メタルCDレビュー
~HEAVY METAL CD REVIEW 2017  by 緑川 とうせい

★2017年に聴いたメタルCDのレビュー(過去半年以内のものです)
*過去のレビューはCDレビューTOPから各ジャンル別に見られます

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4/21
来週はもうGWですか(158)


DARE 「Sacred Ground」
アイルランドのメロディアスハードロック、デアーの2016年作
THIN LIZZYのダーレン・ワートンを中心に1988年にデビュー、前作は3rdのリメイクだったが、
オリジナル作品としては2009年以来。オリジナルギタリストで、元TENのヴィニー・バーンズが復帰している。
ダーレン・ワートンの深みのある歌声と、アイリッシュの風を感じさせるような哀愁のメロディを乗せた、
叙情的なハードロックが楽しめる。ヴィニー・バーンズのギターも随所に泣きのフレーズを奏で、
シンセを含んだ美しいバラードなど、曲によってはTENのような味わいもあったり、ときにケルティックなメロディも含みつつ、
大人の美学というべきどっしりと優しい聴き心地である。まさにアイリッシュ・ハードの傑作だ。
メロディック度・・8 叙情度・・9 哀愁度・・9 総合・・8 *過去作のレビューはこちら
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PSYCHEDELIC WITCHCRAFT「Vision」
イタリアのヴィンテージロック、サイケデリック・ウィッチクラフトの2016年作
アナログ感たっぷりのギターに、女性ヴォーカルの歌声で聴かせる魔女系サイケロック。
楽曲は3~4分前後で、PURSONBlood Ceremonyなどに比べると、よりシンプルな感触であるが、
紅一点、Virginia嬢のいくぶんけだるげな歌声はサウンドによくマッチしていて、
この手の女性声オールドロックが好きな方にはたまらないだろう。ときにブルージーなギターも
全体的にハードさは控えめで、あくまで歌を引き立てるバックという感じなので、
わりと歌ものサイケポップ的な感じにも楽しめる。魔女系ロックにまた期待の新鋭誕生です。
ドラマティック度・・7 アナログ度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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ELECTRIC CITIZEN 「Higher Time」
アメリカのヴィンテージロック、エレクトリック・シチズンの2016年作
女性Voを含む4人編成で、古き良きギターリフに艶めいた女性ヴォーカルの歌声を乗せた、
アナログ感に包まれた70年代的なサウンド。この手のバンドとしては、Blood CeremonyCastle
PURSONといったバンドがいるが、本作も随所にオルガンが鳴り響く妖しい空気感も含めて、
魔女系ロックとしての魅力は十分である。楽曲は3~4分前後とわりとシンプルなので、上記のバンドに比べると
やや歌もの的な感じが強いのだが、そこはローラ・ドラン嬢のハスキーな歌唱の魅力で聴きとおせる。
あとは、もう少し楽曲のアレンジや世界観に深みが加わればさらにいいバンドになりそうだ。
ドラマティック度・・7 古き良き度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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CRYPT SERMON 「Out of the Garden」
アメリカのエピック・ドゥームメタル、クリプト・セルモンの2015年作
バンド名や曲名などから、おそらくクリスチャンなドゥームメタルバンドなのだろう。
重厚なツインギターにパワフルなヴォーカルを乗せた、本格派のエピック・ドゥームサウンド。
ヨーロピアンな翳りと湿り気のある叙情を含んだ、どっしりとした聴き心地で、サウンドの説得力も含めて、
エピック・ドゥームの大御所、Candlemassを思わせる。ソロパートでは流麗なフレーズを奏でるギターもなかなかのもので、
5~7分前後とわりと長めの楽曲でも、リフの魅力や音の迫力で最後まで飽きずに鑑賞できる。
適度にダークで甘すぎないくらいにメロディアス、ドラマティックな正統派エピック・ドゥームの力作だ。
ドラマティック度・・8 重厚度・・8 正統派度・・8 総合・・8
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New Light Choir 「Volume II」
アメリカのヴィンテージメタル、ニュー・ライト・クワイアの2015年作
Vo&G&BとDrという二人組ユニットで、メロディックなギターフレーズを乗せて疾走するポストブラック風味に、
ラウドなアナログ感を感じさせるヴィンテージなハードロックを融合させたというスタイルで、
マイルドなヴォーカルの雰囲気は80年代のエピックメタルやNWOBHMの雰囲気も感じさせる。
けっしてパワフルでないヴォーカルと重すぎない適度なユルさがほどよいマイナー臭さをかもしだしていて、
不思議なカルトメタルの味わいで楽しめる。楽曲は2~4分前後とシンプルで、濃密さの点では少し物足りないのだが、
ともかく、少し怪しげでスカスカ、ほどよく疾走感もあるヴィンテージなオールドメタルが好きな方はぜひ。
ドラマティック度・・7 カルト度・・8 ヴィンテージ度・・8 総合・・7.5
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Kylesa 「Ultraviolet」
アメリカのスラッジメタル、カイリサの2013年作
2002年にデビューし、本作はすでに6作目となる。ラウドなヘヴィロック的な作風であった過去作から、
前作では古き良きドゥームロックの感触がいくぶん覗かせた感触だったが、本作ではそのラウドロックと
オールドなドゥーム感がちょうど融合したというようなサウンドを聴かせる。ヘヴィなギターリフに
男女ヴォーカルの歌声を乗せた、適度にサイケな浮遊感のあるスラッジ・ドゥームというべきか。
楽曲は3~4分とわりとシンプルであるが、グルーヴィなノリを含んだインストパートには絡みつくような妖しさがあり、
女性声をメインにした魔女系ドゥーム的なナンバーも含めて、案外メリハリに富んだ作風になっている。
ドラマティック度・・7 ヘヴィネス度・・8 古き良きドゥーム度・・7 総合・・7.5
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Kylesa 「Exhausting Fire」
アメリカのスラッジメタル、カイリサの2015年作
7作目となる本作では、ヘヴィなギターリフを乗せたうねりのあるアンサンブルに女性ヴォーカルの妖しい歌声が乗る、
Witch MountainWINDHANDなどにも通じる、いわゆる魔女系ドゥームメタルというサウンドにぐっと接近している。
曲によっては男性ヴォーカルが前に出てくるが、男女ヴォーカルを乗せたミステリアスな浮遊感と重厚な聴き心地は、
さすがキャリアのあるバンドの説得力である。前作でも垣間見せた、ドゥームな部分をより際立たせながら、
ヘヴィさはやや抑え目でどこかキャッチーでもあるという、個人的にもずいぶんと好みの作風になった。
楽曲は、3~4分前後と短めながらも、アナログ感に包まれたオールドな感触と妖しい空気感をたっぷりと振りまいていて、
Black Sabbath「Paranoid」のカヴァーもいかにも魔女系な仕上がりでハマっている。
ドラマティック度・・8 ヘヴィネス度・・7 古き良きドゥーム度・・8 総合・・8
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Lord Dying 「Summon the Faithless」
アメリカのスラッジ/ドゥームメタル、ロード・ダイングの2013年作
ヘヴィなギターリフを乗せたアナログ感に包まれたアンサンブルに、ダミ声ヴォーカルを乗せて
不穏な空気感を描き出すサウンド。この手のドゥーム・スラッジ系にしたはわりとアグレッシブな感触で、
がなり立てるヴォーカルとヘヴィネスは、スラッシュ/デスメタル的な雰囲気もいくぶん感じさせる。
ツインギターは古き良き感触のリフに加えて、随所にメロディックなフレーズを奏でたりと、
オールドな正統派メタルファンにもアピールする部分があるだろう。リズム的にも遅すぎないノリと
うねりのあるグルーブ感で、重厚なスラッジメタルとしてバランスのとれた聴き心地といえる。
ドラマティック度・・7 重厚度・・8 古き良き度・・8 総合・・8
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Brutus 「Behind the Mountains」
ノルウェーのヴィンテージロック、ブルータスの2013年作
ツインギターを含む5人編成で、ヘヴィなギターリフを乗せたグルーヴィなアンサンブルで、
いかにもアナログ感ただよう、ヴィンテージなハードロックサウンドを描く。
Graveyardあたりに比べると、絡みつくようなドゥーム感触がもう少しあって、
アンダーグラウンドな空気感が強い分、よりマニア受けする濃密な聴き心地である。
楽曲のフックなどに個性的な新鮮さは薄いものの、どっしりとしたアンサンブルと音の説得力は
デビュー作にしてすでに十分備わっている。ラスト曲ではオルガンも鳴り響く音の厚みが素晴らしい。
ドラマティック度・・7 アナログ度・・8 古き良き度・・9 総合・・8
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GODSPEED YOU! BLACK EMPEROR 「Asunder, Sweet & Other Distres」
カナダのポストロック、ゴッドスピード・ユー!・ブラックエンペラーの2015年作
1998年にデビュー、その壮大なスケール感とサウンドコラージュ的な先鋭的なセンスから、
多くのバンドに影響を与えるポストロックの旗手となった。2002年作を最後に解散するが2010年に復活し、
本作は通算5作目となる。ヘヴィなギターにブラスが絡む、どっしりとしたサウンドで、ダークでありながらも
やわらかな叙情も感じさせる。シンセをメインにしたエクスペリメンタルなサウンドスケープ風味なども含め、
ヴォーカルがないオールインストなので、この手のポストロックが苦手な方には退屈かもしれないが、
ミステリアスな空気と得体の知れないスケール感を描く音作りはさすが。全4曲という構成で、
メロウなギターに絡むストリングが美しいラストの13分の大曲は圧巻だ。まさに堂々たる力作。
ドラマティック度・・7 ロック度・・6 ミステリアス度・・8 総合・・8 *過去作のレビューはこちら
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Enochian Theory 「Evolution: Creatio Ex Nihilio」
イギリスのプログレメタル、エノチアン・セオリーの2009年作
コンセプチュアルな雰囲気の小曲からして、すでに知的なセンスを感じさせるが、
モダンなヘヴィさと硬質感に、適度にテクニカルな展開力で聴かせる、新世代のProgMetalサウンド。
基本はギター&ヴォーカルに、ベース、ドラムのトリオ編成ながら、随所にオーケストレーションによる
壮麗なアレンジでがシンフォニックな質感を生みだしている。マイルドなヴォーカルを乗せた繊細な叙情性などは、
モダンなハードプログレとしても楽しめる。Pain of Salvationあたりに通じるアーティスティックな構築性で、
ドラマティックなサウンドをセンスよく描いてゆく。英国の新鋭による高品質な作品である。
ドラマティック度・・8 プログレ度・・7 モダンなセンス度・・8 総合・・8
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EtHERSENS 「Ordinary Days」
フランスのプログレメタル、エーテルセンスの2008年作
硬質なギターリフによるモダンなヘヴィネスとテクニカル性にマイルドなヴォーカルを乗せた
メランコリックな味わいを含んだスタイリッシュな作風。Pain of Salvationなどにも通じる知的なセンスに、
ヴォーカルはときにがなり立てるような激しく歌ったり、、シアトリカルな側面も垣間見せる。
派手な展開というのはあまりないが、ゴシックロック的な翳りのある叙情性に包まれた世界観で、
Wolverineなどが好きなリスナーにも楽しめるだろう。モダンでハイセンスな薄暗系メタルの好作品。
ドラマティック度・・8 テクニカル度・・7 メランコリック度・・8 総合・・7.5
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MECHANICAL BUTTERFLY 「The Irresistible Gravity」
イタリアのプログレメタル、メカニカル・バタフライの2015年作
女性Voにシンセを含む5人編成で、メロディックなギターにわりとモダンなシンセアレンジで、
適度にテクニカルでいくぶんエキセントリックな展開を含むインストパートを中心に、
しっとりとした女性ヴォーカルが加わると、妖しげな浮遊感をともなった感触になる。
メタリックなギターによるヘヴィさと軽妙なアンサンブルが同居した聴き心地は個性的であるが、
メロディのフックや盛り上がりの面では、ややとらえどころがない感じがして物足りないか。
個人的には女性Voをもっと活かしたシンフォ路線へいって欲しいような気もしますな。
ドラマティック度・・7 テクニカル度・・7 女性Vo度・・7 総合・・7
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Speaking to Stones
アメリカのプログレメタル、スピーキング・トゥ・ストーンズ2006年作
シンセを含む4人編成で、適度にモダンな硬質感とテクニカルな展開力で聴かせる、わりと正統派のProgMetal。
「AWAKE」期のDREAM THEATERに通じるいくぶん翳りを含んだ叙情性にエモーショナルなヴォーカルを乗せ、
うっすらとしたシンセアレンジに、随所に流麗なフレーズを奏でるギターも含めて、なかなかクオリティが高い。
キャッチーな歌メロの感触などは、かつてのWithout Warningなどを思わせる部分もある。
9分、10分という大曲では、インストパートでの力量という点でやはり本家DTに比べると物足りなさもあり、
イマイチなジャケやサウンドプロダクションの弱さもややマイナー臭さをかもしだしてはいるのだが、
90年代スタイルのプログレメタルが好きな方なら、なかなか楽しめる好作品だろう。
メロディック度・・8 テクニカル度・・7 薄暗度・・8 総合・・7.5
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ELFONIA 「This Sonic Landscape」
メキシコのプログレメタル、エルフォニアの2003年作
のちにSTREAM OF PASSIONに加入する、Marcela Bovio嬢の美しい歌声を乗せ、
適度にテクニカルな展開力と、アンニュイな叙情でゴシック的な薄暗さをもったサウンド。
ときにジャズ的でもある優雅なアンサンブルに、いくぶんエキセントリックなセンスと、スリリングな空気感、
やわらかな浮遊感を同居させたという聴き心地である。なによりもマルセラ嬢の伸びやかな歌声は素晴らしく、
ゴシック寄りのナンバーはThe Gatheringなども思わせる。ラストは3パートに分かれた16分を超える組曲で、
プログレ的な構築センスも光る。美しい女性声ハードシンフォとしても楽しめる好作である。
ドラマティック度・・8 アンニュイ度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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Teeth of Lions Rule the Divine 「Rampton」
ドゥーム/ドローンユニット、ティース・オブ・ライオンズ・ルール・ザ・ディヴァインの2002年作
Cathedralのリー・ドリアン、ギターがKhanateSunn O)))Electric Wizardのメンバーと組んだユニットで、
ノイジーなギターが鳴り響くなかを、即興的なドラムが叩き続けるという異色のサウンドで、
そこにリー・ドリアンの吐き捨てるようなヴォイスが乗る。ギターはときおりリフらしきものを奏でて
若干曲らしくなるものの、基本的にはノイジーでフリーキーなドローンが延々と繰り広げられる。
30分弱の1曲目がやって終わると、アンビエントな7分の小曲でのんびりできるかと思いきや、
リー・ドリアンの絶望的なヴォーカルが聴き手を谷底へと引きずり込む。そして、ラストはまた18分のドローン・ドゥーム地獄。
間違いなく聴き手を選ぶ作品だが、ここまでやってくれると暗黒の世界に心地よく浸れます。
ドラマティック度・・7 ドローン度・・8 暗黒度・・9 総合・・7.5
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4/15
メシュガーが凄すぎる!(142)


ANIMALS AS LEADERS 「THE MADNESS OF MANY」
アメリカのテクニカルメタルバンド、アニマルズ・アズ・リーダーズの2016年作
8弦ギターを駆使する黒人ギタリスト、トシン・アバシを中心としたバンドの4作目となる。
エスニックな旋律にヘヴィなギターリフを交えて、テクニカルなリズムに乗せたMeshuggahを思わせる感触に、
随所にメロディックなフレーズを聴かせる、いわばメタル・フュージョン風味も含んだサウンドだ。
オールインストでありながらミステリアスなスケール感を描く技量とセンスはさすがというべきで、
テクニックのみならず自在な表現力のフレージングで楽曲を彩るギタープレイも素晴らしい。
いまやDjent系の代表となった感があるが、その期待通りのテクニカル性と、変則リズムによる軽妙な遊び、
そこにモダンなヘヴィネスとメロディが高度に融合し、より深化を遂げた濃密な作品に仕上がっている。
ドラマティック度・・7 テクニカル度・・9 軽妙だがヘヴィ度・・8 総合・・8.5 *過去作のレビューはこちら
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Meshuggah 「The Violent Sleep of Reason」
スウェーデンのテクニカルメタル、メシュガーの2016年作
1991年にデビュー、メカニカルなリフと変則リズムを組み合わせた独自のスタイルで、Djent系の元祖ともされるバンド。
8作目となる本作も、のっけから重厚なギターリフを変拍子まくりのリズムに乗せた、濃密なメシュガーサウンドが炸裂。
ヘヴィで硬質でありながらも、うねりのあるベースの存在感とともに、どこか有機的でトリップ感を覚えるようなサウンドは、
さらに荘厳な説得力を増してきている。ダミ声ヴォーカルまでもが、ときにリズムの一部と化して溶け込んでゆくような感覚…
フレドリック・トーテンダルのかつてのソロ作品「SOL NIGER WITHIN」にも通じるプログレッシブかつアヴァンギャルドな芸術性が、
さらに高度な演奏力とグルーブをまとい、音の塊となって襲い掛かってくる。異端のテクニカルメタルの極北というべきか、
この路線では究極というべき円熟の域に到達した本作は、Djent云々を軽々と超越した孤高の傑作であろう。
ドラマティック度・・8 テクニカル度・・9 荘厳度・・9 総合・・9 *過去作のレビューはこちら
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Beyond Creation 「The Aura」
カナダのテクニカル・デスメタル、ビヨンド・クリエイションの2011年作
6弦フレットレスベース奏者に、7弦&8弦のツインギターというイカれた多弦ヲタク的な編成で、
絶叫系デスヴォイスを乗せ、ブラストビートでたたみかける激しさと、切り返しの多いリズムチェンジで聴かせる
強烈なテクニカルデスメタル。いわゆるピロピロ系のスウィープ奏法のギターフレーズに、
うねるような味のあるベースの技巧もかなりのもの。ギターはメロディックなソロ的な部分も多く、
激しいサウンドなのだが、重さがさほどでもないので凶悪さは薄めで、わりと聴きやすいという。
10分を超える大曲なども含めて、緩急ある構築力はプログレ的でもある。メロ多めの濃密テクデス!
ドラマティック度・・8 暴虐度・・8 テクニカル度・・9 総合・・8
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Beyond Creation 「Earthborn Evolution」
カナダのテクニカル・デスメタル、ビヨンド・クリエイションの2014年作
激しくたたみかけるサウンドは前作と同じだが、一聴してよりメロディアス志向が強まっている。
ツインギターの絡みによる有機的なリフとメロディックなフレーズはときにフュージョン的でもあり、
緩急ある構成と、キメの多いインストパートでのテクニカルな軽妙さはいっそう際立ってきて、
咆哮するデスヴォイスを覗けば、強烈なテクニカルメタルとして楽しめる部分もしばしば。
フレットレスベースの存在感も前作以上で、手数の多いドラムとのコンビネーションで、
ときにジャズ的な優雅なグルーブをまじえて、激しく濃密なリズムセクションを作り出している。
ここまで来ると、デスメタル的な魅力ではなく、インストによるテクニカルなアンサンブルを楽しむ作品というべきか。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・7 テクニカル度・・9 総合・・8
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DESTROYING THE DEVOID 「PARAMNESIA」
アメリカのプログレッシブ・デスメタル、デストロイング・ザ・デヴォイドの2016年作
DEEDS OF FLESHのCraig Petersによる個人プロジェクトで、自身でギター、ベース、ドラム、ヴォーカルをこなしている。
テクニカルなギターリフとメロディックなフレーズに、きらびやかなシンセに、オーケストレーションなどを加えた、
プログレッシブなシンフォニック・デスメタルというべきサウンド。ブルータルに疾走しながらも、バックにムーグシンセが鳴っていたりと
暴虐さよりも知的な構築力を感じさせる聴き心地で、テクニカルな変則リズムのDjent系の感触と、Fleshgod Apocalypseにも通じる、
荘厳でオーケストラルなデスメタルが融合した濃密な作風である。アルバム後半は3パートに分かれた20分を超える組曲で、
デスメタルというよりはむしろ、プログレッシブな構成と叙情性で展開してゆく見事なサウンドが楽しめる。、
ドラマティック度・・8 暴虐度・・7 テクニカル度・・8 総合・・8
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INANIMATE EXISTENCE 「CALLING FROM A DREAM」
アメリカのテクニカル・デスメタル、イナニメート・イグジステンスの2016年作
うっすらとしたシンセにメロウなギター、女性ヴォーカルの歌声を乗せた浮遊感ある空気感に、
テクニカルデスの硬質感を合わせたというサウンド。男性デスヴォイスとともに激しく疾走しつつ、
スウィープ奏法のピロピロ系ギターに美麗なシンセアレンジ、そして女性声が重なるという、
アヴァンギャルドかつプログレッシブなセンスで描かれる、濃密かつ個性的な聴き心地である。
暴虐すぎず、テクニカル過ぎないメロディアスな聴きやすさで、テクデス、プログレデス、両方のリスナーに対応。
全35分という短めのアルバムであるが、クオリティの高いプログレ・デスメタルにおなかいっぱい。
ドラマティック度・・7 テクニカル度・・8 アヴァンギャル度・・8 総合・・8
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Orphalis 「The Birth Of Infinity」
ドイツのデスメタル、オルファリスの2016年作
ツインギターのリフと低音デスヴォイスを乗せてブラスト疾走するブルータルな激しさに、
随所にリズムチェンジを含んだテクニカルな展開力も覗かせる強力なサウンド。
昨今のバンドにしてはオールドスタイルの感触が強く、ゲボ声ヴォーカルもひと昔前のデスメタルっぽい。
ギターはザクザクのリフだけでなく、ときにテクデス風のピロピロフレーズも奏でていて
ときにブラックメタル風味のダミ声も入ってきたりもするが、基本はやかましくて激しい。
少々一本調子な感じもするが、オールドなブルデス好きにはたまらないかもしれない。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・9 テクニカル度・・7 総合・・7.5
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REVOCATION
アメリカのテクニカル・(デス)スラッシュメタル、レヴォケーションの2013年作
4作目となる本作は、ツインギターの硬質なリフにダミ声ヴォーカルを乗せて疾走しつつ、
随所に激しいブラスト疾走を含んだモダンなデスコア風味が加わったサウンドになっている。
前作までのメロディックな部分が薄まって、デスメタル的でもあるブルータルな激しさが増していて、
リズムチェンジを含んだテクニカルな切り返しは、このバンドならではの知的な構築性を感じさせる。
もはやスラッシュというよりは、テクニカルなエクストリームメタルというべき感触であるが、
この路線を好むリスナーも多いのではなかろうか。個人的には前作までの路線が好みではあるが。
ドラマティック度・・7 テクニカル度・・8 ほぼテクデス度・・8 総合・・8
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REVOCATION 「Deathless」
アメリカのテクニカル(デス)スラッシュメタル、レヴォケーションの2014年作
5作目となる本作は、テクニカルデス寄りだった前作の延長上のサウンドで、
ツインギターのクールなリフを乗せた切れ味のよい、アグレッシブな聴き心地。
前作に比べるとメロディックなフレーズが増えていて、テクニカルな展開力をともなった
ドラマティックなスラッシュメタルという作風にやや立ち戻っている感もある。
一方では、モダンなヘヴィネスでたたみかける知的なデスコア風味も残していて、
プログレッシブ・テクニカルデスというナンバーもあるので、やはりこの路線でゆくのだろう。
ドラマティック度・・7 テクニカル度・・8 知的な構築度・・8 総合・・8
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FALAISE 「As Time Goes By」
イタリアのポストブラックメタル、ファライスの2015年作
うっすらとしたシンセをバックに、ノイジーなギターを乗せて激しく疾走しつつ、随所に繊細な叙情パートを盛り込んだ
Alcestを思わせるスタイルで、幻想的なポストブラックサウンドを描いてゆく。ヴォーカルは低音ダミ声なのだが、
遠くからうっすらと聴こえてくる感じで、暴虐な感じはさほどしない。むしろトレモロのギターフレーズなどの、
メロディアスな聴き心地が前に出ていて、激しく疾走するパートは多いのだが、耳に優しい感じがする。
Alcestの雰囲気を踏襲しすぎていて、現時点ではこのバンドならではの個性というものは薄いのだが、
逆に言うと、この手のサウンドが好きな方にはたまらないに違いない。今後に期待のバンドです。
ドラマティック度・・8 叙情度・・8 Alcest度・・9 総合・・8
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Homselvareg 「Catastrofe」
イタリアのブラックメタル、ホムセルヴァレグの2009年作
ツインギターのノイジーなリフを乗せて疾走する、オールドスタイルのブラックメタルで、
アナログ感あるサウンドも含めて、プリミティブなマイナー臭さに包まれた聴き心地。
イタリア語による邪悪なダミ声ヴォーカルもいい感じで、随所にメロディックなギターフレーズも覗かせながら、
スローパートから強烈なブラスト疾走まで、緩急のある展開は初期のABIGORなどにも通じるだろう。
ファストにたたみかける激しさの中にも、ダークな幻想性と湿り気ある空気感を描くところもよいですな。
甘すぎないメロディを含んだ古き良きスタイルの真性ブラックメタル強力作!
ドラマティック度・・7 暴虐度・・8 プリミティブ度・・8 総合・・8
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ASA NOIR 「Fall of The Idols」
フィンランドのシンフォニック・ブラックメタル、アサ・ノワールの2014年作
美麗なイントロから、シンフォニックなシンセアレンジにダミ声ヴォーカルを乗せたミドルテンポで始まり
随所に激しい疾走パートも含んだ、中期のDimmu Borgirあたりを思わせるシンフォブラック。
楽曲は4~5分前後と比較的コンパクトで、ギターはときにメロデス的なフレーズを覗かせつつ
ヘヴィなリフとシンセの美しさがコントラストとなって、スペイシーなスケール感を描いている。
暴虐に疾走する部分が少ないので、荘厳な迫力という点ではやや物足りないが、
シンフォニックな聴きやすさが前に出ていて、それなりにクオリティは高い作品ではある。
シンフォニック度・・7 暴虐度・・7 荘厳度・・7 総合・・7.5
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4/7
散りゆく桜とメタルの春(130)


Sonata Arctica 「Ninth Hour」
フィンランドのメロディックメタル、ソナタ・アークティカの2016年作
2000年にデビュー、初期のメロスピ路線から、2007年作以降はハードロック寄りにシフトしてきたこのバンド、
9作目となる本作も、美麗なシンセアレンジとマイルドなヴォーカルを乗せたキャッチーな作風で、
ウェットな叙情性と爽快なメロディアス性を兼ねそろえた、クオリティの高いサウンドを聴かせる。
曲によってはかつてのような疾走感もありつつ、トニー・カッコの歌声は繊細な表現力を増していて、
北欧のバンドらしい哀愁を含んだメロディとともに、透明感のある優雅なシンフォニック・ハードが楽しめる。
ゆったりとしたナンバーも多いが、力の抜けた自然体の柔らかみで構築された、大人のソナタを感じさせる好作品である。
シンフォニック度・・8 優雅度・・9 大人のソナタ度・・9 総合・・8 *過去作のレビューはこちら
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Symphony X 「Underworld」
アメリカのシンフォニックメタル、シンフォニー・エックスの2015年作
1994年デビューしてから、すでにキャリア20年のベテランで、本作は9作目となる。2枚組の大作であった前作は、
濃密すぎて聴いていて途中でげんなりとしてしまったものだが、今作もシンフォニックかつ大仰なイントロかららしさ全開。
マイケル・ロメオの奏でるキレのよいギターリフに、ラッセル・アレンのワイルドなヴォーカルを乗せて疾走、
きらびやかなアレンジとテクニカルな構築性で、メタルコア的でもあるモダンなエクストリームメタルを聴かせる。
ダンテの「神曲」地獄篇にインスパイアされたとのことだが、美麗なシンセに包まれたスケール感と、
テクニカルメタルとしての技巧要素が組み合わさった、悪く言うと耳やかましい作風はいつもと同じ。
そんな中、わりとゆったりと聴かせるメロディックなナンバーは少し嬉しい。メロのよい曲をもっと増やしてください。
メロディック度・・7 テクニカル度・・8 濃密度・・8 総合・・7.5 *過去作のレビューはこちら
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IMPELLITTERI 「VENOM」
アメリカのギタリスト、クリス・インペリテリ率いる、インペリテリの2015年作
前作から6年ぶりとなるアルバムで、やや小粒に思えた前作に比べて、のっけから勢いのあるナンバーでたたみかける。
ロブ・ロックのパワフルなハイトーンヴォーカルに、インペリテリのテクニカルなギターフレーズを乗せた、
ベテランらしいオールドスタイルの様式美メタルが楽しめる。楽曲はほとんどが3分台でシンプルなのだが、
キャッチーなメロディのフックとともに80~90年代的な味わいを残しつつ、随所に疾走する激しさもある。
爽快かつ濃密な聴き心地で、ここ数作では最も充実した内容だろう。アルバム全34分というのも潔い。
メロディック度・・8 様式美度・・8 シンプルだが濃密度・・8 総合・・8 *過去作のレビューはこちら
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ANGRA 「Angels Cry: 20th Anniversary Live」
ブラジルのメロディックメタル、アングラのライブ作品。2013年作
1993年のデビュー作から20周年を祝して行われた、ブラジル、サンパウロでのライブステージを2CDに収録。
新たにファビオ・リオーネ(Rhapsody of Fire)をシンガーに迎えての編成であるが、艶のあるファビオの歌声は、
シンフォニックなナンバーやアコースティックな曲にはマッチするが、とくに初期の疾走ナンバーでは違和感があって、
前任者の頃の突き抜けるような爽快感は薄い感じがする。また、録音がややラウドなこともあって、ライブ感はあるのだが
ドラムも含めて演奏面での一体感も物足りないような。Disc2では、元NIGHTWISHのターヤ・トゥルネンの歌う“Stand Away”、
ケイト・ブッシュのカヴァー“Wuthering Heights”では、元SCORPIONSのウリ・ジョン・ロートもゲスト参加している。
ファビオは高音部は少しつらそうながら、名曲“Evil Warning”~“Carry On”という流れは、なんだかんだでやはり盛り上がる。
ライブ演奏・・7 音質・・7 名曲度・・8 総合・・7.5 *過去作のレビューはこちら
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Meat Loaf 「Hang Cool Teddy Bear」
アメリカのヴォーカリスにして、ロックオペラの代名詞、ミート・ローフの2010年作
1977年の1作目から数えて何作目になるのか分からないが、本作は前作「地獄のロックライダー3」から4年ぶりとなるアルバムで、
やはりSFファンタジー的なストーリーがあるのだろう、壮大な雰囲気のイントロから、曲が始まるとオーケストラアレンジをバックに、
渋みのあるヴォーカルを乗せた古き良き感触のハードロックサウンドが広がってゆく。オルガンを含むシンセアレンジに、
ときにブギウギ調だったりと、70年代的なオールドロック味わいも感じさせつつ、ピアノをバックにじっくりと歌い上げるパートや、
曲によっては女性ヴォーカルも加わって、壮麗なロックオペラを描き出す。メジャー感のあるキャッチーなメロディアス性もさすがで、
多くのファンが楽しめるサウンドの普遍性を感じさせる。シンフォニックなスケール感と、古き良きロックが合わさったという力作である。
ドラマティック度・・8 ゴージャス度・・9 オールドロック度・・8 総合・・8
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SARAQUSTA 「Injusta Condena」
スペインのハードロック、サラクスタの2015年作
アンダルシア地方のバンドということで、偉大なる先輩であるMEDINA AZAHARAが思い浮かぶが
このバンドもスペイン語による濃密なヴォーカルに、美麗なシンセアレンジを含んだキャッチーなサウンドで、
スパニッシュな哀愁を漂わせたメロディラインが耳心地よい。叙情的な泣きのギターフレーズに、
ときにプログレ的なきらびやかなシンセワークも覗かせる。メディナ・アザーラに比べるともう少しライトで、
モダンな感触もあるのだが、やはりヴォーカルのスパニッシュな歌いまわしは独特の味わいがあり、
土着的なスパニッシュハードとしての魅力が勝っている。アンダルシアロックを受け継ぐ新鋭として期待したい。
メロディック度・・8 キャッチー度・・8 スパニッシュ度・・9 総合・・8
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Wardrum 「Messenger」
ギリシャのメロディックメタル、ウォードラムの2013年作
正統派のギターリフに伸びやかなヴォーカルの歌声を乗せたオールドなメロパワスタイル。
ギリシャのバンドというとB級というイメージが強いのだが、このバンドに関しては見事な歌唱力に
バックの演奏力も含めて、一線級のバンドにひけをとらない。手数も多く安定感のあるドラムに、
キレのいいリフと随所に巧みなフレーズを奏でるギターとともに、サウンドに確かな説得力を付加している。
クサメロ系のメロスピなどとは違い、メロディアスであってもあくまでオーセンティックな聴き心地で、
なにより力量あるヴォーカルの表現力は素晴らしい。楽曲はミドルテンポ主体であるが、
様式美な疾走ナンバーもあって、HIBRIAなど、正統派メタルが好きなオールドなリスナーには受けるだろう。
ドラマティック度・・7 パワフル度・・8 正統派度・・8 総合・・8
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BLOODBOUND 「Stormborn」
スウェーデンのメロディックメタル、ブラッドバウンドの2014年作
2005年にデビューしてから本作ですでに7作目となる。大仰なイントロに続き、ツインギターの叙情メロディとともに、
パワフルなハイトーンヴォーカルを乗せて疾走するメロパワサウンドが炸裂。Primal Fearばりのどっしりとした正統派メタルの感触に、
サビでのメロディックなフックと流麗なギターソロは、GAMMA RAYなど往年のジャーマンメタルをルーツにしたドラマティックな聴き心地である。
今作では、ケルティックなメロディを含んだキャッチーかつ勇壮なナンバーから、MANOWARばりのどっしりとしたミドルテンポ、
さらにはネオクラ風の疾走ナンバーまで、楽曲ごとの多彩なアレンジで、メロディックな魅力という点では過去最高の出来かもしれない。
第三世代のメロパワバンドとしては、Powerwolfらとともに、すでに欧州のシーンを牽引する存在といってよいだろう。
メロディック度・・8 疾走度・・8 正統派度・・8 総合・・8 *過去作のレビューはこちら
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IRON SAVIOR 「Rise Of The Hero」
ドイツのパワーメタル、アイアン・セイヴィアーの2014年作
ピート・シルク率いる正統派のジャーマンメタルバンド、1999年のデビューから7作目となる本作も、
重厚なギターリフにパワフルなヴォーカルを乗せた、どっしりとした正統派のメロパワサウンドを聴かせる。
サビでのキャッチーなコーラスや、HELLOWEENなどに通じるメロディックなギターソロはいかにもジャーマンメタル的で、
これという目新しさはないのだが、ベテランらしい堂々たる説得力である。トーマス・ナックの勢いあるドラムに、
ピート・シルクの歌声も伸びやかで、爽快に疾走するナンバーもじつに魅力的だ。本作ではメロディアスなフックが、
GAMMA RAYばりに際立っていて、楽曲ごとのクオリティがこれまでの作品以上に増している。年季を感じさせる見事なアルバムだ。
メロディック度・・8 重厚度・・8 正統派度・・8 総合・・8 *過去作のレビューはこちら
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PARADOX 「Pangea」
ドイツのスラッシュメタル、パラドックスの2016年作
80年代から活動するベテランで、2000年に復活してから5作目、通算では7作目となる。
本作では、リーダーのチャーリー・スタインハウアー以外のメンバーが一新し、ベースはVICIOUS RUMORSから、
ギターとドラムにはギリシャのSUNBURSTのメンバーが参加している。スラッシーなリフを乗せて疾走する、
硬質かつパワフルな激しさと、ツインギターによるメロディックな要素が合わさった、バラドックス節は健在。
ガス・ドラックスのキレのよいギターワークも案外サウンドにマッチしていて、随所にテクニカルなフレーズも覗かせる。
演奏陣が一新したこともあってか、オールドスタイルのスラッシュをやっていながら、どこかモダンな硬質感が強まった感もある。
楽曲は、6~7分前後の長めのものも多いのだが、個人的にはインパクトのあるナンバーがやや少ない気がした。
ドラマティック度・・7 疾走度・・8 新鮮度・・7 総合・・8 *過去作のレビューはこちら
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GRAND MAGUS 「TRIUMPH & POWER」
スウェーデンのヘヴィメタル、グランド・メイガスの2014年作
SPIRITUAL BEGGARSのJBをフロントにして2001年にデビューしてから、本作が7作目となる。
前作は正統派のエピックメタルに接近したような作風だったが、本作でもどっしりとした聴き心地の
古き良きメタルの感触に、ザラついたアナログ感覚を加えたような大人の味わいのサウンド。
ヘヴィさは控えめの音作りやレイドバックするようなアンサンブルは、オールドなハードロックリスナーにも対応。
ときにブルージーな感触も含んだギターに、朗々としたJBの歌声を乗せた渋みのあるHR/HMが楽しめる。
小曲2曲を含む全10曲42分というのも、アナログ時代のレコードを思わせる長さで良い感じです。
ドラマティック度・・7 古き良き度・・8 重厚度・・8 総合・・8 *過去作のレビューはこちら
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AMORPHIS 「Under the Red Cloud」
フィンランドのトラッドメタル、アモルフィスの2015年作
90年代にデビュー、北欧らしい土着性をメタルに融合させたサウンドで深化を続けるバンド。
12作目となる本作も、フィンランドの伝統的叙事詩「カレワラ」をテーマにしたアルバムで、
優雅なピアノの音色から始まり、土着的なギターフレーズとノーマルヴォイスの歌声を乗せ、
厚みのある叙情的なサウンドを描いてゆく。前作からの流れのメロディックな作風であるが、
随所にデスヴォイスも含んだ重厚さと、リズムチェンジを含む知的なアレンジセンス、
そしてドラマティックなスケール感などは、やはりベテランならではの説得力である。
ときにシンフォニックに、ときにペイガンメタルばりに勇壮に、壮大な叙事詩を物語るような力作だ。
ドラマティック度・・8 重厚度・・8 北欧度・・9 総合・・8 *過去作のレビューはこちら
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Insomnium 「Winter's Gate」
フィンランドのメロディック・デスメタル、インソムニウムの2016年作
2002年にデビューしてから本作ですでに7作目となる。本作は40分全1曲という異色の大曲を収録している。
のっけからブラックメタルばりに激しくブラスト疾走しつつ、美しいシンセとメロディックなギターフレーズに、
ダミ声ヴォーカルを乗せて、北欧らしい寒々しい叙情性を含んだメロデスサウンドが炸裂。
キャリアのあるバンドのみがかもしだせる荘厳な説得力が、凍てついた冬の世界観を描いていて、
たとえるなら、MOONSORROWをメロデスにしたような雰囲気とでもいおうか。勇壮かつドラマティックに、
ときにアコースティックパートなども含みつつ、緩急ある展開で重厚なサウンドを構築してゆく。まさに傑作デス!
ドラマティック度・・8 暴虐度・・7 北欧叙情度・・9 総合・・8.5 *過去作のレビューはこちら
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Omnium Gatherum 「Grey Heavens」
フィンランドのメロディック・デスメタル、オムニウム・ギャザルムの2016年作
2002年にデビュー、北欧メロデス第二世代のバンドとしては抜群のセンスを誇るバンド。
7作目となる本作は、ツインギターのメロディックのフレーズとデスヴォイスを乗せて疾走する、
オールドスタイルの正統派メロデスサウンドになっている。ヘヴな暴虐性は控えめで、
あくまでメロディアスな叙情を前に出した聴きやすさは、メロデス初心者にも対応するだろう。
初期に回帰したような疾走ナンバーは、メロデスバンドとしての自分たちのアイデンティティに立ち返った印象も受ける。
一方では、ピロピロ系ギターと美麗なシンセで聴かせるスタイリッシュでライトなナンバーは、
ヴォーカル以外はProgMetalのような聴き心地という。今後、どちらに深化してゆくのか興味深い所。
メロディック度・・8 暴虐度・・7 スタイリッシュ度・・8 総合・・8 *過去作のレビューはこちら
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Mors Principium Est 「Dawn of the 5th Era」
フィンランドのメロディック・デスメタル、モルス・プリンシピウム・エストの2014年作
2003年にデビュー、Omnium GatherumNORTHERらとともに北欧メロデス第二世代の高品質バンド。
本作は5作目で、ツインギターのクールなリフを乗せて激しく疾走する、王道のメロデスサウンド。
モダンなヘヴィネスを適度に含ませつつ、ブラストする激しさと叙情メロディを両立させた聴き心地は、
キャリアのあるバンドらしい迫力に包まれている。ダミ声ぎみのデスヴォイスも、勢いあるサウンドにマッチしていて、
ときにDark Tranquillityのミカエルを思わせるほどだ。楽曲は4~5分前後と長すぎず短すぎず、
前作同様のクオリティの高さで、新鮮味云々を議論させないレベルを維持している。さすがの強力作デス!
メロディック度・・8 暴虐度・・8 クオリティ度・・9 総合・・8 *過去作のレビューはこちら
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GHOST BRIGADE「Isolation Songs 」
フィンランドのゴシック・デスメタル、ゴースト・ブリゲードの2009年作
本作は2作目で、ツインギターのヘヴィなリフにデスヴォイスを乗せ、不穏な空気感を描き出す
モダンなゴシック・デスメタルサウンド。メランコリックな叙情が加わるとSENTENCEDなどに通じる雰囲気で、
ノーマルヴォイスによるゆったりとしたパートと、デス声の入りのアグレッシブなパートのとの対比は、
かつてのOPETHなどを思わせる構築力である。ギターの奏でる泣きのメロディも随所によい感じで、
シンセによる美しいアレンジも含んだ9分の大曲では、Swallow The Sunばりの物悲しい空気を描き出す。
本作の時点で、すでにバンドとしての方向性と楽曲のクオリティはしっかりと確立している、高品質な力作だ。
ドラマティック度・・8 メランコリック度・・8 北欧度・・8 総合・・8
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GHOST BRIGADE「IV」
フィンランドのゴシック・デスメタル、ゴースト・ブリゲードの2014年作
前作はOPETH+SENTENCEDというような好作品であったが、4作目となる本作もツインギターの重厚なリフと
メロディックなフレーズを乗せた、北欧らしいメランコリックな叙情のゴシック・メロデス的な聴き心地。
ヴォーカルは低音のデスヴォイスであるが、曲によってはノーマルヴォイスで歌っていて、
ギターによるメロディックなフレーズが前に出ていることもあって、デスというよりはゴシック寄りの感触だ。
5~6分のナンバーを中心に、10分を超える大曲もあり、4作目にして楽曲の構築センスにも磨きがかかっている。
ENTWINEあたりにも通じるフィンランド独特の倦怠の翳りに包まれたキャッチーなメロディアス性に、
ドゥームメタル的なザラついた雰囲気もいくぶん残していて、どっしりとした重厚な味わいで楽しめる力作です。
ドラマティック度・・8 メランコリック度・・8 北欧度・・8 総合・・8
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4/1
新年度のスタートです!(114)


MILLENNIUM (Милениум)「Съдба」
ブルガリアのメロディアスハード/プログレハード、ミレニウムの2017年作
敬虔なクリスチャンであるマルチプレイヤー、トニー・グレイプスを中心に、社会主義体制下の80年代に結成され、
本作は1995年作以来、じつに22年ぶりとなる5作目である。メロディックなギターのトーンと透明感のあるシンセアレンジが
80年代的なプログレハードの感触をかもしだし、母国語によるハスキーなヴォーカルを乗せたキャッチーなメロディアスハード。
随所にサックスの音色なども絡んだ大人の哀愁も感じさせるなど、キャッチーなポップ性とウェットな叙情性のバランスは、
アメリカンな爽快さとヨーロピアンなマイナーな空気が融合されたという感触だ。しっとりとした叙情性の讃美歌的なバラード曲から、
モダンな感触のナンバーなど色彩豊かな印象であるが、アルバム後半にはシンフォニックメタル風のドラマティックな大曲や、
KANSASなどにも通じるシンフォニックなプログレハードナンバーもあり、単なるメロハーという以上に聴きごたえがある。
マスタリングに数年も費やしたというだけあって音質も素晴らしい。キャッチーなクリスチャンHR好作品。ライナー解説は緑川です。
メロディック度・・8 キャッチー度・・8 音質・・9 総合・・8
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VICIOUS RUMORS 「CONCUSSION PROTOCOL」
アメリカのパワーメタル、ヴィシャス・ルマーズの2016年作
1985年にデビューのベテラン、本作では新ヴォーカルに若干21歳のオランダ人シンガー、ニック・ホールマンが加入している。
前作はバンド史上最高という激しさのアルバムであったが、今回はどっしりとした正統派メタルの聴き心地に、
パワフルなヴォーカルを乗せた、いくぶん80年代にレイドパックした作風で、古き良きパワーメタルが炸裂している。
ツインギターは硬質なリフを奏でつつも適度にメロディックな感触もあって、ヘヴィすぎない激しすぎないという
オールドなメタルファンが楽しめるバランス感覚もさすがである。一方スローテンポのナンバーなどは少々退屈な感じもあり、
疾走するナンバーの勢いを引き立てているにとどまっている。安定感のあるアルバムだが、それ以上を求める向きには物足りないか。
ドラマティック度・・7 パワフル度・・8 正統派度・・8 総合・・8 *過去作のレビューはこちら
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RHAPSODY OF FIRE 「Into The Legend」
イタリアのシンフォニックメタル、ラプソディー・オブ・ファイアの2016年作
前作は、明快なシンフォニックメタル路線の好作であったが、ルカ・トゥリッリ脱退後の2作目となる本作は、
新たな物語の幕開けを思わせるような壮麗なイントロからして、かつてのエメラルドサーガを思わせる。
クワイアを含んだシンフォニックなアレンジに、ファビオ・リオーネの伸びやかな歌声乗せた、
このバンドならではの大仰にしてファンタジックなサウンドは健在で、エピックかつ勇壮なメロディと
ドラマティックな展開力とスケール感は、むしろ初期の作風に回帰したような聴き心地である。
随所にクサメロ的なフレーズを奏でるギターワークや、フルートやパイプなどのケルティック/トラッド調の味わいも
叙情的なアクセントになっている。16分を超える大曲ではシネマティック・メタルの本領を発揮。
ときに女性ソプラノヴォーカルも加わって、緩急ある構成力で壮大な物語を描くように鑑賞できる。まさに強力作!
シンフォニック度・・9 ファンタジック度・・9 壮麗度・・9 総合・・8.5 *過去作のレビューはこちら
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DGM 「The Passage」
イタリアのメロディックメタル、DGMの2016年作
1997年デビューのベテランで本作は9作目。2パートに分かれた15分を超える大曲で幕を開け、
モダンなギターワークと美麗なシンセアレンジに、伸びやかなヴォーカルを乗せたサウンドで、
キャッチーなメロディックメタルを聴かせる。きらびやかなシンセとテクニカルなギターが絡む、
Symphony X風味の感触に、クールな硬質感とメロディックなフックを同居させたアレンジは、
若いメタルリスナーにもアピールするだろう。前々作から加入したマーク・バジルのヴォーカルの表現力も、
ミケーレ・ルッピばりのハイトーンとともに楽曲に説得力を付加していて、ミドルテンポの爽快なナンバーなども、
シンプルながらメロディックな明快さで楽しめる。テクニカルメタルとしての味わいも含んだ強力作だ。
メロディック度・・8 テクニカル度・・8 きらびやか度・・8 総合・・8 *過去作のレビューはこちら
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Trick or Treat 「Rabbits Hill Pt2」
イタリアのメロディックメタル、トリック・オア・トリートの2016年作
「ウォーターシップダウンのうさぎたち」をテーマにしたアルバムの続編で、のっけから激しく疾走しつつ、
ツインギターの流麗なメロディとルカのラプソディでも活躍するアレッサンドロ・コンティの伸びやかな歌声を乗せ
爽快なメロディック・スピードメタルを聴かせる。アコースティックな小曲などをまじえたストーリー的な流れも感じさせつつ、
HELLOWEENを思わせるキャッチーなミドルテンポのナンバーなども含めて、メロディックなフックの佳曲が続きつつ、
ここぞと疾走するキラーチューンが炸裂。このサウンドの説得力はやはりヴォーカリストの実力によるところが大きいだろう。
Ancient Bardsのサラ・スクワドラーニ、元ICED EARTH、元イングヴェイのティム“リッパー”オーウェンズ、
SONATA ARCTICAのトニー・カッコなどがゲスト参加、それぞれに素晴らしい歌声を披露している。今回は傑作です!
メロディック度・・8 疾走度・・8 ドラマティック度・・8 総合・・8.5 *過去作のレビューはこちら
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Iron Mask 「Diabolica」
ベルギーのメロディックメタル、アイアン・マスクの2016年作
イングヴェイ大好きなギタリスト、ダッシャン・ペトルッシ率いるバンドの6作目。「鉄仮面交響曲 第6番」という
大仰な日本語タイトルが付けられているが、のっけから疾走しまくる爽快なメロディック・スピードメタルが炸裂。
新たに加わった、ポルトガルのメタルバンドATTICK DEMONSのアルトゥール・アルメイダの伸びやかな歌声を乗せて、
クサメロまくりのキャッチーな聴き心地に思わずニンマリである。もちろんお得意のネオクラシカルなギタープレイも随所に覗かせ、
ときにシンフォニックで壮麗なアレンジも含んだサウンドは、すでにMAGIC KINGDOMと区別がつかない気もするが、
それもどうでもいいような濃密なクオリティの高さである。中盤にはミドルテンポのやや中庸なナンバーもあるが、
キャッチーなメロディアス性と王道の様式美メタルにメロスピ風味をまぶしたという、この手のファンにはたまらない力作である。
メロディック度・・8 疾走度・・7 濃密度・・8 総合・・8 *過去作のレビューはこちら
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Titanium 「ATOMIC NUMBER 22」
ポーランドのメロディックメタル、チタニウムの2016年作
PATHFINDERのキャロル・マニアを中心にしたバンドの2作目。前作同様にシンフォニックなシンセアレンジに、
ツインギターの叙情メロデイとハイトーンヴォーカルを乗せて疾走する、美麗なメロディック・スピードメタル。
サビの歌メロでキャッチーな爽快感はDRAGONFORCEばりで、クサメロ好きならばニンマリだろう。
北欧のバンドのようなきらびやかな感触と、繊細な叙情性が合わさって、AQUARIAの1stあたりにも通じる
メロスピの理想形ともいうべき聴き心地である。ミドルテンポのナンバーも、かつてのSTRATOVARIUS
SONATA ARCTICAを思わせる感触で、随所にピロピロなギターも奏でながら、あくまで美しい叙情に包まれている。
楽曲におけるシンフォニックな華麗さは前作以上で、メロディのフックの充実ぶりも含めて傑作と言う他にない。
メロディック度・・9 疾走度・・9 壮麗度・・9 総合・・8.5
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Lorraine Cross 「ARMY OF SHADOWS」
フランスのメロディックメタル、ロレーヌ・クロスの2016年作
ツインギターの5人編成で、抜けの良いハイトーンヴォーカルと正統派のギターリフを乗せた、
いかにも90年代を思わせるオールドスタイルなメロディック・パワーメタルをやっている。
ヴォーカルの声質はカイ・ハンセンあたりを思わせ、随所にツインリードによる叙情フレーズとともに、
少し前のジャーマンメタルというような感触で楽しめる。正統派メタルとしてのパワフルな部分と
エピックメタル的でもある勇壮な世界観、ヨーロピアンな湿り気を感じさせる聴き心地も日本人好みだろう。
リズムチェンジを含んだ展開力やアレンジセンスなどもしっかりとしていて、今後に期待の逸材だ。
ドラマティック度・・8 バワフル度・・8 正統派度・・8 総合・・8
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SUNBURST 「Fragments Of Creation」
ギリシャのメロディックメタル、サンバーストの2016年作
ヘヴィロック/メタルコア世代のモダンなヘヴィネスと、きらびやかなシンセアレンジに、
パワフルなハイトーンヴォーカルを乗せた、重厚かつスタイリッシュなメタルサウンド。
メロディックかつテクニカルなフレーズを乗せるガス・ドラックスのギターワークは、
本作におけるひとつの聴きどころになっていて、ネオクラシカルとモダンメタルの両方を通過した、
クールなヘヴィネスと、派手やかな技巧を併せ持った存在感のあるプレイを随所に覗かせている。
サウンドとしては、KAMELOTをさらにモダンに硬質にしてテクニカルギターを加えたというという感じで、
個人的にはさほど好みではないのだが、このクオリティの高さは、若いメタルリスナーには受けるだろう。
ドラマティック度・・7 テクニカル度・・8 モダンヘヴィネス度・・8 総合・・7.5
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Signum Regis 「Exodus」
スロバキアのメロディックメタル、シグナム・レジスの2013年
2008年のデビュー作は、B級のネオクラシカル・メタルという印象であったが、3作目となる本作は正統派のメロパワに接近し、
過去作に参加していたヨラン・エドマンをはじめ、ランス・キング、マイク・ヴェセーラ、さらにはVANDROYAのダイサ・ムニョス嬢など
多彩なヴォーカリストがゲスト参加して、楽曲ごとに魅力的な歌声を披露している。随所にネオクラシカル風味のギターを織り込みつつ、
STRATOVARIUS辺りに通じる北欧メロパワ的なキャッチーな爽快さで疾走するナンバーや、Darkest Roomのサムエル・ニーマンの
ロブ・ハルフォードばりの強力なハイトーンが印象的な疾走ナンバーも印象的だ。ラストはHELLOWEEN“Sole Survivor”のカヴァーで、
ヨラン・エドマンのハイトーンを乗せたパワフルな仕上がりだ。全体的にも辺境的なマイナー臭さは払拭された高品質な力作である。
メロディック度・・8 疾走度・・8 パワフル度・・8 総合・・8
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Lacrimosa 「Hoffnung」
スイスのゴシックメタル、ラクリモーサの2015年作
1990年にデビューしてから、翳りに包まれたロマンあふれるゴシックメタルを描き続けてきたこのバンド、
本作は12作目で、シンフォニックな美しさをまとったイントロで始まる15分の大曲で幕を開ける。
メロウなギターフレーズがメランコリックな泣きの叙情を描き出し、そこに乗るティロ・フルフの歌声には
年季をへたものだけがかもしだせる深みのある哀愁を感じさせる。楽曲によっては適度にモダンなノリも含みつつ、
長年の相方である、アン・ナルミによる美麗なシンセアレンジと、女性ヴォーカルとしての美しい歌声がサウンドを盛り上げる。
ラストもこれぞゴシックメタルという耽美な世界観で、シンフォニックな美意識と哀愁の翳りが合わさった力作に仕上がっている。
ドラマティック度・・8 ゴシック度・・8 壮麗&耽美度・・8 総合・・8 *過去作のレビューはこちら
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Schysma 「Idiosyncrasy」
イタリアのシンフォニック・ゴシックメタル、シズマの2015年作
女性シンセ奏者を含む5人編成で、きらびやかなシンセアレンジを乗せたモダンなサウンドで、
ハスキーな男性ヴォーカルの歌声を乗せた、シンフォニックなゴシックメタルという聴き心地もある。
適度にノリのあるテンポに乗る、ヘヴィすぎないギターは随所にメロディックなフレーズを奏でていて、
Lacrimosaをもう少しポップにしたという雰囲気などは、わりと初心者にもとっつきやすいだろう。
変拍子リズムを含んだProgMetal的な展開力なども、なかなか面白い方向性だとは思うのだが、
ゴシックなのか、シンフォニックなのか、プログレメタルなのか、いまひとつ定まらないという印象も。
個人的にはもっと大仰な盛り上がりや、妖しく濃密な空気感が欲しい。今後に期待です。
ドラマティック度・・8 ゴシック度・・7 重厚度・・7 総合・・7.5
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Elysion 「Someplace Better」
ギリシャのゴシックメタル、エリシオンの2014年作
2作目となる本作も、一聴してEVANESCENCEあたりを思わせる、適度にモダンかつヘヴィな感触と
シンフォニックなアレンジに、美しい女性ヴォーカルの歌声を乗せた、わりと正統派のゴシックメタルサウンド。
楽曲は3~4分前後と比較的シンプルで、妖艶なゴシック要素とキャッチーなメロディが合わさっていてとても聴きやすいのだが、
これだというインパクトや個性という点ではまだ物足りない。紅一点、クリスティアーナ嬢の伸びやかな歌声は
前作以上に表現力を増しているので、あとは楽曲におけるメロディの魅力と世界観を深めていってもらいたい。
シンフォニック度・・7 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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Madness of the Night 「Asgarda」
スウェーデンのゴシックメタル、マッドネス・オブ・ザ・ナイトの2013年作
女性シンガーとマルチミュージシャンの二人組ユニットで、打ち込みリズムの上に美麗なシンセアレンジと
ヘヴィすぎないギター、そして艶めいた女性ヴォーカルの歌声を乗せたサウンドで、
Lacrimosaなどに通じる耽美な雰囲気と、いくぶん辺境ぎみのマイナー臭さも感じさせる。
ヴォーカル嬢の妖艶な声の震え方や、盛り上がり切らないメロディのフックの弱さも含めて、
ポーランドのArtrosisあたりに通じる感触もあり、ようするにB級臭さぷんぷんのゴシックメタル。
声質はよいと思うのだが、歌い方がシアトリカルに力み過ぎな気がします。あと楽曲も練ってください。
シンフォニック度・・7 ゴシック度・・7 女性Vo度・・7 総合・・7
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Rosae Crucis 「Fede Potere Vendetta」
イタリアのエピックメタル、ロージィ・クルーシスの2010年作
ツインギターの5人編成で、ヴォーカルはムキムキでマッチョなお兄さんという、
見た目にもMANOWARちっくなバンドであるが、語りの入った大仰なイントロから始まり、
わりと軽めのドラムにツインギターを乗せた、適度にスカスカ感のある正統派のエピックメタル。
ハイトーンから中音域までこなすパワフルなヴォーカルはなかなかよい感じなのだが、
録音の迫力の足りなさや楽曲展開も含めたマイナーなB級臭さが、微笑ましい味わいとなっている。
これでツインギターのリフとフレーズがも少し噛み合ってくれば、勇壮な世界観の説得力も増すのだろうが、
「イタリアのマノウォー」…と呼ばれる日はまだ遠いかもしれない。決して嫌いではないのです。
ドラマティック度・・7 パワフル度・・7 エピック度・・8 総合・・7.5
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3/18
花粉キテます!(99)


Delain 「Moonbathers」
オランダのシンフォニックメタル、ディレインの2016年作
WITHIN TEMPTATION のKeyを中心に2006年にデビュー、美貌の女性シンガー、シャルロット嬢を擁し
人気を博すこのバンド。5作目となる本作は、シンフォニックなアレンジをバックにキャッチーな感触で、
メジャー後のウィズインにも通じるような聴き心地から、デスヴォイスが加わると、EPICA的な雰囲気にもなる。
モダンなヘヴィネスを含んだメリハリあるアレンジと展開力はさすがのセンスで、美しい歌声を中心に、
あくまでメロディックな雰囲気を保っているのも、ファンの期待通りのバランス感覚だろう。
全体的にはゴシックメタル的な雰囲気が薄まった分、これだという新たなインパクトは薄いのであるが、
Nightwish
などにも通じる壮麗さと完成度の高さで、多くのリスナーが楽しめるだけの力作に仕上がっている。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8 *過去作のレビューはこちら
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HEAVENWOOD 「Abyss Masterpiece」
ポルトガルのゴシックメタル、ヘヴンウッドの2011年作
1996年にデビュー、2作を残していったん消えたが、2008年に復活、本作は復活2作目となる。
壮麗なイントロから曲が始まると、重厚なギターとデスヴォイスを乗せ、シンフォニックなアレンジとともに
同郷のMOONSPELLあたりにも通じる、ゴシック・デスメタル的な雰囲気に包まれる。
途中、女性声が美しいオペラティックなパートやノーマル声によるパートなども含みつつ、
メランコリックな叙情と壮麗なアレンジで、ダークな雰囲気に包まれたスケール感を描き出す。
単なるゴシックメタルというよりは、THERIONのようなシンフォニックメタルの荘厳さを取り入れた
重厚な迫力が素晴らしい。ANATHEMAのダニエル・カルドーソがドラムで全面参加しているのも少々驚き。
ドラマティック度・・8 ゴシックデス度・・8 重厚度・・8 総合・・8
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HEAVENWOOD 「THE TAROT OF THE BOHEMIANS」
ポルトガルのゴシックメタル、ヘヴンウッドの2016年作
復活後3作目となる本作は、シンフォニックなアレンジとともに激しいドラムにヘヴィなギターを乗せた感触で、
一聴してゴシックというよりはむしろメロデス風なのだが、メランコリックな叙情も随所に覗かせ重厚なサウンドを描いてゆく。
アグレッシブなナンバーではデスヴォイスを乗せた迫力ある聴き心地で、ノーマルヴォイスも交えつつ
オーケストラルなアレンジとともに、シンフォニックなゴシック・デスメタルというべきダークな世界観が味わえる。
前作から引き続き、ANATHEMAのダニエル・カルドーソがドラムで全面参加、グルーブのあるリズムを作り出している。
過去の作品のイメージで聴くと激しすぎると思うだろうが、バンドとしてのポテンシャルを見せつける見事な力作である。
ドラマティック度・・8 ゴシックデス度・・8 重厚度・・8 総合・・8
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Sylvaine 「Wistful」
ノルウェーのポストブラックメタル、シルヴァインの2016年作
女性アーティストによる個人ユニットで、うっすらとしたシンセに美しい女性ヴォーカルを乗せた
しっとりとした幻想的な空気感に、ギターが加わるとAlcestを思わせる繊細なポストブラックを描いてゆく。
1曲目はブラックメタルとしての要素ほとんど感じられないが、夢見心地のはかなげな雰囲気に包まれつつ、
2曲目以降ではダミ声ヴォーカルも乗せて、ときにブラスト疾走する激しさも垣間見せる。
全体的には物悲しい静寂感に覆われた、女性らしい繊細な美意識を感じさせるサウンドだ。
当のAlcestのNeigeがドラムで参加しているのも話題性十分。今後の活躍に期待のアーティストです。
ドラマティック度・・8 幻想度・・8 繊細度・・8 総合・・8
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NEGURA BUNGET 「ZI」
ルーマニアのブラックメタル、ネグラ・バンゲットの2016年作
1996年デビューという、キャリアのあるバンドであるが、前作から1年でもう新作を出してきた。
フォーキーな土着性を感じさせるイントロ曲からして、本作は何やら異色な雰囲気であるが、
2曲目以降は激しいブラスト疾走も加わった、ペイガン寄りのブラックメタルでひと安心。
バンドの描く神秘的な世界観はさらに強まっていて、パンパイプが鳴り響くアコースティックなパートや
朗々としたノーマルヴォーカルを乗せた雄大なスケール感に、聴き手はじわじわと引き込まれる。
楽曲によっては唐突なテンポチェンジなどの知的な展開力も覗かせる。バンドとしてのキャリアが
堂々たる音の説得力となって、ダークな空気感と迫力を生み出している。さすがの力作だ。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・7 神秘的度・・9 総合・・8 *過去作のレビューはこちら
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VORNA 「Ei Valo Minua Seuraa」
フィンランドのシンフォニック・ブラックメタル。2016年作
ツインギターにシンセを含む6人編成で、美麗なシンセアレンジにダミ声ヴォーカルを乗せた
シンフォニック・ブラックメタルのスタイル。ツインギターは随所にメロディックなフレーズを奏で、
激しい疾走パートもあるものの、全体的にはミドルテンポを主体に暴虐性よりも叙情を前に出した
北欧メロデス的な聴きやすさがある。ダミ声ながらヴォーカルは母国語で歌っているようで、
フォークというほどではないがペイガン寄りの土着性もいくぶん感じさせる。泣きメロたっぷりで、
Eternal Tears of Soroowあたりが好きな方にも楽しめるだろう、シンフォニックな好作品だ。
メロディック度・・8 暴虐度・・7 北欧メロデス度・・8 総合・・8
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Domains 「Sinister Ceremonies」
スペインのブラックメタル、ドメインズの2014年作
ジャケからして妖しさがぷんぷんだが、ブラッケンなギターリフに低音デスヴォイスを乗せて激しく疾走する、
オールドスタイルのブラックメタルサウンド。不穏な空気感をまき散らし、デスメタル的な重厚さを含ませた感触は、
中期のBEHEMOTHあたりにも通じるかもしれない。ギターは随所にメロディックなフレーズも奏でるなど、
暴虐なだけではない緩急のついた楽曲アレンジもなかなか見事だ。古き良きブラックメタルとデスメタルを合わせ、
暗黒世界の中にも湿り気を含んだ叙情を匂わせる、なかなか高品質なブラックメタルデス!
ドラマティック度・・8 暴虐度・・8 ブラッケン度・・8 総合・・8
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AGALLOCH 「PALE FOLKLORE」
アメリカのフォーク・ブラックメタル、アガロクの1999年作
カスカディアンブラックの元祖のひとつともされるバンドで、本作はデビュー作であるが、
のっけから3部構成の18分を超える組曲で、メロウなギターの旋律を乗せた物悲しい世界感が広がってゆく。
ダミ声ヴォーカルに女性コーラスが絡むなど、本作の時点ではのちのアルバムに比べてより耽美な雰囲気で、
随所にブラックメタルらしい激しさもしっかり覗かせる。アコースティックギターを含んだフォーキーな土着性と
自然崇拝的な神秘的な世界観に、ツインギターによるクサめの叙情フレーズもじつによい味わいです。
全体的にも静と動の起伏のある構成で楽しめる。2016年の再発盤ではリマスターで音質も向上。
ドラマティック度・・8 ブラック度・・7 ミステリアス度・・8 総合・・8
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SALTATIO MORTIS 「Zirkus Zeitgeist」
ドイツのフォークメタル、サルタティオ・モーティスの2015年作
SUBWAY TO SALLYと並ぶ、ゲルマン・トラッドメタルを代表するこのバンド、2001年にデビューしてから、
おそらく本作で9作目。ドイツ語のヴォーカルにバグパイプの音色を乗せて軽快に聴かせるサウンドで、
本作では中世トラッド風味が減退した代わりに、キャッチーなハードロック風味が強まっていて、
一般のリスナーにもぐっと聴きやすくなっている。反面、楽曲は3~4分前後とシンプルなので、
濃密さの点では物足りなさもあるが、メロディアス性という点では気軽に楽しめる。ピエロのジャケのように、
随所に哀愁を感じさせる叙情性も含んでいて、フォーキーなゲルマン・ハードロックというべき好作品である。
メロディック度・・8 フォーキー度・・7 ゲルマン度・・8 総合・・8 *過去作のレビューはこちら
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Encorion 「Facing History and Ourselves」
オランダのフォークメタル、エンコリオンの2010年作
女性ヴァイオリン奏者を含む5人編成で、ヘヴィなギターに低音デスヴォイスを乗せた武骨な荒々しさに、
随所にヴァイオリンの音色が鳴り響く、どこかミステリアスなフォークメタルサウンド。
スカスカの音質がいかにも自主制作っぽいのだが、そこが辺境臭い味わいにもなっていて、
ときおりクサメロを奏でるギターもなかなかよろしい。適度に勇壮なヴァイキング風味もありつつ、
優雅なヴァイオリンの響きとともに、激しすぎない聴きやすさがポイントかもしれない。
ドラマティック度・・7 フォーキー度・・7 辺境度・・8 総合・・7.5
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Encorion 「Our Pagan Hearts Reborn」
オランダのフォークメタル、エンコリオンの2013年作
艶やかなヴァイオリンが鳴り響き、メタリックなギターとダミ声ヴォーカルを乗せたサウンドで、
随所に激しい疾走感もある。勇壮なコーラスがエピックな世界観を描き出し、
ヴァイオリンとホイッスルの音色が優雅に響き渡る。前作に比べて音質も向上したことで、
サウンドそのものに説得力が加わり、重厚でダイナミックな聴き心地となった。
アコースティックなパートも含めてフォーキーな部分の旋律も魅力的になったことで、
メタリックなヘヴィさとのコントラストがよりくっきりとして、幻想的フォークメタルの力作に仕上がっている。
ドラマティック度・・8 フォーキー度・・7 辺境度・・8 総合・・8
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Oskord 「Weapon of Hope」
ウクライナのフォークメタル、オスコードの2011年作
フルート&ホイッスル奏者を含む6人編成で、やわらかな笛の音色が鳴り響き、
重厚なギターリフに迫力ある低音のデスヴォイスを乗せた本格派のフォークメタル。
フルートやホイッスルが常に鳴り響いていて、土着的なクサメロ感を含んだ辺境性もいい感じだし、
ヴォーカルはデス声ながら、随所にキャッチーなコーラスなども加わって、けっこう聴きやすい。
牧歌的なフォーク要素とメタルとしての重厚さが合わさった、クオリティの高いサウンドだ。
本作は6曲入りのミニアルバムなので、フルアルバムが聴きたいですな。
ドラマティック度・・7 フォーキー度・・8 重厚度・・8 総合・・7.5
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VA / As We Die for Paradise Lost
ゴシックメタルの元祖、パラダイス・ロストのトリビュートアルバム。1999年作
Gloomy GrimOrphaned LandSeptic FleshLegendaNightFall、On Thorns I LayMisanthropeなど、
HOLY RECORDS所属のアーティストが参加したオムニバスで、1997年作「One Second」から初期のナンバーまでを
たどってゆくという構成になっている。アラビックな旋律を取り入れたオルファンド・ランドのカヴァーは面白く、
ギリシャのオン・ソーンズ・アイ・レイによる男女ヴォーカルのメランコリックなカヴァーもなかなかよろしい。
ノルウェーのGODSENDによる「Gothic」の忠実なカヴァーにはバンドへのリスペクトが感じられますな。
同じくノルウェーのSTILLE VOLKによるトラッド調のカヴァーも面白いし、フィンランドのYearningによる
アトモスフィリックな感じのカヴァーもハマっている。バンドによってそれぞれのカラーでカヴァーされた
多様なパラロスの世界観が楽しめる、ゴシックメタルマニア向けの逸品です。
参加バン度・・8 ゴシック度・・8 バラダイス・ロス度・・8 総合・・7.5
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3/10
ゴシック&ドゥームをたっぷりと!(86)


Lacrimas Profundere「HOPE IS HERE 」
ドイツのゴシックメタル、ラクリマス・プロファンデーレの2016年作
キャリア20年を超えるベテランで、本作はおそらく11作目となる。マイルドなヴォーカルを乗せた
倦怠のメランコリック・ゴシックロックという趣は前作から変わらず。適度にキャッチーなノリを含んで
ウェットな叙情を乗せて構築する耳心地の良さは、ベテランバンドならではの音の説得力である。
薄暗系のポストプログレなどにも通じる繊細なナンバーもあり、全体的にメタル的な重さが控えめな分、
より多くのリスナーにアピールできる内容だと思う。美しいシンセにメロウなギターフレーズを乗せて
ゴシックメタルとしての物悲しいドラマ性を描くナンバーもあって、今作は充実の出来というべき力作だ。
ドラマティック度・・8 ゴシック度・・7 薄暗度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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SILENTLIE 「Layers of Nothing」
イタリアのゴシックメタル、サイレントライの2015年作
ヘヴィなギターに女性ヴォーカルの乗せた、Lacuna Coilなどにも通じるゴシック風味のヘヴィロック。
ジョルジア嬢の歌声はハスキーな中音域で、フェミニンな雰囲気よりもむしろパワフルな声質なので、
サウンドとしてもゴシック的な耽美さよりは、モダン寄りのメタル感触が強いかもしれない。
専任のシンセ奏者がいないのでシンフォニックな要素も薄いのだが、曲によってはシンセによる味付けもあって、
Evanescence的に聴けたりもする。一方では、ダークなドゥーム感を含んだナンバーもあって、むしろこの路線の方が
ヴォーカル嬢の歌声には似合っている感じもする。今後は楽曲そのものの魅力を強めていってもらいたい。
ドラマティック度・・7 ゴシック度・・7 女性Vo度・・7 総合・・7
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Chalice of Doom「Into Hypnagogia」
ヨルダンのゴシック・ドゥームメタル、チャリス・オブ・ドゥームの2013年作
シンセを含む5人編成で、美しいシンセアレンジに重厚なギターと低音デスヴォイスを乗せた、
DraconianMy Dying Brideあたりに通じる本格派のゴシック・ドゥームメタル。
随所に叙情的なギターの旋律やマイルドなヴォーカルも加わった、メランコリックな世界観と、
シンフォニックな美しさに包まれていて、ヴォーカルはデス声だが全体的にもメロディックに聴きやすい。
イスラム特有のジハードやシャヒード(殉教者)などをテーマにした雰囲気には、さすがホンモノノ香りがする。
演奏や楽曲のクオリティも高いのだ、耽美なゴシックメタルとしても普通に楽しめる力作である。
ドラマティック度・・8 ゴシック度・・8 重厚度・・8 総合・・8
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Dust in Mind「Never look Back」
フランスのゴシック・ヘヴィロック、ダスト・イン・マインドの2015年作
デスメタルばりの激しさとヘヴィネスに、コケティッシュな女性ヴォーカルの歌声と、
男性デスヴォイスが絡む、初期のIn This Momentなどに通じるスタイルで、
インダストリアルな硬質感とゴシック的な耽美性が合わさったという聴き心地。
重厚なギターリフに迫力あるドラムでたたみかける攻撃的な重たさと浮遊感のある女性声という
そのギャップがなかなか面白いのだが、現時点ではこれというインパクトや個性はなく、
楽曲そのものにもっと意外性や、フックのある展開が欲しい気がする。
ドラマティック度・・7 モダンヘヴィ度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7
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Memoira
フィンランドのゴシックメタル、メモイラの2008年作
ツインギターにシンセを含む6人編成で、美しいシンセアレンジに適度にヘヴィなギター、
はかなげな女性ヴォーカルを乗せた、わりと正統派のフィメール・ゴシックメタル。
ときに男性ヴォーカルも加わってのモダンな感触は、Lacuna Coilなどにも通じる雰囲気がある。
紅一点、Jemina嬢の歌声は美しくてよいのだが、バックの音圧にいくぶん埋もれてしまっているのが残念。
楽曲の方も普通に聴き心地はよく、そこそこ高品質ながらも、これという個性やインパクトは薄いのだな。
ラストの3拍子曲などは、シンフォニックかつ優雅でよい感じなので、この路線でレベルアップしてもらいたい。
シンフォニック度・・7 ゴシック度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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Adversus 「Einer Nacht Gewesenes」
ドイツのアヴァン・ゴシックメタル、アドヴァーサスの2005年作
男女ヴォーカルに、女性ヴァイオリン、女性クラリネット奏者、コントラバス奏者を含む7人編成で、
艶やかなヴァイオリンにクラリネットの優美な音色を含む、オーケストラルなクラシカル性に
ドイツ語によるダミ声男性ヴォーカルに美しい女性ヴォーカルの歌声が絡んで、
オペラティックな優雅さと、ANGIZIAあたりを思わせるアヴァンギャルドなセンスで構築される
なかなか濃密なサウンドだ。インダストリアルなアレンジとクラシカルな壮麗さを合わせ、
いくぶんヘンタイ的に仕上げたという、じつに個性的なサウンドが楽しめる、
Die Apokalyptischen Reiterなどにも通じる、ゲルマンなアヴァンメタル強力作!
ドラマティック度・・8 クラシカル度・・8 アヴァンギャル度・・8 総合・・8
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Graveyard 「Innocence & Decadence」
スウェーデンのヴィンテージロック、グレイブヤードの2015年作
2008年にデビュー、4作目となる本作はのっけから70年代のブルーズロックが全快、
ノリノリで疾走するハードなロックンロールから、2曲目ではサイケなユルさも覗かせつつ、
軽すぎない重すぎない、オールドロックの心地よさがたっぷりと味わえる。
楽曲は3~4分前後が中心でシンプルなのだが、曲ごとに方向性とノリが少しずつ違っていて、
案外メリハリに富んだ聴き心地である。この路線でここまで飽きずに聴かせられるというのは、
バンドとしての世界観の強度があるからなのだろう。まずは最高傑作ですな。
ドラマティック度・・7 古き良き度・・10 アナログロック度・・9 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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Lord Vigo「Under Carpathian Sun」
ドイツのエピックドゥームメタル、ロード・ヴィゴの2015年作
メンバーは、ハンマーやチェーンソーを手にした完全にアホそうな3人組であるが、サウンドの方は
古き良きギターリフに朗々としたヴォーカルを乗せた、しごく正統派のエピック・ドゥームメタル。
バビロンやイシュタル、ウィッチクラフトといった、いかにも厨二病的な幻想ワードを含んだ曲名に、
カルトなこけおどし感に包まれたチープなエピック性が、サウンドを適当に彩っていて泣かせてくれる。
ヴォーカルのヘタウマさも含めてB級臭さもたっぷりであるが、ドゥーム過ぎないノリの良さと、
オールドなハードロック感触とともに、エピックメタルのマニアならそこそこ楽しめるだろう。
ドラマティック度・・7 ドゥーム度・・7 エピック度・・7 総合・・7
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Grand Magus「The Hunt」
スウェーデンのヘヴィメタル、グランド・メイガスの2012年作
SPIRITUAL BEGGARSのJBをフロントにして2001年にデビュー、本作が6作目となる。
4thあたりから正統派メタルに接近した作風になったが、本作も古き良きドゥームの質感を残しつつ、
適度にキャッチーなフックとともに、80年代的な伝統的なヘヴィメタルサウンドを感じさせる。
アナログ感に包まれた音作りは、重すぎず軽すぎずといった聴き心地で、
随所にメロディアスなギターソロなども含んだ、古き良き正統派メタルが楽しめる。
ワイルドかつ表現豊かなJBの歌声もサウンドによくマッチしていて、北欧神話をテーマにしたナンバーでは、
MANOWARのようなエピックメタルの雰囲気も匂わせる。円熟を感じさせる力作である。
ドラマティック度・・7 正統派度・・8 古き良き度・・8 総合・・8
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Lovijatar 「Pimean Tuoja 」
フィンランドのドゥームメタルバンド、ロヴィヤターの2013年作
ツインギターの5人編成で、オールドな感触のギターリフに母国語のヴォーカルを乗せた、
ドゥーム/スラッジ的なサウンド。フィンランド語による歌声が土着的な味わいとなっていて、
古き良きドゥームメタルの感触に、ミステリアスなペイガン要素を付加している。
曲によってはフォークメタル的にも楽しめるようなナンバーもあり、サイケな浮遊感や
ドゥーミィな妖しさを含んだ異色の世界観で、北欧的な土着性をメタルで表現している。
楽曲は3分前後とわりとコンパクトなので、今後はさらに妖しい大曲などにも期待したい。
ドラマティック度・・7 スラッジ&ドゥーム度・・7 妖しげ度・・8 総合・・7.5
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DEVIL TO PAY 「Fate Is Your Muse」
アメリカのストーナーロック、デヴィル・トゥ・ペイの2013年作
わりとヘヴィなツインギターにダーティなヴォーカルを乗せた、アナログ感漂うストーナーロック。
70年代ハードロックのブルージーな感触を、メタル寄りのヘヴィさで演奏するスタイルで、
ストーナーロックしつてのザラついたサウンドを、より重厚な味わいにしたという聴き心地だ。
スローなテンポのナンバーはドゥームメタル的でもあり、全体的にキャッチーなところの薄い、
硬派でハードな作風なのはよいのだが、楽曲そのものにもう少しメロディックなフックがあればと思う。
ドラマティック度・・7 古き良き度・・7 重厚度・・8 総合・・7
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Ephemeros 「All Hail Corrosion」
アメリカのスラッジ・ドゥーム、エフェメロスの2013年作
13分、10分、15分という大曲3曲の構成で、重厚なギターに低音デスヴォイスを乗せた
ドローン的でもあるスラッジ・ドゥームメタル。スローテンポの中に不穏な空気と、
濃密な暗黒性を感じさせる世界観は、なかなか強固に怪しげでよい感じである。
ゆったりとしたヘヴィなキダーリフとときおり絶叫するデイヴォイスをメインにしたサウンドで、
ドラマティックな展開というのはほとんどないので、気の短い方にはまったくもって向かないのだが、
じっくりと描かれる暗黒の世界に浸れる方なら、わりと楽しめるのではなかろうか。
ドラマティック度・・7 ドゥーム度・・8 暗黒度・・9 総合・・7.5
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Hidden Masters 「Of This & Other Worlds」
アメリカのサイケロック、ヒドゥン・マスターズの2013年作
ギター、ベース、ドラムというトリオ編成で、60~70年代を思わせる牧歌的なアートロックサウンド。
ハードな感触はほとんどなく、キャッチーなコーラスによるおおらかな叙情が前に出ていて、
アナログ感あふれるサウンドも含めて、70年代初頭の作品だと言われても信じてしまいそう。
ウエストコースト的な陽性のポップ感も匂わせつつ、ときにオルガンなどが加わっての
プログレ的な展開やサイケな浮遊感もあって、意外と一筋縄ではいかない面白さがある。
懐古主義にもほどがあるという、確信犯的なヴィンテージ・アートロックの好作品。
ドラマティック度・・7 ポップでサイケ度・・8 古き良き度・・9 総合・・7.5
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Admiral Sir Cloudesley Shovell 「Don't Hear it... Fear It!」
イギリスのハードロック、アドミラル・サー・クラウデスレイ・ショーベルの2012年作
GORILLAのJohhny Golliraを中心にしたバンドで、ブルージーなギターと
ダーティなヴォーカルを乗せた、いかにも70年代を思わせるガレージロックサウンド。
ノイジーなギターを乗せたアナログ感たっぷりのアンサンブルで聴かせる、
シンプルなスタイルであるが、6分、7分という長めの楽曲では、フリーキーな即興性も覗かせる。
荒々しいドライブ感とヘヴィでありながらも、サイケ的な浮遊感も内包した、懐古型ハードロック強力作。
ドラマティック度・・6 古き良き度・・9 荒々し度・・8 総合・・7.5
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Babils 「Joint Between」
ベルギーのアヴァン・サイケロック、バビルズの2007年作
トランペットなどのブラスが鳴り響き、アナログ感たっぷりのアンサンブルがフリーキーに合わさった、
異色のアヴァンギャルド・サイケロック。うねるようなベースとノイジーなギターにブラスが絡まり、
ガレージロック的な荒々しさと、混沌としたサイケ感が混ざり合った、一種、異様な世界観である。
ポストロック的でもある得体の知れないスケール感とミステリアスな暗黒性も覗かせつつ、
フルートが妖しく鳴り響く10分を超えるナンバーも、サウンドコラージュ的で大変アヴァンギャルド。
ロックとしての整合性を求める方には向かないが、混沌としたフリーキーなアヴァンミュージックが好きな方に。
ドラマティック度・・7 サイケ度・・8 アヴァンギャル度・・9 総合・・7.5
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Abysmal Grief 「Misfortune」
イタリアのドゥームメタル、アビスマル・グリーフの2009年作
90年代から活動するバンドで、ホラーやオカルト的な世界観を描くカルト好みのバンド。
オルガンが鳴り響き、ヘヴィなギターに低音のヴォーカルを乗せた妖しいサウンドで、
大仰でシアトリカルな雰囲気は、いかにもイタリアのバンドらしい聴き心地である。
これぞドゥームという、スローで単調な部分が多いのだが、逆に言えば楽曲というよりは
「雰囲気」で楽しむバンドなのだろう。オルガン鳴りまくりの、イタリアン・ホラー・ドゥームです。
ドラマティック度・・7 ドゥーム度・・8 オカルト度・・8 総合・・7.5
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Horns of Anguish 「Barriers」
スウェーデンのドゥームメタル、ホーンズ・オブ・アングイシュの2009年作
ヘヴィなギターリフにダミ声ヴォーカルを乗せた、重厚なフューネラルなドゥームメタル的に始まり、
スローテンポの沈み込むような曲調から、70年代ハードロック的なギターフレーズも覗かせて
Black Sabbath的な適度にノリのある味わいも見せる。ヴォーカルはときどきデスヴォイスになったりして、
曲によってはゴシックドゥーム的なメランコリックな叙情も漂わせる。ダークで不穏な空気感は、
フューネラルなドゥームメタルとしての説得力となっているが、反面、それ以上のインパクトはない。
ギターリフなり楽曲展開なりにもう一工夫欲しい気もするが、ドゥーム好きには安心して楽しめる好作だとは思う。
ドラマティック度・・7 ドゥーム度・・8 重厚度・・8 総合・・7.5
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2/26
そろそろ花粉の季節(69)


LOCRIAN 「Infinite Dissolution」
アメリカのエクスペリメンタル・メタル、ロクリアンの2015年作
ノイジーなギターリフが鳴り響くドローン的な感触から、ブラックメタル要素を含んだ激しい疾走感もあり、
モダンな硬質感の中に不穏な空気感を描き出す。いわば、サイバーなドローン・ブラックというべきか。
うっすらとしたシンセアレンジに包まれて、ポストロック的な薄暗さとスケール感も匂わせつつ、
一方ではノイジーなギターが無機質に鳴り響く、ミステリアスでアヴァンギャルドな雰囲気も面白い。
オールインストなので、BGMになってしまいそうなところもあるのだが、ブラックメタル風の疾走パートや
シンセを前に出したテクノメタル風味など、適度にメリハリのついた展開もあって、案外最後まで楽しめる。
ドラマティック度・・8 壮大度・・8 アヴァンギャル度・・8 総合・・8
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Crom Dubh 「Heimweh」
ドイツのブラックメタル、クロム・ダブの2015年作
アナログ感あるトレモロのギターリフに、ダミ声ヴォーカルを乗せて疾走する、
オールドスタイルのプリミテイブなブラックメタルサウンド。適度に叙情性を含んだギターリフが、
ポストブラック的でもある感触になっていて、ダークであるがどこかマイルドな聴き心地。
いわばAlcestが、本気でブラックメタルをやっているというような感触もあって、
激しさと不穏な空気感の中に優雅な叙情が混ざり合ったサウンドが楽しめる。
ミドルテンポや3拍子のナンバーなども、メロウなギターとトレモロのリフなどで
かなりメロディアスに味わいだ。これぞポストブラック風味のメロブラといべき力作です。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・7 叙情度・・8 総合・・8
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Woland 「Hyperion」
フィンランドのモダンブラックメタル、ウォランドの2014年作
適度にヘヴィなギターとダミ声ヴォーカル乗せて、インダストリアルな硬質感に包まれたサウンドで、
ミドルテンポを主体にシンフォニックな味付けも加わった、サイバーブラック的な聴き心地。
ARCTURUSなどに通じるスペイシーなダークさと、随所に知的な構築力も覗かせながら、
メロディックなギターフレーズや美しいシンセアレンジを含んだ、シンフォニックブラックの香りも残している。
激しいブラスト疾走はあまりないものの、どっしりとした重厚さとダークな空気感をモダンに描き出す、
とても高品質なサウンドが楽しめる。いわばサイバー&シンフォニックなモダンブラックメタルの力作だ。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・7 サイバーな叙情度・・8 総合・・8
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Wayfarer 「Children of the Iron Age」
アメリカのブラックメタル、ウェイファラーの2014年作
アナログ感に包まれたギターリフにダミ声を乗せて疾走する、ネイチャーブラック的な感触で、
WOLVES IN THE THRONE ROOMあたりに通じる、ミスティックで幻想的な世界観を描き出す。
ブラストする暴虐さというのはほとんどなく、スローパートも盛り込んでポストブラック的な叙情性に、
スラッジ/ドゥームメタル風味のナンバーもあったりと、10分を超える大曲をじっくりと構築してゆく。
神秘的な空気に包まれた、サイケ・ブラック、スラッジ・ブラックというような力作である。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・6 ミステリアス度・・8 総合・・8
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Wolvhammer 「Clawing Into Black Sun」
アメリカのブラックメタル、ウルヴハンマーの2014年作
元VEIL OF MAYAのヴォーカルやABIGAIL WILLIAMSのギターが参加するバンドで、
スラッジ寄りのオールドなギターリフとダミ声ヴォーカルを乗せたブラッケンなサウンド。
2ビートの暴虐すぎない疾走感とともに、オールドなブラックメタル臭を漂わせつつ
スローパートではドゥーミィな味わいもあって、音圧もうるさすぎずにわりと聴きやすい。
これというインパクトはないのだが、シンプルなノリでたたみかける、スラッジ系ブラックメタルの強力作。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・7 暗黒度・・8 総合・・7.5
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Eisregen 「Todestage」
ドイツのアヴァン・ブラックメタル、エイスレゲンの2013年作
1998年にデビュー、本作はすでに10作目となる。ホラーコミックのようなジャけからして怪しいが、サウンドの方も
ヴァイオリンが鳴り響き、ドイツ語のシアトリカルな語りから始まるコンセプトストーリー的な雰囲気を漂わせる。
インダストリアルでモダンアレンジも含みつつ、ヴァイオリンの音色を乗せてブラスト疾走するという、
クラシカルなブラックメタル要素もあって、全体的に激しさとドラマ性のメリハリに富んだ作風だ。
一方ではゴシックメタル的なメランコリックなスローナンバーもあって、ただのブラックメタルではない、
知的な構築センスを感じさせる。まさに濃密なるゲルマン・シアトリカル・メタルである。
ドラマティック度・・8 シアトリカル度・・8 ゲルマン度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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Camollis 「Prologo」
ブラジルのシューゲイザーメタル、カモリスの2013年作
シューゲイザー・ブラックバンド、THE LAST DAYSのメンバーによる作品で、
美しいシンセアレンジにメロウなギターフレーズを重ねた浮遊感あるサウンド。
アンビエントな空気感にポストロック的でもあるスケールを含んだ聴き心地で
ゆったりとした幻想的な叙情に浸れる。随所にトレモロのギターフレーズも心地よく、
アンビエントなシューゲイズながら、メタルの要素もしっかり残している。アルバム前半と後半を、
それぞれ組曲構成にしたセンスも素晴らしい。これは掘り出し物的な好作品だ。
ドラマティック度・・7 メタル度・・5 幻想の叙情度・・9 総合・・8

Xaosis 「Mara II - Umarle domy」
ポーランドのディプレッシブ・ブラックメタル、ザオシスの2013年作
Xaosis氏による一人ユニットで、スローテンポの打ち込みリズムに、ノイジーなギターリフと
母国語による唸り声のようなヴォーカルを乗せてダークな世界観を描くサウンド。
楽曲は6~11分と長めのものが主体で、激しい疾走感というものがない分、
むしろゴシック的なメランコリックな雰囲気に包まれている。ドラマ性やメロディの展開もあまりなく、
ありていにいって退屈きわまりない。鬱系ブラックにしても、もう少し曲を練ってもらいたい。
ドラマティック度・・6 暗黒度・・8 楽曲・・6 総合・・6.5

DRAGONHEART 「The Battle Sanctuary」
ブラジルのメロディック・バワーメタル、ドラゴンハートの2015年作
ファンタジックなジャケからして、なかなかそそるものがあるが、サウンドの方もクサめのツインギターに
ダミ声&ハイトーンをツインヴォーカル的に乗せて疾走する、正統派のメロパワスタイル。
勇壮なコーラスと適度なクサメロ感を含んだ、少し前のジャーマンメタルを思わせる聴き心地で、
ラウドな音質がB級臭さをかもしだす。パワフルでエピックな部分は初期のBlind Guardianを思わせるが、
どこかヘナチョコ気味の雰囲気は、Not Flagileあたりに近いかもしれない。個人的には耳障りなダミ声はやめて、
よりクサメロ疾走へとシフトした方がウケがよいのではないかと思うのだが。B級エピックメタルとしてはわりと楽しめます。
メロディック度・・7 疾走度・・7 正統派度・・8 総合・・7.5
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Thobbe Englund 「From the Wilderness」
スウェーデンのメタルバンド、SABATONのギタリスト、トーベ・エングランドのソロ。2015年作
サバトンといえば正統派の漢のメロパワなのだが、本作のサウンドはきらびやかなネオクラシカルメタル。
ドラムを除く、ギター、ベース、シンセを自身でプレイし、テクニカルなフレーズを随所に盛り込んで、
シンセによる美麗な味付けで聴かせる、イングヴェイばりの様式美インストサウンドだ。
一方では、ゆったりとしたシンフォニックな味付けと泣きの叙情のギターを聴かせるナンバーもあり、
オールインストながらも、北欧のミュージシャンらしい涼やかなメロディセンスで最後まで聴き通せる。
メロディック度・・8 ネオクラ度・・8 美麗度・・8 総合・・7.5
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Divino Disturbo 「OP I:Chose Your Side」
スペインのシンフォニックメタル、ディヴィノ・ディスターボの2013年作
美麗なイントロから、クラシカルなシンセアレンジと美しい女性ヴォーカルの歌声を乗せて疾走する、
優雅なシンフォニックメタルサウンド。壮麗なクワイヤを含むオペラティックな感触は
Dark Moorあたりに通じる雰囲気で、随所にネオクラ的なギターフレーズも含んだ、
クサメタル要素もよい感じだ。チェンバロの音色によるバロックなクラシカル性と
適度にB級のクサメロスピ感触が合わさった聴き心地には、マニアはにんまりだろう。
女性ヴォーカルの表現力などが上がれば、さらに素晴らしいクサシンフォニック作品を作ってくれそうだ。
シンフォニック度・・8 優雅度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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LORD VOLTURE「Will to Power」
オランダのメロディックメタル、ロード・ヴォルチャーの2014年作
ツインギターにハイトーンヴォーカルを乗せて、パワフルに聴かせる正統派のサウンドで、
キャッチーなメロディアス性は、GAMMA RAYなどのジャーマンメタルに通じる感触だ。
これという新鮮味はないのだが、古き良き正統派ヘヴィメタルのどっしりとした重厚さと
甘すぎないメロディアス性を含んだ楽曲はなかなか質が高く、安心して楽しめる。
ガンマ・レイやPrimal Fearあたりが好きな正統派メタルファンはチェックすべし。
メロディック度・・7 パワフル度・・8 正統派度・・8 総合・・7.5
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Infinity Overture 「Kingdom of Utopia」
デンマークのシンフォニックメタル、インフィニティ・オーバーチャーの2009年作
男女Voにシンセを含む6人編成で、その男性ヴォーカルはなんとELEGYで活躍したイアン・パリー。
シンフォニックなアレンジに、イアン・パリーのバワフルなヴォーカルを乗せた正統派のサウンドで、
ギターは随所にネオクラ風味のフレーズを奏で、ファンタジックで壮麗に物語的な世界観を描いてゆく。
女性Voメインの曲は1曲のみなので、本作ではほぼイアン・パリーの説得力ある歌声で支えていると言ってよいだろう。
シンフォニックメタルとしての雰囲気はよいので、あとはメロディのフックや楽曲そのものの質を上げていってもらいたい。
シンフォニック度・・8 疾走度・・6 重厚度・・7 総合・・7.5
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MARAUDER「1821」
ギリシャのメロディックメタル、マラウダーの1999年作
クサメロたっぷりのツインギターと野太いヴォーカルを乗せて疾走する、正統派のメロパワスタイル。
おそらくタイトルである年号から、ギリシャ独立戦争をテーマにしているのだろう、
エピックな勇壮さを感じさせる雰囲気もなかなかよろしい。ミドルテンポのナンバーは
Judas Priestなど古き良きヘヴィメタルの感触で楽しめたり、正統派メタル好きはにんまりだろう。
荒々しい野太いヴォーカルは好みをわけるところだろうが、叙情的な小曲を配置したりと、
アルバムとしてのドラマティックな流れもあって、パワフルなエピックメタルが楽しめる強力作だ。
ドラマティック度・・8 パワフル度・・8 正統派度・・8 総合・・7.5
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IDI BIHOTZ 「Amaigabe Berria」
スペインのメロディックメタル、イディ・ビオテズの2002年作
正統派のギターリフにマイルドなヴォーカルの歌声を乗せて疾走する、
初期Avalanchなどにも通じるスパニッシュなメロディック・スピードメタル。
スペイン語によるやわらかな歌メロのクサメロ感がなかなか心地よく、
サビでのキャッチーな爽快感には思わずニンマリなのである。
適度なB級感もよろしく、クサメロ&疾走が好きな方はチェックです!
メロディック度・・8 疾走度・・8 スパニッシュ度・・8 総合・・7.5
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2/19
ドゥーム、スラッジ、ストーナー三昧!(54)


Luciferian Light Orchestra
スウェーデンのヴィンテージハード、ルシフェリアン・ライト・オーケストラの2015年作
Therionのクリストフェル・ヨンソンによるプロジェクトで、アナログ感たっぷりのギターリフに、
浮遊感ある女性ヴォーカルの歌声を乗せた、古き良き空気感のヴィンテージロックサウンド。
楽曲は3~4分前後とシンプルであるが、オルガンを含むシンセやフルートの音色など、
曲によっては70'sプログレ的な味わいや、サイケロックやブルージーな感触とともに適度なノリの良さもある。
妖しくオカルティックな世界観に包まれた、PURSONBlood Ceremonyなどに通じる魔女系ロックの強力作。
セリオンのサウンドを期待すると肩透かしだろうが、サバスルーツのドゥームや女性声サイケなどが好きな方はぜひ。
ドラマティック度・・7 古き良き度・・8 魔女系ロック度・・9 総合・・8
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The Lion's Daughter 「Existence Is Horror」
アメリカのスラッジ・ブラックメタル、ライオンズ・ドウターの2016年作
ジャケからしてすでに妖しさぷんぷんだが、サウンドの方もなかなかすごい。
ドゥーミィな重厚さにブラックメタルの激しさを合わせた濃密な聴き心地で、
不穏なギターフレーズに咆哮するダ声ヴォーカルを乗せて、随所にブラスト疾走を含みつつ、
闇に包まれた空気とアヴァンギャルドなセンスで描かれる強力なサウンドが楽しめる。
楽曲自体は3~5分前後とわりと短いので、個人的にはもう少し壮大な大曲もあればと思うが、
スラッジ・系ブラックメタルとしては、Inter Armaをさらに激しくしたような力作である。
ドラマティック度・・8 暗黒度・・8 重厚度・・8 総合・・8
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MOTOROWL 「OM GENERATOR」
ドイツのドウームメタル、モトロウルの2016年作
シンセ奏者を含む5人編成で、アナログ感あるツインギターにジェントルなヴォーカルを乗せ、
オルガンが鳴り響く、70年代風味のドゥームと重厚なメタル感が合わさったスタイル。
全体的にレトロさよりもギターによるヘヴィネスを前に出した硬派な作風であるが、
オルガンの音色がほどよく硬質感を和らげ、随所にサイケ的な浮遊感も描いている。
アコースティックな小曲もはさみつつ、ザラついたストーナーロックの感触に、哀愁を含んだ
湿り気ある叙情性も感じさせる。うるさすぎないセンスの良さで今後も期待のバンドだ。
ドラマティック度・・7 ドゥーム度・・8 ストケでストーナー度・・8 総合・・8
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MONKEY3 「ASTRA SYMMETRY」
スイスのストーナー・サイケロック、モンキー3の2016年作
水、空気、土、火という四代元素をテーマに、それぞれ3曲ずつの楽曲で世界観を表現、
パーカッションが鳴り響き、詠唱のようなヴォーカルを乗せた浮遊感のある雰囲気は、
Third Ear Bandあたりに通じる、神秘的な妖しさに包まれている。一方ではヘヴィなベースと
うねるようなギターを乗せたストーナーロックとしての生々しいアンサンブルが現れて、
うっすらとしたシンセアレンジも含めた音の重ねで、スケール感あるサウンドを描いてゆく。
ミステリアスな空気感とエキセントリックなセンスが、インスト部分のスリリングな味わいになっていて、
プログレッシブな重厚さという点では、MINSKあたりにも通じるだろう。サイケなストーナーの強力作。
ドラマティック度・・8 重厚度・・8 ミステリアス度・・9 総合・・8
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MONKEY3「The 5th Sun」
スイスのストーナー・サイケロック、モンキー3の2013年作
本作はのっけから14分の大曲で、スペイシーなシンセアレンジに、わりと重厚なギターを乗せ、
サイケ的な浮遊感と古き良きメロディックなハードロックを合せたという聴き心地。
インスト中心であるが、ギターのメロウでブルージーな旋律はなかなか魅力的で、
重ためのアンサンブルとともにダイナミックなスケール感を描くセンスも見事。
アッパーな高揚感はHAWKWIND的でもあるが、一方ではメランコリックな叙情性も覗かせて
プログレ的でもあるメリハリのある構築力が味わえる。どっしりとした重さと知性と浮遊感が合わさった力作だ。
ドラマティック度・・8 重厚度・・8 ミステリアス度・・8 総合・・8
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Mortalicum 「Progress of Doom」
スウェーデンのドゥームメタル、モータリカムの2010年作
ヘヴィすぎないギターにマイルドなヴォーカルを乗せて聴かせる、古き良きスタイルのドゥームメタル。
Black Sabbathルーツの適度にロックなノリを含んだサウンドで、ツインギターのフレーズには
適度にヨーロピアンな湿り気を感じさせ、曲によってはキャッチーなメロディを乗せた疾走感もあって、
むしろ70年代的なハードロックとしても普通に楽しめたりする。3~4分台のシンプルなナンバーをメインに、
ラストは9分の大曲で、物悲しい叙情を含んだどっしりとしたドラマティックなドゥームナンバーで締めくくる。
ドゥームファンはもちろん、オールドなメタルが好きな方にもお薦めできる、サバス風味の強力作です。
ドラマティック度・・7 ドゥーム度・・7 古き良き度・・9 総合・・8
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Mortalicum 「Tears from the Grave」
スウェーデンのドゥームメタル、モータリカムの2014年作
今作ではG&Vo、B、Drのトリオ編成となったが、アナログ感あるギターリフとジェントルなヴォーカルを乗せ、
Black SabbathWitchfinder Generalなどをルーツにした古き良きドゥームメタルは前作同様。
70年代ロックのブルージーな感触に加え、ギターはときに叙情的なフレーズを奏でたりと、
北欧のバンドらしい適度に湿り気を含んだ空気感もよいですな。重すぎず、軽すぎず、
遅すぎず、速過ぎず、という程よいノリを含んだ楽曲は、ドゥーム初心者にも聴きやすいだろう。
6~11分という大曲を中心にした、本格派で正統派のドゥームメタルが味わえる力作だ。
ドラマティック度・・7 ドゥーム度・・8 古き良き度・・9 総合・・8
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Tombstoned
フィンランドのサイケ・ドゥーム、トゥームストーンドの2013年作
G&Vo、B、Drのトリオ編成で、アナログ感たっぷりのアンサンブルで聴かせるドゥームロック。
古き良きシンプルな味わいのギターリフにヨレ気味のヴォーカルを乗せたサイケな感触で
こもり気味の音質も含めて、いかにも70年代懐古主義的なひなびた味わいである。
やる気をいっさい感じないユルさが心地よいというか、この迫力のかけらもないダメっぷりに
勇気をもらうこと請け合いである。ヨレ系のサイケドゥームの模範のような脱力具合が見事。
ムダに重かったりするバンドよりはずっとよい。正直言うと、わりと好きです。
ドラマティック度・・6 トイケ・ドゥーム度・・8 ユル度・・9 総合・・7
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Moon Coven 「Amanita Kingdom」
スウェーデンのスラッジ/ドゥームメタル、ムーン・カヴンの2014年作
妖しげなジャケやバンド名がじつにいいのだが、サウンドの方もアナログ感あるギターリフに、
浮遊感あるヴォーカルを乗せた、正しくオールドスタイルなスラッジ/ドゥームメタル。
単調なリフの繰り返しが多く、楽曲自体にもこれというインパクトがないので、
個人的にはもう少し湿り気ある翳りや魔女めいた濃密な空気感が欲しいかな。
ギターのサウンドはいくぶん耳障りでノイジー。プリミティブでストレートなのはよいが、
音作りと楽曲の深みを描く表現力を磨いていって欲しい。単純なドゥームほど難しいのだ。
ドラマティック度・・7 ドゥーム度・・8 妖しさ度・・7 総合・・7
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New Keepers of the Water Towers 「Cosmic Child」
スウェーデンのサイケ・ドゥームメタル、ニュー・キーパーズ・オブ・ザ・ウォーター・タワーズの2013年作
基本は、ギター、ベース、ドラムのトリオ編成で、うねりのあるアンサンブルに重厚なギターを乗せて、
スペイシーなスケール感を描くサウンド。エフェクトのかかったヴォーカルが妖しい浮遊感をかもしだし、
ギターは随所にメロディックなフレーズを奏でたり、曲によってはアコースティックな牧歌性を含む
プログレッシブな雰囲気を感じさせる。10分前後の大曲も多く、気の短い方には向かないが、
適度なユルさにモダンな重厚さと知的な構築力を加えた、新世代のサイケ・ドゥームの力作だ。
ドラマティック度・・7 サイケ・ドゥーム度・・8 重厚度・・8 総合・・7.5
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RIPPER 「THIRD WITNESS」
アメリカのドゥームメタル、リッパーの2015年作
70年代から活動するバンドで、1986年に「...AND THE DEAD SHALL RISE」1作を残して消えたバンドが地味に復活。
本作は復活後2作目らしいが詳細は不明。サバスルーツのドゥーミィなギターリフと中音域のヴォーカルを乗せた
どんよりとした正統派のドゥームメタルサウンドで、カルトな怪しさも含んだいかにも80年代的な聴き心地。
レーベルがイタリアのBlack Widowということもあってか、ホラーな味わいの世界観がダークなドゥームメタルとマッチしている。
全体的にこれだというインパクトはないのだが、古き良きスタイルのカルトなメタル、ドゥームメタルがお好きな方はいかが。
ラストはBLACK SABBATH"Sabbath Bloody Sabbath"のカヴァーで、DEATH SSのSteve Sylvesterがゲスト参加している。
ドラマティック度・・7 ドゥーム度・・8 古き良き度・・8 総合・・7.5
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Horseback 「Invisible Mountain」
アメリカのスラッジ系サイケ・ポストメタル、ホースバックの2010年作
マルチプレイヤーJenks Millerによるソロプロジェクトで、サイケなうねりを感じさせるアンサンブルに
スラッジ系のヘヴィなギターとダミ声の唸り声を乗せた、怪しくミステリアスなサウンド。、
アナログ感に包まれたプリミティブな禍々しさと、モノトーンのような無機質な空気感が同居して
リフレインされる単調なフレーズによる殺伐としたトリップ感が、退屈ととるか心地よいととるかで
本作への評価が分かれるだろう。ときおりメロディらしきフレーズも出て来くるとずいぶん聴きやすくなる。
ラストは16分の大曲で、うっすらとしたシンセに包まれたアンビエントな叙情性が耳心地よい。
ドラマティック度・・7 ヘヴィ度・・8 リフレイン度・・8 総合・・7.5
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Sabbath Assembly 「Quaternity」
アメリカのゴシック・ドゥームメタル、サバス・アセンブリィの2014年作
HAMMER OF MISFORTUNEやWOLVES IN THE THRONE ROOMにも参加していた女性Voが在籍するユニット。
オルガンが鳴り響き、女性ヴォーカルの美しい歌声が妖しく包み込むインスト曲から弾きこまれるが、
続く2曲目は叙情的なギターの旋律にチェロやビオラの物悲しい響き、美しい女性声を乗せた
幻想的なネオフォーク風味の聴き心地にうっとり。サタンやルシファーなどをテーマにした、
カルトで秘術めいた世界観とゴシック的な耽美性が合わさった、神秘的なサウンドに浸れます。
ラストは黙示録の四人の御使いをテーマにした18分の大曲で、アコースティックな静謐感に
男性声の語りなどを含んだ厳かな空気感、女性ヴォーカルの妖しさが引き立つ異色のサウンドが楽しめます。
幻想度・・8 ミステリアス度・・9 女性Vo度・・8 総合・・8
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Silent Hill
イタリアのドゥームメタル、サイレント・ヒルの2008年作
重厚なギターリフにうっすらとしたシンセアレンジ、クセのあるハイトーンヴォーカルを乗せて聴かせる、
正統派のエピック・ドゥームメタル。スローテンポでもわりと手数の多いドラムがどっしりとアンサンブルを支え、
湿り気を含んだギターフレーズとともに、ダークな幻想性を描くような世界観がなかなか耳心地よい。
カイ・ハンセンみたいなヴォーカルがややミスマッチにも感じるが、むしろ正統派のメタラーには聴きやすいかも。
CANDLEMASSをルーツにした、ヨーロピアンな翳りと叙情性に包まれたエピック・ドゥームの力作です。
ドラマティック度・・8 正統派度・・8 重厚度・・8 総合・・8
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Floor「Oblation」
アメリカのドゥーム・ヘヴィロック、フロアーの2014年作
1992年に結成、ヘヴィロックにポップなキャッチーさを融合されたバンドとしてその後のバンドに大きな影響を与えた。
解散後、スティーヴ・ブルックスはトーチを結成するが、2010年にFloorとして再結成し、本作が10年ぶりの復活作となる。
サウンドは、ヘヴィでスローなギターリフが鳴り響く、どっしりとした本格派ドゥームメタルの質感に、
キャッチーなヴォーカルを乗せたモダンなヘヴィロック。ノイジーな轟音ギターとエフェクトのかかったヴォーカル、
随所にメロディックなフレーズを乗せた、アンバランスな味わいが面白く、恐ろしくヘヴィなのだがキャッチーという、
不思議な感覚が楽しめる。3分前後の小曲が中心なのだが、曲というよりリフと歌声の感触を味わうという感じなので、
長い曲だとかえって疲れてしまうかもしれない。重いのが好きな方には、普通に重量ドゥームとしても聴けます。
ドラマティック度・・7 ドゥーム度・・8 ヘヴィ度・・8 総合・・8
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2/5
2月になりました(39)


INTER ARMA 「Paradise Gallows」
アメリカのスラッジ系ブラックメタル、インター・アルマの2016年作
前作はサイケ、スラッジ、ブラックメタルを合わせたような濃密力作であったが、
本作もブラックメタルとしての暗黒性をスラッジ寄りのアプローチで表現したという重厚なサウンドを聴かせる。
ドローン気味に反復するギターリフに、低音のデスヴォイスが響き渡り、アナログ的な音質の絶妙なこもり具合も
ミステリアスで不穏な空気感をかもしだす。10分前後の大曲を多数含み、ドゥームメタル的なスローパートから
激しいブラックメタル要素まで、自然な緩急をつけながらスケール感ある構築力と知的なセンスを覗かせる。
曲によってはゆったりとした叙情性も含ませながら、じっくりと暗黒の美学を描くような力作である。
ドラマティック度・・8 重厚度・・8 ミステリアス度・・9 総合・・8
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TERRA TENEBROSA 「THE REVERSES」
スウェーデンのアヴァン・ブラックメタル、テラ・テネブロサの2016年作
ポストハードコアルーツの無機質な攻撃性と、闇の気配に包まれた神秘性で聴かせる、
エクスペリメンタルなサウンド。ブラックメタルらしいダミ声ヴォーカルにノイジーなギターリフ、
エフェクトがかったインダストリアルな感触で、不穏でアヴァンギャルドな世界を描きだす。
疾走する激しさというのはないので、むしろブラック風味のインダストリアルメタルというべきか。
ラストは16分の大曲で、延々と繰り返されるフレーズでトリップするような感覚を覚える。
ドラマティック度・・7 インダストリアル度・・8 暗黒度・・8 総合・・7.5
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Negura Bunget 「Tau」
ルーマニアのブラックメタル、ネグラ・バンゲットの2015年作
1996年デビューという、キャリアのあるバンドで、フルートを含んだ妖しげなイントロに続き、曲が始まると、
重厚なギターリフを乗せたブラックメタル的な激しさと、緩急ある展開とともに、土着的な神秘性を描くような
ミステリアスな空気感に包まれる。ヴォーカルは低音のデスヴォイスであるが、随所にノーマル声のコーラスが勇壮に絡み、
北欧ブラックメタル風でもある涼やかな空気をまとわせる。ときにシンフォニックなシンセアレンジが加わると、
いわば「Dimmu Borgirの辺境版」という味わいにもなったりする。暴虐さはさほどないので、激しいブラックが苦手な方や、
プログレッシブなブラックが好きな方にも対応。知的な構築力とペイガンブラックの辺境性を融合させた強力作である。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・7 ミステリアス度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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DARK FOREST 「Beyond the Veil」
ドイツのエピックメタル、ダーク・フォレストの2016年作
2009年にデビューしてから本作は4作目となる。ファンタジックなジャケから目を引くが、
サウンドはツインギターの叙情フレーズと、マイルドなヴォーカルを乗せて聴かせる正統派。
イタリアのMARTIRIAADRAMELCHなどにも通じる適度なマイナー臭さを漂わせつつ、
ヘヴィすぎない耳心地の良さとメロディアス性で、ヨーロピアンなエピックメタルが味わえる。
わりとキャッチーであっても、爽快になりきらない湿り気を含んだ叙情性がよいですな。
曲によっては、Wuthering Heightsにも通じるようなケルティック寄りの土着性も感じさせる。
ラストは13分の大曲で、壮大な叙情性とともにドラマティックな世界観を描き出す。
メロディック度・・8 古き良き度・・8 エピック度・・8 総合・・8
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SCARBLADE 「The Cosmic Wrath」
スウェーデンのメタルバンド、スカーブレードの2016年作
ギリシャ人女性シンガーを擁するバンドで、元々はRUTHLESS STEELという名前で活動していたらしいが、
バンド名を変更しての1作目。ハスキーな女性ヴォーカルと古き良きギターリフで聴かせる正統派のメタルサウンドで、
紅一点Aliki嬢の歌声は、美しい外見に似合わずなかなかパワフルで、DoroSister Sinあたりに通じる雰囲気もある。
ヘヴィすぎない適度なスカスカ感も、80~90年代的でオールドなメタルファンなら耳心地よく楽しめるだろう。
4~5分前後の楽曲はわりとシンプルで、もう少しメロディのフックなり、妖しい空気感があればよいのだが。
メロディック度・・7 正統派度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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Huntress 「Static」
アメリカのメタルバンド、ハントレスの2015年作
妖しき美女Vo、ジル・ジェイナス嬢擁するこのバンド、3作目となる本作は、正統派メタルに接近した前作の流れを受けつつ
古き良き感触のギターリフに、ハスキーな彼女のヴォーカルを乗せた、適度にスラッシーでカルトなメタルサウンド。
ヘヴィ過ぎない音作りも含めて80~90年代のローカルな感触も漂わせる、シアトリカルなハイトーンという点では
いわば「女性版King Diamond」というような雰囲気もあって、8分を超える大曲などはなかなかドラマティック。
全体的にはインパクトのあるナンバーがもう少し欲しい気もするが、この古き良きメタル路線を守りつつ、
もっと魔女めいたダークな妖しさを前面に出していって欲しい。おっぱい美女を従えたブックレットはある意味必見。
ドラマティック度・・7 正統派度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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Lord Fist 「Green Eyleen」
フィンランドのメタルバンド、ロード・フィストの2015年作
ジャケの雰囲気やイカれたバンド名通り、サウンドの方も80年代を思わせる古き良きB級メタルで、
ツインギターのリフと力強くないヴォーカルを乗せて疾走する、正統派のNWOBHM的な聴き心地。
ヘヴィ過ぎない適度なスカスカ感も良い感じでなのだが、湿り気を含んだギターフレーズとともに
エピックな世界観も匂わせるあたりで、この手のマイナー正統派好きにはたまらないかもしれない。
楽曲は3~4分前後が中心で、いたってシンプルであるが、むしろ今の時代にこの潔いまでの
オールドメタル愛にはニヤニヤニとしてしまう。EnforcerあたりよりさらにB級寄りなのだが、
古き良きダサ恰好いいメタルが好きならば、このバンドのサウンドを嫌いになれるはずはない。
ドラマティック度・・7 古き良き度・・8 このB級メタル度・・9 総合・・7.5
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Corsair
アメリカのハードロック、コルサイアーの2013年作
女性ギタリストを含むツインギター編成で、80年代ルーツのオールドスタイルのHR/HMサウンド。
ヘヴィすぎないギターリフにときにブルージーな旋律や、ツインリードのフレーズを織り込んだ
哀愁を感じさせる古き良き叙情性に、ストーナーロック的なアナログ感あるアンサンブル。
ジェントルなヴォーカルの歌声を乗せた感触は、THIN LIZZYを思わせる雰囲気もあり、
適度な音の薄さも含めて、確信犯的なヴィンテージなハードロックサウンドである。
シンプルながら枯れた味わいと、耳心地の良いツインギターが楽しめる好作品だ。
ラスト曲ではギタリストの女性が歌っていて、この女性声のしっとり路線も拡大するといいかも。
ドラマテイック度・・7 ツインギター度・・8 古き良きHR度・・9 総合・・7.5
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DEVIN TOWNSEND PROJECT 「ZILTOID - DARK MATTERS」
鬼才、デヴィン・タウンゼンドによるプロジェクトの2014年作
2枚組でリリースされた「Z2」のDisc2にあたる作品の単品リリースで、2007年作の続編ともいうべき、
SFコメディタッチのストーリーで描かれるメタルオペラ的な作品。随所に映画的なナレーションを含んで、
メタリックな重厚さとシンセアレンジと壮麗なコーラスによるシンフォニック性、スペイシーな神秘性に
知的な展開力で構築される楽曲は、プログレッシブでアーティスティックなセンスを感じさせる。
激しい疾走パートも織り込みつつ、アネク・ヴァン・ガースバーゲンが参加し、女性ヴォーカルを乗せた
美麗なシンフォニックメタルパートもあったりと、起伏に富んだドラマ性で濃密な味わいが楽しめる。
ドラマティック度・・8 SF度・・8 壮大度・・9 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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MENACE 「Impact Velocity」
イギリスのエクスペリメンタル系メタル、メナスの2014年作
NAPALM DEATHのミック・ハリスを中心にしたプロジェクトバンドで、わりと正統派のモダンメタルに
知的な構築センスとスペイシーな世界観を加えた、Devin Townsendなどを思わせるサウンド。
楽曲自体は3~4分前後とコンパクトであるが、キャッチーなコーラスなどを含むメロディックな感触に、
シンフォニックなシンセアレンジなども加わって、近未来的でスケール感のある聴き心地である。
スペイシーなメタルという点では近年のARCTURUSあたりにも通じるが、よりクールでスタイリッシュ、
そしてインダストリアルな味わいだ。アルバム後半には激しいブラスト疾走するナンバーもあり、
むしろ、デスメタル色を取り入れたこの路線にした方が、より濃密な仕上がりなる気もする。
ドラマティック度・・8 スペイシー度・・8 モダンメタル度・・8 総合・・7.5
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Votum 「Harvest Moon」
ポーランドのプログレメタル、ヴォータムの2013年作
2008年にデビュー、Riversideを思わせる翳りある世界観のサウンドで、過去2作も高品質な出来だったが、
3作目となる本作も、メロウなギターにマイルドなヴォーカルを乗せて、繊細な叙情を描くサウンド。
適度にモダンな重厚さと激しさを含みながら、メリハリのある展開力と知的な構築センスで、
ドラマティックに聴かせるクオリティの高さはさすがで、アコースティックな叙情パートや、
ポストプログレ的な繊細なヴォーカルパートなども織り込み、緩急のあるアレンジも見事である。
Porcupine Treee系のリスナーなどにも対応した、モダン・プログレメタルの力作である。
ドラマティック度・・8 薄暗度・・8 構築センス・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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CRISALIDA 「Terra Ancestral」
チリのプログレメタル、クリサリダの2015年作
2006年にデビューしてから、本作は4作目となる。ツインギターのメタリックなリフと、
うっすらとしたシンセアレンジに、スペイン語の女性ヴォーカルを乗せた重厚なサウンド。
適度にテクニカルな展開力と南米らしい繊細な叙情性も含みつつ、過去のアルバムに比べると
ゴシックメタル的なメランコリックな空気感とモダンなヘヴィネスがずいぶん増している。
スローからミドルテンポのナンバーを主体にしたどっしりとしたアンサンブルで、
女性声による優雅な浮遊感と薄暗い叙情に包まれたサウンドが楽しめる。
ドラマティック度・・7 むしろゴシックメタル度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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El Cuervo De Poe 「Vox Corvus」
メキシコのゴシックメタル、エル・キュエルヴォ・デ・ポーの2008年作
女性Voにヴァイオリン奏者を含む編成で、ソプラノ女性ヴォーカルの美しい歌声に、
クラシカルなヴァイオリンの音色とヘヴィなギターが合わさり、優雅な世界観を描くサウンド。
シンセ奏者がいないので、シンフォニックな聴き心地は薄いのだが、その分武骨なギターリフと
ヴァイオリンの響きがコントラストになっていて、辺境的で不思議な味わいとなっている。
曲によってはヴォーカル嬢がエキセントリックに叫んだりして、アヴァンギャルドなセンスも垣間見せる。
音質のせいか重厚な迫力がさほどないので、Dreams of SanityあたりをややB級にしたという感じで
メタルが苦手な方にも楽しめるかもしれない。ヴァイオリン入りクラシカル・ゴシックの好作品。
クラシカル度・・8 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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Imperio 「Latidoamerica」
アルゼンチンのメタルバンド、インペリオの2010年作
2000年のアルバムを最後に、主要メンバーはRENACERに移行して、このバンドは解散したのだが、
本作は10年ぶりとなる復活作。ツインギターのリフにスペイン語のヴォーカルを乗せて、
パワフルに疾走する正統派のメロパワサウンド。かつてのようにシンフォニックなアレンジが薄まった分、
よりシンプルな力強さが前に出ているが、一方ではサビにおける爽快なメロディアス性は
クサメタルファンにも十分アピールするもので、南米らしい濃密さという点でも聴きごたえ十分だ。
間奏部での流麗なツインリードを聴かせるギターの力量もなかなかのもの。復活作にしてバンドの最高傑作。
メロディック度・・8 正統派度・・8 濃密度・・8 総合・・8




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冬のメタル三昧(25)


ALMANAC「TSAR」
元RAGEのヴィクター・スモールスキによるプロジェクト、アルマナックの2016年作
Lingua Mortis Orchestraを引き継いだというべき、オーケストラ入りのメタルオペラというスタイルで、
バルセロナ・フィルハーモニアオーケストラと、女性Vo、ジャネット・マルヒェフカもLMOから引き続き参加。
Pink Cream 69のデイヴィッド・リードマン、BRAINSTORMのアンディ・B・フランクなどがヴォーカルで参加し、
男女ヴォーカルとオーケストレーションをまじえて、スケール感のある正統派メタルサウンドを描いてゆく。
厚みのあるコーラスなどを含んだ壮大な雰囲気は、レイジというよりはむしろブラガー的な感触で、
随所にパワフルな疾走感やテクニカルなギタープレイも盛り込んだ濃密な聴き心地が楽しめる。
個人的にはもう少しクサメロ感があると嬉しいのだが、ヴィクターのファンであればとても楽しめる力作だろう。
ドラマティック度・・8 重厚度・・8 壮大度・・8 総合・・8
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Beyond the Black 「Lost in Forever」
ドイツのシンフォニックメタル、ビヨンド・ザ・ブラックの2016年作
ツインギターにシンセを含む6人編成で、壮麗なアレンジに女性ヴォーカルの歌声を乗せ、
キャッチーなメロディアス性と、いくぶんゴシック寄りの翳りを含んだ高品質なサウンドは前作同様。
ときにテクニカルなギターフレーズも覗かせつつ、ヘヴィ過ぎない音作りにはバンドとしてのセンスを感じさせ、
男性ヴォーカルの絡みもあくまでオマケ程度なので、フィメールヴォーカル好きも安心だ。
紅一点、ジェニファー嬢の歌声は、まっすぐな歌い方で、なかなかメジャーな雰囲気も漂わせていて、
しっとりとしたバラードからシンフォニックなナンバーまで、どれにもよくマッチしている。
楽曲にはわりと王道のハードロック要素も感じられ、モダンになり過ぎないバランス感覚も絶妙だ。
あとは決定打となるようなキラーチューンや、ドラマティックな壮大さが加わればさらに傑作を作り出しそう。
シンフォニック度・・8 高品質度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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VISIONS OF ATLANTIS 「Old Routes-new Waters」
オーストリアのシンフォニックメタル、ヴィジョンズ・オブ・アトランティスの2016年作
2002年にデビュー、これまでに5作のアルバムを出しているが、本作は過去曲を再録音したミニアルバム。
美しいソプラノヴォーカルに男性ヴォーカルが絡んで、キャッチーで美麗なシンフォニックメタルを聴かせる。
新たに加入したクレメンティーネ嬢の歌声は清楚な美しさで、オペラティックな優美さがよい感じですな。
ただセレクトされた過去曲が抜群に出来が良いわけでもなく、新録のわりにはさして音がゴージャスでもないという、
なんとなく煮え切らなさを感じてしまう。これなら新曲のEPを出してくれた方が良かったような気も…
だがともかく、新たに美声の歌姫を得てのバンドの次回作には大いに期待したい。
シンフォニック度・・8 楽曲度・・7 女性Vo度・・8 総合・・7.5 過去作のレビューはこちら
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Andem (Андем) 「Eternity (Вечность) 」
ロシアのメロディックメタル、アンデムの2015年作
女性Voに女性シンセ奏者を含む6人編成で、2013年作収録のタイトルトラックに、新曲2曲を加え、
さらには2011年のミニアルバム収録曲4曲、アコースティックバージョンなどを収録した企画アルバム。
きらびやかなシンセアレンジに、適度にヘヴィなギター、そしてロシア語の女性ヴォーカルで聴かせる、
わりとモダンでキャッチーなサウンド。楽曲はすべて3~4分台とわりとシンプルな聴き心地で、
もう少しシンフォニックな大仰さが欲しい気もするが、万人受けしそうなメロディアスハードな雰囲気である。
ヴァイオリン入りのアコースティックアレンジ曲や、EP収録曲のクサメロ感もなかなかよい。次のフルアルバムに期待。
メロディック度・・8 シンフォニック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・7
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WINTERHYMN 「Blood & Shadow」
アメリカのペイガンデスメタル、ウインターヒムの2016年作
女性シンセ奏者、女性ヴァイオリンを含む6人編成で、美麗なシンセアレンジにヴァイオリンが鳴り響き、
男性ダミ声ヴォーカルを乗せて聴かせる、壮麗な世界観のペイガン・メロデスサウンド。
楽曲は3~4分前後とわりとシンプルで、ミドルテンポを主体にしつつ、激しい疾走パートも織り込んで
いくぶんマイナー臭さを漂わせた煮え切らない雰囲気なども、わりと味わいになっている。
エピックなファンタジー性も感じられて、ここに女性声でも加わったら、より楽しめると思うのだが。
艶やかなヴァイオリンの音色は耳心地良く、個人的にはこのクラシカルな優雅さはとても好みである。
ドラマティック度・・8 ペイガン度・・7 ヴァイオリン度・・8 総合・・8
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DVALIN 「Aus Dem Schatten」
ドイツのフォークメタル、ドヴァリンの2016年作
ツインギターにシンセ、バグパイプ&ハーディ・ガーディ奏者を含む7人編成で、
ヘヴィなギターリフにバグパイプの音色が重なり、低音デスヴォーカルを乗せて疾走する、
激しめのフォーク・デスメタルというサウンド。ギターリフにはメロデス的な硬質感もあって、
ヘヴィでスラッシーな感触と牧歌的なフォーク要素のコントラストがなかなか面白い味わいだ。
ヴォーカルはドイツ語で歌っているようだが、デス声なのでよく分からないという。笑
アコーディオン的なシンセの音色に素朴なハーディ・ガーディの響きは、わりと本格派のフォーク風味で
曲によってはここまでデスメタル寄りにしなくてもいい気もするのだが、ともかく重厚な硬派のフォークメタルデス。
ドラマティック度・・7 激しく重厚度・・8 フォーキー度・・7 総合・・7.5
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OBSCURITY 「Vintar」
ドイツのペイガンデスメタル、オブスキュリティーの2014年作
90年代から活動するバンドで、本作がすでに7作目となる。ツインギターのリフとダミ声ヴォーカルを乗せ
激しい疾走感で聴かせるメロディックデスメタル的なスタイル。AMON AMARTHなどに通じるエピックな雰囲気と
ドイツ語による低音グロウル&ダミ声という、男性ツイン・デスヴォーカル的な迫力を含んだ重厚な聴き心地。
ときにトレモロのギターリフを乗せて疾走するブラックメタル的な感触に、リズムチェンジを含んだ展開力や
メロディックなフックもありつつ、全体的には甘すぎない硬派なペイガン・デスメタルサウンドを描いている。
個人的にはもう少しメロディックだったり、勇壮な雰囲気があると嬉しいのだが。クオリティは高いデス。
ドラマティック度・・7 重厚度・・8 ペイガン度・・7 総合・・7.5
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AEVERIUM 「Break Out」
ドイツのゴシックメタル、アヴェリウムの2015年作
男女Voにシンセを含む6人編成で、モダンなヘヴィネスとシンフォニックなアレンジに
男女ヴォーカルの歌声を乗せた、Lacuna Coil風でもあるゴシック・ヘヴィロックというサウンド。
スクリーモ的な男性ヴォーカルとキュートな女性声のコントラストはよいのだが、
サウンド的にはインダストリアルなモダンさが前に出ていて、ゴシック的な叙情性というよりは
モダンなシンフォニックメタルというべきか。紅一点、Aeva嬢の歌声はときにオペラティックで、
優美な表現力もなかなか素晴らしい。女性声メインのラスト曲などはとてもいい感じなので、
いっそスクリーモな要素を減らして、美麗系シンフォニックメタルになれば、もっと人気が出そう。
シンフォニック度・・8 モダンヘヴィ度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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DARKYRA BLACK 「Fool」
オーストラリアのゴシックメタル、ダーキラ・ブラックの2015年作
女性シンガーによるソロユニットで、演奏陣はすべてゲストのようだが、サウンドの方はシンフォニックなアレンジと
女性ヴォーカルで聴かせる正統派のゴシックメタル。ダーキラ嬢の歌声は、中音域からソプラノまでなかなか美しく、
適度にヘヴィなギターにモダンなアレジも含みつつ、わりとキャッチーな聴き心地で、艶めいた耽美さはあっても、
全体的にダークな感じはさほどない。その反面、ゴシックというには少しモダンだし、さりとてメロディのフックという点では
どうも煮え切らないという。アレンジの詰めの甘さを含めてマイナーな自主制作感が出てしまっている。
ストリングスなどが加わったクラシカルな美しさはなかなか魅力的なので、この辺りをさらに伸ばしていってもらいたい。
ドラマティック度・・7 ゴシック度・・7 女性Vo度・・7 総合・・7
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Gormathon 「Following the Beast」
フィンランドのメロディック・デスメタル、ゴルマソーンの2014年作
ツインギターの硬質なリフと低音のデスヴォイスを乗せた、どっしりとした聴き心地のサウンド。
ミドルテンポを主体に、随所に叙情的なギターフレーズやクリーンヴォーカルも含んだ
メランコリックな味わいはいかにもフィンランド的である。楽曲は3~4分台中心でわりとシンプルで、
激しい疾走というのもないので暴虐性が薄い分、メロデスというには物足りなさもあるかもしれないが、
むしろゴシックとデスの中間という重厚な味わいというべきか。アルバム中盤には疾走するパートもあり、
AMON AMARTHあたりに通じるエピックな雰囲気は悪くないので、その路線でいった方が受けは良いように思う。
ドラマティック度・・7 重厚度・・8 楽曲・・7 総合・・7
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METHOD 「Abstract」
韓国のメロディックデスメタル、メソッドの2015年作
スラッシーなギターリフとダミ声ヴォーカルを乗せて疾走するオールドスタイルのサウンドで、
かつてのAT THE GATESを思わせる、甘すぎないメロディアス性を乗せたスタイルだ。
サウンドプロダクションの軽さも含めて、90年代風味のアナログ感に包まれた聴き心地で、
ときに初期のIN FLAMESのようなツインギターの叙情フレーズも覗かせる。
全体的にはこれという新しさというはないのだが、重すぎない聴きやすさは好感が持てるし、
オールドなメロデス、デスラッシュが好きならとても楽しめると思う。
ドラマティック度・・7 疾走度・・8 デスラッシュ風度・・8 総合・・7.5
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Beggars & Thieves 「We Are the Brokenhearted」
アメリカのメロディアスハード、ベガーズ・アンジ・シーブスの2011年作
90年代に元オジー・オズボーン・バンドのフィル・スーザンを中心に結成されたバンドの12年ぶりの復活作。
現在は、ルイ・マリーノ、ロニー・マンキューソによる二人組ユニットとして活動していて、サウンドは
マイルドなヴォーカルとメロウなギターワークを乗せた、古き良き感触の正統派ハードロック。
楽曲にはこれといって新鮮味はないものの、じっくりと聴かせる耳心地の良さと、枯れた味わいは、
どこかなつかしい感じがする。うっすらとしたシンセアレンジに泣きのギターが重なる、
日本人好みのウェットな叙情性もよいですね。全体的にもクオリティの高い好作品です。
メロディック度・・8 古き良きHR度・・8 大人の叙情度・・9 総合・・8
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METHODICA 「Searching for Reflections」
イタリアのプログレメタル、メソディカの2008年作
シンセを含む5人編成で、モダンな硬質感とテクニカル性に、ハイトーンヴォーカルを乗せた、
キャッチーなメロディアスが合わさったProgMetalサウンド。オルガンなどを含んだ多彩なシンセワークは
ときにプログレ的でもあり、イタリアらしい濃密な感触とモダンなヘヴィネスも適度に感じさせる。
ほとんどの曲が10分以上で、随所にテクニカルなインストパートを盛り込みながら、起伏のある展開力で構築する。
サビでのキャッチーな抜けの良さや、女性ヴォーカルが加わったシンフォニックな小曲など、アルバムとしてのメリハリもあり
なかなかの力作と言えるだろう。あとは楽曲における細かなアレンジの質を向上させて欲しい。
ドラマティック度・・8 テクニカル度・・7 楽曲・・7 総合・・7
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今年もメタルでよろしくお願いします!(12)


TEMPERANCE 「The Earth Embrace Us All」
イタリアの女性Voシンフォニックメタル、テンペランスの2016年作
前作はAMARANTHEやNIGHTWISHなどにも通じる好作であったが、2作目となる本作も美麗なシンセアレンジに
適度にヘヴィなギターと伸びやかな女性ヴォーカルの歌声を乗せた、モダンなシンフォニックメタルを聴かせる。
スタイリッシュな硬質感とキャッチーなメロディアス性を同居させつつ、ヴァイオリンやピアノなどを含んだクラシカルな質感は
EPICAあたりを思わせるような部分もある。紅一点、Chiara嬢の歌声は、キュートな若々しさをサウンドにもたらしていて、
上記したバンドたちに比べると全体的に陽性の雰囲気が強いので、メタル初心者などにもとっつき安いと思われる。
反面、このバンドならではの突き抜けた個性というものはまだ薄いので、今後の方向性をどうしてゆくのかが気になる。
シンフォニック度・・8 モダンでスタイリッシュ度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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HAMMERS OF MISFORTUNE 「DEAD REVOLUTION」
アメリカのサイケメタル、ハマーズ・オブ・ミスフォーチュンの2016年作
2001年にデビュー、本作は5年ぶりとなる7作目。なにやら怪しげなジャケが目を引くが、
サウンドの方は、1曲目からドコドコのドラムにオールドメタルなギターリフを乗せた、
80年代風味のNWOBHM的でもある聴き心地に、サイケ的な浮遊感が合わさった感触。
オルガンが鳴り響き、パワフル過ぎない男性ヴォーカルに女性コーラスが絡み、
サイケでドゥーム感のあるエピックメタルというような、なかなか不思議な味わいだ。
前作までのプログレ的な要素は薄まったが、代わりに確信犯的なオールドスタイルのメタル色を強め、
このカルトなアナログ感に溢れた作風を楽しめる方には、とても魅力的なバンドとなるに違いない。
ドラマティック度・・7 古き良きメタル度・・9 サイケでエピック度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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Ayreon 「The Theater Equation」
アルイエン・ルカッセンによるロックオペラ・プロジェクト、エイリオンのライブ作品。2016年作
1996年の1作目から20年目で、AYREON名義としてちょうど10作目となる。本作は2004年作「Human Equation」を再現する
2CD+DVDのライブ作品で、大がかりなステージ上で演劇的なドラマ性を描きながら壮大なロックオペラが繰り広げられる。
主人公であるジェイムス・ラブリエ(Dream Theater)をはじめ、マルセラ・ボヴィオ(Stream of Passion)、アネン・ヴァン・ガースバーゲン、
イレーネ・ヤンセン、ヘザー・フィンドレイ(元Mostly Autumn)、マグナス・エクウォール(The Quill)、マイク・ミルズ(TOEHIDER)、
デヴォン・グレイヴス(Psychotic Waltz~Deadsoul Tribe)、Jermain van der Bogt(Wudstik)など、10人の男女ヴォーカル(アクター)が参加
配役ごとにそれぞれの歌声を響かせる。演奏陣はツインギター、ツインシンセに、ヴァイオリン、チェロ、フルート奏者も含んだ編成で、
ときにメタリックに、ときにシンフォニックに雄大なサウンドを構築する。CDで音だけを聴くよりも、やはりDVDで各キャストの演技や表情を見ながら、
華やかな映像とともに味わうべき作品だろう。これだけのメンバーを集めて、壮大なロックオペラのライブを完成させたその偉業に拍手を贈りたい。
ドラマティック度・・9 壮大度・・9 ライブ映像・・9 総合・・8.5 過去作のレビューはこちら
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ENTOMBED A.D. 「Dead Dawn」
スウェーデンのデスメタル、エントゥームドA.D.の2016年作
1990年にデビュー、スウェディッシュ・デスメタルを代表するバンドとして、2007年までに9作のアルバムを残したのちに
ギターのアレックス・ヘリッドとその他のメンバーが分裂する。アレックスを除くメンバーで新たにENTOMBED A.D.を立ち上げ、
本作はその2作目となる。ツインギターのリフと吐き捨てヴォーカルを乗せて疾走する、オールドスタイルのサウンドで
ヘヴィすぎないややこもり気味の音作りも含めて、いかにも80~90年代的な空気感である。楽曲は3~4分台中心で、
シンプルな突進力とともにスウェディッシュらしいウェットな感触が合わさった、古き良きデスメタルが楽しめる。
スラッシーな疾走ナンバーはもちろん、ミドルテンポのデスロール的なナンバーも、ベテランらしい音の説得力がさすがである。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・7 古き良きデス度・・9 総合・・8
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HIGHLORD 「Hic Sunt Leones」
イタリアのメロディックメタル、ハイロードの2016年作
1999年デビューで、イタリアンメタル勢の中ではすでにベテランの部類となるバンド。
8作目となる本作はシンフォニックなイントロで幕を開け、壮麗なアレンジにハイトーンヴォーカルを乗せ、
メロディックな感触と、ときにデス声も含んだモダンなアグレッシブ性で聴かせる重厚なサウンドだ。
随所に疾走するパートもありつつ、クサメロ感や魅力的なメロディのフックが薄いのでインパクトは弱く、
サウンドプロダクションの甘さもあって、相変わらず適度にB級感をかもしだしているのもご愛敬か。
このままでは永遠のマイナーバンドで終わりそう。そろそろ決定的な作品を作ってもらいたい。
ゲストヴォーカルにTherionのリネア・ヴィクストロム、Spiritual Beggarsのアポロが参加している。
ドラマティック度・・7 重厚度・・8 楽曲・・7 総合・・7.5 過去作のレビューはこちら
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MYSTIC PROPHECY 「WAR BRIGADE」
ドイツのメタルバンド、ミスティック・プロフェシーの2016年作
2001年にデビューしたから、頑固一徹正統派のメロパワ路線を突き進むこのバンド。
9作目となる本作もツインギターにパワフルなヴォーカルを乗せた、どっしりとしたメタルサウンドで、
キャリアのあるバンドらしい重厚な音作りが素晴らしい。楽曲は3~4分前後で、シンプルかつ明快ながら、
随所にメロディックな叙情性を含ませた聴き心地は、かつてのDREAM EVIL的でもあるだろう。
ミドルテンポを主体にした楽曲は、JUDAS PRIESTのようなオールドなメタル感触もありつつ、
目新しさはないのにちゃんと恰好いいという、ギターリフを含めた説得力あるサウンドが見事だ。
メロディック度・・8 パワフル度・・9 正統派度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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CRY OF DAWN
ヨラン・エドマン率いるメロディアスハードロック、クライ・オブ・ドーンの2016年作
きらびやかなシンセとヨラン・エドマンの伸びやかな歌声を乗せて聴かせる、爽快なメロディアスハードロック。
北欧らしい涼やかでキャッチーなメロディアス性に、表現力ある歌声が合わさった、まさに北欧メロハーの王道。
マイケル・パレス(PALACE)のギターも随所にテクニカルなプレイを覗かせる様式美感を出していてよい感じだし、
ドラムはMINDS EYEなどに参加したダニエル・フローレスで、安定した演奏と歌唱力とメロディのフックが一体となり、
これという新しさはないのだが、クオリティの高さで最後まで楽しめてしまう。どことなく90年代的な空気感にもにやり。
メロディック度・・8 キャッチー度・・8 北欧メロハー度・・9 総合・・8
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The Fractured Dimension 「Galaxy Mechanics」
アメリカのテクニカル・プログレメタル、フラクチャード・ディメンションの2015年作
シンセ、ベース、ドラムのトリオ編成を軸に、本作では多数のギタリストを迎えて作られたアルバム。
ドラムには、OBSCURA、BLOTTED SCIENCEなどに参加したハンス・グロースマンを新たに迎え、
ゲストギタリストにはOBSCURAの2人に、U-Z PROJECT、UKZのアレックス・マカチェクなどが参加。
前作の軽妙な作風を受け継いで、フログレ的なシンセアレンジとメタリックなギタープレイが融合した、
一種、シンフォニック感のあるテクニカルメタルが繰り広げられる。オールインストであるが、
美麗なシンセとメロディの流れがある分聴きやすく、PLANET X的なフュージョンメタルとしても楽しめる。
艶やかなヴァイオリンが鳴り響くナンバーなど、前作以上に優雅でメリハリのある力作に仕上がっている。
ドラマティック度・・7 テクニカル度・・8 軽妙で優雅度・・8 総合・・8
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Iced Earth 「Plagues of Babylon」
アメリカのパワーメタルバンド、アイスド・アースの2014年作
90年代初等から活動するベテランバンド、本作はおそらく11作目のアルバム。
硬質なギターリフとパワフルなヴォーカルを乗せた正統派メタルは、デビューから20年以上経ても健在。
ややスラッシーなリフの感触とともにダークな世界観と、コンセプト的なドラマ性に包まれた聴き心地で、
ベテランらしいどっしりとした音の説得力はさすが。今回はドラムはサポートメンバーのようだが、
安定感のあるプレイで重厚なサウンドを支えている。BLIND GUARDIANを思わせるエピックなコーラスなど、
物語的なスケール感を正統派のヘヴィメタルで描く力量というのは、このバンドならではだろう。
楽曲自体にはこれという新鮮味はないが、揺るがぬパワーが込められたこれぞヘヴィメタルという力作だ。
ドラマティック度・・8 正統派度・・8 重厚度・・9 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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The BARQUE OF DANTE 「Lasting Forever」
中国のシンフォニックメタル、バルケ・オブ・ダンテ(但丁之舟)の2013年作
前作はなかなかの本格派シンフォニックメタルであったが、4年ぶりの2作目となる本作では、
スイス人の男性ヴォーカルが加入し、ネオクラ風味のギターを乗せて疾走する正統派メロパワなサウンド。
前作にあったややイモ臭いアジアンなクサメロ感が薄れていて、楽曲そのものもまとまりが良くなった分、
悪く言うと普通の印象になったかもしれない。ヴォーカルの力量も可もなく不可もなくという程度なので、
欧米のB級メロパワ勢とあまり変わり映えしない。アジアンな旋律を覗かせたり、シンフォニックなアレンジに、
女性ヴォーカルが加わったバラード曲なども美しく、10分を超える大曲も含んだなかなかの力作ではある。
シンフォニック度・・7 疾走度・・7 クサメロ度・・7 総合・・7.5
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Burning Black 「Prisoners of Steel」
イタリアのメタルバンド、バーニング・ブラックの2008年作
ツインギターのリフとハイトーンヴォーカルを乗せた、80年代を思わせるメタルサウンド。
適度な疾走感もありつつヘヴィになりずきないところが、B級気味のオールドスタイルの感触で
NWOBTMのど真ん中という聴き心地。一方ではうっすらとしたシンセアレンジを含んだキャッチーな感触もあり、
ツインギターによるメロディックな味わいもあるところは、90年代のジャーマンメタル的というべきか。
これというような新鮮さはないのだが、古臭いだけでなく適度にウェットな聴き心地がイタリアのバンドらしい。
メロディック度・・7 正統派度・・8 古き良き・・8 総合・・7.5
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On Thorns I Lay 「Eternal Silence」
ギリシャのゴシックメタルバンド、オン・ソーンズ・アイ・レイの2015年
90年代から活動するバンドで、2003年作以来、なんと12年ぶりとなる復活作。
メンバーは若干替わっているいるようだが、翳りを含んだサウンドは初期の頃に戻った感触で、
重厚なギターに艶やかなヴァイオリンの音色が絡み、男性デス声と女性ヴォーカルを乗せて、
メランコリックな世界観を描いてゆく。これという目新しさはないが、むしろ90年代に戻ったような
これぞ王道のゴシックメタルというべき聴き心地である。ただ、インストの小曲を3曲含んで、
全36分というのがやや物足りないか。あとは楽曲そのものの魅力ををさらに高めてもらいたい。
メロディック度・・7 ゴシック度・・8 重厚度・・8 総合・・7.5 過去作のレビューはこちら
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12/16
今年最後のメタルレビュー!(423)


Opeth 「Sorceress」
スウェーデンのプログレッシブ・ハードロック、オーペスの2016年作
1995年にデビュー、メロデス要素もあった初期からプログレッシブに深化し、2011年作からは大胆にメタル色を薄めた、
70年代回帰型のプログレッシブロック路線を追求し始めたこのバンド。12作目となる本作もアコースティックギターに
メロトロンが鳴るやわらかなイントロから、曲が始まるとオールドなサイケロック風味の浮遊感あるアンサンブルで、
マイルドなヴォーカルを乗せた、アナログ感に包まれたサウンドは、ほとんど70年代ブリティッシュロックというもの。
変則リズムを含んだプログレ質感もすでに堂に入ったもので、薄暗い妖しさと湿り気のある叙情をゆったりと描きつつ、
随所に切り返すような展開も覗かせる、その構築センスは素晴らしい。曲によってはJethro Tullのような土着的な味わいもあり、
フルートの音色などアコースティカルなフォーク風味も耳に優しい。濃密さの点ではなんとなく物足りないという、
この堂々たる中庸感こそ、自信とともにバンドが行きついた境地といえるかもしれない。
ドラマティック度・・8 ほぼプログレ度・・9 古き良き度・・9 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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katatonia 「Fall of Hearts」
スウェーデンのゴシックメタル、カタトニアの2016年作
1993年にデビュー、ドゥーミィでダークなゴシックメタル路線から、しだいに繊細な叙情の作風へと変化し、
10作目となる本作も、マイルドなヴォーカルを乗せた、メランコリックなスタイルであるが、
今作では適度にヘヴィなギターとうっすらとしたシンセアレンジを含んだ重厚な聴き心地で、
プログレッシブなゴシックメタルというサウンドが楽しめる。ここ数作の中では、わりとノリのあるナンバーや
しっかりとメタル感のあるサウンドになっていて、少し前のOPETHあたりに通じる雰囲気もあって、
北欧らしい寒々しい叙情と繊細かつ知的なプログレ性を含んだ、バランスのよい内容と言えるだろう。
ANATHEMAがほぼ脱メタルしてしまった今となっては、このバンドの存在はとても頼もしいかぎり。
ドラマティック度・・8 メランコリック度・・8 重厚・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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Vektor 「Terminal Redux」
アメリカのスラッシュメタル、ヴェクターの2016年作
VOIVODを思わせるバンドロゴを含めて、80年代の古き良き知的スラッシュを聴かせるこのバンド、
3作目となる本作も、オールドナギターリフにダミ声ヴォーカルを乗せて疾走しつつ、
変則リズムを盛り込んだテクニカルな感触で、激しくもクールなスラッシュメタルを展開する。
よりプログレッシブになったDESTRUCTIONというような感触に加え、随所にブラスト的な疾走も含んだ
カオティックコア的な激しいリズムチェンジにも磨きがかかり、ときにスペイシーなスケール感も漂わせながら
7分、9分という大曲を構築してゆく。ラストは13分の大曲で、合計73分というヘトヘトになる濃密な傑作。
ドラマティック度・・8 プログレスラッシュ度・・9 ある意味壮大度・・9 総合・・8.5 過去作のレビューはこちら
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Pavlin Neichev & Konstantin Jambazov「Samael - Angel Of Death」
ブルガリアのミュージシャン、パヴリン・ネイチェフのソロアルバム。2016年作
スラッシュメタルバンド、HADESのヴォーカリストとしても活動するミュージシャンで、本作には楽曲、演奏に
ClearLand、Virtulなどでも活動するマルチミュージシャン、コンスタンティン・ジャンバゾフが全面参加している。
パワーメタル、スラッシュ、メロディック、プログレッシブなどの要素を融合したパワフルな作風で、
スピードメタルとしての爽快さに、緩急のある展開力と緻密なアレンジを乗せた作曲センスも光っている。
母国語のヴォーカルが辺境的な質感をかもしだしつつ、随所にテクニカルなギターワークや、
プログレッシブでアヴァンギャルドな展開も見せつける。伸びやかなハイトーンからスクリームヴォイス、
ダミ声までこなすヴォーカルも迫力たっぷりで、スラッシュメタルの激しさに、KING DIAMONDのようなヨーロピアンな叙情と
ダークなドラマ性も内包させた濃密なサウンドに仕上がっている。ちなみにアルバムのライナー解説は私です。
ドラマティック度・・8 疾走度・・8 辺境度・・8 総合・・8
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Ivar Bjornson & Einar Selvik’s Skuggsja 「Skuggsja」
ENSLAVEDのイヴァー・ビヨンソンとWARDRUNAのエイナー・セルヴィクによるユニットの2016年作
アコースティックギターのつまびきに、牧歌的なフルートの音色、パーカッションのリズムにフィドルが絡み、
母国語によるヴォーカルを乗せ、ミステリアスで寒々しい空気感を描くトラッド・フォークサウンド。
ギターとドラムが加わると、ぐっとペイガンメタル的な世界観が現れ、勇壮なコーラスなどとともに
土着的な神秘性に包まれた重厚なサウンドが味わえる。ダミ声ヴォーカルを乗せて疾走する、
ペイガン・ブラック的な激しさや、ホルンの音色を乗せてブラスト疾走するナンバーなども恰好いい。
本格派のトラッド要素と知的なタル性の融合という点では、Solefaldなどに通じるセンスも感じさせる力作だ。
ドラマティック度・・8 トラッドメタル度・・8 ノルウェーの空気度・・9 総合・・8
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DARKSUN 「CHRONICLES OF ARAVAN」
スペインのメロディックメタル、ダークサンの20016年作
NORTHWINDとして2作を出したのちに改名。本作はすでに7作目となる。
壮麗なアレンジとツインギターにスペイン語のヴォーカルを乗せて疾走するスタイルで、
適度にB級臭いクサメロ感を含んだ、シンフォニック・メタルサウンドが楽しめる。
ギターはネオクラなピロピロ風味も覗かせ、少し前のネオクラ系メロパワの聴き心地。
アルバム後半はとくにクサメロたっぷりの疾走ナンバーが続いて、思わずにやにや。
初期のThy Majestieあたりを思わせるファンタジックな雰囲気も良い感じで、音質のラウドさを含めて
全体的なB級感はいまだぬぐえないものの、クサ系のスパニッシュメタル好きはどうぞ。
シンフォニック度・・8 疾走度・・7 クサメロ度・・8 総合・・7.5
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Kiske Somerville「City of Heroes」
マイケル・キスクとアマンダ・サマーヴィルのユニットの2015年作
ギターにマグナス・カールソン、ベースにマット・シナーという前作からのメンツに加え、新鋭の女性ドラマーが参加。
前作はキャッチーな好作ではあったが少し物足りなさも感じさせたのだが、5年ぶりとなる本作では、
1曲目からメタリックなギターを乗せたパワフルなサウンドで、キスクとアマンダ、実力あるツインヴォーカルを乗せた、
ゴージャスな聴き心地が楽しめる。シンフォニックなアレンジのアマンダの歌声にぴったりの壮麗なナンバーや、
キスクの歌声を活かしたキャッチーなナンバーなど、適度に疾走する爽快なシンフォニックメタル寄りの作風で、
前作以上に二人の歌声を活かした作風だ。キスクとアマンダそれぞれの歌声をパートごとに楽しみつつ、
男女ツインヴォーカルが合わさった魅力も味わえるという、クオリティの高い作品に仕上がっている。
メロディック度・・8 ゴージャス度・・9 ツインヴォーカル度・・9 総合・・8.5 過去作のレビューはこちら
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Timo Tolkki's Avalon「The Land of New Hope」
ティモ・トルキによるシンフォニックメタルプロジェクト、アヴァロンの2014年作
2作目となる本作では、メインヴォーカルにNightwishのフロール・ヤンセンが参加、さらにはファビオ・リオーネをはじめ、
シモーネ・シモンズ(EPICA)、ザック・スティーヴンス(CircleⅡCircle)、デイヴィット・ディフェイス(Virgin Steele)など、
多数のゲストヴォーカルが参加し楽曲を彩っている。シンフォニックなアレンジで壮麗に描かれるサウンドは
前作からの延長線上であるが、本作はよりオーセンティックな、もっというと90年代的な聴き心地がするのは、
かつてのSTRATOVARIUSの初期メンバーであるドラムとシンセが参加していることもあるかもしれない。
フロール・ヤンセンの伸びやかなヴォーカルを乗せたメロディックなナンバーや、ファビオ・リオーネの歌を乗せた
昔のストラトを思わせるナンバーなど、むしろ90年代のオールドリスナーの方がより楽しめる作風かもしれない。
シンフォニック度・・8 昔のストラト風度・・8 壮麗度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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Crimson Chrysalis「Enraptured」
南アフリカのシンフォニック・ハード、クリムゾン・クリサリスの2015年作
前作はシンフォニックなアレンジと女性ヴォーカルで聴かせるプログレハード的な好作であったが、
本作ではいくぶんゴシックメタル的な質感を増したという印象、レン・ヴァン・デン・バーグ嬢のハスキーな歌声と
美麗なシンセアレンジを乗せて、適度な薄暗さとオペラティックな優雅さで描かれるサウンドは、
プログレハード、シンフォニックロックのリスナーなどにも楽しめるだろう。さらに今作では、ジャズやタンゴ、
シャンソン的なポップ感を含んだナンバーもあり、大人の哀愁を感じさせるウェットな聴き心地である。
より情感を増したレン嬢の歌唱の表現力も素晴らしく、オーケストレーションを含む壮麗なアレンジに、
バンドサウンドが融合したシンフォニックナンバーにもうっとり。地域性をまったく感じさせない高品質な傑作です。
シンフォニック度・・9 オペラティック度・・8 女性Vo度・・9 総合・・8
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Eluveitie 「Origins」
スイスのフォークメタル、エルヴェイティの2014年作
2004年にデビューし、その質の高いフォークメタルサウンドで日本にもファンが多いこのバンド、
6作目となる本作も、8人編成の大所帯で、牧歌的なフィドルにバグパイプの音色が鳴り響き、
エピックな世界観とともに重厚なフォークメタルが広がってゆく。ヘヴィなギターにダミ声ヴォーカルを乗せ
激しい疾走パートも含んだメタリックな勢いと、ハーディガーディなどの素朴な音色が合わさった土着性で、
キャリアのあるバンドらしい説得力のあるサウンドを描いてゆく。随所に女性ヴォーカルも加わった華やかさや
アコースティカルな叙情性も覗かせつつ、その一方ではメロデス的なギターリフを乗せた疾走パートなど、
楽曲ごとのふり幅の大きさも魅力的だ。ドラマティックな空気感と濃密な楽曲構築が楽しめる強力作だ。
ドラマティック度・・8 フォーキー度・・8 重厚度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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Winterstorm 「Kings Will Fall 」
ドイツのヴァイキング・メロディックメタル、ウインターストームの2012年作
オーケストラルなイントロから壮大なスケールを感じさせるが、楽曲に入るとツインギターのクサメロを乗せて疾走する、
わりと正統派のメロディック・スピーメタルで、ヴァイキングメタル風味の勇壮さを含んだ世界観を描いてゆく。
ややダーティなヴォーカルも、エピックな世界観のサウンドによくマッチしていて、朗々としたコーラスなども含めて、
中世の戦士たちを思わせるファンタジックな雰囲気もよろしい。ミドルテンポのいかにもヴァイキングメタル的なナンバーも
サビにつながるフックのあるメロディはキャッチーで、一般のメロパワリスナーにも普通に楽しめるクオリティがある。
むしろ、Gamma RayやNocturnal Rites的な正統派メロパワを、ヴァイキング化したという聴き心地の力作である。
ドラマティック度・・8 ヴァイキング度・・8 エピック度・・8 総合・・8
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Baroness 「Purple」
アメリカのストーナーロック、バロネスの2015年作
のっけから歪んだギターリフを乗せたヘヴィさで、前作に比べるとぐっとアグレッシブな印象。
ややダーティなヴォーカルを乗せ、アナログ感たっぷりのアンサンブルに、
随所にメロディックなフレーズも含ませたプログレ的な知的な展開力も光る。
サイケな雰囲気が減退した分、シンプルなノリの良さが増していて、
一般のストーナーロックのリスナーに広く楽しめる聴き心地であろう。
個人的には前作「Green」でのアコースティカルなアレンジも好きなのだが、
うねりのあるヘヴィなグルーブ感でたたみかける強力なアルバムだ。
ドラマティック度・・7 アナログ度・・8 ヘヴィ度・・8 総合・・8 過去作のレビューはこちら
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Twenty3:Fifty9 「The Count Act I - The Soul of a Prisoner」
アメリカのプログレメタル、トウェンティスリー・フィフティナインの2009年作
「巌窟王」こと「モンテ・クリスト伯」をテーマにしたコンセプトアルバムで、美しいシンセアレンジと
適度にハードなギターワークとともに、プログレメタル的な構築力で描かれるサウンド。
朗々と歌い上げるシアトリカルなヴォーカルやときに女性ヴォーカルなども加わって、
全体的にはなかなかドラマティックな聴き心地なのだが、ややくぐもった音質がいかにも自主制作的な
マイナー感になってしまっているのが残念。コンセプチュアルな質感やメタルメタルしすぎないところなどは、
SHADOW GALLERYあたりに通じる雰囲気もあるのだが、そのレベルにはまだまだ至っていない。
ドラマティック度・・7 テクニカル度・・7 楽曲・・7 総合・・7
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12/2
日本のバンド特集!(410)
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浜田麻里「MISSION」
日本の女性シンガー、はまだ・まりの2016年作
前作「Legenda」で、シンフォニックメタル的な傑作を作り上げた彼女だが、続く本作も1曲目からして美麗なアレンジと
重厚なアンサンブルで、濃密なハードロックを描き出す。そして変わらぬハスキーなハイトーンヴォーカルが、
浜田麻里節というべき、突き抜けるような伸びやかな爽快さを楽曲にもたらしている。今作も高崎晃をはじめ、
宮脇“Joe”知史、さらにはビリー・シーンといった名うてのメンバーが参加し、巧みなプレイを随所に輝かせている。
疾走するメタルナンバーから、叙情的なバラード曲まで、しっかりと歌声を聴かせるメロディのフックと、
ゴージャスなアレンジでクオリティの高いサウンドに仕上がっていて、1曲ごとが説得力のある聴き心地だ。
しつかりとハードでメタルしていて、メロディックかつシンフォニック、そして素晴らしいヴォーカルが味わえる傑作です。
メロディック度・・8 しっかりメタル度・・8 伸びやかな歌声度・・9 総合・・8 *過去作のレビューはこちら
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BRIDEAR「BARYTE」
日本のガールズメタル、ブライディアの2016年作
九州出身の女性5人組で、2013年のデビューミニに続く、1stフルアルバムとなる。
激しく疾走するメタリックな感触と、伸びやかな女性ヴォーカルを乗せたキャッチーな感触が合わさったサウンド。
ツインギターによるヘヴィネスは女性バンドとは思えぬくらいの本格派で、本作では随所にスクリームヴォイスも含んだ、
ラウドロック的でもあるモダンなパワフルさも感じさせる。メロスピ的な疾走感や、サビでのエモーショナルな爽快さも魅力的で、
メロディックなフックとメタルとしてのヘヴィな迫力とが同居したサウンドは、Mary’s Blood あたりにも引けをとらないだろう。
ヴォーカルのKIMI嬢の歌声は、高音部分が浜田麻里っぽかったり。あとギター嬢のスクリームはけっこう強烈なので、
クリーンヴォーカルでないとダメな方にはちときついかも。ともかく今後にさらなる飛躍が期待されるガールズメタルバンドです。
メロディック度・・8 モダンヘヴィ度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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BRIDEAR「Overturn The Doom
日本のガールズメタル、ブライディアの2013年作
九州出身というガールズバンドのデビューミニアルバム。ミニであるが、7曲入りで33分となかなか聴きごたえがある。
タイトなリズムに乗るヘヴィなギターサウンドに、メロディックな感触が合わさったスタイルで、
デビュー作にしては、すでにバンドとしての方向性と、演奏レベルを含めた強度がしっかりと感じられ、
激しい疾走感や伸びやかな女性ヴォーカルの実力も含めて、女性のバンドとしてはとてもパワフルな聴き心地である。
一方で、サビでのキャッチーなフックは古き良きジャパメタを思わせる感触で、オールドなリスナーにも受けそうだ。
メロディック度・・8 しっかりヘヴィ度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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キノコホテル 「マリアンヌの革命」
日本のガールズロック、キノコホテルの2016年作
5作目となる本作もアナログ感たっぷりのギターにオルガンが鳴り響く、
昭和の古き良き香りに包まれたガレージロックが炸裂。インストのイントロに続き、
キャッチーなメロディが80年代歌謡を思わせる、“おねだりストレンジ・ラヴ”からしてとてもよい感じ。
全体的には、前作のややハードな路線も残しつつ、オールドなサイケ風味も戻ってきていて、
浮遊感のある異色のナンバー“赤ノ牢獄”あたりは、売れセンを狙わない彼女たちのスタイルが見える。
バンドとしての演奏力も上がってきたことで、ガレージロックとしての音の一体感も強まったという印象で、
濃密すぎない適度なユルさと、ほどよいメロディのフックが絶妙という、いわば傑作すぎない好作品である。
メロディック度・・8 歌謡サイケ度・・7 古き良き度・・8 総合・・8  *過去作のレビューはこちら
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VA 「The Unconsumables2」
東京の音楽レーベル、Eastten Glory RecordsのオムニバスCD。全18曲入り。2016年作
Alchemy CrystalやTAIJI'S HEAVENのギタリストとしても活躍するHAL、こと加藤晴信氏のレーベル主催のオムニバス。
1曲目の三上響子さんの楽曲は、壮麗なシンフォニックメタルナンバーで、日本語歌詞による繊細な情感と
キャッチーなメロディアス性が合わさって、なによりその美しいソプラノヴォーカルは、声楽出身というだけあって、
伸びやかな表現力がじつに素晴らしい。2曲目の佐渡未来さんはキャッチーなハードロックナンバーで、
適度にモダンなアレンジと古き良き日本のHR風味が合わさった、これもなかなかの好曲だ。
その後は、ポップロックやアイドル的なナンバーもあったりと、多様なアーティストが集結したという、
けっこう雑多な聴き心地なのだが、すべての曲をHAL氏が監修しているだけあって、
楽曲はしっかりとしたアレンジがされていて完成度はどれもそれなりに高い。MP3では楽曲ごとに購入可能。
1曲目だけでも買うべし度・・9 2曲目もなかなか度・・8 メタルもありロックもポップも度・・8 総合・・7
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CYNTIA 「WOMAN」
日本のガールズハードロック、シンティアの2015年作
2012年にデビュー、4作目となる本作はジャケやメンバーのいでたちがずいぶんポップな雰囲気なのだが、
サウンドの方も、1曲目のアニメ主題歌からしてモダンな感触が増していて、ハードロック色はほぼ皆無に。
ただ、ヴューカル嬢の声質も含めて、このポップ&キャッチーな路線もけっこう似合っていて、
ハードロックだメタルだと思わずに聴けば、わりた普通に楽しめたりする。曲によっては、メロディのフックなどに、
かつての路線の名残も感じさせて、ハードロック色が完全にゼロになったというわけではない。
メジャー感溢れるサウンドで、キュートで爽快な女性声ロックという点では、歌唱の表現力も含めて
とてもクオリティが高い作品だし、TVアニメの主題歌にも採用されるのだから、その成功に拍手を送りたい。
メロディック度・・9 キャッチー&ポップ度・・9 女性Vo度・・8 総合・・8  *過去作のレビューはこちら
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Cross Vein 「Royal Eternity」
日本のシンフォニックメタル、クロス・ヴェインの2015年作
フルアルバムとしては3年ぶりとなる2作目で、本作はバンドのメジャーデビュー作となる。
舞踏会のような優雅なジャケのイメージ通り、シンフォニックで壮麗なイントロから、曲が始まると
ヘヴィなツインギターにJULIA嬢のフェミニンな歌声を乗せたシンフォニックメタルが炸裂。
メロスピ的な激しい疾走感を含みつつ、リズムチェンジによるテクニカルな感触とともに、
モダンな感触とメロディックなフックが合わさった、美麗なフィメールメタルが楽しめる。
声が裏返るJULIA嬢の歌唱は好き嫌いが分かれるかもしれないが、独特の歌声も個性としてとらえれば、
V系バンド的でもある甘いロマンティシズムを含んだその世界観に入れるのではないだろうか。
シンフォニック度・・8 壮麗度・・9 女性Vo度・・7 総合・・7.5  *過去作のレビューはこちら
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Akane LIV「LIV」
Liv Moonのシンガーである、アカネ・リブのソロ。2014年作
本作はメタルではなく、クラシック曲などをもとにしたメロディをオリジナルのポップナンバーに仕上げた作品。
LIV嬢の歌声は、Liv Moonで聴かせるソプラノだけでなく中音域の地声も使っていて、
リズムは打ち込みでヴォーカルメインのサウンドはシンフォニックなJPOP的という聴き心地。
ご本人はメタルだけでなくポップスも好きなのかもしれないが、いくらリブ嬢のファンでも
メタラーたちにはこの路線は微妙なのではなかろうか。クラシックのフレーズを散りばめたといっても、
たいして楽曲に新鮮味はないし、アレンジもとくに面白くない。熱心なファン以外はスルーしてよいかと。
シンフォニック度・・7 メタル度・・1女性Vo度・・8 総合・・7
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Raglaia 「Creation」
日本のメタルバンド、ラグライアの2015年作
元AldiousのRAMI嬢をフロントにしたバンドで、ヘヴィなギターを乗せて激しく疾走するサウンドで、
モダンなヘヴィロック風味の感触に、キャッチーなメロディアス性が合わさったという聴き心地。
硬質感のあるカッチリとしたバックの演奏と、エフェクトのかかったRAMI嬢の日本語のヴォーカルが
いくぶんミスマッチな感じもあって、ブルータルなのかメロディアスなのか、どちらともいえない感じがやや微妙。
シンフォニックメタル的なメロディックなナンバーでは彼女のやや不安定な歌声の良さが活きているので、
路線的にはやはり激しいヘヴィネスよりはクサメロ系のジャパメタ路線が正解なのではないかと思う。
アルディアスを離れて新たな路線を開拓したいのは分かるが、まだ方向性を定め切れていない印象だ。
メロディック度・・7 モダンヘヴィ度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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Mary's Blood 「Countdown to Evolution」
日本のガールズメタル、メアリー・ブラッドの2014年作
2009年に結成、ミニアルバムやシングルなどを発表しながら、地道に活動を広げてきたバンドの
満を持してのメジャーデビューアルバムで、その可愛らしいルックスからは想像できないハードなヘヴィさと
確かな演奏力に、キャッチーなメロディアス性を同居させた、クオリティの高いメタルサウンドを聴かせる。
インディーズ時代に比べると、楽曲ごとの明確な方向性と、吹っ切れたような勢いがパワーアップしており、
随所にテクニカルなプレイを盛り込んだギターサウンドの魅力もあいまって、男性バンドにひけをとらない
どっしりとした聴き心地とインストパートの説得力は素晴らしい。日本語をメインにしたヴォーカルも、
パワフルさと情感を備えた歌唱でサウンドによくマッチしている。今後がさらに楽しみなバンドになってきた。
メロディック度・・8 骨太度・・8 女性Vo度・・7 総合・・8  *過去作のレビューはこちら
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Kruberablinka 「Blanko」
日本のハードロックバンド、クルベラブリンカの2014年作
元テラ・ローザの女性シンガー、赤尾和重をフロントにしたバンドの2作目のフルアルバム。
本作もオルガンが鳴り響く、どっしりとしたアンサンブルで古き良き感触のハードロックサウンドが炸裂。
ますます深みを増した赤尾姐さんの歌声を乗せて、日本的な情緒を含んだ大人の哀愁とともに
鈴木広美のギターワークも往年の様式美に渋みが加わったという、じつに味わい深い聴き心地。
ジャパメタらしいコブシの効いた歌メロにニンマリとしつつ、80~90年代の正統派HRの空気感を蘇らせながら
本作では日本語歌詞によるブルージーな情感が強まったという印象だ。疾走するナンバーは少ないものの、
オールドロックの香りを強めた各楽曲の完成度も素晴らしい。日本人ハードロッカーは全員聴くべし!
これがジャパメタ度・・10 古き良きHR度・・9 赤尾姐さん度・・10 総合・・8 *過去作のレビューはこちら
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LAST MAY JAGUAR 「Ready for...」
日本のハードロックバンド、ラスト・メイ・ジャガーの2014年作
女性ヴォーカルをフロントにした4人編成で、適度にモダンなヘヴィネスを含んだギターに、
日本語歌詞の女性ヴォーカルを乗せた、メロディックなメタルサウンド。演奏陣のテクニックもしっかりしていて、
激しく疾走するメロスピ風味や、モダンなヘヴィロック風味、キャッチーなメロディアス性を合わせたというスタイルで、
全体的にもクオリティはそれなりに高い。3~4分前後の楽曲は、わりとシンプルな聴き心地なのだが、
突き抜けるような迫力や新鮮な部分は薄く、まだまだ既存のバンドたちとの差別化にはいたっていない。
ヴォーカル嬢のスクリームはむしろいらない気がするので、さらに深みのある表現力を身に付けていって欲しい。
メロディック度・・7 モダンヘヴィ度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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Dazzle Vision 「Final Attack」
日本のラウドロック、ダズル・ヴィジョンの2014年作
強烈なスクリームヴォイスを操る女性ヴォーカルを擁するバンドで、本作はすでに6作目となる。
過去曲のリミックスであった前作の路線からの流れの、スクリーモ系のヘヴィロックサウンドに
本作ではよりJPOP風のメジャーなポップ性が極端にミクスチャーされた作風となっている。
個人的には、Maiko嬢のコケティッシュなノーマルヴォイスがけっこう好きなので、
普通に歌うナンバーはよいのだが、エフェクトのかけられた歌声はやや微妙なところ。
楽曲3~4分前後でわりとシンプルで、曲によっては疾走するメロスピ風味や、
パフュームのようなエレクトロなナンバーもあったりと、けっこう振り幅の広い内容だ。
キャッチー度・・8 ヘヴィロック度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7.5 *過去作のレビューはこちら
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FAIRY MIRROR 「COSMICNATIONS」
日本のメロディックメタル、フェアリー・ミラーの2014年作
かつてSAEKOが在籍したバンドとして知られるが、本作はVoを含むメンバーが替わっての2作目。
きらびやかなアレンジに女性ヴォーカルを乗せて疾走する、シンフォニックなメロディックメタルで、
中音域からソプラノまで歌いこなすJUNKO嬢の歌声は、いくぶん線は細いものの、
伸びやかな声質は浜田麻里を思わせるようなところもあって、サウンドによくマッチしている。
ツインギターは随所にテクニカルなフレーズも弾きこなし、キャッチーなメロディアス性と、
ファンタジックな雰囲気も含めて、ALHAMBRAあたりに通じる感触もある。疾走ナンバーのみならず、
ミドルテンポのポップなナンバーなど、日本語の歌詞による古き良きジャパメタ感も残した好作品だ。
メロディック度・・8 疾走度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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Loszeal 「Ideal World」
日本のプログレッシブメタル、ロスジールの2015年作
Knights of RoundやJ.A.シーザーのバンドにも参加する、本郷拓馬を中心にしたユニットで、
シンフォニックで壮麗なアレンジと、変則リズムを含んだテクニカルな構築性で聴かせる、
プログレメタルサウンド。女性ヴォーカルの日本語の歌唱はジャパメタ的なキャッチーな感触で、
DREAM THEATER的なモダンなテクニカル性とのコントラストとなる浮遊感をかもしだしていて、
メロスピ的な疾走パートなども、抜けの良い歌メロを乗せたライトで爽快な質感が前に出ている。
ラストの11分にもおよぶ大曲も含めて、確かな演奏力と歌唱力、構築センスでまとめられた力作である。
メロディック度・・8 テクニカル度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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ALL IMAGES BLAZING 「Multicolored」
日本のプログレメタル、オール・イメージズ・ブレイジングの2015年作
ISIS、L’evolzioneのシンセ奏者と、F.ROSESのベース、六合のドラムらが参加、
きらびやかなシンセアレンジと女性ヴォーカルの歌声を乗せ、テクニカルな軽妙さと、
キャッチーなメロディアス性で聴かせるプログレメタルサウンド。安定感のある抜群のドラムを中心としたグルーブに、
オルガンやピアノなどを含んだプログレ質感の強いシンセワーク、随所に叙情的なフレーズを聴かせるギターを乗せた
演奏陣のレベルはかなり高く、DREAM THEATER的なパートから、優雅なジャズタッチのパートまで変幻自在。
インストパートの力量に比べると、ヴォーカル嬢の歌唱の弱さがやや目立ってしまっているのは仕方なしか。
プログレらしい軽やかさととテクニカルなセンスに、カラフルなキャッチーさが合わさったという好作品。
メロディック度・・8 テクニカル度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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WILD ONE「Ichor」
日本のシンフォニック・プログレメタル、ワイルドワンの2014年作
G、B、Dr、Keyという4人編成で、壮麗なシンセアレンジによるシンフォニックな感触と
変拍子リズムを含んだテクニカルなアンサンブルが合わさった、インストによるProgMetalサウンド。
メタリックなリフと流麗なフレーズを弾きこなすギターワークと、シンセによるクラシカルな美しさで、
歌が入らずともメロディアスな要素が強いのでとても聴きやすい。じっくりと聴かせる叙情的なパートもあり、
ファンタジックな世界観を描くインストメタルという点では、Gaia Preludeなどにも通じるかもしれない。
全6曲であるが楽曲が6~8分と長めなので、全45分と、フルアルバムと言ってもよいボリュームだ。
シンフォニック度・・8 テクニカル度・・7 ファンタジック度・・8 総合・・7.5
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SEVENTH SON 「Fates For Destination」
日本のプログレ・パワーメタル、セヴンス・サンの2013年作
重厚かつテクニカルなギターワークと、ハイトーンヴォーカルを乗せて疾走する、
正統派のパワーメタルスタイルに、リズムチェンジを含んだプログレッシブな展開が合わさった、
QUEENSRYCHEやFATES WARNINGなどにも通じる、90年代的な感触のプログ・パワーメタル。
甘すぎない硬派なサウンド中にも、随所にキャッチーなメロディアス性を覗かせて、
ドラマティックな世界観を描くところは、同じく日本のVIGILANTEにも通じる聴き心地だ。
派手さよりも玄人好みの構築性を追及する作風という点で、貴重な存在と言える国産バンドだろう。
ドラマティック度・・8 パワフル度・・8 重厚度・・8 総合・・8
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Mysterious Priestess 「Agency of Fate」
日本のメロディック・デスメタル、ミステリアス・プリーステスの2012年作
シンセ奏者を含む5人編成で、メロディックなギターとダミ声ヴォーカルを乗せて疾走する、
正統派のメロデスサウンド。ギターはやや軽めてせ暴虐さよりもメロディック重視という感じで、
北欧的なフレーズを奏でるシンセのセンスもよい感じだ。リズムチェンジを含ん楽曲の展開力も
わりとしっかりしていて、今後に期待が持てそうな実力はあるのではないだろうか。
ギターの奏でるクサメロ感は魅力のひとつで、むしろ曲によってはキャッチーな聴き心地である。
あとは、このバンドならではの個性と、音そのものの説得力をもっとまとわせていって欲しい。
メロディック度・・8 暴虐度・・7 新鮮度・・7 総合・・7.5
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Dragon Guardian & KNIGHTS OF ROUND“桜牙”「POLYPHONY 」
ドラゴンガーディアンの勇者アーサーとナイツ・オブ・ラウンドのYAZINによるユニットの2012年作
ヴォーカルにAkira(Azrael)、Leo Figaro(MinstreliX)、Eizin(元MASTERPIECE)が参加、
クラシカルなイントロから、それぞれのハイトーンヴォーカルを乗せて、メロスピ的に疾走するサウンド。
シンフォニックなアレンジやクサメロ感もよい感じで、楽曲の新鮮味云々という点では
正直、予想以上のインパクトはないのだが、随所にテクニカルにギターやクサフレーズを盛り込んで、
全7曲をメロディックに聴かせる。ドラガーやミンストなどが好きな方なら普通に楽しめる内容だろう。
メロディック度・・8 疾走度・・8 新鮮度・・7 総合・・7.5
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Killing Frost 「Falling from the Sky」
日本のメロディックメタル、キリング・フロストの2007年作
元TYTAN'S CLAWのギター、Kishiのソロ作品で、打ち込みによるリズムに、
叙情的なギタープレイとハイトーンヴォーカルを乗せて疾走する、メロディックスピードメタル。
フックのあるキャッチーなメロディに、ときにヴァイキングメタル風味のフレーズも覗かせたりと、
聴き心地のよいサウンドだが、やはりドラムが打ち込みなのと、ヴォーカルの弱さが自主制作感をかもしだしている。
SONATA ARCTICAやCARDIANT、日本のBALFLAREあたりが好みの方なら、そこそこ楽しめると思われる。
メロディック度・・8 疾走度・・8 新鮮度・・7 総合・・7



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