メタルCDレビュー
~HEAVY METAL CD REVIEW 2016  by 緑川 とうせい

★2016年に聴いたメタルCDのレビュー(過去半年以内のものです)
*過去のレビューはCDレビューTOPから各ジャンル別に見られます

*プログレ最新レビュー *注目の新譜コーナー


12/2
日本のバンド特集!(410)
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浜田麻里「MISSION」
日本の女性シンガー、はまだ・まりの2016年作
前作「Legenda」で、シンフォニックメタル的な傑作を作り上げた彼女だが、続く本作も1曲目からして美麗なアレンジと
重厚なアンサンブルで、濃密なハードロックを描き出す。そして変わらぬハスキーなハイトーンヴォーカルが、
浜田麻里節というべき、突き抜けるような伸びやかな爽快さを楽曲にもたらしている。今作も高崎晃をはじめ、
宮脇“Joe”知史、さらにはビリー・シーンといった名うてのメンバーが参加し、巧みなプレイを随所に輝かせている。
疾走するメタルナンバーから、叙情的なバラード曲まで、しっかりと歌声を聴かせるメロディのフックと、
ゴージャスなアレンジでクオリティの高いサウンドに仕上がっていて、1曲ごとが説得力のある聴き心地だ。
しつかりとハードでメタルしていて、メロディックかつシンフォニック、そして素晴らしいヴォーカルが味わえる傑作です。
メロディック度・・8 しっかりメタル度・・8 伸びやかな歌声度・・9 総合・・8 *過去作のレビューはこちら
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BRIDEAR「BARYTE」
日本のガールズメタル、ブライディアの2016年作
九州出身の女性5人組で、2013年のデビューミニに続く、1stフルアルバムとなる。
激しく疾走するメタリックな感触と、伸びやかな女性ヴォーカルを乗せたキャッチーな感触が合わさったサウンド。
ツインギターによるヘヴィネスは女性バンドとは思えぬくらいの本格派で、本作では随所にスクリームヴォイスも含んだ、
ラウドロック的でもあるモダンなパワフルさも感じさせる。メロスピ的な疾走感や、サビでのエモーショナルな爽快さも魅力的で、
メロディックなフックとメタルとしてのヘヴィな迫力とが同居したサウンドは、Mary’s Blood あたりにも引けをとらないだろう。
ヴォーカルのKIMI嬢の歌声は、高音部分が浜田麻里っぽかったり。あとギター嬢のスクリームはけっこう強烈なので、
クリーンヴォーカルでないとダメな方にはちときついかも。ともかく今後にさらなる飛躍が期待されるガールズメタルバンドです。
メロディック度・・8 モダンヘヴィ度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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BRIDEAR「Overturn The Doom
日本のガールズメタル、ブライディアの2013年作
九州出身というガールズバンドのデビューミニアルバム。ミニであるが、7曲入りで33分となかなか聴きごたえがある。
タイトなリズムに乗るヘヴィなギターサウンドに、メロディックな感触が合わさったスタイルで、
デビュー作にしては、すでにバンドとしての方向性と、演奏レベルを含めた強度がしっかりと感じられ、
激しい疾走感や伸びやかな女性ヴォーカルの実力も含めて、女性のバンドとしてはとてもパワフルな聴き心地である。
一方で、サビでのキャッチーなフックは古き良きジャパメタを思わせる感触で、オールドなリスナーにも受けそうだ。
メロディック度・・8 しっかりヘヴィ度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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キノコホテル 「マリアンヌの革命」
日本のガールズロック、キノコホテルの2016年作
5作目となる本作もアナログ感たっぷりのギターにオルガンが鳴り響く、
昭和の古き良き香りに包まれたガレージロックが炸裂。インストのイントロに続き、
キャッチーなメロディが80年代歌謡を思わせる、“おねだりストレンジ・ラヴ”からしてとてもよい感じ。
全体的には、前作のややハードな路線も残しつつ、オールドなサイケ風味も戻ってきていて、
浮遊感のある異色のナンバー“赤ノ牢獄”あたりは、売れセンを狙わない彼女たちのスタイルが見える。
バンドとしての演奏力も上がってきたことで、ガレージロックとしての音の一体感も強まったという印象で、
濃密すぎない適度なユルさと、ほどよいメロディのフックが絶妙という、いわば傑作すぎない好作品である。
メロディック度・・8 歌謡サイケ度・・7 古き良き度・・8 総合・・8  *過去作のレビューはこちら
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VA 「The Unconsumables2」
東京の音楽レーベル、Eastten Glory RecordsのオムニバスCD。全18曲入り。2016年作
Alchemy CrystalやTAIJI'S HEAVENのギタリストとしても活躍するHAL、こと加藤晴信氏のレーベル主催のオムニバス。
1曲目の三上響子さんの楽曲は、壮麗なシンフォニックメタルナンバーで、日本語歌詞による繊細な情感と
キャッチーなメロディアス性が合わさって、なによりその美しいソプラノヴォーカルは、声楽出身というだけあって、
伸びやかな表現力がじつに素晴らしい。2曲目の佐渡未来さんはキャッチーなハードロックナンバーで、
適度にモダンなアレンジと古き良き日本のHR風味が合わさった、これもなかなかの好曲だ。
その後は、ポップロックやアイドル的なナンバーもあったりと、多様なアーティストが集結したという、
けっこう雑多な聴き心地なのだが、すべての曲をHAL氏が監修しているだけあって、
楽曲はしっかりとしたアレンジがされていて完成度はどれもそれなりに高い。MP3では楽曲ごとに購入可能。
1曲目だけでも買うべし度・・9 2曲目もなかなか度・・8 メタルもありロックもポップも度・・8 総合・・7
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CYNTIA 「WOMAN」
日本のガールズハードロック、シンティアの2015年作
2012年にデビュー、4作目となる本作はジャケやメンバーのいでたちがずいぶんポップな雰囲気なのだが、
サウンドの方も、1曲目のアニメ主題歌からしてモダンな感触が増していて、ハードロック色はほぼ皆無に。
ただ、ヴューカル嬢の声質も含めて、このポップ&キャッチーな路線もけっこう似合っていて、
ハードロックだメタルだと思わずに聴けば、わりた普通に楽しめたりする。曲によっては、メロディのフックなどに、
かつての路線の名残も感じさせて、ハードロック色が完全にゼロになったというわけではない。
メジャー感溢れるサウンドで、キュートで爽快な女性声ロックという点では、歌唱の表現力も含めて
とてもクオリティが高い作品だし、TVアニメの主題歌にも採用されるのだから、その成功に拍手を送りたい。
メロディック度・・9 キャッチー&ポップ度・・9 女性Vo度・・8 総合・・8  *過去作のレビューはこちら
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Cross Vein 「Royal Eternity」
日本のシンフォニックメタル、クロス・ヴェインの2015年作
フルアルバムとしては3年ぶりとなる2作目で、本作はバンドのメジャーデビュー作となる。
舞踏会のような優雅なジャケのイメージ通り、シンフォニックで壮麗なイントロから、曲が始まると
ヘヴィなツインギターにJULIA嬢のフェミニンな歌声を乗せたシンフォニックメタルが炸裂。
メロスピ的な激しい疾走感を含みつつ、リズムチェンジによるテクニカルな感触とともに、
モダンな感触とメロディックなフックが合わさった、美麗なフィメールメタルが楽しめる。
声が裏返るJULIA嬢の歌唱は好き嫌いが分かれるかもしれないが、独特の歌声も個性としてとらえれば、
V系バンド的でもある甘いロマンティシズムを含んだその世界観に入れるのではないだろうか。
シンフォニック度・・8 壮麗度・・9 女性Vo度・・7 総合・・7.5  *過去作のレビューはこちら
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Akane LIV「LIV」
Liv Moonのシンガーである、アカネ・リブのソロ。2014年作
本作はメタルではなく、クラシック曲などをもとにしたメロディをオリジナルのポップナンバーに仕上げた作品。
LIV嬢の歌声は、Liv Moonで聴かせるソプラノだけでなく中音域の地声も使っていて、
リズムは打ち込みでヴォーカルメインのサウンドはシンフォニックなJPOP的という聴き心地。
ご本人はメタルだけでなくポップスも好きなのかもしれないが、いくらリブ嬢のファンでも
メタラーたちにはこの路線は微妙なのではなかろうか。クラシックのフレーズを散りばめたといっても、
たいして楽曲に新鮮味はないし、アレンジもとくに面白くない。熱心なファン以外はスルーしてよいかと。
シンフォニック度・・7 メタル度・・1女性Vo度・・8 総合・・7
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Raglaia 「Creation」
日本のメタルバンド、ラグライアの2015年作
元AldiousのRAMI嬢をフロントにしたバンドで、ヘヴィなギターを乗せて激しく疾走するサウンドで、
モダンなヘヴィロック風味の感触に、キャッチーなメロディアス性が合わさったという聴き心地。
硬質感のあるカッチリとしたバックの演奏と、エフェクトのかかったRAMI嬢の日本語のヴォーカルが
いくぶんミスマッチな感じもあって、ブルータルなのかメロディアスなのか、どちらともいえない感じがやや微妙。
シンフォニックメタル的なメロディックなナンバーでは彼女のやや不安定な歌声の良さが活きているので、
路線的にはやはり激しいヘヴィネスよりはクサメロ系のジャパメタ路線が正解なのではないかと思う。
アルディアスを離れて新たな路線を開拓したいのは分かるが、まだ方向性を定め切れていない印象だ。
メロディック度・・7 モダンヘヴィ度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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Mary's Blood 「Countdown to Evolution」
日本のガールズメタル、メアリー・ブラッドの2014年作
2009年に結成、ミニアルバムやシングルなどを発表しながら、地道に活動を広げてきたバンドの
満を持してのメジャーデビューアルバムで、その可愛らしいルックスからは想像できないハードなヘヴィさと
確かな演奏力に、キャッチーなメロディアス性を同居させた、クオリティの高いメタルサウンドを聴かせる。
インディーズ時代に比べると、楽曲ごとの明確な方向性と、吹っ切れたような勢いがパワーアップしており、
随所にテクニカルなプレイを盛り込んだギターサウンドの魅力もあいまって、男性バンドにひけをとらない
どっしりとした聴き心地とインストパートの説得力は素晴らしい。日本語をメインにしたヴォーカルも、
パワフルさと情感を備えた歌唱でサウンドによくマッチしている。今後がさらに楽しみなバンドになってきた。
メロディック度・・8 骨太度・・8 女性Vo度・・7 総合・・8  *過去作のレビューはこちら
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Kruberablinka 「Blanko」
日本のハードロックバンド、クルベラブリンカの2014年作
元テラ・ローザの女性シンガー、赤尾和重をフロントにしたバンドの2作目のフルアルバム。
本作もオルガンが鳴り響く、どっしりとしたアンサンブルで古き良き感触のハードロックサウンドが炸裂。
ますます深みを増した赤尾姐さんの歌声を乗せて、日本的な情緒を含んだ大人の哀愁とともに
鈴木広美のギターワークも往年の様式美に渋みが加わったという、じつに味わい深い聴き心地。
ジャパメタらしいコブシの効いた歌メロにニンマリとしつつ、80~90年代の正統派HRの空気感を蘇らせながら
本作では日本語歌詞によるブルージーな情感が強まったという印象だ。疾走するナンバーは少ないものの、
オールドロックの香りを強めた各楽曲の完成度も素晴らしい。日本人ハードロッカーは全員聴くべし!
これがジャパメタ度・・10 古き良きHR度・・9 赤尾姐さん度・・10 総合・・8 *過去作のレビューはこちら
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LAST MAY JAGUAR 「Ready for...」
日本のハードロックバンド、ラスト・メイ・ジャガーの2014年作
女性ヴォーカルをフロントにした4人編成で、適度にモダンなヘヴィネスを含んだギターに、
日本語歌詞の女性ヴォーカルを乗せた、メロディックなメタルサウンド。演奏陣のテクニックもしっかりしていて、
激しく疾走するメロスピ風味や、モダンなヘヴィロック風味、キャッチーなメロディアス性を合わせたというスタイルで、
全体的にもクオリティはそれなりに高い。3~4分前後の楽曲は、わりとシンプルな聴き心地なのだが、
突き抜けるような迫力や新鮮な部分は薄く、まだまだ既存のバンドたちとの差別化にはいたっていない。
ヴォーカル嬢のスクリームはむしろいらない気がするので、さらに深みのある表現力を身に付けていって欲しい。
メロディック度・・7 モダンヘヴィ度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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Dazzle Vision 「Final Attack」
日本のラウドロック、ダズル・ヴィジョンの2014年作
強烈なスクリームヴォイスを操る女性ヴォーカルを擁するバンドで、本作はすでに6作目となる。
過去曲のリミックスであった前作の路線からの流れの、スクリーモ系のヘヴィロックサウンドに
本作ではよりJPOP風のメジャーなポップ性が極端にミクスチャーされた作風となっている。
個人的には、Maiko嬢のコケティッシュなノーマルヴォイスがけっこう好きなので、
普通に歌うナンバーはよいのだが、エフェクトのかけられた歌声はやや微妙なところ。
楽曲3~4分前後でわりとシンプルで、曲によっては疾走するメロスピ風味や、
パフュームのようなエレクトロなナンバーもあったりと、けっこう振り幅の広い内容だ。
キャッチー度・・8 ヘヴィロック度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7.5 *過去作のレビューはこちら
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FAIRY MIRROR 「COSMICNATIONS」
日本のメロディックメタル、フェアリー・ミラーの2014年作
かつてSAEKOが在籍したバンドとして知られるが、本作はVoを含むメンバーが替わっての2作目。
きらびやかなアレンジに女性ヴォーカルを乗せて疾走する、シンフォニックなメロディックメタルで、
中音域からソプラノまで歌いこなすJUNKO嬢の歌声は、いくぶん線は細いものの、
伸びやかな声質は浜田麻里を思わせるようなところもあって、サウンドによくマッチしている。
ツインギターは随所にテクニカルなフレーズも弾きこなし、キャッチーなメロディアス性と、
ファンタジックな雰囲気も含めて、ALHAMBRAあたりに通じる感触もある。疾走ナンバーのみならず、
ミドルテンポのポップなナンバーなど、日本語の歌詞による古き良きジャパメタ感も残した好作品だ。
メロディック度・・8 疾走度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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Loszeal 「Ideal World」
日本のプログレッシブメタル、ロスジールの2015年作
Knights of RoundやJ.A.シーザーのバンドにも参加する、本郷拓馬を中心にしたユニットで、
シンフォニックで壮麗なアレンジと、変則リズムを含んだテクニカルな構築性で聴かせる、
プログレメタルサウンド。女性ヴォーカルの日本語の歌唱はジャパメタ的なキャッチーな感触で、
DREAM THEATER的なモダンなテクニカル性とのコントラストとなる浮遊感をかもしだしていて、
メロスピ的な疾走パートなども、抜けの良い歌メロを乗せたライトで爽快な質感が前に出ている。
ラストの11分にもおよぶ大曲も含めて、確かな演奏力と歌唱力、構築センスでまとめられた力作である。
メロディック度・・8 テクニカル度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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ALL IMAGES BLAZING 「Multicolored」
日本のプログレメタル、オール・イメージズ・ブレイジングの2015年作
ISIS、L’evolzioneのシンセ奏者と、F.ROSESのベース、六合のドラムらが参加、
きらびやかなシンセアレンジと女性ヴォーカルの歌声を乗せ、テクニカルな軽妙さと、
キャッチーなメロディアス性で聴かせるプログレメタルサウンド。安定感のある抜群のドラムを中心としたグルーブに、
オルガンやピアノなどを含んだプログレ質感の強いシンセワーク、随所に叙情的なフレーズを聴かせるギターを乗せた
演奏陣のレベルはかなり高く、DREAM THEATER的なパートから、優雅なジャズタッチのパートまで変幻自在。
インストパートの力量に比べると、ヴォーカル嬢の歌唱の弱さがやや目立ってしまっているのは仕方なしか。
プログレらしい軽やかさととテクニカルなセンスに、カラフルなキャッチーさが合わさったという好作品。
メロディック度・・8 テクニカル度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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WILD ONE「Ichor」
日本のシンフォニック・プログレメタル、ワイルドワンの2014年作
G、B、Dr、Keyという4人編成で、壮麗なシンセアレンジによるシンフォニックな感触と
変拍子リズムを含んだテクニカルなアンサンブルが合わさった、インストによるProgMetalサウンド。
メタリックなリフと流麗なフレーズを弾きこなすギターワークと、シンセによるクラシカルな美しさで、
歌が入らずともメロディアスな要素が強いのでとても聴きやすい。じっくりと聴かせる叙情的なパートもあり、
ファンタジックな世界観を描くインストメタルという点では、Gaia Preludeなどにも通じるかもしれない。
全6曲であるが楽曲が6~8分と長めなので、全45分と、フルアルバムと言ってもよいボリュームだ。
シンフォニック度・・8 テクニカル度・・7 ファンタジック度・・8 総合・・7.5
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SEVENTH SON 「Fates For Destination」
日本のプログレ・パワーメタル、セヴンス・サンの2013年作
重厚かつテクニカルなギターワークと、ハイトーンヴォーカルを乗せて疾走する、
正統派のパワーメタルスタイルに、リズムチェンジを含んだプログレッシブな展開が合わさった、
QUEENSRYCHEやFATES WARNINGなどにも通じる、90年代的な感触のプログ・パワーメタル。
甘すぎない硬派なサウンド中にも、随所にキャッチーなメロディアス性を覗かせて、
ドラマティックな世界観を描くところは、同じく日本のVIGILANTEにも通じる聴き心地だ。
派手さよりも玄人好みの構築性を追及する作風という点で、貴重な存在と言える国産バンドだろう。
ドラマティック度・・8 パワフル度・・8 重厚度・・8 総合・・8
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Mysterious Priestess 「Agency of Fate」
日本のメロディック・デスメタル、ミステリアス・プリーステスの2012年作
シンセ奏者を含む5人編成で、メロディックなギターとダミ声ヴォーカルを乗せて疾走する、
正統派のメロデスサウンド。ギターはやや軽めてせ暴虐さよりもメロディック重視という感じで、
北欧的なフレーズを奏でるシンセのセンスもよい感じだ。リズムチェンジを含ん楽曲の展開力も
わりとしっかりしていて、今後に期待が持てそうな実力はあるのではないだろうか。
ギターの奏でるクサメロ感は魅力のひとつで、むしろ曲によってはキャッチーな聴き心地である。
あとは、このバンドならではの個性と、音そのものの説得力をもっとまとわせていって欲しい。
メロディック度・・8 暴虐度・・7 新鮮度・・7 総合・・7.5
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Dragon Guardian & KNIGHTS OF ROUND“桜牙”「POLYPHONY 」
ドラゴンガーディアンの勇者アーサーとナイツ・オブ・ラウンドのYAZINによるユニットの2012年作
ヴォーカルにAkira(Azrael)、Leo Figaro(MinstreliX)、Eizin(元MASTERPIECE)が参加、
クラシカルなイントロから、それぞれのハイトーンヴォーカルを乗せて、メロスピ的に疾走するサウンド。
シンフォニックなアレンジやクサメロ感もよい感じで、楽曲の新鮮味云々という点では
正直、予想以上のインパクトはないのだが、随所にテクニカルにギターやクサフレーズを盛り込んで、
全7曲をメロディックに聴かせる。ドラガーやミンストなどが好きな方なら普通に楽しめる内容だろう。
メロディック度・・8 疾走度・・8 新鮮度・・7 総合・・7.5
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Killing Frost 「Falling from the Sky」
日本のメロディックメタル、キリング・フロストの2007年作
元TYTAN'S CLAWのギター、Kishiのソロ作品で、打ち込みによるリズムに、
叙情的なギタープレイとハイトーンヴォーカルを乗せて疾走する、メロディックスピードメタル。
フックのあるキャッチーなメロディに、ときにヴァイキングメタル風味のフレーズも覗かせたりと、
聴き心地のよいサウンドだが、やはりドラムが打ち込みなのと、ヴォーカルの弱さが自主制作感をかもしだしている。
SONATA ARCTICAやCARDIANT、日本のBALFLAREあたりが好みの方なら、そこそこ楽しめると思われる。
メロディック度・・8 疾走度・・8 新鮮度・・7 総合・・7



11/19
ムーンソロウは壮大なる大傑作!(389)


Novembre 「Ursa」
イタリアのゴシックデスメタル、ノヴェンブレの2016年作
1995年にデビューし、しだいにプログレッシブな世界観をまとわせてOPETHと並ぶほどのレベルのバンドとなった。
本作は9年ぶりとなる8作目で、マイルドなヴォーカルを乗せたメランコリックな叙情性に、ときにシューゲイザーや
ポストプログレのような繊細さも垣間見せつつ、知的に構築してゆくセンス抜群のサウンドは健在。
ときに泣きのフレーズを奏でるギターは、北欧的な涼やかな美しさを楽曲に与えている。
一方では随所にデスヴォイスを乗せたアグレッシブな要素も残していて、静寂と激しさのコントラストを、
物悲しくも薄暗い空気感で包み込んだというべき、重厚にして耽美なゴシック・デスメタルが味わえる。
9分を超える大曲では激しい疾走も含んだプログレッシブな展開が圧巻だ。これは文句なしの傑作!
ドラマティック度・・8 メランコリック度・・9 重厚にして繊細度・・9 総合・・8.5 *過去作のレビューはこちら
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Moonsorrow 「Jumalten Aika」
フィンランドのヴァイキングメタル、ムーンソロウの2016年作
2001年にデビュー、いまや北欧ヴァイキングメタルを代表するバンドで、本作は7作目となる
10分を超える大曲をメインに、迫力あるダミ声ヴォーカルのツインギターの重厚なリフを乗せて、
美しいシンセアレンジをバックに、北の大地を感じさせる寒々しくも土着的な世界観を描いてゆく。
かつての傑作「Kivenkantaga」に通じる壮大なスケール感と、幻想的なまでの濃密なサウンドは、
このバンドにしか作れぬ聴き心地で、三連リズムのどっしりとしたリズムを基本にしながら、
適度に激しい疾走パートも盛り込んだメリハリのある展開は、ドラマティックでじつに素晴らしい。
ときに詠唱のようなコーラスがミステリアスな荘厳さをかもしだし、勇壮にして叙情的な世界に浸れる
音の強度をともなった見事な傑作だ。限定盤のボーナスDiscには、GRAVEとROTTING CHRISTのカヴァーを収録。
ドラマティック度・・9 重厚度・・9 壮大度・・9 総合・・8.5 *過去作のレビューはこちら
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Ensiferum 「One Man Army」
フィンランドのヴァイキングメタル、エンシフェルムの2015年作
2001年にデビュー、キャリア15年を数える、MOONSORROWとともにヴァイキングメタルの代表格。
6作目となる本作も、エピックでフォーキーな雰囲気のイントロからして期待させるが、
曲が始まるとダミ声ヴォーカルを乗せて激しく疾走する、正統派のヴァイキングメタルが炸裂。
女性シンセ奏者による美麗なアレンジとフォーキーで土着的なメロディをまじえつつ、
クサメロ過ぎずシンフォニック過ぎないという硬派さを保った聴き心地は、さすがの説得力である。
随所に勇壮なコーラスが楽曲を盛り上げる、重厚かつドラマティックなスケール感も素晴らしい。
アルバム後半の、2パートに分かれた15分に及ぶ大曲も圧巻だ。またもや最高傑作更新か。
ドラマティック度・・8 重厚度・・8 勇壮度・・8 総合・・8.5 *過去作のレビューはこちら
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Frosttide 「Blood Oath」
フィンランドのシンフォニック・フォークメタル、フロストタイドの2015年作
シンセ奏者を含む5人編成で、シンフォニックで美麗なアレンジで疾走するスタイル。
随所に激しいブラスト疾走も含みつつ、ギターはあくまでクサメロを奏でていて
ヴォーカルは低音のダミ声であるが、暴虐さよりもメロディアス性が勝った聴き心地。
EQUILIBRIUMやENSIFERUMなどに通じるファンタジックな感触と、エピックなコーラスを含んだ
ドラマティックなスケール感もよろしく、ギターが奏でるフォーキーなメロディとともに、
美しい優雅なサウンドが楽しめる。一方ではフォーキーな土着性というのはやや薄めで、
ペイガン寄りのシンフォニックメタルとして聴くべきサウンドかもしれない。ともかく高品質な出来です。
シンフォニック度・・8 疾走度・・8 フォーキー度・・7 総合・・8
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Borknagar 「Winter Thrice」
ノルウェーのペイガン・ブラックメタル、ボルクネイガーの2016年作
デビューは1996年というすでにベテランバンドで、本作は通算で10枚目のアルバムとなる。
ARCTURUSでも活躍するVortexと、Vintersorgによるツインヴォーカルを乗せ、フォーキーな牧歌性と、
ブラックメタルの激しさを併せ持った、メリハリのある展開で濃密に描かれるサウンドは今作も健在。
ヴィンターソーグのマイルドな歌声はすでにバンドの顔というべき雰囲気で、正直、もはや新鮮味はないのだが、
緩急のあるプログッシブなアレンジ力と演奏力の高さで、ドラマティックな聴き心地を生み出すセンスはさすが。
随所にフセラスト疾走を含んだ暴虐性も残しつつ、シンフォニックな音の厚みとともに構築された高品質作品。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・7 フォーキー度・・7 総合・・8 *過去作のレビューはこちら
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Fejd 「Trolldom」
スウェーデンのフォークメタル、フェイドの2016年作
本格派のトラッドを取り入れたサウンドが過去4作も素晴らしい出来であったが、5作目となる本作も
北欧らしい土着的な旋律を取り入れた、重厚なフォークメタルが炸裂。母国語のヴォーカルと
メタリックなギターリフに、うっすらとしたシンセアレンジでエピックかつ幻想的なサウンドを描いてゆく。
今作でも、ブズーキやバグパイプ、ハーディガーディ、ニッケルハルパといった、古楽器を使用しつつ
涼やかな土着性と素朴なフォーク要素を、エピックなドラマ性にスムーズに融合させている。
女性ヴォーカル入りのナンバーなども優雅な聴き心地で、適度なノリも含んだ激しさと
ゆったりとした牧歌的な感触が合わさった、バランスのとれた作品に仕上がっている。
ドラマティック度・・8 エピック度・・8 北欧度・・9 総合・・8 *過去作のレビューはこちら
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Amon Amarth 「Jomsviking」
スウェーデンのヴァイキング・デスメタル、アモン・アマースの2016年作
1998年デビューの20年近いキャリアを持つバンド。本作はおそらく10作目となる。
低音のダミ声ヴォーカルを乗せたメロデス的な激しさに、武骨な荒々しさと勇壮な世界観を
オールドスタイルのメタル感触で表現した重厚なサウンドは本作も健在。
どっしりとしたミドルテンポのナンバーもキャリアのバンドらしい堂々たる感触で、
楽曲そのものには新鮮味がなさ過ぎて、むしろにやにやしてしまうほど。
随所にメロディックなフレーズを甘すぎない程度に織り込んでくるあたりも、
初心者にも聴きやすいだろう。個人的にはもう少しエピックなスケール感も欲しいかな。
ドラマティック度・・7 重厚度・・8 勇壮度・・8 総合・・8  *過去作のレビューはこちら
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Myhrding 「Morkaste Kapitel」
スウェーデンのペイガンブラックメタル、ミーアディングの2014年作
ギター、ベース、ドラム&ヴォーカルという三人編成で、メロディックなギターとダミ声ヴォーカルを乗せた
メロデス風味もあるペイガン・ブラックメタル。こもり気味のチープな音質がプリミティブ臭をかもしだしつつ
ギターのフレーズはあくまで叙情たっぷりなのでけっこう聴きやすい。随所にトレモロのリフなども含んだ
いかにも北欧らしい涼やかで土着的な感触は、ペイガンブラックの元祖であった、Dawnあたりを思わせる、
ブラストするような暴虐な疾走感はないので、激しさを求める方にはやや物足りないかもしれないが、
とにかくギターの奏でる泣きの叙情メロと土着フレーズの耳心地の良さで十分に楽しめてしまう好作だ。
メロディック度・・8 暴虐度・・6 北欧度・・8 総合・・8
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SIG:AR:TYR 「Northen」
カナダのペイガンメタル、シグ・アー・ティアの2016年作
中世ヴァイキングのエリクソンが発見したとされるヴィンランド(現在の北米)をテーマにした作品で
寒々しい土着性を感じさせるギターリフとダミ声ヴォーカルを乗せた、硬派なペイガンメタルサウンド。
シンセなどのアレンジがほとんどないため派手さはないのだが、古き良き北欧ヴァイキングメタルの
武骨な雰囲気をしっかりと残していて、ミステリアスで荒涼とした大地の空気感が伝わってくる。
ペイガンブラック的でもあるプリミティブなダークさと、ネイチャーな幻想性が合わさった聴き心地で、
随所にメロディックなギターフレーズもアクセントになっている。スケール感のある本格派ペイガンメタルの力作。
ドラマティック度・・8 ヴァイキング度・・8 ミステリアス度・・8 総合・・8
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Darkest Era 「Severance」
ウェールズのペイガンメタル、ダーケスト・エラの2014年作
女性ギタリストを擁する5人編成で、前作は硬派な感触の土着的ペイガンメタルであったが、
本作も重厚なツインギターのリフに朗々とした男性ヴォーカルで、神秘的な香りを漂わせたサウンドで、
甘すぎないメロディアス性とともに、湿り気のある寒々しくも土着的な空気感を描いてゆく。
いくぶん辺境がかったケルティックなテイストというのも持ち味で、ツインギターによる叙情フレーズが
牧歌的な味わいを醸し出しつつ、かつてのMithotynのような武骨な荒々しさも垣間見せる。
MOONSORROWのような本物の雰囲気に包まれつつ、ヴォーカルがデス声でないので、
一般のエピックメタラーにも楽しめるのではないかと思う。重厚にして硬派の力作デス。
ドラマティック度・・8 ペイガン度・・8 重厚度・・8 総合・・8
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SunRise 「Absolute Clarity」
ウクライナのメロディックメタル、サンライズの2016年作
W. ANGEL'S CONQUESTでも活躍するヴォーカルが参加、美麗なアレンジにマイルドなヴォーカルを乗せて疾走する、
初期SONATA ARCTICAタイプのメロディック・スピードメタル。クサメロ要素を感じさせるギターワークと、
重すぎない優雅なメロスピ質感とともに、多くのリスナーが楽しめるだけの質の高さも備えている。
楽曲にはこれという新鮮味はないのだが、メロディのフックはなかなかツボをついていて、
むしろ北欧メロスピ的な爽快な聴き心地でもある。ちょっと昔のネオクラ風味も含めて、
典型的なサウントがむしろ懐かしいという。北欧系が好きなクサメタラーの方はチェックすべし。
メロディック度・・8 疾走度・・8 新鮮度・・7 総合・・7.5
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Alcest 「Kodama」
フランスのポストブラックメタル、アルセの2016年作
2007年にデビューし、癒し系の叙情とブラックメタルを融合させた、シューゲイザー・ブラックとして
新たなジャンルを切り開いたこのバンド。5作目となる本作は、「木霊」というタイトルなど日本的なものを連想させる。
サウンドの方は、メロウなギターにマイルドなヴォーカルを乗せて、プロレッシブな叙情性を感じさせる。
2曲目からは、随所に激しい疾走パートも現れて、ポストブラックメタルらしい物悲しさと、トレモロのギターなどには、
初期作を思わせる雰囲気もある。全体的には、メタルというよりもプログレリスナーが楽しめるような、
やわらかな叙情に包まれていて、女性コーラスなども含めて幻想的な聴き心地でゆったりと楽しめる。
ドラマティック度・・8 メタル度・・6 繊細な叙情度・・8 総合・・8  *過去作のレビューはこちら
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Oranssi Pazuzu 「Varahtelija」
フィンランドのサイケ・ブラックメタル、オランシ・パズズの2016年作
反復するギターリフを乗せたアナログ感あるアンサンブルで、妖しい神秘性とスペイシーなスケール感を描き出す、
いわばトリップ系のサイケメタルサウンド。こもり気味のダミ声を響かせつつ、ヴォーカルはあくまでオマケ程度、
暴虐さではなくあくまでダークな妖しさでうねりのあるインストパートを描いてゆく。10分を超える大曲も多いので、
気が短い方には向かないが、雰囲気モノが好きな方、スペイシーな暗黒サイケメタルが楽しめる方は一聴の価値あり。
ドラマティック度・・7 妖しげ度・・8 暗黒度・・8 総合・・7.5
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Obsidian Sea 「Dreams,Illusions,Obsessions」
ブルガリアのドゥームメタル、オブシディアン・シーの2016年作
G&Vo、B、Drのトリオ編成で、アナログ感たっぷりのギターリフと線の細いヴォーカルを乗せた、
初期のCANDLEMASSを思わせる、正統派のエピック・ドゥームメタル。
ややこもり気味のヴォーカルがミステリアスな神秘性をかもしだし、
やはりヨーロピアンな湿り気を感じさせるギターリフと、うねりのあるアンサンブルもよい感じだ。
これという新鮮味はないのだが、オールドなエピックドゥーム好きには十分楽しめる内容です。
ドラマティック度・・7 エピックドゥーム度・・8 ミステリアス度・・8 総合・・8

NOTHGARD 「Age of Pandora」
ドイツのメロディック・デスメタル、ノスガルドの2014年作
モダンなヘヴィネスを含んだギターワークとダミ声ヴォーカルを乗せて激しく疾走する、
ペイガン風味も含んだメロデスサウンド。シンセによる美麗なアレンジと、リズムチェンジを含んだ展開力などは
初期のCHILDLEN OF BODOMにも通じる雰囲気もあって、随所に流麗なギターフレーズなども覗かせて
激しくはあるがメロディックな聴きやすさが前に出ている。ヴァイキングメタル寄りの勇壮な雰囲気もあるが、
サウンドがモダンな硬質感に覆われているので、むしろスタイリッシュな聴き心地である。
個人的にはもう少しクサメタル要素があればとは思うが、なかなかクオリティの高い作品デス。
メロディック度・・7 疾走度・・8 モダン・メロデス度・・8 総合・・8
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Dante Fox 「Lost Man's Ground」
イギリスのメロディアスハード、ダンテ・フォックスの2012年作
1996年にデビュー、2作を残して休止するも2007年に復活し、本作は通算4作目となる。
古き良きハードロックの感触を残しながら、シンセを含んだ美麗なアレンジと
伸びやかな女性ヴォーカルの歌声を乗せたキャッチーなサウンドは健在。
叙情的なバラードから爽快なメロハーナンバーまで、シンフォニックな音の厚みと
スー・ウィレッツの表現力ある歌声で、じっくりと楽しめる質の高さはさすがですな。
メロディック度・・8 キャッチー度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8  *過去作のレビューはこちら
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10/28
Raveniaの壮麗っぷりはすごいね!(373)


DANTE FOX 「Breathless」
イギリスのメロディアスハード、ダンテ・フォックスの2016年作
1996年にデビュー、当時はまだ女性声のHR/HMはそう多くはなかったが、爽快なメロディアス性で聴かせる、
質の高いアルバムを2作発表、その後沈黙するが、2007年に復活。通算5作目となる本作も、
女性ヴォーカルの伸びやかな歌声を乗せたキャッチーかつ爽快なメロディアスハードが楽しめる。
20年をへても、スー・ウィレッツのハスキーな歌声の魅力は不変で、その表現力はいっそう増している。
随所にきらびやかなシンセアレンジも含みつつ、古き良きハードロック感触を基本にした楽曲も耳心地よく、
シンプルながらしっかりとしたアレンジとメロディの心地よいフックも含めて、キャリアのあるバンドらしい堂々たるクオリティ。
女性声メロハーとしては最高のバンドですな。より多くのリスナーが楽しめるだけの傑作に仕上がっている。
メロディック度・・9 爽快度・・9 女性Vo度・・9 総合・・8.5 *過去作のレビューはこちら
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Nemesea 「Uprise」
オランダのシンフォニック・ゴシックメタル、ネメシーの2016年作
2004年にデビュー、本作はすでに4作目となる。前作のモダンでキャッチーな作風を踏襲したサウンドで、
マンダ嬢の伸びやかなヴォーカルを乗せ、適度にシンフォニックかつゴシック的な叙情性も含んでいる。
楽曲はすべて3~4分前後とコンパクトにまとめられていて、壮大さよりもシンプルなメロディアス性に包まれていて、
ゴシックメタル云々ではなく、フィメールロックのリスナーに広くアピールするだろう聴き心地である。
メロディのフックも魅力的で、やはり同郷のWITHIN TEMPTATIONを思わせる部分も多々あって、
クオリティ的にもずいぶん接近してきたという印象だ。モダンなアレンジもこのバンドにはむしろ似合っている。
ほとんど、ゴシックという言葉は必要ないほどの、キャッチーなシンフォニックメタルの好作品である。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8 *過去作のレビューはこちら
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Delain 「Lunar Prelude」
オランダのゴシックメタル、ディレンの2016年作
元WITHIN TEMPTATION のKeyを中心に2006年にデビュー、本作は新曲にライブ音源などを含む8曲入りのEP。
5th「MOONBATHERS」収録の2曲は、壮麗なアレンジ女性ヴォーカルのキュートな歌声を乗せた
優美なシンフォニックメタルで、ファンならば納得の出来だろう。ライブ音源は2015年のもので、
音質はややラウドなのだが、ツインギターにシンセによる厚みのある演奏と、シャルロット嬢の艶やかな歌声が楽しめる。
アルバムをすべて持っていればあえて手を出す必要もないが、ファンならばチェックして損のないEPです。
シンフォニック度・・8 ゴシック度・・7 女性Vo度・・8 総合・・7.5 *過去作のレビューはこちら
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Ravenia 「Beyond The Walls Of Death」
フィンランドのシンフォニックメタル、ラヴェニアの2016年作
ストリングスカルテットを擁する編成で、壮麗なアレンジに美しい女性ヴォーカルの歌声を乗せ、
シネマティックなスケール感に包まれたシンフォニックメタル。ヴァイオリンやチェロなど
本物のストリングスによる優雅なクラシカル性が、サウンドに説得力をもたらしていて、
ときに壮大な映画サントラのような感触にもなる。Armi嬢の歌声はやわらかなソプラノで、
オペラティックな雰囲気で魅力十分。楽曲は、ときにEPICAのようにアグレッシブな激しさも垣間見せ、
メリハリに富んだアレンジセンスも新人とは思えない。シンフォニックとはこういうことだと言わんばかりの
壮大にして優美な聴き心地にウットリ。早くも次作が楽しみで仕方がない。大型新人登場!
シンフォニック度・・9 壮麗度・・10 女性Vo度・・9 総合・・8.5
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Vallorch 「Neverfade」
イタリアのフォークメタル、ヴァローチの2012年作
女性Vo、ヴァイオリン奏者を含む編成で、ヴァイオリンやバグパイプ、ホイッスルが鳴り響き、
ハスキーな女性ヴォーカルに男性デス声が絡む、適度に激しいノリもあるフォークメタル。
アイルランドのCRUACHANあたりに通じる辺境性に、アコーディオンの素朴な音色に包まれた、
FINNTROLLやKORPIKLAANIのような愉快な牧歌性も含んだ感触で、粗削りながらなかなか楽しめる。
軽すぎず重すぎず、メタル的なパワフルさもちゃんと残していて、女性Voの適度なヘタウマ感も含めて、
マイナー臭い浮遊感が案外よい味わいにもなっている。男声メインの曲もあるが個人的には女声だけでいい。
ドラマティック度・・8 フォーキー度・・8 辺境度・・8 総合・・7.5
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Vallorch 「Until Our Tale Is Told」
イタリアのフォークメタル、ヴァローチの2015年作
今作ではヴァイオリン奏者が女性に替わったが、サウンドは前作の延長上で、ホイッスルにバグパイプが鳴り響き、
艶やかなヴァイオリンの音色に女性ヴォーカルの歌声で聴かせる、ファンタジックなフォークメタル。
いくぶん荒削りだった前作から、楽曲アレンジや音作りがずいぶんスタイリッシュになってきていて、
ギターやドラムなどのメタル部分がモダンな感触を強めたことで、多くのリスナーが楽しめるレベルまで来ている。
SARA嬢のヴォーカルは依然としてヘタウマな不安定さがあるのだが、武骨な男性デス声との絡みで、
やわらかな美しさが引き立っている。今作では随所にヴァイキングメタル的でもある勇壮な雰囲気も加わって、
前作の牧歌的な浮遊感が薄まったのは痛しかゆしであるが、シンフォニックな音の厚みは増している。
ドラマティック度・・8 フォーキー度・・8 辺境度・・7 総合・・7.5
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Volbeat 「Seal the Deal & Let's Boogie」
デンマークのハードロック、ヴォルビートの2016年作
オールドなロカビリーのノリを正統派のメタルサウンドに落とし込んだスタイルで人気を博すこのバンド。
6作目となる本作は、前作からの流れからの、70年代ロックのアナログ感をメタルに融合させたという雰囲気で、
普遍的なHR/HMとしての聴きやすさを強めている。古き良き感触のギターリフにジェントルなヴォーカルの歌声も
よくマッチしていて、キャッチーなハードロックナンバーが増えつつも、アダルトで骨太な質感はちゃんと保っている。
パワフルな部分が後退しつつメロディックな感触が増したことで、メロディアスハード系のリスナーにも楽しめるだろう。
メロディック度・・8 骨太度・・8 古き良き度・・8 総合・・8 *過去作のレビューはこちら
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Blues Pills 「Lady in Gold」
スウェーデンのヴィンテージロックバンド、ブルーズ・ピルズの2016年作
前作もいかにも70年代スタイルのブルース・ロックサウンドであったが、2作目となる本作も
ハスキーな女性ヴォーカルの歌声にオルガンが鳴り響く、じつにヴィンテージな聴き心地。
ややくぐもった音質も含めて、前作以上にサイケがかった妖しさが増したという印象で、
PURSONあたりにも接近したイメージ。3~4分台の楽曲は比較的シンプルで分かりやすく、
Elin嬢の伸びやかな歌唱を活かした作風で、これという新鮮味はないのだが安心して楽しめる。
もう少し妖しい毒気のようなものがあってもよいような気もするが、むしろこの中庸感こそがよいのかも。
メロディック度・・8 古き良き度・・9 女性Vo度・・8 総合・・8
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GHOSTHILL「I.C.E」
ロシアのメロディックメタル、ゴーストヒルの2016年作
モダンなヘヴィネスを含んだアグレッシブなメタル感触に、ハスキーな女性ヴォーカルを乗せたスタイル。
適度にテクニカルな展開に、男性デスヴォイスを絡めたメタルコア的な聴き心地もありつつ、
デジタルなシンセアレンジによるシンフォニックメタル的な壮麗な感触も垣間見せる。
楽曲は3~4分台と比較的シンプルながら、キャッチーなヘヴィロックナンバーや
メロディックに疾走するナンバー、ゴシックメタル風のナンバーなど、多様な雰囲気。
逆にいうと、全体的に方向性をもう少し絞ってほしいという気もする。各楽曲の出来も、
悪くはないというくらいで、もっと魅力的なフックが欲しい。今後の深化と成長に期待です。
ドラマティック度・・7 モダン&ヘヴィ度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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Fireforce 「Deathbringer」
ベルギーのメタルバンド、ファイアーフォースの2014年作
ツインギターのリフにハイトーンヴォーカルを乗せた、パワフルな正統派メタルサウンド。
適度にメロディックな感触も含みつつ、基本はJudas Priestルーツのどっしりとしたヘヴィメタルで、
エピックというかコンバットな勇壮さも感じさせる世界観は、SABATONなどを好むリスナーにも対応。
最近のバンドらしいテクニカルなギタープレイも随所に覗かせつつ、メロディアスなフレーズが顔を出すと、
どことなく辺境らしいB級臭さもにじみ出てきてにやり。楽曲自体はこれという新鮮味はないのだが、
クオリティはそれなりに高いので、この手の正統派メタルが好きな方は安心してどうぞ。
メロディック度・・8 パワフル度・・8 正統派度・・8 総合・・7.5
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MAJESTY 「Banners High」
ドイツのメロディックメタル、マジェスティーの2013年作
2000年にデビューの中堅で、いきなりMETALFORCEと名前を変えたりしたが、また名前を戻して活動を続けている。
ジャケやタイトルは失笑モノであるが、おそらく彼らはいたって本気。語りから始まるなにやらエピックな雰囲気も
いかにもMANOWAR的であるが、サウンドの方も古き良き感触のギターリフにハイトーンヴォーカルを乗せて疾走する
マノウォーな正統派メタル。勇壮なコーラスや厨二病的な歌詞も含めて、すべてがエピックで剣を手にした戦士的である。
メロディのフックはときにキャッチーで、にやりとしたくなるクサメロ感を漂わせているのが、またよいのですな。
MANOWARのようなエピックな正統派が好きな方はもちろん、古き良きジャーマンメタル的にも楽しめる力作です。
メロディック度・・8 正統派度・・8 マノウォー度・・8 総合・・8 *過去作のレビューはこちら
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WARCRY 「Directo a La Luz」
スペインのメロディックメタル、ウォークライのライブ作品。2006年作
2000年にデビュー、スペインを代表するメロディックメタルバンドのひとつ。
きらびやかなシンセに重厚なギターとスペイン語による歌声を乗せたサウンドは、
ライブにおいてもしっかりとした演奏力とともにじつに濃密な聴き心地である。
パワフルに疾走しつつ、クサメロのギターをかぶせてくるあたりが、このバンドの魅力で、
音質はややラウドなのだが、観客の歌声がうるさすぎるほど入っていて、会場の熱気が伝わってくる。
CDには12曲、DVDには22曲を収録。もうお腹いっぱいです。笑
ライブ演奏・・8 濃密度・・8 音質・・7 総合・・7.5
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Desert Suns
アメリカのドゥーム/ストーナーロック、デザート・サンズの2015年作
アナログ感たっぷりのギターリフとマイルドなヴォーカルで聴かせる、王道のストーナーサウンド。
ツインギターによる重量感あるリフによるヘヴィな味わいと、ざらついた埃っぽさを含んだ、
適度な荒々しさ、そしてミステリアスな雰囲気も含めて、シンプルながら濃密な聴き心地である。
スローなだけではなく、ノリのあるミドルテンポで聴かせるナンバーもあって、しっかりとしたメタル感触とメリハリもある。
全6曲31分というのが少々物足りないが、KYUSS+BLACK SABBATHという感触で楽しめる、ストーナー系ドゥームの強力作。
ドラマティック度・・7 ストーナー度・・8 新鮮度・・7 総合・・7.5
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10/21
フレッシュゴッドは凄いね!(360)


Myrath 「Legacy」
チュニジアのプログレッシブメタル、ミラスの2016年作
過去2作は、Orphaned Landにも通じるハイクオリティな出来であったが、3作目となる本作は、
オーケストラルなアレンジによる壮麗なシンフォニック性と、民族的なメロディをモダンに構築した、
独自のサウンドに磨きがかかっている。メロディックなギターフレーズとコーラスを含む音の厚みで
スケールの大きな世界観を描きつつ、どっしりとした重厚さに包まれたメタリック性をセンスよく融合、
中近東的な感触を残しつつも辺境臭さは感じさせない、より多くのリスナーに向けられたアレンジで、
その質の高さが見事である。最近のBLIND GUARDIANなどにも通じるドラマティックな空気感もありつつ、
もはやProgMetalというよりは、民族的シンフォニックメタルというべき、壮麗な傑作に仕上がっている。
ドラマティック度・・8 壮麗度・・9 重厚度・・8 総合・・8 *過去作のレビューはこちら
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Be'Lakor 「Vessels」
オーストラリアのメロディック・デスメタル、ビィ・レイカーの2016年作
過去2作は叙情派メロデスとしては見事な出来であったが、3作目となる本作もメロディックなツインギターと
低音デスヴォイスを乗せた高品質なサウンドを聴かせる。激しい疾走感も随所にありながら、ミドルテンポや
スローテンポでのゆったりとした耽美な空気感も含めて、7~10分という大曲を構築する知的なセンスは、
かつてのOPETHのようでもある。前作までの明快なメロディックデス路線が気に入っていた方には、
ややプログレッシブに傾きすぎとも思えるかもしれないが、北欧のINSOMNIUMなどにもひけをとらない、
メランコリックな叙情美も随所に含んでいて、個人的には初期OPETHばりに楽しめる傑作だと思う。
ドラマティック度・・8 疾走度・・6 構築度・・8 総合・・8 *過去作のレビューはこちら
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FLESHGOD APOCALYPSE 「King」
イタリアのシンフォニック・デスメタル、フレッシュゴッド・アポカリプスの2016年作
激烈なブルータルデスメタルと壮麗なオーケストレーションを融合した極端なまでのサウンドで人気を集めるこのバンド、
4作目となる本作も、クラシカルなシンフォニック性に包まれたアレンジと、低音デスヴォイスを乗せたデスメタルサウンドが合わさった、
重厚にして暴虐、そして華麗な聴き心地である。中世の王をテーマにした、エピックなスケール感を漂わせていて、
ギターは随所にメロディックなフレーズも奏でたり、女性ヴォーカルの入った美麗なナンバーなどもあって、
これまで以上にシンフォニックメタル的な感触が強まっている。2ndまでのようにブルータルな激しさ一辺倒でなく、
同郷のDark Lunacyをより激しく濃密にしたようなメロディックな要素が強まったことで、より多くのリスナーにアピールするだろう。
ピアノをバックにイタリア語で歌われる、オペラティックな女性ヴォーカル曲なども、優雅なアクセントになっている。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・8 クラシカルデス度・・9 総合・・8.5
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GLORIA MORTI 「Kuebiko」
フィンランドのメロディック・デスメタル、グロリア・モルティの2016年作
聴くのは2004年作以来なのだが、地道に活動を続けていたのですね。サウンドの方は、
低音デスヴォイスを乗せてブラスト疾走する、ブラックメタル寄りのブルータルな聴き心地。
ギターのリフは適度にメロディックで、随所に叙情的なフレーズも入りつつも、全体的には甘すぎない硬派の感触で、
ブルータルデスメタルの重厚さにブラックメタルの激しさ、そしてメロデスの感触を合わせたという雰囲気である。
演奏力もしっかりとしていて音の迫力も十分なのだが、これだというインパクトに欠けるのが惜しい。
楽曲自体にフックのある展開がもう少し欲しいか。クオリティはちゃんと高いんデスけど。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・8 楽曲・・7 総合・・7.5
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Between The Buried And Me 「Coma Ecliptic」
アメリカのテクニカル・アヴァンメタル、ビトウィーン・ザ・バリード・アンド・ミーの2015年作
2002年のデビュー以来、テクニカルでアヴァンギャルドなセンスを炸裂させたサウンドで、
カオティックコアの旗手としての地位を確立、4作目以降からはますます作品のクオリティを高めてきている。
7作目となる本作は、美しいシンセとマイルドなヴォーカルを乗せた繊細な叙情性とともに幕を開け、
ProgMetal的なドラマ性が広がってゆく。随所にスクリームヴォイスを乗せた激しく唐突な展開も健在で、
テクニカルメタルとしての濃密さと、5作目以降の流れであるキャッチーなメロディアス性がパランスよく融合されている。
間髪を置かずに楽曲が連なる流れもコンセプト的で、DREAM THEATER以降の知的なプログレメタル要素を感じさせる。
ドラマティック度・・8 テクニカル度・・8 アヴァンギャル度・・7 総合・・8 *過去作のレビューはこちら
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MIDNIGHT ETERNAL
アメリカのシンフォニックメタル、ミッドナイト・エターナルの2016年作
OPERATIKAのメンバーを含むバンドで、キュートな女性ヴォーカルの歌声で聴かせる王道のシンフォニックメタル・サウンド。
メロディックなギターフレーズに美しいシンセアレンジで疾走するナンバーもあり、適度にB級臭いクサメロ感も漂わせる。
Raine嬢の歌声は、やや線が細いものの、EDENBRIDGEのサビーネとLeaves's Eyesのリブ嬢の中間という感じで、
ほどよくフェミニンな魅力を漂わせる。ときに男性デス声も絡んだアグレッシブな部分もありつつ、
基本的には3~4分前後のシンプルな楽曲を中心に、キャッチーなメロディアス性が前に出ていて聴きやすい。
最近の日本のフィメール・シンフォニックメタルを思わせる雰囲気もあって、この手が好きな方なら十分楽しめるだろう。
メロディック度・・8 シンフォニック度・・7 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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NAMELESS DAY RITUAL 「Birth」
ブルガリアのモダンメタル、ネームレス・デイ・リチュアルの2016年作
ツインギターに女性Voを含む編成で、ヘヴィなギターリフによるモダンな硬質感に、
ノーマル声とスクリームを使い分ける女性ヴォーカルを乗せた、ヘヴィロック/スクリーモ的なサウンド。
ゆったりとしたナンバーは、艶めいた女性声とともに、普通のフィメール・ヘヴィロックとして聴けるのだが、
これというインパクトは薄く、楽曲そのものにフックが物足りない印象。後半のしっとりとした浮遊感のあるナンバーは
女性声のキュートな魅力が活きていてなかなか悪くない。全体的には、激しさでゆくのかメロディアス性でゆくのか
方向性を定めて欲しいのと、全6曲35分弱というのもやや中途半端なボリュームか。
ドラマティック度・・7 モダンヘヴィ度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7
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SUSPIRAL 「Delve Into the Mysteries of Transcendence」
スペインのブラックメタル、サスパイラルの2016年作
二人組のユニットのようだが、詳細は不明。10分前後の大曲3曲という構成で、
粗めの音質でブラスト疾走する、プリミティブな雰囲気のブラックメタルサウンド。
ときおりリズムチェンジなども含んだメリハリもあるのだが、こうも曲が長いのならどうせなら
もう少し大胆なアヴァンギャルドな展開が欲しい気もする。ギターリフが魅力的なわけでも、
フックのあるフレーズがあるわけでもないので、結果として自主制作のB級ブラックの域を出ていない。
ジャケのミステリアスな雰囲気はよいのだが。やはりBURZUMは偉大だったのだな。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・7 妖しさ度・・7 総合・・7
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UNHUMAN DISEASE 「De Templi Autem Veteris Serpen」
アメリカのブラックメタル、アンヒューマン・ディズィーズの2016年作
いわゆる、BURZUMのような独りブラックメタルで、ノイジーなギターリフに絶叫するようなヴォーカルを乗せた
古き良きプリミティブなブラックメタルサウンド。音質の粗さや地下臭さも含めて、BURZUMによく似ている。
バックにうっすらとしたシンセも重ねてあるので、暗黒性が高い音ながら案外聴きやすく、
激しい疾走からミドルテンポと、適度なリズムチェンジも含めて、楽曲も案外ちゃんとしている。
暴虐すぎない叙情性が感じられるのもなかなかよろしいのではないかと。友達見つけなくて大丈夫です。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・8 暗黒度・・8 総合・・8
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HIGH PRIEST OF SATURN 「Son of Earth and Sky」
ノルウェーのサイケ・ドゥームロック、ハイ・プリースト・オブ・サターンの2016年作
妖しさたっぷりだった前作からの流れで、オルガンが鳴り響きヘヴィなギターリフを乗せた
スローでドゥーミィなサウンドに、浮遊感ある中性的なヴォーカルが妖しい歌声を響かせる。
今作はシンセのアレンジが前に出ていることもあり、ジャケのようなスペイシーなサイケ風味も感じさせ、
荒涼としたものさびしさとミステリアスな神秘性を感じさせる、異色の空気感に包まれている。
フックのある展開というのは少ないが、それだけに4曲目のリズムチェンジなどはインパクト大。
オルガン入りの魔女系ドゥームが好きな方はチェックです。愛想のないカルトな感じもたまりません。
ドラマティック度・・7 サイケ・ドゥーム度・・9 妖しさ度・・9 総合・・8
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WYTCH HAZEL 「Prelude」
イギリスのメタルバンド、ウィッチ・ハゼルの2016年作
いかにも80年代NWOBHMを思わせる、古き良き正統派のHR/HMサウンドで、
力強くないヴォーカルにヘヴィすぎないギターで、4~5分前後の楽曲は
わりとシンプルな音数ながら、適度にウェットでエピックメタル寄りの感触もある。
随所にツインギターのメロディックなフレーズも入って来たり、曲によってはケルト寄りのメロディや
フックのあるリズムチェンジなどもあって、なかなかツボを突く部分も多くてにやりとする。
往年のブリティッシュメタルの質感を、アップデートさせたような、うるさすぎない好作品です。
メロディック度・・8 正統派度・・8 古き良き度・・9 総合・・8
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My Name is Janet 「Big Unveiling in the Town of Dead」
多国籍エクスペリメンタル系メタルユニット、マイ・ネーム・イズ・ジャネットの2015年作
ロシアのプログレバンド、AVIVAのシンセ奏者を中心にしたユニットで、
モダンできらびやかなシンセアレンジと、適度にメタル寄りのギターが合わさり、
Devin Townsendなどにも通じる、シアトリカルなヴォーカルとともに、ジャンル分け不能な
ボーダーレスなサウンドを描いている。エレクトロな感触やときにヒップホップ的な部分もありつつ、
それをミステリアスな空気感で包み込んだという、エキセントリックなセンスが面白い。
プログレ的なセンスも垣間見せつつ、メタル要素もしっかりあり、怪しくエクスペリメンタルであるという、
とらえどころのないサウンド。個人的にはもっとヘンタイ寄りにすれば、むしろ分かりやすかった気も。
ドラマティック度・・7 プログレ度・・6 怪しげ度・・8 総合・・7.5
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SCINTILLA PROJECT 「The Hybrid」
SAXONのヴォーカル、ビフ・バイフォードによるプロジェクト、シンティラ・プロジェクトの2014年作
シンセを含む編成でシンフォニックなアレンジに包まれた、モダンなハードロックサウンド。
SF的なコンセプトがあるのか、硬質感のあるギターサウンドにデジタリィなシンセの感触と、
枯れた味わいのヴォーカルがなんとなくミスマッチな感じでもないが、ともかく厚みのある音作りである。
楽曲ごとの魅力という点では微妙であるし、ベテランらしくもっとキャッチーで古き良き感触のサウンド方が
ファンの望むところだったとは思うが、あえてシンフォニックメタル風の世界観に挑戦したビフの心意気は買いたい。
シンフォニック度・・8 キャッチー度・・7 重厚度・・8 総合・・7.5
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HANNAH 「A Life In Rock Minor」
スペインのプログレメタル、ハンナの2008年作
シンセを含む5人編成で、シンフォニックなアレンジとテクニカルな展開力に、
キャッチーなメロディアス性に包まれたプログレメタルサウンド。唐突なリズムチェンジなども含みつつ、
オルガンやムーグなどを含むシンセとメロディアスハード寄りのギターが爽快な聴き心地。
ヴォーカルはややスペインなまりの英語で、いくぶん辺境感をかもしだしていているが、
楽曲はあくまでキャッチーで、プログレ寄りのシンセワークがとてもいい感じである。
メタル過ぎない耳心地のよさと、テクニカルすぎない抜けの良さがよいバランスで、
あるいは、A.C.Tなどにも通じる、プログレ・ハードロックとしても楽しめる好作品だ。
メロディック度・・8 テクニカル度・・7 キャッチー度・・8 総合・・7.5
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10/1
アクトのライブにPoSのリメイクは必聴!(346)


A.C.T 「Trifles and Pandemonium」
スウェーデンのプログレハードロック、アクトのライブ作品。2016年作
1999年にデビュー、現在までに5作のアルバムを発表。キャッチーなメロディアス性と知的な展開力で、
ProgMetal系のリスナーからも支持されるこのバンド。本作は2014年、スウェーデンでのライブ音源を収録。
2014年作「CIRCUS PANDEMONIUM」からのみならず、1stを含む初期のナンバーもたっぷりと演奏。
美麗なシンセアレンジとマイルドなヴォーカルによるシンフォニックな感触に、随所に変則リズムを含んだ
プログレッシブな構築美が冴えていて、ライブにおいてもその演奏力の高さと、楽曲アレンジの妙が楽しめる。
1st収録“The Wandering”、“Waltz With Mother Nature”あたりは、15年以上前の楽曲なのだが、その豊穣なメロディと
緻密なアレンジにあらためて聴き惚れる。バンドのファンはもちろん、初めて聴く方にもオススメしたい素晴らしいライブ作品だ。
メロディック度・・9 ライブ演奏・・9 楽曲センス・・9 総合・・9 *過去作のレビューはこちら
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Pain of Salvation 「Remedy Lane Re:Visited」
スウェーデンのプログレメタル、ペイン・オブ・サルヴェイションの2016年作
傑作である2002年作を新たにリミックス、Disc2にはそれをライブで再現した音源を収録した2CD。
新世代ProgMetalの代表たるこのバンドが、いったいなぜ、今更過去作をリメイクするのかという疑問はともかく、
「Be」と並んでバンドの代表作たるこのアルバム自体の完成度は素晴らしく、メランコリックな叙情性を含んだ
重厚なドラマ性に包まれた内的スケール感とともに、リーダーであるダニエル・ギルデンロウの世界観を
精神的に色濃く投影した哲学的なまでに深みのある作品に仕上がっている。リミックスの効果でサウンドは
より輪郭がくっきりとなり、そのDisc1は当然のように素晴らしいが、むしろ目玉はDisc2の2014年のライブ音源だろう。
ダニエル以外のメンバーはがらりと変わっているが、壮大なコンセプトアルバムを重厚でシリアスな空気感とともに再現する、
その技量とセンスは見事。バンドのファンは必聴であろうし、PoSをこれから知るという方にもお薦めしたい新たな傑作となった。
ドラマティック度・・9 リミックス度・・8 ライブ再現度・・9 総合・・8.5 *過去作のレビューはこちら
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Circus Maximus 「Havoc」
ノルウェーのプログレメタル、サーカス・マキシマスの2016年作
2005年にデビュー、4作目となる本作はポストプログレ風味の繊細な叙情とテクニカル要素が融合、
メロウでシンフォニックな感触もありつつ、全体的にはいくぶんダークでモダンな感触が前に出ている。
これまでの作品に比べると分かりやすいフックと展開は薄めなので、ぱっと聴きの派手さはないのだが、
マイルドなヴォーカルによる翳りを含んだキャッチーな耳心地は、じわじわと染み入るような空気感である。
そして知的で緻密なアレンジは、イギリスのHAKENあたりにも通じるハイブリッドなセンスを感じさせ、
メタルが苦手なプログレ系リスナーにも楽しめるだろう。4~5分前後のわりとコンパクトな曲をメインに、
7、8分のハードプログレ的な叙情的なナンバーも加えた、バランスのとれた好作品である。
限定盤のDisc2には、2012年来日時のラウドパークでのライブ音源を収録。
ドラマティック度・・7 テクニカル度・・7 メロウでモダン度・・8 総合・・8 *過去作のレビューはこちら
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Fates Warning 「Theories of Flight」
アメリカのプログレメタル、フェイツ・ウォーニングの2016年作
80年代初頭から活動する、プログレメタルの元祖というべきバンド。12作目となる本作は
出だしからメロウなギターの旋律とともにしっとりと幕を開ける。やがて激しさを加えた楽曲は、
テクニカルな変則リズムを叩き出すボビー・ジャーゾンベクのドラムにジム・マテオスの巧みなギターワーク、
そしてレイ・アルダーのバワフルなヴォーカルとともに、適度なモダンさをまとわせて、知的な展開を描いてゆく。
メロディックな感触は控えめながら、シリアスで硬派な姿勢を貫き続けるバンドの作風には、ベテランらしい自信と
重厚な説得力が感じられる。10分を超える大曲も2曲あり、聴きごたえのある力作に仕上がっている。
ドラマティック度・・8 テクニカル度・・8 重厚度・・8 総合・・8 *過去作のレビューはこちら
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The Foreshadowing 「Seven Heads Ten Horns」
イタリアのゴシックメタル、フォレシャドウィングの2016年作
ツインギターにシンセを含む6人編成で、メランコリックな空気感に包まれたイントロから、
重厚なギターリフとうっすらとしたシンセが合わさって、幻想的なゴシック・ドゥームメタルを展開。
朗々としたマイルドなヴォーカルがエピックな雰囲気をかもしだし、メロディックなギターフレーズが楽曲を叙情的に彩る。
スローテンポの中にも適度に手数のあるドラムが起伏のあるリズムを作り出し、ドラマティックな緊張感を描いている。
PALADISE LOSTなどとはまた違った、ヨーロピアンで耽美な空気…コンセプト的なスケール感も素晴らしい。
ラストの14分の組曲も圧巻で、構築性という点ではOPETHなどのファンにもお薦めできる。これぞバンドの最高傑作!
ドラマティック度・・8 ゴシック度・・8 重厚度・・9 総合・・8.5 *過去作のレビューはこちら
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Moonspell 「Extinct」
ポルトガルのゴシックデスメタル、ムーンスペルの2015年作
1995年デビューのベテラン、本作は10作目のアルバムとなる。メランコリックな空気をまとわせた
重厚なゴシックメタルサウンドを基本に、本作では壮麗な美しさといくぶんモダンな感触を強めてきた。
マイルドな低音ヴォーカルと随所にデスヴォイスを乗せ、適度に激しい展開も含んだメリハリのある楽曲は、
ベテランらしいどっしりとした聴き心地で、堂々たる説得力に包まれていて、シンフォニックな音の厚みの中で、
ときにメロディックなフレーズも聴かせるギターワークもさすがの存在感だ。比較的アップテンポの部分が多いので、
ゴシックメタルとシンフォニック・デスの中間という感じなのだが、これまで以上にメロディのフックが強まったことで、
初心者にも楽しめる分かりやすいナンバーが多い。メランコリックかつ耽美でシンフォニックな力作である。
ドラマティック度・・8 ゴシック度・・7 重厚度・・8 総合・・8 *過去作のレビューはこちら
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NEW KEEPERS OF THE WATER TOWERS 「Infernal Machine」
スウェーデンのサイケ・ドゥームメタル、ニュー・キーパーズ・オブ・ザ・ウォーター・タワーズの2016年作
スウェーデンからは近年、多くのサイケドゥーム系のバンドが出てきているが、このバンドも名前からしてすでに怪しい。
サウンドの方も、メロトロンやムーグシンセなどを使用し、スペイシーなSF風味とカルトな妖しさに包まれた空気感で、
異色のサイケ・ドゥームを聴かせる。エフェクトのかかったヴォーカルが無機質なおどろおどろしさをかもしだし、
スローテンポでリフレインされるギターのバックではメロトロンが淡々と鳴り響く。ミステリアスで不穏な気配が、
得体の知れない暗黒性と絶望的な退廃を含んで、静かに襲い掛かってくるようだ。スペイシーなサイケという点では、
HAWKWINDなどにも通じる部分はあるが、こちらはより静寂の空間性でスケール感を描き出している。異色の力作である。
ドラマティック度・・7 暗黒度・・8 ミステリアス度・・9 総合・・8
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Pallbearer 「Sorrow & Extinction」
アメリカのドゥームメタル、ポールベアラーの2012年作
アコースティックで素朴なイントロから、ヘヴィなリフとギターの叙情的な旋律が加わって、
どこか牧歌的なヴォーカルを乗せた哀愁あふれるドゥームメタルが広がってゆく。
例えるなら、初期のCathedralのスローでフューネラルな雰囲気を、よりマイルドに仕上げたという感じか、
ギターはドローン的にヘヴィであるが、ときにメロディアスなフレーズも奏でたりする。
全体的には暗黒性よりもミスティックな空気感が勝っていて、わりと重すぎない聴き心地。
反面、このバンドならではの個性というのはさほどは感じられないのだが、随所にサイケやポストロック的でもある
スケール感を描いていて、全曲8分以上という大作志向も含めて、正統派ドゥーム期待の新鋭といえる内容である。
ドラマティック度・・8 ドゥーム度・・8 重厚度・・8 総合・・8
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Pallbearer 「Foundations of Burden」
アメリカのドゥームメタル、ポールベアラーの2014年作
本作も10分を超える大曲を中心にした大作志向で、前作からの流れの正統派ドゥームメタルを聴かせるが、
重厚なギターとのコントラストで、メロディックなフレーズやヴォーカルパートのフックが浮き上がり、
サウンドの厚みがより感じられるようになった。随所にコーラスの重ねやシンセによる味付けも加わったことで、
長い楽曲にも盛り上がりのメリハリがついて、前作にもあったドラマティックな空気が説得力をともなってきた。
こうなってくるとヘタウマなヴォーカルの浮遊感もサウンドによくマッチして聴こえ、ツインギターの迫力あるリフとともに
ひとつの強固な世界観を作っている。これぞ新世代ドゥームメタルの力作といえる出来である。
ドラマティック度・・8 ドゥーム度・・8 重厚度・・9 総合・・8
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Witchwood 「Litanies from the Woods」
イタリアのヴィンテージハードロック、ウィッチウッドの2015年作
フルート奏者を含む5人編成で、70年代的なアナログ感たっぷりのギターにオルガンも鳴り響く、
SPIRITUAL BEGGARSあたりを、より正統派に仕上げたというようなヴィンテージ・ハード。
随所にフルートが鳴らされるのがイタリアのバンドらしく、朗々とした男性ヴォーカルを乗せながら、
ユルめのサイケ感も含んだ聴き心地に、適度にキャッチーな感触もある。10分を超える大曲では、
吹き鳴らされるフルートにサイケなギターが絡むインストパートを中心にした、プログレばりの雰囲気もある。
ジャケのイメージのように、もう少しどろどろとした空気感があればなお良かったが、なかなかの力作ではある。
ドラマティック度・・7 妖しげ度・・7 古き良き度・・9 総合・・8
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Witchcraft 「The Alchemist」
スウェーデンのサイケ・ドゥームロック、ウィッチクラフトの2007年作
徹底的に70年代志向のヴィンテージなロックサウンドを標榜するこのバンド、3作目となる本作も
アナログ感たっぷりの重すぎないギターワークと、やぼったいがどこか味のあるヴォーカルとともに、
古き良き英国感に包まれたサイケ・ドゥームを聴かせる。3~5分のわりとコンパクトな楽曲をメインにしつつ、
ラストは10分を超える大曲で、いくぶんプログレ寄りの質感と、牧歌的なユルさがよい感じに混ざり合っている。
ゲストのシンセ奏者によるオルガン、メロトロンなどがもう少し活躍すると、個人的には嬉しかったが。
ドラマティック度・・7 ドゥーム度・・7 古き良き度・・9 総合・・8 *過去作のレビューはこちら
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DEVIN TOWNSEND PROJECT 「The Retinal Circus」
アメリカの奇才、デヴィン・タウンゼンドのライブ作品。2013年作
スティーヴ・ウァイに見いだされてヴォーカリスとしてデビュー、Strapping Young Ladを結成し、
その後ソロへと転身。エキセントリックでスケールの大きな独自のプログレッシブなメタルを描き続けている。
本作はデヴィンのこれまでのキャリアを総括するように行われたロンドンでのライブステージを収録。
サウンド自体で聴くならば、時期によってメロディックだったり激しかったりアンビエントだったりと様々なのだが、
Strapping Young Ladのナンバーも含めて、ヘヴィかつテクニカルな感触と、シアトリカルかつSF的でもある
コミカルな大仰さが同居していて、それらはデヴィンの内側に存在するショーマンシップの核を担う空気感なのだろう。
サーカスかショウのような派手やかなステージ写真からは、映像を含めてカラフルなライブの雰囲気が伝わってくるが、
それは同タイトルのDVDの方でチェックすべし。アネク・ヴァン・ガースバーゲンなどがゲスト参加している。
ドラマティック度・・8 ライブ演奏・・8 ファンはDVDもチェック度・・9 総合・・8 *過去作のレビューはこちら
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Ora Nombro 「Between Man and Machine」
イタリアのプログレメタル、オラ・ノンブロの2010年作
シンセを含む4人編成で、スペイシーでデジタルなシンセと適度にハードなギターを乗せ、
変拍子を含むテクニカル性ときらびやかなシンフォニック性が合わさった、モダンなProgMetalサウンド。
メロディの流れはキャッチーで、マイルドなヴォーカルが加わると、DREAM THEATER的な雰囲気にもなる。
テクニカルなインストパートで聴かせる10分を超える大曲もありつつ、5分前後のわりとシンプルな歌ものナンバーもあり、
全体的にもメロディアスな感触が前に出ていて聴きやすい。軽妙なアレンジセンスも含めて、今後の成長が楽しみなバンドである。
メロディアス度・・8 テクニカル度・・8 モダン度・・8 総合・・8

Regency 「Awakening」
フランスのプログレメタル、リジェンシーの2001年作
変則リズムのテクニカルなアンサンブルに、きらびやかなシンセワークを乗せ、
DREAM THEATERを思わせる知的な構築性に包まれたインストサウンド。
ギターは随所にメロディックなフレーズを奏で、シンセによるシンフォニックな味付けと、
緩急に富んだ展開力で、オールインストながらも叙情性のバランスがよく飽きずに楽しめる。
ギターやシンセのセンスもなかなかで、ドラムも上手いので、ここに歌が入れば
あるいは一線級のバンドになれた気もするのだが。この一作のみで終わったのだろうか…
バンドについての情報はまったく分からない。掘り出しもの的なインストProgMetalの好作品。
メロディック度・・8 テクニカル度・・8 知的構築度・・8 総合・・8
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9/17
いよいよBABYMETAL来日公演!(332)


Deathless Legacy 「Gathering」
イタリアのメタルバンド、デスレス・レガシーの2016年作
元々はDEATH SSのトリビュートバンドからスタートしたということだが、女性ヴォーカルを含む編成で、
シアトリカルな雰囲気と、ホラー映画的な世界観が合わさった、重厚かつダークなシンフォニックメタルを聴かせる。
ダミ声とノーマルヴォイスを使い分けるヴォーカル嬢の表現力もなかなかのもので、部分的には
激しさを減らしたCradle of Filthという感じもある。VISION DIVINEのシンセ奏者が参加していて、
オルガンなどを含むきらびやかなシンセワークもさすが。全体的にも適度にメロディアスなので、
案外普通に聴きやすく、イタリアらしい濃密な妖しさに包まれた力作デス。
ドラマティック度・・8 シアトリカル度・・8 重厚度・・8 総合・・7.5
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INISHMORE 「The Lemming Projest」
スイスのメロディックメタル、イニッシュモアの2016年作
女性Voにシンセを含む6人編成で、ツインギターのリフによる正統派メロパワの感触に
うっすらとしたシンセとハスキーな女性ヴォーカルの歌声を乗せた、わりと骨太のサウンド。
楽曲はミドルテンポ主体でどっしりとした聴き心地であるが、随所に疾走パートも含んだ
リズム面での展開もあって、なかなか飽きさせない。古き良き正統派HR/HMを基本に、
曲によっては適度にシンフォニックメタル風味も覗かせ。甘すぎないメロディアス性とともに、
エピックメタル的な勇壮さもあって、Battle Beastあたりが好きな方にも楽しめるだろう。
ラストはドラマティックな展開の12分の大曲で、今後の成長が楽しみなバンドです。
メロディック度・・7 正統派度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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SERDCE「Timelessness」
ベラルーシのプログレッシブ・デスメタル、サードスの2014年作
美しいシンセによるイントロから、曲が始まると、変則リズムの上に硬質なギターリフと
ダミ声ヴォーカルを乗せた、いわゆるDjent風味のテクニカル・デスメタルとなる。
随所に巧みなベースプレイやシンセによるきらびやかな味付けがなされていて、
モダンでクールなセンスというのは、かつてのCYNICなどにも通じるものがある。
極端なリズムチェンジなど、唐突な展開も多いのだが、随所にノーマル声を織り交ぜるなど、
デスメタル的な暴虐さよりも知的な構築性やシンセによる美しさが前に出ているので、
激しすぎるブルデスが苦手な方などにも楽しめるだろう。案外軽やかに楽しめるプログレデス。
ドラマティック度・・8 テクニカル度・・8 知的センス度・・9 総合・・8
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Temple of Gnosis 「De Secretis Naturae Alchymica」
セルビアのドゥームメタル、テンプル・オブ・グノーシスの2016年作
神秘的なバンド名やジャケの雰囲気から想像されるように、サウンドの方も大仰なシンセをバックに
魔術めいた語りを乗せて怪しげに幕を開ける。楽曲自体はゆったりとしたドゥームメタルを基本に、
ただならぬスケール感に包まれた、秘教じみたカルトな妖しさがぷんぷん。ヘヴィなギターにうっすらとしたシンセ、
エフェクトのかかった低音のヴォーカル…というか語りのような声を乗せて、どこか霧のかかったようなリヴァーブも
いかにも雰囲気モノという作りである。反面、音楽…楽曲として聴くには少し退屈なのだが、ともかくも、
この大仰な空気感は凄い。オカルトなサントラ風味が好きなら、とても楽しめるのではないかと思う。
ドラマティック度・・8 ドゥーム度・・7 怪しげ度・・9 総合・・7.5
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WINDHAND 「GRIEF'S INFERNAL FLOWER」
アメリカのストーナー・ドゥームメタル、ウインドハンドの2015年作
唸るようなヘヴィなギターリフに、浮遊感ある女性ヴォーカルを乗せたスタイルで、
ストーナー、ドローンの要素にサイケ気味の感触も加えたという聴き心地。
はかなげな女性声と、ヘヴィなギターサウンドのギャップがコントラストになっていて、
妖しさと物悲しさを内包したドゥームメタルが楽しめる。14分を超える大曲も2曲あり、
全体的には少し単調な感じもあるのだが、重厚な味わいのストーナー系ドゥームの力作である。
ドラマティック度・・7 重厚度・・8 妖しげ度・・8 総合・・7.5
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WOLVSERPENT 「Aporia:Kala:Ananta」
アメリカのドゥームメタル、ウルヴサーペントの2016年作
全1曲40分という構成で、不穏な空気感を漂わせる暗黒のアンビエント的な導入部から、
クラシカルなヴァイオリンが鳴り響き、ドラムとギターが入って来て、ようやくメタルらしくなる。
ここまでですでに9分…気が短い方にはまったくもって向かない。この後も、ドゥームというよりは、
むしろポストロック的な雰囲気で、美しいヴァイオリンがゆったりと奏でられるパートが続き、
15分経過…ようやくドローン的なギターリフが入って来て、低音デスヴォイスを乗せた
暗黒ドゥームメタルサウンドになる。ミステリアスなスケール感に包まれた闇の空間美が心地よく、
楽曲うんぬんというよりは、この音世界に浸るというのが正しい鑑賞か。異色の力作です。
ドラマティック度・・7 暗黒度・・8 壮大度・・8 総合・・7.5
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Castle「Under Siege」
アメリカのサイケ・ドゥームロック、キャッスルの2014年作
前作「Blacklands」はサバス風味のオールドなサイケ・ドゥームメタルであったが、
本作では、いくぶんメタリックな勢いのあるノリが強まった感じで、古き良きメタル感をかもしだす
ギターリフは適度なヘヴィさを保ち、B&Voのリズ・ブラック・ウェル嬢のけだるげな歌声を乗せて、
正統派の魔女系HR/HMを聴かせる。相変わらずこれという新鮮味はないのだが、
シンプルな音数の中にカルトな妖しさを漂わせつつ、あくまでメタルとしての勢いも残しているのはさすが。
今作はギターワークの充実ぶりも含めてNWOTHM的にも楽しめるだろう。
ドラマティック度・・7 古き良き度・・8 妖しげ度・・7 総合・・7.5
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Nucleus Torn 「Neon Light Eternal」
スイスのゴシック・フォーク、ヌクリアス・トーンの2015年作
マルチプレーヤーのFredy Schnyderを中心に、ELUVEITIEのAnna Murphyもヴォーカルで参加、
女性ヴォーカルの歌声にアコースティックギターのつまびきで、静寂感を感じさせるサウンドに、
オルガンやメロトロンなどのシンセが加わると、北欧プログレ的な薄暗い叙情性に包まれる。
クラシカルなハープシコードの響きにうっとりしつつ、ときにヘヴィなギターが入ってくるという、
メタル寄りの質感もあなどれない。やわらかなフルートも加わって、この土着的で幽玄な世界観は、
AnglagardやWhite Willowなどのファンにもアピールするだろう、22分、10分、7分で全3曲という構成で、
1曲目北欧プログレ路線から、一転して2曲目は激しいメタルに。このアヴァンギャルドな感性も素晴らしい。
ドラマティック度・・8 むしろ北欧プログレ?度・・9 いきなりメタル度・・8 総合・・8
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Nature and Organisation 「Snow Leopard Messiah」
イギリスのゴシック/ダークアンビエント、ネイチャー・アンド・オーガニゼーションの2015年作
Michael Cashmoreによるプロジェクト作品で、1994年作「Beauty Reaps the Blood of Solitude」
1998年作「Death in a Snow Leopard Winter」の2作を収録したCD2枚組の再発盤。
Disc2「Beauty Reaps~」は、物悲しいチェロの音色に、アコースティックギターのつまびき、
美しい女性ヴォーカルを乗せ、やわらかなフルートが鳴り響く優雅な叙情性に包まれつつ、
男性ヴォーカルの語りも入ったシアトリカルな雰囲気と、クラシカルなヴァイオリンの旋律にもうっとりだ。
ボーナストラックにはノイジーなギターと激しいドラムによる11分を超えるアヴァンギャルドなナンバーを収録。
Disc2「Death in s Snow~」は優美なピアノにストリングスが絡む、クラシカルな小曲を連ねた構成で、
こちらはゴシック的なやや引っ掛かりは薄いのだが、しっとりとした聴き心地に浸ることができる。
クラシカル度・・8 ゴシック度・・8 耽美度・・9 総合・・8
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Elane 「The Silver Falls」
ドイツのゴシックフォーク、エラーネの2008年作
うっすらとしたシンセにヴァイオリンが鳴り響き、しっとりとした女性ヴォーカルの歌声を乗せた
幻想的なゴシック/ネオフォークサウンド。ドラムによるリズムにエレキギターも入ってくるので、
ヘヴィさのないゴシックメタルとしても楽しめる。バンドのフロントである、ヨラン・エラーネ嬢の歌声は、
いくぶん低めのメゾソプラノなので、薄暗く、くぐもった感じの楽曲によくマッチしている。
曲によっては男性ヴォーカルも絡んで来て、ゴシック化したMostly Autumnという感じにもなる。
シンフォニックな感触も含めて、プログレリスナーにも楽しめるだろう。美麗系ゴシック・フォークの好作。
ゴシック度・・8 幻想フォーク度・・8 女性Vo度・・7 総合・・8
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PETER BJARGO 「A Wave of Bitterness」
スウェーデンのゴシック/ダークアンビエント、ペーター・ビヤルゴの2009年作
ARCANAのリーダーでもあるミュージシャンで、多重シンセを中心としたダークアンビエント作品。
メタル色はほとんどないが、ときおりドラムによるリズムも入りつつ、やはりARCANAに通じる暗黒美と
シンフォニックな美しさ、そして神秘的な静寂感に包まれた世界観にうっとりと浸れる。
これという盛り上がりや派手な展開というのはないのだが、ときおり男性ヴォーカルも加わって、
パーカッションのリズムやオリエンタルな旋律なども含んで、最後まで飽きることなく楽しめる。
ドラマティック度・・7 ゴシック度・・8 暗黒度・・8 総合・・7.5
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PETER BJARGO 「The Architecture Of Melancholy」
スウェーデンのゴシック/ダークアンビエント、ペーター・ビヤルゴの2011年作
シンセサウンドを基本にしたダークなアンビエントサウンドはARCANAと同様のもので、
今作ではゲストに女性ヴォーカルをまねき、自身のマイルドな男性声との対比で、
1曲目から荘厳なスケール感を描き出している。その後も、朗読のような語りを入れたりと、
ストーリー性を感じさせる耽美な世界観を構築し、幻想ゴシックとしての強度を高めている。
今作ではギターのつまびきも入ったやわらかな叙情性もあって、ダークさはやや控えめな分、
アンビエント寄りの繊細なナンバーが耳心地よい。夢見心地にまどろめる好作品だ。
ドラマティック度・・7 ゴシック度・・8 暗黒度・・7 総合・・7.5
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Amethystium 「Evermind」
ノルウェーのゴシック・アンビエント、アメジスティウムの2004年作
打ち込みのリズムによるデジタリィなアレンジに女性ヴォーカルのスキャットを乗せた
幻想的なアンビエント・ゴシックサウンド。DELERIUMに通じるエレクトロ系の作風であるが、
より耽美でシンフォニックな美しさに包まれているので、ゴシック寄りのリスナーにも楽しめる。
適度に民族色のある旋律も含めて、やわらかなコード進行が耳心地よく、ゆったりと楽しめる好作品だ。
ドラマティック度・・7 ゴシック度・・7 幻想度・・8 総合・・7.5
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Aloha from Hell 「No More Days to Waste」
ドイツの女性声ロックバンド、アロハ・フロム・ヘルの2009年作
キュートな女性ヴォーカルの歌声で聴かせるノリのよいキャッチーなハードロック。
3分前後の楽曲はしごくシンプルで、アメリカンロック的でもある爽快なポップ感覚と、
適度にモダンなヘヴィさを同居させている。聴き心地の良いメジャー感に包まれたサウンドは
多くのロックリスナーにアピールするだろうが、反面、新鮮なインパクトというものは薄いか。
随所に覗かせるヨーロピアンな叙情性はよい感じなので、個人的にはそのあたりを伸ばしてもらいたい。
メロディック度・・7 キャッチー度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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8/27
台風の季節(318)


VAN CANTO 「Voices Of Fire」
ドイツのアカペラメタル、ヴァン・カントの2016年作
ドラム以外はすべて声でこなすという異色のアカペラメタルバンド。2006年にデビューしてから6作目となる本作は、
ファンタジー小説を元にしたコンセプトアルバムとなっていて、物語的なナレーションから幕を開ける。
男女ヴォーカルのオペラティックな歌声に壮麗なコーラス、口ギター&口ベースをドラムに乗せて、
ドラマティックでエピックなスケール感すら漂わせる、これはまさにアカペラ・シンフォニックメタルである。
今作はとくに女性ヴォーカルによる美麗な聴き心地がよい感じで、曲間にナレーションを挿入して、
ファンタジックでストーリ的な壮大さを感じさせる演出もハマっている。いつものようにカヴァー曲がないのは寂しいが、
逆にいえば、壮大なコンセプト作を声だけで作りだした、このバンドの努力と進化には驚嘆すべきであろう。
ドラマティック度・・8 オペラティック度・・8 声なのにシンフォニック度・・8 総合・・8 *過去作のレビューはこちら
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Last Days of Eden 「Ride the World」
スペインのシンフォニックメタル、ラスト・デイズ・オブ・エデンの2015年作
DARKSUN、元AVALANCHのメンバーが在籍、女性Vo、シンセ、バグパイプ奏者を含む6人編成。
シンフォニックかつ適度にモダンなアレンジと、美しい女性ヴォーカルの歌声で聴かせるサウンド。
キャッチーなメロディアス性はWITHIN TEMPTATIONなどを思わせつつ、随所に男性声が絡んだり、
ケルティックなバグパイプが鳴り響くところなどは、最近のNightwishにも通じる感触もある。
ラストの大曲などは、Nightwishの“Ghost Love Score”のようで、フォロワー感がにじみ出てしまっている。
現時点では、このバンドならではのインパクトというものは薄いのだが、楽曲自体の魅力の向上や
女性声がもう少し垢抜けた表現力を身に付ければ、ジャケの美しさに見合うよりいいバンドになってゆきそう。
シンフォニック度・・8 ナイトウィッシュ度・・8 女性Vo度・・8 総合・・7.5
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MARTIRIA 「ROMA」
イタリアのエピックメタル、マーティリアの2012年作
リック・アンダーソンがWARLOADに復帰のため脱退し、本作ではヴォーカルが替わっているが、
新Voもわりと雰囲気が近いタイプで、パワフル過ぎない朗々とした歌声はバンドの世界観に合っている。
本作はタイトル通り、古代ローマをテーマにした作品で、ミドルテンポを主体にした楽曲は
古き良きスタイルのギターワークとともに、B級気味のエピックメタル臭をたっぷりかもしだす。
MANOWARあたりをぐっと細くしたような聴き心地であるが、シンセアレンジを含んだ叙情的なパートなど、
ドラマティックなメリハリがあって、ハンニバルやスパルタカスといったわりとベタな人物が出てくる
物語的な雰囲気とともにじっくりと楽しめる。これぞ、ローマン・エピックメタルである。
ドラマティック度・・8 エピック度・・8 正統派度・・8 総合・・7.5 *過去作のレビューはこちら
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RENACER 「Hijo Del Viento」
アルゼンチンのメロディックメタル、レナサーの2009年作
IMPERIOのVoを中心に結成されたバンドで本作が4作目となる。
スペイン語のパワフルなヴォーカルを乗せて疾走する正統派のメロパワサウンド。
これといった新鮮さはないが、キャリアのあるバンドらしいどっしりとした聴き心地で、
随所にメロディックなギタープレイも覗かせつつ、疾走曲からミドルテンポのナンバーまで、
勢いのある演奏と適度にスパニッシュな哀愁を含んだクサメロ感も漂わせている。
全体的にもB級というレベルは軽く超えており、バンドの最高傑作と言える内容だろう。
メロディック度・・8 パワフル度・・8 正統派度・・8 総合・・8
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TRIDDANA 「The Power & the Will」
アルゼンチンのフォーク・メタル、トリダナの2015年作
元SKILTRONのメンバーを含むバンドで、ケルティックなバグパイプが鳴り響きつつ、
パワフルなヴォーカルとギターリフで聴かせる、フォーキーなパワーメタルサウンド。
ティンホイッスルの優雅な音色も入りつつ、楽曲自体は正統派のメロパワスタイルで、
歌詞が英語ということもあって、普通のメタルファンにも楽しめる作風である。
むしろ正統派寄り過ぎて、コアなフォークメタラーなは物足りないかもしれないが、
後半にはバグパイプをメインにしたインストナンバーなどもあって、なかなか楽しめます。
メロディック度・・8 フォーキー度・・8 正統派度・・8 総合・・7.5
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Varg 「Das Ende Aller Lugen」
ドイツのペイガン・ヴァイキングメタル、ヴァーグの2016年作
本作はおそらく5作目あたり、TURISASばりの黒と赤のメイクをしたメンバーのジャケがインパクト大だが、
ドイツ語の語りの入ったイントロから、メロディックなギターフレーズと絶叫するヴォーカルを乗せて激しく疾走、
ヴァイキング&バトルメタル的な勇壮さとメロデス的な質感が合わさったという感触で、モダンなヘヴィネスも含ませつつ
ときに叙情的なパートがふっと現れたりもする。女性声が加わったフォーキーなナンバーなどもあり、メリハリのある聴き心地で、
ドイツ語を使ったゲルマンな雰囲気もよい感じです。全体的には甘すぎないメロディアス性で、
アグレッシブな勢いに包まれた、重厚かつ硬質なヴァイキング・デスメタルというべき力作である。
ドラマティック度・・7 ヴァイキング度・・7 重厚度・・8 総合・・8 *過去作のレビューはこちら
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HOLY BLOOD 「Day of Vengeance」
ウクライナのペイガンメタルバンド、ホーリィ・ブラッドの2015年作
過去のアルバムはいかにも辺境的なB級フォークメタルという印象であったが、
本作もややラウドな音質で、低音デスヴォイスにクサメロのギターを含んで、
そこそこ激しさもあるというサウンド。フォーキーなメロディも多少は出てくるが、
全体的にはむしろ、ミドルテンポのペイガンブラックという感触が強いか。
ローカルな武骨さと音の粗さが辺境臭さをかもしだしていて、空気感はいいのだが、
やはり楽曲とメロディのフックにもう少し魅力とインパクトが欲しい。
ドラマティック度・・7 ペイガン度・・7 辺境度・・8 総合・・7
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Rodogost(Родогост) 「Zachin」
ベラルーシのフォークメタル、ロドゴストの2013年作
ノリのよいリズムに、適度にハードなギターと母国語によるマイルドなヴォーカルを乗せた、
エピックな雰囲気フォークメタル。随所にホイッスルの音色やシンセによるアレンジも加わり
デス声や女性ヴォーカルも入ってきたりと、音の厚みとともにきらびやかな雰囲気もある。
リズムチェンジによる展開にギターがクサメロを奏でる、なかなかメリハリのある聴き心地で
辺境的であるがドラマティックなスケール感を描いている。優美なダルシマーの音色も響かせる
フォーキーな土着性も耳心地よく、ペイガン系フォークメタラーならかなり楽しめる力作だろう。
ドラマティック度・・8 ペイガン度・・8 辺境度・・9 総合・・7.5
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STOZHAR(Стожар) 「GLORY TO PERUN!」
ロシアのペイガンメタル、ストジュアーの2014年作
美麗なシンセによるシンフォニックなアレンジとブラックメタルばりの激しいブラスト疾走に、
男性デス声と美しい女性ヴォーカルを乗せた、きらびやかなペイガンメタルサウンド。
優雅なヴァイオリンやフルートのも色も加わった叙情性も覗かせつつ、フォーキーな牧歌性を
迫力ある疾走感に融合させた作風は、ARKONAなどにも通じる完成度といえるだろう。
やわらかなソプラノヴォーカルとともに疾走する優美なペイガン・フォークメタルの力作です。
ドラマティック度・・8 ペイガン度・・8 疾走度・・8 総合・・8

RUYAN 「White Swan (Лебедь Белая)」
ロシアのタタールスタン共和国出身のペイガンメタル、ルーヤンの2014年作
前作もなかなか幻想的な好作品であったが、2作目となる本作もブラスト疾走する激しさに、
うっすらとしたシンセに母国語の女性ヴォーカルを乗せた、神秘的な辺境感に包まれたサウンドを聴かせる。
トレモロのギターリフに男性デス声で疾走するブラックメタル風味に、随所に静謐な叙情パートも含んだ
緩急ある展開とともに、薄暗く幻想的でドラマティックな世界観を描いている。しっかりとした演奏力に加え、
適度にモダンなヘヴィネスが迫力あるサウンドとなっていて、全体的にもマイナー臭さはさほど感じない。
ときに激しい暴虐性も見せるふり幅の大きさと、重厚かつミステリアスな空気感に包まれた強力作。
ドラマティック度・・8 ペイガン度・・8 重厚度・・8 総合・・8
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GRAI (Грай)「Sagebrush-Grass (Полынь-Трава)」
ロシアのタタールスタン出身のフォークメタル、グライの1st、2008年作の再発盤
やわらかなフルートの音色に、メタリックなギターが合わさり、美しい女性ヴォーカルの歌声に
ときに男性ダミ声が絡む、牧歌的な叙情と適度なアグレッシブさが合わさったフォークメタル。
このバンドの場合は、どちらかというと女性声の母国語の歌声が前に出ているので、
全体的に優雅な美しさに包まれている。フォーキーなフルートに、随所にギターの叙情フレーズが
垢抜けないクサメロ感をかもしだし、草原の風を感じるようにゆったりと楽しめる作品だ。
メロディック度・・8 フォーキー度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8
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Metsatoll 「Karjajuht」
エストニアのペイガン/フォークメタル、メトサトルの2014年作
前作は荒々しくも重厚な力作であったが、本作もヘヴィなギターリフに素朴なバグパイプの音色が重なり、
母国語のダミ声ヴォーカルを乗せて、アグレッシブにたたみかける激しめのフォークメタル。
カンテレやフルートやバグパイプなどのフォーキーな牧歌性も加わりつつ、荒々しく疾走するという武骨な感触で、
森の中の蛮族を思わせる雰囲気である。この手にありがちなクサメロ感というものはほとんどなく、
どっしりとした土着性とパワフルな野蛮さに包まれた世界観で、メタルとしての激しさをしっかりと体現している。
これぞ本物の漢のペイガンメタル。軟弱なフォークメタルは好かん!という硬派のアナタへ。
ドラマティック度・・7 フォーキー度・・7 パワフル度・・8 総合・・8 *過去作のレビューはこちら
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Zalvarinis 「Folk n' Rock」
リトアニアのトラッドロック、ザルバリニスの2008年作
適度にハードなギターに、3人の女性ヴォーカルの母国語の歌声を乗せたスタイルで、
キャッチーな聴き心地は「ロック化したヴァルティナ」というような雰囲気もある。
メタルというほど激しくはなく、ギターはむしろ古き良きハードロック風味なので、
フォークメタルが苦手な一般の女性声ロックやゴシックロックのリスナーなどにもアピールするかもしれない。
コーラスを含めた女性ヴォーカルの重なりはなかなか魅力的で、バックのオーセンティックなロック色との
コントラストによって東欧的でフォーキーな味わいをかもしだしている。ゆったりと楽しめる好作品だ。
ドラマティック度・・7 トラッ度・・7 むしろロック寄り度・・8 総合・・7.5

Zalvarinis 「Gyvas」
リトアニアのトラッドロック、ザルバリニスのライブ作品。2014年作
本作は教会で行われたアコースティック編成でのライブを収録、2人の女性ヴォーカルをフロントに
アコースティックギターにシンセ、ヴァイオリンなどが重なり、優雅なトラッドポップを聴かせる。
ヴォーカルが母国語であることを除けば、メジャーなポップ性も感じさせ、軽快な演奏と適度なロック色は、
プログレ方面やラジカルトラッドのリスナー向けかもしれないが、曲によってはしっとりと神秘的な空気感で、
東欧らしい湿り気のある叙情を感じさせる。演奏陣の確かな技術とともに説得力のあるアンサンブルも見事。
リトアニアではけっこう人気のバンドらしい。女性声のトラッドロックとして普通にレベルの高いバンドですな。
ライブ演奏・・8 トラッ度・・7 女性Vo度・・8 総合・・8
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ADARO 「Minnenspiel
ドイツの中世トラッドロック、アダロの2002年作
男女ヴォーカルの歌声に、オルガンを含むシンセとバグパイプ、ハーディ・ガーディなどの音色で、
キャッチーなトラッドロックを聴かせる。ギターやドラムが入っていることもあって比較的ロック色もあり、
ドイツ語の歌声も含めて、SUBWAY TO SALLYやSALTATIO MORTISがぐっとマイルドになったという感触。
女性ヴォーカルがメインの曲はしっとりと美しく、一方ではエレクトロなモダンさを取り入れたナンバーもあったりと、
適度にノリのよいポップ性も感じさせる。個人的には女性声の曲をもっと増やして欲しいものだ。
ドラマティック度・・7 古楽トラッ度・・8 ゲルマン度・・8 総合・・7.5
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8/13
お盆ですね(303)


Serenity 「Codex Atlanticus」
オーストリアのシンフォニックメタル、セレニティーの2016年作
2007年にデビューしてから、KEMELOTばりの高品質サウンドで人気を博すこのバンド、
5作目となる本作も、壮麗なイントロからしてシネマティックな香りに包まれた雰囲気で、
キャッチーなメロディアス性と適度な疾走感に、マイルドなヴォーカルの歌声で聴かせる、
優雅なシンフォニックメタルが広がってゆく。これまで以上に疾走パートを多く含んだ
メリハリのある展開力で、ドラマティックな構築性とアレンジセンスも見事である。
やわらかな優美さとストーリー性のあるスケール感に包まれた高品質作品だ。
ゲスト女性ヴォーカルにアマンダ・サマーヴィルなどが参加。
ドラマティック度・・8 シンフォニック度・・8 優雅度・・9 総合・・8 *過去作のレビューはこちら
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Chronos Zero 「Hollowlands」
イタリアのシンフォニックメタル、クロノス・ゼロの2016年作
男女ツインヴォーカルを含む編成で、ヘヴィなギターリフによるモダンな硬質感で
ダミ声ヴォーカルを乗せたエクストリームメタルといってもよいアグレッシブな感触に、
ときにシンフォニックなアレンジや女性ヴォーカルが加わり、優雅な雰囲気もかもしだす、
初期のAMARANTHEにも通じるスタイル。ギターはリフを主体にしつつ随所にテクニカルなプレイも覗かせ、
うるさすぎないシンセアレンジがスペイシーな浮遊感を描き出す、モダンなセンスに包まれている。
全体的に重厚な雰囲気はよいのだが、個人的にはもう少しメロディのフックが欲しいのと、
女性声の活躍が物足りないので、今後はさらに楽曲のクオリティを高めていってもらいたい。
シンフォニック度・・7 モダンセンス度・・8 重厚・・8 総合・・7.5
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MAGNUM 「Sacred Blood Divine Lies」
イギリスのドラマティックハード、マグナムの2016年作
1978年デビューの大ベテラン、2002年の再結成から数えて8作目となる本作も、
ロドニー・マシューズによるファンタジックなジャケからして心躍る。ボブ・カトレイの枯れた味わいの歌声と
適度にハードかつ古き良き味わいのギターとともに、英国らしい空気感に包まれたサウンドは健在。
随所にシンフォニツクなアレンジを含んだ優雅さと、往年のプログレハード的な雰囲気もよろしく、
メロウなギターの旋律も楽曲を芳醇に彩っている。ここまで来ると新鮮味がどうとかという指摘は、
このバンドには無意味なわけで、どこを切ってもマグナム節の佳曲が満載の好作品。
これからもずっと、この変わらぬマグナムサウンドを聴かせて欲しいですね。
ドラマティック度・・8 古き良き度・・9 英国度・・9 総合・・8  *過去作のレビューはこちら
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PURSON 「Desire's Magic Theatre」
イギリスの魔女系ドゥームロック、プルソンの2016年作
2作目となる本作は、ジャケの雰囲気からもサイケな感じが強まっているが、
適度に残したハードさに加え、よりレイドバックしたようなヴィンテージ感に包まれている。
どこかけだるげなロザリー嬢の歌声に、ブルージなギターにやわらかなオルガンが鳴り、
プログレ的でもあるエキセントリックな展開とユルめの浮遊感が自然に融合されている。
こうしたフリーキーなセンスを今の時代に発揮できるというのは素晴らしいことだし、
単なる70年代回顧主義にとどまらないディープな空気感を作り出すだけの力量を感じる。
ドゥームロック感触は減退したが、魔女系サイケとして深化をとげた素晴らしい傑作だ。
ドラマティック度・・8 古き良き度・・9 よりサイケに度・・9 総合・・8.5  *過去作のレビューはこちら
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Jess & Ancient Ones 「SECOND PSYCHEDELIC COMING: THE AQUARIUS TAPES」
フィンランドのサイケハード、ジェス・アンド・ジ・エンシェント・ワンズの2015年作
サイケでレトロな魔女系ロックを聴かせてくれた前作に続き、2作目となる本作も期待通りの出来。
ジェス嬢の妖しくも艶めいた歌声と、オルガンが鳴り響く70年代テイストのヴィンテージ感覚が合わさった、
いかにもなサウンドでにやにやとしてしまう。ツインギターによるセンスのよいフレージングにとともに
雰囲気モノとしての説得力も十分で、Blood CeremonyやPURSONらと並ぶクオリティといっていい。
先述した2バンドに比べるとよりサイケ寄りのスケール感があって、ラストの22分の大曲なども含めて、
メタル寄り過ぎないユルさが魅力で、プログレ系のヴィンテージロックファンにも対応するだろう。
ドラマティック度・・8 古き良き度・・9 妖しげ度・・9 総合・・8.5
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Ghost 「Meliora」
スウェーデンのカルト・ホラーロック、ゴーストの2015年作
2010年にデビュー、いったんは「GHOST.B.C.」と名義を変えたが、再びGHOSTとなっての3作目。
オルガンが鳴り響く古き良き感触と、適度にヘヴィなギターに、シアトリカルなヴォーカルを乗せた作風で、
1stの頃のレトロなハードロック風味に比べると、よりスタイリッシュで知的な展開力も感じさせる。
シアトリカルなドラマ性にキャッチーなメロディアス性も覗かせた濃密な聴き心地は、ときにKING DIAMOND的でもあり、
随所に覗かせるギターの旋律も80年代的でよい感じだ。曲によってはいくぶんProgMetal風味も感じさせ、
その路線でも面白いかも…そう思わせるセンスがあるのがさすがというところ。ブックレット内の妖しいイラストも含めて、
中世神秘主義とカルトホラー的な世界観に聴きやすいメロディックハードが合わさったという、力作に仕上がっている。
ドラマティック度・・8 シアトリカル度・・8 濃密度・・8 総合・・8  *過去作のレビューはこちら
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Last Frontier 「Theta-Healing」
イタリアのプログレメタル、ラスト・フロンティアの2016年作
シンセを含む5人編成で、モダンなシンセアレンジとハイトーンヴォーカルを乗せ、
かつてのQUEENSRYCHEを思わせる、重厚でドラマティックなサウンドを聴かせる。
テクニカルな展開力は控えめで、むしろ古き良き正統派の感触を感じさせるので、
ProgMetalのリスナーというよりは、一般のHR/HMファンの方が楽しめるかもしれない。
ときに激しく疾走するパートもあったり、メロディックなギターフレーズなども出て来て、
そこそこ起伏に富んだ展開力も悪くない。あとは、盛り上げどころでの迫力や、
メロディのフックをより高めて、今後は楽曲自体を魅力的にしていって欲しい。
ドラマティック度・・8 テクニカル度・・7 重厚度・・8 総合・・7.5
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SINESTESIA 「Day After Flower」
イタリアのプログレメタル、シネステシアの2009年作
シンセを含む5人編成で、きらびやかなシンセによるシンフォニック性と、テクニカルな展開力で聴かせる、
正統派のProgMetalスタイル。全体的にキャッチーなメロディアス性が前に出ているので難解さはなく、
メロトロンやムーグなどを含むシンセアレンジなどはプログレ寄りの感触で、やわらかな耳心地で楽しめる。
ヴォーカルの弱さがいくぶん惜しいが、その突き抜けきらないマイナーっぽさを気に入る方もいるかもしれない。
8分、10分という大曲では、DREAM THEATERを思わせるドラマティックなフックと展開美もあるが、
むしろ3~5分の小曲におけるシンセ主導のキャッチーなプログレ性にこそ魅力があるような気がする。
メロディック度・・8 テクニカル度・・7 楽曲度・・7 総合・・7.5
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Hemina 「Nebulae」
オーストラリアのプログレメタル、ヘミナの2014年作
シンセに女性ベーシストを含む編成で、全員がヴォーカル&コーラスをこなすというバンド。
美しいシンセアレンジに、Djent的でもあるモダンなテクニカル性と男女ヴォーカルを乗せ、
キャッチーなメロディアス性とともに構築されるサウンドは、スタイリッシュなセンスの良さを感じさせる。
モダンな軽妙さの一方で、ムーグやオルガンなどのプログレ的なシンセワークが随所に効いていて、
欧米のバンドなどに比べると、どこかミテスリアスな独特の浮遊感を漂わせる。ラストの11分の大曲を含めて、
メリハリに富んだドラマティックな展開力と、メロディックな叙情性をセンス良く仕上げた傑作だ。
ドラマティック度・・8 テクニカル度・・8 モダン度・・8 総合・・8
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Michael Kocab, Glenn Proudfoot & Virgil Donati, Billy Sheehan 「Aftershocks」
チェコのロックバンド、PRAZSKY VYBERのVoとGを中心にしたテクニカルメタルユニット。2014年作
ヴァージル・ドナーティ、ビリー・シーンという強力なリズム隊に、グレン・プロウドフッドのキレのよいギターワークと、
モダンなシンセアレンジ、渋みのあるヴォーカルを乗せた、スタイリッシュなサウンドを聴かせる。
作品全体的にはマイケル・コカブのヴォーカルをメインにした歌もの的ナンバーもけっこうあって、
テクニカルでありながら、アダルトな渋さも感じさせるという。それにしてもドナーティの超絶なドラムは素晴らしい。
メロディック度・・7 テクニカル度・・8 スタイリッシュ度・・8 総合・・7.5
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MORGANA 「Three Years of Madness」
イタリアのエピックメタル、モルガーナのアンソロジー作品。
女性ヴォーカルをフロントに80年代に活動していたバンドで、2011年に復活作を出している。。
本作は1987~1992年までの未発音源を中心に収録。モルガーナ嬢のハスキーな歌声と
ヘヴィすぎないツインギターを乗せ、適度な疾走感とともに聴かせる、正統派のメタルサウンド。
たとえば、WARLORDあたりに通じる垢抜けない感触と、湿り気を帯びた叙情性が、
80年代マイナーバンドの香りをただよわせていて、マニア受けしそうな聴き心地である。
荒げ刷りではあるが年代を思えば、リズムも含めて演奏もわりとしっかりしていて、
激しい疾走ナンバーからフルートの鳴り響く叙情パートまで、その極端な感じも含めてわりと好きです。
メロディック度・・7 マイナー度・・8 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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KILLEN
アメリカのメタルバンド、キレンの1987/2015年作
1985~90年にかけて活動していたバンドで、本作は1987年の唯一のアルバムをCD化したもの
ジャケの雰囲気からはMANOWARのようなパワフルなサウンドを想像するが、実際はWARLOADや
Manilla Roadなどに通じるB級感あふれるエピックメタル。力強くないハイトーンヴォーカルを乗せ、
そこそこ疾走感のあるスタイルはヨーロピアンでウェットな叙情性も感じられて、マニアはにんまりだろう。
演奏力や音質なども含めて、B級臭さたっぷりなのだが、いまでいうNWOTHM的なヘナチョコ感覚と、
エピックメタル愛に包まれたシリアスなノリが恰好良さになっていて、これがけっこう悪くないのである。
ドラマティック度・・8 B級エピックメタル度・・8 古き良き度・・9 総合・・7.5
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Kayo Dot 「Choirs of the Eye」
アメリカのエクスペリメンタル系ポストロック、ケイヨ・ドットの2003年作
ヘヴィなギターによるドゥーミィな感触と静寂感に、ホルンやフルート、トロンボーン、
サックス、トランペット、ヴァイオリン、などが鳴り響く、チェンバーロック的なサウンドが融合。
10分を超える大曲を中心に、空間的なスケール感と不穏な闇の気配に包まれた、
スリリングなサウンドを描いてゆく。ドローン的でもあるヘヴィネスとポストロックの繊細さが合わさり、
クラシカルな芸術性で仕立てたというべき異色の作風で、結果として非常にプログレッシブな聴き心地。
大曲の後半では、なだれ込むような音の洪水となり、そのブラックメタルばりの迫力は圧巻だ。
女性ヴォーカルの入った美しいナンバーなどもありつつ、繊細さとダイナミガムを併せた力作である。
ドラマティック度・・8 プログレッシブ度・・8 闇の芸術度・・9 総合・・8
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Collection D'Arnell Andrea 「Tristesse Des Manes」
フランスのクラシカル・ゴシックユニット、コレクション・ド・アルネル・アンドレアの2002年作
やわらかなピアノにチェロが絡み、女性ヴォーカルのフランス語による歌声が乗る優美なサウンド。
耽美なダークさはというのはさほどなく、あくまでクラシカルな優雅さに包まれていて、
ゴシックミュージックとして聴くには少し物足りないか。シンセを使わないアコースティックな編成なので、
同郷のDark Sanctuaryあたりに比べると、よりクラシック寄りのスタイルと言えるだろう。
随所に男性ヴォーカルも絡むが基本は女性声メイン。個人的にはさほど好みの声質ではないのだが、
ヨーロピアンな美意識を感じさせる世界観は、この手の作品が好きな方にはたまらないだろう。
クラシカル度・・8 ゴシック度・・7 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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8/6
いよいよリオ五輪開幕!(289)


Ihsahn 「Arktis」
ノルウェーのブラックメタル、Emperorのイーサーンのソロ。2016年作
EMPEROR後のソロ活動もすでに10年、6作目となる。北極探検をテーマにした作品なのかは分からないが、
前作でのプログレッシブな作風を受けつつ、ダミ声ヴォーカルとギターリフによるアグレッシブな感触と
モダンなアレンジにノーマル声と美しいシンセによる繊細な叙情性が交錯するという聴き心地。
ギター主導によるわりと正統派なメロディックナンバーなど、意外な方向性もあるのだが、
オルガンが鳴り響くやわらかさとサイバーなハードさが融合されたりと、そのセンスは抜群だ。
随所にブラックメタル的な激しさも覗かせながら、全体的には研ぎ澄まされた知的センスが光るという。
どこを切ってもイーサーン流プログレッシブ・メタルというべき見事な傑作に仕上がっている。
ドラマティック度・・8 プログレッシブ度・・8 叙情度・・8 総合・・8.5 *過去作のレビューはこちら
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Sigh 「Graveward」
日本のプログレッシブ・ブラックメタル、サイの2015年作
1993年にアルバムデビュー、異才、川嶋未来率いるバンドの10作目となる。
いつもながらの生々しい音質で、オールドなスラッシュメタル風味も感じさせるギターリフに
オーケストラルなアレンジを加え、おどろおどろしくも優雅なセンスを合わせたサウンドは、
相変わらずこのバンドならではの独自の感触である。川嶋氏のダミ声ヴォーカルに加え、
ときに紅一点、ミカンニバル嬢の歌声も入ってきて、随所に変則リズムや唐突な展開も含んだ、
妖しくエキセントリックな世界が広がってゆく。ブラックというには激しさはさほどではないが、
濃密な仰々しさとアヴァンギャルドな感性が交差する、シンフォニックなダークメタルともいえる力作。
ドラマティック度・・8 プログレッシブ度・・8 アヴァンギャル度・・8 総合・・8 *過去作のレビューはこちら
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Kadenzza 「Second Renaissance」
日本のシンフォニック・ブラックメタル、カデンツァの2005年作
福島出身のYou Oshima氏による個人ユニットで、打ち込みによるオーケストラルなアレンジと
シンフォニックな壮麗さに包まれたサウンド。自身のダミ声ヴォーカルに随所に女性声も加わって、
疾走する激しさも含んだ緩急のある構築性で聴かせる。メロディックでときにネオクラシカル的なギターは、
いくぶんアマチュア臭いところもあるのだが、優雅な旋律を全面にシンフォブラックに盛り込んでゆくという、
このやり過ぎ感は嫌いではない。当然ながらドラムも打ち込みなので、重厚な迫力や暴虐さの点では
やや物足りないのだが、クラシカルな感性に包まれたシンフォニック・ブラックが楽しめる。
シンフォニック度・・8 暴虐度・・7 優雅度・・8 総合・・7.5
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Eisregen 「Marschmusik」
ドイツのアヴァン・ブラックメタル、エイスレゲンの2015年作
90年代から活動し、本作ですでに11作めというキャリアのあるバンド。
ドイツ語による歴史観を含んだ重厚さと、エピックかつペイガンなスケール感とともに
ダークなサウンドを描き出す、その独自のスタイルは本作でも説得力十分の迫力。
ブラックメタルばりの激しい疾走に、スローなドゥームパートなど、緩急のあるアレンジで聴かせる
濃密でプログレッシブな感触は、DIE APOKALYPTISCHEN REITERなどにも通じるだろう。
一筋縄ではいかないゲルマンなアヴァン・ブラックメタルの強力作である。
ドラマティック度・・8 重厚・・8 ゲルマン度・・9 総合・・8
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Deafheaven 「New Bermuda」
アメリカのポストブラックメタル、デフヘヴンの2015年作
Alcestに通じる癒し系ブラックとして人気が上がり始めているこのバンド、3作目となる本作は、
8~10分の大曲5曲という構成で、のっけからこれまでにない激しいブラスト疾走に圧倒される。
トレモロリフとダミ声ヴォーカルを乗せてたたみかける、ブラックメタルらしさという点では前2作を上回りつつ、
随所に叙情的なパートも盛り込まれたメリハリのある聴き心地で、その独自のサウンドに磨きがかかっている。
ときに荘厳なスケール感をまとわせつつ、激しさと繊細な叙情のバランスをセンス良く落とし込んだ、
ブラックメタル、ポストブラック、双方のファンにアピールする見事な力作だ。
ドラマティック度・・8 けっこうブラック度・・8 叙情度・・8 総合・・8 *過去作のレビューはこちら
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AGALLOCH 「THE SERPENT & THE SPHERE」
アメリカのフォーク・ブラックメタル、アガロクの2014年作
1999年にデビュー、まだ「ポストブラック」、「カスカディアン・ブラックメタル」という呼び名もない頃から
自然崇拝的な世界観をブラックメタル、フォーク、ゴシック要素に合せて表現していたバンドである。
5作目となる本作も、アコースティックなフォーク要素とダークな翳りと、重厚な雰囲気を匂わせた
幻想的でメランコリックなサウンドを描いている。ダミ声のヴォーカルはいかにもブラックメタル風であるが、
ドゥーミィなギターを乗せたスローなテンポを主体に、10分を超える大曲をじっくり聴かせつつ、
ミドルテンポのペイガンメタル風味や、激しめの疾走ナンバーもあったりと、なかなか起伏のある作風だ。
ドラマティック度・・8 暗黒度・・7 ミステリアス度・・8 総合・・8
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Old Silver Key 「Tales of Wandering」
AlcestのneigeとDrudkhのメンバーによるユニット、オールド・シルバー・キーの2011年作
ジャケの雰囲気からは陰鬱なポストブラックを想像するのだが、実際のサウンドの方はメランコリックな叙情と
わりとキャッチーなノリを含んだ、むしろゴシックロック的なところもある。ミドルテンポに乗るマイルドなヴォーカルの感じは
ENTWINEなどのフィンランド系ゴシックロックの雰囲気にも近いのだが、随所にAlcestのような繊細なやわらかさと
ポストブラックらしい疾走パートもしっかりあるので、アルセのファンならば問題なく楽しめるだろう。
普通に聴きやすい反面、もう少しサウンドにディープな世界観が欲しい気もするのだが、
そこはユニットとしての限界というべきか。今後があるのなら、さらなる成熟に期待したい。
ドラマティック度・・7 メランコリック度・・8 繊細度・・8 総合・・7.5
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Contrarian 「Polemic」
アメリカのテクニカル・デスメタル、コントラリアンの2015年作
SFちっくなジャケのインパクトもさることながら、サウンドの方もプログレッシブな展開力と、
ブラスト入りの激しさも含んだ、モダンな硬質感に包まれた強力なテクニカルデスメタル。
NILEのドラムが参加していることもあって、安定したリズムと緩急のある展開に加え、
随所に聴かせるギターのセンスあるメロディックなプレイもアクセントになっている。
ヴォーカルは低音グロウルなのだが、バックの演奏が非常にクールでタイトなので、
デスメタルというよりはほとんどプログレメタルのように聴ける部分もしばしば。
ラストはなんと、DEATHのカヴァー。高品質なテクデスが聴きたい方はいかが。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・7 テクニカル度・・8 総合・・8
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Dystrophy 「Wretched Host」
アメリカのデスメタル、ディストロフィーの2015年作
オールドスタイルを感じさせるギターリフに低音グロウルヴォイスを乗せた、正統派のデスメタルサウンド。
緩急のついたテクニカルな展開力とともに、近年のブルデス勢とは異なり、激しくとも速過ぎない感じで、
あくまで重厚さを追及した聴き心地だ。絡みつくようなギターフレーズとともに、かつてデスメタル初期にあった、
不穏なおどろおどろしさも残していて、GORGUTSやSUFFOCATIONなどが好きな方にも楽しめるだろう。
むしろミドルからスローテンポでのギターのリフにセンスがあって、テクニックのあるプレイで
凶悪なゲボ声ヴォーカルとのコントラストになっている。オールドな香りのデスメタル強力作。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・7 重厚度・・8 総合・・8
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Terminal Function 「Clockwork Sky」
スウェーデンのテクニカルデスメタル、ターミナル・ファンクションの2015年作
変拍子たっぷりのリズムに硬質なギターリフと、ダミ声ヴォーカルを乗せた、MESHUGGAHスタイルのサウンド。
いわゆるDjent的な感触に加え、ときにジャズ、フュージョン的なフレーズを乗せた軽妙なテクニカル性も覗かせる。
暴虐なブラストはあまりないので、むしろテクニカルメタルのデス風味という聴き方もできるかもしれない。
ギターの奏でるメロディセンスもなかなかで、随所に流麗なフレーズを聴かせる適度なメロディアス性もよろしい。
楽曲は3~4分台が中心で、長すぎることなく聴き疲れもしない。一方では3パートに分かれた組曲方式のナンバーも圧巻だ。
メシュガータイプのエクストリームメタルが好きな方にはオススメしたい高品質作品デス!
ドラマティック度・・7 暴虐度・・7 テクニカル度・・8 総合・・8
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Gorguts 「Pleiades Dust」
カナダのデスメタル、ゴーガッツの2016年作
2013年に12年ぶりの復活作を出したバンドが、復活2作目はなんと全1曲33分という作品を作り上げた。
なにやら不穏なイントロから幕を開け、うねりのあるギターリフに低音デス声を乗せながら、
プログレッシブな展開で構築されるサウンドは、いわばデスメタルとしての明快な激しさよりも
ミステリアスな香りと重厚さを押し出したという聴き心地。ドゥームメタル的な質感も含みつつ、
随所には激しいブラストパートもあり、緩急のある構成と確かな演奏力で、プログレッシブなサウンドが楽しめる。
デスメタルとしてよりも、テクニカルメタル、プログレメタルのファン向けか。まさに異色の力作。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・7 ミステリアス度・・8 総合・・8 *過去作のレビューはこちら
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MAYHEM 「Live In Leipzig」
ノルウェーのブラックメタル、メイヘムのライブ作品。2015年作
1990年東ドイツでに行われたこの伝説のライブ作品が25周年を記念して、リマスター再発された。
元の音質は劣悪だったのだが、その圧倒的な邪悪な気配と、荒々しい演奏によるインパクトから、
これぞブラックメタルという迫力に包まれている。ノイジーなギターリフは音質が良くなったことで
よりザリザリとした生々しさで、発狂したようなデッド氏のヴォーカルの臨場感もものすごい。
ボーナスのDisc2には、ブートレグで出回っていた「Live In Zritz」の音源を収録。
こちらの音質はさらにこもり気味でほぼノイズなのだが、なんだか凄さは伝わってくる。
ファンにとっても、ブラックメタルの歴史としても、当時の貴重な記録であろう。
ライブ演奏・・8 暴虐度・・9 音質・・7 総合・・8 *過去作のレビューはこちら
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Secrets of the Moon 「Sun」
ドイツのブラックメタル、シークレッツ・オブ・ザ・ム-ンの2015年作
デビューは2001年という中堅バンドで、本作は7作目となる。シンプルなタイトルやディプレッシブな感じのジャケが印象的だが、
サウンドの方も、よりダークな世界観を描くような迫力をともなった、いわばプログレッシブな知的さを感じさせる。
ブラックメタルとしての疾走する激しさもありつつ、ミスタリアスな神秘性を含んだ幻想的な耳心地で、
ドゥームメタル的であるスローやミドルテンポのナンバーも重厚に聴かせる。楽曲は6~8分とやや長めで、
ぱっと聴きの派手さはないのだが、ダークでどっしりとした硬派のブラックメタルが好きな方はどうぞ。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・7 重厚度・・8 総合・・7.5 *過去作のレビューはこちら
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Alghazanth 「Wreath of Thevetat」
フィンランドのシンフォニック・ブラックメタル、アルガザンスの2008年作
美しいシンセアレンジにツインギターのリフを乗せて激しく疾走するスタイルは本作も同路線。
北欧らしい叙情をまとわせたトレモロのギターリフは、メロブラ的な感触でとても聴きやすく、
シンフォニックに楽曲を彩る美麗なアレンジも含めて、クオリティの高さはさすがというところ。
もちろん疾走するだけではない、緩急のついた展開力もあって、激しさとメロディアス性のバランスも見事。
楽曲ごとの魅力的なフックもあるので、ブラック初心者から中級者まで楽しめる高品質な出来である。
ドラマティック度・・8 暴虐度・・8 高品質度・・8 総合・・8 *過去作のレビューはこちら
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Thy Catafalque 「The Early Works」
ハンガリーのアヴァン・ブラックメタルユニット、ザイ・カタファルケの2015年作
デモ音源『COR CORDIUM』、1st『SUBLUNARY TRAGEDIES』、2nd『MICROCOSMOS』を収録した3枚組作品。
1999年のデモ音源は、ノイジーなギターにダミ声ヴォーカルを乗せて激しく疾走するブラックメタルサウンドで、
むしろMAYHEMあたりに通じる感触。音質はよくないが、すでに10分、15分という大曲を手掛けたり、
随所にシンセによるアレンジが入るなど、楽曲を構築する知的なセンスの片鱗を覗かせている。
同年の1stになると、当然ながら音質も良くなっていて、激烈なブラストでたたみかけるブラックメタル色と
シンフォニックなアレンジに、打ち込みによるドラムの感触も含めて、LIMBONIC ARTあたりに通じる聴き心地で、
いくぶん唐突な展開がプログレッシブな香りを漂わせる。2001年の2ndでは、ノーマル声による物悲しい叙情など、
激しさと静寂パートのコントラストがいっそうくっきりとして、アンビエントな感触も含むアートなセンスが楽しめる。
ドラマティック度・・7 暴虐度・・7 知的構築度・・8 総合・・7.5
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COLOSSEUM 「CHAPTER II」
フィンランドのゴシックドゥームメタル、コロシアムの2009年作
重厚なギターとシンセによる厚みのあるサウンドに、低音デスヴォイスを乗せた、
フューネラルなゴシックドゥームサウンド。ギターは随所に叙情的な泣きメロを奏で、
暗黒性は高くとも、案外聴きやすいというのがこのバンドの魅力であろう。
ときにオーケストラルなシンセアレンジがサウンドを荘厳に彩っていて、
神秘的なスケール感に包まれた暗闇の美学が味わえる。
耽美なゴシック要素とスローなドゥームメタルが融合したというべき力作だ、
暗黒度・・8 ゴシックドゥーム度・・8 重厚度・・8 総合・・8 *過去作のレビューはこちら
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Candlemass 「Ashes to Ashes」
スウェーデンのエピックドゥームメタル、キャンドルマスのライブ作品。2010年作
2009年スウェーデン・ロックフェスでのステージを収録したCDに、DVDには同映像とアテネでのライブを収録。
朗々とした中音域のロバート・ロウの歌声と重厚なツインギターで聴かせるドゥームメタルは
ライブ音源でも迫力十分。ベテランらしい堂々たる演奏で、説得力あるサウンドを描いてゆく。
音質も良好で、盛り上がる観客の歓声も含めて、臨場感あるライブサウンドが楽しめる。
復活後のナンバーを中心にしつつ、「Epicus Doomicus Metallicus」、「Nightfall」など
初期のアルバムからのナンバーも取り上げていて、往年のファンにも嬉しいかぎり。
ラストはRAINBOW“Kill The King”のカヴァーで締めくくる。DVDの映像もじっくり味わいたい。
ライブ演奏・・8 ドゥーム度・・8 重厚度・・8 総合・・8 *過去作のレビューはこちら
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Solitude Aeturnus 「In Times of Solitude」
アメリカのエピック・ドゥームメタル、ソリチュード・エターナスの未発音源集。2011年作
1991年にデビュー、2006年までに6作を発表し、ヴォーカルのロバート・ロウはCANDLAMASSに加入する。
本作はデビュー前、1987~88年のデモ音源。1987年の音源はロバート・ロウ加入前なのでヴォーカルが違うのだが、
ツインギターのリフと適度な湿り気を含んだ重厚なドゥームメタルサウンドはすでに完成されている。
音質の悪いライブ音源や、スタジオリハーサルなど、だいぶディープなファン向けの内容であるが、
バンドの黎明期の姿を浮かび上がらせる貴重な音源と言える。まずは正規アルバムから聴くべし!
ドラマティック度・・7 重厚度・・8 音質・・7 総合・・7.5 *過去作のレビューはこちら
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7/23
いったん暑さもひと段落(272)


Blood Ceremony 「Lord of Misrule」
カナダの魔女系ドゥームロック、ブラッド・セレモニーの2016年作
2008年にデビュー、女性声を乗せた古き良きドゥームロックに妖しげでカルトな世界観は、
いわゆる魔女系ロックの密かなムーブメントの先駆けとなった。4作目となる本作も、
アナログ感たっぷりのギターにフルートが鳴り響き、けだるげな女性ヴォーカルで聴かせる、
魔女めいた雰囲気のドゥームロックが楽しめる。随所にオルガンやメロトロンが加わったり、
アコーステッィクな叙情パートもあったりと、今作は楽曲のアレンジもなかなか多彩で、
キャッチーな歌メロと、カルトな妖しさとのバランスも絶妙だ。これぞ魔女系ロックの最高峰!
メロディック度・・8 アナログ度・・9 妖しげ度・・9 総合・・8.5 *過去作のレビューはこちら
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Black Wizard 「New Waste」
カナダのストーナー・ハードロック、ブラック・ウィザードの2016年作
70年代臭たっぷりのギターを乗せた、ヴィンテージな味わいのハードロックサウンドで、
パワフルすぎないヴォーカルの感じは、80年代のNWOHM的なウェットな雰囲気も覗かせる、
ストーナー的なザラついた耳心地に、随所にツインギターのメロディアスな叙情も含んで、
適度に怪しげなマイナー臭さをまとわせているのもよい感じだ。楽曲自体には新鮮なインパクトはなく、
雰囲気モノとしてはおどろおどろしさがやや足りないのだが、オールドなハードロックが好きならば、
十分に楽しめるクオリティがある。今後はより突き抜けた楽曲や濃密な世界観の構築に期待したい。
ドラマティック度・・7 ストーナー度・・7 ヴィンテージ度・・9 総合・・7.5
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Striker 「City of Gold」
カナダのメタルバンド、ストライカーの2014年作
2010年にデビュー、古き良き正統派のNWOTHMとして一躍注目を博し、本作が3作目となる。
ツインギターのリフとハイトーンヴォーカルを乗せた、オールドスタイルのメタルサウンドは健在。
基本はどっしりとしたミドルテンポを主体にした、これぞヘヴィメタルという聴き心地なので、
インパクトや新鮮味はないのだが、ツインギターで疾走するナンバーはさすがに恰好いい。
安心の出来の反面、この路線では毎回同じような出来になるのではないかという危惧も…。
ボーナスに、Iron Maiden“Two Minutes to Midnight”のカヴァーなどを収録。
メロディック度・・7 疾走度・・7 正統派度・・9 総合・・7.5
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Sister Sin 「Black Lotus」
スウェーデンのヘヴィメタル、シスター・シンの2014年作
2003年にデビュー、2008年の2作目から認知度を増し、5作目となる本作も、
古き良き正統派メタルの感触とハスキーな女性ヴォーカルで聴かせる、パワフルなサウンドが楽しめる。
オールドスタイルへの誇りを感じさせるギターワークに、紅一点LIV嬢の中性的な歌声を乗せ、
曲によっては適度に激しい疾走感もあって、前作以上にメタルとしての力強さが備わってきた。
じっくりと聴かせるキャッチーなナンバーもありつつ、全体的にはメロディックすぎない硬派さも潔し。
バンドとしてのキャリアと自信を感じさせる、どっしりとした力作。ジャケの雰囲気もよいですね。
メロディック度・・7 正統派度・・8 古き良きHR/HM度・・9 総合・・8 *過去作のレビューはこちら
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GARDEN OF WORM 「Idle Stones」
フィンランドのドゥームメタル、ガーデン・オブ・ワームの2015年作
ギター、ベース、ドラムという3人編成で、前作も70年代的なアナログ感たっぷりのドゥームメタルであったが、
本作もうねりのあるギターリフとマイルドなヴォーカルで、サイケ感触もあるオールドなドゥームを聴かせる。
前作にもあったプログレ的な展開力が、よりユルめのサイケロック感触と融合し、10分を超える大曲では
妖しげな浮遊感がより際立ってきている。ラストは19分という大曲で、後半になると70年代クラウトロックばりの
即興的なアンサンブルでたたみかける。整合性という点では前作であるが、好き放題のノリが楽しめる方はこちらも。
ドラマティック度・・7 アナログ度・・8 サイケドゥーム度・・8 総合・・8
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LONELY KAMEL 「Shit City」
ノルウェーのストーナーロック、ロンリー・キャメルの2014年作
ヘヴィであるが古き良き味わいのギターリフを乗せて、適度に疾走感のあるノリで聴かせる、
ストーナー・ハードロック。ハイトーンとダミ声の中間というようなダーティなヴォーカルも含めて
1曲目はMOTORHEADあたりにも通じるオールドなロックンロールの空気感をまとわせつつ、
その後はどっしりとしたナンバーで大人のブルーズ・ハードロックをじっくりと聴かせるところも多い。
リフの繰り返しで骨太のサウンドを描くという、いわば渋みのある枯れた味わいが持ち味なので、
ストーナーやオールドロックが苦手な方にはまったく向かない。展開かメロディにもう少しフックが欲しい。
ドラマティック度・・7 大人の渋さ度・・8 古き良き度・・8 総合・・7.5
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My Sleeping Karma 「Moksha」
ドイツのサイケ・ハードロック、マイ・スリーピング・カルマの2015年作
オリエンタルな世界観と浮遊感のあるサイケロックを融合させるこのバンド、
本作もガネーシャ(象頭神)のジャケのようにヒンドゥー教やインド神話をテーマにした作品。
浮遊感のあるギターリフと東洋的な旋律を中心にしたインスト主体のサウンドであるが、
曲によってはお経のような歌声が入ったり、シンセも加わったスペイシーな感触もあったりと、
いくぶんプログレサイケ的な要素も感じさせる。まさにヒンディー・サイケを確立した好作品だ。
ドラマティック度・・7 サイケ度・・8 オリエンタル度・・8 総合・・7.5
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WhiteBuzz 「Book of Whyte」
ドイツのスラッジ・ドゥームメタル、ホワイトブーズの2009年作
ドローン的でもある低音のギターリフが鳴り響き、スローなリズムと詠唱のようなヴォーカルで聴かせる、
不穏な空気感に包まれたスラッジ・ドゥームメタル。15分前後の大曲を中心に、ゆったり淡々とした感触で
派手な盛り上がりやスリリングな部分というのは薄いので、気が短い人には向かないかもしれないが、
怪しくミステリアスな雰囲気が好きな方なら、わりと気持ちよく聞き流せるのではないかと思う。
ポストロック的でもある荒涼とした静寂感も含んだ異色作。しかし、とにかく、どれも曲が長い。
ドラマティック度・・7 ドゥーム度・・8 怪しげ度・・9 総合・・7.5
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Esben And The Witch 「Violet Cries」
イギリスの魔女系ポストロック、エスベン・アンド・ザ・ウィッチの2010年作
たゆたうような女性ヴォーカルの歌声を乗せた、オルタナ風味のポストロックというスタイルで、
薄暗い静謐感に包まれた空気と適度なアンダーグラウンド感覚がミステリアスな雰囲気をかもしだす。
PURSONなど昨今の魔女系ドゥーム勢とはまた異なる聴き心地で、キャッチーな完成度とは反対の、
いわばミニマルな愛想のなさが寒々しい潔さとなっている。アコースティカルな部分はフォーク風でもあり、
霧の中から聴こえるような女性ヴォーカルが、優しく、そして妖しい幻想的な味わいになっている。
この薄暗い空気感は、ゴシック好きのリスナーなどにも対応するだろう。面白いバンドが現れた。
ドラマティック度・・7 薄暗度・・9 女性Vo度・・8 総合・・8
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Esben And The Witch 「Wash the Sins Not Only the Face」
エスベン・アンド・ザ・ウィッチの2013年作
トリオ編成によるシンプルなスタイルながら、薄暗い翳り幻想を音で描き出すこのバンド、
本作もポストロック的な広がりのあるスケール感と、しっとりとした叙情性を妖しく聴かせてくれる。
レイチェル嬢のヴォーカルは、情感的な歌唱とは対極の、アンニュイな倦怠に包まれたイメージで、
そういう点では、All About Eveのジュリアンヌ・リーガンなどを思わせる。とくに今作では歌による表現に
重点が置かれた印象で、前作よりも少しキャッチーな聴きやすさが増したかもしれない。
オールドなゴシックロックの空気感を受け継いだ女性声ロックとして、注目すべきバンドである。
ドラマティック度・・7 薄暗度・・9 女性Vo度・・9 総合・・8
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Esben And The Witch 「A New Nature」
エスベン・アンド・ザ・ウィッチの2014年作
今作はタイトルのように自然崇拝的なイメージで、前作の歌もの路線から、1stの頃の静謐感が戻っていて、
アコースティックなフォーク要素とドゥームロック的なヘヴィさが融合したという聴き心地である。
淡々とした中にも神秘的な妖しさを感じさせる、レイチェル嬢の歌声も、その表現力を増していて、
10分、14分というこれまでになかった大曲を、独特のスケール感をともなって描き出してゆく。
トランペットが物悲しく鳴り響く、プログレ的でもあるポストロック風味も含めて、前作に比べると
全体的にいくぶん難解な作風になったが、こちらを好むリスナーも多いのではないかと思う。
ドラマティック度・・8 薄暗度・・9 女性Vo度・・8 総合・・8
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Siena Root 「Kaleidoscope」
スウェーデンのサイケロックバンド、シエナ・ルートの2006年作
2作目となる本作も、70年代臭たっぷりのブルージーなサイケロックサウンドで、
女性ヴォーカルが加わったことで、ぐっと魔女系ロックの要素が強まっている。
アナログ感たっぷりのギターはときに大人の哀愁を感じさせ、ときにオルガンも鳴り響き、
ハスキーな女性声とともに、PURSONあたりに通じる、ヴィンテージなサイケハードが楽しめる。
妖しくフルートが鳴り響くオリエンタルな雰囲気もあったりと、前作よりも楽曲の幅が広がった。
9分、11分という大曲をユルめに構築しつつ、3分台のキャッチーなナンバーもあったりとバランス感覚も見事。
ドラマティック度・・7 サイケ度・・8 ヴィンテージ度・・9 総合・・8 *過去作のレビューはこちら
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Beseech 「My Darkness,Darkness」
スウェーデンのゴシックメタル、ビスィーチの2016年作
90年代にデビュー、2005年作を最後に解散したバンドが復活、11年ぶりとなる6作目を完成させた。
メンバーは少し替わっているようだが、男女ヴォーカルの歌声を乗せたメランコリックなゴシックメタルは健在。
適度にメロディックなツインギターとうっすらとしたシンセアレンジ、モダンな翳りを含ませたマイルドな聴き心地で、
北欧らしい涼やかで叙情的な世界観に浸ることができる。メタリックな重さは控えめで、曲によってはむしろ、
ANATHEMAのようなやわらかな浮遊感もあったりして、ヘヴィな音が苦手な方にも楽しめるだろう。
かつてのファンはもちろん、初めてこのバンドを知るという方にもお薦めできる、物憂げなゴシックメタルの好作品。
ドラマティック度・・7 ゴシック度・・8 復活度・・8 総合・・8 *過去作のレビューはこちら
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Artesia 「Wanderings」
フランスのゴシック/ダークアンビエント、アルテシアの2012年作
女性二人のユニットで、うっすらとしたシンセに美しい、女性ヴォーカルの歌声
ヴァイオリンやピアノによるクラシカルな優雅さも加わった、幻想的なゴシックサウンド。
暗黒度は低めで、優美な幻想性に包まれた感触は、やはりDark Sanctuaryあたりに通じるだろう。
ドラマティックな盛り上がりというのは希薄ながら、うっとりと聴き入れるダークアンビエントの好作品。
ドラマティック度・・7 ゴシック度・・8 優雅度・・9 総合・・7.5
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Ataraxia 「Liyr」
イタリアのゴシックバンド、アタラクシアの2010年作
90年代から活動するベテランで、本作が何作目なのかすでに分からないほど。
アコースティックギターのつまびきに美しいシンセ、そして妖しげな女性ヴォーカルの歌声を乗せた、
幻想的なゴシックミュージック。ケルトの名曲「スカボローフェア」も取り上げていて、
トラッド/ネオフォーク的な土着性も随所に覗かせる。バンドとしてのキャリアを重ねたことで、
過去の作品よりもサウンドに強固な説得力が備わってきていて、神秘的な幻想美が強まった。
シンフォニックなシンセアレンジに、魔女めいたヴォーカル嬢の歌声が素敵です。
ドラマティック度・・7 ゴシック度・・8 幻想度・・9 総合・・8
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7/10
さすがのパラロス&マイダイング(257)


Universal Mind Project 「The Jaguar Priest」
アメリカのシンフォニックメタル、ユニヴァーサル・マインド・プロジェクトの2016年作
男女ヴォーカルの歌声とシンフォニックなアレンジで聴かせる、きらびやかなサウンドで、
メロパワ的な疾走感やプログレメタル的なテクニカルな展開力も含んだ壮麗な聴き心地。
8分を超えるナンバーも3曲もあり、随所にデスヴォイスを含んだモダンな激しさと、
シンフォニックな叙情性を合わせた構築力もなかなかのもの。ヴォーカルのElina嬢の
ドラムは、LUCA TURILLI'S RHAPSODYにも参加する、アレックス・ランデンバーグで、
ゲストに、マーク・ヤンセン(EPICA)、チャーリー・ドミニシ、マイク・レポンド(Symphony X)などが参加。
ドラマティック度・・8 壮麗度・・8 構築度・・8 総合・・8
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SINBREED 「Master Creator」
ドイツのメロディックメタル、シンブリードの2016年作
現BLIND GUARDIANのドラム、フレデリック・エームケが在籍するバンドで、
ヴォーカルはSeventh AvenueやAVANTASIAにも参加するハービー・ランガンス。
3作目となる本作も、メロディックなギターフレーズとややダーティなヴォーカルを乗せて疾走する、
古き良きジャーマンメタルのイディオムを受け継いだ正統派のサウンドだ。
Seventh Avenueにも通じる適度にB級気味のクサメロ感と、GAMMA RAYばりのキャッチーさに
初期BLIND GURDIANのエピックな感触を取り込んだという聴き心地に、思わずにんまりである。
ブラガやガマレーに比べると楽曲のツメが甘いのだが、その辺も含めてマニア受けしそうなバンドですな。
メロディック度・・8 疾走度・・8 ジャーマン度・・9 総合・・8
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Guardians of Time 「Rage and Fire」
ノルウェーのメロディックメタル、ガーディアンズ・オブ・タイムの2015年作
2004年の2ndは日本盤もリリースされていたが、本作はすでに4作目。まだ活動していたのね。
ツインギターにパワフルなハイトーンヴォーカルを乗せた正統派のメロパワサウンドは健在、
ミドルテンポを主体に古き良きメタルマインドを感じさせるどっしりとした聴き心地である。
演奏は安定していて、疾走するナンバーなどは90年代のジャーマンメタルを思わせて良い感じなのだが、
メロディのフックという点ではやや中途半端か。正統派メタル好き以外の方には退屈かもしれない。
メロディック度・・7 疾走度・・7 パワフル度・・8 総合・・7.5
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CRIMSON SUN 「Towards the Light」
フィンランドのシンフォニックメタル、クリムゾン・サンの2015年作
女性Voにシンセ奏者を含む5人編成で、モダンな硬質感とキャッチーなメロディアス性に
ハスキーな女性ヴォーカルの歌声で聴かせる、AMARANTHEタイプのサウンド。
優美なシンフォニック性とデジタリィな感触も含んだシンセアレンジはなかなかセンス良く、
紅一点、Sini嬢の歌声はいくぶんレンジが狭いものの、その歌唱を上手く引き立てている。
楽曲は3~4分台が中心でわりとシンプルで聴きやすいが、反面、盛り上がり切らない物足りなさも。
現時点ではまだ突き抜けたクオリティや個性は感じないものの、今後に期待の新鋭です。
メロディック度・・8 シンフォニック度・・7 女性Vo度・・7 総合・・7.5
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ISHTAR 「Rise」
韓国のシンフォニックメタル、イシュタルの2015年作
美しいソプラノ女性ヴォーカルとシンフォニックなアレンジで前作もなかなかの力作であったが、
フルアルバム2作目となる本作も、いっそうの表現力をまとったBINNA嬢の伸びやかな歌声を中心に、
アジア色を感じさせない壮麗なシンフォニックメタルを聴かせる。楽曲におけるメロディのフックや
巧みにファルセットを使い分けるヴォーカルの力量も含めて、すでに世界レベルのクオリテイと言ってよい。
オペラティックなドラマ性を覗かせたり、ゴシックメタル色もあるしっとりとした叙情性のナンバーなど、
アルバムとしてのメリハリと聴きごたえも十分。優美なる女性声シンフォニックメタルの力作です。
シンフォニック度・・8 壮麗度・・8 女性Vo度・・9 総合・・8
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NIKA & FRIENDS 「Passion」
ポーランドの女性シンガー、ニカの2015年作
ビゼーやプッチーニ、モーツァルトなどのクラシック曲をメタルアレンジした作品で、
タイのMELODIUS DEITEのシンセ&ギター、ドラムが楽曲アレンジを担当、
オペラティックな女性ヴォーカルを乗せて、きらびやかではあるが、
いくぶんつたないB級気味のシンフォニックメタルを繰り広げている。
レーベルのオーナーが余興で作ったという以上のクオリティはないかな。
日本からはCONCERTO MOONの久世敦史も参加している。
シンフォニック度・・7 クラシカル度・・7 女性Vo度・・7 総合・・7
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The Gathering 「TG25: Live at Doornroosje」
オランダのゴシックメタル、ギャザリングのライブ作品。2015年作
バンドの結成25周年のライブステージをCD2枚に収録。現ヴォーカルであるシリェ・ヴェルヘラント嬢と、
前Voのアネク・ヴァン・ガースバーゲンがダブルフロントを務めるという豪華なステージで、
さらにはバンドの初代ヴォーカルであるBart Smitsや、初期のギター、ベースなど、歴代のメンバーが参加。
“Strange Machine”、“Nighttime Birds”といったかつての名曲を含めたナンバーを披露してくれる。
1992年のデビュー作「Alwats...」からのナンバーでは当時参加していた女性シンガー、マリケ・グロットが登場、
低音デスヴォイスに絡む美しい歌声を披露してくれる。ゴシックメタル要素の強かった時代のナンバーが主体なので、
かつての世界観が蘇るような重厚な演奏を楽しむことができる。初期から知っているリスナーにもお薦めのライブです。
重厚度・・8 ゴシック度・・8 ライブ演奏・・8 総合・・8 *過去作のレビューはこちら
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Paradise Lost 「Plague Within」
イギリスのゴシックメタル、パラダイス・ロストの2015年作
英国ゴシックメタルの元祖というべきベテランバンド、2005年作以降は原点回帰した安定作を作り続け、
14作目となる本作も、古き良き感触を含んだツインギターを中心に、どっしりとしたドゥーム・ゴシックを聴かせる。
デス声と哀愁のノーマルヴォイスを使い分ける、ニック・ホルムズの歌声はいよいよ深みを増していて、
怒りや倦怠、悲しみを内包した表現力は、ベテランならではの味だろう。楽曲は適度に激しいノリもあって、
ツインギターの巧みなリフワークと、叙情的なフレージングのバランスもさすが。重厚でありながら、
案外フックのふる展開力というのは、ここ数作の中でも一番面白いのではないかと思う。
いくぶんストーナー的でもあるレイドバックした感じがギターサウンドにあるのもよいですな。
ドラマティック度・・8 ゴシック度・・7 重厚度・・9 総合・・8 *過去作のレビューはこちら
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My Dying Bride 「Feel the Misery」
イギリスのゴシックメタル、マイ・ダイイング・ブライドの2015年作
1992年にデビュー、PARADISE LOSTとともに英国ゴシックメタルを代表するバンドの12作目となる。
適度にデスメタル色も含んだダークなドゥームゴシックは本作も健在で、重厚なギターリフに
マイルドな男性ヴォーカル、そして随所に鳴り響く物悲しいヴァイオリンの音色もよいですね。
9分、10分という大曲を、音の説得力と世界観の強度で聴かせるのはさすがキャリアのあるバンド。
甘すぎない叙情性をダークでメランコリックな空気感で包み込んだサウンドにじっくりと浸れる。
クラシカルなピアノの旋律に咆哮するデスヴォイスが乗る様は、威厳ある迫力と美意識を感じさせる。
本物のゴシックメタルの重さと耽美な湿り気を有した、じつに見事なアルバムである。
ドラマティック度・・8 ゴシック度・・8 重厚度・・8 総合・・8 *過去作のレビューはこちら
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Woe unto Me 「A Step into the Waters of Forgetfulness」
ベラルーシのゴシック・ドゥームメタル、ウー・アントゥ・ミーの2014年作
男女ヴォーカルに女性シンセ奏者擁する6人編成で、シンフォニックなアレンジと薄暗い叙情から、
重厚なギターリフと低音デスヴォイスを乗せた、スローテンポのフューネラルドゥームが描かれる。
美麗なシンセワークも素晴らしく、男性クリーンヴォーカルと女性のスキャットコーラスが
耽美でメランコリックなゴシック要素になっていて、ダークでヘヴィであるが美しく聴きやすい。
10分を超える大曲を中心に全5曲、ゆったりとした曲調なので、じっくりと雰囲気に浸れる。
女性声の活躍が少ないのが残念だが、ゴシックドゥームとしての説得力を備えた空気感は見事。
ドラマティック度・・8 ゴシック・ドゥーム度・・8 重厚度・・8 総合・・8
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Novembers Doom 「Aphotic」
アメリカののゴシック・デスメタル、ノーヴェンバーズ・ドゥームの2011年作
1994年デビューというキャリアのあるバンドで、本作はおえらく7作目あたりだろうか。
重厚なギターを乗せたゴシック・ドゥーム風味と、アグレッシブなデスメタル要素を合わせたサウンドは
これまでと変わらぬスタンスで、オールドスタイルのゴシック・デスメタルを守っている。今作は8分前後の大曲も多く、
ゴシック・ドゥーム寄りの叙情性を含んだメランコリックなナンバーも増えているので、個人的にはこの路線が好み。
楽曲ごとのメリハリのあるアレンジも含めて、サウンドに説得力も備わってきた。なかなかの力作に仕上がっている。
アネク・ヴァン・ガースバーゲン(元The Gathering)、ダン・スヴァノ(元EDGE OF SANITY)がゲスト参加。
ドラマティック度・・7 ゴシック度・・8 重厚度・・8 総合・・8
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KARI RUESLATTEN 「Time to Tell」
ノルウェーの女性シンガー、カリ・ルースラッテンの2014年作
The 3rd and The Mortalのシンガーとしても知られる彼女だが、ソロ転向後は
しっとりとしたアンビエントな作品を作っている。本作もたおやかなピアノの音色をバックに
彼女の美声が優しく響くイントロ曲から、アコースティックギターにドラムが加わり、
北欧のトラッド的な旋律と、涼やかな叙情を含んだサウンドが広がってゆく。
The 3rd and The Mortalの“Why So Lonely”のセルフカヴァーも実に美しい。
メタル要素は皆無だが、素朴で清涼な北の空気を感じさせる好作品だ。
ドラマティック度・・7 北欧度・・8 女性Vo度・・8 総合・・8 *過去作のレビューはこちら
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Sage's Recital
デンマークのメロディックメタル、サゲス・レシタルの2013年作
INFINITY OVERTUREのメンバーを中心にしたバンドで、サウンドはじつにコテコテのネオクラシカルメタル。
流麗なギターフレーズをたっぷり盛り込みつつ、ジョン・ウエストの伸びやかな歌声を乗せた堂々たるサウンドは
MAGIC KINGDOMあたりにも引けをとらない。ジャケのイメージのようにファンタジックなシンフォメタル色もあって、
適度なクサメロ感覚も含めてなかなか楽しめる。9分の大曲では、RHAPSODYばりのドラマティックな世界観も覗かせたり、
ラストは15分の大曲で、テクニカルな展開力も含んだインストパートから、ヴォーカルが入ってのじっくりとした叙情、
そしてクラシカルなメロディを取り入れた優雅なメロディアス性で描かれる。激しさはないが、ネオクラ系メタルの好作品ですね。
メロディック度・・8 疾走度・・6 ネオクラ度・・8 総合・・7.5
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Corazon Profeta 「Renacimiento」
アルゼンチンのメタルバンド、コラゾン・プロフェタの2014年作
オルガンやピアノを含むシンセと古き良きテイストのギターに、スペイン語のパワフルなヴォーカルで聴かせる
同郷の先輩、RATA BLANCAありにも通じる正統派のメタルサウンド。楽曲にはこれというインパクトはないのだが、
メロディのフックはいかにも王道の感触で、オールドスタイルのHR/HMが好きな方なら、普通に楽しめるだろう。
ギターソロなどのメロディセンスもなかなかで、B級臭さはあまり感じさせない。アルゼンチンメタルの好作品。
メロディック度・・8 正統派度・・8 スパニッシュ度・・8 総合・・8
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Chernyshev/Bulgakov 「Ocean of Fantasies」
ロシアのメロディックメタル、ЛегионのVo、Alexey BulgakovとG、Alexey Chernyshevによるユニットの2013年作
ジャケのイメージカらは壮大なシンフォニックメタルを想像したのだが、実際はキャッチーなメロディアスハード風のサウンド。
やわらかなシンセアレンジとそこそこハードなギターに、枯れた味わいのヴォーカルを乗せた感触で、
オルガンも鳴り響くという古き良き大人のHRスタイル。ギターはブルージーな味わいを含んだ泣きの叙情フレーズも奏でたりと、
なんとなく英国の80年代HR風味を漂わせる。かと思うと、RAINBOWのキルキン風に疾走したり、ネオクラ風や、
ヴァン・ヘイレン風味もあったりと、けっこう節操がない。オッサンの趣味臭ただようメロディアス・ハードロックです。
Disc2には1997~98年に録音されたデモ8曲と、Легионの初期作品のニューリミックス音源を収録。
メロディアス度・・8 古き良き度・・8 辺境度・・8 総合・・7.5

Circle II Circle「Consequence of Power」
元SAVATAGEの、ザッカリー・スティーブンス率いる、サークル・トゥ・サークルの2010年作
5作目となる本作では、ギターリフの質感がより80年代的にレイドバックしたような聴き心地で、
パワフルなヴォーカルとともに古き良き正統派のヘヴィメタルが味わえる。
どっしりとしたミドルテンポを中心にしつつ、適度に疾走感のある楽曲もあって、
ザッカリー・スティーブンスの枯れた味わいの歌声が大人のメタルサウンドを描いてゆく。
時代が変わろうとも頑固一徹、正統派メタルにこだわりぬいた矜持を感じさせるアルバムだ。
ドラマティック度・・7 パワフル度・・8 正統派度・・8 総合・・7.5 *過去作のレビューはこちら
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