かれる傑作デス。
ドラマティック度・・8 荘厳度・・8 北欧度・・9 総合・・8
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Cold Northern Vengeance 「Maelstrom」
アメリカのペイガン・ブラックメタル、コールド・ノーザン・ベンジェンスの2015年作
ギター、ベース、シンセ、ヴォーカルをこなすマルチプレイヤーHEATHEN氏を中心にした、
90年代ブラックメタルを受け継ぐようなツインギターのリフに朗々としたヴォーカルを乗せた、
ミステリアスでダークな世界観を描くサウンド。随所に激しいブラスト疾走も含ませつつ、
基本はミドルテンポ主体で、暴虐さよりもドゥームブラック的な重厚さを感じさせる。
最近のSATYRICONなど、重々しいダークメタルが好きな方は気に入るかもしれない。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・6 重厚度・・8 総合・・7.5
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SHINING 「IV:The Eerie Cold」
ノルウェーのブラックメタル、シャイニングの2005年作
2000年にフルアルバムでデビュー、その暗黒性からデプレッシブ(自殺系)・ブラックメタルとも呼ばれる。
4作目の本作は、いきなりブラックジョークまじりの語りから始まって驚かされるが、徐々にイントロがフェードイン、
ヘルハマーが叩くグルーブのあるドラムにメロウなギターフレーズが重なり、悲哀に満ちたタミ声ヴォーカルが加わると、
ダークでメランコリックな味わいの、このバンドならではのサウンドが形成される。静寂間のある叙情パートや、
プログレッシブな展開力なども含ませた独自のセンスは、単なるブラックメタルの枠を超えた感性を内包している。
暴虐な激しさはないのだが、モノトーンのような物悲しい翳りに覆われた世界観に浸れる力作だ。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・7 ダーク度・・8 総合・・8
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5/15
EVERONの名前を久々に(181)


Phantasma 「The Deviant Hearts」
ドイツ、オランダ、オーストリアの多国籍シンフォニックメタル、ファンタズマの2015年作
EVERONのオリバー・フィリップスを中心に、DELAINの女性シンガー、シャルロット・ウェッセルズと、
SERENITYのゲオルグ・ノイハウザーが参加。美しい女性ヴォーカルに男性ヴォーカルが絡み、
美麗なシンセアレンジとオペラティックな優雅さで聴かせる、壮麗なシンフォニックハードサウンド。
NightwishやWithin Temptationに通じる部分もありつつ、随所にメロウなギターフレーズなども耳心地よく、
やわらかな叙情性を前に出していて、全体的にメタル度は抑えめなところは、ハードプログレ的な優美さと言えるかも。
そういえば、エヴェロンの4作目は「FANTASMA」というタイトルだった。ジャケのイメージとは裏腹に、ゆったりと優雅な好作品だ。
シンフォニック度・・8 優美度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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Virgin Steele 「Nocturnes of Hellfire & Damnat」
アメリカのメロディックメタル、ヴァージン・スティールの2015年作
80年代からか活動するエピックメタルの大ベテラン。5年ぶりとなる通算13作目(たぶん)。
随所にシャウトも聴かせるハイトーンヴォーカルと正統派のギターリフとともに聴かせるサウンドは、
頑固一徹、良い意味でなにも変わらない。MANOWARを思わせるパワフルさにウェットな叙情性を盛り込んで、
より原点回帰したというような印象だ。声が裏返るところなどはKING DIAMOND的でもあり、
バックの演奏自体はシンプルなのだが、シアトリカルなドラマ性を感じさせる濃密な味わいである。
イギリスにサクソンあれば、アメリカにはヴァージン・スティールあり。これぞ古き良きエピックメタルである。
限定盤のDisc2には18分を超えるドラマティックな組曲などを収録していて、ファンならばこちらも必聴だ。
ドラマティック度・・8 エピック度・・8 正統派度・・8 総合・・8 *過去作のレビューはこちら
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VAN CANTO 「Dawn of the Brave」
ドイツのアカペラメタル、ヴァン・カントの2014年作
2006年にデビュー、ドラム以外のパートはすべて声でこなすという異色の口演奏メタルバンド。
5作目となる本作も、ギター声&ベース声による巧みな口演奏に男女ヴォーカルの歌声を乗せた、
独自のアカペラメタルが炸裂する。「バンバンバン」「ブンブンブンブン」という声リフに最初は笑いそうになるのだが、
しだいに彼らの本気度と演奏(口)力のクオリティの高さに違和感が消え、むしろエピックメタル的な勇壮さも感じてしまうという。
紅一点、インガ・シャーフ嬢の魅力的な歌声がサウンドを華やかに彩っているのも大きいだろう。今回のカヴァー曲は、
EUROPE “The Final Countdown”、BLACK SABBATH “Paranoid”、Bonnie Tyler “Holding Out for a Hero”
さらには「ロード・オブ・ザ・リング」に使われた、Annie Lennox “Into the West”という選曲で、なかなか面白い。
ドラマティック度・・8 疾走度・・7 口演奏力・・9 総合・・8 *過去作のレビューはこちら
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Coheed And Cambria 「The Color Before the Sun」
アメリカのプログレ・エモーショナルロック、コヒード・アンド・カンブリアの2015年作
2001年にデビューしてから本作で8作目。前作は2作に分かれた壮大なコンセプト作であったが、
今ではのっけからキャッチーな爽快さに包まれて、クラウディオのエモーショナルな歌声とともに、
ポップでノリのよいコヒカンサウンドが広がってゆく。アメリカのバンドらしいシンプルな躍動感が増した反面、
プログレッシブな感触は抑えめなので、個人的には少し物足りなさも感じてしまうのだが。
このバンドのキャッチーなメロディアス性が好きならば、普通に楽しめる出来だと思う。
反面、曲調の幅の狭さがそろそろ新鮮味不足にもなっていて、今後の深化に期待したい。
メロディック度・・8 プログレ度・・7 新鮮度・・7 総合・・8 *過去作のレビューはこちら
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RUSSKAJA 「Peace, Love & Russian Roll」
オーストリアのポルカロック、ロスカージャの2015年作
ロシアのポルカ民謡を取り入れた、「ロシアン・ターボ・ポルカ」を標榜するバンドで、
トランペットやホルン、女性ヴァイオリン奏者などを含む多人数の編成。
パンキッシュに疾走する勢いの良さに、牧歌的なポルカのメロディを乗せたサウンドで、
愉快なフォークメタル的にも楽しめる。野太いヴォーカルの声質はメタルそのものであるが、
ヘヴィさよりも愉快なノリが前に出ているので、メタルとして聴くには少し軽いかもしれない。
アコースティカルな叙情パートもなどもあり、バンドとして本気でこの音楽を追及する姿勢が感じられる。
ドラマティック度・・7 フォーキー度・・8 メタル度・・7 総合・・7.5
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Empyrium 「Turn of the Tides」
ドイツのゴシック・フォークメタル、エムピリウムの2014年作
1996年にデビュー初期は、ゴシックメタル的であったが、3作目以降はメタル色を薄め、
本作は美麗なシンセアレンジに包まれた、優雅なネオフォークというサウンドである。
ジェントルな男性ヴォーカルの歌声に、アコースティックな繊細さも含んだギター、
そしてうっすらとしたシンセとともに、メランコリックな物悲しさをたたえた世界観が広がる。
ときにダミ声ヴォーカルや女性ヴォーカルも加わったり、曲によってはいくぶんメタル要素が戻ってきていて、
ゆったりとした聴き心地の中にも、重厚な味わいと、ドラマティックなメリハリを感じさせる。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・8 フォーク度・・7 総合・・8 *過去作のレビューはこちら
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The Golden Grass
アメリカのヴィンテージロック、ゴールデン・グラスの2014年作
ギター、ベース、ドラムのトリオ編成で、ヴォーカルはドラムとギターが曲によって変わる。
ときにオルガンも鳴り響き、アナログ感たっぷりの70年代ロックに回帰したサウンドで、
70年代英国バンドの発掘音源だと言われれば、そのまま信じてしまいそうなほどだ。
サイケデリックなユルさも含んだ牧歌的な叙情で、ゆったりと楽しめる耳心地の良さもある。
これという目新しいことはやっていないのだが、タイトなドラムをはじめ演奏力はしっかりとしていて、
13分近い大曲を即興的なノリを含めて聴かせる力量がある。今後も楽しみなヴィンテージロックの逸材だ。
ドラマティック度・・8 古き良き度・・9 ユル度・・8 総合・・8
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DOMOVOYD 「Oh Sensibility」
フィンランドのサイケ・ドゥームロック、ドモヴォイドの2013年作
意味不明のジャケからしてすでにサイケ臭がぷんぷんであるが、サウンドの方も期待通り、
アナログ感たっぷりのアンサンブルで、ノイジーなリフとユルめのギタフレーズに、
なんだかよく聴こえないヴォーカルを乗せた、とにかく妖しい聴き心地である。
ヴォーカルというのはあくまでオマケのようで、ドラッギーな浮遊感に包まれた
このユルさこそがバンドが描きたい世界観なのだろう。サイケが苦手な方には
なんの意味も感じられないサウンドかもしれないが、13分、16分という大曲でも
敢然と浮遊するような投げやりさ…これを楽しめるような方だけにオススメしたい。
ドラマティック度・・7 サイケ度・・8 ユル度・・9 総合・・7.5
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TRIPTYKON 「Eparistera Daimones」
スイスのダークスラッシュメタル、トリプティコンの2010年作
CELTIC FROSTのトム・ゲイブリエル・ウォリアー率いるバンドで、ギーガーのジャケからして
かつてのセルティック・フロストを思い出させるが、サウンドの方もヘヴィなギターリフと
迫力あるヴォーカルを乗せた、「MONOTHEIST」の路線の延長というべき作風で
ドゥームメタル的な感触も含んだダークなスラッシュメタルという禍々しさはかつてのまま。
もちろん曲によっては激しい疾走パートもあって、暗黒の重厚さに包まれた聴き心地は
オードなCFファンから、ドゥーム、スラッシュ、デスメタルのファンなどにも楽しめる内容である。
ドラマティック度・・7 暗黒度・・8 セルフロ度・・8 総合・・8
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TRIPTYKON 「Melana Chasmata」
スイスのダークスラッシュメタル、トリプティコンの2014年作
4年ぶりとなる2作目で、今回もギーガーのジャケのインパクトからして強烈だ。
ドゥームとダーク・スラッシュの融合された、禍々しい暗黒性に包まれたサウンドは、
7~8分の長めの楽曲を中心に、どっしりとした重厚な聴き心地だ。迫力あるダミ声ヴォーカルに
随所に女性声も絡んで、神秘的な雰囲気を描いてゆく。全体的に前作よりも湿り気のある空気感が
ブラックメタルに通じるようなドラマティックな暗黒美をかもしだしていて、じっくりと聴き入れる。
前作に比べるとドゥーミーな曲調がやや強まった感はあるが、CFからの深化を感じさせる力作である。
ドラマティック度・・8 暗黒度・・8 セルフロ度・・7 総合・・8
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NERVOSA 「Victim of Yourself」
ブラジルのスラッシュメタル、ネルヴォサの2014年作
女性の3人組という、ガールズバンドであるが、これがなかなか本格派のスラッシュメタルをやっている。
ヘヴィなギターリフと凶悪なダミ声ヴォーカルを乗せて疾走する、初期のKREATORなどを思わせる、
オールドスタイルのスラッシュで、音だけを聴けば女性バンドとは思えないかもしれない。
適度なリズムチェンジもあったりして、疾走するだけではないところもよいのだが、
楽曲の雰囲気がやや一本調子で、もう少しリフの種類に工夫が欲しいような気もする。
ともかく、女性による本格派のスラッシュメタルということで、注目したいバンドである。
ドラマティック度・・7 疾走度・・8 オールドスラッシュ度・・8 総合・・7.5
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F.K.U. 「4:Rise of The Mosh Mongers」
スウェーデンのスラッシュメタル、FKUの2013年作
ジャケも含めてホラー映画的なイメージを標榜するバンドで、なにやらドラマティックなイントロから始まり、
曲が始まると古き良き感触のギターリフにハイトーンヴォーカルを乗せて勢いよく疾走する、
オールドスタイルの正統派スラッシュメタルが炸裂する。楽曲自体は3分前後とシンプルであるが、
わずか10秒足らずの小曲やSEを随所に織り込むなど、作品としての構成も考えられている。
初期EXODUSやVIO-LENCE、TANKARDなど疾走型スラッシュが好きな方ならノリノリで楽しめるだろう。
METALLICAのジェイムス・ヘッドフィールドがシュミーア化したようなヴォーカルの歌声にもニヤリとする。
ドラマティック度・・7 疾走度・・9 オールドスラッシュ度・・8 総合・・8
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Stormlord 「Hysperia」
イタリアのシンフォニック・ブラックメタル、ストームロードの2014年作
1999年にデビュー、大仰なエピック性とシンフォニックなアレンジで質の高いサウンドを聴かせるこのバンド
前作から6年ぶりの5作目となる本作は、ミドルテンポを主体とした楽曲に、シンセによる美麗なアレンジと、
オーケストラルな荘厳さに包まれた、RHAPSODYばりのエピックでファンタジックな世界観を描いている。
迫力あるダミ声ヴォーカルに随所に適度な激しさもあるので、ブラックメタル的な激しさがまったくないわけでもなく、
むしろスローパートの楽曲においても、ダークな空気感と重厚な迫力があって、物足りなさはさほど感じない。
キャリアのあるバンドらしい堂々たるサウンドだ。疾走感にこだわりがなければ十分楽しめる濃密な力作である。
シンフォニック度・・8 暴虐度・・7 エピック度・・8 総合・・8 *過去作のレビューはこちら
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BATHORY 「In Memory of Quorthon Vol.II」
スウェーデンのエピック・ダークメタル、バソリーのベストアルバム。2006年作
1984年にデビュー、クォーソンの個人ユニットであり、ダークなメタルサウンドと北欧神話などのエピカルな要素を合わせた
北欧ヴァイキングメタルの原点ともされる存在。そのクォーソンは2004年に死去、本作はBlack Markレーベルのオーナーでもある、
クォーソンの父親が選曲した追悼的なベストアルバムである。SEやシンセアレンジを含んだ幻想的な雰囲気に、
朗々としたヴォーカルを乗せドラマティックで勇壮なテイストを盛り込んだ独自のサウンドは、内的な強固な世界観を形成している。
打ち込みリズムの曲もあって音質はややチープながら、ヨーロッパのメタルシーンに多大な影響を与えたバソリーの音楽性と
その歴史を改めて俯瞰できる作品だ。Black Sabbath“War Pigs”、MOTORHEAD“ACE OF SPADES”のカヴァーも収録。
幻想度・・8 勇壮度・・8 北欧度・・8 総合・・7.5
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5/7
ドリムシの新作は壮大っす!(167)


DREAM THEATER 「The Astonishing」
アメリカのプログレッシブメタル、ドリーム・シアターの2016年作
いまやキャリア25年を超えるベテランであり、すでに世界的なモンスターバンドというべき存在である。
その通算13作目、マイク・マンジーニが加わってからの3作目となる本作は、CD2枚組の大作となった。
壮大なストーリーに基づいたコンセプトアルバムで、映画的なSEなどを挟みつつ、重厚にドラマを描く作風は
AYREONなどにも通じる感触である。ProgMetalとしてのテクニカルなアンサンブルも随所に織り込みつつ、
優美でキャッチーなシンフォニックロック的でもあるアレンジは、かつての「Six Degrees~」のDisc2を思わせる。
ラブリエのマイルドなヴォーカルもこの激しさ控えめのサウンドにぴったりマッチしていて、ゆるやかな盛り上がりを描きながら、
じっくりと味わえる耳心地の良さが素晴らしい。後半にはスリリングなパートも含みつつ、全体的には一つの映画のような
雄大でドラマティックな聴き心地だ。今回はむしろプログレリスナー向けの壮麗な叙情に包まれた傑作といっていいだろう。
ドラマティック度・・9 プログレ度・・9 壮大度・・9 総合・・8.5 *過去作のレビューはこちら
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Megadeth 「Dystopia」
アメリカのインテレクチュアル・スラッシュメタル、メガデスの2016年作
前作は安定感とともに、やや散漫な印象を残したアルバムであったが、通算15作目となる本作は
ギターになんとANGRAのキコ・ルーレイロが加入したことで大いに話題となった。
硬質なギターリフを乗せたクールなメタルサウンドに、テクニカルな感触が加わっていて、
随所にかつてのメガデスらしいリズムチェンジも含んだ知的な展開力も覗かせる。
ムステインのダーティな歌声はもはやサウンドの顔となっていて、ダークな雰囲気と共に
全体的にもヘヴィな統一感があり、メタルとしてぐっと引き締まった感触のアルバムだ。
ドラマティック度・・7 硬質度・・8 メガデス度・・8 総合・・8 *過去作のレビューはこちら
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TOTAL 「II」
ブルガリアのメロディックメタル、トタールの2016年作
1988年に結成、社会主義からの脱却のプロセスの中、正規の作品を残さないままにバンドは活動を停止、
2014年になって、ようやく実質的な1stというべき作品がCD化されていたが、本作はそれに続く2作目の未発音源集である。
本作の音源は1991~92年に録音され、当時のメンバー、コンスタンティン・ジャンバゾフの手で新たにマスタリングされている。
きらびやかなシンセアレンジにブルガリア語のハイトーンヴォーカルを乗せたメロディアスな正統派HR/HMを主体に、
随所に辺境的な哀愁を含んだプログレッシブな要素も見え隠れする。ときにネオクラシカル風の流麗なギターも覗かせつつ
古き良きHRの感触を残したキャッチーなメロディアス性が融合された楽曲は、確かな演奏力も含めて未発音源とは思えないクオリティだ。
やや唐突なテンポチェンジを含んだ展開力には、バンドの知的なセンスが垣間見え、歌詞が母国語であることを除けば、
マイナーなB級臭さというものはほとんど感じない。激しく疾走するスピードメタル的なナンバーやシンフォニックなプログレメタル風味、
そしてクサメロ入りのメロスピ的なラスト曲まで、濃密な味わいで楽しめる力作と言ってよいだろう。ブルガリアン・メタルの入り口にぜひ。
メロディック度・・8 重厚度・・8 辺境メタル度・・8 総合・・8
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TEMPERANCE 「Limitless」
イタリアのシンフォニックメタル、テンペランスの2015年作
SECRET SPHERE、BEJELIT、HATE TYLERなどのメンバーが結成したバンドで、
モダンなヘヴィネスときらびやかなアレンジに、伸びやかな女性ヴォーカルを乗せた、
AMARANTHEやNIGHTWISHあたりにも通じる、美麗なシンフォニックメタルを聴かせる。
ときにオペラティックなソプラノヴォイスも歌い分けるキアラ嬢のヴォーカルも表現力十分で、
曲によっては男性デスヴォイスの絡みも入りつつ、堂々たる歌声で楽曲を彩っている。
新鋭ながらもメンバーの実力とともにクオリティの高さが光る力作だ。
シンフォニック度・・8 モダン度・・8 女性Vo度・・9 総合・・8
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KENZINER 「The Last Horizon」
フィンランドのメロディックメタル、ケンジナーの2014年作
かつては日本盤も出ていたので割と知られていたバンドだろう。1998~2000年に2作を残したバンドの復活作。
適度にモダンかつシンフォニックなアレンジも含んだ正統派のメロディック・メタルサウンド。
随所にかつてのネオクラ風味も含ませつつ、いくぶんダークなヘヴィネスも感じさせる重厚な聴き心地だ。
全体的には、それなりに質は高いものの、楽曲やメロディのフックにもう少し爽快なフックがあればと思う。
曲によってはプログレメタル的な展開力もあるので、個人的にはその路線で行って欲しい気がする。
メロディック度・・7 重厚度・・8 正統派度・・8 総合・・7
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Alpha Tiger 「BENEATH THE SURFACE」
ドイツのメタルバンド、アルファ・タイガーの2013年作
ツインギターを含む5人編成で、本作が2作目となる。ハイトーンヴォーカルを乗せて疾走する
古き良き正統派のスタイルで、ジャーマンというよりはRIOTなどアメリカのバンドに通じる、
適度にスタイリッシュでキャッチーな感触である。ツインギターの流麗なプレイや、
トニー・ムーアに似た声質のヴォーカルも含めて、かなりライオットっぽい感じで
ヘヴィすぎない聴き心地がオールドなリスナーには嬉しいだろう。演奏力も含めてクオリティの高い好作品。
限定盤デジパックには、そのRIOT“Flight Of the Warrior”、ラウドネス “S.D.I.”のカヴァーも収録。

メロディック度・・8 疾走度・・7 ライオット度・・8 総合・・8
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Hevilan 「The End of Time」
ブラジルのメロディック・パワーメタル、ヘヴィランの2013年作
適度にモダンなヘヴィさと正統派のメロパワスタイルを合わせたサウンドで、
パワフルなヴォーカルにサビではエピックなコーラスも含んだ重厚な聴き心地。
元ANGRAのアキレスが参加していて、安定感のある力強いドラムはさすが。
ギターは随所にテクニカルなプレイを聴かせ、そこそこメロデイのフックもあるのだが、
これというインパクトや爽快感にまでは至っていないという点では、やはり自主制作レベルか。
メロディック度・・7 疾走度・・7 重厚度・・8 総合・・7.5
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SKARLETT RIOT 「We Are the Brave」
イギリスのハードロック、スカーレット・ライオットの2015年作
本作は5曲入りのミニ。女性ヴォーカルをフロントに、モダンなヘヴィネスと、
伸びやかな女性ヴォーカルの歌声を乗せた、キャッチーなノリのサウンド。
バックの演奏力やヴォーカル嬢の歌唱はそこそこしっかりしているので、
今後はヘヴィ路線かキャッチーな路線か、方向性を絞って曲のクオリティを上げて行って欲しい。
メロディック度・・7 キャッチー度・・7 女性Vo度・・7 総合・・7
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AEON ZEN 「Ephemera」
イギリスのプログレメタル、イーオン・ゼンの2014年作
シンセを含む5人編成で、モダンな硬質感とテクニカルなアレンジに、
ハイトーンヴォーカルを乗せた、キャッチーかつヘヴィなプログレメタル。
テクニックのあるギターを含めた変則リズムによるDjent的な聴き心地に、
UKロック的なエモーショナルな感触を融合させたというスタイルで、
ときにデスヴォイスも入ったりと、カオティックコア風味のごった煮感も含む。
ProgMetalのモダンヘヴィネス化という意味では若いリスナー向けの作品だろう。
ドラマティック度・・7 テクニカル度・・8 モダン度・・8 総合・・7.5
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SixFoRNinE
ギリシャのモダンメタル、シックスフォーナインの2015年作
ミドルテンポを主体に、マイルドなヴォーカルとモダンなヘヴィネスを含んだ骨太の聴き心地で、
随所にメロディックなギターフレーズなどを覗かせる叙情性も垣間見せる。
ジャケのイメージはもっとカオティックなものを想像したが、案外普通というか、
少し前のオルタナ系メタルという感じで、楽曲にはこれというインパクトはなかった。
曲によってはメタルコア的な激しい部分もあるが、このバンドならではの個性は薄いか。
取柄を上げるなら、ギリシャという辺境性を感じさせないところくらいか。音質も良いしね。
ドラマティック度・・7 モダンメタル度・・8 楽曲・・7 総合・・7
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Whorion 「The Reign of the 7th Sector」
フランスのテクニカルデスメタル、フーリオンの2015年作
低音のデスヴォイスを乗せてブラストビートでたたみかけるデルータルな激しさと、
テクニカルなリズムチェンジを含んだモダンな感触のデスメタルサウンド。
ギターのピロピロ系のスイープ奏法や、随所にシンフォニックなアレンジによる
荘厳なスケール感も漂わせている。インスト曲を除くと6曲しかないのが少し物足りないが、
Fleshgod Apocalypseなどが好きな方なら楽しめるテクデス・サウンドだ。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・8 テクニカル度・・8 総合・・7.5
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LESOIR 「LUCTOR ET EMERGO」
オランダのゴシックロック、レソールの2014年作
うっすらとしたシンセアレンジに、古き良きロック色を感じさせるセンスのよいギター、
そしてソウルフルな女性ヴォーカルの歌声で聴かせる、ゴシック風味のロックサウンド。
メランコリックな叙情とロック色の強いアンサンブルという点においては、中期以降のThe Gatheringや
日本のEarly Crossあたりにも通じる感触で、じっくりと味わえる耳心地の良さがある。
派手な盛り上がりというものはないのだが、その分ゆったりと楽しめるゴシックロックの好作品。
ドラマティック度・・7 メランコリック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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4/24
メロパワ、ゴシック、ブラック、ドゥームまで(155)


POWERWOLF 「Blessed & Possessed」
ドイツのメロディックメタル、パワーウルフの2015年作
KING DIAMONDばりのシアトリカルなスタイルで正統派メタルを聴かせるこのバンド、
本作はすでに6作目となるが、ツインギターのリフとメロディックなフレーズに、パワフルなヴォーカルを乗せた
正統派メロパワサウンドは、ますます重厚になり、エピックなコーラスも含めて、MANOWARばりの大仰さにも
いよいよ磨きがかかっている。かつてのRUNNING WILDのような男くさいジャーマンメタルを受け継ぎつつ、
よりドラマティックなフックとエピカルな世界観を描き出す、サウンドの説得力も抜群だ。楽曲は3~4分台中心で、
コンパクトで即効性のある聴き心地なのだが、この濃密さに少し飽きるのも早いかも。
ドラマティック度・・8 重厚度・・8 正統派度・・8 総合・・8 *過去作のレビューはこちら
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MANIGANCE 「Volte-Face」
フランスのメロディックメタル、マニガンスの2014年作
1996年にデビュー、フランス産のメタルバンドとしては最もキャリアのあるバンドだろう。
6作目となる本作は、きらびやかなシンセアレンジとフランス語によるヴォーカルを乗せた
優雅なシンフォニックメタルというべき作風で、メロパワ的な疾走感に加え随所に知的な展開力も覗かせる。
ギターワークの巧みさとメロディアスなフックはこれまでの作品以上で、楽曲ごとにしっかりと聴きどころがある。
英語歌詞以外が苦手という人でないなら、バンドとしての最高傑作というべき内容にうなずけると思う。
ADAGIOのステファン・フォルテ、HEAVENLYのオリヴィエ・ラパウゼなどがゲスト参加。
ドラマティック度・・8 フレンチ度・・8 構築度・・8 総合・・8 *過去作のレビューはこちら
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Season of Ghosts 「The Human Paradox」
シンフォニックメタル、シーズン・オブ・ゴースツの2014年作
BLOOD STAIN CHILDにも参加したギリシャ人女性シンガー、ソフィア嬢をフロントにしたプロジェクトで、
バックを固めるのはイタリア系ミュージシャン。適度なヘヴィさを含んだデジタリィでモダンなアレンジに、
美しい女性ヴォーカルの歌声を乗せた、キャッチーなヘヴィロックというようなサウンド。
ソフィア嬢の歌声は、エフェクトがかかっていることも含めて、実力的には微妙なところであるし、
シンフォニックメタルとしてもゴシックメタルとしても、やや中途半端な方向性に思える。
いうなれば、シンフォニック・エレクトロ・メタルというべきか。壮麗な部分は悪くないので今後に期待。
シンフォニック度・・7 メロディック度・・7 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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SACRED GATE 「Tides of War」
ドイツのヘヴィメタル、セイクレッド・ゲートの2013年作
ジャケのイメージからてっきりギリシャのバンドかつ思ったら、じつはドイツだったのね。
IRON MAIDENあたりを思わせる古き良きギターリフを乗せた正統派のメタルサウンド。
ややダーティな感じのヴォーカルとともに、戦士を思わせるパワフルな勇壮さもあって、
MANOWARあたりのファンにも楽しめそうだ。ミドルテンポを主体にした楽曲には
目新しさはさほどないので、正統派のエピックメタルが好きな方でないとつらいかもしれないが、
テルモピュライの戦いをテーマにしたラストの12分の大曲など、気合の入った力作です。
ドラマティック度・・7 正統派度・・8 エピック度・・8 総合・・7.5
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H.e.a.t 「Address The Nation」
スウェーデンのメロディアスハードロック、ヒートの2012年作
デビュー作はまさに古き良き北欧メロディアスハードの王道ともいうべき好作であったが、
本作ではソロシンガーとしての地位を確立していた、エリク・グロンウォールを新たに迎え、
色気のある見事な歌声を乗せた、骨太のハードロックを聴かせる。北欧らしい透明感あるシンセアレンジに、
うるさすぎず軽すぎない抜群のギターワークとともに、メロディックかつキャッチーなフックに包まれている。
かつてのEUROPEにも匹敵するクオリティとセンスを感じさせる、これは楽曲充実の傑作だ。
メロディック度・・8 キャッチー度・・8 正統派HR度・・9 総合・・8
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King's X 「Ogre Tones」
アメリカのハードロック、キングス・エックスの2005年作
デビューは80年代のベテランバンドで、骨太のハードロックにRUSHを思わせる知的なセンスを融合したり、
時代的なグランジ色を取り入れたりと、玄人好みのバンドとして密かに人気を得ながら地道に活動を続けている。
本作はもういったい何作目なのかは分からないが、今作はレーベルがプログレ系のINSDE OUTなので買ってみた。
ヘヴィなリフと叙情的なクリーントーンを使い分けるタイ・テイバーの絶妙なギターワークを中心にした、
トリオ編成らしいどっしりとしたアンサンブルに、キャッチーなコーラスワークを含んだメロディック性で、
落ち着いた味わいの聴き心地だ。かつてのGALACTIC COWBOYSあたりにも通じるセンスの良さと
適度なユルさが心地よい、いわば大人の叙情ロックが楽しめる好作品。
メロディック度・・8 知的センス・・8 大人のロック度・・9 総合・・8
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FOREST OF SHADOWS 「Departure」
スウェーデンのゴシック・ドゥームメタル、フォレスト・オブ・シャドウスの2004年作
バンドではなく個人ユニットのようで、美しいシンセアレンジに寂しげなヴォーカルの歌声を乗せた
メランコリックなサウンドで始まる。10分以上の大曲を主体にしたスローで淡々とした聴き心地で、
リフレインされるフレーズとともに、悪く言えば煮え切らない展開の遅さが人によってはつらいかもしれないが、
クリーンヴォーカルの物悲しさから、デスヴォイスを乗せた重厚なパートへとゆったりと変わってゆく様は、
じわじわと押し寄せるダークな迫力に心地よく浸れる。随所にメロウなギターフレーズも入って来て、
初期のKATATONIAを思わせるような叙情性もよいですな。独りフューネラル・ドゥームの力作だ。
ドラマティック度・・8 重厚度・・8 メランコリック度・・9 総合・・8
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FOREST OF SHADOWS 「Six Waves of Woe」
スウェーデンのゴシック・ドゥームメタル、フォレスト・オブ・シャドウスの2008年作
今作では10分を超える曲は1曲のみで、前作ほどゆったりしたフューネラルな感じは薄い分、
ゴシックメタル的にも楽しめるサウンドである。マイルドなノーマルヴォーカルと
湿り気のある叙情性を含んだギターフレーズにシンセが合わさった重厚な聴き心地と
アコースティカルなパートがふっと現れる、知的な展開力はOPETHあたりにも通じるか。
適度にノリのよいミドルテンポのナンバーなど、メランコリックな感触は残しつつ、
前作に比べてキャッチーな聴きやすさも増した。ダークな雰囲気はやや薄まったが、
むしろゴシックメタル的には傑作と言ってよい内容ですな。
ドラマティック度・・8 重厚度・・8 メランコリック度・・9 総合・・8
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WOLVERINE 「Still」
スウェーデンのプログレッシブ・ゴシックメタル、ウルヴェリンの2006年作
ゴシックメタル的でもあるメランコリックな叙情を含ませつつ、OPETHにも通じる知的な展開力が合わさったサウンド。
マイルドなヴォーカルの歌声に美しいシンセアレンジと、ギターリフが重なった重厚な味わいと、
ポストプログレ系にも通じる繊細で物悲しい叙情パートも含んだ、メリハリあるアレンジセンスもなかなか見事だ。
薄暗い叙情性とメタルとプログレ性の融合という点では、RVERSIDEあたりが好きなリスナーにも楽しめるだろう。
ドラマティック度・・8 メランコリック度・・8 知的アレンジ度・・8 総合・・8
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In The Woods 「Live at the Caledonien Hall」
ノルウェーのプログレッシブ・ゴシックメタル、イン・ザ・ウッズのライブ作品。2003年作
1995年にデビュー、1999年までに3作を残したバンドの、2000年ノルウェーでのライブを収録した2CD。
サウンドの方はサイケデリックな浮遊感を漂わせた、アトモスフェリックなゴシックという聴き心地で、
プログレッシブでもある知的な展開力も含めたサウンドは、むしろメタル化したPINK FLOYDという感触もある。
男性ヴォーカルをメインにときに女性ヴォーカルも加わって、1stアルバムからの激しめのナンバーなども披露。
ツインギターによるメロウなフレーズも含めて薄暗い叙情性と神秘的な妖しさも、ライブにおいてもしっかり伝わってくる。
2000年に出した企画アルバム「Three Times Seven on a Pilgrimage」が気に入ったかたなら楽しめるはず。
JEFFERSON AIRPLANE“White Rabbit”、KING CRIMSON“Epitaph”のカヴァーも演奏しています。
ライブ演奏・・8 薄暗度・・8 サイケ・ゴシック度・・8 総合・・8 *過去作のレビューはこちら
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EMPYRIUM 「Weiland」
ドイツのフォーク・ゴシックメタル、エンピリウムの2002年作
1996年にデビューして本作が4作目となる。ジェントルなドイツ語の歌声にアコースティックギターのつまびき、
随所にフルートやチェロの音色も含んだ、クラシカルなゴシック・フォークサウンドである。
初期のようなメタル色はほぼ皆無であるが、うっすらとしたメロトロンが鳴り響くと
プログレ的な心地よさもあって、薄暗い叙情美に包まれた繊細な聴き心地が楽しめる。
ペイガン的でもある幻想的な雰囲気もよい感じで、ときにダミ声ヴォーカルが入ってくると、
メタルルーツの名残を垣間見せる。ゲルマンなネオフォークというべき好作品だ。
ドラマティック度・・8 メタル度・・3 薄暗度・・9 総合・・8 *過去作のレビューはこちら
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Frozen Dawn 「Those of the Cursed Light」
スペインのブラックメタル、フローズン・ダウンの2014年作
女性ベーシストを含む4人編成で、ツインギターのリフとともに激しいブラスト疾走する、
DARK FUNERALやDISSECTIONあたりを思わせる、オールドスタイルのブラックメタル。
甘すぎない程度にメロディを盛り込みつつ、早過ぎない暴虐過ぎない疾走感は、
まさにあの頃の北欧ブラックメタルの聴き心地である。これという目新しさはないのだが、
古き良き北欧メロブラが好きな方にはたまらない好作品だろう。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・7 古き良き北欧メロブラ度・・8 総合・・8

Movimento d'Avanguardia Ermetico 「Torri Del Silenzio」
イタリアのプログレッシブ・ブラックメタル、モヴィメント・ド・アヴァンガーディア・エルメティコの2015年作
イタリア語の語りによるイントロから、曲が始まるとダミ声ヴォーカルとトレモロのギターリフを乗せてブラスト疾走、
荒涼とした叙情性とミステリアスな空気感に包まれたサウンドは、Wolves in the Throne Roomなどに通じる
ネイチャーブラック系ともいうべき質感である。10~16分の大曲4曲という構成で、随所にイタリア語の語りも入ったり、
長尺ながらも適度に緩急の付いた構成には、プログレッシブで知的なセンスも感じさせる。
もう少しドラマティックな盛り上がりや、フックのある展開があればよいとも思うが、
この淡々とした感じがうるさすぎずに良いのかもしれない。神秘的な世界観に浸れる方へ。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・7 ミステリアス度・・9 総合・・8
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HOPE DRONE 「Cloak of Ash」
オーストラリアのポストブラックメタル、ホープ・ドローンの2015年作
トレモロのギターリフを乗せて激しくブラスト疾走、いくぶんこもり気味の音質も含めて、
Wolves in the Throne Roomあたりに通じる、荒涼としたミステリアスな雰囲気のサウンド。
のっけから20分の大曲で、その後も10分を超える大曲が続くという大作志向も凄いが、
バンド名のようにドローン的な要素も含めて、スローパートと疾走部分の振り幅が大きいのも特徴だろう。
トータル80分近い作品なので気が短い人には向かないが、スケール感のあるミステリアス・ブラックの力作だ。
ドラマティック度・・7 暗黒度・・8 ミステリアス度・・8 総合・・7.5
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Mourning Mist
イタリアのドゥーム・ブラックメタル、モーニング・ミストの2015年作
ヴァイオリンが妖しく鳴り響き、ドゥーミーなダークさで聴かせる、妖しげでカルトなサウンドだが、
淡々と歌っていたヴォーカルが絶叫しだすと、とたんにブラックメタル寄りの雰囲気になる。
激しいブラスト疾走というものはほとんどないが、ときに変則リズムを含んだプログレッシブな感触と
ヴァイオリンによるクラシカルな旋律がアクセントになっていて、なかなか一筋縄ではいかない。
暴虐でもなく、暗黒度もそこそこでメロディックでもないという、正直、聴かせ所がどこなのかとても微妙な作品。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・6 ミステリアス度・・8 総合・・6.5
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WILL'O'WISP 「Inusto」
イタリアのプログレッシブ・デスメタル、ウィル・オー・ウィスプの2015年作
DARK LUNACYのベース、元SADISTのドラムらによるバンドで、東洋的な雰囲気を取り入れた旋律と、
ブラスト入りでたたみかけるブルータルな激しさに、デジタリィなシンセなどを含んだアレンジと、
緩急の唐突な展開で聴かせる、カオティックコア寄りのサウンド。モダンなDjent風味も含んだ
テクニカル性を前に出しつつも、曲によってはヴァイオリンやフルートの音色や女性スキャットを乗せた
優雅な浮遊感もあったりと、一筋縄ではいかない。プログレッシブデスとしてはSADISTに通じる部分もあり、
よりアヴァンギャルドな得体の知れなさもよい感じだ。ヘンテコなバンドが好きな方には密かにお薦めデス。
ドラマティック度・・7 テクニカル度・・8 アヴァンギャル度・・8 総合・・7.5
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DOOMSHINE 「The End Is Worth Waiting for」
ドイツのエピック・ドゥームメタル、ドゥームシャインの2015年作
2004年にデビュー、本作は5年ぶりとなる3作目で、ツインギターのリフに朗々としたヴォーカルで聴かせる、
CANDLEMASSやSolitude Aeturnususを思わせる正統派のエピック・ドゥームメタルに翳り無し。
10年以上たっても、まったく変わらないサウンドをやっているというのが素晴らしい。
楽曲は6~10分台と長めだが、適度にノリのあるリズムと随処に叙情的なフレーズを含んだ
正統派のヨーロピアンメタル寄りの質感もあるので、ドゥーム初心者にもとっつき安いだろう。
さほど緊張感のない淡々とした盛り上がりのなさを、つまらないと思う方には微妙かもしれないが。
ドラマティック度・・7 ドゥーム度・・7 正統派度・・8 総合・・7.5
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MIRROR
ギリシャ&イギリスのサタニックメタル、ミラーの2015年作
SATAN'S WRATH、元ELECTRIC WIZARDのなどのメンバーによるバンドで、サウンドは
かつてのANGEL WITCHなど、80年代話思わせる古き良き感触のカルトなメタルサウンド。
ツインギターのリフにハイトーンヴォーカルを乗せサイケ気味の妖しい浮遊感を含んだ聴き心地は、
適度なB級感も含めてニヤリとする。ヘヴィ過ぎない適度なユルさも絶妙で、
ドゥームメタル的なアナログ感も含めて、オールドなリスナーにこそお薦めしたい。
ドラマティック度・・7 古きを良き度・・8 カルトメタル度・・8 総合・・7.5
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SUNSET IN THE 12TH HOUSE 「Mozaic」
ルーマニアのスラッジ系ポストメタル、サンセット・イン・ザ・トゥウェルブス・ハウスの2015年作
うっすらとしたシンセにツインギターによるヘヴィなリフが絡み、スラッジ的でもあるアナログ感と
ポストロック的なスケール感が合わさったというサウンド。ダークなドゥームメタルとしても楽しめる部分もありつつ、
クリーントーンのトレモロのリフを乗せた、ALCESTなどを思わせるポストプラック風味や、中近東的な旋律を乗せたナンバーなど、
プログレッシブな感性も光っている。10分を超える大曲など、知的な構築力とゆったりとした叙情性に包まれた聴き心地で、
ミステリアスな雰囲気でじっくりと描いてゆく作風ながら、反面、明快な盛り上がりや展開は薄いので、即効性を好む方には向かないか。
ドラマティック度・・7 重厚度・・8 ミステリアス度・・8 総合・・7.5
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4/9
ベビメタ2nd登場!(136)


BABYMETAL 「Metal Resistance」
日本のアイドルメタル、ベビーメタルの2016年作
キュートなアイドルと激しいメタルの融合という、強烈なインパクトのデビュー作に続き、満を持しての2作目となる。
のっけからDRAGONFORCEばりの疾走曲で圧倒的なスピード感に圧倒されつつ、キャッチーなサビメロは一緒に口ずさみたくなる。
続いて先行PVにもなっていた“KARATE”の、外国人向けのクールなジャパニズムとキャッチーなエピック性も心地よく、
“あわだまフィーバー”ではモダンなヘヴィネスとたわいない歌詞の合わさった、まさしく「カワイイメタル」に軽くのけぞる。
前作“紅月”の続編のような、SU-METALの伸びやかな歌声で疾走する“Amore-蒼星-”のロマンティシズムに聴き入り、
“META!メタ太郎”の応援歌風味とバックのヴァイキング風味の斬新さには、思わずくすりとなりつつも拳を握るのだ。
いかにもジャパメタらしいキャッチーな聴き心地の“シンコペーション”、そして“Sis.Anger”のデスメタルな激しさに慄然となり、
オーケストラ入りのバラード曲“No Rain No Rainbow”にはうっとり。アルバム後半はDREAM THEATERを思わせる、
変拍子入りのテクニカルなナンバー“Tales of Distinies”の凄さに驚嘆し、ラストは壮大な“The One”で締めくくる。
前作ほどのカウンターカルチャー的衝撃はないが、よりメタルサイドを意識したような楽曲は、むしろメタラーにとっては入りやすいと思う。力作デス!
メロディック度・・8 しっかりメタル度・・9 カワイイ度・・8 総合・・8.5 *過去作のレビューはこちら
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SEBASTIEN 「Dark Chambers of Deja Vu」
チェコのメロディックメタル、セバスティアンの2015年作
前作から5年ぶりとなる2作目で、適度にモダンなヘヴィさとシンフォニックなアレンジで、
ドラマティックなシンフォニックメタルを聴かせる。マイルドな味わいのヴォーカルとともに
キャッチーなメロディアス性も含んだサウンドは、KAMELOTやSERENITYなどに通じる感触である。
楽曲は3~4分台中心で、ミドルテンポ主体であるが、メロディックなフックの点もぐっと魅力が増していて、
ギターのリフとフレーズにも説得力があって、表現力あるヴォーカルの歌唱ととも重厚なドラマ性を描いてゆく。
SIRENIAの女性シンガー、アイリン嬢や元BLACK SABBATHのトニー・マーティン、
ザッカリー・スティーブンス(SAVATAGE)、ローランド・グラポウ(MASTERPLAN)などがゲスト参加。
ドラマティック度・・8 メロディック度・・8 重厚度・・8 総合・・8
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ZephyrA 「Mental Absolution」
スウェーデンのエクストリームメタル、ゼフィラの2015年作
女子プロレスラーのようなモヒカンヘアーの女性シンガーを擁するバンドで、
スラッシーなギターリフと随所にメロディックなテイストも覗かせながら、
低音のグロウルヴォイスとノーマルな女性声を使い分けるアサ嬢の歌声が乗る。
基本はミドルテンポを主体にモダンなヘヴィネスと激しい疾走パートも織り交ぜつつ、
美と醜のコントラストというようなメリハリのある構成で、楽曲には適度に叙情性もあり、
ノーマルの女性声は案外キュートだったりして意外と聴きやすい。今後の成長に期待したい。
ドラマティック度・・7 重厚度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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WHITE EMPRESS 「Rise of the Empress」
アメリカのエクストームメタル、ホワイト・エンプレスの2014年作
元CRADLE of FILTHのギタリストを中心に、女性Vo、女性Bにシンセを含む6人編成で、
モダンな硬質感をともなった重厚さとシンフォニックなシンセアレンジによる荘厳な世界観に、
強烈なスクリームヴォイスと女性声を使い分けるメアリー嬢の歌声を乗せたサウンド。
ブラストビートを含んだデスメタル的な激しさと、クレイドルにも通じる耽美な妖しさが合わさって、
The Agonistのようなモダンな女性声エクストリームメタルにヨーロピアンなテイストを付加したような感触だ。
タイトなドラムも含めて確かな演奏力も光るのだが、楽曲そのものの展開やフックの魅力はまだまだという印象。
全体的にはデス声メインの曲が多いので、個人的にはノーマルの女性声パートがもっとあればと思う。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・7 モダン度・・8 総合・・7.5
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ANNIHILATOR 「Suicide Society」
カナダのスラッシュメタル、アナイアレイターの2015年作
1989年のデビュー作から数えて15作目となる本作は、ジェフ・ウォーターズ自らがヴォーカルをとり、
ギター、ベースをプレイするという、6th「REMAINS」以来の準ソロアルバム的な作品となっている。
相変わらずキレのよいクールなギターワークは健在で、シンプルでいくぶんキャッチーな感触は
MEGADETHに接近したような印象もある。一方ではスラッシーで激しい疾走ナンバーや、
ダークな叙情を感じさせるスローなナンバーなどもあって、楽曲ごとにダーティに吐き捨てたり、
じっくりと歌い上げたりもするジェフのヴォーカルもなかなか頑張っているのであった。
昔と今が混ざりあったような曲調に富んでいて、いわば大人のアナイアが楽しめる好作品です。
ドラマティック度・・7 インテレクチュアル度・・8 アナイア度・・8 総合・・8 *過去作のレビューはこちら
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HAMMERCULT 「Built for War」
イスラエルのスラッシュメタル、ハンマーカルトの2015年作
前作もオルールドスタイルの強力なスラッシュメタル作品であったが、本作はドラマティックなイントロから、
エピックな香りを漂わせ、ツインギターによる硬質なリフと強烈な吐き捨てヴォーカルを乗せて激しく疾走開始。
古き良き王道のスラッシュメタルを基本にしながらも、KREATORやPARADOXなどにも通じるような
ドラマティックな重厚さも感じさせる。随所に甘すぎない程度にメロディックなギターフレーズも覗かせ
ときに緩急のついたリズムチェンジとともに、迫力あるサウンドの説得力もぐっと増してきている。
楽曲は3分前後がほとんどでシンプルな潔さも爽快だ。これぞヨーロピアン・スラッシュの傑作ですな。
ドラマティック度・・8 疾走度・・8 重厚度・・8 総合・・8
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MEGADETH「Super Collider」
アメリカのベテランスラッシュメタル、メガデスの2013年作
通算14枚めのアルバムで、エッジの効いたギターリフとムステインのヴォーカルを乗せ
ダークな感触で聴かせる1曲目は、いかにもメガデスらしい安定感である。2曲目以降は、
メロディックでキャッチーなナンバーもあるが、メタリックな硬質感をしっかり同居させていて、
軟弱になったということではなく、いわば「大人のメガデス」といった余裕の作風が味わえる。
派手なインパクトというのはないので、一聴しての物足りなさはあるが、安心して楽しめる好作ではある。
ラストは何故か、THIN LIZZY“Cold Sweat”のカヴァー。悪くはないですが、いまさらどうしてコレなのという。
ドラマティック度・・7 インテレクチュアル度・・8 安定度・・8 総合・・7.5 *過去作のレビューはこちら
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Sadist 「Hyaena」
イタリアのプログレッシブ・デスメタル、サディストの2015年作
前作から5年ぶりとなる7作目で、キレのあるクールなギターリフを乗せたテクニカルな構築力に、
妖しくフルートが鳴り響く1曲目は、イタリアンプログレ的なミステリアスな空気感をまとわせたサウンド。
2曲目以降も変則リズムを含む知的なアンサンブルに、随所に美しいシンセアレンジも覗かせた、
プログレメタル的な感触で、ダミ声ヴォーカルを乗せながらも、ヘヴィになりすぎないところがポイント。
キャッチーな明快さというものはほとんどなく、曲によってはモダンなカオティックコア風味も感じさせるなど、
アヴァンギャルドなセンスが随所に光っている。全体的には、メロディアス過ぎない、激しすぎないという、
抜けの悪さがむしろ硬派な味にもなっていて、玄人好みの老獪な好作品と言ってよいかと。
ドラマティック度・・7 テクニカル度・・7 知的クール度・・8 総合・・8 *過去作のレビューはこちら
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At the Gates 「At War With Reality」
スウェーデンのメロディック・デスメタル、アット・ザ・ゲイツの2014年作
IN FLAMESやDARK TRANQUILLITYとともに、北欧メロデスの創世記を支えた重鎮バンド。
90年代に4作を残して消えてしまうが、2008年に復活ライブを行い、本作は復活のスタジオ作だ。
硬質でクールなギターリフと吐き捨てヴォーカルを乗せて疾走するデスラッシュ的な感触に、
甘すぎない叙情性を含んだサウンドは、かつての「Slaughter of the Soul」を思わせる、
あの頃のアットメザ・ゲイツ節である。The Hauntedを通過したスタイリッシュな感じもいくぶんあるが
ダークなヘヴィネスを巧みに取り込んだことで、古臭さを感じさせない見事な仕上がりとなっている。
ドラマティック度・・7 疾走度・・8 アット・ザ・ゲイツ度・・9 総合・・8 *過去作のレビューはこちら
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ARCANUM SANCTUM 「Veritas Odium Parit」
ロシアのメロディック・デスメタル、アルカナン・サンクトゥムの2012年作
Vo&G、B、Drというトリオ編成のバンドで、北欧メロデス的なリフとダミ声ヴォーカルを乗せて疾走する
古き良き王道のメロデスサウンド。メロディックなギターフレーズもよい感じで、AT THE GATESや
かつてのINFLAMESなどが好きな方は思わずにやにやだろう。楽曲は3~4分台と比較的シンプルで、
全8曲というのもやや物足りないのだが、The Duskfallのように適度にモダンな感触も含めて、
90年代の北欧メロデスのスタイルが好きな方はけっこう楽しめるはず。
メロディック度・・8 疾走度・・7 古き良きメロデス度・・8 総合・・7.5
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DIEMONDS 「NEVER WANNA DIE」
カナダのハードロック、ダイアモンズの2015年作
前作は80年代的なオールドスタイルの女性声ハードロックの好作であったが、
本作もパワフルな女性ヴォーカルを乗せた、古き良き感触の骨太のHRが炸裂する。
ジャケのイメージはスラッシュかデスメタルのようだが、むしろメロディはキャッチーで
プリーヤ嬢の歌唱も含め、かつてのアメリカンHRを思わせるメジャー感も漂わせている。
楽曲はほとんどが3分台で、展開やフックの点ではさして新鮮味はないが、
シンプルなノリの良さという点では多くのリスナーが楽しめるサウンドだろう。
メロディック度・・7 骨太HR度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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WILL WALLNER & VIVIEN VAIN 「The Battle of Clyst Heath」
イギリス人ギタリスト、ウィル・ウォールナーとアメリカ人女性シンガー、ヴィヴィアン・ヴェインのユニット。2015年作
1曲目は意外にもヴァンゲリスのカヴァーで、うっすらとしたシンセをバックにメロウなギターを乗せたインストナンバー。
2曲目からはハスキーな女性ヴォーカルの歌声を乗せた、古き良きHR/HM色を感じさせるサウンドで、
随所にテクニックのあるギターフレーズも含んだ、どっしりとしたパワフルな聴き心地だ。
ヴィヴィアンさんの歌声は派手やかさではなく、かつてのVIXENのような中音域で聴かせるタイプで、
楽曲自体も目新しさがなさ過ぎて、80~90年代の未発作品と言われれば信じてしまいそうなほど。笑
もう少しキャッチーなメロディがあるとよいのだが。ラストはゲイリー・ムーアのカヴァーというのも渋いです。
ドラマティック度・・7 古き良き度HR・・8 女性Vo度・・8 総合・・7
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IVANHOE 「7 DAYS」
ドイツのプログレメタル、アイバンホーの2015年作
デビューは1994年というキャリアのあるバンドで、本作はおそらく7作目。
重厚なギターリフとシンセアレンジを乗せて、変則リズムを含んだ知的な展開力で
90年代DREAM THEATERをモダンに深化させたような正統派のProgMetalサウンドを聴かせる。
深みのあるヴォーカルの歌声と随所に聴かせるメロディックなギターフレーズもよろしく、
ドラマティックな叙情性を描き出すその世界観は、これまで以上に説得力をまとわせている。
同郷のVANDEN PLASやDREAMSCAPEなどにもひけをとらない重厚な力作です。
ドラマティック度・・8 テクニカル度・・7 重厚度・・8 総合・・8
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Lord of Mushrooms
モナコ公国のプログレメタル、ロード・オブ・マッシュルームスの2002年作
先に日本盤で2nd以降を聴いていたのだが、遅まきながら1stアルバムをゲット。
キャッチーなメロディアス性とテクニカルな構築美で聴かせるサウンドは、
本作の時点ですでに十分にクオリティが高い。変拍子入りのアンサンブルに
曲によってはジャズロック的な優雅さもあったりと、バンドとしてのセンスの良さが光り、
8分、9分という長めの楽曲を構築する知的なアレンジ力も見事。マイルドなヴォーカルと、
美しいシンセアレンジなども含めて、プログレリスナーにも十分楽しめる好作品だ。
メロディック度・・8 テクニカル度・・8 構築センス・・8 総合・・8
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4/2
桜も満開です!(122)


Magic Kingdom 「Savage Requiem」
ベルギーのメロディックメタル、マジック・キングダムの2015年作
IRON MASKでも活躍するダッシャン・ペトロッシ率いるバンドの5年ぶりとなる4作目。
のっけからHELLOWEEN+STRATOVARIUSというようなメロディを乗せ、ハイトーンヴォーカルとともに
きらびやかに疾走する、ネオクラ風のメロディック・スピードメタルサウンドににんまりである。
IRON MASKに比べるとクサメロ感覚が強いこともあって、メロスピ&シンフォメタル系向けのサウンドで、
ヴァイキングメタル調のミドルテンポ曲なども、疾走曲の合間でよいアクセントになっている。
全体的にはこれという新鮮味はないのだが、濃密さとクオリティの高さで許せてしまうわけで。
メロディック度・・8 疾走度・・8 きらびやか度・・8 総合・・8 *過去作のレビューはこちら
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Seyminhol 「Wayward Son」
フランスのシンフォニックメタル、セイミンホルの2015年作
結成は90年代というなにげにキャリアのあるバンドで、本作はコンセプト的なストーリーに基づいた作品で、
ハイトーンヴォーカルを乗せた正統派メロパワのスタイルに、随所にオーケストラルなアレンジを盛り込んだ
シンフォニックなスケール感を漂わせる。楽曲の合間に小曲やSEを盛り込んだ構成とともに、
Thy Majestie辺りに通じるエピックな世界観がよい感じだ。ただ、楽曲ごとのメロディのフックという点では
いささか物足りなさもあり、細かなアレンジなどに詰めの甘さがあるので、まだB級から抜け切れていない。
ときに女性ヴォーカルが加わったりと、部分的にはぐっとくる部分もあるので、あとは全体の完成度を高めてもらいたい。
ドラマティック度・・8 重厚度・・8 楽曲・・7 総合・・7.5
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NOMANS LAND 「Last Crusade」
ロシアのペイガンメタル、ノーマンズ・ランドの2015年作
前作から6年ぶりとなる5作目で、ツインギターのリフと叙情的なフレーズにダミ声ヴャーカルを乗せて、
勇壮なサウンドを描く、かつてのMITHOTYNにも通じる正統派のペイガン/ヴァイキングメタルサウンド。
ほとんどシンセを使わないギター主導のスタイルなので、むしろ90年代を思わせる古き良き感触で、
オールドなメロパワ的にも楽しめる聴き心地だ。適度なクサメロ感と辺境らしさもよい感じで、
エピックなコーラスなども含めて、いまどきのきらびやかなバンドに飽きている方にもお薦めしたい。
ドラマティック度・・8 ペイガン/ヴァイキング度・・8 勇壮度・・9 総合・・8
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ZGARD 「Totem」
ウクライナのペイガン・ブラックメタル、ザガードの2015年作
ギター、ベース、シンセをこなす、Yaromisl氏の一人ユニットで、なにやら妖しげなイントロから始まり、
寒々しい叙情性を含んだギターフレーズに甲高い絶叫ヴォーカルを乗せた、辺境的なブラックメタルが広がってゆく。
随所に激しいブラスト疾走も含みつつ、うっすらとしたシンセアレンジが幻想的な雰囲気をかもしだし、
ウクライナの民族フルート…Sopilkaの音色も加わった土着的な感触がいい味わいになっている。
楽曲はすべて7~9分と長めであるが、ゆったりとしたフォーキーなナンバーもあったりと、
雰囲気ものとしてのプリミティブな神秘性に包まれていて、妖しい夜の気配に浸ることができる。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・8 神秘的度・・9 総合・・8
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EMERALD NIGHT 「In The Dark」
ロシアのペイガンブラックメタル、エメラルド・ナイトの2015年作
美しい女性ヴォーカルと、ダミ声&ノーマル男性ヴォーカルのロシア語の歌声が絡み、
適度なシンフォニック性と垢抜けない辺境性を同居させた、ペイガン・ブラックサウンド。
随所に疾走パートもあるが邪悪な激しさというよりは、ローカルな牧歌性に包まれた雰囲気で、
案外ゆったりと楽しめる。ギターはクサメロ的なフレーズも奏でたり、重すぎない聴き心地が
むしろ幻想的な田舎臭さを描いていて、フォーキーなメロディと女性声の味わいもよいですな。
ラスト曲は何故かMercyful Fateのカヴァーだが、これが妖しい仕上がりでなかなか悪くない。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・7 ローカル度・・8 総合・・7.5
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ABIGAIL WILLIAMS 「The Accuser」
アメリカのブラックメタル、アビゲイル・ウィリアムズの2015年作
アルバムごとに方向を変えながら、解散やメンバーチェンジといった紆余曲折をへて、本作は4作目となる。
前作でのポストブラック路線から一転、今作はザリザリとしたギターリフとダミ声ヴォーカルを乗せて疾走する
本格派のブラックメタルスタイルで、激しいブラストパートとスローパートの緩急のついた展開とともに、
強力なサウンドを聴かせてくれる。適度にプリミティブな荒々しさと、邪悪な妖しさを含んだ雰囲気で、
楽曲によってはメロディックな叙情性もいくぶん垣間見せつつ、あくまで硬派なスタイルを貫いている。
荘厳な迫力に包まれた暴虐なる原初的ブラックメタルへと回帰した力作です。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・8 邪悪度・・8 総合・・8 *過去作のレビューはこちら
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HAAR 「The Wayward Ceremony」
イギリスのブラックメタル、ハールの2015年作
ツインギターの5人編成で、デプレッシブなダミ声ヴォーカルを乗せて激しく疾走しつつ、
プログレッシブで知的な構築力も感じさせるサウンド。10分前後の大曲も多く、
重厚なスローパートを説得力たっぷりに聴かせる禍々しい音の迫力も十分。
緩急の付いたアレンジと展開力にもバンドとしての実力を感じさせ、
ざらついたギターリフでたたみかけながらときにトレモロの叙情性も覗かせる。
ダークなスケール感を含んだ、まさに新世代のモダン・ブラックメタルの力作だ。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・7 重厚度・・8 総合・・8
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Maelstrom 「Sunlight」
イギリスのモダンブラックメタル、メイルストロムの2015年作
シンセを含む5人組で、ジャケ裏の全員ネクタイ姿のメンバー写真が異様だが、サウンドの方は、
モダンなヘヴィネスを含んだギターに、美しいシンセアレンジとダミ声ヴォーカルを乗せて、
変則リズムとともに聴かせるというスタイルで、むしろカオティックコア風味の聴き心地である。
ノーマル声も絡ませたメタルコア的な質感と、邪悪なブラックメタルを要素として融合させた感じで、
随所にブラストビートも入った激しさもあるのだが、本物の暗黒性というものを感じない。
いわば、若手らしいミクスチャー感覚でブラックメタル要素を取り込んだサウンドと言えるだろう。
どうせならさらにアヴァンギャルドに、いっそプログレ・ブラック化してもよいのではと思う。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・7 モダンセンス・・8 総合・・7.5
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ANTAGONISTE 「The Myth of Mankind」
フランスのアヴァン・ブラックメタル、アンタゴニステの2015年作
適度にモダンなツインギターに、囁くような吐き捨てヴォーカルを乗せ、随所に暴虐なブラスト疾走を含ませつつ、
プログレッシブで知的な構築センスも感じさせるサウンド。絡みつくようなギターリフは、ノイジーではあっても
重すぎることなく、むしろテクニカルで整然とした冷徹さをまとわせている。スペイシーなスケール感とともに
どこか殺伐とした不穏な邪悪さを描くような、得体のしれない迫力というものが見え隠れする。
一方ではスローテンポのドゥームめいたナンバーもあったりと、一筋縄ではいかない。
アヴァンギャルドでアーティスティックなセンスに覆われた異色のアヴァン・ブラックメタル作品。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・8 知的センス・・8 総合・・8
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ORAKLE 「Eclats」
フランスのアヴァン・テクニカルメタル、オラクルの2015年作
ツインギターの複雑な絡みとうっすらとしたシンセアレンジ、変則リズムを含んだプログレッシブな味わいのサウンドで、
マイルドなノーマルヴォイスとデスヴォイスを使い分けたモダンな感触は、Between The Buried and Meなどの
カオティック・コア系の雰囲気にも近い。テクニカルで知的な構築力と、随所に激しいブラストパートも含んだ
緩急のついた展開はなかなか面白く、フランス語によるヴォーカルの優雅な味わいも個性になっている。
適度な叙情性も覗かせつつ、先の読めないアヴァンギャルド性と冷徹な知性がサウンドを巧みに彩っていてる。
ヨーロピアンなカオティックコア、あるいはモダンなプログレッシブ・メタルとしても楽しめる強力作だ。
ドラマティック度・・8 テクニカル度・・8 知的センス・・9 総合・・8
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ALDEBARAN 「Embracing The Lightless Depths」
アメリカのドゥームメタル、アルデバランの2012年作
25分、29分というふたつの大曲を中心にした構成で、ツインギターのゆったりとしたリフに、
低音デスヴォイスを乗せ、荒涼としたもの寂しさに包まれたフューネラル・ドゥームサウンド。
ドローン的でもあるノイジーなギターとともに、殺伐としたスラッジ系の感触もありつつ、
ツインギターにはうっすらとした叙情も含んでいて、じっくりとダウナーなヘヴィさに浸れる。
なにしろ曲が長いので気の短い方には向かないが、暗黒系フューネラネル・ドゥームの力作だ。
ドラマティック度・・7 重厚度・・8 暗黒度・・8 総合・・7.5
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Garden of Worm
フィンランドのドゥームメタル、ガーデン・オブ・ワームの2010年作
ギター、ベース、ドラムという3人編成で、アナログ感たっぷりのアンサンブルで、
古き良き感触の重厚なドゥームメタルを聴かせる。マイルドなヴォーカルを乗せたやわらかさは、
近年のOPETHあたりに通じる感触もあり、随所にプログレッシブな構築センスも覗かせる。
音数は少ないのだが、うねりのあるリフやフレーズを繰り出すギターのセンスはかなりのもので、
アコースティックギターにメロトロンやフルートの音色が絡む小曲など、叙情的な世界観も素晴らしい。
ゆったりとしたスローテンポからリズムチェンジしてのノリのよいナンバーまで、曲調も案外メリハリに富んでいて、
CANDLAMASS系のエピックドゥームの雰囲気も感じさせる。一本調子ではない知的ドゥームメタルの力作です。
ドラマティック度・・8 重厚度・・7 古き良き度・・9 総合・・8
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WITCHFIELD 「Sleepless」
イタリアのドゥームメタル、ウィッチフィールドの2009年作
ドラム&シンセのトーマス・ハンド・チャステを中心にしたバンドで、
BLACK SABBATHルーツの古き良き感触のギターに、うっすらとしたシンセアレンジと、
ヘタウマのヴォーカルを乗せた、いくぶんマイナー臭いドゥームメタルサウンド。
バンド名やレーベルがBlack Widowであるように、魔女めいた妖しい感触もあるが、
軽めの音質も含めて、雰囲気にさほど強度はなく、ギターリフも凡庸で曲も長いので、
よほどのドゥーム好きでないと厳しいだろう。オルガンの音色などはよいのだが。
全体的には自己満足の出来である。DEATH SSのカヴァーもマニア向けすぎるだろう。
ドラマティック度・・7 ドゥーム度・・7 怪しげ度・・7 総合・・7
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RajnaThe Heady Wine of Praise
フランスのゴシック・アンビエントユニット、ライナの3rd。2001年作
今作はジャケのイメージのようにヒンドゥー教やインド神話をテーマにしているのか、
エスニックなテイストがより強く感じられる作風だ。女性ヴォーカルの歌声も美しく、
前作以上に女性声の表現力が増したことで、音楽的にもより楽しめるようになった。
適度にダークなミステリアス性と、やわらかな聴き心地が合わさって、
比較的バランスのとれた内容なので、エスノ・ゴス初心者でもOKだろう。
ドラマティック度・・7 エスニック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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Rajna 「Hidden Temple」
フランスのゴシック・アンビエントユニット、ライナの2004年作
本作はおそらく5作目で、ジャケのイメージからは古代エジプトをモチーフにしているのだろう。
シタールの響きにタブラのリズム、ウィスパーな女性声による、神秘的なエスノゴシックである。
うっすらとしたシンセをバックに、ダルシマーやブズーキ、マンドリンなどの豊富な古楽器の組み合わせで、
アコースティック部分での音の厚みがサウンドの説得力となっている。ダークな感触は薄めで、
むしろ幻想的な静謐感と美しい女性ヴォーカルにうっとりとなる。エジプトの香りを運ぶような傑作だ。
ドラマティック度・・7 エスニック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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3/19
ウリジョンは必聴でしょう!(107)


Uli Jon Roth 「Scorpions-revisited Vol.1」
ドイツのギター仙人、ウリ・ジョン・ロートのライヴ作品。2015年作
スコーピオンズの40周年ツアーの間に、無観客ホールでレコーディングしたというライヴ音源で、
1973~78年の間にウリが参加した5枚のアルバムから選曲された楽曲をCD2枚組に収録。
1曲目から“カロンの渡し船”で、ウリのスカイギターが雄たけびを上げる。トリプルギターにシンセを含んだ
厚みのあるアレンジに、ヴォーカルのネイサン・ジェームスの歌声もパワフルで楽曲に新たな息吹をもたらしている。
Electric Sun時代からの盟友で、元ZENO、FAIR WARNINGのウレ・リトゲンもベースで全面参加。
ライブらしい躍動感とともに、“ヴァージン・キラー”、“イン・トランス”など往年の楽曲が再現される。
ウリのギターは60歳とは思えない切れ味とさすがの表現力で、古さと新しさを合わせ持ったプレイを
たっぷりと楽しませてくれる。スコーピオンズファン、そしてウリのファンならば必聴の作品だろう。
ドラマティック度・・8 ウリのギター度・・9 スコーピオンズ度・・9 総合・・8.5 *過去作のレビューはこちら
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Code of Silence「Dark Skies Over Babylon」
ドイツのメロディアスハード、コード・オブ・サイレンス2013年作
十字軍兵士のジャケがいかにもエピックメタル的で勇壮な感じなのだが、サウンドの方はというと、
キャッチーなメロディで聴かせる正統派のハードロックなのでした。伸びやかなハイトーンヴォーカルと
美しいシンセアレンジ、優美なコーラスハーモニーにツインギターによる厚みのあるサウンドで、
随所にメタル的などっしりとした感触もある。6分、7分というこの路線のバンドにしては曲が長めなのだが、
ゆったりとしたバラードナンバーも含め、TENあたりにも通じるドラマティックな雰囲気でじっくりと鑑賞できる。
メロデッィク度・・8 キャッチー度・・8 メロハー度・・8 総合・・8
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HELLDORADOS
ドイツのハードロック、ヘルドラドスの2012年作
ギター、ペース、ヴォーカル、ドラムという、オーソドックスな4人編成で、
古き良きロックン・ロールのノリで聴かせる、えらくストレートなハードロック。
歌メロはそこそこキャッチーだが、これというインパクトや新鮮味はなく、
今どきやるかというようなシンプルなロックサウンドに思わず苦笑いするという。
オールドスタイルの正統派ロックが好きな方はチェックしてみてもよいかと。
メロディック度・・7 古き良き度・・8 ロック度・・9 総合・・7
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PORTRAIT 「Crossroads」
スウェーデンの正統派メタル、ポートレイトの2014年作 
WOLF、ENFORCERに続いて登場したオールドスタイルのスウェディッシュ・トラディショナルメタルバンド、
3作目となる本作ではついに日本盤デビュー。叙情的なイントロ曲に続いて、湿り気のあるツインギターと、
KING DIAMONDばりのハイトーンヴォーカルを乗せて、古き良きヨーロピアンなメタルサウンドが広がってゆく。
まったくもって潔いまでの80年代的スタイルであるが、曲によってはリズムチェンジを含む切り返しや
ジャーマンメタル的な疾走感もあってなかなか楽しめる。さすがに新鮮味はまったくないのだが、
ラストは9分の大曲でドラマティックに締めくくる。日本盤ボーナスにはJudas Priestの“Mother Sun”のカヴァーを収録。
ドラマティック度・・7 正統派度・・8 古き良き度・・9 総合・・8 *過去作のレビューはこちら
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EXORISTOI 「Wrath Of Zeus」
ギリシャのエピックメタル、エクソリストリの2006年作
日本人ドラマーを含む5人編成で、オルガンを含むシンセに古き良き質感のギターと
力強くないハイトーンヴォーカルを乗せた、正統派のエピックメタルスタイル。
楽曲は3~4分中心で、わりとシンプルな聴き心地。こもり気味の音質も含めて、
80年代っぽい空気感を漂わせている。どこかなつかしい感じのサウンドであるが、
楽曲ごとの新鮮味やインパクトはさほどない。その中庸感も楽しめる方はどうぞ。
ドラマティック度・・7 古き良き度・・8 楽曲・・7 総合・・7
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ADRANA 「Foreshadow」
フランスのシンフォニックメタル、アドラナの2015年作
前作はKERIONにも通じるクサメロで聴かせるシンフォニックメタルであったが、
本作ではソプラノ女性ヴォーカルの歌声に男性デス声が絡み、シンフォニックなアレンジとともに
いくぶんモダンなヘヴィネスが加わったという重厚な感触だ。アナ嬢のオペラティックなヴォーカルは
なかなか表現豊かで、ダークになったサウンドも含めて、むしろEPICAあたりにも接近したような印象。
クラシカルなテイストと随所に激しい疾走も盛り込んだメリハリに富んだ楽曲構成、ゴシカルな耽美さと
オペラティックな男女声で、濃密かつドラマティックなサウンドを構築してゆく。前作のクサメロ路線もよいが、
今作のシリアスで重厚な作風も捨てがたい。ますます今後が楽しみなバンドですな。
シンフォニック度・・8 重厚度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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Imperia 「Tears of Silence」
ノルウェーのゴシックメタル、インペリアの2015年作
元TRAIL OF TEARSのヘレナ嬢をフロントに2004年にデビュー、本作で4作目となる。
美麗なアレンジと重厚なヘヴィネスに、艶やかな女性ヴォーカルを乗せたサウンドは曲によっては
Nightwishのような雰囲気があって、ゴシックというよりはモダンなシンフォニックメタルに近づいた。
ヘレナ姐さんの歌声は、キュートな可憐さとは無縁の「おねえさま風」なので、正直萌え度は低いが、
その分、熟女好きゴシックメタラーには受けるかもしれない。そんなものいるのか知らないが。
メロディのフックの点でも前作には及ばず、どっちつかずの中庸な作品との印象を受けた。
シンフォニック度・・7 ゴシック度・・7 女性Vo度・・7 総合・・7.5 *過去作のレビューはこちら
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The Gathering 「Downfall」
オランダのゴシックメタル、ギャザリングの未発音源集。2008年作
ギャザリングと言えば、アネク・ヴァン・ガースバーゲン加入後のイメージが強いだろうが、
本作はまだ女性Voが加入前の、1991~93年のデモやライブ音源などを収録したCD2枚組。
ツインギターにシンセを含んだ厚みのあるサウンドで、低音デスヴォイスを含んだ重厚な聴き心地に、
メランコリックな浮遊感が合わさった、当時としてはこの時点でもなかなか個性的なゴシックメタルである。
ドゥーミィなダークさとともに適度な疾走感もあるので案外聴きやすく、あるいはヴォーカルの入らない
インストによるシンフォニックな感触のデモなどもあり、当時のバンドの深化の側面を窺い知ることができる。
Disc2にはCeltic Frostのカヴァーや、ライブ音源を収録。ライブはさほど音質はよくないがバンド初期の貴重な音源である。
ドラマティック度・・7 ゴシックデス度・・8 貴重音源度・・8 総合・・7.5 *過去作のレビューはこちら
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WITCH CHARMER「The Great Depression」
イギリスの女性声ドゥームメタル、ウィッチ・チャーマーの2014年作
女性ヴォーカルをフロントにした、PURSONなどのいわゆる魔女系ドゥームメタルスタイル。
古き良き感触のヘヴィなギターリフに乗る、艶めいたケイト嬢の歌声もなかなか魅力的で、
随所に男性ヴォーカルも絡みつつ、重厚かつ適度にノリもあるサウンドを聴かせてくれる。
本格派のドゥーム感に包まれたダークな雰囲気は、メロディックな愛想はあまりないものの、
うねるようなリフとともに妖しげな空気と濃密さが楽しめる力作だ。
ドラマティック度・・7 ドゥーム度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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HESSIAN 「Bachelor of Black Arts」
アメリカのメタルバンド、ヘシアンの2014年作
Blood CeremonyやWitch Mountainの登場以後、女性フロントの魔女系バンドが増えてきているが、
このバンドも80年代的なNWOBHM色を感じさせるオールドなサウンドで、男女ヴォーカルを乗せた、
なかなか軽快な聴き心地に適度な疾走感とキャッチーな感触もある。軽めの音質も含めて
ドゥームというよりは、むしろAngel Witchなど80年代B級メタルの流れをくむサウンドだろう。
リズムチェンジを含む楽曲のフックや、ややヨレ気味のツインギターの叙情なども嫌いではない。
音の迫力というものはさほどないが、カルトなローカルさも含めて楽しめる方はいかが。
ドラマティック度・・7 古き良き度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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Harrow 「Fallow Fields」
カナダのネイチャーブラックメタル、ハロウの2015年作
土着的な神秘性と、寂寥感ただようダークな世界観に包まれて、ダミ声ヴォーカルを乗せ、
こもり気味のドラムとともに疾走する、WOLVES IN THE THRONE ROOMなどにも通じるサウンド。
こちらの方がよりローカルなスカスカ感が強いので、おどろおどろしい迫力というのはあまりない。
ときにヴァイオリンやチェロの音色が加わった優雅な叙情も覗かせ、14分、8分、8分、12分という
大曲4曲という構成もいかにもな感じであるが、サウンドのチープさが説得力を半減しているのが残念。
カスカディアン・ブラックメタル系のディープなファンなら、それなりには楽しめるでしょう。
ドラマティック度・・8 暗黒度・・7 神秘的度・・8 総合・・7
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MIRZADEH 「Desired Mythic Prid」
フィンランドのシンフォニックブラックメタル、ミルザデアの2014年作
美麗なシンセアレンジとダミ声ヴォーカルを乗せたサウンドで、ミドルテンポを主体にした
あまり激しさのないシンフォニックブラック。ギターのフレーズは随所にクサメロを奏で、
シンフォニックなシンセとともに聴かせる、暴虐さよりもあくまでメロディ重視のスタイルである。
ヴォーカルはときおりノーマル声で歌を乗せたりと、正統派シンフォメタルの質感もあり、
やや単調なドラムが惜しいが、曲によってはときどきブラスト入りの疾走パートもある。
楽曲は3~4分台と比較的シンプルで、全体的にもメロディアスな聴きやすさに包まれた好作デス。
メロディック度・・8 暴虐度・・6 美麗度・・8 総合・・7.5
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JANVS 「Nigredo」
イタリアのポストブラックメタル、ヤンヴスの2014年作
ジャケの感じからしてセンス良さそうな雰囲気であるが、うっすらとしたシンセにトレモロのギター、
ダミ声ヴォーカルを乗せた暴虐さよりも叙情性が前に出た作風。楽曲はスローからミドルテンポ主体で、
激しい疾走感というのはあまりなく、メロウで神秘的な感触は悪くないのだが、同じフレーズが延々と
リフレインされるのはいささかスリリングさに欠ける。ラストは12分の大曲で、リズムチェンジを含んだ展開や
暴虐に疾走するパートも出てきてそれなりに楽しめるのだが、やはりもう一味足りない。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・6 楽曲・・7 総合・・7
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ALDA 「Passage」
アメリカのネイチャー・ブラックメタル、アルダの2015年作
アコースティカルな叙情性とマイルドな男女ヴォーカルの歌声で静かに始まりつつ、、
ダミ声とトレモロリフを乗せた激しい疾走パートへと移行するスタイルで、
一聴して、Wolves in the Throne Roomを思わせる自然崇拝型のブラックメタル。
随所にフォーキーな素朴さも垣間見せながら、アナログ感たっぷりの音質で、
10分を超える大曲を中心に、緩急の付いたメリハリある展開を聴かせる。
全体的には激しさよりも、フォーク風味の牧歌性が前に出た聴き心地で楽しめる。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・7 神秘的度・・8 総合・・7.5
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SHINING 「VI - Klagopsalmer」
スウェーデンのブラックメタル、シャイニングの2010年作
2000年にフルアルバムでデビュー、その暗黒性からデプレッシブ(自殺系)・ブラックメタルとも呼ばれる。
悲しみと苦痛の混じったようなヴォーカルを乗せ、ツインギターの有機的なリフを絡ませて
ミドルテンポを主体に随所に激しいブラスト疾走も含ませた、緩急あるサウンドを聴かせる。
ときにアコースティカルな叙情パートがふっと現れたり、ツインギターが流麗なメロディを奏でるなど、
物悲しくも美しい空気を描き出す。いわばダークな寂寥感というものがバンドのひとつの方向性なのだろう。
ドラムで参加しているのはテクニカルデスのSpawn of Possessionのメンバーなので、演奏の安定感も抜群。
ラストの16分の大曲はプログレッシブな香りをただよわせる。メランコリックな暗闇を骨太に描くような力作だ。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・7 暗黒度・・8 総合・・8
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SHINING 「IX - Everyone Everything Everywhere Ends」
スウェーデンのブラックメタル、シャイニングの2015年作
ミステリアスなイントロ曲から始まる本作は、のっけからプログレッシブな気配を漂わせつつ、
続く2曲目はブラッケン・ロール調の勢いのある疾走に、母国語の凶悪なヴォーカルを乗せた、
ダークにして重厚な世界観が広がってゆく。悲しげなしわがれ声で聴かせるスローなナンバーや
激しいブラスト疾走も織り交ぜつつも、これまで以上に物悲しい叙情が前に出ているという印象だ。
緩急ある知的なアレンジセンスはプログレ的でもあり、アコースティックパートが増した点も含めて、
むしろブラックメタルというよりは、デプレッシブ・メタルの新たな道を切り開くような力作といえる。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・6 メランコリック度・・8 総合・・8
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GRIM FUNERAL 「Abdication Under Funeral Dirge」
スペインのブラックメタル、グリム・フューネラルの2013年作
ノイジーなギターと低音のダミ声ヴォーカルを乗せ、BURZUMを思わせる闇に包まれたサウンド。
フューネラルなダークさと絶望感、19分、15分、25分、15分という大曲による構成も圧巻で、
トレモロのギターリフによる寒々しい叙情性も含めて、暗黒美にどっぷり浸れる作風だ。
ゆったりとしたスローパートから、随所に激しいブラストも入った楽曲のメリハリもあるのだが、
どこかシアトリカルな絶叫ヴォーカルも含めて、長い曲はややクドいと感じてしまうところも。
フューネラルな雰囲気は嫌いではないので、もう少し曲を短くしてください。笑
ドラマティック度・・8 暴虐度・・7 暗黒度・・8 総合・・7.5
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VA/ A Tribute To Emperor 「In Honour Of Icon E 」
ブラックメタルの皇帝、エンペラーのトリビュート作品。2012年作
1991年~2007年にかけて活動した、ノルウェーの大御所ブラックメタルバンド、そのカヴァー作品集。
Svartalv、Saltus、Troll、Infer、Demonical、Helheim、Midnight Odyssey、Silva Nigra、Necrodeath、Horna、
Karpathia、Ancestral Volkhves、Mesmerized、Crionics、Taake、Setherial…といったバンドが参加。
のっけから、1stのイントロまで再現しているというリスペクトぶりで、その後も比較的元曲を尊重してのカヴァーで、
各バンドによる演奏を聴いても、あらためて激しくもメロディックな高い楽曲性をもっていたことが分かる。
Midnight Odysseyによるスペイシーな“宇宙鍵”などは面白いし、CRIONICSによる名曲“The Loss and Curse of Reverence”も
なかなかドラマテイックな仕上がり。TAAKEによる“我は黒魔術師なり”のアナログ感たっぷりのサウンドにもにやり
やはり1st、2ndの曲はよいですな。エンペラーのファンであれば素直に楽しめる1枚。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・8 カヴァー度・・8 総合・・8
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3/5
もう3月ですねえ(89)


Amberian Dawn 「Innuendo」
フィンランドのシンフォニックメタル、アンベリアン・ドーンの2015年作
2008年にデビュー、オリジナルアルバムとしては6作目となる。すでに中堅バンドといってよい存在だ。
本作も美麗なアレンジに女性ヴォーカルの歌声を乗せた、美しいシンフォニックメタルを聴かせる。
カプリ嬢の歌声はソプラノとまではいかないややハスキーなタイプなので、いくぶん好みを分けるかもしれないが、
疾走感のあるノリのよい楽曲と、いくぶんネオクラ風のフレーズも含んだギターとともに、
メロディックにして華麗なサウンドが楽しめる。正直、前作はいまひとつインパクト不足だったのだが、
本作では吹っ切れたような爽快なキャッチーさが心地よい。ファンならば一安心という高品質作であろう。
シンフォニック度・・8 キャッチー度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8 *過去作のレビューはこちら
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Jamie-Lee Smit 「Mon Amour Monique」
ベルギーの女性シンガー、ジェミー・リー・スミットの2015年作
AZYLYAのシンガーでもある彼女のソロで、キュートなヴォーカルをメインにした、
メロディックなロック。ギターは適度にヘヴィなので、キャッチーであってもポップすぎることはなく、
翳りある叙情を含んだゴシックロック的な感触もある。アネク・ヴァン・ガースバーゲンあたりにも通じる
やわらかな浮遊感とアンニュイな空気感もよいですね。英語と母国語を混ぜた歌声も、
異国的で新鮮な響きをかもしだしている。フィメールロック好きはチェックですな。
メロディック度・・8 メタル度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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CANDICE NIGHT 「Starlight Starbright」
Blackmore's Nightのシンガーでもある、キャンディス・ナイトのソロ。2015年作
子供たちをイメージして作った作品ということで、しっとりと優しい彼女の歌声に、
アコースティックギターやフルート、ハープなどの音色などで聴かせる繊細な作風。
やわらかな慈愛に溢れたキャンディスの歌声は、CONNIE DOVERなどにも通じる雰囲気で、
子守歌のような優しさとともに、適度なケルト・トラッド風味も含んで耳に心地よい。
2~3分前後の小曲中心なので最後まですんなり聴きとおせる。リッチー・ブラックモアがゲスト参加。
アコースティック度・・8 しっとりやわらか度・・9 女性Vo度・・9 総合・・8
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Blackwelder 「Survival of the Fittest」
メロディックメタルバンド、ブラックウェルダーの2015年作
SEVEN SERAPHIMのギタリストを中心に、ヴォーカルにはPRIMAL FEARのラルフ・シーパーズ、
ドラムには元ANGRAのアキレスが参加した、いわば多国籍のスーパーバンド。
パワフルなハイトーンヴォーカルとギターリフを乗せた、正統派のメロパワサウンドで、
どっしりとしたアキレスのドラムが重厚にアンサンブルを支え、随所にテクニカルなギタープレイを聴かせる
様式美色と適度にキャッチーなメロディアス性もある。これという新鮮味は薄いもののさすがのクオリティ。
個人的にはもう少しクサメロ感があればと思う。そしてこのメンバーでこれからも活動できるのかという疑問も…笑
メロディック度・・7 正統派度・・8 新鮮度・・7 総合・・7.5
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Damnation Angels 「The Valiant Fire」
イギリスのシンフォニックメタル、ダムネーション・エンジェルスの2015年作
前作もオーケストレーションを全面的に取り入れた壮麗な作風であったが、
今作はジャケの雰囲気からも日本のサムライをテーマにしたコンセプト作らしい。
前作同様にシンフォニックでオーケストラルなアレンジをたっぷり含ませつつ、
楽曲の方はむしろゴシックメタル的な雰囲気に接近。キャッチーなヴォーカルメロディは
フィンランド系ゴシックロックを思わせるマイルドな叙情性をかもしだしている。
8分、9分という大曲は、シネマティックな壮大さを含んでじっくりと聴かせる雰囲気で、
ここに女性Voでも入れば、Nightwishみたいになるのになあ…という美しさがある。
力作ではあるが、全体的には、これだというインパクトのある曲が欲しいと思ってしまう。
シンフォニック度・・8 重厚度・・8 楽曲・・7 総合・・7.5
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DARKING 「Steal the Fire」
イタリアのエピックメタル、ダーキングの2015年作
バンド名といいジャケといい、いかにもなクサさを漂わせているが、サウンドの方も古き良きメタルの感触に
DOOMSWORDにも通じるエピックな勇壮さを含ませた世界観でにんまり。目新しさのないギターリフに
パワフルすぎず弱すぎずというヴォーカルの歌声で、これという新鮮味のない正統派メタルを展開。
一言でいうと、地味なので、せめてクサメロなり、大仰なドラマティック性なりがもっと欲しい気がする。
悪くないが煮え切らないという点で、初期DOMINEのメンバーが参加しているというのも納得だ。
ドラマティック度・・7 エピック度・・7 正統派度・・8 総合・・7
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Javelin 「Fragments of the Inner Shadow」
ドイツのメロディックメタル、ジャベリンの2013年作
ツインギターにパワフルなヴォーカルを乗せて聴かせる正統派のメロパワサウンドで、
勢いよく疾走するナンバーやミドルテンポでじっくりと聴かせるナンバーなど、
全体的に重厚でドラマティックな作風だ。コンセプト的なストーリーもあるのだろう、
ときにVanden Plasあたりにも通じるドラマ性と世界観も覗かせる。
プログレメタルとまではいかないが、知的な構築力も含んだ好作品です。
ドラマティック度・・8 重厚度・・8 正統派度・・8 総合・・7.5
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White Arms of Athena
アメリカのテクニカルメタル、ホワイト・アームズ・オブ・アテナの2015年作
前作はBetween The Buried And Meにも通じる強力な内容だったが、2作目となる本作は、
カオティックコア的な激しさとモダンなヘヴィネスは薄まり、代わりに知的な展開力に、
落ち着いた歌パートやエモーショナルな叙情パートが増えたという印象のサウンドだ。
前作にもあった、エクスペリメンタルなセンスは随所に垣間見せ、スペイシーな浮遊感とともに
11分の大曲をゆったりと描いてゆくなど、バンドとしての深化を模索しているような印象もある。
前作ほどのインパクトはないものの、個性的なバンドが好きな方いかかがでしょう。
ドラマティック度・・7 テクニカル度・・7 エクスペリメンタル度・・8 総合・・7.5
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Skyharbor 「Guiding Lights」
インドのテクニカルメタル、スカイハーバーの2014年作
2枚組の力作であったデビュー作に続き、本作も変則リズムを多用した、いわゆるDjent系というべきサウンドに
エモーショナルなヴォーカルを乗せた、モダンなテクニカルメタルを聴かせる。今作ではさらに優雅なアンサンブルで
フュージョンメタル的なやわらかな感触が強まっていて、失礼ながらインド出身とはとても思えない洗練された作風だ。
楽曲は5~9分と、比較的長めの曲もあるのだが、緩急のついたリズムとインストパートの展開力に、
やわらかなヴォーカルの歌声で聴き疲れしない。メタルというよりはフュージョンプログレ的にも楽しめる力作。
メロディック度・・8 テクニカル度・・8 優雅度・・8 総合・・8
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MALPRACTICE 「Turning Tides」
フィンランドのプログレメタル、マルプラクティスの2014年作
モダンなメタルの感触に、適度にテクニカル性を含んだサウンドで、ヴォーカルはたまにダミ声になったりと、
いくぶんメタルコア的なアグレッシブさも覗かせる。ただ楽曲、演奏ともにこれというインパクトがなく、
シンセが入らないため音の厚みという点でも物足りない。かといってギタープレイが素晴らしいというワケでもないので、
要するに聴きどころがあまりない。メロディのフックもパンチが足りないし、さりとて音の迫力もそれほどないという。
中盤の15分の大曲は悪くないし、キャッチーな歌メロとコーラスもわりとよい感じなので、その方向を伸ばしてもらいたい。
ドラマティック度・・7 テクニカル度・・7 楽曲・・6 総合・・7
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The Safety Fire 「Grind the Ocean」
イギリスのテクニカルメタル、サーフェティ・ファイアの2012年作
テクニカルな変則リズムに、スクリーム気味のヴォーカルを乗せた、モダンなサウンドで、
いわゆるカオティックコアやテクニカル・スクリーモといった雰囲気の聴き心地で、
Between Buried and Meあたりに通じる、緩急のついたヘンタイ気味のせわしない展開と、
適度にエモーショナルな叙情性も含ませた、若手らしいボーダーレス感に包まれている。
より洗練される次作の出来に比べると、まだ荒削りの若さと未完成感を残している。
ドラマティック度・・7 テクニカル度・・8 ヘンタイ度・・7 総合・・7.5
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Avatarium 「The Girl With the Raven Mask」
スウェーデンのドゥームメタル、アヴァタリアムの2015年作
CANDLEMASSの元ベーシスト、レイフ・エドリングが率いるバンドで、
女性ヴォーカルの歌声と重厚なギターリフに、オルガンが鳴り響く、
前作同様の70年代スタイルのヘヴィなドゥームロックサウンド。
同じく魔女系ドゥームのPURSON、Blood Ceremonyに比べると、
メタリックな感触が強く、カルトな妖しさも含みつつどっしりとした聴き心地。
随所に湿り気を含んだ叙情性も覗かせる、前作以上に強力な傑作です。
ドラマティック度・・8 重厚度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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Saturnalia Temple 「To the Other」
スウェーデンのドゥームメタル、サターナリア・テンプルの2015年作
元TherionのTommy Erikssonを中心にしたバンドで、前作もなかなか強力な内容だったが
2作目となる本作も、荒涼としたイントロから、ドゥーミーなギターリフを乗せ
こもり気味の音質とともに、じつに怪しいサイケなドゥームメタルを聴かせる。
70年代スタイルでユルめのフレーズを奏でるギターに、邪悪な念仏めいたヴォーカルが重なり
一種異様な秘教感を漂わせている。闇のエネルギーを隠したような暗黒性と寂寥感、
音楽的な完成度に背を向けた、愛想のないモノクロームの世界観。ディープなファン向けの異色作。
ドラマティック度・・7 カルトドゥーム度・・8 暗黒度・・8 総合・・7.5
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The Heretic Order 「All Hail the Order」
イギリスのドゥームメタル、ヘレティック・オーダーの2015年作
Black Sabbathルーツの古き良きギターリフと、カルトでサタニックな世界観を融合、
Cathedralあたりを思わせるアナログ感たっぷりのドゥームメタルスタイルに、
いわばロックンロールなノリを加えたという聴き心地である。ヘヴィすぎず、軽すぎずという
絶妙の聴き心地と、適度なキャッチーさも確信犯的で、案外愉快に楽しめたりする。
個人的には、もっとおどろおどろしい方が好きなのだが、いわば一般のリスナーにも楽しめる、
ノリのよいカルト・ドゥームという点では、これから面白い存在になるかもしれない。
ドラマティック度・・7 ドゥーム度・・8 古き良き度・・8 総合・・7.5
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Kayo Dot 「Blue Lambency Downward」
アメリカのエクスペリメンタル系ポストロック、ケイヨ・ドットの2008年作
ポストロック的なアヴァンギャルドなセンスと神秘的な雰囲気で聴かせる異色のサウンド。
裏声を使ったヴォーカルはUKロックやエモに通じる感触だが、リズムという概念がないような、
フリーキーな曲調とあいまって、とても妖しげに歌声が響く。ヴァイオリンやオーボエ、クラリネットなどが鳴る、
チェンバーロック的でもあるスリリングなミステリアスは、ときにUnivers Zeroばりである。
一方では、ポストプログレ的な繊細な浮遊感も覗かせたりと、なかなか一筋縄ではいかない。
10分を超える大曲も、インストの小曲も、音の強度とアーティスティックな世界観に惹きこまれる。
なにげにメロトロンも使ったりとプログレリスナーにも十分アピールするだろう。
ドラマティック度・・7 むしろプログレ度・・8 アヴァンギャル度・・8 総合・・8
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Soulgrind 「Into the Dark Vales」
フィンランドのゴシックデスメタル、ソウルグラインドの2008年作
シンフォニックなアレンジとダミ声ヴォーカルを乗せ、シンフォブラック的な激しさを随所に含んだスタイルで、
そこにキュートな女性ヴォーカルの艶めいた歌声が重なってゆくと、ゴシックメタル感がぐっと強まる。
今作では、デス声とダミ声率が高く、デスメタル的な激しさが強いため、正直ゴシックとして楽しむのはきついか。
全体的に雰囲気は悪くないのだが、楽曲ごとのメロディのフックやアレンジのツメがあと一歩という印象で、
ブラック寄りにするのかゴシックなのか、もう少し方向性を確立していって欲しい。
ドラマティック度・・7 ゴシック度・・6 デス&ブラック度・・7 総合・・7
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Amber Asylum 「Bitter River」
アメリカのダークアンビエント、アンバー・アサイラムの2009年作
美しいソプラノ女性ヴォーカルの歌声に、アコースティックギター、うっすらとしたシンセに
クラシカルなチェロとヴァイオリンの音色が重なって、もの悲しくも叙情的なサウンドを描いてゆく。
包み込むようなシンセにドローン気味のチェロが重なる、これぞダークアンビエントという雰囲気で、
ロック色は皆無。キャットのような、語りのような女性声を増せた、神秘的な空気感が広がってゆく。
作品に比べると、音が描く世界観の強度が高まったことで、作品としての説得力も強めている。
ドラマティック度・・7 アンビエント度・・8 女性Vo度・・7 総合・・8
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2/19
春遠からじ(72)

Royal Hunt Devil's Dozen」
デンマークのシンフォニックメタル、ロイヤル・ハントの2015年作
1993年にデビューしてから通算13作目、アンドレ・アンダーセン節とも言える壮麗なシンセワークに
D.C.クーパーの伸びやかな歌声と厚みのあるコーラスワークで、変わらぬロイハンサウンドを聴かせる。
正直、新鮮味と言うものはほとんどなく、いままでにもどこかで聴いたようなメロディばかりなのだが、
それこそがロイハンという、どこを聴いてもこのバンドだと分かるという安定感はむしろ凄いことである。
キャッチーな明快さと重厚なドラマティック性のバランスも含めて、円熟の境地という完成度であろう。
ドラマティック度・・8 壮麗度・・8 ロイハン度・・9 総合・・8 *過去作のレビューはこちら
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SECRET SPHERE 「A Time Never Come 2015 Edition」
イタリアのメロディックメタル、シークレット・スフィアの2015年作
2001年の2ndアルバムを現メンバーでリレーコーディングした作品で、なんといっても、ミケーレ・ルッピの
伸びやかなハイトーンヴォーカルを乗せて、きやびやかに疾走するメロディック・スピードメタルが楽しめる。
一時期はバンドとしての方向性を迷うような作品もあったが、メタル界最高のヴォーカリストを得て、
心機一転の原点回帰という意味合いも強いのだろう。かつてのオリジナルに比べると、B級がかったクサメロ感覚が
いくぶん薄れている感じもあるが、そこは日本のガルネリウスなどと同様で、レベルの高いシンガーが加わったことで、
メジャー感の強い爽快な作風になるのは必然と言えるだろう。過去からのファンも新たなファンも必聴の作品だ。
メロディック度・・8 疾走度・・8 爽快度・・8 総合・・8 *過去作のレビューはこちら
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Black Majesty 「Cross of Thorns」
オーストラリアのメロディックメタル、ブラック・マジェスティの2015年作
2003年にデビュー、毎作クオリティの高いアルバムで、すでに豪州を代表するバンドといってよいだろう。
6作目となる本作も、ツインギターとハイトーンヴォーカルを乗せて、メロディックかつパワフルに聴かせる
正統派のメロパワサウンドは健在だ。うっすらとしたシンセアレンジも含めて、厚みのある音作りと、
キャリアのあるバンドらしいどっしりとした力強い説得力は見事。反面、メロディの新鮮なフックという点では
やや物足りなさもあるのだが、ゲイリー・ムーアの“Out in the Fields”のカヴァーなども含めて、
ベテランらしい味わいの安定作ではある。個人的には疾走曲がもっとあればと思うのだが。
メロディック度・・8 疾走度・・7 楽曲・・7 総合・・8 *過去作のレビューはこちら
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BEYOND THE BLACK 「Songs Of Love and Death」
ドイツのシンフォニックメタル、ビヨンド・ザ・ブラックの2015年作
伸びやかな女性ヴォーカルとシンフォニックなアレンジ、適度にモダンなヘヴィネスを含んだ
ゴシック風味のシンフォニックメタルサウンド。ツインギターによる重厚な聴き心地に、
ときにLEAVES' EYESあたりにも通じるような北欧トラッド調のメロディも顔を覗かせる。
紅一点、ジェニファー嬢の歌声は、中音域がメインのなかなかパワフルな歌唱で、
しっとりとしたバラードではやわらかな歌声を響かせる、その表現力も見事です。
現時点ではこれだという新鮮味は足りないが、それぞれの楽曲の質もなかなか高く、
フィメール・シンフォニックメタル期待の新鋭というべきバンドでしょう。
ドラマティック度・・8 ゴシック風味度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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Coronatus 「Cantus Lucidus」
ドイツのシンフォニックメタル、コロナタスの2014年作
二人の女性ヴォーカルの歌声を乗せて優雅に聴かせる、Nghtwishタイプのスタイルと言えるが、
それぞれ声質の異なる女性Voが、ときにコーラスに回ったり、メインになったりと、
いいまでなかったようなツインVoによるフィメール・シンフォニックメタルと言えるだろう。
ドイツ語なまりの英語や、実際にドイツ語も使用していて、ゲルマンな香りを漂わせた世界観と、
適度にキャッチーなノリの良さが合わさっていて、ヘヴィさは抑えめなのでシンプルに聴き安い。
シンフォニックな重厚さの点ではやや物足りなさもあるが、女性声メタル好きならば外れない。
シンフォニック度・・7 壮麗度・・8 女性Vo度・・9 総合・・8 *過去作のレビューはこちら
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Coronatus 「Raben Im Herz」
ドイツのシンフォニックメタル、コロナタスの2015年作
2007年にデビュー、8年間ですでに7作目という多作ぶり。二人の女性ヴォーカルをフロントに、
美しいソプラノとタイプの違う艶めいた歌声を絡ませ、壮麗でシンフォニックなアレンジで聴かせる
スタイルはそのままに、本作では随所にフィドルの音色も重なったフォーキーな質感が増したという印象。
オペラティックで優美なクラシカル性とともに、楽曲によっては適度な激しさと疾走感もあって、
これまで以上にダイナミックな聴き心地である。フォークメタル的にも楽しめるナンバーもあったり
ドイツ語によるナンバーが増えたことも、バンドとしての新たな側面も覗かせる。よいですね。
シンフォニック度・・8 壮麗度・・8 女性Vo度・・9 総合・・8 
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ASYLUM PYRE 「Spirited Away」
フランスのシンフォニックメタル、アサイラム・パイルの2015年作
女性ヴォーカルの歌声を乗せて、適度にシンフォニックなアレンジで聴かせる、ありがちなシンフォニックメタル。
随所にデスヴォイスも含んだモダンなヘヴィロック風味もあって、ゴシックなのかメロディック路線なのか、
いのひとつ煮え切らない微妙さが、突き抜けきらない楽曲にも表れている。女性声の魅力という点でも物足りない。
突出した部分や個性も感じられない中庸の作品。まずは楽曲におけるメロディのフックを磨いてください。
シンフォニック度・・7 楽曲・・7 女性Vo度・・7 総合・・7
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Human Fortress 「Raided Land」
ドイツのメロディックメタル、ヒューマン・フォートレスの2013年作
本作は4作目で、聴くのは2003年作以来なのだが、ツインギターにシンセを含む6人編成となり、
シンフォニックなアレンジを含む音の厚みと、正統派のメロパワが融合したサウンドを聴かせる。
パワフルヴォーカルの歌声も含めてB級感はほとんどなく、DREAM EVILばりのどっしりとした作風に加え、
随所にキャッチーなメロディアス性とBLIND GUARDIANばりのエピックで勇壮な世界観も感じさせる。
全体的にも重厚な力作だと思うが、さらにひと皮剥けるには、楽曲の質をより向上させて欲しい。
ドラマティック度・・7 重厚度・・8 正統派度・・8 総合・・7.5
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ARTICAL 「Illusion X」
ギリシャのメロディックメタル、アーティカルの2013年作
ヴォーカルにはマーク・ボールズが参加、オールドな様式美テイストたっぷりの正統派メタルサウンドで、
クラシカルなギタープレイも含めて、辺境臭さは皆無。きらぴやかなシンセとともに疾走するナンバーは、
初期ストラトばりでメロスピ風にも楽しめたり、どっしりとしたミドルテンポのナンバー、ボールズの力量を活かしたバラードまで、
どの曲も非常に高品質に作られている。そしてメロウなフレーズからテクニカルなネオクラ調までこきこなすギタリスト、
マイク・ディマレリの実力も素晴らしい。しかもドラムもこの人が叩いているとか。もっと知られるべきプレイヤーですな。
なんとなく地味な色合いのジャケがもったいない。内容はメジャー級のクオリティですわ。
メロディック度・・8 様式美度・・8 正統派度・・8 総合・・8
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Vexillum 「The Bivouac」
イタリアのメロディックメタル、ヴェクシラムの2012年作
ツインギターにハイトーンヴォーカルを乗せた、正統派のメロパワスタイルに随所にケルティックな
フォークメタル風味を合わせたというスタイルで、エピックでファンタジックな世界観を描き出す。
同じイタリアのElvenkingやデンマークのWuthering Heightsあたりにも通じる感触で、
シンセアレンジによるシンフォニック性と適度にマイナー臭いクサメロ感触もよい感じです。
キャッチーなメロディアス性とともに、Thy Majestieあたりを思わせるドラマティックな雰囲気もあって、
エピックメタルとしての聴きごたえもある。1stのヘナチョコぶりからぐっと成長が窺える力作だ。
ドラマティック度・・8 クサメロ度・・8 ファンタジック度・・8 総合・・8
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Soul Secret 「4」
イタリアのプログレメタル、ソウル・シークレットの2015年作
シンセを含む5人編成で、3作目となる本作も、適度にモダンなヘヴィさとテクニカルな展開力で、
正統派のProgMetalサウンドを構築している。繊細な声質のヴォーカルの歌声は優雅な感触となっていて、
センスのよいシンセアレンジに随所にメロディックなギターも効いていて、なかなかメリハリに富んだ聴き心地。
DREAM THEATERタイプの知的な構築性に、イタリアンメタルのメロディアスな部分を融合させたというべきか。
キャッチーな聴きさすさに変拍子とテクニカルなキメを盛り込んだという点では、CIRCUS MAXIMUSあたりが
好きな方にも楽しめるだろう。ラストは16分の大曲で、ドラマティックな重厚さと巧みなアレンジセンスが見事です。
メロディック度・・8 テクニカル度・・8 モダンセンス・・8 総合・・8 *過去作のレビューはこちら
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STARBYNARY 「Dark Passenger」
イタリアのプログレメタル、スターバイナリーの2014年作
メンバーは、ヴォーカル、ギター、シンセの3人で、Symphony Xのマイケル・レポンドがベースで参加。
美しいイントロから、曲に入るとテクニカルな変拍子リズムに、美麗なシンセとマイルドなヴォーカルを乗せた
ネオクラ調のProgMetalが広がってゆく。疾走パートを含んだせわしない展開と、シンフォニックな聴き心地に加え
どこかシアトリカルでイタリアらしい混沌とした濃密さが、微笑ましくも楽しい。歌メロ自体もけっこうクサいので、
メロスピ的な疾走ナンバーも含めて、全体的にもキャッチーなメロディアス性が前に出ているのでとっつき安い。
反面、プログレメタルとしてどこを目指しているのか疑問な感じもするが、まずはメンバーを揃えるところからですな。
メロディック度・・8 テクニカル度・・8 濃密度・・8 総合・・8
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Vanden Plas 「Chronicles of the Immortals Netherworld II」
ドイツのプログレメタル、ヴァンデン・プラスの2015年作
デビューは1995年、キャリア20年を誇るベテランバンド。通算8作目となる本作は、
前作からの続編となるコンセプトアルバムで、重厚なギターワークとシンセアレンジ、
パワフルなヴォーカルを乗せた、どっしりとしたドラマティックなサウンドを聴かせる。
これという派手さはないものの、随所にDREAM THEATERばりの構築力を覗かせて、
壮大なドラマを描くような世界観の強度はベテランならではの説得力である。
ドラマティック度・・8 テクニカル度・・7 重厚度・・8 総合・・8 *過去作のレビューはこちら
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Room Experience
メロディアスハードバンド、ルーム・エクスペリエンスの2015年作
PINK CREAM69のデイヴィッド・リードマンをヴォーカルに、イタリアのCHARMING GRACEなどのメンバーが参加、
きらびやかなシンセアレンジとメロディックなギターワーク、キャッチーな歌メロで聴かせる
高品質な正統派メロディアスハード。泣きのギターフレーズにプログレハード的なシンセが重なり、
ヨーロピアンでウェットな叙情性を含んだ楽曲は、かつてのFair Warningなどにも引けを取らない完成度。
新鮮味はさほどないのだが、それぞれの楽曲ごとにフックのあるメロディアス性が詰め込まれていて、
耳心地の良さという点ではこの手のバンドの中でもトップクラスだろう。叙情美に浸れる傑作です。
メロディック度・・9 キャッチー度・・8 正統派メロハー度・・9 総合・・8
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GOODBYE THRILL
アメリカのメロディアスハード、グッバイ・スリルの2007年作
表現力あるハスキーなヴォーカルの歌声と、アメリカらしい抜けの良いメロディアス性で聴かせる
正統派のメロディアスハード。いくぶんプログレハード風味の知的なアレンジも含んでいて、
爽快なコーラスワークやメロディックなフックが詰まった質の高いサウンドだ。
メロウなギターソロもアクセントになっていて、新鮮味は薄いが、心地よく聴き通せる好作品。
メロディック度・・8 キャッチー度・・8 楽曲・・8 総合・・8
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Anneke van Giersbergen 「Everything Is Changing」
オランダの女性シンガー、アネク・ヴァン・ガースバーゲンの2011年作
元The Gatheringのヴォーカルとして知られる彼女のソロで、Agua de Annique名義を入れれば4作目。
伸びやかな歌声を乗せた、キャッチーで爽快なメロディック・ロックといった作風で、
曲によっては適度にハードさもありつつ、アンニュイな浮遊感も含んだ耳心地の良いサウンド。
ポップなメロディック性とヨーロピアンな情感のバランスがよく、いくぶん愁いを含んだアネクの歌声は
やはりゴシック的な雰囲気もにじみ出ていて、単なるポップロックとは異なる湿り気を感じさせる。
メロディック度・・8 メタル度・・4 女性Vo度・・9 総合・・8 *過去作のレビューはこちら
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2/13
ヴァイキング&ドゥームメタル!(56)

EINHERJER 「Av Oss, for Oss」
ノルウェーのヴァイキングメタル、エインヘリヤルの2014年作
北欧ヴァイキングメタルの元祖というべきバンド、復活後の2作目となる本作も
ジャケのイメージ通り、神秘的な辺境性に包まれたヴァイキングメタルを聴かせる。
ダミ声ヴォーカルに勇壮なコーラス、オールドスタイルの硬派なギターリフとともに、
武骨な荒々しさとミステリアスな空気感を重厚に描いてゆく。随所に甘すぎない程度に
メロディックなフックや叙情パートもあるのだが、あくまで基本は武骨な無愛想な作風なので、
メロディ好きの方には物足りないかもしれない。ただ、これこそがホンモノの神秘性であって、
媚びないサウンドを楽しめる方にはお薦めしたい。ベテランらしい枯れた味わいの好作品。
ドラマティック度・・7 ヴァイキング度・・8 重厚度・・8 総合・・8 *過去作のレビューはこちら
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Manegarm
スウェーデンのヴァイキングメタル、マネガルムの2015年作
デビューは90年代で、いまや北欧を代表するヴァイキングメタルバンドの8作目。
重厚なギターリフと母国語によるダミ声ヴォーカルを乗せたどっしりとした聴き心地で、
フォーキーなヴァイオリンの旋律も含んだ、本格派のペイガンメタルが描かれてゆく。
北欧らしいトラディショナルな土着性と武骨な勇ましさを同居させつつ、
今作では女性コーラスを含んだアコースティックなパートもあったりと、
なかなかメリハリに富んだ構成である。曲によっては疾走する激しさも含んだ力作。
ドラマティック度・・8 ヴァイキング度・・8 重厚度・・8 総合・・8 *過去作のレビューはこちら
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Ereb Altor 「Fire Meets Ice」
スウェーデンのヴァイキング・ブラックメタル、エレブ・アルターの2013年作
前作も重厚かつミステリアスな素晴らしい出来であったが、本作は美しいピアノによるイントロから、
ゆったりとしたギターリフが鳴り響き、MOONSORROWのような雄大なヴァイキングメタルが広がってゆく。
土着的な神秘性に包まれた北欧らしい空気感もよろしく、朗々としたヴォーカルを乗せじっくりと世界観を描き出す、
音の迫力と強度に惹きこまれる。スローからミドルテンポを中心にしつつ、随所にダミ声ヴォーカルを乗せた
プラックメタル的な激しさもあり、アコースティカルなパートも含む、メリハリのある楽曲アレンジも見事。
メロディアスすぎない硬派な作風と、ダークな叙情性がサウンドの説得力となっている。聴きごたえ十分の傑作だ。
ドラマティック度・・8 ヴァイキング度・・8 重厚度・・9 総合・・8  *過去作のレビューはこちら
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Ereb Altor 「Nattramn」
スウェーデンのヴァイキング・ブラックメタル、エレブ・アルターの2015年作
今作から専任ベースが加わって四人編成となり、いよいよバンドとしての体制が強固になった。
ミステリアスなイントロに続き、ツインギターの重厚なリフとうっすらとしたシンセが重なり、
北欧の空気を含んだ土着的なヴァイキングメタルが描かれる。どっしりとした幻想的な聴き心地は
MOONSORROWに通じる感触であるが、一方ではダミ声Voを乗せたブラックメタル要素も残していて、
ドゥーミィなヘヴィネスと暴虐性とが融合された迫力あるサウンドには磨きがかかっている。
勇壮な力強さと涼やかな叙情が一体となった、重厚なるドラマテイック・ヴァイキングメタル!
ドラマティック度・・8 ヴァイキング度・・8 重厚度・・9 総合・・8 
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GRIMNER 「BLODSHYMNER」
スウェーデンのヴァイキング・フォークメタル、グリムナーの2014年作
ツインギターに、シンセ、フルート奏者を含む6人編成で、デス声を乗せて激しく疾走する勢いの良さと
フルートが吹き鳴らされるフォーキッシュなメロディを融合したスタイル。牧歌的なフォークメタルと
ヴァイキングメタルの勇壮さを合わせたというべき、激しくも牧歌的な聴き心地がなかなか面白い。
ヘヴィすぎないサウンドが本格的なフォーク風味とよくマッチしていて、ローカルな幻想性に包まれた雰囲気が
コアなフォークメタル好きにはたまらないかもしれない。とにかくフルートがこれでもかと活躍しているのも楽しく、
フルート奏者はマンドラ(マンドリンの仲間)やホルンも演奏。初期のFinntrollあたりが好きな方にもオススメです。
ドラマティック度・・8 フォーキー度・・8 フルート度・・8 総合・・8
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Inter Arma 「Sky Burial」
アメリカのスラッジ系ブラックメタル、インター・アルマの2013年作
激しいブラストビートにアナログ感のある重厚なギターと語りのような低音ヴォイスを乗せて、
ダークで不穏な空気を感じさせるサウンド。ドゥームメタル的なスローパートも盛り込みながら、
緩急に富んだ展開とともに、神秘的な暗黒性に包まれた世界観をヘヴィに描いてゆく。
一方ではPINK FLOYDを思わせるような、浮遊感のあるサイケプログレ的ナンバーもあったりと、
スラッジにブラックメタル、ドゥームに、プログレ、ポストロックと、いろいろなアプローチが面白い。
混沌としたサイケデリック要素を、重厚なスラッジと暗黒のブラックで仕上げたというべき力作だ。
ドラマティック度・・8 重厚度・・8 暗黒度・・8 総合・・8
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TEMPEL 「On The Steps of the Temple」
アメリカのスラッジ・ブラックメタル、テンペルの2014年作
ギター&シンセとドラムの2人組ユニットで、ブラックメタル的なギターリフと激しめのドラム、
うっすらとしたシンセで聴かせるインストサウンド。バンド名やアルバムタイトルから察するに、
日本や中国の寺をイメージした作品なのだろうか。ザリザリとした荒々しい音作りであるが、
随所にメロディックなギターフレーズも盛り込んでいて、ジャケのイメージほど愛想は悪くない。
9分、10分という大曲も多いので、さすがにオールインストは飽きてくるのであるが、
ポストブラック的な叙情性や、ドゥームメタル感触の楽曲もあって、けっこう楽しめます。
ドラマティック度・・7 ダーク度・・8 神秘的度・・8 総合・・7.5
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Anguish 「Mountain」
スウェーデンのドゥームメタル、アングイシュの2014年作
重厚なギターリフにダミ声ヴォーカルを乗た、おどろおどろしい世界観のドゥームメタル。
スローテンポを基調にしつつも、随所にツーバスの入った激しさもあり、
ツインギターの叙情的なフレーズも含めて、前作以上にメリハリのついた聴き心地。
サウンドの迫力という点でも、怪しげな神秘性とドラマテイックな空気感が備わったことで、
ぐっと説得力が増していて、エピックドゥーム的な湿り気のある雰囲気がよろしいです。
ドラマティック度・・8 ドゥーム度・・8 重厚度・・8 総合・・8
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Astral Sleep 「Angel」
フィンランドのドゥームメタル、アストラル・スリープの2010年作
全3曲入りのミニアルバムであるが、11分、8分、11分という大曲ばかりで聴きごたえたっぷり。
ブラックメタルばりの激しいイントロから、スローなリフと朗々としたヴォーカルをを乗せつつ、
随所に適度な激しさとメロディックな叙情を含んだ展開力には、知的なセンスも感じさせる。
1曲目は緩急の付いた、メロデス風味もあるのだが、2曲目、3曲目となるにつれ、
スローで重厚なドゥームサウンドとなってゆく、のちの2ndにつながる本格派の作風である。
ドラマティック度・・8 ドゥーム度・・8 重厚度・・8 総合・・7.5
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L'ira Del Baccano 「Terra42」
イタリアのサイケ・ドゥームメタル、リ・イラ・デル・バカーノの2014年作
適度にヘヴィなギターリフに、サイケ的な浮遊感を含んだアンサンブル、
そしてプログレ的でもある知的な構築センスを感じさせる個性的なインストサウンド。
のっけから3パートに分かれた32分におよぶ組曲で、スペイシーなシンセアレンジとともにに、
HAWKWINDを思わせるユルめのサイケをメタル寄りにしたというような聴き心地が広がってゆく。
変則リズムによるキメはOzric Tentaclesあたりにも通じるが、ドゥーム風味のギターがかぶさると、
なにやら奇妙なサイケメタルという感じになる。存在感のあるベースの暴れっぷりもときどき面白く、
オールインストながらメリハリのあるリズムとともに飽きずに楽しめる。異色のサイケ・ドゥーム!
ドラマティック度・・7 ドゥーム度・・7 サイケ度・・8 総合・・7.5
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Solstice 「Lamentations」
イギリスのエピックドゥームメタル、ソルスティスの1994年作
先に2nd「New Dark Age」を聴いていたのだが、こちらのデビュー作も1999年の再発盤でゲット。
ツインギターの湿り気を含んだリフを中心に、英国らしい正統派寄りのエピックドゥームを聴かせる。
CANDLEMASSタイプのサウンドであるが、メロディアスな叙情という点ではこのバンドの方が強く、
スローなパートからミドルテンポへのノリなども含めて、正統派メタルファンにも楽しめるだろう。
ヴォーカルの弱さがいかにもローカルな感触なのだが、そこも含めてのマイナー臭さもGood♪
ドラマティック度・・8 正統派度・・8 エピックドゥーム度・・9 総合・・8
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Solstice 「Halcyon」
イギリスのエピックドゥームメタル、ソルスティスの1996年作
元々は5曲入りのミニアルバムなのだが、再発盤には未発曲が8曲も追加収録されている。
1作目同様、ツインギターによるメロディックな味わいの正統派エピック・ドゥームスタイルで、
テンポチェンジを含むドラマティックなサウンドにはいっそう磨きがかかっている。
楽曲は5~7分前後とわりあい長めであるが、シンセによるアンビエントな小曲や
何故かMANOWARのカヴァーもあったりと、なかなか面白い。後半は1997年のデモ音源で、
スタジオリハなのか音質の悪いものもあるが、バンドの本質が垣間見える貴重な音源である。
ドラマティック度・・8 正統派度・・8 エピックドゥーム度・・9 総合・・7.5
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Wicked Witch 「The Collection Part 1」
アメリカのエピック・カルトメタル、ウィックド・ウィッチの2013年作
知られざるB級バンドの1988~97年までの音源で、イントロや小曲合わせて20曲を収録。
チープなシンセが鳴り響き、古き良き感触のギターに、ハスキーで野太い女性ヴォーカルの歌声で、
80年代NWOBHMを思わせる正統派のHR/HMを聴かせる。ジャケやバンドな通り、魔女めいた妖しさと
B級カルトメタル特有のこけおどし感もあって、音質はあまり良くはないもののなかなか楽しめます。
時期によってメンバーがずいぶん異なるようで、男性ヴォーカルの曲や、いかにもアメリカンなロックナンバーなど、
曲調もまちまちだが、基本的にはローカルなハードロックが最後まで味わえる。B級バンド好きはチェック!
ドラマティック度・・7 エピック度・・7 音質・・7 総合・・7




2/5
スワロー・ザ・サンは力作!(42)


Swallow the Sun 「Songs From the North pt.I & II & III」
フィンランドのゴシック・ドゥームメタル、スワロー・ザ・サンの2015年作
2005年にデビュー、6作目となる今作は、それぞれに「GLOOM(暗鬱)」、「BEAUTY(美)」、「DESPAIR(絶望)」という
タイトルのつけられた3枚組の大作となった。重厚なリフに叙情的な旋律も奏でるギター、低音デスヴォイスと
マイルドなノーマルヴォーカルをまじえて、メランコリックでダークな世界観を描くサウンドは今作も素晴らしい。
スローテンポを主体にしつつ、ミドルテンポのメタリックな迫力も随所にあって、メリハリの効いたアレンジ力には
OPETHのような知的なセンスを感じさせる。うっすらとしたシンセアレンジや物悲しいピアノの旋律も美しく、
ときに女性声などもアクセントになっていて、耽美でゴシック的な雰囲気がこれまで以上に強まった印象だ。
Disc1は7~9分の曲を中心に重厚なナンバーを聴かせ、Disc2はデス声の入らないしっとりとしたサウンドで、
Anathemaなどを思わせる作風。Disc3では10分を超える大曲多数で、フューネラルな暗黒ドゥームメタルが炸裂する。
ドラマティック度・・8 重厚度・・8 メランコリック度・・9 総合・・8.5 *過去作のレビューはこちら
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Kari Rueslatten 「To the North」
ノルウェーの女性シンガー、カリ・ルースラッテンの2015年作
元The 3rd and The Mortalのシンガーとしても知られる彼女だが、ソロ転向後はメタル色のない
北欧トラッドに根差したアンビエントな作風で活動している。本作も美しいシンセにしっとりとした歌声で、
素朴でアコースティカルなサウンドを聴かせる。彼女の美声を引き立てる優しい味わいと
北欧らしい涼やかな叙情が耳心地よい。随所にドラムやギターも加わった、フォークロック風味もあり、
ゆったりとしたキャッチーなメロディの中に、いくぶん北欧トラッド的な感触も覗かせる。
あえてアナログ的な録音を意識したのか、ぼやけた感じの音作りもドリーミーでよいですな。
女性ヴォーカルをメインにした、繊細な北欧ネオフォークというふうにも楽しめる好作品。
ドラマティック度・・7 メタル度・・1 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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KRUK 「Before」
ポーランドのハードロック、クラクの2014年作
レトロなオルガンが鳴り響く、オールドスタイルのハードロックスタイルで、
適度にヘヴィなギターと朗々としたヴォーカルで聴かせる正統派のHRサウンド。
アナログ感に富んだ味のあるギターソロにやわらかなオルガンが加わると
70年代英国ハードロックのテイストが広がってゆく。随所に女性声も加わったりと、
決して一本調子ではないアレンジと、確かな演奏力によるマイルドな感触もよろしい。
ヴィンテージな懐古主義をセンスよく形にしたというような好作品だ。
ボーナストラックの母国語によるナンバーもよい感じですよ。
メロディック度・・8 古き良き度・・8 正統派HR度・・8 総合・・8
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Diamond Lil
イギリスのハードロック、ダイアモンド・リルの2013年作
70年代に活動していたバンドの1976~78年にかけて録音された発掘音源で、
ブルージーなギターに、女性ヴォーカルの歌声で聴かせる、キャッチーなロックサウンド。
ハードロックというほどにはヘヴィさはないのだが、NWOBHMのムーブメントへとつながる、
その一歩手前というような、おおらかな70年代の香りが漂ってくる聴き心地である。
ヘタウマな感じの女性ヴォーカルも含めてマイナー臭さがよい味わいにもなっている。
ドラマティック度・・7 古き良き度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7
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Blues Pills
スウェーデンのロックバンド、ブルーズ・ピルズの2014年作
アナログ感あふれるアンサンブルに、ソウルフルな女性ヴォーカルの歌声で聴かせる
70年代スタイルのブルーズロックサウンド。やはり引き合いに出されるのはジャニス・ジョプリンだろうが、
本ヴォーカルのエリン嬢の方が、いくぶんキュートなはかなさを感じさせるのがけっこう好みである。
PURSONあたりの魔女系ロックに比べるとよりストレートな作風なので、うるさすぎない音圧も含めて、
多くのオールドロックリスナーにアピールするだろう。サイケデリックな感じのジャケもよいですね。
ドラマティック度・・8 70'sロック度・・9 女性Vo度・・8 総合・・8
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The Wounded Kings 「Consolamentum」
イギリスのドゥームメタル、ウンデッド・キングスの2014年作
過去3作も本格派のドゥームサウンドであったが、4作目となる本作も重厚なツインギターのリフと
カルトな怪しさを漂わせた暗黒感たっぷりのドゥームメタルを聴かせる。中世的なヴォーカルの歌声が、
ヘヴィなサウンドとのコントラストでサイケな浮遊感にもなっていて、秘教的な世界観に包まれている。
ギターは随所にメロウなフレーズを奏でたり、うっすらとしたシンセも適度に入ってきて、
妖しくもドラマティックな聴き心地で楽しめる。12分、13分という大曲も含んだ力作ドゥーム。
ドラマティック度・・8 ドゥーム度・・9 暗黒度・・9 総合・・8 *過去作のレビューはこちら
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Lord Vicar 「Fear No Pain」
フィンランドのドゥームメタル、ロード・ヴィカーの2009年作
元REVEREND BIZARREのメンバーを含むバンドで、アナログ感たっぷりのギターリフと、元COUNT RAVEN、
元SAINT VITUSのクリスチャン・アンダーソンのオジーを思わせるような絡みつくようなヴォーカルを乗せた、
正統派ドゥームメタル。やはり湿り気を含んだ雰囲気とEVEREND BIZARREに通じる暗黒性が北欧のバンドらしく、
適度にエピックな雰囲気も覗かせる。10分を超える大曲も多く、スローテンポでじっくり聴かせるナンバーから
ミドルテンポのナンバーまで、そこそこメリハリに富んだ作風も好感が持てる。正統派ドゥーム好きはチェック!
ドラマティック度・・7 ドゥーム度・・9 古き良き度・・9 総合・・8
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Atriarch 「Ritual Of Passing」
アメリカのドゥームメタル、アトリアーチの2012年作
ヘヴィなギターリフを乗せたスローなドゥームメタルサウンドを基本に、
いくぶんモダンなヴォーカルを載せて、スペイシーで神秘的な世界観を聴かせる。
ときにブラックメタルばりに激しい疾走パートもあったりと、若手らしいボーダーレスなスラッジコアで
ときに喚き声で、ときにシアトリカルな語りを聴かせる邪悪なヴォーカルのこけおどし感も含めて、
おどろおどろしい暗黒性に包まれている。あるいはスローなブラックメタルとしても楽しめるかもしれない。
怪しく邪教的なスラッジコア/ドゥームメタルの強力作です。
ドラマティック度・・7 ドゥーム度・・8 暗黒度・・9 総合・・7.5
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ARGUS
アメリカのドゥームメタル、アルガスの2009年作
なんだかエグい感じのジャケのイメージからすると、サウンドの方は案外まともで、
Solitude Aeturnusあたりに通じる古き良きスタイルのエピック・ドゥームメタル。
いくぶんスカスカの音質も含めて、ヘヴィなおどろおどろしさはあまりなく、
むしろギターソロなどは80年代の正統派メタルのような感触である。
全体的にも聴きやすいのだが、ツインギターのリフもありがちで新鮮味に欠けるし
カルトな妖しさがないので、濃密さやドゥームメタルとしての迫力も物足りない。
ドラマティック度・・7 ドゥーム度・・7 古き良き度・・8 総合・・7
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Soulgrind  「Pakana」
フィンランドのゴシックデスメタル、ソウルグラインドの2007年作
元Lullacryの女性ヴォーカルの伸びやかな歌声に男性デスヴォイスが絡み、
ヘヴィなギターとシンセの重ねで北欧らしいメランコリックな叙情を聴かせる。
モダンなヘヴィネスとともにデスメタル的な激しい疾走パートもあったりと、メリハリのある作風で、
随所にペイガンメタル的な土着性や北欧的な神秘性も覗かせる。全体的にもクオリティは高いのだが、
個人的には、ゴシックなのかデスなのかペイガンなのか、方向性をはっきりさせて欲しい気もする。
ドラマティック度・・8 ゴシック度・・7 北欧度・・8 総合・・7.5
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Summoning 「Old Mornings Dawn」
ノルウェーのブラックメタルユニット、サンモニングの2013年作
すでにキャリア20年を超えるベテランユニットで、「指輪物語」の世界をファンタジックに描き出す、
壮大なサントラのような作風は今作も不変。トラッド的な叙情やオリエンタルな感触も取り入れつつ、
ダミ声ヴォーカルによるブラックメタル要素もしっかり含ませた、独特のスタイルは円熟の域である。
ドラムが打ち込みなのは相変わらずだが、今作では曲によってはギターフレーズで聴かせる部分もあって、
よりメロウで重厚な雰囲気が味わえる。8分、9分という大曲を中心にした長尺感も含めて、
ファンタジー・ブラックというべきこの世界観に浸れる方には、どっぷりと楽しめる力作である。
ファンタジック度・・8 メタル度・・6 ブラック度・・5 総合・・8
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Echtra 「Sky Burial」
アメリカのネイチャーブラックメタル、エクトラの2013年作
いわゆる「カスカディアン・ブラックメタル」と呼ばれるバンドで、ミステリアスな神秘性に包まれた雰囲気と、
ポストブラック的なゆるやかな叙情性を合わせたようなサウンド。23分ぴったりの大曲が2曲という構成で、
激しく疾走するような部分はほとんどなく、むしろゆったりとした聴き心地なので、気の短い方には向かない。
うっすらとしたシンセにノイジーなギターが重なり、淡々としたリフレインが続いてゆき、展開という展開はあまりなく、
アコースティックなパートや、語りのような歌声が入ったりもするのだが、ブラックとして聴くのは少々つらいかも。
とくに2曲目などは、神秘的なネオフォークといってもよいような曲調なのだが、12分を過ぎたあたりから少し激しくなり、
徐々に盛り上がると思いきや、そのまま淡々と終わってゆくという。ううむ、なんとも微妙な作品です。
ドラマティック度・・7 ブラック度・・5 神秘的度・・8 総合・・7.5
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1/23
ゴシックにフォーク、ペイガンメタル!(30)


The Murder Of My Sweet 「Beth Out Of Hell」
スウェーデンのモダンゴシックメタル、マーダー・オヴ・マイ・スウィートの2015年作
サスペンス映画的なドラマ性を融合させた、「シネマティックメタル」を標榜するこのバンド、
3作目となる本作も、シンフォニックなアレンジとモダンなヘヴィネスを含んだ楽曲に、
表現豊かな女性ヴォーカルの歌声を乗せたスタイルで、キャッチーな聴き心地と
シアトリカルなドラマ性を含んだサウンドを描いてゆく。ゴシック的な雰囲気というのは薄く、
むしろ最近のウィズインにも通じる明快なメロディック路線なので、多くのリスナーが楽しめるだろう。
紅一点、アンジェリカ嬢の堂々とした歌唱もじつに素晴らしい。ラストの11分の大曲も圧巻の力作です。
ドラマティック度・・8 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8 *過去作のレビューはこちら
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Weeping Silence 「Opus IV Oblivion」
マルタ共和国のゴシックメタル、ウィーピング・サイレンスの2015年作
男女Voにシンセ奏者を含む7人編成で、過去作も見事な出来であったが、今作ではヴォーカルが交代している。
美しいシンセアレンジに、女性ヴォーカルの歌声、そこに低音の男性デスヴォイスが絡みつつ、
今作ではどっしりとしたドゥームゴシック的な重厚な雰囲気が強まっている。新Voのダイアン嬢の歌声は
伸びやかで美しいソプラノから、はかなげなもの悲しさせをたたえた表現力もあってなかなか魅力的だ。
曲によってはデス声パートが多いのが好みを分けるかもしれないが、たとえばDRACONIANなどと同様、
最近は珍しい本格派の重厚系ゴシックメタル作品ということで、また楽しみなバンドになってきた。
ドラマティック度・・8 ゴシック度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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Dark Sarah 「Behind the Black Veil」
フィンランドのシンフォニックメタル、ダーク・サラの2015年作
元AMBERIAN DAWNのシンガー、Heidi Parviainenをフロントにしたバンドで、
ヘイディ嬢のオペラティックな美声を全面に出して、壮麗なシンフォニック性で聴かせるサウンド。
メタリックな疾走感や激しさはあまりなく、あくまで歌をメインにした優美な聴き心地で、
雰囲気としてはEDENBRIDGEあたりに近いかもしれない。メタル色の薄いしっとりとしたナンバーもあり、
アルバムの中でよいメリハリになっているし、元XANDRIAのマヌエラ嬢が参加してツインヴォーカルで聴かせる
美麗なナンバーや、VAN CANTOのインガ・シャーフ、SONATA ARCTICAのトニー・カッコなども参加して
男女ヴォーカルで聴かせるナンバーなど、なかなかゴージャスな内容。フィメール・シンフォメタル好きはぜひ。
シンフォニック度・・8 美麗度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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Elegy of Madness 「Brave Dream」
イタリアのゴシックメタル、エレジー・オブ・マッドネスの2014年作
女性Voにチェロ&シンセ奏者を含む5人編成で、適度にモダンかつヘヴィな質感と、
オペラティックな女性ヴォーカルの歌声で聴かせるサウンド。Anja嬢のヴォーカルは、NightwishやEpica、
Within Temptationから影響を受けたというだけあって、ターヤを思わせる伸びやかなメゾソプラノでとても魅力的だ。
曲によってはクラシカルなチェロの音色も入ってきて、シンフォニックで優雅な世界観が広がってゆく。
派手すぎず重すぎず、いくぶん垢抜けないところは、たとえばかつてのDreams of Sanityあたりのような、
ヨーロピアン・ゴシックの香りがして個人的にもけっこう好みなのである。今後の成長が楽しみな逸材ですな。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・8 女性Vo度・・9 総合・・8
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VEXILLUM 「Unum」
イタリアのフォーク・パワーメタル、ヴェクシルムの2015年作
正統派メロパワ的なスタンスにエピックな世界観とフォーキッシュなメロディを盛り込んだサウンドで、
同じイタリアのElvenkingに比べるとよりメロパワ風味が強く、雰囲気としてはデンマークのWuthering Heightsあたりに近いか。
随所にヴァイオリンやバグパイプなどが鳴り響き、ケルティックな味わいもありつつ、過去作以上にパワフルな聴き心地だ。
ゲストにFreedom Callのクリス・ベイ、Blind Guardianのハンズィ・キアシュ、Ring of Fireのマークボールズなどが参加、
数曲でその歌声を披露している。ハンズィの歌声を乗せて激しく疾走する曲はまさにブラガーっぽいな。笑
フォークメタル初心者にも楽しめる、ケルティックなメロパワとしても十分高品質な力作ですよ。
メロディック度・・8 フォーキー度・・7 メロパワ度・・8 総合・・8
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KORPIKLAANI 「Noita」
フィンランドのフォークメタル、コルピクラーニの2015年作
2003年にデビュー、すでに北欧フォークメタルの代表格といってもよいこのバンド、
9作目となる本作もアコーディオンとフィドルが鳴り響き、フィンランド語の武骨な歌声を乗せ
酒飲みたちの宴のような土着的サウンドが繰り広げられる。ノリのよい愉快なナンバーから、
一方ではどっしりとした重厚なナンバーもあって、シリアスとコミカルのバランス感覚も見事。
ベテランらしいクオリティの高さが光る力作であるが、このバンドのスタイルが確立されてしまった分、
新鮮な驚きというのはほとんどないのも事実。まさに安心の好作というべき出来ですな。
メロディック度・・8 フォーキー度・・8 新鮮度・・7 総合・・8 *過去作のレビューはこちら
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Heathen Foray 「Into Battle」
オーストリアのペイガンメタル、ヒーゼン・フォレイの2015年作
クサメロたっぷりのメロスピ系ペイガンメタルというスタイルのこのバンド、
4作目となる本作も、低音デスヴォイスとノーマルヴォイスを乗せて軽やかに疾走する。
ツインギターのリフとメロディはほとんど正統派メロパワの感触なので、
デス声を除けば普通のメタルリスナーにも十分楽しめるサウンドだろう。
反面、ペイガンメタルとしてのミステリアス性や土着性という点では物足りないのだが、
そこは随所に挿入される泣きのメロディとクサフレーズがカヴァーということか。
相変わらずこれといったキラーチューンが少ないという、煮え切らなさが惜しい。
メロディック度・・8 ヴァイキング度・・7 正統派寄り度・・8 総合・・7.5
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HEIDEVOLK 「Velua」
オランダのペイガンメタル、ヘイデヴォルクの2015年作
武骨なる本格派フォークメタルを聴かせるこのバンド、5作目となる本作もツインギターの重厚なリフに
男くさい朗々としたヴォーカルに低音デスヴォイスが絡む、どっしりと硬派なペイガンメタルが楽しめる。
今作は、適度に激しく疾走する曲や、ゆったりとした牧歌的な叙情を描く曲など、メリハリのある構成で、
中世の空気を感じさせるミステリアスな雰囲気もよろしい。メロディックな即効性は少ないのだが、
重厚な世界観がサウンドの説得力となっていて、じっくりと鑑賞できるサウンドに仕上がっている。
ドラマティック度・・8 重厚度・・8 ペイガン度・・8 総合・・8
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ALVENRAD 「Habitat」
オランダのフォークメタル、アルヴェンラッドの2014年作
Vo&G、Keyの二人組ユニットで、母国語のヴォーカルにオルガンなどのシンセを重ねた、
土着的でマイナー臭いフォークメタル。ギターはむしろ古き良き正統派メタルの感触で
随所に激しく疾走したりする、いくぶん唐突なリズムチェンジとともに、ユルめの牧歌性を表現している。
デスヴォイスも使っているのだが、オルガン主体のやわらかなシンセのおかけであまり激しさを感じない。
初期のFinntrollkのような愉快な雰囲気もあって、軽めのフォークメタルが好きな方にはけっこう楽しめるだろう。
曲によってはフルートやゲストの女性ヴォーカルも入ってきて、けっこう好きな感じです。ユル系フォークメタルの好作。
ドラマティック度・・7 フォーキー度・・8 ユル度・・8 総合・・7.5
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Protokult 「No Beer in Heaven」
カナダのフォークメタル、プロトカルトの2014年作
牧歌的なリコーダーの音色が響きながら、男性ダミ声ヴォーカルに女性ヴォーカルが絡み
アコーディオン的なシンセとともに適度な疾走感も含んだフォークメタルサウンド。
紅一点、エカテリーナ嬢の歌声は、オペラティックなソプラノから中音域まで使い分け、
やわらかなリコーダーとともに武骨な男性声に対する美しいコントラストになっている。
曲によってはクサメロ入りの疾走感も楽しめて、メロディのフックという点でもなかなか質が高い。
あとは、作品全体を通しての世界観の強度が加われば、かなりいいバンドになりそうだ。
メロディック度・・8 フォーキー度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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CRAVING 「At Dawn」
ドイツのヴァイキング・デスメタル、クラヴィングの2013年作
ブラストを含む激しい疾走感に、ヘヴィなギターリフと低音のデスヴォイスで聴かせるサウンド。
楽曲はブルータルな激しさに包まれていて、ほとんどデスメタルのような雰囲気なのだが、
随所にツインギターの叙情フレーズやノーマル声によるパートも挿入されて、
ケルティックなフォークメタル風味も覗かせる。武骨な荒々しさで突進する迫力は
この手のバンドの中でも強力な部類だろう。暴虐なペイガンデス。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・8 ヴァイキング度・・7 総合・・7.5
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Skalmold 「Med Vaettum」
アイスランドのペインガンメタル、スカルモルドの2014年作
前作は荒々しい蛮族的なヴァイキングメタルであったが、本作も武骨なダミ声ヴォーカルを乗せ
勇ましくも荒々しい正統派のペイガンメタルを聴かせる。随所にメロディックなギターフレーズが入ったり、
エピックなコーラスなどとともに、サウンドにスケール感が出てきたことで、ずいぶんと迫力が増している。
ときに激しい疾走パートや、フォーキーなメロディを牧歌的に聴かせるところもあったりと、なかなかメリハリある聴き心地。
適度に硬派で適度にメロディアス、そして男臭いペイガン・バトル・フォークメタルが好きな方はどうぞ。
ドラマティック度・・8 勇壮度・・8 辺境度・・8 総合・・8
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TrollfesT 「Kaptein Kaos」
ノルウェーのフォークメタル、トロルフェストの2014年作
PANTHEON Iのメンバーが参加するバンドで、ジャケやメンバー写真もじつにおちゃらけているが、
マッドサイエンティストがタイムマシンに乗って時空を旅をするという、壮大なギャグ的なストーリーらしい。
サウンドの方は、野卑なダミ声ヴォーカルと愉快なポルカ風メロディを乗せて、わりと激しいノリで聴かせる、
いわば初期のFinntrollをぐっとコミカルにしたようなイメージ。フォークメタルというよりはむしろパンク的な勢いと
能天気に突進するような曲調なのだが、随所に北欧らしい土着メロディを含ませるあたりが憎めない。
楽曲は3~4分台中心で、個人的にはコミカルをドラマティックに変えるような濃密さがもっと欲しい。
ドラマティック度・・7 フォーキー度・・7 コミカル度・・8 総合・・7.5
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Glittertind 「Djevelsvart」
ノルウェーのフォークメタル、グリターティンドの2013年作
Torbjorn Sandvik氏による一人プロジェクトであったのだが、今作ではギター、ベース、ドラムに加え
ピアノ&アコーディオン奏者も加わったバンド編成になっている。母国語によるヴォーカルにフルートが鳴り響く、
北欧らしい土着的なトラッド感触に包まれたフォークメタル。ノーマルヴォイスとデスヴォイスが交互に現れながら、
ミドルテンポを主体にした楽曲は、牧歌的な味わいが前に出た聴き心地で、アコースティカルな小曲なども含めて
メタル的な激しさが苦手な方にも楽しめるだろう。楽曲は3~4分台で比較的シンプルであるが、
涼やかで素朴な叙情性に包まれた耳心地よい作風がよろしい。北欧トラッド・フォークメタルの好作品。
ドラマティック度・・7 フォーキー度・・8 北欧度・・9 総合・・8
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SMUTA (Смута) 「The Way (Путь)」
ロシアのフォークメタル、スムタの2015年作
女性Voに女性シンセ奏者を含む6人編成で、男性デスヴォイスに美しい女性ヴォーカル、
シンフォニックなシンセアレンジにホイッスルが鳴り響く、重厚なフォークメタルサウンド。
ドラマティックな幻想性に包ませた作風はARKONAあたりにも通じる雰囲気で、
適度に疾走感を含みつつ、激しさと叙情性のバランスがとれたクオリティの高さは見事。
ロシア語による女性ヴォーカルメインの曲などは、フィメールシンフォニックメタル好きにもアピールするだろう。
楽曲自体は3~4分台なので、個人的には1、2曲くらい大曲があればより作品としてのボリュームができると思う。
ドラマティック度・・8 重厚度・・8 ペイガン度・・8 総合・・8
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Last Wail 「The Tale of Endless Night」
ロシアのペイガンメタル、ラスト・ワイルの2011年作
ツインギターにシンセ、女性Voを含む6人編成で、美麗なシンセアレンジに吐き捨て型の女性ヴォーカルを乗せ
男性のデスヴォーカルが絡みながら、フォーキーなメロデイとともに疾走する、Arkonaあたりに通じるサウンド。
牧歌的な笛の音色も響かせつつ、エピックな勇壮さも合わさった感触で、激しく疾走するところなどは
Ensiferumあたりにも近い雰囲気かもしれない。メロディのフックやフォーク要素が、いまひとつ抜け切れていないので
ヴァイキングメタルなのか、フォークメタルなのかが曖昧で、聴いていても盛り上がりきらないのが残念。
全10曲ながらインストの小曲が3曲で、35分弱というのも、ややボリューム不足かと。
ドラマティック度・・7 疾走度・・8 ペイガン度・・7 総合・・7.5
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メタルの2016年スタート!(14)
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Cains Offering 「Stormcrow」
フィンランドのメロディックメタル、ケインズ・オファリングの2015年作
元SONATA ARCTICAのヤニ・リマタイネン率いるバンドで、ヴォーカルにはSTRATOVARIUSのティモ・コティペルト、
シンセにはイェンス・ヨハンソンが参加、本作で聴けるサウンドはファンが期待する通りの壮麗なシンフォニック性と
疾走感あふれるキャッチーなメロディックメタルである。いかにもイェンスらしい様式美なシンセフレーズや
ストラトっぽい歌いまわしなど、北欧メロパワの典型というか王道と言うか…新鮮味はあまりないのだが、
クオリティはもちろん高いです。ただ前作以上に北欧らしいトラッド調のメロディが顔を出すのはよい感じで、
お約束の疾走曲もよいのだが、むしろそういうミドルテンポ曲にも魅力がある。北欧メロに包まれた高品質作。
メロディック度・・8 疾走度・・7 北欧度・・9 総合・・8
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GLORYHAMMER 「Space 1992 : Rise Of The Chaos Wizards」
イギリスのメロディックメタル、グローリーハンマーの2015年作
HAMMERFALL+RHAPSODYというようなファンタジーメタルを聴かせた前作に続き、
2作目となる本作では宇宙を舞台に変え、BAL-SAGOTHばりのヲタ系エピックメタルが炸裂。
ややダーティなヴォーカルを乗せて、正統派メロパワの質感にこだわったサウンドに、
シネマティックな大仰さを加えたという作風は、すでに新鮮味は薄いのだが、
この手のゲーム的世界観のエピック・ファンタジーメタルが好きな方にはたまらないだろう。
4つ打ちビートのクラブノリのナンバーは少々興ざめだが、それも新世代バンドのこだわりのなさか。
メロディック度・・8 ファンタジック度・・8 新鮮度・・7 総合・・8
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Chaos Magic
ティモ・トルキによるニュープロジェクト、ケイオス・マジックの2015年作
Timo Tolkki's Avalonに続く、ティモ先生の新たなプロジェクトということで期待半分に聴いてみるが、
女性シンガー、カタリーナ・ニックスの伸びやかな歌声を中心に、適度にモダンなアレンジも含んだ
キャッチーなシンフォニックメタル。そのカタリーナ嬢の歌声は、なかなか美しくてよいのだが、
この手のフィメール・シンフォメタルはすでに出尽くした感があるので、よほど楽曲やアレンジが魅力的でないと
突出することはできないんですね。楽曲そのものの出来は悪くないのだが、ややラウドな音質も含めて、
どことなく抜けきらない感じがあるのが惜しい。そこそこシンフォニックでキャッチーという方向性もやや中途半端。
シンフォニック度・・7 女性Vo度・・8 新鮮度・・7 総合・・7.5
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AEVUM 「Impressions」
イタリアのシンフォニックメタル、アーヴムの2014年作
男女ヴォーカルを含む7人編成でシンフォニックかつモダンでスペイシーなアレンジと、
オペラティックなソプラノ女性ヴォーカルの歌声にマイルドな男性ヴォーカルが絡み、
スクリームヴォイスやイタリア語のコーラスなどとともに、壮麗でシアトリカルなサウンドを描いてゆく。
随所にデスメタルばりの激しいパートも現れたり、メリハリに富んだ濃密な味わいはじつにイタリアらしく、
10分前後の大曲も多く、スケールの大きなドラマ性をクラシカルかつオペラティックに聴かせてくれる。
TherionやHaggardなどのファンにも楽しめる力作だ。楽曲を充実させればさらに凄い作品を作りそう。
シンフォニック度・・8 壮大度・・8 濃密度・・8 総合・・8
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SATAN 「ATOM BY ATOM」
ブリティッシュメタルバンド、サタンの2015年作
80年代NWOBHM時代から活動するベテランバンドの復活2作目となる。
今作もヘヴィすぎないギターとブライアン・ロスのうるさすぎないヴォーカルを乗せて疾走する、
あの頃のセイタンの延長上というべきサウンドが繰り広げられる。適度なスカスカ感も含めて、
まさしく80年代臭さがにじみ出るようなオールドな聴き心地には、思わずにんまりである。
前作同様、叙情的なパートを随所に含ませた、英国らしい湿り気と空気感もたまらない。
メロパワともスラッシュとも違う、激しすぎないいわば中庸の味わいというべきか、
そんなブリティッシュなメタルが芳醇に詰め込まれた強力作だ。
ドラマティック度・・8 オールドHM度・・9 あの頃のセイタン度・・9 総合・・8
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ATTACKER 「The Unknown」
アメリカのメタルバンド、アタッカーの2006年作
80年代から活動するベテランで、本作は復活後の2作目となる。通算では4作目。
ロブ・ハルフォードを思わせるハイトーンヴォーカルとメタルらしいギターリフを乗せて疾走する
古き良き正統派のパワーメタルスタイルで、ザクザクとしたスラッシーな味わいもある。
ときおり甘すぎない程度のメロディを弾くツインギターも、かつてを思わせる感じでよろしい。
オールドスタイルのパワメタやスラッシュが好きな方にはうってつけの好作品です。
ドラマティック度・・7 正統派度・・8 古き良きパワメタ度・・8 総合・・7.5
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Dragoner 「Acordes De Libertad」
メキシコのメロディックメタル、ドラゴナーの2014年作
ツインギターにシンセを含む6人編成で、スペイン語のハイトーンヴォーカルを乗せて疾走する、
辺境的なメロスピサウンド。エピックで勇壮な世界観も感じさせつつ、煮え切らないシンセアレンジや
ヘナチョコなヴォーカルなど、すべてにおいて中庸の印象なのが、B級メロスピの醍醐味というべきか。
6分、7分と無駄に長い曲もあるのだが、たまに陽性のクサメロにニンマリする曲もあって、マニアにはたまらないかも。
メロディック度・・7 疾走度・・8 B級度・・8 総合・・7

Scale the Summit 「V」
アメリカのプログレメタル、スケール・ザ・サミットの2015年作
2007年にデビューしてから本作ですでに5作目。メタルフュージョン的な軽妙なアンサンブルと
DREAM THEATER的な構築力を融合したというようなサウンドは、本作でも存分に発揮されている。
メタリックなリフとメロディックなフレーズを兼ねそろえたセンス抜群のギターを中心に
モダンなテクニカル性を含ませた知的な展開美で、オールインストながらもメリハリに富んだ聴き心地だ。
曲によってはメタル色のぐっと薄い、肩の力の抜けたナンバーもあって、プログレ・フュージョン的な味わいもあるが、
全体的にはDjent系というべきモダンなテクニカルメタルとして楽しめる好作と言えるだろう。
ドラマテイック度・・7 テクニカル度・・8 軽妙度・・8 総合・・8 *過去作のレビューはこちら
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NATIVE CONSTRUCT 「Quiet World」
アメリカのプログレメタル、ネイティブ・コンストラクトの2015年作
バークリー卒というギタリストを中心にした若手バンドで、知的な構築力にシアトリカルなドラマ要素と、
モダンなキャッチーさを混在させたというようなサウンドは、やや唐突なリズムチェンジも含めて非常にせわしなく、
ダイナミックな勢いに満ちている。激しいヘヴィネスを聴かせたと思いきや、QUEENのようなポップなコーラスに
シンフォニックな優美さも覗かせつつ、いきなり強烈なブラストパートが現れたりと、聴き手の予想のつかない展開で
例えば、Between the Buried and Meあたりにも通じるような、若手らしいなんでもありのごった煮感に包まれている。
また凄いバンドが出てきたな…いわば優雅なるヘンタイというか、極端な振り幅が楽しめる方にはおススメです!
ドラマティック度・・8 テクニカル度・・8 優雅なヘンタイ度・・9 総合・・8
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The Great Discord 「Duende」
スウェーデンのプログレメタル、グレート・ディスコードの2015年作
女性Voにツインギターを含む5人編成で、テクニカルでモダンなヘヴィネスと硬質感、
女性ヴォーカルの歌声を乗せて、ブラストを含む激しいリズム展開で聴かせるサウンド。
ジャケのようなダークな雰囲気と浮遊感ある叙情性も覗かせつつ、メタリックな激しさとのメリハリが
バランスよく配置されていて、北欧らしいメランコリックな味わいもなかなかよろしい。
ソフィア嬢の歌声にはどこか醒めたような冷たさがあるのもサウンドによくマッチしている。
女性声のモダンProgMetalというのはあまりなかった路線なので、これからも期待したいバンドです。
ドラマティック度・・8 テクニカル度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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Sound of Eternity 「Visions & Dreams」
スペインのメロディアスハード、サウンド・オブ・エターニティの2014年作
美貌の女性シンガーをフロントに、キュートな歌声ときらびやかなシンセアレンジで聴かせる、
キャッチーなハードロックサウンド。爽やかなメロディアス性とともに、ベアトリス嬢のフェミニンな歌唱が
楽曲に艶めいた心地を加えていて、フィメールメタルが好きな方ならばぐっと来ることしばしばだろう。
また、ECLIPSEなどでも活躍する、エリク・マーテンソンの美麗なシンセワークもじつに素晴らしく、
シンフォニックメタルのリスナーにも楽しめるレベルである。魅力的な女性声にウットリの傑作ですわ。
メロディック度・・8 キャッチー度・・8 女性Vo度・・9 総合・・8
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Within Temptation「Let Us Burn: Elements & Hydra Live In Concert」
オランダのシンフォニックメタル、ウィズイン・テンプテーションのライブ作品。2014年作
Disc1には2012年ベルギーでのライブを収録。2011年作「The Unforgiving」からの楽曲を中心に、
ノリのよいメロディックなハードロックにオーケストラを帯同してのシンフォニックな壮麗さが合わさった
堂々たるステージである。個人的には後半の“The Promise”、“Mother Earth”、“Ice Queen”といった
かつてのナンバーがやはり嬉しい。Disc2には2014年の母国オランダでのステージを収録。
2014年作「HYDRA」からの楽曲を主体に、現在形ウィズインのバンドサウンドが楽しめる。
もはやかつてのゴシック的な雰囲気はないのだが、伸びやかなシャロンの歌声はどんな曲にでもフィットして
普遍的な女性声ハードロックとしては万人受けするクオリティである。DVDの付いた3枚組仕様の豪華版もあり。
シンフォニック度・・8 ライブ演奏・・8 女性Vo度・・9 総合・・8 *過去作のレビューはこちら
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RAVENSCRY 「The Attraction Of Opposites」
イタリアのゴシックメタル、レイヴンスクライの2015年作
美声の女性ヴォーカルの伸びやかな歌声と、モダンなヘヴィネスを含んだ聴き心地で
どっしりとした重量感のあるゴシックメタルを聴かせる、前作からの延長上のスタイルだ。
ジュリア嬢のヴォーカルは美しいソプラノからしっとりとした中音域まで、なかなか魅力的で
リフ主体の硬質なバックの演奏に、やわらかなヴォーカルメロディを乗せることで楽曲を彩っている。
このバンドの場合、シンセアレンジは味付け程度なのだが、曲によってはオーケストラルなアレンジや
クラシカルなテイストが盛り込まれていて、アグレッシブなヘヴィネスとのコントラストにもなっている。
単なるゴシックメタルにとどまらない、女性声のエクストリームメタルとしても楽しめる力作です。
ドラマティック度・・7 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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DARK LUNACY 「The Day Of Victory」
イタリアのメロディックデスメタル、ダーク・ルナシーの2015年作
前作はゴシックメタル的な作風に変化していて賛否両論であったが、5作目となる今作では
かつてのアグレッシブな疾走感を取り戻し、ブルータルに疾走するデスメタル要素に
メランコリックな叙情とドラマテイックな展開力を加えた、このバンドのスタイルが帰ってきた。
ロシアの文学や歴史をテーマにした重厚な世界観に、勇壮なクワイアやオーケストラルなアレンジも含んだ
シアトリカルかつ耽美な聴き心地で、単なるメロデスバンドの域を超えたシネマティックな香りに包まれている。
激しいだけでなくスローやミドルテンポのパートでも、どっしりとした荘厳な空気が音の説得力となっていて、
メロディックなフックは希薄ながら、迫力あるサウンドが聴き手を飽きさせない。じつに硬派の力作デス。
ドラマティック度・・8 重厚度・・9 荘厳度・・9 総合・・8 *過去作のレビューはこちら
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