一般人のためのブラックメタル傑作選  〜メロブラ、シンフォブラの名作お勧め31選〜



極寒の地ノルウェーから生まれたブラックメタルなるものは、
もともとは反キリストをかかげるサタニズムとともに、思想的な暗黒の魂を表現する類の音楽であり、
それゆえ演奏技術や録音面などへの執着は薄く、ややもすれば自己満足的な劣悪な音楽とみなされもした。

しかしながら、MAYHEM、ARCTURUS、ULVER、EMPERORといったバンドたちは、アルバム毎にその音楽性を変遷させてゆき、
独自に表現の質を高めてゆくことになる。そうして彼らの登場以降、シーンにおいて楽曲や演奏そのもののレベルが引き上げられ、
同時に、それまでの反キリスト的な思想重視ではなく、激烈かつ邪悪な表現としての音楽形態を示すジャンルへと変化していった。
そして現在では、北欧のみならず世界各国において、スタイルとしてのブラックメタルを標榜するバンドはその数を増してゆく。
その過程において、よりメロディにこだわるバンド、暴虐なだけでなく壮麗さ、荘厳さをイメージさせるバンド、
CRADLE OF FILTHDIMMU BORGIRらを筆頭にした、いわゆるメロディックブラック、シンフォニックブラックというべきバンドたちが、
かつては一部のマニアックなリスナーの楽しみにすぎなかったこのジャンルの普遍化をうながしてゆく。
ただし、一方では、いまだにブラックメタルとしての原初的な闇や思想的なミスティック部分を愛するリスナーもおり、
そうした音そのものの質よりも雰囲気の方を重視する、いわゆるプリミティブ・ブラックのファンも根強いようだ。

ここではあくまでサウンドとしての質にこだわった、個人的に傑作と呼ぶに足るアルバムを集めてみた。
ブラックメタルの基本名盤と言われるものの中には、音質や演奏ががひどく粗悪でスカスカだったり、
一般のリスナーにとっては劣悪、極悪すぎて到底聴くに耐えないようなアルバムもあったりするわけで、
ここでは、そうしたプリミティブであることのこだわりよりも、作品として完成度の高いもの、
一般のメタルリスナーにも充分勧められるメロブラ、シンフォブラの傑作アルバムを紹介したいと思う。


                             緑川とうせい
(非ブラックメタルマニア) 


†個人的に基本はこの7枚


EMPEROR In the Nightside Eclipse
ノルウェーのブラックメタルバンド、エンペラーの1st。1994作
ブラックメタル界のカリスマ、イーサーン率いるこのバンド、4枚のアルバムを残して消えた
まさにノルウェーを代表する伝説のブラックメタルバンドの、その記念すべきデビュー作。
うっすらとした美しいシンセをバツクに暴虐に疾走するサウンドは、激しくも幻想的であり、
この時点ですでに他のブラックメタルバンドとは一線を画すだけの美意識を感じさせる。
2nd以降のような圧倒的なまでの荘厳さはまだないが、その分プリミティブな暗闇に包まれた
まさに闇の皇帝というべきサウンドが楽しめる。再発盤では音質も向上している。

シンフォニック度・・8 暴虐度・・9 荘厳度・・8 総合・・8.5
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EMPEROR 「Anthems to the Welkin at Dusk」
ノルウェーのブラックメタルバンド、エンペラーの2nd。1997作
ブラックメタルの歴史における輝ける金字塔的傑作である。
教会への放火容疑で逮捕されたギターのサモスが出所し、殺人容疑で逮捕されたファウストに代わって、
ドラムには超絶なブラストビートを叩くタリムを迎えて作られた本作は、1stをはるかに上回る傑作となった。
荘厳なるイントロに導かれ、暴虐なる地獄の音楽が始まるや、黙示録の戦いを思わせる激しさとともに、
ときにシンフォニックな美しさをたたえたシンセワークや、プログレッシブなリズム展開なども素晴らしく、
リーダー、イーサーンの美意識がとことんまで発揮された本作のサウンドは、単なるブラックメタルの枠を超え、
闇の芸術ともいうべき境地に達している。激烈にして耽美、暗黒にして知性と狂気をともなった名作だ。
シンフォニック度・・8 暴虐度・・9 荘厳度・・10 総合・・9

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ABIGOR 「Nachthymnen」
オーストリアのブラックメタルバンド、アビゴーの2nd。1995作
このバンドの2ndはEMPERORの2ndと並び、私の中では
シンフォブラックの最高傑作である。
1stの時点から、単なる暴虐疾走だけではない、テクニカルな展開や芸術性、
そしてメロディアスな要素を兼ね揃える、独自の個性を有していたのだが、
この2ndでさらに独自の世界観を身に付け、崇高さと邪悪さを見事なまでに表現している。
女性コーラスの導入や、ギターメロディの煽情力も向上し、雰囲気ものとしての説得力も増した。
ブラックメタルとしての本物の闇の質感に、こもり気味の音質がまた真性っぽく、それもよし。
メロディアス度・・8 暴虐度・・9 ドラマティック度・・9 総合・・8.5

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MARDUK 「Heaven Shall Burn...When We Are Gathered」
スウェーデンのブラックメタルバンド、マーダックの4th。1996作
DARK FUNERALらとともにスウェディッシュブラックを牽引するこのバンド、
本作は初期の中でも最高作と名高いアルバムで、そのサウンドは激烈に疾走しつつも
いくぶんの叙情を感じさせるギターリフとともに、ドラマティックな気配を漂わせている。
ムソグルスキーの「はげ山の一夜」のフレーズを取り入れた曲も面白い。
近作のようなすさまじいまでの迫力と荘厳さはまだないが、
90年代の北欧ブラックメタルとしてはやはり質の高いアルバムである。
ドラマティック度・・7 激烈度・・8 暗黒度・・8 総合・・8
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SATYRICON 「Nemesis Divina」
ノルウェーのブラックメタルバンド、サテリコンの3rd。1997作
1stの時点では、ややB級臭い土着的でプリミティブなサウンドであったが、
本作では音の力強さとともに、ドラマティックな質感と説得力を増している。
基本は激烈に疾走するスタイルながら、曲における緩急のつけ方や
挿入されるメロディアスなフレーズなども効果的で、暴虐なだけでないセンスを感じさせる。
真性ブラックメタルとしての邪悪さを保ちながら、質の高さもともなった希有な作品だ。
4th以降はややドライで硬質な作風へと変化してゆくが、メロディックブラックとしては本作が最高。
メロディアス度・・7 暴虐度・・9 ドラマティック度・・8 総合・・8
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DISSECTION 「Storm of the Light's Bane」
スウェーデンのメロディック・ブラックメタルバンド、ディセクションの2nd。1996作
個人的にも、このアルバムは北欧メロデスの金字塔として長年愛聴していた作品で、
名曲“Night's Blood”をはじめ、後のチルボドなどにも影響を与えた、流麗なギターメロディで疾走するサウンド。
曲と演奏のクオリティの高さの点でも、数あるメロデス系バンドのアルバムでもトップの1枚だと思う。
残念ながら、バンドのリーダーであったジョンは、2006年の解散ツアーの後、自殺という形で
永遠にバンドを去ってしまったが、葬送の意味でこのアルバムを聴き返すにつれ、メロディのもの悲しさと、
北欧的な暗い叙情性を有した楽曲には、あらためて彼の音楽センスとその才能が惜しまれる。
メロディアス度・・8 暴虐度・・8 北欧的薄闇度・・9 総合・・8.5

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GEHENNA 「Seen Through the Veil of Darkness」
ノルウェーのブラックメタルバンド、ゲヘナの1st。1995作
ブリミティブでミスティックな雰囲気とともに、シンセ入りで聴かせる美しきサウンド。
ブラストビートなどの激速リズムは比較的抑え目で、この手の初期型ブラックメタルにしては
非常に聴きやすい。ヴォーカルは絶叫しているが、邪悪な雰囲気よりは薄暗い美意識を感じ、
メロディにある土着的な雰囲気もいい味になっている。2nd以降は幻想的な作風を脱し、
徐々にブラックメタルから離れてゆくが、本作の美しさは名作として語り継ぐに足るものである。

メロディアス度・・8 暴虐度・・7 ミスティック度・・9 総合・・8
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†暴虐かつメロディックな傑作

DARK FUNERAL 「DIABOLIS INTERIUM」
スウェーデンのメロディック・ブラックメタルバンド、ダーク・フューネラルの3rd。2001作
さすがに最近のブラックメタルバンドのアルバムは音が良いね。演奏も上手い。
このバンドの特徴は、やはりキーボードを使わず二本ののギターのみで
流麗なメロディを生み出しているところ。基本はブラスト&激速のサウンドなのに
何故かとても聴きやすいのはギターがDISSECTIONばりにカッコいいせいだろう。
いわば「より暴虐になったディセクション」という感じでなかなか良いのですわ。
スウェーデンの暴虐系ではMARDUKと並んで高品質のバンド。聴きやすさではこちらか。
メロディアス度・・8 暴虐度・・8 疾走度・・9 総合・・8
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NAGLFAR 「SHEOL」
スウェーデンのメロディック・ブラックメタルバンド、ナグルファーの3rd。2003作
彼らのサウンドは、は専任キーボードを持たない、昨今流行りのシンフォブラックとは一線を画している。
聴きやすさよりも暴虐さ重視で、疾走しながら2本のギターリフにより叙情性を表現しているという点では
現代版DISSECTIONという位置づけもできるバンドかもしれない。
甘めのメロブラ好きにはやや辛口のサウンドかもしれないが、本物の暴虐さを継承する
高品質バンドとしての存在価値は高いバンドであろう。
メロディアス度・・7 暴虐度・・8 王道メロブラ度・・9 総合・・8

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MARDUK 「PLAGUE ANGEL」
スウェーデンのブラックメタルバンド、マーダックの9th。2004作
1992年の1stから数えると14年間も活動し続けている、ベテランだがその暴虐性は落ち着くどころか
いっそう激しくなっており、演奏レベルの向上もあってか音の説得力も相当上がっている。
中世の暗黒時代…死の舞踏、チェコやポーランドの暗い歴史などを題材にしていることもあり、
いつになく重厚で、重みのある暗黒性ともいうべきサウンドは激烈この上ない。
もちろん北欧のバンドらしく、リフには多少メロディを感じる部分があるので案外聴きやすく、
同じく真性系ブラックの仲間達…SATYRICONDARK FUNERALなどともに
クオリティの高い演奏、楽曲が堪能できる。しかし…このドラムは速いだけでなく音が格好いいね!
メロディアス度・・7 暴虐度・・10 暗黒度・・9 総合・・8.5
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SIRIUS 「SPECTRAL TRANSITION」
ポルトガルのシンフォニック・ブラックメタルバンド、シリウスの2nd。2001作
基本は暴虐&ブラストの疾走ブラックだが、背後に鳴るシンセはあくまでシンフォニック。
EMPERORを思い出す雰囲気だが、なんのことはないその今はなきエンペラーのサモスが
プロデュースしたバンドだったのだ。しかもサモスは自身もベースで一曲に参加。
Voはどっちかというと低めのデス声系。暴虐さとシンフォニックさの度合いが絶妙で、
シンフォニック一辺倒であった1stに比べ、曲、演奏ともに説得力が増している。
そのクオリティは帝王EMPERORにも十分ひけをとっていない。
シンフォニック度・・8 暴虐度・・9 クオリティ・・9 総合・・8
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BEHEMOTH 「The Apostasy」
ポーランドのブラックメタルバンド、ベヘモスのアルバム。2007作
前作も相当の強度と暴虐度の高いアルバムであったが、続く今作も見事な出来。
マシンガンのようなブラストビートで突進する暴虐性はそのままに、
今作ではサウンドに
魔界の邪神のごとき荘厳さが加わって、今まで以上に「浸れる」作品となっている。
しかも、これまでになくメロディを聴かせる部分が増しており、
魅力的なギターリフやソロ部分が効果的に導入されたことで、
邪悪でありながらも聴きやすいという、奇跡的なバランスを持つにいたった。
全39分というのもこの密度ならちょうど良い。完成度の点でバンドの最高傑作だろう。
メロディアス度・・7 暴虐度・・9 荘厳度・・9 総合・・8.5
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TORCHBEARER 「Warnaments」
スウェーデンのデス/ブラックメタルバンド、トーチベアラーの2nd。2006作
ジャケのイメージのように第一次世界大戦での海戦をテーマにしたアルバムとなっている。
ブラストビートで暴虐に疾走しつつも、メロディックなギターフレーズや
うっすらとしたキーボードで味付けされたサウンドは、メロブラの質感で、
ザクザクとしたギターが音に重厚さと緊張感をもたらしている。
昨今の軟弱系のメロデスなどに比べると、よほど骨太感があり、本格派の印象。
激烈でありながらも、ほのかにドラマティックな空気をも漂わせているのも素晴らしく、
コンセプト作としてはDIMMU BORGIRの近作にも匹敵するクオリティといっていい。
メロディアス度・・7 暴虐度・・8 重厚度・・9 総合・・8.5
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WATAIN「Casus Luciferi」
スウェーデンのブラックメタルバンド、ヴォータンの2nd。2006作
きらびやかさやモダンさにからは背を向け、DISSECTIONから引き継がれた
古き良きメロディックブラックを体現しているこのバンド。
シンセなどは一切使わず、ギターリフのみでかもしだすメロディとともに激しく疾走するスタイルは、
激烈なだけのブラックメタルとも違う、アナログ感覚ともいうべき生々しさが耳に心地よい。
ジャケやブックレットのイラストなども黒魔術的でオカルティックな世界観を貫いている。
DISSECTIONやNAGLFARなど、オールドスタイルのメロブラを愛する人間にはたまらない。
メロディアス度・・7 暴虐度・・8 オールドメロブラ度・・10 総合・・8
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KEEP OF KALESSIN 「Kolossus」
ノルウェーのメロディック・ブラックメタルバンド、キープ・オブ・カレッシンの4th。2008作
コンセプトからくるドラマティックな雰囲気が格段に増し、激烈に疾走、ブラストしつつも、
センスあるギターリフとフレーズでメロディと世界観を構築してゆく手法はさらに磨きがかかっている。
シンセに頼りがちな昨今のバンドと違い、あくまでギターサウンドにこだわる姿勢が硬派でよいのだ。
演奏においては、とくにドラムの凄さがバンドの核になっていて、7分、8分という曲でも
ダレることなく聴けるのは、パワフルな勢いと強固な構築力とがあるからだろう。
また、曲によってピアノやストリングス、アコギなどの音色を効果的に挿入するなど、
ドラマ性の点でも聴かせどころを増やしていて、激烈なパートをひときわ際立たせている。
メロディアス度・・7 暴虐度・・8 ドラマティック度・・9 総合・・8
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†シンフォニック・ブラック美麗系

CRADLE OF FILTH 「Dusk and Her Embrace」
イギリスのシンフォニックブラックメタルバンド、クレイドル・オブ・フィルスの2nd。1996作
壮麗に聴かせるシンフォニックなシンセワーク、ヴァンパイアをテーマにした耽美な世界観、
そして絶叫としわがれ声を巧みに使い分けるヴォーカルのダニ・フィルスの存在感。
あらゆる点で1stからスケールアップを遂げ、本作ではその激烈かつドラマティックなサウンドに
説得力を付加し、闇の幻想美を彩っている。たとえば、ノルウェーのバンドとは異なるベクトルで
ブラックメタルをエンターテイメントミュージックにまで仕立て上げたこのバンドの功績は大きい。
現在におけるシンフォニック・ブラックシーンの発展の布石ともなった傑作といっていいだろう。
そして次作「Cruelty And The Beast(鬼女と野獣)において、彼らはその地位を不動のものにする。
シンフォニック度・・8 暴虐度・・8 幻想美度・・9 総合・・8.5
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HECATE ENTHRONED 「Dark Requiems...And Unsilent Massacre」
イギリスのシンフォニック・ブラックメタルバンド、ヘカテ・エンスロンドの2nd。1998作
実に美麗かつ耽美なシンセワークとともに疾走するスタイルで、
サウンドにはまるでノルウェーのバンドのようなプリミテイブなマイナー感がある。
ぎゃあぎゃあとカラスのような声でわめき散らすヴォーカルは耳障りだが、
ともかくこのシンフォニックなキーボードの美しさですべてを許せてしまう。
B級臭くてもよいから美麗な疾走ブラックが聴きたいの方や、COFの1stが好きならぜひ。
1st「The Slaughter Of Innosence〜」も同様に美しきシンフォブラ好作デス。
シンフォニック度・・8 暴虐度・・7 耽美度・・8 総合・・7.5
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DIMMU BORGIR 「DEATH CULT ARMAGEDDON」
ノルウェーのシンフォニック・ブラックメタルバンド、ディム・ボガーの6th。2003作
壮麗でシンフォニックでありながら、ブラックメタルとしての暴虐さを保ったそのサウンドは、
アルバムごとに着実にクオリティを上げてきており、その美と醜の均衡はまったく見事なほどだ。
今作では楽曲に本物のオーケストラを導入しており、音の荘厳さと説得力は否が応にも増している。
緩急の効いた切り返しの多い曲をこなすメンバーの技量は見事だが、それに加えて
キーボード、オーケストレイションのアレンジの質もいっそう上がっているように思う。
クオリティとしてはCRADLE OF FILTHと並び立つと同時に、ブラックメタルとしての音の迫力では
ついに彼らを上回ったという印象だ。名実ともにドラマティックブラックの頂点に立った一作。
シンフォニック度・・8 暴虐度・・8 荘厳度・・9 総合・・8.5 

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OLD MAN'S CHILD 「IN DEFIAANCE OF EXISTENCE」
ノルウェーのシンフォニック・ブラックメタルバンド、オールド・マンズ・チャイルドの5th。2003作
現在はDIMMU BORGIRにも在籍するガルダー氏の別バンド。内容は抜群に高品質。
北欧らしい流麗なギターリフとシンフォニックなキーボードが美しく、疾走する暴虐性とのバランスが絶品。
かつてはCRADLE OF FILTHに在籍し、現在はボガーのメンバーであるニコラスのドラムも見事で、
強烈に疾走する楽曲をしっかりと支えている。総じて雰囲気がボガーちっくなのは否めないが、
分かりやすい良質のシンフォブラックとして勧められるクオリティである。
収録曲のほとんどが5分以下で全39分というのもいっそ潔い。
シンフォニック度・・8 暴虐度・・8 楽曲・・8 総合・・8
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ARCTURUS 「THE SHAM MIRRORS」
ノルウェーのシンフォニック・ブラックメタルバンド、アークチュラスの3rd。2002作
初期は正統派のシンフォブラックだったが、しだいに知的でプログレッシブなアプローチを取り入れてゆく。
本作ではメロディアスな要素を増やし、シンフォニックなアレンジと現代的なデジタリィな要素を融合させている。
ヴォーカルもほとんどをノーマル声で歌い、メロディアスなギターとコーラスワーク、キラキラしたシンセなどは
一聴してメンバーもかぶるTHE KOVENANT(COVENANT)を想起するが、このアルバムは演奏、楽曲ともに
その上をいっている。素晴らしいのはブラストしなくても十分存在感のあるHELLHAMMERの正確無比なドラムで、
サウンドはあくまでシンフォニックでありながら、硬質感とある程度の攻撃性を感じることができる。これは傑作。
シンフォニック度・・8 暴虐度・・6 楽曲・・8 総合・・8.5
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CATAMENIA 「ESKHARA」
フィンランドのシンフォニック・ブラックメタルバンド、カタメニアの4th。2002作
シンフォニックなキーボードにブラストビートで疾走するスタイルのこのバンド、
基本的にどのアルバムも方向性は同じなのだが、メロディの煽情度はこの4作目が一番。
北欧らしい、ときに民族調のメロディを奏でつつ突っ走るそのサウンドは
激しいながらも音には整合感があって、非常に聴き易く初心者にもお薦めだ。
最近流行りのヴァイキングメタル好きなどにもアピールするはず。
このバンドを初めて聴くならまずこのアルバムを推したい。
シンフォニック度・・8 暴虐度・・8 北欧度・・9 総合・・8
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GRAVEWORM 「ENGRAVED IN BLACK」
イタリアのシンフォニック・ブラックメタルバンド、グレイブワームの4th。2003作
これまでも泣きの美麗シンフォニック+疾走という完成度の高いアルバムを作っていたが、
今作ではさらに音に重さが加わった感があり、全体としてサウンドの説得力が増している。
ブラックメタルとしての突進力と煽情的なメロディのバランスが見事で、
静寂パートの耽美性はゴシック的でもあり、女性奏者による壮麗なキーボードが音に厚みを加えている。
STORMLORDと共にイタリア産のシンフォブラックとしては一線級といってよい出来だ
シンフォニック度・・9 暴虐度・・8 楽曲・・8 総合・・8.5
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AGATHODAIMON 「CHAPTER V」
ドイツとルーマニアのメンバーからなるシンフォ・ブラックメタルバンド、アガソダイモンの3rd。2002作
CRADLE OF FILTH的なシンフォブラックと、DISSECTION的なメロブラの中間といった雰囲気。
曲、演奏、メロディ、突進力ともにいいものを持っていて、キーボード入りで疾走し、
とくに煽情的なギターフレーズはこの手のバンドの中でもかなり質が高いと思う。
ときおり聴かせる静寂パートでの叙情や、ヨーロピアンな荘厳さも素晴らしいので、
メロディック/シンフォニックブラック好きなら、聴いておくべきバンドのひとつだろう。
メロディアス度・・8 暴虐度・・7 楽曲・・8 総合・・8
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ANOREXIA NERVOSA  「Redemption Process」
フランスのシンフォニック・ブラックメタルバンド、アノレクシア・ネルヴォサの4th。2004作
前作は疾走一辺倒のシンフォブラだったのですが、今作では楽曲にメリハリがついて
美しいシンセをバックに荘厳に疾走しつつも、重厚な要素も増しているという感じです。
これだという特徴的な魅力はないですが、全体的に質の高さで聴かせるシンフォブラック。
日本盤ボーナスにはX(JAPAN)の“I'll Kill You”のブラックメタルカヴァーを収録。
シンフォニック度・・7 暴虐度・・8 新鮮度・・7 総合・・8
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†大仰、エピック系

BAL-SAGOTH  「BATTLE MAGIC」
イギリスのエピック・ブラックメタルバンド、バル・サゴスの3rd。1998作
大仰シンフォブラックの元祖たるこのバンド、1stの時点ではずいぶんショボかったものの、
2nd「Starfire Burning upon Ice Veiled」において、まるでファンタジーゲームのような
壮麗な世界観で聴かせるシンフォブラックサウンドを確立、そして続く本作で決定打となった。
シンセによる美麗なイントロは映画のような雰囲気だが、曲が始まるとクサメロまくりで疾走開始、
美しいシンセとクサフレーズを奏でるギターににんまりしつつ、彼らのファンタジー絵巻にどっぷり浸る。
ヴォーカルはダミ声ながらちっとも暴虐ではなく、曲間に入る語りなどはとてもエピックな感じである。
とにかくこの、笑っちゃうほど大仰かつ勇壮、そしてクサく、シンフォニックなサウンドは一聴の価値ありだ。
シンフォニック度・・9 暴虐度・・6 ファンタジック度・・10 総合・・8.5
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OBSIDIAN GATE 「COLOSSAL CHRISTHUNT」
ドイツのシンフォニック・ブラックメタルバンド、オブシディアン・ゲートの2nd。2001作
このバンドの特徴はやりすぎなまでにシンフォニックなキーボードが美しいところ。
ゴージャス、メロディアスでセンスの良いシンセが、時に重厚に時に華麗に鳴りまくる。
ほぼ真性のブラックメタルサウンドだが、このシンセとの合体で凶悪度は中和され、
結果として非常に聴きやすいドラマティックブラックとなっている。
初期EMPERORをさらにメロディアスにするとこうなるという具合。劇的シンフォブラック傑作。
シンフォニック度・・9 暴虐度・・8 エピック度・・8 総合・・8.5
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STORMLORD 「THE GORGON CULT」
イタリアのシンフォニック・ブラックメタルバンド、ストームロードの3rd。2004作
1stの頃からすでにやり過ぎなまでにシンセを導入し、大仰なファンタジーブラックをやっていた彼ら。
今作ではラウドさが押さえられた録音で音のバランスが良くなり、ずいぶん聴き易くなっている。
相変わらずこれでもかという美しいキーボードを鳴らして疾走する様は、一聴してブラックというよりは
普通のシンフォメタルだが、表現力を増したダミ声Voや、女性スキャットを取り入れるなど
物語性を増したサウンドはCRADLE OF FILTHに通じる部分もある。
暴虐パートをやや抑え目にしたことにより、曲の中でギターのフレーズが生きる場面が増え
結果としてメロディアスさとシンフォニック性が増している。
シンフォニック度・・8 暴虐度・・7 エピック度・・8 総合・・8
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ANCIENT RITES 「Rubicon」
ベルギーのメロディックブラックメタルバンド、エンシェント・ライツのアルバム。2006作
ツインギターにシンセを含む7人組みで、これまでもヴァイキング色のある
シンフォニックな疾走ブラックメタルで、なかなかいいものを持っていたが、
十字軍の遠征をテーマにした本作はいっそうエピックな雰囲気を増した傑作となった。
美しいシンセによるイントロに続き楽曲が始まると、ブラックメタルとしての激しい疾走感とともに
緩急のつけられたアレンジと、ある種RHAPSODYにも通じるシンフォニックメタル的な質感で
壮大な世界観を演出してゆく。ときに土着的なメロディを盛り込みつつ、
壮麗に聴かせる厚みのあるサウンドは、説得力という点でも過去最高だ。
シンフォニック度・・8 暴虐度・・7 エピック度・・9 総合・・8.5
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†アンビエント系

BURZUM 「Hvis Lyset Tar Oss」
ノルウェーのブラックメタルバンド、バーズムの3rd。1993作
全4曲で44分という大作志向のアルバムで、初期のノイジーなブラックメタルから、
シンセを導入し始めたことで、カウント・グリシュナックの絶叫するヴォーカルとともに、
もの悲しい叙情や虚無感が、暗黒に包まれた幻想的なサウンドの中で表現されている。
シンセのみのラスト曲はもはやブラックメタルというよりはアンビエントなダークミュージック。
おそらく、BURZUMのアルバムの中で最も完成度の高いアルバムであろう。
幻想度・・8 暴虐度・・7 虚無的叙情度・・8 総合・・8

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Wolves in the Throne RoomBlack Cascade」
アメリカのブラックメタルバンド、ウルブズ・イン・ザ・スローン・ルームの2nd。2009作
自然派ブラックメタルともいうべき、薄靄のかかったようなサウンドで驚かせたデビュー作は
本作もとてもアメリカ産とは思えない、まるで欧州の森を思わせる雰囲気の作品だ。
ややこもり気味の音で疾走するアナログ的なブラックメタルサウンドは、
激しくはあっても耳心地がよく、暴虐さよりも自然界の闇への畏怖を感じさせる。
全4曲ですべてが10分以上という長尺さも、いっそ彼らの持ち味となっていて、
曲やメロディうんぬんというよりも、この雰囲気に浸り込んで楽しみたい音楽だ。
メロディアス度・・7 暴虐度・・7 自然派度・・9 総合・・8
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Alcest 「Ecailles De Lune」
フランスのシューゲイザー・ブラックメタル、アルセの2nd。2010作
前作は癒し系ブラックともいうべき叙情的な作品であったが、本作も同路線。
美しいシンセとマイルドな歌声で聴かせるサウンドは、淡い幻想を含んだ哀愁を漂わせ
その聴き心地の良さは、もはやブラックというよりはエモやポストロック的な世界観である。
激しく疾走する部分もちゃんとあるが、それすらもたれこめたグレーの空のように、
叙情的でメロウな薄暗さと、優しい雨のようなやわらかな感触がある。癒されるブラック。
メロディアス度・・8 暴虐度・・7 幻想叙情度・・9 総合・・8
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†アジア発の高品質シンフォブラ

SAD LEGEND
韓国のメロディック・ブラックメタルバンド、サッド・レジェンドの1st。1998作
「儒教の国」韓国で「反キリストの音楽」であるブラックメタルが存在するとは驚きだが、
激速なブラストビート、荘厳なキーボード、絶叫ヴォーカル(ハングル)に女性コーラスと
音楽性は高く、どれをとっても北欧ブラックの一級品と遜色ないレベル。
また疾走するだけでなく、スローパートにおいてもギターフレーズに泣きが多く、
悲哀を感じさせるメロディがサウンドの説得力をかもし出している。
韓国には他にOATHEANというバンドもいるが、メロディの充実度ではこちら。
メロディアス度・・8 暴虐度・・7 哀愁叙情度・・9 総合・・8



TYRANT 「GRIMOIRES」
日本のシンフォニック・ブラックメタルバンド、タイラントの3rd。2005作
1st、2ndと日本のバンドとしては高いクオリティのアルバムを発表していたこのバンド、
知名度は低いながらも、今作も安心して楽しめる高品質なシンフォブラック作です。
のっけからワルツのリズムで疾走するあたり、クラシカルで耽美な雰囲気がとてもよろしい。
ブラックというよりは一人ゴスっぽい出で立ちの
AYUMI嬢のキーボードワークがとても美麗で、
ときにメロウなフレーズを奏でるギターもいい仕事をしています。
全体的に暴虐でありながらも、綺麗な音作りになっていて初心者にも勧められます。
シンフォブラックのリスナーは、日本にもこんないいバンドがいるのだということを知りましょう。
シンフォニック度・・8 暴虐度・・7 耽美度・・8 総合・・8
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SIGH「HANGMAN'S HYMN」
日本が誇るアート・ブラックメタルバンド、サイの7th。2007作
「音楽による葬式」と題されたコンセプト的な作風で、2ndの頃の
シンフォニックブラックとしての
疾走感
を取り戻したサウンドになっている。ライナーにもある通り、バンドのブレインである川嶋未来の語る
現在世界の歪みや飽くことなき人間の欲望や愚かさに対する怒りや悲しみが音の中に溢れており
スラッシュメタル的なリフとクラシックの交響曲を思わせる
オーケストラルなアレンジが一体となり、
全編が激しく、そして美しいサウンドを追求しているかのようだ。
ここ数作での多様な作風からはむしろシンプルにも感じられるが、
初めて彼らの音に触れる若いリスナーにはむしろ自然に受け入れられるかもしれない。
メロディアス度・・7 疾走度・・8 プログレ度・・7 総合・・8
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ChthoniC 「Seediq Bale」
台湾のシンフォニック・ブラックメタルバンド、ソニックの4th。2007作
CRADLE OF FILTHあたりを思わせる禍々しくも美しい世界観で疾走するサウンドは
以前は弱点だったドラムの弱さも克服されていて、堂々たるレベルに仕上がっている。
シンフォニックなキーボードアレンジはどこか幽玄を感じさせる空気があり、
ダミ声絶叫Voに絡む
女性Voや、もの悲しい二胡の音色にも注目だ。
どうせなら英語版ではなく中国語のまま配給して欲しかったが、
メロディの雰囲気や怨念の込められたような音には充分地域性を感じ取れる。
シンフォニック度・・8 暴虐度・・8 台湾度・・8 総合・・8
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